説明

フィッシャー・トロプシュ合成

本発明は、アルカリ土類金属含有量が2000ppm未満の触媒を提供するために、支持体及び製造条件におけるアルカリ土類金属の存在を最小化したフィッシャー・トロプシュ触媒の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質コバルト系フィッシャー・トロプシュ触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
場合によっては実質的に不活性成分、例えば、CO2、窒素、及び、メタンからなる、CO及び水素の混合物の合成ガスの転換用フィッシャー・トロプシュ反応は、活性金属鉄(Fe)又はコバルト(Co)を含んだ触媒上で商業的に行われている。しかしながら、鉄触媒は、有意なシフト反応(shift reaction)を示し、CO及びストリーム(stream)からのCO2の他、より多くの水素を生成する。したがって、鉄触媒は、例えば石炭又はその他の重炭化水素供給源からの低H2/CO比(<1.2)の合成ガスに最も適している。ここで、比(率)は、フィッシャー・トロプシュ反応の消耗比(consumption ration)(2.0〜2.1)よりも相当低い。
【0003】
本発明は、Co系触媒、特に、支持されたCo系触媒に関する。様々な製品は、フィッシャー・トロプシュ反応によって、しかし、支持されたコバルトから製造され得るが、主要な製品は、さらにディーゼル燃料と石油ナフサ(petrochemical naphtha)などの製品にさらにアップグレードされ得る長鎖炭化水素である。製品によっては、オレフィンおよび酸素化物(oxygenate)を含み得る。
【0004】
通常、活性フィッシャー・トロプシュ金属は、固体、多孔質支持体上に分散されている。これにより、Coの大部分は、反応が起こり得る表面原子(surface atom)として露出されている。その支持体は、チタニア、シリカ、又は、アルミナであり得るが、一般的には、ジルコニア、マグネシア、シリカ -アルミナ、様々なアルミン酸塩(aluminate)、ゼオライト、炭素、および、これらの混合物のようなその他の酸化物が使用されてきた。時には支持体は、例えば、シリコン、ランタン、チタンおよびジルコニウムの化合物の成分改質剤(modifying component ingredient)を含む。
【0005】
例えば、フィッシャー・トロプシュ合成前にコバルト金属へのコバルト酸化物の還元を促進することによって触媒性能を向上させるために、異なるプロモーターを加えることは一般的であり、レニウム、ルテニウム、白金、イリジウムおよび他の遷移金属が有利である。また、プロモーターは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であっても良い。一定量のアルカリ金属(カリウム、ナトリウム、セシウム、ルビジウム、リチウム、セシウム)がコバルト支持触媒の触媒性能に有意な影響を与えることが知られている。米国特許第4880763号(Eriら)には、触媒へのアルカリの添加によって、シュルツ・フローリー (Schulz-Flory)値の増加にて示されるように、製品の重量平均分子量を増加させることが記載されている。しかしながら、アルカリ含有量が増加するにつれて、その活性は減少した。したがって、任意の特定の状況に対して、所望の平均分子量の製品と触媒活性間のバランスが取れた最適なアルカリレベルが存在する。WO2006/010936(Al、Rytter及びEri)は、コバルト触媒に対するNaの効果を説明している。活性に対する明確な負の効果は、0〜500 ppmで発見されている。
【0006】
Luo及びDavisの文献[Fischer-Tropsch synthesis: Group II alkali-earth metal promoted catalysts, Appl. Catal. A 246 (2003)]では、比較連続攪拌槽型反応器(CSTR)中の鉄系触媒に対して、フィッシャー・トロプシュ合成性能に対するアルカリ土類金属、そのうちカルシウムの効果を比較した。彼らは、プロモーターとしてのカルシウムの添加は、フィッシャー・トロプシュ合成と水-ガスシフト反応の両方の活動に負の影響をもたらすことを見出した。しかし、Caは向上した(up-promoted)触媒よりも高いFTSアルファ値(連鎖成長確率)をもたらす。
【0007】
フィッシャー・トロプシュ触媒は、合成ガス(CO2, CH4, 軽質炭化水素(light hydrocarbon)、スチーム、N2等のそれ以外のガス成分を含み得るH2とCOのガス混合物)がフィッシャー・トロプシュ反応(プロセス)によって炭化水素に転換される産業上のプロセスにて行われる。合成ガス(syngas)は、オートサーマル改質(autothermal reforming (ATR))、時々「管状改質(tubular reforming)」とも呼ばれるメタン蒸気改質(methane steam reforming (MSR))、部分酸化(partial oxidation) (POx)、触媒部分酸化(CPO)及びガス化(gasification)等のさまざまな方法に基づいて製造可能である。後者は主に天然ガス以外の供給物(feed)、例えば、石炭又はバイオマスについて使用される。改質の組み合わせ、熱交換改質(heat exchanged reforming)、コンパクトな改質(compact reforming)、及びガス加熱改質(gas heated reforming)のように、これらのプロセスの組み合わせや最適化も可能である。
【0008】
合成ガスの生成後、そのガスを、ガスがプロセスガスクーラー(process gas cooler)とも呼ばれる廃熱ボイラー(waste heat boiler;WHB)にて頻繁に冷却し、そして、生成された蒸気の温度を上げるスーパーヒーターを使用してガスから更なるエネルギーを抽出することができる。ガスがフィッシャー・トロプシュ-原子炉に入る前に、ガードベッド(guard bed)を使用して、ガスからアンモニア、及び硫黄等の不純物、ならびに、様々なカルボニル化合物を除去することができる。前記合成ガスの生成や前記除去工程の両方において、難溶性またはセラミック材料がよく使われる。これらは、種々の金属酸化物の混合物で構成することができる。現在では、これらの材料の組成について細心の注意が払われるべきことが発見された。
【0009】
触媒ハンドブック(Catalyst Handbook, 2nd edition., M.V. Twigg, editor, Wolfe Publishing, London 1989)では不純物による中毒が記載されている(第77〜81ページ)。しかし、カルシウムの効果は記載されてなく、ナトリウムが水素化分解触媒に関連して記載されているだけである。さらに、合成ガスまたはガス洗浄部から材料のキャリーオーバー(carryover)は記載されていない。現在では、こうしたキャリーオーバーを回避するために細心の注意が払われるべきことが発見された。合成ガス経由のキャリーオーバーは、蒸気の存在によって増強され得る。合成ガスの生成に使用される特定の材料は、「R. Stevens and U. R. Desai, Qatar Fertilizer Company, in the proceedings of Nitrogen + Syngas 2008 conference conducted in Moscow, 20-23 April 2008」に記載されている。これらは、0.7重量%のNAOを含む第2の改質装置(ATR)の上部に使用されるアルミナ塊、アルミン酸ナトリウム、NaAl11018、及び、17重量%のCaOを含むセラミックライニング(ドーナツ)を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、改良された(modified)、支持された(supported)コバルト系フィッシャー・トロプシュ触媒を提供することにある。また、本発明の目的は、XTLプラントにおける操作(動作)の際にその触媒の汚染を回避することにある。ここで、XTLは、GTL(ガスから液体へ)、BTL(バイオマスから液体へ)またはCTL(石炭から液体へ)である。汚染は、触媒性能の減少、特に、低活性(活量減少)をもたらし、その結果、予定より早く触媒を取り替える必要が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その一の局面において、次のステップを含むフィッシャー・トロプシュ合成反応用触媒の製造方法を提供する:
1000ppm未満のアルカリ土類金属含有量を有するアルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、炭素質材料、及び、これらの混合物から選択される最初の多孔質支持体材料(porous support material)を用意するステップ;
最終的な触媒における1000ppm未満の更なる(追加の)アルカリ土類金属含有量に寄与するコバルト源を、前記最初の支持体材料に含浸させるステップ;及び、
少なくとも200℃の温度で前記含浸させた支持体材料を熱処理して、コバルト酸化物触媒(cobalt oxide catalyst)を得るステップ。それによって、最終的な触媒は2000ppm未満のアルカリ土類金属含有量を有する。
【0012】
コバルト触媒の製造は、コバルト前駆体溶液を支持体に含浸させることを含む(これらの両方は不純物源となり得る)。水は溶媒として一般的な選択肢である。水は、一般的に、カルシウム、マグネシウム、及び、ナトリウムなどのミネラルを相当量(significant amount)含んでいる。これらの元素を制御することは、医療、薬学、化学および産業用アプリケーションの要件を満たすためにしばしば必要となる。方法には、蒸留、ろ過、水の軟化(water softening)、逆浸透(reverse osmosis)、限外濾過、分子のストリッピング(molecular stripping)、脱イオン化、カーボン処理が含まれる。
【0013】
一般に、本発明は、それが、アルカリまたはリおよびアルカリ土類金属などの不要な成分に露出されないような方法で、フィッシャー・トロプシュ触媒を使用することに関する。
【0014】
触媒は、10〜2000ppmのアルカリ土類またはアルカリ金属を含み、好ましくは、20〜1000ppm、より好ましくは、20〜400ppmを含む必要がある。したがって、供給(源)ガスは、それに応じて、これらの金属の含有量が低いことが重要である。10000時間の平均操作(動作)(average operation)(即ち、触媒交換間合計20000時間)、1時間当たりの1kgの触媒あたり1.0kgの炭化水素生成物(製品)の製造、および、すべてのアルカリまたはアルカリ土類金属がフィッシャー・トロプシュ触媒によってピックアップ(pick up)されることを想定して、簡略化計算を行うことができる。驚くべきことに、これは、合成ガス供給源中アルカリ金属またはアルカリ土類含有量が100重量ppb(合成ガス中kgCOに対する)にまで低くなり、触媒上で2000ppm未満となることを意味する。言い換えれば、未変換ガスのリサイクルを伴う運転(操作)におけるメイクアップガス(make−up gas)とも呼ばれる、合成ガスは、アルカリ金属またはアルカリ土類を平均して0.1〜100ppb、好ましくは、0.5〜50ppb、より好ましくは、0.5〜20ppbだけ含む。
【0015】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属中毒(poisoning)は、しばしば誤動作又は操作中の混乱として発生し、より短時間、例えば、10〜1000時間にかけての触媒活性の急激な減少が見られる。したがって、より酷い中毒を伴うこれらの期間(時間)にわたってのアルカリ金属またはアルカリ土類金属含有量は、5ppb〜100ppm、好ましくは、10ppb〜50ppm、より好ましくは、10ppb〜20ppmの範囲に維持されなければならない。さらに、アルカリおよびアルカリ土類材料の厳格な制御は、プロセス水(process water)及びマークアップ水(make-up water)中の含有量に加えて、任意のセラミックライニング(ceramic lining),改質触媒(reformer catalyst)、及び、ガードベッド(guard bed)の材料の選択の際にも適切に行われる必要がある。
【0016】
アルカリおよびアルカリ土類金属のレベルを制御することにより、性能の向上が得られる。アルカリ土類金属は、元素の周期律表のグループ2のものであり、本発明は、特にカルシウムとマグネシウム、及び、グループ1のナトリウムとカリウムに関係する。
【0017】
熱処理ステップは、200〜600℃の温度にて行われる焼成ステップ(calcination step)であることが好ましい。支持体材料(support material)は、任意の非晶質、または、結晶形、必要に応じて改質された形態の、カーボンナノファイバー、及びチューブを含んだ様々な形態の炭素、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、および、ゼオライト、ゼオライト様材料、及び、これらの混合物、並びに、これらの反応性生物から選択され得る。アルミナは、γ-アルミナ、任意の遷移アルミナ(transition alumina)、α‐アルミナ、ベーマイト(boehmite)、水酸化アルミニウム、または、それらの混合物であってもよい。
【0018】
支持体材料用のアルミナを製造するための最も好ましい方法は、アルコキシドルート(alkoxide route)である。なぜならば、それが高純度を提供できるからである。沈殿法(precipitation method)を採用しても良いが、その場合、沈殿アルミナは、過剰な水で数回洗浄することによって、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び硫酸塩などの様々な不純物を除去する。使用する水は、上述したような不純物を20ppm以下に有する。洗浄後、アルミナを乾燥させ、必要に応じて、200〜600℃の温度にて焼成することが好ましい。
【0019】
最初のアルミナ支持体材料は、好ましくは、ランタンを含む安定剤を含むのが好ましい。
【0020】
含浸工ステップは、溶融含浸(melt impregnation)、イオン交換、堆積(deposition)/沈殿(precipitation)、又は、より好ましくは、初期湿式含浸(incipient wetness impregnation)を含んでも良い。初期湿式法の場合、溶媒は有機溶媒、より好ましくは水であってもよい。複数の含浸ステップを含んでもよい。
【0021】
驚くべきことに、いくつかのアルカリ土類金属は、コバルト触媒を用いたフィッシャー・トロプシュ合成に悪影響を与えることが知られている。特に、初期湿式含浸を使用した場合、100 ppm(量)(mg / l)のCaは、触媒活性に明確な負の効果をもたらす。より多量のカルシウム(200 - 1000 ppm)は非常に強い有害な効果をもたらす。これらの量は、多くの生の水(raw water)(水道水)については珍しくない。例えば、硬水は、80〜120ppmのCaを含んでいる。
【0022】
含浸ステップまたは本発明のその他のステップにおいて水を使用した場合、水は、アルカリ土類金属の規定制限を確実にするために、前述した方法で処理され得る。好ましくは、水は蒸留水または脱イオン水である。
【0023】
含浸ステップは、細孔が充填されるまでにコバルト金属の水溶液を改質アルミナ支持体材料と混合し、その後、焼成前に、含浸支持体材料を乾燥させる、という初期湿式処理を含むのが好ましい。含浸に使用される水溶液の量は、触媒支持体(catalyst support)の測定細孔容積(measured pore volume)の0.2〜2倍であるのが好ましい。
【0024】
その方法が、最初のアルミナ支持体材料を、プロモーターを用いて含浸又は共含浸させることを更に含むのが好ましい。白金プロモーターの好ましい範囲は、0.001〜0.5重量%、より好ましくは、0.01〜0.1重量%である。レニウムの場合、好ましい範囲は、0.01〜5重量%、より好ましくは、0.1〜1.0重量%である。
【0025】
プロモーターがレニウムの場合、レニウム源は、過レニウム酸(HReO4; perrhenic acid)、過レニウム酸アンモニウム(ammonium perrhenate)、レニウムハロゲン化物(rhenium perrhenate)、および、レニウムカルボニル(rhenium carbonyl)から選択されるのが好ましい。
【0026】
コバルト源は、硝酸コバルト(CO(N032)、炭酸コバルト(cobalt carbonate)、コバルト(ヘキサ)アミン塩(cobalt (hexa) amine salt)、及び、有機コバルト化合物からなる選択され得る。焼成ステップの後、アルミナ支持触媒材料は活性化されるのが好ましい。
【0027】
含浸支持体は80〜120℃範囲の温度で乾燥されるのが好ましい。その後の焼成は200〜600℃範囲の温度にて行われるのが好ましい。
【0028】
焼成ステップの後、アルミナ支持触媒材料が活性化されるのが好ましい。
【0029】
活性化ステップは、存在する触媒活性金属化合物の実質的な部分(substantial portion)から金属への還元を含んでも良く、水素および/ または一酸化炭素などの還元性ガス(必要に応じて、不活性ガスと混合されたもの)で触媒材料を処理することによって行うことができる。この還元は、250〜500℃の活性化温度(activation temperature)、好ましくは、300〜450℃の活性化温度にて行うことができる。
【0030】
支持体をコバルト源で含浸させる前に、支持体材料を改質しても良い。これは、支持体材料とスピネル化合物(spinel compound)(一般式(X)(Y)24、ここで、X及びYはカチオンである。)を形成できる二価金属源を支持体材料に含浸させる第一の含浸ステップによって行っても良い。
【0031】
アルミナに二価金属化合物を加えた後熱処理すると、全体の支持体の一部を構成するスピネル化合物を得ることができる。二価金属は、コバルト、ニッケル、マグネシウムまたは亜鉛を含むことができるが、その他のスピネル形成元素を用いても良い。熱処理は900℃までの温度にて行うことができ、それによって、スピネルが形成されるが、所定の目的においては、900〜1400℃、特に、950〜1250℃の温度が有利な場合もある。
【0032】
そこで、二価金属は、亜鉛、コバルト、マグネシウム又はニッケルであることが好ましく、適切な供給源(source)は、相応する硝酸塩を含み得る。二価金属は、有機溶剤、より好ましくは、水であってもよい適切な溶媒を使用して、1以上の含浸ステップに配置されるのが好ましい。
【0033】
前述した後続のコバルト含浸工程と同様に、溶媒は20ppm未満のアルカリ土類金属含有量を有するのが好ましく、蒸留水または脱イオン水であるのが好ましい。二価金属の供給源は、500ppm未満、好ましくは300ppm未満、より好ましくは100ppm未満の酸化コバルト触媒中更なるアルカリ土類金属含有量をもたらす。
【0034】
二価金属を含浸した後、支持体材料を乾燥させ、洗浄し(必要に応じて)、1又は複数のステップにて600℃までの温度で焼成することで、二価金属供給源を分解して、二価金属酸化物又はその化合物を形成する。その後、高温焼成は、600〜900℃範囲の温度にて行われて、スピネルを形成する。特に高強度(high strength)の支持体が必要な場合には、最後の焼成を、900〜1400℃、好ましくは、950〜1250℃のより高温にて行うことも可能である。
【0035】
二価金属を用いたこの処理によって、その後コバルトを含浸させることができる改質支持体材料(modified support material)を生成する。この高温処理は、支持体の気孔率(porosity)を下げて、80m2/g未満、特に30〜70m2/gの表面積、及び、0.5ml/g未満、特に、0.15〜0.4ml/gの細孔容積(pore volume)を有する改質支持体を生成する。高い表面積がコバルト負荷(loading)及び分散(dispersion)を最大化するのに有利であり、そして、高い細孔容積が、含浸を容易にするが、得られた値は、初期の支持体に比べて、改質支持体の非常に増加した物理的および化学的ロバスト性(robustness)の面から完全に許容できる。
【0036】
最終的な触媒におけるアルカリ金属の量を最小限に抑えることが望ましい。ここで、アルカリ金属は、元素の周期表のグループ1に属する。したがって、支持体材料中アルカリ金属の含有量が200ppm未満、プロセスに使用される水中アルカリ金属の含有量が50ppm未満であり、それによって、最終的な触媒中アルカリ金属の含有量が250ppm未満となることが好ましい。
【0037】
また、本発明は、本発明の製造方法又はプロセスによって製造された触媒材料に関する。
【0038】
また、本発明は、フィッシャー・トロプシュ反応(例えば、スラリー気泡塔型反応器(slurry bubble column reactor)において行われるフィッシャー・トロプシュ反応)における前記触媒の使用にも関する。かかる場合に、H2とCOが反応器内のスラリーに供給される。そのスラリーは、H2及びCOの反応性生物を含む液体中に浮遊する触媒を含む。その触媒は、少なくとも部分的には、スラリーに供給されるガスの移動によって、スラリー中の懸濁状態(浮遊状態)を維持される。
【0039】
また、本発明は、炭化水素の製造方法に関する。その製造方法は、合成ガス発生器(syngas generator)からメイクアップ合成ガス(H2及びCOを含む。)が前記システムに導入される、支持されたCo系触媒の存在下で反応器においH2及びCOガスをフィッシャー・トロプシュ合成に供することを含む。ここで、メイクアップガス中アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有量は100ppb未満である。
【0040】
アルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属の含有量は、例えば、0.1〜100ppbであり、好ましくは、0.5〜50ppbであり、より好ましくは、0.5〜20ppbであっても良い。アルカリ土類金属は、カルシウムであっても良く、そして、アルカリ金属は、ナトリウムであっても良い。
【0041】
反応は、反応物がガス状(気体)である三相反応であり、ここで、その反応物は、ガス状であり、その生成物は、少なくとも部分的に液体であり、かつ、その触媒は固体である。ここで、反応は、スラリー気泡塔型反応器(slurry column reactor)で行われる。かかる場合、H2及びCOが反応器内のスラリーに供給される。そのスラリーは、H2及びCOの反応性生物を含む液体中浮遊状態(浮遊する)の触媒を含む。その触媒は、少なくとも部分的に、スラリーに供給されるガスの移動によってスラリー中の浮遊状態を維持する。
【0042】
メイクアップ合成ガスは、その合成ガスがフィッシャー・トロプシュ合成反応に供される前に、前記合成ガスストリームからアルカリ及びアルカリ土類金属成分を吸収するように配置された材料のガードベッド(guard bed)を通過することが好ましい。このガードベッドは、金属酸化物、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはマグネシウムまたは亜鉛酸化物、又は、金属酸化物材料上に支持された使用済み(spent)または不活性化(deactivated)触媒を含むのが好ましい。その代わりに、前記ガードベッドは、活性炭またはカーボンナノファイバー若しくはチューブを含む。
【0043】
反応温度の範囲は190〜250℃であり、好ましくは、200〜230℃である。反応圧力は、10〜160バール(bar)であり、好ましくは、15〜30バールである。
【0044】
フィッシャー・トロプシュ合成反応器に供されるガスのH2/CO比は、1.1〜2.2であり、1.5〜1.95であるのが好ましい。反応器内の表面ガス速度(superficial gas velocity)は、5〜60cm/sであり、好ましくは、20〜40cm/sである。
【0045】
フィッシャー・トロプシュ合成反応の生成物は、その後、後処理に供される。後処理は、デワックス(dewaxing)、ハイドロ異性化(hydro-isomerasation)、ハイドロクラッキング(hydro-cracking)、及び、これらの組み合わせを含んでも良い。
【0046】
本発明は、前述した炭化水素の製造方法に関する。ここで、触媒は、本発明に係る製造工程によって製造される。前述した製造方法の好ましい特徴及び選択的な特徴は、本発明に係るこの実施形態にも当てはまる。
【0047】
合成ガス中アルカリ土類金属またはアルカリ金属の含有量は、低濃度のアルカリ土類金属および/またはアルカリ金属を含む供給液を使用することで制御することができる。合成ガスの製造に反応物として導入又は再導入される水及び蒸気は、蒸留、ろ過、水の軟化、逆浸透、限外濾過、分子除去(molecular stripping)、脱イオン化、及び、炭素処理から選択される1以上の処理によって洗浄することができる。
【0048】
合成ガスのフィッシャー・トロプシュ転換、製造、及び、輸送のプロセスストリーム(process stream)に露出される反応器(反応炉)のライニング(lining)、チュービング(tubing)、及び、装置(equipment)は、アルカリ又はアルカリ土類金属の放出(giving off)に対する耐性の材料で構成され得る。反応器のライニングは、難溶性(refractory)又はセラミックライニングであっても良く、耐酸性スチール(acid proof steal)であっても良い。
【0049】
炭化水素製造プラントにおける合成ガスの合成ガスから炭化水素への転換、ならびに、合成ガスの製造及び輸送にかかわるプロセスストリームに露出される反応器、触媒、チュービング、又は、その他の装置の表面は、炭化水素製造のスタートアップ(start-up)の前に、上記表面からアルカリ又はアルカリ土類金属物質を除去することで綺麗にされ得る(即ち、洗浄され得る)。スチーム又は水も、上記表面の洗浄に使用され得る。
【発明の効果】
【0050】
本発明は、アルカリ土類金属、特にカルシウム中毒または毒性(poisoning)に対してより健全(robust)な触媒及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、シリーズA,B、及び、Cの触媒から得たデータをグラフにて示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、様々な方法で実施することができ、次の実施例をもってさらに詳細に説明される。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0053】
[触媒製造]
すべての触媒の製造において、高純度化学薬品や溶剤を使用した。
【0054】
<シリーズA>
シリーズAの触媒は、コバルトが完全に還元された、還元触媒に基づいて計算されたときに、名目上、20重量%のコバルト、0.5重量%のRe,及び、0〜1000ppmのCaを含む。XRP又はICPによって決定された実際の金属負荷(metal loading)は、10%まで可変し得る。例えば、20重量%負荷(名目)を有する触媒の場合、コバルトの実際の量は、総還元触媒重量の18〜22重量%の範囲で可変し得る。触媒は、 γ-Al23支持体(BET表面積=182 m2/g、細孔容積=0.73 cm3/g)に硝酸コバルト六水和物(cobalt nitrate hexahydrate)、過レニウム酸(perrhenic acid)、及び、硝酸カルシウム四水和物(calcium nitrate tetrahydrate)の水溶液を含浸させるワンステップ初期湿式共含浸によって製造された。
【0055】
新たに製造した触媒は、110℃の温度で3時間乾燥させた。乾燥中に、触媒は、最初の1時間においては、15分毎に、そして、次の2時間においては、30分毎に攪拌した。含浸及び乾燥後、試料を300℃で16時間焼成した。
【0056】
<シリーズB>
シリーズBの触媒は、コバルトが完全に還元された、還元触媒に基づいて計算されたときに、名目上、20重量%のコバルト、0.5重量%のRe,及び、0〜1000ppmのCaを含む。
【0057】
支持体は、γ- Al23支持体(BET表面積=182 m2/g、細孔容積=0.73 cm3/g)に 硝酸カルシウム四水和物(calcium nitrate tetrahydrate)の水溶液を含浸させるワンステップ初期湿式含浸によって製造された。その支持体を、110℃の温度で3時間乾燥させた。乾燥中に、触媒は、最初の1時間においては、15分毎に、そして、次の2時間においては、30分毎に攪拌した。含浸及び乾燥後、その改質支持体を900℃で10時間焼成した。
【0058】
触媒は、 Ca含有支持体(BET表面積=107m2/g、細孔容積=0.68 cm3/g)に硝酸コバルト六水和物(cobalt nitrate hexahydrate)、及び過レニウム酸(perrhenic acid)の水溶液を共含浸させるワンステップ初期湿式含浸によって製造された。その触媒を最終的に300℃の温度で16時間焼成させた。
【0059】
<シリーズC>
シリーズCの触媒は、コバルトが完全に還元された還元触媒(仮定)に基づいて計算されたときに、名目上、20重量%のコバルト、及び、0.5重量%のReを含む。また、その触媒は、アルミナ製造プロセスに由来した200又は700ppmのCaを含んでいた。
【0060】
触媒は、前記Ca含有支持体(BET表面積=107 m2/g、細孔容積=0.68 cm3/g)に硝酸コバルト六水和物(cobalt nitrate hexahydrate)、及び、過レニウム酸(perrhenic acid)の水溶液をte)の水溶液を含浸させるワンステップ初期湿式共含浸によって製造された。その支持体を、110℃の温度で3時間乾燥させた。乾燥中に、その支持体は、最初の1時間においては、15分毎に、そして、次の2時間においては、30分毎に攪拌した。その触媒を最終的に300℃の温度で16時間焼成した。
【0061】
<シリーズD>
シリーズDの触媒は、コバルトが完全に還元された還元触媒(仮定)に基づいて計算されたときに、名目上、20重量%のコバルト、0.5重量%のRe、及び、0又は500ppmのCaを含む。触媒は、SiO2支持体に硝酸コバルト六水和物(cobalt nitrate hexahydrate)、過レニウム酸(perrhenic acid)、及び、硝酸カルシウム四水和物(calcium nitrate tetrahydrate)の水溶液を含浸させるワンステップ初期湿式共含浸によって製造された。そのプロセスは、含浸、乾燥、焼成についてシリーズAと同じであった。
【0062】
<シリーズE>
シリーズEの触媒は、コバルトが完全に還元された還元触媒(仮定)に基づいて計算されたときに、名目上、12重量%のコバルト、0.3重量%のRe、及び、0又は400ppmのCa又はMgを含む。この触媒支持体は、最初のγ-アルミナ支持体上での硝酸ニッケル水和物(nickel nitrate hydrate)のワンステップ初期湿式含浸、乾燥、及び400〜500℃に保持温度(hold temperature)での焼成によって、アルミナ上の酸化ニッケル中の支持体(support in nickel oxide on alumina form)を生じさせることで製造される実質的なNi−スピネルであった。この酸化物支持体を、その後、回転式か焼炉で1000〜1200℃にて10〜30分間高温処理して、改質支持体を得た。分析によれば、Ca含有量は29ppmで、Mg含有量は18ppmであった。400ppm以外の少量は、含浸によって後ほど導入されたものである。改質支持体では、その細孔容積が0.23ml/gであり、その表面積が、50m2/gである。
【0063】
触媒は、水溶液中のコバルト及びレニウム塩の共含浸、乾燥、及び、焼成を経て酸化物形態の触媒を得ることで製造された。その後、この酸化物触媒に対し、硝酸塩の水性初期湿式含浸、及び、110℃での3時間の乾燥を行うことで、Ca又はMgを意図的に加えた。乾燥中、支持体は、最初の1時間においては、15分毎に、そして、次の2時間においては、30分毎に攪拌した。Mg又はCaドープ触媒を最終的に300℃の温度で16時間焼成した。
【0064】
[水素化学吸着]
水素吸着等温線(hydrogen adsorption isotherm)は、40℃のMicromeritics ASAP 2010ユニット上で記録した。そのサンプルを、350℃の流動水素(flowing hydrogen)で16時in situにて還元させた。その温度は、周囲温度から350℃まで1K/分で増加させた。吸着等温線は、圧力間隔(区間)20〜510 mmHgにおいて記録された。化学吸着水素の量は、ゼロ圧力にこの等温線の直線部分を外挿することにより算出した。コバルト表面積を計算するために、2つのコバルト部位(site)が1つの水素分子で覆われていて、一つのコバルト原子の面積(area)が6.62-10-222であると仮定した。
【0065】
[触媒試験]
固定床試験(fixed bed testing)は、4つの並列の固定床反応器を使用して研究室単位で行われた。53〜90ミクロンのサイズ画分の触媒粒子1gを、不活性SiC20gと混合した。水素及びCOの混合物(2:1)を加える前に、水素中in situ還元(350℃、16時間)を行った。210℃及び20バールの総圧力のストリーム上で20時間後、空間速度(space velocity)を、100時間後に45〜50%の推定(予測)CO転換率(estimated conversion level)を提供するように調整した。反応において生じたストリームのレベルが触媒性能に重大な影響を及ぼすため、同じ転換率における選択性及び活性(活量)の比較は非常に重要である。
【0066】
[結果]
<シリーズA>
シリーズAのフィッシャー・トロプシュ合成性能を表1に示す。この場合、Caは、これらの触媒に意図的に加えられ、そして、その結果は、カルシウムが加えられていない場合と比較される。カルシウムの量が増加するにつれて相対活量(relative activity)が減少する傾向は明らかである。1000ppm(0.1重量%)のCaを加えると、その活性(活量)は50%まで減少する。しかしながら、すべての触媒に対してex situにて測定されたコバルト表面積(m2/g)は、実験誤差内において、類似する。Caは触媒の相対活量に影響を与えるだけでなく、 C5+選択性(selectivity)にも影響を与える(表1参照)。Caを加えると、 C5+選択性が減少する。したがって、Caは、活量及び選択性の両方に対して望ましくない効果をもたらす。表1は、シリーズAの触媒の特性及び触媒データを示す。すべての触媒は、20重量%のCo,0.5重量%のRe,及び、0〜1000ppmのCaを含んだ。Caは、コバルト及びレニウムと共含浸された。
【0067】
【表1】

【0068】
上述したように、カルシウムはメイクアップ合成ガス中の不純物に由来し得、その不純物の堆積(deposition)が触媒性能に悪影響を及ぼすことは明らかである。表2では、操作(動作)が10000時間(即ち、触媒交換まで総20000時間)を上回り、生産性(productivity)が1.0kgHC/kg(触媒)であり、そして、合成ガス中に存在するすべてのカルシウムが触媒によってピックアップされることを想定(仮定)した。表2によれば、合成ガス中50 ppbのCa濃度は活性を50%まで減少させる。表2は、シリーズAの触媒の特性及び触媒データを示す。カルシウムは合成ガスからピックアップされることを想定する。すべては20重量%のCo、及び、0.5重量%のレニウムを含む。
【0069】
【表2】

【0070】
<シリーズB>
表3は、シリーズBの触媒の触媒のデータを示す。これらの触媒においては、カルシウムが支持体に加えられた。γ-Αl2Ο3支持体にカルシウム前駆体溶液を含浸させた後、サンプルを乾燥させ、その後、1173Kにて10時間焼成した。したがって、ほとんどのカルシウムは、おそらくアルミン酸カルシウム(calcium aluminate) として存在している。しかし、シリーズAの触媒と同様、カルシウムは、触媒活性に有害な影響を及ぼす。 Caが加わると、C5+選択性が減少する。表3は、シリーズBの触媒の特性及び触媒データを示す。すべての触媒は、20重量%のCo,0.5重量%のRe,及び、0〜1000ppmのCaを含んだ。Caは、支持体に加えられた。
【0071】
【表3】

【0072】
<シリーズC>
シリーズCの触媒のカルシウム成分(含有量)は、その製造工程に由来する。したがって、これらの触媒に外部からのCaは加えられていない。シリーズA及びBと同様に、カルシウム濃度が増加するにつれて、活量及びC5+選択性が減少する(表4参照)。表4は、シリーズCの触媒の特性及び触媒データを示す。すべての触媒は、20重量%のCo,0.5重量%のRe,及び、0〜700ppmのCaを含んだ。Caは、アルミナに200及び700ppm(レベル)内在していたもので、その結果をアルミナにCaが存在しない場合と比較した。
【0073】
【表4】

【0074】
図1のダイヤグラムは、シリーズA〜Cの触媒について得られたデータをグラフにて示すもので、テストされた触媒中カルシウムの濃度が増加するにつれて触媒活量がどのように減少するのかを表す。テスト結果のC1シリーズにおけるC1シリーズ触媒(Ca濃度:200ppm)について得られた同等な低活量値は、触媒支持体中カルシウム固有の分散、及び、その他の不純物の未知の特性及び濃度に基づく可能性がある。
【0075】
<シリーズD>
シリーズDの触媒のTF合成性能を表5に表す。Caは、シリカ支持体上におけるコバルト及びレニウムとの共含浸によって触媒に意図的に加えられ、そして、その結果は、カルシウムが加えられていない場合と比較した。これらの触媒について、カルシウム量が増加するにつれて相対活量は減少する。Caの添加は、C5+選択性を低下させた。しかし、表1及び5における500ppmのCaについての結果を比較すると、驚くべきことにアルミナはアルカリ土類、特にカルシウムの毒性(poisoning)に対してより健全(robust)である。したがって、アルミナは、シリカよりもより望ましい支持体材料である。
【0076】
表5は、シリーDの触媒の特性及び触媒データを示す。すべての触媒は、20重量%のCo、0.5重量%のRe、及び、0〜500ppmのCaを含んだ。Caは、シリカ支持体上でコバルト及びレニウムと共含浸された。
【0077】
【表5】

【0078】
<シリーズE>
シリーズEの触媒のフィッシャー・トロプシュ合成性能を表6に表す。支持体は実質的にNi-スピネルであり、触媒は、水溶液中のコバルト及びレニウム塩の共含浸、その後の乾燥及び焼成によって製造されて、酸化物形態の触媒を形成する。その後、その酸化物触媒に、含浸によってCa又はMgを意図的に加える。これらの触媒についても、カルシウム又はマグネシウムの量が増加するにつれて、相対活量は減少する。しかし、マグネシウムの場合は、その程度がより小さい。
【0079】
触媒に不純物元素を加えることは、マイクアップ合成ガスによって不純物が導入される場合と非常に似ている。参照までに、表2には、合成ガス中カルシウムが25ppb存在し、その後、触媒によってピックアップされる。表6は、シリーDの触媒の特性及び触媒データを示す。すべての触媒は、12重量%のCo、0.3重量%のRe、及び、0〜500ppmのCa又はMgを含んだ。後者は、酸化物触媒上に含浸された。
【0080】
【表6】

【0081】
カルシウムを触媒に毒として加える場合、カルシウムは、触媒の使用可能な表面上に分布されると考えられる。Co/Re/y-アルミナ触媒(500 ppmのCa)では、この面積が135m2/gであるのに対して、Co/Re/NiAL2O触媒では、その面積が46m2/gである。したがって、我々は、後者の触媒に対する毒性がより強いと予想する。例えば、135/46 = 2.9倍強い。しかし、Co/Re/y-アルミナ上の500ppmのCaの効果は、Re/NiAL204上の400ppmのCaについての41%の活性(活量)減少に対して、37%の活性(活量)減少である。つまり、両者は、それほど差はない。したがって、我々は、スピネル支持体を有する触媒が、所定の表面積についての毒性に対してより健全であると結論付けた。総表面積の差異に代わって、2つの触媒に対しコバルト負荷20%対12%、又は、コバルト表面積の差異を採用しても同じことが言える。スピネル触媒はCo負荷(量)あたりカルシウム毒性(calcium poisoning)に対してより健全である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1000ppm未満のアルカリ土類金属含有量を有する、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、炭素質材料、及び、これらの混合物から選択される、多孔質の最初の支持体材料を用意するステップと、
前記最初の支持体材料に、最終的な触媒において1000ppm未満の更なるアルカリ土類金属含有量を与えるコバルト源を含浸させる含浸ステップと、
少なくとも200℃の温度で前記含浸させた支持体材料を熱処理して、コバルト酸化物触媒を得る熱処理ステップと、を含み、そして、
前記最終的な触媒は2000ppm未満のアルカリ土類金属含有量を有する、フィッシャー・トロプシュ合成反応用触媒の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理ステップが、200〜600℃の温度での焼成ステップである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理ステップの前に、前記含浸させた支持体材料を、100℃以上の温度で乾燥させる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理ステップが、複数のステップにて行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記支持体材料が、任意の非晶質、または、結晶形、必要に応じて改質された形態の、カーボンナノファイバー及びチューブを含んだ様々な形態の炭素、その混合物、及び、その反応性生物であり、又は、必要に応じてバインダーを含むその他の支持体材料と混合されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記支持体材料が、γ-アルミナ、任意の遷移アルミナ、α‐アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウムまたはそれらの混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記支持体材料が、アルミナで、沈殿法又はアルコキシドルートによって製造される、請求項1〜4、又は、6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記支持体材料が、γ-アルミナで、400〜800℃の温度に加熱することによって製造される、請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記最初の支持体材料が、500ppm未満のアルカリ土類金属含有量を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記最初の支持体材料が、5〜1000ppm、好ましくは、10〜500ppm、より好ましくは、10〜200ppmのアルカリ土類金属含有量を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記アルカリ土類金属が、カルシウム又はマグネシウムである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記最初の支持体材料に安定剤を含ませる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記安定剤が、ランタンである、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記含浸ステップが、初期湿式含浸を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記初期湿式含浸では、前記多孔質の細孔が満たされるまでにコバルト金属化合物の水溶液を前記支持体材料と混合させ、その後、焼成前に、前記含浸させた支持体材料を乾燥させる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記含浸に使用される水溶液の量が、前記触媒支持体の測定された細孔容積の0.05〜2倍である、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記コバルト源が、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルト(ヘキサ)アミン塩、及び、有機コバルト化合物から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
使用される水が、蒸留水または脱イオン水である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記最初のアルミナ支持体材料にプロモーターを含浸または共含浸させる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記プロモーターが、白金またはレニウムを含む、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記酸化物触媒中の前記プロモーターが、白金で、0.001〜0.5重量%、好ましくは、0.01〜0.1重量%存在する、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記酸化物触媒中の前記プロモーターが、レニウムで、0.01〜5重量%、好ましくは、0.1〜1.0重量%存在する、請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
前記プロモーターがレニウムであり、レニウム源が、過レニウム酸(HReO4)、過レニウム酸アンモニウム、レニウムハロゲン化物、および、レニウムカルボニルから選択される、請求項20に記載の製造方法。
【請求項24】
前記含浸させた支持体材料を、80〜120℃の温度で乾燥させる、請求項14〜18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項25】
前記コバルトと前記プロモーターを含浸させるステップによって、アルカリ土類金属含有量1000ppm未満の前記コバルト酸化物触媒を得る、請求項19〜24のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項26】
前記コバルトと前記プロモーターを含浸させるステップによって、アルカリ土類金属含有量5〜1000ppm、好ましくは、10〜500ppm、より好ましくは、10〜200ppmの前記コバルト酸化物触媒を得る、請求項19〜25のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項27】
前記焼成ステップの後、前記アルミナ支持触媒材料を活性化する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項28】
前記活性化ステップが、前記触媒活性金属化合物の実質的な部分を金属に還元させることを含み、かつ水素および/または一酸化炭素のような還元性ガス、必要に応じて、不活性ガスと混合された前記還元性ガスで前記触媒材料を処理することによって行う、請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
前記還元を、250〜500℃、好ましくは、300〜450℃の活性化温度にて行う、請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記支持体にコバルト源を含浸させる前に、前記支持体材料とスピネルを形成するように、前記支持体材料を、スピネルを形成できる二価金属で処理することによって改質する、請求項1〜29のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項31】
前記多孔質支持体材料を、二価金属処理によって改質し、そして、前記コバルト含浸ステップの前に、前記改質支持体材料が80 m2/g未満、好ましくは、30〜70m2/gの比表面積を有する、請求項1〜30のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項32】
前記多孔質支持体材料を、二価金属処理によって改質し、そして、前記コバルト含浸ステップの前に、前記改質支持体材料が0.5ml/g未満の細孔容積を有する、請求項1〜31のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項33】
前記二価金属が、ニッケル若しくは亜鉛、又は、その混合物である、請求項30〜32のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項34】
ニッケル源が、硝酸ニッケルであり、及び/又は、亜鉛源が、硝酸亜鉛である、請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記二価金属を、溶媒を用いる1以上の含浸ステップにおいて用意し、そして、前記含浸ステップを経た前記コバルト酸化物触媒が、500ppm未満のアルカリ土類金属含有量を有する、請求項30〜34のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項36】
前記二価金属を、溶媒を用いる1以上の含浸ステップにおいて用意し、そして、前記含浸ステップを経た前記コバルト酸化物触媒が、5〜500ppm、好ましくは、5〜300ppm、より好ましくは、5〜100ppmのアルカリ土類金属含有量を有する、請求項35に記載の製造方法。
【請求項37】
前記溶媒が、蒸留水または脱イオン水である、請求項35又は36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記含浸ステップが、初期湿式処理を含む、請求項35〜37のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項39】
前記含浸ステップが、沈殿/堆積ステップを含む、請求項35〜37のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項40】
前記二価金属を前記支持体材料に組み込ませてスピネルを形成し、それによって、改質支持体材料を形成する、請求項30〜40のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項41】
前記支持体材料を、液体ビヒクル中の前駆体懸濁液として分散させ、前記支持体前駆体とスピネル化合物を形成できる二価金属源を前記液体に加え、そして、前記支持体材料前駆体を、前記二価金属源を組み込ませた多孔質固体粒子に形成して、改質支持体材料を生成する、請求項40に記載の製造方法。
【請求項42】
前記固体粒子を、噴霧乾燥によって生じさせる、請求項41に記載の製造方法。
【請求項43】
前記二価金属を組み込ませた前記支持体材料を洗浄し、乾燥し、そして、600℃までの温度で焼成し、それによって、前記二価金金属化合物を分解して二価金属酸化物を生成する、請求項30〜42のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項44】
前記改質支持体材料を600〜900℃の高温で焼成して、スピネル化合物を形成する、請求項43に記載の製造方法。
【請求項45】
前記改質支持体材料を900〜1400℃、好ましくは、950〜1100℃の高温で焼成して、前記材料を強化する、請求項43又は請求項44に記載の製造方法。
【請求項46】
前記改質支持体の生成によって、アルカリ土類金属含有量1000ppm未満のコバルト酸化物触媒を得る、請求項38〜45のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項47】
前記改質支持体の生成によって、アルカリ土類金属の含有量10〜1000ppm、好ましくは、20〜500ppmのコバルト酸化物触媒を得る、請求項46に記載の製造方法。
【請求項48】
請求項1〜47のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたフィッシャー・トロプシュ合成用触媒であって、多孔質支持体材料と、コバルトがコバルト金属に完全に還元されたと考えたときの前記触媒全体の重量に対する活性コバルト含量5〜60重量%と、含有量1000ppm未満のアルカリ土類金属と、を含む触媒。
【請求項49】
前記支持体材料が、ニッケルアルミナスピネルのようなアルミナスピネルを含ませることによって改質され得るγ-アルミナである、請求項48に記載の触媒。
【請求項50】
前記触媒が安定剤としてランタンを含み、前記ランタンの含量は、前記触媒の重量の3%以下である、請求項48又は49に記載の触媒。
【請求項51】
前記コバルトの含量が10〜30重量%である、請求項48〜50のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項52】
前記触媒が、プロモーターとしてレニウムをさらに含み、そして、前記プロモーターの含量が、前記触媒の重量の0.01〜5重量%である、請求項48〜51のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項53】
前記触媒が、0.2ml/g以上の細孔容積、及び/又は、20m2/g以上の比表面積を有する、請求項48〜52のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項54】
反応器内で支持されたCo系触媒の存在下でH2及びCOガスをフィッシャー・トロプシュ合成反応に供することを含む炭化水素の製造方法であって、H2及びCOを含むメイクアップ合成ガスを前記合成反応に導入し、そして、前記メイクアップ合成ガスは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を100ppb未満含有する、製造方法。
【請求項55】
前記メイクアップ合成ガス中アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有量が、0.1〜100ppb、好ましくは、0.5〜50ppb、より好ましくは、0.5〜20ppbである、請求項54に記載の製造方法。
【請求項56】
前記アルカリ土類金属がカルシウムであり、及び/又は、アルカリ金属がナトリウムである、請求項54又は55に記載の製造方法。
【請求項57】
前記メイクアップ合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応に供する前に、前記メイクアップ合成ガスを、前記合成ガスストリームからアルカリ及びアルカリ土類金属成分を吸収するように配置された材料のガードベッドを通過させる、請求項54〜56のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項58】
前記ガードベッドが、金属酸化物で構成された、請求項57に記載の製造方法。
【請求項59】
前記金属酸化物が、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、又は、ゼオライトから選択される、請求項58に記載の製造方法。
【請求項60】
前記金属酸化物が、酸化マグネシウム又は酸化亜鉛である、請求項58に記載の製造方法。
【請求項61】
前記ガードベッド材料が、活性炭又は炭素ナノファイバ若しくはチューブから選択される、請求項57に記載の製造方法。
【請求項62】
前記ガードベッド材料が、金属酸化物材料上に支持された使用済み又は不活性化触媒で構成される、請求項58に記載の製造方法。
【請求項63】
前記金属酸化物材料が、アルミナ含有支持体である、請求項62に記載の製造方法。
【請求項64】
前記ガードベッド材料が、高比表面積を有する、請求項57〜63のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項65】
前記比表面積が、75m2/g超、好ましくは、150m2/g超である、請求項64に記載の製造方法。
【請求項66】
前記ガードベッド材料が、0.15 cm3/g超、好ましくは、0.3 cm3/g超の細孔容積を有する、請求項57〜65のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項67】
前記反応が、3相反応であり、前記3相反応における反応物は、ガス状であり、生成物は少なくとも部分的に液体であり、かつ、前記触媒は固体であり、そして、前記反応をスラリー気泡塔型反応器で行う、請求項54〜66に記載のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項68】
前記H2及びCOを前記反応器内のスラリーに供給し、前記スラリーは、H2及びCOの反応性生物を含む液体中に浮遊する触媒を含み、そして、前記触媒が、少なくとも部分的に、前記スラリーに供給された前記ガスの移動によって、前記スラリー中の浮遊状態を維持する、請求項67に記載の製造方法。
【請求項69】
前記反応の温度が、190〜250℃、好ましくは、200〜230℃であり、前記反応の圧力が、10〜60バール、好ましくは、15〜30バールである、請求項68に記載の製造方法。
【請求項70】
前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器に供給された前記ガスのH2/CO比が、1.1〜2.2、好ましくは、1.5〜1.95である、請求項54〜69のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項71】
前記反応器における表面ガス速度が、5〜60cm/s、好ましくは、20〜40cm/sである、請求項54〜70のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項72】
前記フィッシャー・トロプシュ合成反応の前記生成物を後処理に供し、そして、前記後処理が、脱ワックスおよび/またはハイドロ異性化および/またはハイドロクラッキングを含む、請求項54〜71のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項73】
前記触媒が、多孔質支持体材料と、コバルトがコバルト金属に完全に還元されたと考えたときの前記触媒全体の重量に対する活性コバルトの含量5〜60重量%と、含有量1000ppm未満のアルカリ土類金属と、を含む、請求項54〜72のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項74】
前記支持体材料が、ニッケルアルミナスピネルのようなアルミナスピネルを含ませることによって改質され得るγ-アルミナである、請求項73に記載の製造方法。
【請求項75】
前記触媒が、安定剤としてランタンを含み、前記ランタンの含有量が、前記触媒重量の3%以下である、請求項73又は74に記載の製造方法。
【請求項76】
前記触媒中前記コバルトの含量が10〜30重量%である、請求項73〜75のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項77】
前記触媒が、プロモーターとしてレニウムをさらに含み、そして、前記プロモーターの含量が、前記触媒重量の0.01〜5重量%である、請求項73〜76のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項78】
前記触媒が、0.2ml/g以上の細孔容積、及び/又は、20m2/g以上の比表面積を有する、請求項73〜77のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項79】
反応器内に請求項1〜47のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された触媒の存在下でH2及びCOガスをフィッシャー・トロプシュ合成反応に供することを含む炭化水素の製造方法。
【請求項80】
2及びCOを含むメイクアップ合成ガスを前記合成反応に導入し、そして、前記メイクアップ合成ガスが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を100ppb未満含有する、請求項79に記載の製造方法。
【請求項81】
前記メイクアップ合成ガス中アルカリ金属又はアルカリ土類金属の含有量が、0.1〜100ppb、好ましくは、0.5〜50ppb、より好ましくは、0.5〜20ppbである、請求項79又は80に記載の製造方法。
【請求項82】
前記アルカリ土類金属がカルシウムであり、及び/又は、アルカリ金属がナトリウムである、請求項80又は81に記載の製造方法。
【請求項83】
前記メイクアップ合成ガスをフィッシャー・トロプシュ反応に供する前に、前記メイクアップ合成ガスを、前記合成ガスのストリームからアルカリ及びアルカリ土類金属成分を吸収するように配置された材料のガードベッドを通過させる、請求項80〜82のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項84】
前記反応が、3相反応であり、前記3相反応における反応物は、ガス状であり、生成物は少なくとも部分的に液体であり、かつ、前記触媒は固体であり、そして前記反応をスラリー気泡塔型反応器で行う、請求項79〜83に記載のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項85】
前記H2及びCOを前記反応器内のスラリーに供給し、前記スラリーは、H2及びCOの反応性生物を含む液体中に浮遊する触媒を含み、そして、前記触媒が、少なくとも部分的に、前記スラリーに供給された前記ガスの移動によって、前記スラリー中の浮遊状態を維持する、請求項84に記載の製造方法。
【請求項86】
前記反応の温度が、190〜250℃、好ましくは、200〜230℃であり、前記反応の圧力が、10〜60バール、好ましくは、15〜30バールである、請求項85に記載の製造方法。
【請求項87】
前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器に供給された前記ガスのH2/CO比が、1.1〜2.2、好ましくは、1.5〜1.95である、請求項79〜86のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項88】
前記反応器における表面ガス速度が、5〜60cm/s、好ましくは、20〜40cm/sである、請求項79〜87のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項89】
前記フィッシャー・トロプシュ合成反応の前記生成物を後処理に供し、そして、前記後処理が、脱ワックスおよび/またはハイドロ異性化および/またはハイドロクラッキングを含む、請求項79〜88のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項90】
前記合成ガス中前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の含有量を、低濃度のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する供給源を使用することによって、制御する、請求項54〜89のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項91】
前記合成ガスの製造における反応物として水又はスチームを導入又は再導入し、そして、蒸留、ろ過、水の軟化、逆浸透、限外濾過、分子除去、脱イオン化、及び、炭素処理から選択される1以上の処理を用いて前記反応物を洗浄する、請求項90に記載の製造方法。
【請求項92】
前記合成ガスのフィッシャー・トロプシュ転換、製造、及び輸送のプロセスストリームに露出される反応器のライニング、チュービング、及び装置が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の放出に対する耐性の材料で構成される、請求項54〜91のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項93】
前記ライニングが、難溶性又はセラミックライニングである、請求項92に記載の製造方法。
【請求項94】
炭化水素製造プラントにおける合成ガスから炭化水素への転換、ならびに、合成ガスの製造及び輸送にかかわるプロセスストリームに露出される反応器、触媒、チュービング、又は、その他の装置の表面を、炭化水素製造を開始する前に、前記表面からアルカリ又はアルカリ土類金属物質を除去することによって、洗浄する、請求項54〜93のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項95】
スチーム又は水を、前記表面の洗浄のために使用する、請求項54〜94のいずれか一項に記載の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−511383(P2013−511383A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539402(P2012−539402)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002111
【国際公開番号】WO2011/061484
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(511119709)ジーティーエル.エフワン アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】