説明

フィルムコンデンサ用フィルム、該フィルムを用いたフィルムコンデンサ、該フィルム及びフィルムコンデンサの製造方法

【課題】基材上に高誘電率のコーティング組成物を塗布してフィルムを形成するコーティング法の製造コストを低減しつつ、金属化フィルムの耐圧を向上してコンデンサの小型化を図れるような構成を得る。
【解決手段】フィルムコンデンサ用のフィルム(19)を、金属箔(19c)と、該金属箔(19c)上に形成される絶縁膜(19d)と、該絶縁膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより形成される誘電体膜(19a)と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムコンデンサ用のフィルム、及び、該フィルムを用いたフィルムコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属の層を有する金属化フィルムを捲回してなるフィルムコンデンサが知られている。このようなフィルムコンデンサは、電子機器や電気機器等において、特に安定した電気特性を要する回路に多く用いられている。
【0003】
上記フィルムコンデンサの一般的な構成としては、金属の層を有する金属化フィルムを、2枚重ね合わせた状態で捲回し、その両端部にリード線に繋がる引出電極が形成されたものが知られている。このような構成のフィルムコンデンサにおいて、上記金属化フィルムを形成する方法としては、例えば特許文献1に開示されるように、材料を延伸してフィルム化する溶融混練法や、コーティング組成物を基材上に塗布して乾燥させることによりフィルムを形成するコーティング法などが知られている。
【0004】
一方、近年では、フィルムコンデンサの小型化・大容量化が進み、フィルムコンデンサのさらなる高誘電率化が求められているため、上記特許文献1に開示されているような高誘電性フィルムが考えられている。この高誘電性フィルムは、その材料物性により、延伸させてフィルム化するのが困難であるため、上記コーティング法によって形成する必要がある。そのため、上記特許文献1には、ポリマーを溶剤に溶解し、これに無機強誘電体粒子を添加混合したコーティング組成物を基材に塗布して乾燥させることによりフィルムを形成した後、該基材からフィルムを剥離させることで高誘電性フィルムが得られる点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−34189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように、フィルムをコーティング法によって形成する場合には、コーティング組成物を塗布するための基材が必要になるとともに、該基材上に形成されたフィルムを剥離する必要があり、上記基材の材料コストや剥離作業の分、製造コストや作業負担が増大する。しかも、上記コーティング法では、基材としてフィルムを剥離しやすいような特殊な表面処理を施した材料を用いる必要があるが、該表面処理を施していない一般的な材料に比べると材料コストが高く、また、フィルム形成に一度使用された基材は、フィルム形成時の変形やごみなどの付着により再利用が難しい。したがって、基材上に形成されたフィルムを剥離するコーティング法は、溶融混練法などの他の方法に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
【0007】
また、上記高誘電性フィルムは、あまり耐圧が高くないため、例えばインバータなどに用いる場合には、数百Vの電圧に耐えられるように厚みを厚くする必要があり、コンデンサの小型化が困難になるという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基材上に高誘電率のコーティング組成物を塗布してフィルムを形成するコーティング法の製造コストを低減しつつ、金属化フィルムの耐圧を向上してコンデンサの小型化を図れるような構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るフィルムコンデンサ用フィルム(19)では、コーティング組成物を塗布する基材を金属箔(19c)によって構成し、誘電体膜(19a)を形成した後も該金属箔(19c)を剥離することなく電極として利用するとともに、該金属箔(19c)上に絶縁膜(19d)を設けて、フィルム(19)の耐圧向上を図るようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明は、フィルムコンデンサ用のフィルムを対象とする。そして、金属箔(19c)と、該金属箔(19c)上に形成される絶縁膜(19d)と、該絶縁膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより形成される誘電体膜(19a)と、を備えているものとする。
【0011】
この構成により、金属箔(19c)を基材としてコーティング組成物を塗布して誘電体膜(19a)を形成するため、該金属箔(19c)を剥離することなく、そのまま電極として用いることができる。しかも、上記コーティング組成物が塗布される金属箔(19c)上に、絶縁膜(19d)を形成することで、該コーティング組成物からなる誘電体膜(19a)の耐圧が低い場合でも、上記絶縁膜(19d)によってフィルム(19)全体の耐圧向上を図ることができる。
【0012】
上記第1の発明において、上記絶縁膜は、上記金属箔(19c)の表面を酸化処理してなる酸化金属膜(19d)であるものとする(第2の発明)。これにより、金属箔(19c)上に比較的厚い絶縁膜(19d)を形成することが可能になるため、蒸着法などの他の方法によって絶縁膜(19d)を形成する場合に比べて、フィルム(19)の耐圧をより確実に高めることができる。しかも、金属箔(19c)の表面を酸化処理することによって、絶縁膜としての酸化金属膜(19d)を形成できるため、蒸着法などの他の方法に比べて、容易に絶縁膜を形成することができる。
【0013】
第3の発明は、金属の層(19c,20b)を有する一対の金属化フィルム(19,20)を重ね合わせた状態で捲回してなるフィルムコンデンサを対象とする。そして、上記一対の金属化フィルム(19,20)は、少なくとも一方の金属化フィルムが上記請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ用フィルム(19)であるものとする。
【0014】
この構成により、基材として用いた金属箔(19c)を剥離することなく電極として利用した金属化フィルム(19)を捲回してフィルムコンデンサ(11)を形成するため、基材を剥離する金属化フィルムを用いる場合に比べて、フィルムコンデンサ(11)の製造コストの低減を図れる。しかも、上記金属箔(19c)上に絶縁膜(19d)が形成されている金属化フィルム(19)を用いるため、誘電体膜及び電極からなる金属化フィルムを用いる場合に比べて、フィルムコンデンサ(11)の耐圧の向上を図れる。
【0015】
上記第3の発明において、上記フィルムコンデンサ用フィルムは、上記誘電体膜(19a)上に、幅方向両端部の少なくとも一方にマージン部(21)が設けられるように金属膜(19b)が形成された両面電極フィルム(19)であり、上記捲回された一対の金属化フィルム(19,20)の両端部には、それぞれ引出電極(14,15)が形成されていて、上記一対の金属化フィルム(19,20)は、上記両面電極フィルム(19)において上記マージン部(21)が設けられた幅方向端部で金属箔(19c)を引出電極(14,15)の一方に電気的に接続するとともに、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)を引出電極(14,15)の他方に電気的に接続するように、重ね合わされているものとする(第4の発明)。
【0016】
これにより、基材としての金属箔(19c)を一方の電極とし、且つ、該金属箔(19c)上に絶縁膜(19d)を介して形成された誘電体膜(19a)上の金属膜(19b)を他方の電極とする両面電極フィルム(19)を構成することができ、該両面電極フィルム(19)を用いてフィルムコンデンサ(11)を構成することができる。
【0017】
上記第4の発明において、上記一対の金属化フィルム(19,20)の他方は、誘電体としての誘電体膜(20a)の表面上に、金属膜(20b)が形成されてなる片面電極フィルム(20)であり、上記一対の金属化フィルム(19,20)は、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、上記両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)を上記引出電極(14,15)の一方に電気的に接続するとともに、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)を上記片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)を介して上記引出電極(14,15)の他方に電気的に接続するように、幅方向にずれて重ね合わされているものとする(第5の発明)。
【0018】
このように上記両面電極フィルム(19)に対して片面電極フィルム(20)を重ねて捲回することで、簡単且つコンパクトな構成によって、該両面電極フィルム(19)において電極間で短絡が発生するのを防止することができ、上記第1の発明のフィルム(19)を用いてフィルムコンデンサ(11)を容易に実現することができる。
【0019】
すなわち、一方のフィルムを、上記第4の発明のように、誘電体膜(19a)上に幅方向両端部の少なくとも一方にマージン部(21)が設けられるように金属膜(19b)を形成して両面電極フィルム(19)とし、他方のフィルムを片面電極フィルム(20)とし、両者を上述のように幅方向にずらした状態で捲回することで、他にマージン部などを設けることなく、内部で短絡を生じないようなフィルムコンデンサ(11)を容易に構成することができる。
【0020】
第6の発明は、フィルムコンデンサ用フィルムの製造方法を対象とする。そして、金属箔(19c)の表面に酸化金属膜(19d)が形成された酸化金属箔を準備する工程と、上記酸化金属箔の酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより誘電体膜(19a)を形成する誘電体膜形成工程と、を有するものとする。
【0021】
この方法によれば、金属箔(19c)を基材としてコーティング組成物を塗布することにより誘電体膜(19a)を形成するため、該金属箔(19c)を剥離することなく、そのまま電極として用いることができ、金属化フィルム(19)の製造コストの低減を図れる。しかも、上記コーティング組成物が塗布される金属箔(19c)上に、絶縁膜(19d)を形成するため、該コーティング組成物からなる誘電体膜(19a)の耐圧が低い場合でも、絶縁膜(19d)によって十分な耐圧を有する金属化フィルム(19)が得られる。
【0022】
第7の発明は、金属の層(19c,20b)を有する一対の金属化フィルム(19,20)を重ね合わせた状態で捲回してなるフィルムコンデンサの製造方法を対象とする。
【0023】
そして、金属箔(19c)の表面に形成された酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより形成される誘電体膜(19a)の表面上に、幅方向の少なくとも一方にマージン部(21)が設けられるように金属膜(19b)を形成することで、上記一対の金属化フィルム(19,20)の少なくとも一方の金属化フィルムとしての両面電極フィルム(19)を形成する両面電極フィルム形成工程と、上記一対の金属化フィルム(19,20)を、上記両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)が他方の金属化フィルム(20)の金属の層(20b)と接触し、且つ、該両面電極フィルム(19)のマージン部(21)の少なくとも一部が露出するように、幅方向にずらした状態で重ね合わせて捲回する捲回工程と、該捲回工程によって捲回された上記一対の金属化フィルム(19,20)の両端部に引出電極(14,15)を形成する引出電極形成工程と、を有しているものとする。
【0024】
この方法によれば、コーティング法によって基材としての金属箔(19c)上にコーティング組成物を塗布して誘電体膜(19a)を形成し、該誘電体膜(19a)上に金属膜(19b)を形成することで、金属化フィルム(19)を構成することができ、基材としての金属箔(19c)から誘電体膜(19a)を剥離させることなく、他の金属化フィルム(20)と重ね合わせて捲回することで、フィルムコンデンサ(11)を構成することができる。したがって、剥離可能な基材が不要になるとともに、剥離工程も不要になるため、基材の材料コストの低減やフィルムコンデンサ(11)の製造作業の軽減を図れる。
【0025】
しかも、上述のように誘電体膜(19a)を金属箔(19c)から剥離させることなく該金属箔(19c)をそのまま電極として利用する上記両面電極フィルム(19)と、他の金属化フィルム(20)とを、それぞれの金属膜(19b)と金属の層(20b)とが接触し、且つ、両面電極フィルム(19)のマージン部(21)が露出するように、幅方向にずらした状態で重ね合わせて捲回することで、両面電極フィルム(19)の電極間で短絡が発生するのを防止することができ、両面電極フィルム(19)を用いてフィルムコンデンサ(11)を構成することができる。
【0026】
上記第7の発明において、誘電体としての誘電体膜(20a)上に金属膜(20b)を形成することで、上記一対の金属化フィルム(19,20)の他方の金属化フィルムとしての片面電極フィルム(20)を形成する片面電極フィルム形成工程を有していて、上記捲回工程では、上記両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)を、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、上記両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)と片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)とが幅方向にずれて上記マージン部(21)の少なくとも一部が露出するように、幅方向にずらした状態で重ね合わせて捲回するものとする(第8の発明)。
【0027】
これにより、両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)によってフィルムコンデンサ(11)を構成することができる。すなわち、誘電体膜(19a)を金属箔(19c)から剥離させることなく該金属箔(19c)をそのまま電極として利用する上記両面電極フィルム(19)と、片面電極フィルム(20)とを、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)と片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)とが幅方向にずれてマージン部(21)が露出するように、幅方向にずらした状態で重ね合わせて捲回することで、両面電極フィルム(19)の電極間で短絡が発生するのを防止することができ、両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)によってフィルムコンデンサ(11)を構成することができる。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明に係るフィルムコンデンサ用フィルム(19)によれば、基材としての金属箔(19c)上に絶縁膜(19d)を形成して、その表面にコーティング組成物を塗布することにより誘電体膜(19a)を形成することで、基材としての金属箔(19c)を剥離することなくそのまま電極として利用することができるため、製造コストの低減を図ることができる。また、上記金属箔(19c)上に絶縁膜(19d)を形成することで、フィルム(19)の耐圧の向上を図ることができ、コンデンサ(11)の小型化を図れる。
【0029】
また、第2の発明によれば、上記絶縁膜は、金属箔(19c)の表面を酸化処理してなる酸化金属膜(19d)であるため、蒸着法などの他の方法に比べて、耐圧が十分大きい絶縁膜を容易に形成することができる。
【0030】
また、第3の発明に係るフィルムコンデンサ(11)によれば、重ね合わせた状態で捲回される一対の金属化フィルム(19,20)のうち少なくとも一方のフィルムとして、上記第1または第2の発明のフィルムコンデンサ用フィルム(19)を用いることで、フィルムコンデンサ(11)の耐圧の向上を図れる。
【0031】
また、第4の発明によれば、上記フィルムコンデンサ用フィルムの誘電体膜(19a)上にマージン部(21)が形成されるように金属膜(19b)を形成して両面電極フィルム(19)とし、金属箔(19c)の該マージン部(21)側を引出電極(14,15)の一方に電気的に接続するとともに、金属膜(19b)を引出電極(14,15)の他方に電気的に接続するように、上記一対の金属化フィルム(19,20)を重ね合わせたため、両面電極フィルム(19)を用いた誘電率の高いフィルムコンデンサ(11)を容易に得ることができる。
【0032】
また、第5の発明によれば、上記一対の金属化フィルム(19,20)の他方を片面電極フィルム(20)として、該一対の金属化フィルム(19,20)を、金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)を引出電極(14,15)の一方に、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)を片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)を介して引出電極(14,15)の他方に、それぞれ電気的に接続したため、簡単な構成によってフィルムコンデンサ(11)を得ることができる。
【0033】
また、第6の発明に係るフィルムコンデンサ用フィルムの製造方法によれば、金属箔(19c)の表面が酸化された酸化金属箔の酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより誘電体膜(19a)を形成するため、上記第1の発明のフィルムコンデンサ用フィルム(19)を容易に得ることができる。
【0034】
また、第7の発明に係るフィルムコンデンサの製造方法によれば、金属箔(19c)の表面の酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布して誘電体膜(19a)を形成し、該誘電体膜(19a)上にマージン部(21)を有するように金属膜(19b)を形成することにより、一対の金属化フィルム(19,20)の少なくとも一方の金属化フィルムとしての両面電極フィルム(19)を形成し、該一対の金属化フィルム(19,20)を内部で短絡が生じないように重ね合わせて捲回した後、その両端部に引出電極(14,15)を設けたため、高耐圧で且つ誘電率の高いフィルムコンデンサ(11)を低コストで得ることができる。
【0035】
また、第8の発明によれば、上記両面電極フィルム(19)を片面電極フィルム(20)と重ね合わせて捲回したため、該両面電極フィルム(19)を用いたフィルムコンデンサ(11)を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るフィルムコンデンサの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】図2は、両面電極フィルムと片面電極フィルムとを重ね合わせた状態を模式的に示す図である。
【図3】図3は、両面電極フィルム及び片面電極フィルムとメタリコン電極との関係を示す部分拡大断面図である。
【図4】図4は、絶縁フィルムのみからなる場合、及び、絶縁フィルム及び酸化金属膜からなる場合において、コンデンサ容量と誘電体の体積との関係を概略的に示すグラフである。
【図5】図5は、両面電極フィルムの製造方法の一部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0038】
(全体構成)
本発明の実施形態に係るフィルムコンデンサ(11)は、図1に示すように、巻芯(13)に捲回されたコンデンサ素子(12)の両端部にメタリコン電極(14,15)が設けられたもので、例えばインバータ回路とコンバータ回路との間に配置されるコンデンサ等に用いられる。
【0039】
詳しくは、上記フィルムコンデンサ(11)は、コンデンサ素子(12)と、該コンデンサ素子(12)が捲回される巻芯(13)と、該コンデンサ素子(12)に設けられた2つのメタリコン電極(14,15)(引出電極)と、それらのメタリコン電極(14,15)にそれぞれ電気的に接続された外部端子(16,17)と、該コンデンサ素子(12)、巻芯(13)、メタリコン電極(14,15)及び外部端子(16,17)を封止するための封止樹脂(18)とを備えている。
【0040】
上記コンデンサ素子(12)は、詳しくは後述するように、例えば誘電体フィルムからなる帯状の絶縁フィルム(19a,20a)(誘電体膜)にアルミニウムや金等の金属箔を蒸着させて金属膜(19b,20b)を形成した2枚の金属化フィルム(19,20)(一対の金属化フィルム)を重ね合わせてなるもので、上記巻芯(13)の外周面上に捲回されるように構成されている。
【0041】
また、詳しくは後述するように、上記2枚の金属化フィルム(19,20)は、巻芯(13)の軸方向にずれるように互いに重ね合わされた状態で、上記巻芯(13)上に捲回されている。こうすることで、捲回されたコンデンサ素子(12)における巻芯(13)の軸方向の一端部には、金属化フィルム(19,20)のうちの一方が、該軸方向の他端部には金属化フィルム(19,20)のうちの他方がはみ出した状態となっている(図2参照)。
【0042】
上記巻芯(13)は、上記図1に示すように、例えば円筒状の樹脂部材からなる。この巻芯(13)は、上記金属化フィルム(19,20)の幅と同等の軸方向長さを有していて、上述のとおり、その外周面上に該金属化フィルム(19,20)が捲回されるように構成されている。
【0043】
上記メタリコン電極(14,15)は、巻芯(13)上に捲回されて概略円柱状に形成された金属化フィルム(19,20)の軸方向両端部にそれぞれ設けられている。このメタリコン電極(14,15)は、それぞれ、金属化フィルム(19,20)の軸方向端部に金属を溶射することによって形成されていて、軸方向端部においてはみ出している金属化フィルム(19,20)とそれぞれ電気的に導通している。
【0044】
上記外部端子(16,17)は、その基端部が上記巻芯(13)に対応する位置で、メタリコン電極(14,15)と電気的に接続されている。これらの外部端子(16,17)は、メタリコン電極(14,15)の径方向外方に向かって延びて、その先端部が上記封止樹脂(18)から外方に突出して基板(25)に接続されている。
【0045】
上記封止樹脂(18)は、上記金属化フィルム(19,20)の外周側、メタリコン電極(14,15)及び外部端子(16,17)の基端部を封止するように設けられている。すなわち、この封止樹脂(18)は、外部端子(16,17)の先端側を除いて、フィルムコンデンサ(11)の構成部品全体を覆うように設けられている。
【0046】
なお、本実施形態に係るフィルムコンデンサ(11)は、封止樹脂(18)が外側に露出しているが、この限りではなく、捲回された金属化フィルム(19,20)をコンデンサケース内に収納して、該ケース内に封止樹脂(18)を充填したものであってもよい。
【0047】
(金属化フィルム)
上述のとおり、フィルムコンデンサ(11)は、2枚の金属化フィルム(19,20)を重ね合わせた状態で巻芯(13)に捲回することによって構成される。この2枚の金属化フィルム(19,20)のうち、一方の金属化フィルム(19)は、絶縁フィルム(19a)の両面に電極が形成された、いわゆる両面電極フィルムであり、他方の金属化フィルム(20)は、絶縁フィルム(20a)の片面にのみ電極が形成された、いわゆる片面電極フィルムである。
【0048】
上記両面電極フィルム(19)は、金属箔(19c)の片面を化成処理(酸化処理)して酸化金属膜(19d)(絶縁膜)を形成し、該酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより絶縁フィルム(19a)を形成した後、該絶縁フィルム(19a)上に金属膜(19b)を蒸着によって形成したもので、上記金属箔(19c)及び金属膜(19b)が電極として機能するように構成されている。ここで、上記コーティング組成物は、例えば特開2008−34189号公報に開示される材質からなり、その一例として、熱可塑性の非フッ素ポリマーと、無機強誘電体粒子と、カップリング剤、界面活性剤またはエポキシ基含有化合物の少なくとも1種からなる親和性向上剤と、溶剤とを含んでいて、高誘電性フィルムを形成可能な材料とする。
【0049】
上記高誘電性フィルムを形成する場合には、コーティング組成物の材料特性や、高誘電化のためにはボイドの少ない薄膜を形成する必要があるという観点などから、延伸させて薄膜化する溶融混練法では均一なフィルムを形成するのが難しいため、基材上にコーティング組成物を塗布して乾燥させる、いわゆるコーティング法が用いられる。このコーティング法では、一般的に、基材上にフィルム材料を塗布してフィルムを形成するため、基材が必要になるとともに、基材からフィルムを剥離させる作業も必要になり、コストの増大や作業工数の増加を招くことになる。これに対し、上述のように、基材を金属箔(19c)として、その表面上にコーティング組成物を塗布して乾燥させることで、該金属箔(19c)をそのまま電極の一つとして用いることができる。これにより、フィルム形成のための基材が不要になるとともに、該基材からフィルムを剥離する作業も不要になるため、コスト低減及び作業軽減を図れる。
【0050】
ところで、上記高誘電性フィルムは、その材料特性において、耐圧性能があまり高くないため、コンデンサとしての性能を確保しようとすると、絶縁フィルム(19a)の厚みを大きくする必要がある。しかしながら、上述のように、金属箔(19c)の片面を酸化処理して、高誘電性フィルムよりも高い耐圧性能を有する絶縁膜としての酸化金属膜(19d)を形成することで、フィルム全体の厚みをそれほど大きくすることなくフィルムの耐圧を向上することができる。
【0051】
ここで、上記金属箔(19c)は、酸化金属になったときに絶縁体となる金属材料により構成されるため、例えば、アルミニウム、タンタル、チタン、及びそれらの合金などからなる。このような金属材料からなる金属箔(19c)を化成液で満たされた槽内に入れて、該金属箔(19c)の片面に対して電流を流すことにより該片面に酸化金属膜(19d)を形成する。この処理を化成処理(酸化処理)という。なお、上記酸化金属膜(19d)は、コンデンサとしての耐圧性能(例えば500V)とコンデンサの小型化とを両立できるように、約0.5μmの厚みに形成するのが好ましい。
【0052】
このような酸化金属膜(19d)を形成した金属化フィルム(19)を用いてフィルムコンデンサ(11)を構成することで、図4に示す計算結果のように、同じコンデンサ容量であっても、絶縁フィルム(19a)のみで耐圧を確保する場合(破線)に比べて、絶縁フィルム(19a)及び酸化金属膜(19d)で耐圧を確保する場合(実線)の方が、必要となる誘電体(単層の場合には絶縁フィルム(19a)、2層の場合には絶縁フィルム(19a)+酸化金属膜(19d))の体積を少なくすることができる。すなわち、上記酸化金属膜(19d)によって或る程度の耐圧を確保できるため、その分、誘電体の体積を小さくすることができ、同じフィルム幅であれば、絶縁フィルム(19a)の厚みを薄くすることができる。上記図4の例では、絶縁フィルム(19a)及び酸化金属膜(19d)の2層構造にすることによって、絶縁フィルム(19a)のみによって構成する場合に比べて、誘電体の体積を約2/3倍にすることができる。
【0053】
なお、上記図4は、フィルム幅3mm、絶縁フィルム(19a)及び酸化金属膜(19d)の比誘電率をそれぞれ50、10とし、絶縁フィルム(19a)のみからなる場合(破線)の該絶縁フィルム(19a)の厚みを8.35μm、絶縁フィルム(19a)及び酸化金属膜(19d)の2層構造からなる場合(実線)の該絶縁フィルム(19a)及び酸化金属膜(19d)の厚みをそれぞれ5μm、0.75μmとして計算したものである。
【0054】
図2及び図3に示すように、上記両面電極フィルム(19)には、その幅方向両端部に、上記金属膜(19b)が形成されていないマージン部(21,21)が設けられている。このマージン部(21)は、両面電極フィルム(19a)の金属膜(19b)が直接、メタリコン電極(14,15)に接続されるのを防止するために設けられている。すなわち、後述するように、上記両面電極フィルム(19)は、金属箔(19c)の幅方向端部でメタリコン電極(14)に電気的に接続されるため、上記マージン部(21)を設けることによって、上記金属膜(19b)がメタリコン電極(14,15)に直接、電気的に接続されて上記両面電極フィルム(19)内で短絡が発生するのを防止することができる。
【0055】
上記片面電極フィルム(20)は、PETなどの誘電体からなる絶縁フィルム(20a)上に金属膜(20b)が蒸着によって形成されたもので、該金属膜(20b)が電極として機能するように構成されている。
【0056】
上記図2に示すように、この実施形態では、上記両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)は、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、該片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)が両面電極フィルム(19)の金属箔(19b)に対して幅方向にずれるように、重ね合わされている。より詳しくは、上記片面電極フィルム(20)は、両面電極フィルム(19)の一方のマージン部(21)を露出させるように、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)の側辺に合わせて重ね合わされている。これにより、上記片面電極フィルム(20)の反対側の幅方向端部は、上記両面電極フィルム(19)よりも幅方向外方に位置付けられている。
【0057】
上述のように両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)を重ね合わせることで、該両面電極フィルム(19)の幅方向一端側が片面電極フィルム(20)よりも幅方向外方に位置するとともに、該片面電極フィルム(20)の幅方向他端側が両面電極フィルム(19)よりも幅方向外方に位置した状態となる。この状態で、上記両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)を巻芯(13)に捲回して、両端部に金属を溶射してメタリコン電極(14,15)を形成することで、図3に示すような構成が得られる。
【0058】
上記図3に示すように、上記両面電極フィルム(19)の幅方向の一端側は、メタリコン電極(14)に接続されているため、該両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)がメタリコン電極(14)に電気的に接続されている。一方、上記片面電極フィルム(20)の幅方向の他端側は、メタリコン電極(15)に接続されているため、該片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)がメタリコン電極(15)に電気的に接続されている。また、上記両面電極フィルム(19)と片面電極フィルム(20)とは、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触しているため、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)は片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)を介してメタリコン電極(15)に電気的に接続されている。
【0059】
これにより、上記両面電極フィルム(19)の電極間での短絡の発生を防止することができ、上記両面電極フィルム(19)において、金属箔(19c)と金属膜(19b)との間の酸化金属膜(19d)及び絶縁フィルム(19a)に第1のコンデンサが形成されるとともに、上記片面電極フィルム(20)において、金属膜(20b)と両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)との間(絶縁フィルム(20a)及び空気層)に第2のコンデンサが形成される。
【0060】
(製造方法)
次に、上述のような構成を有するフィルムコンデンサ(11)の製造方法について、以下で説明する。
【0061】
まず、両面電極フィルム(19)(フィルムコンデンサ用フィルム)の製造方法について説明する。金属箔(19c)を化成液で満たされた槽内に入れて該金属箔(19c)の片面に対して電流を流すことにより、該片面上に酸化金属膜(19d)を形成する化成処理(酸化処理)を行う。そして、該酸化金属膜(19d)上に高誘電性のコーティング組成物を塗布して乾燥させることにより、絶縁フィルム(19a)を形成する。さらに、図5に示すように、絶縁フィルム(19a)の表面上に、フィルム幅方向に所定の間隔を空けて、列状の金属膜(19b)を蒸着により形成する。その後、金属膜(19b,19b)同士の間(図中の破線部分)で絶縁フィルム(19a)及び金属箔(19c)を切断して、両面電極フィルム(19)を形成する。こうすることで、各両面電極フィルム(19)の幅方向両端部にマージン部(21,21)を形成することができる。
【0062】
一方、片面電極フィルム(20)は、予めフィルム状に形成されたPETなどの絶縁フィルム(20a)上に、金属膜(20b)を蒸着により形成する。
【0063】
そして、これらの両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)を、図2に示すように、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、両面電極フィルム(19)のマージン部(21)が露出するように該両面電極フィルム(19)に対して片面電極フィルム(20)を幅方向にずらして重ね合わせ、その状態で巻芯(13)の外周面上に捲回する。
【0064】
上記両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)を巻芯(13)上に捲回した後、その両端部に金属を溶射してメタリコン電極(14,15)を形成し、該メタリコン電極(14,15)にそれぞれ外部電極(16,17)を取り付ける。
【0065】
その後、封止樹脂(18)によって、上記両面電極フィルム(19)、片面電極フィルム(20)、メタリコン電極(14,15)及び外部端子(16,17)の基端側を封止する。
【0066】
ここで、金属箔(19c)上に酸化金属膜(19d)を形成し、該酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布して絶縁フィルム(19a)を形成した後、該絶縁フィルム(19a)上に金属膜(19b)を形成する工程が両面電極フィルム形成工程に、絶縁フィルム(20a)上に金属膜(20b)を形成する工程が片面電極フィルム形成工程に、これらの両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)を、金属膜(19b,20b)同士が接触し且つ該両面電極フィルム(19)のマージン部(21)が露出するように幅方向にずらして重ね合わせて捲回する工程が捲回工程に、捲回されたフィルム(19,20)の両端部にメタリコン電極(14,15)を形成する工程が引出電極形成工程に、それぞれ対応している。
【0067】
また、上記金属箔(19c)上に酸化金属膜(19d)を形成する工程が酸化金属箔を準備する工程に、該酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布して絶縁フィルム(19d)を形成する工程が誘電体膜形成工程に、それぞれ対応している。
【0068】
−実施形態の効果−
以上より、この実施形態によれば、金属箔(19c)上に酸化金属膜(19d)を形成し、その上にコーティング組成物を塗布して絶縁フィルム(19a)を形成した後、該絶縁フィルム(19a)の表面に金属膜(19b)を形成してなる両面電極フィルム(19)を、そのままフィルムコンデンサ(11)に用いたため、従来のように、絶縁フィルムを基材から剥離させる必要がなくなり、該基材を剥離しやすい高コストなものにする必要がなくなるとともに、該基材から絶縁フィルム(19)を剥離する作業が不要になる。しかも、上記酸化金属膜(19d)を設けて、誘電体を2層構造とすることにより、耐圧の向上を図ることができ、絶縁フィルム(19a)のみによって構成する場合に比べて、金属化フィルム(19)の厚みを薄くすることができる。したがって、上述の構成により、フィルムコンデンサ(11)の製造コストの低減を図りつつ、該フィルムコンデンサ(11)の小型化を図ることができる。
【0069】
具体的には、上記両面電極フィルム(19)に対して、金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、該両面電極フィルム(19)の幅方向端部に形成されたマージン部(21)が露出するように、該両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)と片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)とを幅方向にずらして重ね合わせて両フィルム(19,20)を捲回することで、上記両面電極フィルム(19)を一方のメタリコン電極(14)のみに電気的に接続するとともに、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)を他方のメタリコン電極(15)のみに電気的に接続することが可能となり、両面電極フィルム(19)内での短絡発生を防止することができる。したがって、上記両面電極フィルム(19)を用いてフィルムコンデンサ(11)を構成することができる。
【0070】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0071】
上記実施形態では、両面電極フィルム(19)に対して、片面電極フィルム(20)を重ね合わせてフィルムコンデンサ(11)を構成しているが、これに限らず、同じ両面電極フィルム(19)を2枚、重ね合わせて捲回することによりフィルムコンデンサを構成してもよい。なお、この場合にも、両面電極フィルムでの短絡発生を防止するために、両面電極フィルム同士を幅方向にずらした状態で重ね合わせればよい。
【0072】
また、上記実施形態では、金属化フィルム(19)を両面電極フィルムとしているが、この限りではなく、金属膜(19b)を形成せずに片面電極フィルムとしてもよい。この場合には、このようにして形成された片面電極フィルムに対して、両面電極フィルムまたは片面電極フィルムを重ね合わせることにより、フィルムコンデンサを構成すればよい。
【0073】
また、上記実施形態では、金属箔(19c)の表面を化成処理して酸化金属膜(19d)を形成しているが、この限りではなく、誘電体として機能する絶縁層であれば金属箔(19c)上にどのような層を形成してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、両面電極フィルム(19)の幅方向両端部にマージン部(21,21)を設けているが、この限りではなく、両面電極フィルムの幅方向端部の一方にのみマージン部を設けてもよい。なお、この場合には、マージン部が露出するように、両面電極フィルム(19)に対して片面電極フィルム(20)を幅方向にずらして重ね合わせる必要がある。
【0075】
さらに、上記実施形態では、両面電極フィルム(19)の絶縁フィルム(19a)の材料として、特開2008−34189号公報に開示されている材料を挙げているが、この限りではなく、延伸させて薄膜化する溶融混練法ではフィルム化できないような材料であれば、どのような材料であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明は、コーティング法によって形成される絶縁フィルム上に金属の層を有する金属化フィルムを捲回してなるフィルムコンデンサにおいて、コンデンサの小型化を図る場合に特に有用である。
【符号の説明】
【0077】
11 フィルムコンデンサ
14、15 メタリコン電極(引出電極)
19 両面電極フィルム(金属化フィルム)
19a、20a 絶縁フィルム(誘電体膜)
19b、20b 金属膜
19c 金属箔
19d 酸化金属膜(絶縁膜)
20 片面電極フィルム(金属化フィルム)
21 マージン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムコンデンサ用のフィルムであって、
金属箔(19c)と、
上記金属箔(19c)上に形成される絶縁膜(19d)と、
上記絶縁膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより形成される誘電体膜(19a)と、
を備えていることを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルムコンデンサ用フィルムにおいて、
上記絶縁膜は、上記金属箔(19c)の表面を酸化処理してなる酸化金属膜(19d)であることを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム。
【請求項3】
金属の層(19c,20b)を有する一対の金属化フィルム(19,20)を重ね合わせた状態で捲回してなるフィルムコンデンサであって、
上記一対の金属化フィルム(19,20)は、少なくとも一方の金属化フィルムが上記請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ用フィルム(19)であることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルムコンデンサにおいて、
上記フィルムコンデンサ用フィルムは、上記誘電体膜(19a)上に、幅方向両端部の少なくとも一方にマージン部(21)が設けられるように金属膜(19b)が形成された両面電極フィルム(19)であり、
上記捲回された一対の金属化フィルム(19,20)の両端部には、それぞれ引出電極(14,15)が形成されていて、
上記一対の金属化フィルム(19,20)は、上記両面電極フィルム(19)において上記マージン部(21)が設けられた幅方向端部で金属箔(19c)を引出電極(14,15)の一方に電気的に接続するとともに、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)を引出電極(14,15)の他方に電気的に接続するように、重ね合わされていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルムコンデンサにおいて、
上記一対の金属化フィルム(19,20)の他方は、誘電体としての誘電体膜(20a)の表面上に、金属膜(20b)が形成されてなる片面電極フィルム(20)であり、
上記一対の金属化フィルム(19,20)は、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、上記両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)を上記引出電極(14,15)の一方に電気的に接続するとともに、該両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)を上記片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)を介して上記引出電極(14,15)の他方に電気的に接続するように、幅方向にずれて重ね合わされていることを特徴とするフィルムコンデンサ。
【請求項6】
フィルムコンデンサ用フィルムの製造方法であって、
金属箔(19c)の表面に酸化金属膜(19d)が形成された酸化金属箔を準備する工程と、
上記酸化金属箔の酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより誘電体膜(19a)を形成する誘電体膜形成工程と、
を有することを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルムの製造方法。
【請求項7】
金属の層(19c,20b)を有する一対の金属化フィルム(19,20)を重ね合わせた状態で捲回してなるフィルムコンデンサの製造方法であって、
金属箔(19c)の表面に形成された酸化金属膜(19d)上にコーティング組成物を塗布することにより形成される誘電体膜(19a)の表面上に、幅方向の少なくとも一方にマージン部(21)が設けられるように金属膜(19b)を形成することで、上記一対の金属化フィルム(19,20)の少なくとも一方の金属化フィルムとしての両面電極フィルム(19)を形成する両面電極フィルム形成工程と、
上記一対の金属化フィルム(19,20)を、上記両面電極フィルム(19)の金属膜(19b)が他方の金属化フィルム(20)の金属の層(20b)と接触し、且つ、該両面電極フィルム(19)のマージン部(21)の少なくとも一部が露出するように、幅方向にずらした状態で重ね合わせて捲回する捲回工程と、
上記捲回工程によって捲回された上記一対の金属化フィルム(19,20)の両端部に引出電極(14,15)を形成する引出電極形成工程と、を有していることを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルムコンデンサの製造方法であって、
誘電体としての誘電体膜(20a)上に金属膜(20b)を形成することで、上記一対の金属化フィルム(19,20)の他方の金属化フィルムとしての片面電極フィルム(20)を形成する片面電極フィルム形成工程を有していて、
上記捲回工程では、上記両面電極フィルム(19)及び片面電極フィルム(20)を、それぞれの金属膜(19b,20b)同士が接触し、且つ、上記両面電極フィルム(19)の金属箔(19c)と片面電極フィルム(20)の金属膜(20b)とが幅方向にずれて上記マージン部(21)の少なくとも一部が露出するように、幅方向にずらした状態で重ね合わせて捲回することを特徴とするフィルムコンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−29442(P2011−29442A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174288(P2009−174288)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】