説明

フィルタ

【課題】空気に含まれる液滴等の異物をフィルタにより高い除去率で除去する。
【解決手段】このフィルタ10は空気に含まれる液滴等の異物を除去して空気を清浄化するために使用される。1次側ポート11と2次側ポート12が形成されたポートブロック13と分離筒体20とにより分離ユニット23が形成される。分離ユニット23には、回収容器27が取り付けられ、分離ユニット23の下端部に形成された排出口31から排出された液滴等は貯溜室30内に落下する。分離ユニット23の円錐部22には、分離室25と貯溜室30とを連通させる連通孔60が形成されており、分離室25と貯溜室30は均一な圧力に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧機器に供給される空気中の液滴や塵等の異物を除去するために使用されるフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧シリンダ等の空気圧機器には、配管やホース等の空圧ラインにより空気圧源から空気が供給される。空気圧源と空気圧機器との間を空圧ラインで接続することにより空気圧回路が形成される。空気圧源から空気圧機器に供給される空気を被処理空気としてその中に含まれる水滴、油滴および塵等の異物を除去するためにフィルタが空気圧回路に設けられている。
【0003】
空気圧回路に設けられるフィルタとしては、特許文献1に記載されるように、1次側ポートと2次側ポートが形成された本体ブロックつまりポートブロックと、これに取り付けられるフィルタエレメントとを有するタイプがある。フィルタエレメントは1次側ポートから流入した被処理空気に含まれる水滴等の液滴、粉粒体等の塵からなる異物を除去し、清浄化された空気を2次側ポートに流出する。フィルタエレメントにより除去された液滴等の異物を収容するために、ポートブロックにはフィルタボウルつまり回収容器が取り付けられる。
【0004】
空気圧回路に使用されるフィルタとしては、フィルタエレメントの通気孔の内径等により設定される異物除去性能に応じて、エアフィルタ、ミストフィルタ、マイクロミストフィルタと言われる形態がある。
【0005】
クーラント液に混入した異物を除去するために、液体を旋回させるようにしたフィルタが特許文献2に記載されている。このフィルタは液体を旋回させて液体と異物との比重差と遠心力の差により異物を除去するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−328364号公報
【特許文献2】特開2011−51055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
空気中に含まれる液滴や塵等の異物を除去するために、分離筒体内に空気を旋回させて空気と異物との遠心力の差を利用したフィルタにおいては、分離筒体の内周面に沿って異物を落下させる一方、異物が除去されて清浄化された空気は筒体の中心部に配置された排出管により外部に供給される。
【0008】
このように空気を旋回させて空気中に含まれる液滴等を回収容器に落下させるようにしたフィルタにおいては、液滴等の異物が分離筒体の内周面に案内されて筒体下端部の排出口から回収容器内に落下することになる。分離筒体の内周面を下端部に向けて内径が小さくなるようにした円錐形状とすると、特に、外部から供給される空気の中に多量の液滴が含まれている場合には、異物の除去効率が低下することがあった。
【0009】
その原因を追及したところ、円錐形の内周面に案内されて排出口の近傍にまで流下した液滴が相互に付着し合って架橋現象が発生する場合があることが判明した。つまり、2次側圧力が急激に下がるなどして、分離筒体内の分離室の圧力に比較して回収容器内の貯溜室の圧力が高くなった場合には、排出口付近の液滴が集合して膜状態となる。その水の膜には貯溜室の圧力により押し上げる力が働くので、落下することなく、液体により排出口が塞がれることになる。このような架橋現象が発生すると、液体が排出口から回収容器に自重で落下することなく、液体により排出口が塞がれ、排出管に向かう空気に混入して2次側ポートから排出されることになり、異物除去効率を低下させる原因となる。
【0010】
本発明の目的は、空気に含まれる液滴等の異物をフィルタにより高い除去率で除去し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のフィルタは、空気に含まれる液滴や塵等の異物を除去して空気を清浄化するフィルタであって、空気が供給される1次側ポート、前記1次側ポートから供給された空気を旋回流に変換する旋回流発生部、当該旋回流発生部に連通する分離室および当該分離室において異物が除去されて清浄化された空気を流出する2次側ポートが設けられた分離ユニットと、前記分離ユニットに取り付けられ、前記分離ユニットの下端部に形成された排出口から排出された異物を貯溜する貯溜室を有する回収容器と、前記旋回流発生部の中心部に配置され、清浄化された空気を前記2次側ポートに導く排出管とを有し、前記分離ユニットは前記排出口に向かうに従って内径が小さくなる円錐面が形成された円錐部を有し、前記分離室と前記貯溜室とを連通させる連通孔を前記円錐部に形成することを特徴とする。
【0012】
本発明のフィルタは、前記1次側ポートの中心軸に対して1次側ポートの位置を0度とした場合に連通孔を270度から90度の範囲に形成することを特徴とする。本発明のフィルタは、前記1次側ポートの中心軸に対して旋回流の旋回方向に0度から90度の範囲に前記連通孔を形成することを特徴とする。本発明のフィルタは、前記1次側ポートの中心軸に対して旋回流の旋回方向に45度の位置に前記連通孔を形成することを特徴とする。本発明のフィルタは、前記分離筒体の中心軸に対する前記円錐面の傾斜角度θを20〜30度とし、前記排出口の内径Dを6.5〜10.5mmとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分離ユニット内の分離室と回収容器内の貯溜室とを仕切る円錐部には、分離室と貯溜室とを連通させる連通孔が形成されているので、分離室と貯溜室の圧力が均一に保持されることになる。これにより、円錐部の内周面である円錐面に案内される液滴が集まって形成される凝縮液体は排出口を塞ぐように架橋されることがなく、排出口から貯溜室に自重で確実に落下することになる。したがって、排出管に向かう空気に凝縮液体が混入して2次側ポートに向かうことが防止されるので、異物の除去効率を高めることができる。
【0014】
本発明によれば、連通孔を2次側ポート寄りではなく、分離筒体の中心軸に対して1次側ポートの位置を0度とした場合に連通孔を270度から90度の範囲に設けることにより、凝縮液体つまりドレン液の除去効果をより高めることができる。さらに、分離筒体の中心軸に対して1次側ポートの位置を0度とした場合に連通孔を0度から90度の範囲に形成することがより望ましく、旋回方向に45度の位置に連通孔を形成することがさらに好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態であるフィルタを示す断面図である。
【図2】図1に示されたフィルタの上半分を示す拡大断面図である。
【図3】図1に示されたフィルタの下半分を示す拡大断面図である。
【図4】図1におけるA−A線断面図である。
【図5】図1におけるB−B線断面図である。
【図6】図1におけるC−C線断面図である。
【図7】図1におけるD−D線断面図である。
【図8】図1および図2に示された旋回流発生器を示す分解斜視図である。
【図9】フィルタを示す分解斜視図である。
【図10】図1におけるE−E線断面図である。
【図11】(A),(B)はそれぞれ連通孔の円周方向位置とドレイン除去量との関係を示す除去特性線図である。
【図12】回収容器と環状ロック部材を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の他の実施の形態であるフィルタの上半分を示す断面図である。
【図14】図13の斜視図である。
【図15】図12および図13に示された旋回流発生器を示す分解斜視図である。
【図16】(A)は本発明の他の実施の形態であるフィルタの分離ユニットを示す正面図であり、(B)は(A)の右側面図である。
【図17】図16(A)におけるF−F線断面図である。
【図18】図16に示した分離ユニットの断面図である。
【図19】図16〜図18に示した分離ユニットの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すようにフィルタ10は、1次側ポート11と2次側ポート12とが形成された金属製のポートブロック13を有している。1次側ポート11には図示しない配管等からなる1次側の空圧ラインが接続されるようになっており、この空圧ラインにより1次側ポート11には空気圧源からの空気が供給される。2次側ポート12には図示しない配管等からなる2次側の空圧ラインが接続されるようになっており、液滴等が除去されて清浄化された空気は、空圧ラインにより2次側ポートから外部の空気圧機器に供給される。1次側ポート11と2次側ポート12は、それぞれポートブロック13の反対側の側面に同軸となって開口している。それぞれのポートが開口されたポートブロック13の側面はほぼ平坦となっており、ポートブロック13は、図9に示されるように、全体的に立方体に近い形状となっている。
【0017】
ポートブロック13内には収容孔14が形成されており、1次側ポート11は収容孔14に連通されている。ポートブロック13の中心部には連通孔15が形成された支持部16が設けられており、支持部16と収容孔14との間の連通スペースを介して1次側ポート11に供給された空気が収容孔14の下方部に向けて流れることになる。
【0018】
ポートブロック13の下端部には円筒形状の雄ねじ部17が設けられている。この雄ねじ部17には樹脂製の分離筒体20が着脱自在に取り付けられ、分離筒体20の上端部には雄ねじ部17にねじ結合される雌ねじ部18が設けられている。分離筒体20は内径が一定となった円筒部21と、これの下方に連なって下端部に向かうに従って内径が小さくなる円錐部22とを有している。ポートブロック13とこれに取り付けられる分離筒体20とにより分離ユニット23が形成される。分離ユニット23の内部には上側の旋回流生成室24とこれに連通する下側の分離室25とが形成されている。図示する分離ユニット23は、ポートブロック13と分離筒体20とにより旋回流生成室24を形成するようにしているが、ポートブロック13により旋回流生成室24を形成し、分離筒体20により分離室25を形成するようにしても良く、分離筒体20に旋回流生成室24と分離室25とを形成するようにしても良い。
【0019】
分離筒体20の円錐部22には雄ねじ部26が設けられており、この雄ねじ部26の外径はポートブロック13の雄ねじ部17の外径と同一となっている。雄ねじ部26には回収容器27が着脱自在に取り付けられている。回収容器27は円筒部28aとこれと一体となった底壁部28bとを有しており、透明性を有する材料により形成されている。回収容器27の上端部には雄ねじ部26にねじ結合される雌ねじ部29が設けられている。この雌ねじ部29の内径は分離筒体20の円筒部21の雌ねじ部18の内径と同一となっている。回収容器27の内部は液体等の異物を収容する貯溜室30となっており、分離筒体20の下端部に形成された排出口31により分離筒体20の内部と貯溜室30は連通している。
【0020】
分離ユニット23の旋回流生成室24内には、樹脂製の旋回流発生器32が装着されている。旋回流発生部としての旋回流発生器32は、分離筒体20の円筒部21の内周面に嵌合される環状基部33を有している。この環状基部33にはブレード筒体部34が一体となっている。ブレード筒体部34は、図2および図4に示されるように、収容孔14の内周面つまり旋回流生成室24の内周面に沿って軸方向に延びる複数の翼つまりブレード35を有しており、ブレード35を相互に隙間36を介して円筒形状に配置して形成される。図4に示されるように、それぞれのブレード35は、ブレード筒体部34の内周面の接線に対して傾斜角を有している。このように傾斜角を設けることにより空気の流れは旋回流に変わる。しかも、ブレード35は全周にわたって多数が配置され、さらに軸方向長さを有しているので、ブレード筒体部34の径方向の厚み寸法が薄いにも拘わらず、低い圧力で効率的に旋回流を得ることができる。ブレード筒体部34は、21枚のブレード35により構成されている。それぞれのブレード35は、図4に示されるように、径方向内側部の肉厚が径方向外側部肉厚よりも薄く設定されており、それぞれのブレード相互間に形成される隙間36は、分離ユニット23の中心軸に沿って軸方向に延びるとともに、円周方向に傾斜している。
【0021】
連通孔15には排出管37が取り付けられており、排出管37の下端面はブレード筒体部34よりも下方にまで延び環状基部33の位置となっている。異物が分離されて清浄化された空気が排出管37により2次側ポート12に案内される。この排出管37には、排出管37とブレード筒体部34の上端部に配置される閉塞蓋部38が一体となっている。この閉塞蓋部38により、1次側ポート11から収容孔14内に流入した空気がブレード筒体部34の内部にブレード筒体部34の径方向内側から流入することが防止される。
【0022】
このように、旋回流発生器32は、全体的に円筒形状となったブレード筒体部34と、これの下端部に配置されて分離筒体20の円筒部21の内周面に嵌合される環状基部33と、ブレード筒体部34と排出管37の上端部に配置される閉塞蓋部38とにより形成されている。したがって、1次側ポート11から収容孔14内に供給された空気は、旋回流生成室24内に軸方向に流れ、ブレード筒体部34の上部外周面からブレード35間の隙間36内に流入する。それぞれの隙間36内に流入した空気は、ブレード35に案内されてブレード筒体部34内に向けて、接線方向に対して傾斜して噴出される。これにより、ブレード筒体部34の内部には空気の旋回流が生成され、旋回流は分離筒体20内の下側の分離室25内に向けて旋回しながら流入する。空気が旋回流となると、空気よりも比重が大きい液滴には空気よりも大きな遠心力が加わることになり、液滴は円錐部22の内周面に付着する。内周面に付着した液滴は排出口31から貯溜室30内に滴下される。
【0023】
上述のように、ブレード35を円筒状に配置して形成されるブレード筒体部34は、環状基部33と一体となっており、排出管37に一体となった閉塞蓋部38をブレード筒体部34の先端部内に嵌合させるようにしているが、ブレード筒体部34と閉塞蓋部38とを一体に形成し、ブレード筒体部34の下端面に環状基部33を突き当てるようにしても良い。また、排出管37と閉塞蓋部38と一体としているが、これらを別部材としても良い。
【0024】
図示するように、1次側ポート11から旋回流生成室24内に流入した空気は、旋回流発生器32に対して旋回流生成室24の外周部から軸方向に流入し、ブレード35により軸方向流は旋回流に変換生成される。21枚のブレード35が全周360度にわたって配置されているので、流入した空気は全周360度にわたって旋回力を与えられる。これにより、特許文献2のように分離筒体20の内周面に接線方向に給気ポートから空気を流す場合と比較して、分離筒体20の内径を大きくすることなく、効率的に高速の旋回流を生成することができる。したがって、旋回流を形成してその中に含まれる液滴を除去するためのフィルタを小型化することができる。
【0025】
分離筒体20は円筒部21とその下側の円錐部22とを有しており、旋回流発生器32により生成された旋回流は、円錐部22において遠心力の減衰を防ぐことができる。つまり、円錐部22を有していない内径が一定の分離筒体の場合では、旋回流発生器32の近くでは速い旋回流となっているのに対して、旋回流発生器32より遠く排出口31の近くでは遅い旋回流となる。そこで、排出口31に近づくにつれて旋回半径が小さくなるように分離筒体を円錐形状にすれば、旋回半径が小さくなるので旋回流は遅くなることがない。このように、円錐部22において遠心力の減衰を防ぐことができる。したがって、分離筒体20の全体を円筒形状とした形態に比して、下部を円錐形状とすると、液滴等の異物を内周面に付着させることによる異物の分離効率を高めることができる。異物が除去されて清浄化された空気は、旋回しながら上昇して排出管37内に流入し、2次側ポート12から外部に流出される。
【0026】
ブレード筒体部34の上端部の径方向内側には切欠き部39が形成されている。この切欠き部39の内径は図4に示すように閉塞蓋部38の下端部外径Rに対応しており、閉塞蓋部38は切欠き部39に嵌合される。このように、ブレード筒体部34の上端部内側には閉塞蓋部38が嵌合されているので、それぞれのブレード35が径方向内方に変形することが防止される。閉塞蓋部38の外周面のうちブレード筒体部34の上端面よりも上側の部分から支持部16までの間が上方に向けて小径となるようにテーパ面41となっている。したがって、1次側ポート11から旋回流生成室24内に流入した空気は、テーパ面41により径方向外方に案内されて閉塞蓋部38と収容孔14の間の隙間36からそれぞれのブレード35に沿って下方に流れながら、ブレード筒体部34の内周面に沿って流れて旋回流となる。
【0027】
閉塞蓋部38の下面42は、旋回流に含まれる液滴が下面42に付着しないように、閉塞蓋部38の中心軸に対して直角となって外周部から内周部に向けて平坦面となっている。これにより、閉塞蓋部38の外周から空気とともにブレード筒体部34の内部に流入した液滴は、下面42に付着した状態となることなく、旋回流とともに下方に流れることになる。実験によると、下面42を径方向外部から内部に向けて上向きの傾斜面としたところ、下面42に液滴が付着してしまった。また、下面に環状溝を形成したところ、環状溝の内部に液滴が取り込まれてしまい、液滴を円滑に落下させることができなかった。これに対し、図1および図2に示すように、中心軸に対して直角とするか、あるいは図2において二点鎖線42aで示すように下面42を径方向外部から中心部に向けて下方に傾斜させると、下面42に液滴が付着することを防止できた。
【0028】
収容孔14の内周面とブレード筒体部34の外周面との間には隙間43が形成されている。1次側ポート11から空気の内部に混入して旋回流生成室24内に流入した液滴の一部は、ブレード35と収容孔14の内周面との間の隙間43に案内されてブレード35の下端部にまで流れることになる。環状基部33の上面のうちブレード筒体部34の外径よりも外側の部分には、図2に示すように、径方向外方に向かうに従って下方に傾斜した液滴案内面44が形成されている。環状基部33の外周面には、図5に示されるように、複数の液体排出溝45が形成されており、液滴案内面44の最外周部にまで流れた液滴は、それぞれの液体排出溝45から分離筒体20の下部に案内される。一方、環状基部33の上面のうちブレード筒体部34の外周面と内周面との間の部分には、径方向内方に向かうに従って下方に傾斜した液滴案内面46が形成されている。
【0029】
これにより、ブレード35相互間の隙間36を下に向けて流れて環状基部33の上面まで達した液滴は、傾斜した液滴案内面46の最小径部から下方に滴下される。このように、1次側ポート11から旋回流生成室24内に空気とともに流入した水滴や油滴等の液滴のうち、ブレード筒体部34の外周面と収容孔14との間を流れた液滴は、液滴案内面44に案内されて液体排出溝45から分離筒体20の内周面に案内されるので、排出管37内に入り込むことを確実に防止することができる。特に、1次側ポート11に供給される空気の量が急に増加しても、液滴が排出管37内に巻き込まれることを確実に防止することができる。一方、ブレード35に沿って液滴案内面46にまで落下した液滴は、液滴案内面46に案内されて環状基部33の下方に滴下されることになり、液滴が排出管37内に巻き込まれることを確実に防止することができる。液体排出溝45は図5に示されるように4つ設けられているが、この数は任意の数とすることができる。さらに、液体排出溝45を円筒部21の内周面に形成するようにしても良い。
【0030】
環状基部33の下面は、液滴案内面46の最小径部から外周面に向けて内径が大きくなるように下向きに傾斜したテーパ面47となっている。このように、環状基部33の下面を下方に向けて内径が大きくなるように下向きに広がった拡径部つまりテーパ面47とすると、ブレード35により案内されて旋回流となった空気は、テーパ面47に向けて旋回半径を大きくしながら分離筒体20の分離室25に案内される。排出管37の下端面は環状基部33と同じ軸方向位置となっており、排出管37の下端部の径方向外方が環状基部33となっているが、環状基部33の内面が下方に向けて内径が大きくなるようなテーパ面47となっているので、テーパ面47に付着した液滴が排出管37の内部に巻き込まれることを確実に防止することができる。特に、1次側ポート11から流入する空気の量が急に増加した場合でも、液滴が排出管37内に巻き込まれるのを防止することができる。
【0031】
環状基部33の内周面と排出管37の外周との距離が短い場合には、環状基部33の内周面をストレートにすると、液滴が排出管37内に巻き込まれて入り込むことがあるが、内周面をテーパ面47とすることにより液滴が排出管37に入り込むことを確実に防止できる。環状基部33に形成する拡径部としては、テーパ面に限られず、内径がブレード筒体部34の内径よりも大きく設定されていれば、ストレートな内径の拡径部としても、液滴が排出管37内に巻き込まれて入り込むことを防止できる。
【0032】
テーパ面47から分離室25内に流入して円筒部21の内周面に沿って旋回した空気は、下端部に向けて内径が小さくなった円錐部22の内周面つまり円錐面48に案内されて旋回する。この円錐面48に沿って流れる空気は、発生した遠心力が維持され、空気に含まれている液滴は、円錐部22の円錐面48に付着して下端部の排出口31に向かって流れることになる。
【0033】
上述のように、環状基部33の上面の径方向外側の部分に液滴案内面44を形成し、径方向内側の部分に液滴案内面46を形成することにより、環状基部33の上面にまで流下した液滴を確実に下方に落下させることができる。
【0034】
回収容器27内には、排出口31に対向する液体案内面50が設けられたバッフル板51が配置されている。図3に示すように、バッフル板51は排出口31にバッフル配置距離Lの隙間を介して対向しており、排出口31を落下した液滴が貯溜室30の底に溜まり、旋回流の竜巻効果によって分離室25内に逆流することを防止している。バッフル板51の液体案内面50には、それぞれ液体案内面50の径方向に延びるとともに上方に突出する8つのフィン52が、図3および図6に示されるように、放射状となって設けられている。このように、放射状の複数のフィン52によって、排出口31内において旋回する空気に連られて貯溜室30内の空気が旋回することが防止される。このように、フィン52が設けられたバッフル板51により、貯溜室30内における空気の旋回に起因した竜巻効果によって貯溜室30内の液体が巻き上げられて2次側ポート12に流出することが防止される。さらに、円錐面48に沿って下向きに旋回した空気流は、バッフル板51により反転されて排出管37に向けて上昇移動する。
【0035】
バッフル板51の下側にはバッフル板51よりも大径の基板53が一体となっている。この基板53には、図3に示される連結部53aによって、図7に示されるように、十字形状の脚部54が取り付けられている。この脚部54も径方向中心部から4枚の板状部材が放射状となっている。脚部54は、回収容器27の内周面近くまで延びて軸心近くには切り欠き孔54aを有する2枚の大径板54bと、回収容器27の内周面との間に大きな隙間を有する2枚の小径板54cとから構成されている。これにより、貯溜室30内において空気が旋回することが確実に防止される。脚部54の下部に設けられた連結部55は、回収容器27の底壁部28bに形成された排出孔56内に組み込まれており、排出孔56の下側に挿入された排出管57が連結部55に連結されている。この排出管57には底壁部28bに設けられた排出口28cの外周に回転自在に取り付けられた操作ノブ58のカム部が係合しており、操作ノブ58を回転操作すると、排出管57が上下動する。操作ノブ58により排出管57を上昇移動させると、連結部55に設けられたシール材59aが底壁部28bから離れることになる。これにより、貯溜室30の内部の液体は排出管57を介して外部に排出される。
【0036】
図3に示すように、分離筒体20の排出口31の内径をDとし、分離筒体20の下端部の円錐部22の円錐角度をθとすると、内径Dを6.5〜10.5mmとし、円錐角度θを20〜30度の範囲に設定する。これにより、液滴を円錐部22の内面に液滴を付着させることができるとともに、付着した液滴を排出口31から貯溜室30に排出することができ、液滴の除去効果を高められることが確認された。
【0037】
バッフル板51の液体案内面50の表面角度をαとし、排出口31と液体案内面50との間のバッフル配置距離をLとすると、表面角度αを90〜180度とし、バッフル配置距離Lを5〜15mmとした。これにより、排出口31から下方に落下した液滴が上昇して分離室25内に逆流することを確実に防止できる。バッフル配置距離Lを5mmよりも短くすると、バッフル板51の液体案内面50に付着した液滴が分離筒体20内に逆流することがある。逆に、バッフル配置距離Lを15mmよりも大きくすると、排出口31を通過した液滴が液体案内面50に溜まり、流量の変化などで溜まった液滴が竜巻効果で上昇飛散し、排出口31から分離筒体20内に逆流することがある。表面角度αについても、上述した角度範囲とすることにより、バッフル板51から液滴が逆流することを確実に防止することができる。
【0038】
図10は図1におけるE−E線断面図である。円錐部22には分離室25と貯溜室30とを連通させる連通孔60が息付き孔として形成されている。連通孔60を形成すると、2次側圧力が急激に下がるなどして、分離室25の圧力に比較して貯溜室30の圧力が高くなるような場合でも、連通孔60により分離室25と貯溜室30の内部の圧力は直ちに同じ圧力になるので、架橋現象が生じることなく、液滴は自重により確実に貯溜室30内に落下することになる。
【0039】
円錐部22に連通孔60を設けたフィルタと設けないフィルタとについて、凝縮液体の回収容器27への落下量つまりドレン除去率の比較を行ったところ、連通孔60を設けないフィルタにおいては排出口31に凝縮液体が架橋され、凝縮液体が2次側ポート12に向けて飛散する現象が目視により確認された。これに対し、連通孔60を設けたフィルタにおいては、同じ水の含有率の空気を1次側へ供給した場合に、連通孔60を円周方向いずれの位置に設けても、凝縮液体の架橋現象の発生が確認されず、ドレン除去率を高めることができた。
【0040】
図11は連通孔60の円周方向の位置とドレン最大除去量との関係を示す除去特性線図である。図10に示すように、1次側ポート11の中心軸と平行となって円錐部22を径方向に伸びる線を基準線Sとし、分離室25内における旋回流の旋回方向をTとし、連通孔60を設ける場所を、円周方向に45度置きに変えた場合におけるドレン最大除去量が図11に示されている。
【0041】
図11(A)は1次側ポート11から毎分1000リットルの空気を供給した場合を示し、図11(B)は1次側ポート11から毎分1400リットルの空気を供給した場合を示す。1次側に供給される空気に含まれる水の量を徐々に増加すると、水の量が少ない場合には、2次側に水が流出することはない。しかし、水の量が多くなってくると2次側に水が流出する。2次側に水が流出しない最大の1次側の水の量を、図11においてドレン最大除去量とした。1次側の水の量は、単位時間(1分間)の量(ミリリットル)とした。
【0042】
図11(A)に示されるように、毎分1000リットルの空気を供給した場合には、連通孔60を基準線Sから旋回方向に225度の近傍に設けるとドレン除去率が低下するのに対し、旋回方向45度の近傍に設けるとドレン除去率が高まり、また、旋回方向315度の近傍つまり旋回方向とは逆方向に45度の近傍に設けるとドレン除去率が高まることが判明した。図11(A)においては、ドレン除去率が高い範囲がハッチングを付して示されている。
【0043】
一方、図11(B)に示されるように、毎分1000リットルの空気を供給した場合には、連通孔60を基準線Sから旋回方向に135度の近傍に設けるとドレン除去率が低下するのに対し、旋回方向45度の近傍に設けるとドレン除去率が高まり、また、旋回方向180度から360度の範囲に連通孔60を設けると旋回方向に135度の近傍に設けた場合よりもドレン除去率は良かった。図11(B)においては、ドレン除去率が高い範囲がハッチングを付して示されている。
【0044】
図11(A)と図11(B)とから判明されるように、空気をいずれの流量で供給しても良好なドレン除去率を得ることができるのは、1次側ポート11の中心軸に対応する基準線Sの位置から旋回方向Tに90度の範囲と、旋回方向Tに対して逆方向に90度の範囲に連通孔60を設けた場合である。これに対し、上述した範囲以外に連通孔60を設けると、ドレン除去率は上述した範囲に設けた場合よりも低いことが判明した。したがって、1次側ポート11の中心軸に対応する位置である基準線Sの位置から旋回流の旋回方向と逆方向とにそれぞれ90度の範囲に連通孔60を設けることが、他の範囲に連通孔60を設けるよりも、よりドレン除去率を高めるために好ましい。
【0045】
さらに、図11(A)および図11(B)のいずれにおいても、1次側ポート11の中心軸に対応する基準線Sの位置から旋回方向に0度から90度の範囲に連通孔60を設けることが、ドレン除去率を高めるためにさらに好ましいことが分かる。さらにこの0度から90度の範囲のうち、45度の位置に連通孔60を設けることが好ましいことが判明しており、図10に示されるように、このフィルタ10においては、連通孔60が旋回方向に45度の位置に設けられている。連通孔60の直径は1mmから3mmが望ましく、さらには1.5mmから2mmが望ましい。連通孔60の直径がこれらの寸法よりも小さいと液滴により連通孔60が塞がれていまい、連通孔して機能しない。連通孔60の直径がこれらの寸法よりも大きいと旋回流に与える影響が大きくなり、分離効率が低下する。
【0046】
分離筒体20の雌ねじ部18の外側には、図1に示されるように、分離筒体20をポートブロック13の雄ねじ部17に締結した状態をロックするとともに、分離筒体20をポートブロック13から取り外す際にロック解除を操作するために、樹脂製の環状ロック部材63が軸方向に移動自在に装着されている。同様に、回収容器27の雌ねじ部29の外側には、回収容器27を分離筒体20の雄ねじ部26に締結した状態をロックするとともに、回収容器27を分離筒体20から取り外す際にロック解除を操作するために、樹脂製の環状ロック部材64が軸方向に移動自在に装着されている。それぞれの環状ロック部材63,64は相互に同一の構造となっている。
【0047】
図12は回収容器27と環状ロック部材64の分解斜視図であり、回収容器27の外周面には円周方向に180度ずらして2つの凸状のガイド部65が設けられており、図12に示されるように、この凸状のガイド部65が入り込む凹状のガイド部66が環状ロック部材64の内周面に形成されている。したがって、環状ロック部材64は凹状のガイド部66内に入り込む凸状のガイド部65により案内されて回収容器27の外側で軸方向に移動する。凹状のガイド部66に対応する環状ロック部材64の外面は樹脂の肉厚を均一にするために径方向外方に突出した突起部67となっている。凹状のガイド部66の側壁66aは凸状のガイド部65の側面65aに接触するようになっており、両方のガイド部65,66によって環状ロック部材64の回転が防止される。凹状のガイド部66に対応する環状ロック部材64の外面は樹脂の肉厚を均一にするために径方向外方に突出した突起部67となっている。凹状のガイド部66には凸状のガイド部65の端部65bが当接するストッパ68が設けられており、このストッパ68がガイド部65の端部65bに当接することにより環状ロック部材64は回収容器27の底壁部28bに向かう方向の位置が規制される。
【0048】
回収容器27の外周面には突状のガイド部65に対して円周方向に90度ずらして2つの傾斜突起71が設けられている。傾斜突起71は回収容器27の底部に向けて径方向外方に傾斜した傾斜面72を有している。一方、環状ロック部材64の内周面には、上方に向けて径方向内方に傾斜するとともに傾斜面72に接触する舌片73が環状ロック部材64の内方に突出して設けられている。環状ロック部材64のうち舌片73が設けられた部分は凹状となっており、この凹状の部分に対応する環状ロック部材64の外面は突起部74となっている。
【0049】
舌片73は弾性変形する樹脂材料により環状ロック部材64とともに一体に形成されており、先端部側が径方向に変位するように弾性変形する。舌片73はその先端つまり傾斜先端が径方向内側方向に傾斜している。舌片73と一体となっている環状ロック部材64は弾性変形可能な樹脂で成形されているので、舌片73の傾斜先端は径方向外向きの力によって弾性変形可能となっている。これにより、環状ロック部材64を回収容器27の底部に向けて長手方向に移動させると、舌片73の先端部側が傾斜面72に沿ってすべり径方向外方に変位するように弾性変形する。弾性変形した舌片73の反発力により、環状ロック部材64には回収容器27の開口端部に向かう方向の押圧力が付勢される。したがって、環状ロック部材64を回収容器27の底部に向けて手動でロック解除位置まで移動させた状態のもとで、環状ロック部材64から手を離すと、押圧力により環状ロック部材64は自動的に元の位置に戻ることになる。このように、傾斜面72を有する傾斜突起71と舌片73とにより環状ロック部材64をポートブロック13に向けて押圧する押圧部材が形成される。
【0050】
内面に凹状のガイド部66が設けられた突起部67は、ポートブロック13に向けて環状ロック部材64の端面よりも軸方向外方に突出しており、突出端部は可動側係合部75となっている。一方、分離筒体20に設けられたフランジ76には、可動側係合部75が係合する切欠き部が形成されており、この切欠き部は固定側係合部77となっている。図9に示されるように、フランジ76の下面は環状ロック部材64が突き当てられる突き当て端面78となっており、固定側係合部77にはストッパ面77aが形成されている。一方、可動側係合部75の側面はストッパ面77aに対向するストッパ面75aとなっている。
【0051】
環状ロック部材63も環状ロック部材64と同一の形状となっており、分離筒体20の円筒部21の外周面には、図12に示した凸状のガイド部65と同様のガイド部が設けられるとともに、傾斜突起71と同様の傾斜突起71が設けられている。環状ロック部材63にも環状ロック部材63の可動側係合部75と同様の可動側係合部が設けられており、この可動側係合部はポートブロック13に設けられた固定側係合部に係合するようになっている。
【0052】
図13は本発明の他の実施の形態であるフィルタの上半分を示す断面図であり、図14は図13の斜視図であり、図15は図13および図14に示された旋回流発生器を示す分解斜視図である。
【0053】
図13〜図15に示す旋回流発生器32は、図1に示したフィルタ10の旋回流発生器32がブレード筒体部34の径方向内方に空気を噴出させて旋回流を発生しているのに対し、ブレード筒体部34の径方向外方に空気を噴出させて旋回流を発生させている。
【0054】
図示するように、旋回流発生器32の環状基部33には円筒形状のスリーブ81が一体に設けられており、スリーブ81は排出管37の外側に嵌合されて固定される。環状基部33は、排出管37に形成された雄ねじ82にねじ結合されるナット83により排出管37に固定される。環状基部33にはブレード筒体部34が一体となっており、ブレード筒体部34は、スリーブ81に沿ってその外側に軸方向に延びる複数のブレード35により形成されている。
【0055】
1次側ポート11から収容孔14内に流入した空気をブレード筒体部34の上端部からスリーブ81に沿って軸方向に供給するために、収容孔14の内側には環状の閉塞蓋部38が配置され、この閉塞蓋部38の内周側下面はブレード筒体部34の上端の外周部に突き当てられる。ブレード筒体部34の上端外周部には閉塞蓋部38が突き当てられる切欠き部39が形成されている。
【0056】
環状基部33にはスリーブ81の下端部から径方向外方に向けて下向きに傾斜した液滴案内面46aが形成されており、ブレード35に案内されてブレード筒体部34の下端部に到達した空気中の液滴は、傾斜した液滴案内面46aに沿って流れ、分離室25内に落下することになる。落下位置は排出管37から離れているので、液滴が排出管37内に入り込むことが防止される。しかも、円筒部21の内径は、雄ねじ部17の内側における旋回流生成部の内径よりも大きく設定された拡径部となっており、排出管37の下端部が拡径部の位置となっているので、液滴が排出管37内に入り込むことを防止できる。
【0057】
図13〜図15に示す形態のフィルタ10においても、図14に示されるように、円錐面48には、分離室25と貯溜室とを連通させる連通孔60が形成されている。
【0058】
このように、ブレード筒体部34の形態としては、軸方向に流れる空気を径方向内方に流しながら旋回させる形態と、径方向外方に流しながら旋回させる形態とがある。
【0059】
図16〜図18は、本発明の他の実施の形態であるフィルタの分離ユニットを示す。このフィルタの分離ユニット23は円筒部21とその下側に一体となった円錐部22とを備える分離筒体20aを有している。この分離筒体20aに設けられたポートブロック13は、円筒部21よりも小径の円筒部からなる旋回流発生部84を有し、その上端部には端壁部85が設けられている。旋回流発生部84には1次側ポート11が形成された空気導入管86が設けられている。図17に示されるように、空気導入管86は1次側ポート11が旋回流発生部84にその内周面に接線方向に連通するように設けられている。
【0060】
ポートブロック13の端壁部85には、排出管37が分離筒体20aの中心の位置に軸方向を向いて設けられている。この排出管37の上端部は清浄化された空気を外部に流出する2次側ポート12となっている。図17に示されるように、旋回流発生部84の内周面と排出管37の外周面との間の空間は、旋回流生成室87となっており、1次側ポート11から旋回流生成室87内に接線方向に流入した空気は旋回流発生部84の内周面に沿って流れ、旋回流生成室87内には旋回流が生成される。
【0061】
排出管37の下端部の径方向外方には、円筒部21の上端部に位置させて、テーパ面47が拡径部として設けられている。このように、分離ユニット23の円筒部21の上端部に拡径部を設けると、旋回流発生部84から分離室25内に旋回流とともに流入する液滴が排出管37内に入り込むことを防止できる。
【0062】
図19は分離筒体20aの変形例である。図19に示される分離筒体20aの円筒部21の内周面は、全体的に同一の内径となっており、その内周面の上端部は、旋回流発生部84の内径よりも内径が大きくなった拡径部47aとなっている。このように、ストレートな内径の拡径部47aとすることにより、分離された液滴が排出管37内に巻き込まれて入り込むことを防止できる。
【0063】
図16〜図19に示した分離筒体20aには、上述した回収容器27が装着されるようになっており、分離された液滴は、上述したフィルタと同様に、回収容器27内に収容される。
【0064】
図14(A)および図16に示された形態のフィルタにおいても円錐部22には連通孔60が形成され、図19に示された形態のフィルタにおいても円錐部22に連通孔60が形成されている。連通孔60により分離室25と図示しない貯溜室30は連通されており、排出口31に凝縮液体が架橋されることを防止できる。
【0065】
このように、1次側ポートから供給された空気を旋回流に変換する旋回流発生部としては、ブレード筒体部34を用いて軸方向に流れる空気を径方向に旋回させる形態と、旋回流発生部の内周面に向けて接線方向に1次側ポートから空気を供給して旋回流を生成するようにした形態とがある。いずれの形態においても、円錐部22に連通孔60を設けることにより、フィルタによる異物の除去効率を高めることかできる。
【0066】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、回収容器27には内部に回収された液体を外部に排出するために、手動式のドレン機構が設けられているが、オートドレンやセミオートドレンを回収容器に設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
11 1次側ポート
12 2次側ポート
13 ポートブロック
14 収容孔
15 連通孔
16 支持部
17 雄ねじ部
18 雌ねじ部
20 分離筒体
21 円筒部
22 円錐部
23 分離ユニット
24 旋回流生成室
25 分離室
26 雄ねじ部
27 回収容器
29 雌ねじ部
30 貯溜室
31 排出口
32 旋回流発生器
33 環状基部
34 ブレード筒体部
35 ブレード
36 隙間
37 排出管
38 閉塞蓋部
41 テーパ面
42 下面
43 隙間
44 液滴案内面
45 液体排出溝
46 液滴案内面
47 テーパ面(拡径部)
48 円錐面
60 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気に含まれる液滴や塵等の異物を除去して空気を清浄化するフィルタであって、
空気が供給される1次側ポート、前記1次側ポートから供給された空気を旋回流に変換する旋回流発生部、当該旋回流発生部に連通する分離室および当該分離室において異物が除去されて清浄化された空気を流出する2次側ポートが設けられた分離ユニットと、
前記分離ユニットに取り付けられ、前記分離ユニットの下端部に形成された排出口から排出された異物を貯溜する貯溜室を有する回収容器と、
前記旋回流発生部の中心部に配置され、清浄化された空気を前記2次側ポートに導く排出管とを有し、
前記分離ユニットは前記排出口に向かうに従って内径が小さくなる円錐面が形成された円錐部を有し、
前記分離室と前記貯溜室とを連通させる連通孔を前記円錐部に形成することを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
請求項1記載のフィルタにおいて、前記1次側ポートの中心軸に対して1次側ポートの位置を0度とした場合に連通孔を270度から90度の範囲に形成することを特徴とするフィルタ。
【請求項3】
請求項1記載のフィルタにおいて、前記1次側ポートの中心軸に対して旋回流の旋回方向に0度から90度の範囲に前記連通孔を形成することを特徴とするフィルタ。
【請求項4】
請求項3記載のフィルタにおいて、前記1次側ポートの中心軸に対して旋回流の旋回方向に45度の位置に前記連通孔を形成することを特徴とするフィルタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルタにおいて、前記分離筒体の中心軸に対する前記円錐面の傾斜角度θを20〜30度とし、前記排出口の内径Dを6.5〜10.5mmとすることを特徴とするフィルタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−111571(P2013−111571A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263454(P2011−263454)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000145611)株式会社コガネイ (142)
【Fターム(参考)】