説明

フィルター絞り一体装置

【課題】 長期の使用においても赤外線遮断フィルターのスムーズな切り替え動作を維持することが可能なフィルター絞り一体装置の提供。
【解決手段】 少なくとも2枚以上の絞り羽根の重ね合わせにより撮影装置の撮像部に入射する光量を調節可能な一組の絞り部材、及び、撮影装置の撮像部への赤外線の入射及び遮断を切替え可能に配置された赤外線遮断フィルター部材を有し、該絞り部材と、該フィルター部材の間に、撮影装置の撮像部に対応する開口を有する金属製の仕切り部材が介在するフィルター絞り一体装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に入射する光量を調節する絞りと、赤外線を遮断する切替え可能なフィルターを備えた、フィルター絞り一体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
24時間昼夜連続撮影用監視カメラレンズの多くは、夜間等の十分に光量が得られない状況下でも撮影を可能とするため、撮影像部に入射する赤外線を利用して造影可能なように設計されている。一方、このような24時間昼夜連続撮影用監視レンズカメラでは、昼間は、画像の鮮明度を確保するため、入射する光量を制限する必要があり、赤外線の入射を遮断するように設計されている。かかる入射赤外線の遮断には、赤外線遮断フィルターを、監視カメラの鏡胴部分の撮像部に対応する開口に移動させて赤外線の入射及び遮断を切り替え可能に配置した機構が報告されている。さらに、このような赤外線入射遮断切替え機構が光量を調節する絞り機構と一体になってコンパクト化された、フィルター絞り一体装置などが報告されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、従来技術に係るフィルター絞り一体装置では、赤外線遮断フィルターの切替え回数が数千回程度以上に達すると、フィルターの切り替え配置が不能となる問題が生じ、その原因は不明であった。
【0004】
【特許文献1】特開2003-348398
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、長期の使用においても赤外線遮断フィルターのスムーズな切り替え動作を維持することが可能なフィルター絞り一体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、従来技術に係るフィルター絞り一体装置では、樹脂製の絞り羽根と、同様に樹脂製の赤外線遮断フィルターが、非常に近接された状態で配置されているので、赤外線遮断フィルターの切替え移動に伴い、絞り羽根と赤外線遮断フィルターとの間に静電気が生じ、該静電気の帯電による該フィルターと絞り羽根の密着が、上記フィルターの切替え不全の要因であることを見出した。さらに、本願発明者らは、更なる研究の結果、該絞り羽根と赤外線遮断フィルターの間に、金属製の仕切りを介在させることで、静電気の帯電を防止できることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、少なくとも2枚以上の絞り羽根の重ね合わせにより撮影装置の撮像部に入射する光量を調節可能な一組の絞り部材、及び、撮影装置の撮像部への赤外線の入射及び遮断を切替え可能に配置された赤外線遮断フィルター部材を有し、該絞り部材と、該フィルター部材の間に、撮影装置の撮像部に対応する開口を有する金属製の仕切り部材が介在するフィルター絞り一体装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、赤外線フィルターのスムーズな切替え動作を維持し、長期間の使用に耐えうるフィルター絞り一体装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る赤外線遮断フィルター絞り一体装置は、前述の通り、少なくとも2枚以上の絞り羽根の重ね合わせにより撮影装置の撮像部に入射する光量を調節可能な一組の絞り部材、及び、撮影装置の撮像部への赤外線の入射及び遮断を切替え可能に配置された赤外線遮断フィルター部材を有し、該絞り部材と、フィルター部材の間に、撮影装置の撮像部に対応する開口を有する金属製の仕切り部材が介在することで、前記絞り羽根と前記フィルター間の摩擦を回避させると共に、仕切り部材の金属原子に含まれる自由電子が静電気の帯電を防止し、該フィルターのスムーズな切替え動作を長期間にわたり維持するように設計されている。
【0010】
本発明に係るフィルター絞り一体装置は、監視カメラなどの撮影装置の鏡胴に取り付けて使用されることを意図する。撮影装置の鏡胴には、通常、フィルター絞り一体装置の取付け用の開口が設けられており、そのような開口への取り付けの容易性の観点から、本発明のフィルター絞り一体装置を構成する絞り部材、赤外線遮断フィルター部材及び仕切り部材は、撮影装置の撮像部に対応する開口を有するカセットに格納されていることが好ましい。
【0011】
また、撮影装置の鏡胴に設けられた、取付け用の開口は、多くの場合、一定の寸法に規格化されている。従って、本発明に係るフィルター絞り一体装置の寸法も一定の範囲内に収まる必要があり、絞り羽根と赤外線遮断フィルターの間に前記金属製の仕切り部材を介在させることにより、フィルター絞り一体装置全体の厚みが増すことは好ましくない。従って、前記仕切り部材は、薄く設計されていることが好ましく、特に、0.4mm以下であることが好ましい。また、薄く設計されても一定の強度が要求される点から、前記金属はステンレスであることが好ましい。
【0012】
従来のフィルター絞り一体装置には、絞り羽根同士の間にフィルターが配置されたものも存在し、このような装置では、絞り羽根間に介在するフィルターの厚みが原因で、該絞り羽根同士の間に光軸方向に沿った光学的隙間が生じていた。該光学的隙間は、光軸方向に斜めに進む「斜め光」の干渉を誘引し、撮影画像の中心部と周縁部に明暗差をもたらすシェーディング効果を生じていた。これに対し、本発明に係るフィルター絞り一体装置では、絞り部材とフィルター部材が、仕切り部材により隔てられて互いに独立して存在しているので、光軸方向の絞り羽根同士の間隔を限界まで狭めることが可能であり、斜め光の干渉を抑制してシェーディング効果を低減させるという技術的優位性を有する。
【0013】
本発明に係るフィルター絞り一体装置に用いる絞り部材は、監視カメラ等の撮影装置に通常用いられる絞り部材であれば、特に限定されることはないが、光量の微細な調節を可能とするために、少なくとも2枚以上の絞り羽根の重ね合わせにより入射光量を調節することが好ましい。さらに、フィルター絞り一体装置全体のコンパクト化の観点から、前記絞り部材は、互いに逆方向へスライド移動する2枚の絞り羽根により構成されることが好ましい。さらにまた、前記絞り部材は、独立した駆動装置により駆動することが好ましい。該駆動装置は、絞り羽根の駆動に通常用いられる駆動装置であれば特に限定されないが、ヨークを介したスライド運動用の駆動装置として多用される、ガルバノメータが好ましい。
【0014】
本発明に係る赤外線遮断フィルター絞り一体装置に用いる赤外線遮断フィルターは、監視カメラ等の撮影装置に通常用いられる赤外線遮断フィルターであれば、特に限定されないが、耐久性の観点から、樹脂製の赤外線遮断フィルターが好ましい。また、該赤外線遮断フィルター部材は、前記絞り羽根用の駆動装置とは別個の独立した駆動装置により駆動することが好ましい。該駆動装置は、フィルターの配置切り替えに通常用いられる駆動装置であれば特に限定されないが、絞り羽根の配置切替えに多用される、ガルバノメータが好ましい。
【0015】
カメラレンズの鏡胴の組み立て工程おいて、絞り羽根及びフィルター用の駆動装置の電流供給用リード線を配線処理する際に、配線処理の方法によっては該リード線に強い張力が働く場合がある。この場合、従来技術に係るフィルター絞り一体装置では、該リード線に作用する張力により、該リード線が接続される駆動装置と、フィルター絞り一体装置本体との取付け安定性が乱され、該駆動装置の回転軸が所定の位置から離脱し、これに伴い該回転軸に結合したヨークのボスが、絞り羽根又は赤外線遮断フィルターの連結孔から外れてしまうという問題が生じていた。ヨークのボスが、連結孔から外れた場合、絞り部材及びフィルター部材は所定の機能を果たすことができなくなるため、そのようなフィルター絞り一体装置については、組み立てを最初から繰り返して修理するか、または、装置自体を破棄する必要があり、著しく生産性を低下させることになる。従って、本発明に係るフィルター絞り一体装置では、絞り羽根及びフィルターの駆動装置の電流供給用リード線に掛かる張力を緩衝する機能を有するフックを備えていることが好ましい。該リード線を束ねて、フックの凹部に収納することで、リード線に作用する張力が、該凹部を支点として該駆動装置を本体に密着させる力へと変換され、駆動装置の取付け安定性を維持することが可能となる。具体的な構造としては、該リード線が駆動装置に接続する部位(例えば、リード線をハンダ付けしたプリント基板等)に対し、フィルター絞り一体装置本体に近接した箇所に凹部を有するフックを設けることで、リード線に作用する張力を該駆動装置を本体に密着させる力に変換することができる。従って、本発明に係るフィルター絞り一体装置は、絞り羽根と、フィルター用の各駆動装置の電力供給用リード線を束ねて、フックの凹部に収納し、該凹部が、該各駆動装置のリード線接続部に対して装置本体に近接した箇所に設置されることにより、該リード線に作用する張力が、該凹部を支点として該駆動装置を装置本体に密着させる力に変換されるリード線処理用のフックを備えたフィルター絞り一体装置であることが好ましい。
【0016】
また、従来技術では、フィルター絞り一体装置は、鏡胴に設けられた光軸に直角なネジ穴に螺合するネジを介して該鏡胴に固定されていた。しかし、かかる取り付け方法では、該フィルター絞り一体装置と鏡胴の規格が十分に一致しない場合には、フィルター絞り一体装置が不安定に鏡胴に固定されることとなり、取付けネジの圧力により該鏡胴にひずみが生じることで撮影像の鮮明度が損なわれるという問題が生じていた。かかる安定性を欠いた取付けにより、直接鏡胴に不都合な力が作用するのを防止するため、本発明に係るフィルター絞り一体装置は、セットコマを介して鏡胴に固定されることが好ましい。
【0017】
通常、鏡胴には、入射光の光軸に対し直角なネジ穴が設けられている。フィルター絞り一体装置を鏡胴に固定するに当たり、直接鏡胴に不安定な力が作用するのを防ぐためには、本発明に係るフィルター絞り一体装置を鏡胴に固定する場合に、光軸に対し直角及び平行に設けられた2つのネジ穴を有するセットコマが、該セットコマ上の光軸に対し直角なネジ穴、及び、該鏡胴に設けられた光軸に対し直角なネジ穴と螺合するネジにより、該鏡胴に固定され、さらに、該セットコマ上の該光軸に対し平行なネジ穴及び該フィルター絞り一体装置上の光軸に対し平行なネジ穴と螺合するネジにより、該フィルター絞り一体装置が該セットコマに固定されることで、該セットコマを間に介して間接的に該鏡胴に固定されることが好ましい。
【0018】
このようにしてフィルター絞り一体装置が鏡胴に間接的に固定された場合、該フィルター絞り一体装置の取り付けを支持するネジの圧力は、該フィルター絞り一体装置と、セットコマ上に設けられた光軸に平行なネジ穴に作用する。一方、セットコマの鏡胴への取り付けにより、鏡胴上の光軸に対し直角なネジ穴にもネジによる圧力は加わるが、前記フィルター絞り一体装置と、該鏡胴の規格差を埋める適切な寸法のセットコマを選択することで、鏡胴にかかるネジの圧力は当初設計の想定する範囲内で作用することとなり、規格の合わないフィルター絞り一体装置の固定によるひずみを防止することが可能となる。
【0019】
さらにまた、フィルター絞り一体装置を鏡胴に固定する際に、本発明に係るフィルター絞り一体装置と鏡胴の規格が一致しない場合は、該フィルター絞り一体装置に設けられた撮影装置の撮像部に対応する開口の中心と、該鏡胴内空の中心を、入射光の光軸に平行な一直線上に配置することが困難となる。しかしながら、適切な寸法のセットコマ、及び、必要によっては調節部材を介することにより、前記フィルター絞り一体装置と鏡胴内空の中心を、容易に入射光の光軸に平行な一直線上に配置することが可能となる。かかるセットコマを介して固定されることにより、本発明に係るフィルター絞り一体装置は、企画が一致しない鏡胴にも用意に安定した取り付けが可能となり、該フィルター絞り一体装置の汎用性をより一層高めることとなる。
【0020】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1に本発明に係るフィルター絞り一体装置の一具体例を示す。図1のフィルター絞り一体装置では、ケース9及びケース23からなるカセットの内部に、絞り羽根12及び15からなる一組の絞り部材、赤外線遮断フィルター部材21、及び該絞り部材とフィルター部材の間に介在する仕切り部材18が収納されている。ケース9及びケース23は、それぞれ撮影装置の撮像部に対応する開口10及び24を有する。前記絞り羽根12及び15は、絞り羽根用のガルバノメータ5により駆動される。ガルバノメータ5の回転軸7がヨーク11に連結され、さらにヨーク11上の2つのボスのうち1つのボスが、絞り羽根12の連結孔13に連結し、さらに、他方のボスが、絞り羽根15の連結孔16と連結する。絞り羽根12及び15には、それぞれスライド運動用の溝14及び17が設けてあり、溝14及び17はケース9上のスライド用ボスに連結する。従って、リード線1からの電流供給によりガルバノメータ5の回転軸7が回転し、該回転軸7と結合したヨーク11の回転運動を、絞り羽根12及び15の互いに逆方向かつケース9及び23からなるカセットの長手方向に沿ったスライド運動へと変換することを可能としている。
【0022】
前記絞り羽根12及び15からなる絞り部材と、赤外線遮断フィルター部材21の間には、撮影装置の撮像部に対応する開口19を有するステンレス製の仕切り部材18が介在する。従って、前記赤外線遮断フィルター部材21は、絞り羽根12及び15のいずれとも物理的に接触することがない。前記赤外線遮断フィルター21は、ガルバノメータ6により、駆動される。ガルバノメータ6の回転軸8はヨーク20に連結され、さらにヨーク20上のボスが、赤外線遮断フィルター21の連結孔22に連結する。従って、リード線2からの電流供給によりガルバノメータ6の回転軸8が回転し、該回転軸8と結合したヨーク20の回転運動により、赤外線遮断フィルター21の位置を切替えて撮影装置の撮像部に対応する開口24へ配置し、撮影装置の撮像部への赤外線の入射及び遮断を切替えを可能とする。
【実施例2】
【0023】
赤外線遮断フィルターのスムーズな切り替え動作性維持の確認実験
市販の赤外線遮断-BCDNレンズに、2枚の絞り羽根間に赤外線遮断フィルターを有する従来技術に係るフィルター絞り一体装置、又は上記実施例1に示すフィルター絞り一体装置をそれぞれ装着し、市販の赤外線遮断フィルターIn/Out切り替え治具を用いて、1.5秒間の直流4ボルト(V)の入力により赤外線遮断フィルターの切替え動作を行なった。駆動装置としてのガルバノが垂直位置に移動した回数を数えた。結果を下記表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
表1に示すように、従来技術に係るフィルター絞り一体装置では100回前後で赤外線遮断フィルターのスムーズな切替え動作性を失ったが、実施例1に示すフィルター絞り一体装置の場合には、5回の反復テストの全てにおいて5000回以上に亘るスムーズな切替え動作性の維持が実験的に証明された。赤外線遮断フィルターは1日に1回切替えられるので、実施例1に示す装置では、実に13年以上の使用に耐えうることが見込まれる。
【実施例3】
【0026】
本願発明によるシェーディング抑制の効果
2枚の絞り羽根間に赤外線遮断フィルターを有する従来技術に係るフィルター絞り一体装置、又は上記実施例1に示すフィルター絞り一体装置をそれぞれ備えた市販のカメラに、CCDカメラ用の市販の赤外線遮断-BCDNレンズを取り付けてシェーディング効果を比較検討した。CCTVモニターである市販の高分解能モニター及び波形モニターである市販の電子波形モニター用いて、シェーディング効果の測定を行なった。測定の結果、従来技術に係るフィルター絞り一体装置を備えたカメラでは、約28%(約200mVの電圧差)のシェーディングが生じていたが、実施例1に示すフィルター絞り一体装置を備えたカメラでは、約14%(100mV未満の電圧差)のシェーディングに収まっており、本願発明によるシェーディング効果の大幅な改善が実験的に証明された。従って、本発明に係るフィルター絞り一体装置を用いた場合では、シェーディングの発生が十分に抑制されることが証明された。
【実施例4】
【0027】
図2は、前記ガルバノメータ5及び6の電流供給用リード線1及び2を束ねて、フック25の凹部に収納し、該凹部を支点とし、リード線1及び2に作用する張力(黒矢印)が、該ガルバノメータ5及び6をフィルター絞り一体装置の本体に密着させる力(白抜き矢印)として働くように設計されたリード線処理用のフック25を備えたフィルター絞り一体装置が、鏡胴26に取り付けられた状態を示す。フック25では、リード線1及び2に作用する張力(黒矢印)が、フック25の凹部を支点として、該ガルバノメータ5及び6をフィルター絞り一体装置の本体に密着させる力(白抜き矢印)に変換されるように、該フック25の凹部が、リード線1及び2がそれぞれガルバノメータ5及び6に結合する部位、即ち、プリント基板3及び4に対し、ケース9及びケース23からなるカセット本体に近接して配置されている。
【実施例5】
【0028】
図3には、本発明に係るフィルター絞り一体装置を鏡胴に取り付けるためのセットコマ29が図示される。鏡胴26には、光軸37に対し直角なネジ穴28が設けられており、セットコマ29は、該ネジ穴28、及び、セットコマ29上に光軸37に対し直角に設けられたネジ穴30に螺合するネジ34により鏡胴26に固定される。フィルター絞り一体装置には、光軸37と平行なネジ穴35が設けられており、該ネジ穴35、及び、セットコマ29上に光軸37と平行に設けられたネジ穴31に螺合するネジ33により、セットコマ29を介して、鏡胴26に固定される。鏡胴26上のフィルター絞り一体装置取付け部分と、フィルター絞り一体装置に隙間が生じる場合には、調節部材32により該隙間を埋めて、より頑強にフィルター絞り一体装置を鏡胴26に固定することが可能となる。セットコマ29を介してフィルター絞り一体装置を鏡胴26に固定した場合、フィルター絞り一体装置の固定は主に光軸37と平行なネジ33により支持されているので、フィルター絞り一体装置と鏡胴の規格が一致しない場合においても、鏡胴26に無理な圧力が加わることを防ぎ、鏡胴26を安定に維持することが可能となる。
【0029】
さらにまた、適切な寸法のセットコマ29、及び、必要によっては調節部材32を介することにより、フィルター絞り一体装置に設けられた撮影装置の撮像部に対応する開口の中心36と、鏡胴内空の中心27を、容易に光軸37に平行な一直線上に配置に配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るフィルター絞り一体装置の一具体例の分解図である。
【図2】駆動装置への電流提供用リード線を処理するフックを備えたフィルター絞り一体装置が鏡胴に格納された図である。
【図3】フィルター絞り一体装置がセットコマ及び調節部材を介して鏡胴に固定される様子を示す分解図である。
【符号の説明】
【0031】
1、2 電流供給用リード線
3、4 プリント基板
5、6 ガルバノメータ
7、8 回転軸
9 ケース
10 開口
11 ヨーク
12 絞り羽根
13 連結孔
14 溝
15 絞り羽根
16 連結孔
17 溝
18 仕切り部材
19 開口
20 ヨーク
21 赤外線遮断フィルター部材
22 連結孔
23 ケース
24 開口
25 フック
26 鏡胴
27 鏡胴内空の中心
28 ネジ穴
29 セットコマ
30、31 ネジ穴
32 調節部材
33、34 ネジ
35 ネジ穴
36 開口の中心
37 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚以上の絞り羽根の重ね合わせにより撮影装置の撮像部に入射する光量を調節可能な一組の絞り部材、及び、撮影装置の撮像部への赤外線の入射及び遮断を切替え可能に配置された赤外線遮断フィルター部材を有し、該絞り部材と、該フィルター部材の間に、撮影装置の撮像部に対応する開口を有する金属製の仕切り部材が介在するフィルター絞り一体装置。
【請求項2】
前記絞り部材、前記赤外線遮断フィルター部材、及び、前記仕切り部材が、撮影装置の撮像部に対応する開口を有するカセットに格納された、請求項1記載のフィルター絞り一体装置。
【請求項3】
前記仕切り部材が、厚さ0.4mm以内に設計されている請求項1又は2記載のフィルター絞り一体装置。
【請求項4】
前記金属が、ステンレスである請求項1乃至3のいずれか一項記載のフィルター絞り一体装置。
【請求項5】
前記絞り羽根と、前記フィルターが別個の独立した駆動装置により駆動する請求項1乃至4のいずれか一項記載のフィルター絞り一体装置。
【請求項6】
前記駆動装置が、ガルバノメータである請求項5記載のフィルター絞り一体装置。
【請求項7】
前記一組の絞り部材が、互いに逆方向へスライド移動する2枚の絞り羽根からなる請求項1乃至6のいずれか一項記載のフィルター絞り一体装置。
【請求項8】
前記絞り羽根と、フィルター用の各駆動装置の電力供給用リード線を束ねて、フックの凹部に収納し、該凹部が、該各駆動装置のリード線接続部に対して装置本体に近接した箇所に設置されることにより、該リード線に作用する張力が、該凹部を支点として該駆動装置を装置本体に密着させる力に変換されるリード線処理用のフックを備えた請求項5乃至7のいずれか一項のフィルター絞り一体装置。
【請求項9】
光軸に対し直角及び平行に設けられた2つのネジ穴を有するセットコマが、該セットコマ上の光軸に対し直角なネジ穴、及び、鏡胴に設けられた光軸に対し直角なネジ穴と螺合するネジにより、該鏡胴に固定され、さらに、該セットコマ上の該光軸に対し平行なネジ穴及び前記フィルター絞り一体装置上の光軸に対し平行なネジ穴と螺合するネジにより、該フィルター絞り一体装置が該セットコマに固定されることで、該セットコマを間に介して間接的に該鏡胴に固定される請求項1乃至8のいずれか一項記載のフィルター絞り一体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−169149(P2009−169149A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7790(P2008−7790)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(506022485)
【Fターム(参考)】