説明

フィルム処理装置

【課題】所定の理由で、現像済み写真フィルムの本スキャン処理時間が所定時間よりも長くなった場合に、次の現像済みフィルムを自動的にフィルムスキャナーに搬送して、スキャン処理可能なフィルム処理装置を提供することである。
【解決手段】フィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSと、搬送ユニットFCとを備えたフィルム処理装置FAであって、フィルムスキャナーFSは、写真フィルムのプレスキャンを解析するプレスキャン解析手段101と、この解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーから当該写真フィルムを収納手段18に排出するように制御する制御手段25とを備え、搬送制御部70は、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送するように制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから所定の間隔で排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーとを結合して一体化したシステムとしては、下記特許文献1に開示される写真感光材料処理装置が公知である。フィルムプロセッサにおいて写真フィルムの現像処理を行う場合には、写真フィルムの先端にフィルムリーダと呼ばれる案内部材を取り付け、写真フィルムはこのフィルムリーダによりフィルムプロセッサ内の各部を移動する。写真フィルムの現像処理及び乾燥処理が終了すると、写真フィルムはフィルムプロセッサから排出されて搬送ユニットへ送り込まれ、まず写真フィルムとフィルムリーダを分離するために写真フィルムの先端部をカットする。フィルムリーダは所定の場所に回収され、現像済み写真フィルムはフィルムスキャナーに引き続き搬送されて、各コマ画像のスキャニングが行われる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−234476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のフィルムスキャナーでの各コマ画像のスキャンニングは、2度行われる。すなわち、1度目のスキャンニングは、各コマ画像を低解像度で読み取ることであり、通常、プレスキャンと称される。このプレスキャンでコマ画像数が演算される。次いで、2度目のスキャンニングは、高解像度で読み取られ、通常、本スキャンニングと称される。プレスキャンにおいて、各コマ画像が画像検出(コマの位置を検出)されるが、この際に、フィルム停止位置の確認を装置のオペレータに求めることがある。これは、例えば、フィルム先端部分のコマ画像が、露光されて画像データとして使用できないような場合(これは、カメラにフィルムを装着する際にかならず生じる露光が原因である)や、コマ位置を認識できない状況の場合(例えば、露出アンダーの場合にコマの境界部分が不鮮明であればコマ位置の認識ができないと判断される)に、フィルム停止位置確認を求めるものである。
【0005】
このような場合、従来のフィルム処理装置では、オペレータがフィルム停止位置確認の判断を行うまで本スキャンを開始することができなかった。そして、本スキャンが中断された状況で、フィルムプロセッサーから次の現像済み写真フィルムが排出される場合、フィルムスキャナーには搬送できず、フィルムストッカーに排出するように構成されていた。そのため、オペレータがフィルム処理装置の付近に待機していない場合に、上記のような状況が発生すると、現像済み写真フィルムが次から次へとフィルムストッカーに排出されてしまい、自動的にフィルムスキャナーに搬送されてスキャンニングが行われないことになる。そして、後にオペレータが手動でスキャン処理する必要があり作業効率が大変悪いものであった。
【0006】
また、フィルムの撮影条件(低・中・高解像度、プリントサイズ)により、本スキャン処理時間が、所定の処理時間よりも長くなった場合、フィルムの本スキャン処理中に、次のフィルムの現像処理が終了して、フィルムプロセッサーから排出された現像済み写真フィルムは、フィルムストッカーに排出される。これは、現像処理後にフィルムスキャナーに自動的に搬送され、スキャンニングが行われるように、あらかじめ、写真フィルムと次の写真フィルムとの間にインターバル時間が設定されており、このインターバル時間に従って、次の写真フィルムの現像処理が開始されるように設定されている。このインターバル時間は、例えば、フィルム長さ、フィルム読み取り解像度、スキャン処理時間、フィルム搬送時間によって決定される。
【0007】
そして、上記のように、本スキャン処理が所定の本スキャン予定処理時間よりも長くなった場合、従来の装置では現像処理後の写真フィルムをストッカーに排出しており、この場合も上記のフィルム停止位置確認のときと同様に、排出されたフィルムを、後で手動でスキャン処理する必要があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、所定の理由で、現像済み写真フィルムの本スキャン処理時間が所定の本スキャン予定時間よりも長くなった場合に、次の現像済みフィルムを自動的にフィルムスキャナーに搬送して、スキャン処理可能なフィルム処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係るフィルム処理装置は、
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから所定の間隔で排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置であって、
前記フィルムスキャナーは、
前記写真フィルムのプレスキャンを解析するプレスキャン解析手段と、
前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーから当該写真フィルムを収納手段に排出するように制御する制御手段とを備え、
前記搬送制御部は、
次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに搬送するように制御する
ことを特徴とする。
【0010】
この構成による作用効果を以下に示す。すなわち、フィルム処理装置は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから所定の間隔で排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備える。ここで、「所定の間隔」は、例えば、現像処理される写真フィルムのインターバル時間である。このインターバル時間は、現像処理とスキャン処理が自動的に行われるように、例えば、フィルム長さ、スキャン解像度、スキャン処理時間、フィルム搬送時間等に基づいて算出される。
【0011】
そして、フィルムスキャナーのプレスキャン解析手段は、写真フィルムのプレスキャンの結果を解析する。プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーから当該写真フィルムを収納手段に排出するように制御手段によって制御する。また、搬送制御部は、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに搬送するように制御する。
【0012】
これによって、スキャン処理中の写真フィルムの本スキャン処理を実行せずに、次の写真フィルムを優先して自動的にスキャン処理できる。装置のオペレータが装置付近を離れることが多い場合に上記のようにフィルムが排出されると、従来装置であれば1本以上であったのが、本発明の装置では1本のみとなるので、手動でスキャン処理する処理時間を最小時間に抑えることができ、作業効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0013】
また、他の本発明は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから所定の間隔で排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置であって、
前記フィルムスキャナーは、
前記写真フィルムのプレスキャンを解析するプレスキャン解析手段と、
前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
この構成による作用効果を以下に示す。すなわち、フィルム処理装置は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから所定の間隔で排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備える。
【0015】
そして、フィルムスキャナーのプレスキャン解析手段は、写真フィルムのプレスキャンを解析する。このプレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御手段によって制御する。
【0016】
これによって、スキャン処理中の写真フィルムの本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断されても、本スキャン処理を実行することができる。
【0017】
また、本発明のフィルム処理装置において、前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーから当該写真フィルムを収納手段に排出するように制御され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに搬送するように制御される第1制御モードと、
前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御される第2制御モードとを、
選択可能に設定するモード設定手段をさらに備えることは好ましい実施態様である。
【0018】
この構成によって、モード設定手段は、プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーから当該写真フィルムを収納手段に排出するように制御され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに搬送するように制御される第1制御モードと、プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御される第2制御モードとを、選択可能に設定するように構成される。
【0019】
これによって、オペレータが装置付近に待機していない場合には、第1制御モードで装置を操作することで、収納手段に排出されるフィルム数を最小限にできる。また、オペレータが装置付近で常に作業を行っている場合には、第2制御モードで装置を操作することで、例えば、フィルム停止位置の確認を本スキャン開始前に判断して、本スキャンを実行できるように構成できる。よって、オペレータによる装置操作の柔軟性を向上させたフィルム処理装置を提供することができ、特に、写真店によって現像同時プリント処理が多く、また、オペレータが装置付近に常に待機していられない場合に、本発明のフィルム処理装置は好ましい。
【0020】
また、本発明のフィルム処理装置において、現像済み写真フィルムの停止位置確認を必要とするとの解析結果である場合に、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断することが好ましい。例えば、現像済み写真フィルムの停止位置確認を必要とする場合には、予め設定されたインターバル時間を越える場合があるため、次の現像済み写真フィルムの自動搬送ができないからである。
【0021】
第1制御モードに設定されていれば、現像済み写真フィルムの停止位置確認を必要とするとの解析結果である場合に、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断され、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずに、収納手段に排出され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに自動的に搬送して、スキャン処理を優先して実行させることができる。
【0022】
よって、本スキャン開始前に、フィルム停止位置確認が必要な場合でもオペレータの判断を待つことなく、スキャン処理中のフィルムをフィルムスキャナーから排出して、次の現像済み写真フィルムを優先してスキャン処理でき、現像処理・スキャン処理を連続して実行できる。
【0023】
また、第2制御モードに設定されていれば、現像済み写真フィルムの停止位置確認を必要とするとの解析結果である場合に、本スキャン処理をそのまま実行するように構成される。そして、オペレータが装置の傍にいれば、フィルム停止位置確認を即座に行えるので、次の現像済み写真フィルムを収納手段に排出することなく、搬送ユニットで自動搬送してフィルムスキャナーにセットするように構成できる。
【0024】
また、本発明のフィルム処理装置において、スキャナー読取時間の変更に基づいて本スキャンの終了時間が所定の間隔より大きくなったとの解析結果の場合に、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断されることが好ましい。例えば、スキャナー読取時間の変更に基づいて本スキャンの終了時間がインターバル時間を越える場合には、次の現像済み写真フィルムの自動搬送ができないからである。
【0025】
第1制御モードに設定されていれば、スキャナー読取時間の変更に基づいて本スキャンの終了時間が所定の間隔より大きくなったとの解析結果の場合に、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断され、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずに、収納手段に排出され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに自動的に搬送して、スキャン処理を優先して実行させることができる。
【0026】
また、第2制御モードに設定されていれば、スキャナー読取時間の変更に基づいて本スキャンの終了時間が所定の間隔より大きくなったとの解析結果の場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行して、次の現像済み写真フィルムは、収納手段に排出されるように構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係るフィルム処理装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、フィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSで構成されるフィルム処理装置FAと、プリント作成装置PAを有するプリント処理システム1全体の外観構成を示す図である。なお、プリント処理システム1は、その他の装置(例えば、注文者用受付端末、記録媒体への書き込み・読み取り装置、インターネット受け付け可能なPC端末等)を有するものであってもよい。
【0028】
<システムの全体構成>
図1において、フィルム処理装置FAは、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサFPと、このフィルムプロセッサFPにより現像処理された現像済み写真フィルムのコマ画像を光電変換によりデジタルの画像データとして取得するためのフィルムスキャナーFSとを上下位置に配置する。そして、フィルム処理装置FAは、フィルムプロセッサFPの排出部から排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSの供給部へ搬送するための搬送ユニットFCを備えている。
【0029】
このフィルム処理装置FAは、通信回線を介してプリント作成装置PAに接続される。プリント作成装置PAは、通信機能、オーダー管理・制御機能、画像処理機能、プリント作成機能を有し、コンピュータ、ディスプレイ等の表示手段、キーボード、マウス等のインターフェースとを備えている。この構成によりフィルム処理装置FAで取得した画像データは、通信回線を介してプリント作成装置PAに伝送され、このプリント作成装置PAにより印画紙等のプリント媒体に画像がプリントされる。オーダー管理・制御は、画像データをオーダー単位で管理し、プリント作成の順序を設定できるように構成される。
【0030】
なお、プリント作成装置PAは銀塩式の印画紙を使用するものに限定されず、インクジェット型、昇華型のプリント作成装置を用いてもよい。
【0031】
本発明において、フィルムプロセッサFPにより現像処理される前の写真フィルム(コマ画像が潜像状態のもの)を特に未現像写真フィルムと称し、フィルムプロセッサFPにより現像処理された後の写真フィルム(コマ画像が顕在化したもの)を特に現像済み写真フィルムと称することがある。
【0032】
<フィルムプロセッサ>
フィルムプロセッサFPは、図1、2に示すように、プロセッサ本体の前部にフィルム挿入部11を配置し、プロセッサ本体内部に現像処理部12、乾燥処理部13とを備え、プロセッサ本体の後部に排出部14を配置し、フィルム挿入部11から排出部14にわたって搬送機構15を形成している。プロセッサ本体の前部位置には各種情報を表示する液晶ディスプレイ16aと複数の操作ボタン16bを有したコントロールパネル16を備え、プロセッサ本体内部にフィルムプロセッサFP全体の制御を実現する制御ユニット17を備える。プロセッサ本体の上面には、排出部14から送りだされる現像済写真フィルムを受け止めるフィルムストッカー18(収納手段に相当する)が形成されている。
【0033】
フィルム挿入部11には、開閉自在な蓋体11aを備え、フィルムカートリッジCa(もしくはパトローネ)に収容されたロール状の未現像写真フィルムをセットし、搬送機構15に受け渡す作動系(フィルム駆動機構11e)と、写真フィルムの後端を切断する切断ユニット11bを備える。
【0034】
また、写真フィルムの長さの情報を得るために、搬送機構15によって搬送される写真フィルムの先端及び後端の通過を検出するローディングセンサー11c(フィルム位置検出センサーに相当)を備える。ローディングセンサー11cは、例えば、一対の光学式センサー(受光式、投光式)、反射型センサー、レーザセンサー、その他の近接センサー、イメージセンサー等で構成できるが、一対の光学式センサー(受光式、投光式)が好ましい。このローディングセンサー11cは、フィルム先端位置(もしくはフィルムリーダの先端位置)とフィルム後端位置を検出することができる。これら検出された先端位置と後端位置情報に基づいて、写真フィルムの長さ情報を演算することができる(後述)。
【0035】
APSフィルムの現像処理の場合、カートリッジCaから引き出した写真フィルムの先端にフィルムリーダLを取り付け、蓋体11aを開放して、このフィルムリーダLが先行するようにフィルム挿入部11にカートリッジCaをセットする。写真フィルムFとフィルムリーダLとを接続した状態を図3に示す。フィルムリーダLは、樹脂製のフィルムと同程度の柔軟性を持つシート状部材であり、写真フィルムFよりも大きな幅寸法を有する。フィルムリーダLには、多数のパーフォレーションLaが形成されており、このパーフォレーションLaと噛み合うスプロケットにより、写真フィルムFはフィルムプロセッサFP内を搬送される。かかるパーフォレーションLaを設けることで、フィルムプロセッサFP内をすべりが生じることなく確実に写真フィルムを案内することができる。
【0036】
パーフォレーションLaは、好ましくは、図示のようにフィルムリーダLの幅方向の片側端部(図3(b)参照)に形成されるが、両側端部に形成されていてもよい。写真フィルムFとフィルムリーダLとの連結は、図3(a)に示すように、フィルムリーダLに形成された係合突起を写真フィルムFに形成された孔に挿入することで連結してもよいし、図3(b)に示すように、粘着テープTにより写真フィルムFの先端部とフィルムリーダLとを連結してもよい。使用されるフィルムリーダLの形状・大きさは予め決まっている。また、フィルムリーダLと写真フィルムFの連結は治具を用いて行なうため、フィルムリーダLに対する写真フィルムFの連結位置(貼り付け位置)も予め決まっている。
【0037】
フィルムリーダL付きの写真フィルムFをセットして、蓋体11aを閉じた後、コントロールパネル16の所定の操作ボタン16bを操作することで制御ユニット17の制御によってフィルム搬送(ローディング)が開始され、現像処理部12での現像処理と、乾燥処理部13での乾燥処理の後に排出部14からフィルムリーダLを先頭にして写真フィルムが排出される。この場合、カートリッジ検出手段11dがカートリッジCaを検出して、次いで、蓋体11aを閉じると、ローディングが開始され、写真フィルムFが搬送開始される。
【0038】
制御ユニット17は、ローディングを開始するようにフィルムプロセッサFPの各要素を制御する。フィルム駆動機構11eが、フィルムリーダL及び写真フィルムFを圧着ローラで狭持しながら現像処理部12まで搬送し、ローディングセンサー11cが搬送されてきたフィルムリーダL及び写真フィルムの先端を検出すると、現像処理部12及び乾燥処理部13の搬送機構部15が駆動され、フィルムリーダL及び写真フィルムを圧着ローラで挟持して、現像処理部側に搬送する。ここで、フィルム駆動機構11eと搬送機構15は、別駆動で動作する。なお、フィルムプロセッサFPでの「ローディング」とは、フィルムカートリッジCaから写真フィルムがフィルム駆動機構11eによって引き出され、現像処理部12に搬送される動作を意味する。
【0039】
現像処理部12は、発色現像槽、漂白槽、定着槽、安定槽を有し、現像処理部12内部において搬送機構15は、フィルムリーダL及び写真フィルムを搬送するためフィルムリーダLのスプロケットLaと係合する複数のスプロケット機構と圧着ローラ機構15aを備えている。また、乾燥処理部13は、現像処理部12から搬送されてきた写真フィルムを乾燥するブロワ13aを備える。同様に、乾燥処理部13にも上記スプロケット機構と圧着ローラ機構が備えられている。搬送機構15は、スプロケット機構と圧着ローラ機構15aと、これらを電動モータ(不図示)で同期駆動する駆動系を備えている。
【0040】
排出部14には、現像済み写真フィルムをフィルムプロセッサFPから排出するための排出ローラ15bが設けられている。排出ローラ15bにより排出された写真フィルムは、搬送ユニットFCに受け渡されフィルムスキャナーFSへと搬送されることになる。
【0041】
フィルムスキャナーFSは、図1,2に示すように、スキャナー本体の下部にフィルムキャリア21を配置し、このフィルムキャリア21の下側に光源ユニット22を、フィルムキャリア21の上側にズームレンズ23と光電変換ユニット24とを配置している。スキャナー本体の内部にスキャナー制御部25(制御ユニット)を配置している。フィルムスキャナーFSは、フィルムプロセッサFPに固定されており、排出部14の排出ブロック上部位置に配置されている。
【0042】
フィルムキャリア21は、フィルムプロセッサFPの前部と同じ方向に現像済写真フィルムの供給部21aを形成し、この供給部21aからフィルムを後部側に搬送しながらスキャニングを行えるように構成される。なお、フィルムキャリア21に写真フィルムを送り出す前に、搬送ユニットFCにおいて写真フィルムからフィルムリーダLを切り離す処理がなされる。また、フィルムキャリア21は、搬送ローラ21bを駆動する搬送モータ(不図示)を備える。
【0043】
光源ユニット22は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の発光ダイオード(不図示)を有し、ズームレンズ23は、焦点距離の調節によって、写真フィルムのコマの情報を設定された拡大率で光電変換ユニット24の光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応してCCD等の光電変換素子でなる3つのラインセンサ(不図示)を備える。
【0044】
<搬送ユニットの構成>
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSへ搬送するための搬送ユニットFCの構成を図4により説明する。図4に示すように、フィルムプロセッサFPの排出部14には、排出ローラ15bが設けられている。
【0045】
搬送ユニットFCは、フレームに固定された搬送ブロックBと、所定の軸芯周りに回転可能に取り付けられたチャッカーCとを備えている。搬送ブロックBの下側のブロック部の上流側端部には、フィルムガイド30が設けられており、軸芯30a周りに回転可能に軸支されている。フィルムガイド30は、搬送すべき写真フィルムの幅寸法に対応したガイド部を備えており、図4に示す第1位置と想像線で示す第2位置との間をガイド切替ソレノイド31によりいずれかの位置に切り替えられる。第1位置にセットされているときは、写真フィルムをフィルムスキャナーFSの方向に導くことができる。第2位置にセットしているときは、写真フィルムはフィルムストッカー18に排出される。
【0046】
搬送経路に沿って、上流側の搬送ローラ対32aと下流側の搬送ローラ対32bとからなるローラ搬送機構32が設けられている。各搬送ローラ対32a,32bは、駆動ローラと圧着ローラにより構成され、第1駆動モータM1により同期駆動される。下流側の搬送ローラ対32bの上流側近傍に第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34が設けられている。これらのセンサーは、発光素子と受光素子からなる光センサーであり、写真フィルムやフィルムリーダがセンサー位置を通過すると、透光状態から遮光状態に切り換わることで検出を行なう。第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34は、図4の紙面に直交する方向から見ると同じ位置に配置されているが、幅方向において異なる位置に配置されており、写真フィルムとフィルムリーダを別々に検出することができる。
【0047】
下流側搬送ローラ対32bの更に下流側には、写真フィルムとフィルムリーダを切り離すためのカッター35が設けられており、カットモータ36により駆動される。カットされたフィルムリーダはリーダーストッカー19に回収される。カッター35のすぐ下流側には、第2フィルムセンサー37が設けられており、フィルムリーダの先端や写真フィルムの先端を検出する。第2フィルムセンサー37も第1フィルムセンサー33と同様の光センサーで構成することができる。
【0048】
チャッカーCはフィルムリーダが切り離された写真フィルムの先端部を挟持ローラ対40により挟持し、フィルムスキャナーFSの供給部21aへと搬送する。チャッカーCは、チャッカー駆動モータにより軸芯41回りに回転可能に設けられている。チャッカーCは、図4に示すような写真フィルムを受け取る受け取り位置と、写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡し可能な受け渡し位置の間を回転可能であり、更に、ループボックス50内にループを形成するためにループ形成位置において中間停止することができる。
【0049】
搬送ユニットFCの右側の空間はループボックス50であり、写真フィルムがループを形成するための空間部が形成されている。搬送ユニットFCの上部には、第1ガイド部60と第2ガイド部61が設けられており、夫々写真フィルムを搬送するための搬送経路60a,61aが形成されている。チャッカーCが受け渡し位置に回転してきたときは、第2ガイド部61は経路外に退避するように移動し、第1ガイド部60の搬送経路60aに写真フィルムが受け渡される。
【0050】
ループボックス50の上方には第1排出経路51と第2排出経路52が設けられている。フィルムスキャナーFSによるコマ画像の読み取りが終了した写真フィルムは、第1ガイド部60と第2ガイド部61を逆方向に搬送され、第1排出経路51へと導かれる。第1排出経路51の終端はフィルムストッカー18へと連結されており、スキャニングを終了した写真フィルムはフィルムストッカー18に回収される。
【0051】
フィルムプロセッサFPにより現像処理された写真フィルムは、搬送ユニットFCを介して自動的にフィルムスキャナーFSに送り込まれるが、手動でフィルムスキャナーFSに写真フィルムを供給することもできる。この場合は、第1ガイド部60と第2ガイド部61を開いて、手動で写真フィルムを供給部21aから供給する。例えば、焼き増しプリントの依頼で写真フィルムの現像処理を行わない場合は、手動で写真フィルムをフィルムスキャナーFSに供給する。手動で挿入された写真フィルムは、第2排出経路52から排出されるように構成されている。
【0052】
フィルムスキャナーFSには、搬送経路に沿って搬送ローラ21bが配置されており、その途中に読み取り用の開口部21cが設けられる。この開口部21cの位置に読み取り光軸SLが設定される。供給部21aには、ローディングセンサー26が設けられており、写真フィルムの先端が搬送されてきたことを検出する。この検出に基づいて、各搬送ローラ21bを回転させるための駆動モータを駆動する。また、ローディングセンサー26とは別にレディセンサー27が設けられており、このレディセンサー27による検出タイミングを基準として、写真フィルムの画像スキャニング開始が制御される。
【0053】
<制御ブロック構成>
次に、図5の制御ブロック図によりフィルム処理装置FAの制御機能について説明する。まず、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17の主要な機能を説明する。フィルム端部検出部17aは、ローディングセンサー11cによる検出信号に基づいて、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端位置及び後端位置を検出する。フィルム長さ演算部17bは、フィルム端部検出部17aにより検出された先端位置と後端位置の情報に基づいて、写真フィルムの長さを演算する。実際にローディングセンサー11cにより検出されるのはフィルムリーダの先端であるが、フィルムリーダの大きさは予め分かっているため、その分を差し引くことで写真フィルムの長さを演算することができる。通信制御部17cは、搬送ユニットFCやフィルムスキャナーFSとの通信を行う機能を有する。
【0054】
フィルム位置演算部17dは、写真フィルムの先端位置情報に基づいて、現像済み写真フィルムが搬送ユニットFC内に送り込まれてくるタイミングを演算する。具体的には、排出ローラ15bから所定距離の位置に写真フィルム先端が到達したことを検出する。カウント部17eは、ローディングセンサー11cにより先端が検出された時点から予め設定された所定時間をカウントする。所定時間をカウント終了した時点で、写真フィルムの先端が排出ローラ15bから所定距離の位置に到達していることになる。なお、時間をカウントするのではなく、搬送機構15による搬送量をカウントするように構成してもよい。
【0055】
搬送制御部70は、搬送ユニットFC内を搬送される写真フィルムの搬送・停止を含む駆動制御を統括的に行なう。また、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17及びフィルムスキャナーFSのスキャナー制御部25との通信を行なう。写真フィルムの位置情報や長さ情報は、制御ユニット17からの通信によりデータを受信することができる。
【0056】
搬送量演算部71は、写真フィルムの搬送量を演算する。搬送ユニットFCにおいて写真フィルムの搬送・停止の制御を行うためには、写真フィルムの搬送量を監視することが必要である。搬送量の演算は、各モータ(パルスモータ)を駆動するために供給される駆動パルスの数や、搬送ローラに連動して回転するエンコーダからの信号に基づいて、搬送量を演算することができる。あるいはタイマーによる時間カウントを行なって搬送量を演算してもよい。また、搬送量演算部71は第1フィルム長さカウント部71aと第2フィルム長さカウント部71bの機能を備えており、搬送される写真フィルムの長さをカウントする機能を有する。
【0057】
搬送制御部70は、ガイド切替ソレノイド31、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2、第3駆動モータM3、チャッカーモータCM、カットモータ36に対する駆動制御を行なう。第1駆動モータM1は、ローラ搬送機構32を駆動し、第2駆動モータM2と第3駆動モータM3はチャッカーCの挟持ローラ対40を駆動する。チャッカーC自身には駆動源は搭載されておらず、チャッカーCが受け取り位置にあるときは、第2駆動モータM2と挟持ローラ対40とが機械的に連結し、チャッカーCが受け渡し位置にあるときは、第3駆動モータM3と挟持ローラ対40とが機械的に連結可能に構成されている。第2駆動モータM2と第3駆動モータM3は、搬送ユニットFCのフレームに対して固定されている。
【0058】
第1・第2フィルムセンサー33,37については既に説明した通り、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端・後端の検出を行なう。ホームリミットスイッチ35aは、カッター35がホーム位置にあるか否かを検出する。ホームリミットスイッチ35aは機械的にカッター35を検出するものであるが、光センサーなど他のタイプのセンサーを用いてもよい。
【0059】
ホームセンサー38は、チャッカーCが受け取り位置(ホーム位置)にいることを検出するためのセンサーである。ガイド検出センサー62は、第1ガイド部60が閉じているか否かを検出するためのセンサーである。第1ガイド部60が閉じているときに、チャッカーCにより写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡すことができる。以上の各センサー信号は、搬送制御部70に送信され、これらの検出結果に基づいて、ソレノイドやモータの駆動制御が行なわれる。
【0060】
<フィルム搬送動作>
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済み写真フィルムがフィルムスキャナーFSに搬送されるまでの動作を図6のフローチャート及び図7の動作図に基づいて説明する。
【0061】
フィルムプロセッサFPにおいて未現像写真フィルム(フィルムリーダ)の先端をローディングセンサー11cにより検出すると、カウント部17eによりカウントを開始する(S1,S2)。このカウント値が予め設定した所定値に到達したか否かを判断し(S3)、所定値に到達すれば、フィルム先端排出通知信号を制御ユニット17から搬送制御部70へ送信する。このとき、排出ローラ15bから所定距離の位置に写真フィルム(フィルムリーダ)の先端が到達している。すなわち、この信号により未現像写真フィルムがフィルムプロセッサFPから搬送ユニットFC内へ挿入されてきたことを認識する。
【0062】
搬送制御部70は、処理開始信号をスキャナー制御部25へ送信し、これに対する応答信号をスキャナー制御部25から搬送制御部70へ送信する。この信号によりスキャニングが許可されたか否かを判断し(S5)、許可されていなければ、ガイド切替ソレノイド31は第2位置のままとなる。従って、写真フィルムはフィルムストッカー18へと排出され、フィルムスキャナーFSには搬送されない。スキャニング許可が出ないのは、現在フィルムスキャナーFSが使用中(例えば、手動で写真フィルムを挿入して処理している状態)であるなどの理由による。
【0063】
スキャニング許可状態であれば、ガイド切替ソレノイド31をONにし、フィルムガイド30を図7Aに示すように第2位置から第1位置へと切り替える。次に、第1駆動モータM1と第2駆動モータM2を駆動する。これにより、フィルムリーダLを先頭にして写真フィルムFが引き続き搬送経路に沿って搬送されることになる。第1・第2駆動モータM1,M2の回転速度は排出ローラ15bの回転速度と同期した形で行なわれる(S7)。フィルムプロセッサFPが駆動している間、排出ローラ15bは常に所定速度で回転している。
【0064】
フィルムリーダL付き写真フィルムFが搬送されると、第1フィルムセンサー33及びリーダセンサー34が透光から遮光状態に変化する(S8)。これらのセンサーが共に遮光状態になった時点から、フィルムリーダLの先頭位置のカウントを開始する(S9)。これは搬送量演算部71の機能に基づき行われる。
【0065】
引き続き写真フィルムFを搬送すると第2フィルムセンサー37が透光から遮光状態に切り替わる(S10)。この遮光から所定量写真フィルムを搬送した時点で第1・第2駆動モータM1,M2を共に停止させる(S11)。このときの状態を図7Bに示す。この場合、排出ローラ15bは依然として駆動される状態であるため、図7Cに示すように排出ローラ15bと上流側搬送ローラ対32aの間の空間(ループ形成部に相当)に写真フィルムFのループRが形成される(S12)。所定量のループRを形成するために、所定時間だけ第1・第2駆動モータM1,M2は停止させられる。所定量のループRが形成されたか否かは、上記のようにモータの駆動停止時間で決められるため、ループRの大きさを検出するための専用のセンサーは不要である。
【0066】
所定量のループRが作成された後、ガイド切替ソレノイド31をOFFにし、第1位置から第2位置へと切り替える(S14)。これにより、フィルムガイド30は写真フィルムFの幅をガイドできる状態となり、写真フィルムFの蛇行等を補正することができる。また、この時点ではフィルムリーダLはフィルムガイド30の位置を完全に通過している状態である。
【0067】
次に、再び第1・第2駆動モータM1,M2を排出ローラ15bと同期する形で駆動する(S15)。再び、フィルムリーダLを先頭に写真フィルムFの搬送が開始される。フィルムリーダLの後端がリーダセンサー34の位置を通過すると、リーダセンサー34は遮光から透光状態に切り替わる(S16)。そして、この透光状態に切り替わってから所定距離搬送した時点で第1駆動モータM1をまず先に停止させ、その直後に第2駆動モータM2を停止させる(S17,18)。この状態を図7Dに示す。なお、チャッカーCは受け取り位置において待機しており、挟持ローラ対40と第2駆動モータM2とは機械的に連結されている。
【0068】
フィルムリーダLは、チャッカーCの挟持ローラ対40に挟持され、先端はチャッカーCから垂れ下がった状態になる。また、フィルムリーダLの後端は、カッター35によるカット位置を通過している。従って、この状態はフィルムリーダLと写真フィルムFとを分離する準備が整った段階を示している。第1駆動モータM1を第2駆動モータM2よりも直前に停止させることで、カット位置における写真フィルムFのたるみを解消することができる。カット位置は、フィルムリーダLの後端から所定距離(例えば、20mm程度)の位置にある。
【0069】
次に、カッターモータ36を駆動しフィルムリーダLと写真フィルムFを切り離す(S19)。なお、カッター35の動作のチェックはホームリミットスイッチ35aの検出結果等に基づいて行なわれる。カット処理終了後、第2駆動モータM2を駆動することで、分離されたフィルムリーダLが搬送され、リーダーストッカー19へと回収される。フィルムリーダLが搬送されると、第2フィルムセンサー37が遮光から透光状態に切り替わる(S21)。
【0070】
第2フィルムセンサー37が透光状態になってから所定量挟持ローラ対40を駆動した後、第2駆動モータM2を停止させる(S22)。フィルムリーダLを排出するときの様子を図7Eに示す。フィルムリーダLを排出するときの第2駆動モータM2の駆動速度は、フィルムリーダL用に設定された速度で行なわれ、排出ローラ15bの駆動速度よりも速い速度とすることが好ましい。
【0071】
次に、第1・第2駆動モータM1,M2を再び排出ローラ15bに同期した速度で駆動する(S23)。カットされた写真フィルムFの先端が第2フィルムセンサー37を通過すると、第2フィルムセンサー37は透光から遮光状態に切り替わる(S24)。この切り替わり時に、第1フィルム長さカウント部71aによりフィルム長さのカウントを開始する。遮光状態に切り替わってから所定量だけ更に写真フィルムFを搬送させた後、第1・第2駆動モータM1,M2を共に停止させる(S25)。この時点で写真フィルムFの先端は、挟持ローラ対40から少し突出した状態になっている。
【0072】
第1・第2駆動モータM1,M2の停止により、排出ローラ15bのみが駆動する状態となり、ループ形成部に写真フィルムFのループが形成される状態になり(S26)、これを図7Fに示す。所定量のループRを形成するため、予め設定した所定時間が経過するのを待つ(S27)。
【0073】
所定時間が経過すると、チャッカーモータCMを駆動し、チャッカーCの回転を開始する(S28)。これにより、チャッカーCは軸芯41回りに反時計方向に回転し始める。チャッカーモータCMの駆動開始と同時に第1駆動モータM1をチャッカーCの回転速度に同期した速度で駆動する(S29)。
【0074】
チャッカーモータCMを予め設定した所定量駆動して、チャッカーCがループ形成位置(中間位置)に到達するとチャッカーモータCMを停止する(S30)。これと同時に第1駆動モータM1も停止させる(S31)。この状態を図7Gに示す。次に、第1駆動モータM1を排出ローラ15bと速度を同期させて駆動させる(S32)。この動作によりループボックス50内に写真フィルムFのループが形成されていく(S33)。チャッカーCを図示の中間位置で停止させるのは、このループが形成されやすくするためである。ループが形成された状態を図7Hに示す。また、チャッカーCがループ形成位置に到達すると、チャッカーCにより第2ガイド部61が跳ね上げられる。
【0075】
排出ローラ15bにより連続的に写真フィルムFが送り込まれて、その後端が排出ローラ15bから脱出する。フィルム後端が排出ローラ15bから脱出して所定距離Lx(例えば30mm)の位置に到達したことを検出する(S34)。これは、フィルム位置演算部17dの機能に基づいて検出されるものであり、次の式に基づいて演算される。
【0076】
フィルム長さ−L1−L2+L3≦フィルム長さカウント値・・・(A)
ここでフィルム長さ情報は、フィルムプロセッサFP側のフィルム長さ演算部17bの機能により演算されたデータが使用される。L1は、フィルムリーダLと写真フィルムFをカットするときにカットされたフィルムの長さ(前述の例では20mm)である。L2は、第2フィルムセンサー37の位置と排出ローラ15bから所定距離の位置の間のフィルム長さである(図7H参照)。L3はループ形成部において形成されるループ量(例えば、50mm)である。上記L1,L2,L3は、いずれも予め設定された値が使用される。フィルム長さカウント値は、第2フィルムセンサー37がステップS24において写真フィルムの先端を検出してからカウントされるカウント値(搬送された写真フィルムの長さに相当する)である。上記式が成立した時点で、写真フィルムFの後端は完全にフィルムプロセッサFPから排出され搬送ユニットFC内に入っていることになる。第1フィルム長さカウント部71aによるカウントはその後も続けて行なわれる。
【0077】
ステップS34による検出がなされた後、第1駆動モータM1の駆動を停止する(S35)。次に、第1駆動モータM1を最高速度で駆動する(S36)。写真フィルムFの後端が第1フィルムセンサー33の位置を通過すると、第1フィルムセンサー33は遮光から透光状態に切り替わる(S37)。所定距離写真フィルムFを搬送させた後、第1駆動モータM1を停止させる(S38)。このときの状態を図7Iに示す。写真フィルムFの後端は搬送ローラ対32bに挟持されている状態である。また、第1フィルム長さカウント部71aによるフィルム長さカウントは、この時点で終了する。
【0078】
次に、チャッカーモータCMを駆動してチャッカーCを再び反時計方向に回転させる(S39)。ついで、第3駆動モータM3を低速で駆動開始する(S40)。これは、第3駆動モータM3による駆動系とチャッカーCの挟持ローラ対40との噛み合わせをスムーズに行なうためである。ループ形成位置から所定角度回転させると、チャッカーCは受け渡し位置に移動し、チャッカーモータCMを停止させる(S41)。次に、第3駆動モータM3も停止させる(S42)。この状態を図7Jに示す。
【0079】
次に、フィルムキャリア21内のスキャナーモータSMと第3駆動モータM3を最高速度で駆動する(S43)。また、第2フィルム長さカウント部71bにより、フィルム長さのカウント(カウント値(2))が開始される。これにより、写真フィルムFがチャッカーCから排出されて第1ガイド部60の搬送経路60aに挿入され、フィルムスキャナーFS内に供給される。フィルムスキャナーFSのローディングセンサー26により写真フィルムFの先端を検出すると、ローディングセンサー26は透光から遮光状態に切り替わる(S44)。この遮光状態になってから所定量写真フィルムを搬送した後、スキャナーモータSMと第3駆動モータM3を共に停止させる(S45)。この時点で、写真フィルムFの先端は、一番上流にある搬送ローラ対21bから少し突出した状態になっている。これを図7Kに示す。
【0080】
この写真フィルムFが挿入されたことを搬送制御部70からスキャナー制御部25へと通知する(S46)。スキャナー制御部25からスキャニングOKという応答信号があれば(S47)、スキャナーモータSMと第3駆動モータM3を最高速度で駆動する(S49)。スキャニングの許可が出なければ、許可が出るまで待機する(S48)。
【0081】
ステップS49において、スキャナーモータSMの速度よりも第3駆動モータM3の速度の方が若干遅くなるように設定されている。第3駆動モータM3により駆動される駆動系にすべり機構を設けるようにし、フィルムスキャナーFSに送り込まれる写真フィルムFにたるみが生じないようにする。
【0082】
次に、ループボックス50内のループ量が予め設定した所定量以下になったか否かを判断する(S50)。このループ量は次式により演算される。
【0083】
ループ量=フィルム長さカウント値(1)−(フィルム長さカウント値(2)+L4)・・・(B)
ここでフィルム長さカウント値(1)は第1フィルム長さカウント部71aによりカウントされた値が使用される。フィルム長さカウント値(2)は、ステップ43の時点から開始されるフィルム長さのカウント値である。L4は図7Kに示すように、受け渡し位置からローディングセンサー26までの距離である。
【0084】
ループ量が所定量以下になると、第1駆動モータM1を最高速度で駆動する(S51)。所定距離だけ写真フィルムの後端を搬送させると、第1駆動モータM1を停止させる(S52)。これにより、写真フィルムFはスキャナーモータSMと第3駆動モータM3のみで搬送される状態になる。これを図7Lに示す。
【0085】
写真フィルムFの後端が第2フィルムセンサー37の位置を通過すると、第2フィルムセンサー37は遮光から透過状態に切り替わる(S53)。一方、フィルムスキャナーFSにおいては、写真フィルムFのスキャニング動作(プレスキャン)が行なわれる。写真フィルムFの後端がローディングセンサー26の位置を通過すると、ローディングセンサー26は遮光から透過状態に切り替わり(S54)、プレスキャンもしばらくして終了する(S55)。
【0086】
ここで、写真フィルムFのスキャニング動作におけるプレスキャンと本スキャンについて簡単に説明する。図7L等に示すように、写真フィルムが右から左へ移動するときはプレスキャンが行なわれ、プレスキャンが終了して写真フィルムFを左から右に逆移動するときに本スキャンが行なわれる。プレスキャンとは、写真フィルム全体の画像を低解像度で読み取るものであり、コマ画像の位置を特定するなどの処理が行われる。本スキャンにおいては、プレスキャンにおいて特定されたコマ画像を高解像度で読み取るものであり、コマ画像の部分のみが読み取られる。この読み取られたコマ画像の画像データを用いてプリント作成処理が行われる。
【0087】
写真フィルムFの受け渡し位置における送り出しが終了すると、チャッカーモータCMによりチャッカーCを逆回転させる(S56)。チャッカーCが受け取り位置に戻ってくると、ホームセンサー38が透光から遮光状態に切り替わる(S57)。遮光状態に切り替わってから、チャッカーモータCMを停止させる(S58)。チャッカーCがホーム位置に戻ることで、第2ガイド部61も元の位置に復帰する。
【0088】
フィルムスキャナーFSにおいて、プレスキャンが終了した後、本スキャンが開始されると、写真フィルムの先端は第1ガイド部60と第2ガイド部61の各搬送経路60a,61aを通過し、更にループボックス50の周囲に設けられている第1排出経路51を通過してフィルムストッカー18へ回収される。
【0089】
<現像処理・スキャン処理を連続実行する処理動作>
フィルム処理装置FAは、現像処理とスキャン処理を連続して処理するための機能と現像処理とスキャン処理を各々独立して処理するための機能の2つを有している。現像処理とスキャン処理を連続して処理するように設定されている場合、写真フィルムをフィルムプロセッサFPにセットすると上記フィルムプロセッサーFPの動作説明で記載したように、現像処理がなされ、この現像処理済み写真フィルムが搬送ユニットFCによって自動的にフィルムスキャナーFSに搬送され、スキャン処理が実行される。そして、順次写真フィルムをフィルムプロセッサFPにセットすれば、上記のように現像処理、スキャン処理が連続して行われる。ここで、連続して現像処理とスキャン処理を実行するためには、写真フィルムのローディング開始タイミングを制御する必要があり、通常、所定のインターバル時間が設定される。このインターバル時間は、フィルム長さ、スキャン解像度、現像処理時間とスキャン処理時間、搬送処理時間、フィルムスキャナーの処理能力に基づいて予め設定されるものであり、例えば、135mmフィルムで36枚撮りで、スキャン解像度が高解像度であれば、25秒、30秒等が予め設定される。
【0090】
しかし、何らかの理由で、スキャン処理時間が長くなり、次の現像済み写真フィルムを自動的にフィルムスキャナーFSにセットしてプレスキャン処理を開始できない場合がある。その理由としては、例えば、現像済み写真フィルムの停止位置確認を必要とする場合、スキャナー読取時間が変更された場合や、オペレータのミスとして、写真フィルムが逆に巻かれたカートリッジをセットした場合、白黒フィルムが誤ってセットされた場合にオペレータに確認要求する場合や、装置トラブルとして、フィルム詰まりが発生した場合に強制中断された場合等がある。
【0091】
かかる場合に、フィルムスキャナーFSのプレスキャン解析手段101は、写真フィルムのプレスキャン結果を解析する。例えば、プレスキャン解析手段101は、写真フィルムをプレスキャンした結果、コマ画像を検出し、写真フィルムの停止位置確認が必要であると判断する場合がある。かかる場合、プレスキャンした後に、オペレータに停止位置確認を要求する。この停止位置確認要求に応答しない場合、本スキャンが開始されない。
【0092】
よって、本スキャンの終了時間が予め設定されている本スキャン予定時間より長くなるため、これによりフィルム間のインターバル時間が詰まり、次の現像済み写真フィルムが自動搬送されてフィルムスキャナーFSにセットできない場合が生じる。かかる場合に、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断される。また、停止位置確認が必要であると判断された場合に、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断されるように構成してもよい。
【0093】
そして、この判断結果によって、当該写真フィルムの本スキャンは、そのまま実行するようにスキャナー制御部25(制御手段に相当)によって制御される。そして、搬送制御部70は、上記したように、次に搬送される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送せずに、フィルムストッカー18に排出するように制御する。
【0094】
また、オペレータが予め設定されているスキャナー読取時間を変更した場合、本スキャン時間が所定の間隔を越える場合がある。本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断されると、当該写真フィルムの本スキャンは、そのまま実行するようにスキャナー制御部25によって制御される。そして、搬送制御部70は、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送せずに、フィルムストッカー18に排出するように制御する。また、予め設定されているスキャナー読取時間をそれよりも長時間に変更した場合に、本スキャン時間が所定の間隔を越えると判断するように構成してもよい。
【0095】
以上のように、本スキャン処理が優先され、次の現像済み写真フィルムがフィルムストッカー18に排出される処理動作を第2制御モードと称する。なお、フィルムストッカー18に排出された写真フィルムは、後に、オペレータが手動でスキャン処理を実行させる必要がある。
【0096】
この第2制御モードにおいては、排出部14に排出された写真フィルムは、フィルムストッカー18に排出されるように構成されている。しかし、オペレータが装置から長時間離れている場合には、写真フィルムの停止位置確認が行われないため、フィルムプロセッサーFPに複数の写真フィルムがセットされている場合に、インターバル時間をおいて、現像処理が自動的に開始され、現像済み写真フィルムがフィルムストッカー18に順次排出されてしまい、フィルムストッカー18に写真フィルムが溜まってしまう。
【0097】
そこで、オペレータへの確認要求を行わず、スキャン処理中の写真フィルムの本スキャン処理を実行せずに、フィルムストッカー18に排出して、次の写真フィルムを優先して自動的にスキャン処理できるように制御するように構成する。この処理動作を第1制御モードと称する。
【0098】
すなわち、スキャナー制御部25は、プレスキャン解析手段101の解析結果が、本スキャンの終了時間が予め設定されている本スキャン予定時間よりも長くなり、本スキャン終了時間が、インターバル時間(所定の間隔に相当)を超えると判断された場合には、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーFSから当該写真フィルムをフィルムストッカー18に排出するように制御する。また、搬送制御部70は、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送するように制御する。これによって、スキャン処理中の写真フィルムの本スキャン処理を実行せずに、次の写真フィルムを優先して自動的にスキャン処理できるように構成される。
【0099】
上記の第1制御モードと第2制御モードを選択できるように構成することは好ましい実施態様である。すなわち、モード設定手段102は、プレスキャン解析手段101の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーFSから当該写真フィルムをフィルムストッカー18に排出するように制御され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送するように制御される第1制御モードと、プレスキャン解析手段101の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御される第2制御モードとを、選択可能に設定する。
【0100】
これによって、第1制御モードに設定すれば、スキャン処理中の写真フィルムの本スキャン処理を実行せずに、次の写真フィルムを優先して自動的にスキャン処理でき、オペレータは長時間装置から離れる場合に適したものとなる。一方、第2制御モードに設定すれば、スキャン処理中の写真フィルムの本スキャンの終了時間がインターバル時間(所定の間隔)を超えると判断されても、本スキャン処理が実行される。そして、次の現像済み写真フィルムは、フィルムスキャナーに自動搬送されずに、フィルムストッカー18に搬出されるように構成される。
【0101】
ここで、「所定の間隔」は、インターバル時間を意味しているが、特にこれに制限されず、例えば、直前の写真フィルムのスキャン処理中の任意の時点において、次の現像済み写真フィルムがプレスキャン開始されるまでの時間間隔を意味するものでもよい。「スキャン処理中の任意の時点において、次の現像済み写真フィルムがプレスキャン開始されるまでの時間間隔」は、スキャン処理中の任意の時点における写真フィルム位置からプレスキャン位置に移動するまでの時間であり、フィルムの搬送速度に基づいて算出可能である。
【0102】
<具体的処理動作>
第1制御モード及び第2制御モードの具体的動作を図8のフローチャートに基づいて説明する。以下の動作では、フィルム処理装置FAは、現像処理・スキャン処理が自動で実行され、スキャン処理されて読み取られた画像データがプリント作成装置PAに送信され写真プリント処理されるように設定されている。これを現像同時プリントと称する。
【0103】
現像同時プリントにおいて、フィルムプロセッサーFPに未現像写真フィルムをセットし、現像処理を開始する。現像処理済み写真フィルムが搬送ユニットFCによって自動的にフィルムスキャナーFSに搬送され、フイルムスキャナーFSにセットされると、自動スキャンを開始する。スキャン処理として、先ず、プレスキャンが実行される(S100)。ここで、スキャナーによって低解像度で画像の読み取りが行われる。そして、プレスキャン解析手段101によって、所定の解析が行われる(S102)。次いで、自動本スキャン可能か否かが判断される(S103)。フィルムの停止位置確認が必要であるとの解析結果の場合に、自動本スキャンが不可と判断され、ステップS104に行く。一方、フィルムの停止位置確認が必要でないとの解析結果の場合に、自動本スキャンが可能と判断され、ステップS112に行く。
【0104】
ステップS104では、モード設定がいずれに設定されているかを判断する(S104)。第1制御モードに設定されている場合、オペレータに停止位置確認要求を行わずに、スキャン処理中のフィルムを本スキャン処理せずにフィルムストッカー18に排出する(S105)。そして、現像終了後の次の現像済み写真フィルムを搬送ユニットFCによってフィルムスキャナーFSに搬送してセットし、プレスキャンが実行される。これによって、オペレータが装置の傍に待機していなくとも、次の現像済み写真フィルムを自動でフィルムスキャナーFSにセットしてスキャン処理を行えるので、連続した現像・スキャン処理を実現できる、さらに、後で手動でスキャン処理する必要があるフィルムは本スキャン処理されずに排出されたフィルム1本のみであり、よって、手動でのスキャン処理の作業効率が大幅に向上させることができる。なお、本スキャンされずに排出された写真フィルムが存在することは、プリント作成装置PAの制御手段(不図示)によって、表示手段(不図示)に、オーダー一覧として表示される。図9(a)に示すように、オーダー一覧には、オーダー#2のフィルムの処理状況が「本スキャン処理未完了(排出済み)」であり、本スキャン処理されずにフィルムストッカー18に排出された写真フィルムであることが分かる。
【0105】
一方、第2制御モードに設定されている場合、オペレータに停止位置確認要求のお知らせを行う(S106)。すなわち、スキャナー制御部25は、停止位置確認要求指示をプリント作成装置PAに送信し、プリント作成装置PAの制御手段(不図示)が、これに応じて、表示手段(不図示)に停止位置確認要求を表示させる。また、スキャナー制御部25は、停止位置確認要求指示を通知手段(不図示)に送信し、通知手段(不図示)が音でオペレータに通知するように構成してもよい。通知手段は、例えば、従来公知のスピーカー、音声出力装置等で実現される。
【0106】
次いで、次の現像済み写真フィルムを自動挿入しないように変更する(S107)。これは、搬送制御部70によって、搬送ユニットFCを制御することで実現できる。なお、ステップS106とS107の順序を入れ替えてもよい。
【0107】
次いで、オペレータが、停止位置確認要求のお知らせを解除(例えば、OKボタンをクリックする指示)すると(S108)、ステップS109に進む。ステップS109では、オペレータがコマ画像位置の確認を行った場合、ステップS110に行き、スキャン処理中の写真フィルムをそのまま本スキャン処理実行できる(S110)。一方、オペレータが本スキャン実行を中断すると判断した場合、ステップS111に行き、スキャン処理中の写真フィルムを本スキャン処理せずにフィルムストッカー18に排出する(S111)。オペレータが装置の傍に待機していて、停止位置確認要求のお知らせにすぐ対応できるような場合には、ステップS110のように本スキャンを実行させる。すなわち、本スキャン実行させれば、次の写真フィルムを自動的にフィルムスキャナーFSにセットできるように装置を適宜操作することが可能である。これにより、第2制御モードであっても、次の現像済み写真フィルムを自動搬送させてフィルムスキャナーFSにセットすることが可能になる。
【0108】
しかし、本スキャン処理を実行させた場合に、次のフィルムを自動的にフィルムスキャナーFSにセットできない場合において、あえて本スキャン処理を実行させる場合には、次の現像済み写真フィルムを搬送ユニットFCで自動的にフィルムスキャナーFSに搬送せずに、フィルムストッカー18に排出させるように制御する。このフィルムストッカー18に排出された写真フィルムは、上記同様に、オーダー一覧に表示される。図9(b)に示すように、オーダー一覧に、オーダー#4のフィルムの処理状況が「スキャン処理未完了(排出済み)」であり、フィルムスキャナーFSに搬送せずに、フィルムストッカー18に排出された写真フィルムであることが分かる。
【0109】
ステップS103において、自動本スキャンが可能であると判断された場合に、ステップS112に進む。ステップS112〜S119は、スキャナー読取時間が変更された場合の処理について説明したものである。ステップS112では、本スキャン時間(T1)が算出される。本スキャン時間(T1)は、コマ数、スキャン解像度、スキャナーの処理能力に基づいて算出される。例えば、オペレータによるスキャン解像度変更の指示で、スキャナー読取時間が変更される。
【0110】
次いで、次の現像済み写真フィルムのプレスキャン開始までの時間(T2)を算出する(S113)。このT2は、次の写真フィルムの現在位置から算出することができる。すなわち、予め、現像処理の搬送速度、搬送ユニットFCでの搬送速度(リーダーLのカット処理時間を含む)は分かっているので、写真フィルムの先頭の位置が分かると、その位置からフィルムスキャナーFSにセットされる位置に搬送されてくるまでの時間を算出できる。
【0111】
次いで、本スキャン時間(T1)が、次の現像済み写真フィルムのプレスキャン開始までの時間(T2)より小さい場合にステップS115に行く。ステップS115では、スキャン処理中の写真フィルムをそのまま本スキャン処理させるように制御される。これらの処理は、プレスキャン解析手段101の機能による。
【0112】
一方、本スキャン時間(T1)が、次の現像済み写真フィルムのプレスキャン開始までの時間(T2)より小さくない場合にステップS116に行く。ステップS116では、ステップS104と同様に、モード設定がいずれに設定されているかを判断する(S116)。第1制御モードに設定されている場合、スキャン処理中のフィルムを本スキャン処理せずにフィルムストッカー18に排出する(S117)。そして、次の現像済み写真フィルムのプレスキャンが自動で行えるように制御される。
【0113】
一方、第2制御モードに設定されている場合、スキャン処理中の写真フィルムがそのまま本スキャン処理される(S118)。そして、次の現像済み写真フィルムは搬送ユニットFCで自動的にフィルムスキャナーFSに搬送されずに、フィルムストッカー18に排出される(S119)。
【0114】
以上によれば、現在スキャン処理中のフィルムの本スキャンが次のフィルムのプレスキャン開始に間に合わないことを、プレスキャンの解析結果に基づいて、事前に予測して(演算して)、スキャン処理中のフィルムをフィルムスキャナーFSから排出して、次の現像済み写真フィルムを優先してスキャン処理でき、よって、現像処理・スキャン処理を連続して実行できる。
【0115】
以上の本実施形態によれば、現像処理とスキャン処理の連続処理において、プレスキャン解析手段101の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーFSから当該写真フィルムをフィルムストッカー18に排出するように制御され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送するように制御される第1制御モードと、プレスキャン解析手段101の解析結果が、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御される第2制御モードとを、写真店のオペレータによって適宜設定することで、処理効率の向上したフィルム処理装置FAを提供することができる。
【0116】
また、以上の実施形態において、第1制御モードと第2制御モードのモード切替は、オペレータが適宜選択して切り換えるように構成される。また、以上の実施形態において、本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えるか否かの判断として、フィルム停止位置確認要求の有無を判断する場合、または、スキャナー読取時間の変更に基づいて判断する場合について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、フィルム詰まりの原因で本スキャンの終了時間が所定の間隔を超えるか否かを判断してもよい。
【0117】
<別実施形態>
本実施形態では、フィルム位置演算部17dにより検出する写真フィルムF(フィルムリーダL)の先端位置は、排出ローラ15bから所定距離の位置であるが、これに限定されるものではない。例えば、排出ローラ15bにより写真フィルムFが挟持された直後であってもよい。また、所定距離の数値については、適宜設定変更することができる。
【0118】
制御ユニット17が有する機能の一部が搬送制御部70側の機能として設けられていてもよい。フィルム処理装置FAの各制御部、制御手段については、CPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェアと、制御を行うためのソフトウェアを適宜組み合わせることにより構成することができる。
【0119】
本発明において処理対象となる写真フィルムは、ネガフィルムかポジフィルムか限定されるものではなく、また、135タイプやAPSタイプなどの適宜の種類の写真フィルムに対して応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】フィルム処理装置を有するプリント処理システム全体の外観構成を示す図
【図2】フィルム処理装置の全体構成を示す断面図
【図3】写真フィルムとフィルムリーダを連結した状態を示す図
【図4】搬送ユニットの構成を示す断面図
【図5】フィルム処理装置の制御機能を示すブロック図
【図6A】搬送ユニットにおける動作を示すフローチャート
【図6B】搬送ユニットにおける動作を示すフローチャート
【図6C】搬送ユニットにおける動作を示すフローチャート
【図7A】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7B】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7C】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7D】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7E】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7F】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7G】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7H】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7I】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7J】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7K】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図7L】搬送ユニットにおける動作を示す図
【図8】制御モードの動作を説明するフローチャート
【図9】オーダ一覧の一例を示す図
【符号の説明】
【0121】
1 プリント処理システム
11c ローディングセンサー
15b 排出ローラ
17 制御ユニット
17a フィルム端部検出部
17b フィルム長さ演算部
17d フィルム位置演算部
21 フィルムキャリア
25 スキャナー制御部
30 フィルムガイド
32 ローラ搬送機構
33 第1フィルムセンサー
34 リーダセンサー
37 第2フィルムセンサー
40 挟持ローラ対
60 第1ガイド部
61 第2ガイド部
70 搬送制御部
71 搬送量演算部
71a 第1フィルム長さカウント部
71b 第2フィルム長さカウント部
101 プレスキャン解析手段
102 モード設定手段
F 写真フィルム
FP フィルムプロセッサ
FA フィルム処理装置
FC 搬送ユニット
FS フィルムスキャナー
C チャッカー
L フィルムリーダ
M1 第1駆動モータ
M2 第2駆動モータ
M3 第3駆動モータ
CM チャッカーモータ
SM スキャナーモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから所定の間隔で排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置であって、
前記フィルムスキャナーは、
前記写真フィルムのプレスキャンを解析するプレスキャン解析手段と、
前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーから当該写真フィルムを収納手段に排出するように制御する制御手段とを備え、
前記搬送制御部は、
次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに搬送するように制御する
ことを特徴とするフィルム処理装置。
【請求項2】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから所定の間隔で排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置であって、
前記フィルムスキャナーは、
前記写真フィルムのプレスキャンを解析するプレスキャン解析手段と、
前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御する制御手段とを備える
ことを特徴とするフィルム処理装置。
【請求項3】
前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行せずにフィルムスキャナーから当該写真フィルムを収納手段に排出するように制御され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに搬送するように制御される第1制御モードと、
前記プレスキャン解析手段の解析結果が、本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断された場合に、当該写真フィルムの本スキャンを実行するように制御され、次に搬送される写真フィルムをフィルムスキャナーに搬送せずに、収納手段に排出するように制御される第2制御モードとを、
選択可能に設定するモード設定手段をさらに備える請求項1又は請求項2に記載のフィルム処理装置。
【請求項4】
現像済み写真フィルムの停止位置確認を必要とするとの解析結果である場合に、前記本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。
【請求項5】
スキャナー読取時間の変更に基づいて本スキャンの終了時間が前記所定の間隔より大きくなったとの解析結果の場合に、前記本スキャンの終了時間が前記所定の間隔を超えると判断されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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【図7L】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−202059(P2007−202059A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21004(P2006−21004)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】