説明

フィルム挿入装置

【課題】容器1の上部空間内にクッション剤としてフィルムの切断片6Aを挿入する装置の構成を簡素化する。
【解決手段】フィルム切断片6Aを保持するグリッパ38と、フィルム切断片6Aを収容して搬送する円筒状ホルダ68と、グリッパ38が保持しているフィルム切断片6Aを円筒状ホルダ68に押し込む第1プッシャ72と、円筒状ホルダ68に収容されているフィルム切断片6Aを容器1内に押し込む第2プッシャと74を備えている。フィルム切断片6Aを保持しているグリッパ38の上方に円筒状ホルダ68を位置させ、第1プッシャ72によって下方からフィルム切断片6Aを突き上げて円筒状ホルダ68内に収容する。次いで、フィルム切断片6Aを収容している円筒状ホルダ68の下方に容器1を位置させ、第2プッシャ74を上方から下降させて、円筒状ホルダ68内のフィルム切断片6Aを容器1内に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の固形物が充填された容器の上部空間にフィルム等のクッション材を挿入するフィルム挿入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
錠剤等が充填された容器の上部空間内には、輸送中の振動等によって錠剤等が破損することを防止するために、従来から、所定の長さに切断した合成樹脂フィルム等をクッション材として挿入している(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたクッション材の押込み装置は、昇降する2本の押し込みロッドを上方に、2本のガイドパイプを下方に配置したフィルム押し込み手段を備えている。2本の押し込みロッドは、昇降枠に取り付けられて同時に昇降するようになっている。一方の押し込みロッドが、一方のガイドパイプ内に切断されたフィルムを二つ折りにして丸めるように押し込め、他方の押し込みロッドが、このガイドパイプ内に押し込められたフィルムを反転して、すなわち前記ガイドパイプを反転して、フィルムを容器内に挿入充填する。
【0004】
また、特許文献2には、フィルム挿入装置と、このフィルム挿入装置にフィルムの切断片を供給する供給ディスクを備えた構成が記載されている。供給ディスクは、垂直な軸を中心に回転する回転体の外周部に複数のグリッパが設けられており、これら各グリッパが、上流側のカッターで切断されたフィルム切断片を抱き込みベルトを介して受け取る。
【0005】
供給ディスクとフィルム挿入装置は同期駆動されるようになっており、各グリッパが保持しているフィルム切断片は、フィルム挿入装置の回転体の外周部に設けられている円筒状のホルダと上下に重なり合った位置で、上方のプッシャが下降してホルダ内に押し込まれる。一方、搬送コンベヤによって搬送されてきた容器は、前記ホルダの下方に供給され、ホルダと上下の位置を一致させて回転搬送される。容器とホルダが一体的に回転する間に、ホルダが上下反転され、上方の挿入用プッシャが下降して、ホルダ内のフィルム切断片を押し出して容器内に挿入する。
【特許文献1】特公平4−46812号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開2005−239306号公報(第3−5頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1および特許文献2に記載された発明は、いずれも筒状のホルダと、フィルムをホルダ内に挿入する第1プッシャと、ホルダ内のフィルムを容器内に挿入する第2プッシャとを備えており、フィルムを第1プッシャでホルダ内に押し込んだ後、ホルダを反転させ、第2プッシャで押し出して容器内に挿入するようにしている。そのため、ホルダを反転させる機構が必要であり、構造が複雑になるとともに、摩耗粉が発生する危険性がある等の問題があった。しかも、ホルダの下方には錠剤等が充填され、キャッピングが行われていない容器が供給されており、サニタリー性が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上下に貫通した空間を有し、この空間内にフィルムを収容するとともに、循環搬送されるホルダと、フィルム供給手段から供給されたフィルムを保持して前記ホルダの下方へ移送するフィルム保持手段と、昇降可能に設けられ、前記フィルム保持手段によってホルダの下方へ移送されたフィルムをホルダ内に挿入する第1プッシャと、昇降可能に設けられ、ホルダ内に収容されているフィルムを押し出して下方の容器内に挿入する第2プッシャとを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
フィルム保持手段が保持して搬送してきたフィルムの切断片を、第1プッシャによって下方からホルダ内に押し込み、その後、第2プッシャで上方から押し出して容器内に挿入するようにしたので、フィルムが収容されているホルダを反転させる必要がなく、従来の装置と比較して構造が極めて簡素になるとともに、サニタリー性に優れたフィルム挿入装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
フィルム供給手段から供給されたフィルムを、フィルム保持手段によって保持して循環搬送し、上下に貫通したフィルム収容空間を有するホルダの下方へ移送する。ここで第1プッシャを上昇させてホルダ内にフィルムを押し込んだ後、上方から第2プッシャを下降させて、コンベヤによって搬送されてきた容器の上部空間内に挿入するという構成により、構造を簡素化し、サニタリー性を向上させるという目的を達成する。
【実施例1】
【0010】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るフィルム挿入装置の平面図、図2はその縦断面図、図3は前記フィルム挿入装置にフィルムを供給するフィルム供給装置の平面図、図4は図3のIV方向矢視図であり、フィルム供給装置の側面図である。フィルム供給装置(請求項1のフィルム供給手段)2(図1では省略している)によってこの実施例に係るフィルム挿入装置(全体として符号4で示す)に供給されるクッション材としてのフィルム6は、詳細は図示しないが、筒状に成形したものを押しつぶして2枚重ねの状態にしてあり、このフィルム6をロール状に巻き込んで上流側のロールスタンド(図示せず)に支持している。このフィルムロールから、フィルム6を引き出し、複数の送りローラ8(図4参照)を介して下流側のフィルム供給装置2に送る。フィルム6は、このフィルム搬送経路の途中に設けた折り込みガイド(図示せず)によって、幅方向に二つ折りにすることにより4枚重ねの状態にされてこのフィルム供給装置2に搬送される。
【0011】
フィルム供給装置2は、図3および図4に示すように、前記送りローラ8を介して送られてきたフィルム6を送り出すフィードローラ10と、このフィードローラ10によって送り出されてきたフィルム6を所定の長さに切断するロータリーカッター12とを備えている。フィードローラ10の上方には小径のローラ14が配置され、フィードローラ10とこの小径ローラ14との間に前記フィルム6を挟持し、これら両ローラ10、14の回転によって下流側へ送り出すようになっている。また、前記ロータリーカッター12の下方には、このロータリーカッター12によってフィルム6を切断する際にフィルム6の下面側を支持するバックアップローラ16が設けられている。
【0012】
前記フィードローラ10およびロータリーカッター12は、可動ベース18上に取り付けられて一体的に進退動できるようになっている。可動ベース18上には、2枚の側壁20、22が直立して固定されており、前記フィードローラ10およびロータリーカッター12は、これら両側壁20、22間に回転自在に支持された駆動軸10a、12aに取り付けられている。これら各駆動軸10a、12aは、それぞれサーボモータ(図示せず)によって駆動されるようになっており、フィードローラ10は、フィルム6の切断長さに応じて速度を可変制御される。また、ロータリーカッター12は、後に説明するフィルム挿入装置4の能力に応じて可変制御される。なお、このロータリーカッター12の回転速度は、フィルム6の送り速度よりも速いことが条件であり、フィルム6の最も早い送り速度よりも速い速度に設定されている。
【0013】
これらフィードローラ10およびロータリーカッター12の各駆動軸10a、12aは、前述のように図示しないサーボモータによって駆動され、一方、フィードローラ10およびロータリーカッター12と上下に対向して配置されている小径ローラ14およびバックアップローラ16は、それぞれギヤを介してこの駆動が伝達されて、前記フィードローラ10およびロータリーカッター12と逆方向に回転するようになっている。なお、小径ローラ14あるいはバックアップローラ16をサーボモータによって駆動し、この回転をギヤを介してフィードローラ10およびロータリーカッター12に伝達するようにしても良い。また、ロータリーカッター12は、サーボモータによって駆動させる以外にインバータ付きモータを採用しても良いし、フィルム挿入装置4とメカニカルに連結させてもよい。
【0014】
フィードローラ10およびロータリーカッター12が設置されている可動ベース18は、フィルム6の送り方向(図3、図4の矢印A参照)に向かって進退動できるようになっており、フィルム6の切断長さが変更となった場合にはその位置を調整できるようになっている。可動ベース18は、その下面側にナット24が固定されており、このナット24が、下方の基台26内に前記フィルム6の搬送方向Aと平行して配置されたねじ軸28に螺合している。また、可動ベース18の下面側には2個のスライダ30、32が取り付けられており、前記基台26上に設置されたガイドレール34に沿って摺動するようになっている。従って、前記ねじ軸28をハンドル36の操作によって回転させると、可動ベース18上に取り付けられているフィードローラ10およびロータリーカッター12が一体的に進退動する。
【0015】
前記ロータリーカッター12の下流側に、フィードローラ10から送り出されロータリーカッター12によって切断された所定長さのフィルム切断片(所定の長さに切断されたフィルムを符号6Aで示す)を受け取って、後に説明するフィルム挿入装置4のグリッパ38に引き渡す抱き込みベルト40が設けられている。この抱き込みベルト40は、前記基台26上に直立して固定された両側の側壁42、44の一方(図3の下側に位置している、グリッパ38と逆側の側壁44)に、回転自在に支持された上下それぞれ3個のローラ46、48、50、52、54、56と、上方のローラ46、48、50と下方のローラ52、54、56にそれぞれ掛け回された上下2本のエンドレスベルト58、60を備えている。上下のエンドレスベルト58、60の互いに向かい合う部分間に前記フィルム切断片6Aを挟んで前記搬送方向Aに移動し、このフィルム切断片6Aを前記フィルム挿入装置4の各グリッパ38に引き渡す。
【0016】
抱き込みベルト40の各ローラ46、48、50、52、54、56およびこれらローラ46、48、50、52、54、56に掛け回されている上下のエンドレスベルト58、60は、前記フィルム6(フィルム切断片6A)の幅のほぼ2分の1の幅を有している(図3参照)。従って、フィルム切断片6Aを抱き込む際には、フィルム6Aの幅のうち、グリッパ38から遠い側のほぼ2分の1の部分を上下から挟み込むようになっている。この抱き込みベルト40のローラ46、48、50、52、54、56のうち下流側に位置するローラ50または56は、サーボモータ(図示せず)によって駆動されるようになっており、グリッパ38の回転速度に同期して駆動される。なお、下流側の上下2つのローラ50、56のいずれか一方がサーボモータによって駆動され、他方はギアを介してこの駆動を伝達されるようになっている。また、ローラ50またはローラ56は、サーボモータによって駆動させる以外にインバータ付きモータを採用しても良いし、フィルム挿入装置4側とメカニカルに連結して駆動させても良い。
【0017】
前記抱き込みベルト40の入口側(図3および図4の左側)に、上下一対の受け渡しローラ62、64が配置されている。この受け渡しローラ62、64は、前記基台26上に直立して固定された側壁42、44間に回転自在に支持された回転軸62a(受け渡しローラ64の回転軸は図示せず)に取り付けられている。この受け渡しローラ62、64も、図示しないサーボモータによって駆動されるようになっており、前記ロータリーカッター12によって切断されたフィルム切断片6Aを前記抱き込みベルト40に受け渡すようになっている。なお、ロータリーカッター12によって切断されたフィルム切断片6Aは、その先端部が受け渡しローラ62、64に保持されるまで、下方に配置されたガイドレール(図示せず)に支持されて送られる。
【0018】
この受け渡しローラ62、64は、前記フィードローラ10と抱き込みベルト40に速度差がある場合には、加減速を行って速度を調整することが可能である。例えば、抱き込みベルト40の走行速度をフィードローラ10の回転速度よりも速い設定にし、受け渡しローラ62、64がフィルム6の先端を挟持してからこのフィルム6が切断されるまではフィードローラ10の速度と同期させ、切断された後フィルム切断片6Aの後端がこの受け渡しローラ62、64から離れるまでは、抱き込みベルト40の速度に同期するように加速させても良い。
【0019】
前記抱き込みベルト40を介して供給されたフィルム切断片6Aを容器1の空寸部(充填された錠剤等の物品の上部に形成された空間)内に挿入するフィルム挿入装置4は、複数(この実施例では12個)のグリッパ(フィルム保持手段)38を備え、これら各グリッパ38によって切断されたフィルム6Aを一枚ずつ保持して搬送するグリッパ装置66と、このグリッパ装置66の各グリッパ38からフィルム切断片6Aを受け取る複数(この実施例では12個)の円筒状ホルダ68を備え、これら各円筒状ホルダ68内に前記フィルム切断片6Aを一枚ずつ収容して搬送するホルダ装置70と、各グリッパ38が保持しているフィルム切断片6Aを各円筒状ホルダ68内に挿入する第1プッシャ72と、各ホルダ68内に収容されているフィルム切断片6Aを容器1内に挿入する第2プッシャ74とを有している。
【0020】
グリッパ装置66は、長円形の軌跡で回転走行する縦型の搬送ベルト76と、この搬送ベルト76の外面側に円周方向等間隔で取り付けられた複数のグリッパ38とを有しており、各グリッパ38が前記フィルム供給装置2の抱き込みベルト40からフィルム切断片6Aを受け取って搬送する。グリッパ装置66は間欠的に走行するようになっており、グリッパ38の3個分ずつ走行し、一時停止する。この走行中に、各グリッパ38がフィルム切断片6A受け取り位置Bにおいて、フィルム供給装置2から一枚ずつフィルム切断片6Aを受け取る。なお、前記フィルム供給装置2はグリッパ装置66と同期して駆動されており、グリッパ装置66と同じタイミングで間欠的に駆動される。
【0021】
次に、前記図1〜図3およびグリッパ38を拡大して示す図5(a)、(b)によりグリッパ装置66に設けられているグリッパ38の構造について説明する。搬送ベルト76の外面側に、水平な取り付けプレート78を介して、二本一組の垂直なピン80が等間隔で下向きに固定されている。これら各組の垂直ピン80の下端に、搬送ベルト76に対して直角方向を向けて、グリッパ38の固定部82が水平に取り付けられている。また、各ピン80の外周には、円筒部材84が昇降可能に嵌合している。これら各円筒部材84の下部に、搬送ベルト76に対して直角方向を向けたグリッパ38の可動部86が水平に取り付けられて、前記固定部82と上下に重なり合うようになっている。
【0022】
前記水平な取り付けプレート78の下面側と可動部86の上面との間にスプリング88が介装されており、可動部86を常時下方に付勢している。また、各可動部86の内周側には、垂直な取付板90が下方に向けて固定され、その下端部に水平な支持ピン92が搬送ベルト76に対して直交する方向を向けて取り付けられている。この水平な支持ピン92の両端にそれぞれカムフォロア94、96が支持されている。各グリッパ38がフィルム供給装置2からフィルム切断片6Aを受け取る位置(図1のB位置)を含む領域の、半径方向内方側に設けられたカムフォロア94(図5(a)の左側のカムフォロア)の回転経路の下方に、グリッパ38を開放するためのカム98が配置されており、カムフォロア94はこのカム98上を移動し、カム98の形状に応じて上下動することによりグリッパ38の前記可動部86を昇降させる。可動部86の昇降によって前記固定部82と可動部86とが開閉することにより、これら両者82、86間に前記フィルム切断片6Aが挟持され、また、解放される。
【0023】
グリッパ装置66に設けられているグリッパ38が、フィルム保持片6Aを保持して回転移動する経路の外周に、円弧状の支持プレート100が配置されている。この実施例では、グリッパ38がフィルム切断片6Aの幅方向のほぼ2分の1を掴み、残りのほぼ2分の1の部分はグリッパ38の外側にはみ出した状態になるため、回転搬送中にこのフィルム切断片6Aのはみ出した部分が垂れ下がらないように、支持プレート100によって支持するようになっている。
【0024】
複数のグリッパ38を備えたグリッパ装置66に隣接して、グリッパ38と同数の円筒状ホルダ68が同ピッチで設けられたホルダ装置70が配置されている。このホルダ装置70も、長円形の軌跡で回転走行する縦型の搬送ベルト102と、この搬送ベルト102の外面側に等間隔で取り付けられた円筒状ホルダ68とを有している。これらグリッパ装置66とホルダ装置70は、その長手方向を同じ方向(図1の左右方向)に向けて平行して配置されており、その向かい合っている直線部が同方向(矢印C方向)に走行するようになっている。
【0025】
グリッパ装置66は間欠的に走行するようになっており、グリッパ38の3個分ずつ前進し一時停止する。また、ホルダ装置70も同様に間欠的に走行するようになっており、円筒状ホルダ68の3個分ずつ前進し一時停止する。これらグリッパ装置66とホルダ装置70は同期駆動されており、グリッパ装置66の、前記フィルム供給装置2から受け取ったフィルム切断片6Aを保持している3個のグリッパ38が、ホルダ装置70と向かい合う側の直線部(図1および図2中に符号Dで示す直線部)に停止するとともに、ホルダ装置70の3個の円筒状ホルダ68がこの直線部Dに停止する。グリッパ装置66とホルダ装置70が停止した時点では、互いに向かい合う前記直線部Dにおいて、各グリッパ38およびこのグリッパ38に保持されているフィルム切断片6Aが、円筒状ホルダ68の下方にオーバーラップした状態になる。また、3個のグリッパ38が保持しているフィルム切断片6Aが3個の円筒状ホルダ68に引き渡された後、グリッパ装置66とホルダ装置70がともに走行して、次の3個のグリッパ38と、次の3個の円筒状ホルダ68が前記直線部Dに停止する。
【0026】
グリッパ38と円筒状ホルダ68とが上下に重なり合って停止する位置の、各円筒状ホルダ68の下方には、グリッパ38に保持されているフィルム切断片6Aを円筒状ホルダ68内に押し込む第1プッシャ72が設けられている。この第1プッシャ72は、図2に示すように、直立して設置されたサーボシリンダ104によって昇降するようになっており、グリッパ38と円筒状ホルダ68が回転移動している時には、下降してこれらと干渉しない位置に退避し、3個のグリッパ38と3本の円筒状ホルダ68が前記直線部Dに停止した時に上昇して、先端部が円筒状ホルダ68の内部に挿入される。このときに各グリッパ38が保持しているフィルム切断片6Aを各円筒状ホルダ68の内部に押し込む。なお、第1プッシャ72は、3個のグリッパ38が保持しているフィルム切断片6Aを同時に3本の円筒状ホルダ68に押し込むようになっており、3本が等間隔で並列に配置されている。
【0027】
3個のグリッパ38から3本の円筒状ホルダ68へフィルム切断片6Aを受け渡す位置の、グリッパ38の下方には、グリッパ開放用のエアシリンダ106が設けられている。このグリッパ開放用エアシリンダ106は、グリッパ38の下方に設けられている2つのカムフォロア94、96のうち、グリッパ装置66の外側を向いたカムフォロア96の下方に位置するように設置されており、このエアシリンダ106の作動によってカムフォロア96を押し上げることによって、グリッパ38の可動部86を上昇させて保持していたフィルム切断片6Aを離すようになっている。このエアシリンダ106は、前記第1プッシャ72が上昇してフィルム切断片6Aを円筒状ホルダ68内に押し込むタイミングに合わせて作動するようになっており、第1プッシャ72がフィルム切断片6Aを押し上げるとほぼ同時に、グリッパ38の前記カムフォロア96を押し上げて各グリッパ38を開放する。なお、サーボシリンダ104とエアシリンダ106を共通のシリンダとして、第1プッシャ72の昇降とグリッパ38の開閉を一つのシリンダによって行ってもよい。
【0028】
ホルダ装置70の、前記グリッパ装置66と向かい合う直線部Dと逆の直線部Eの下方に、フィルム切断片6Aが挿入される容器1を搬送するコンベヤ108が配置されている。この搬送コンベヤ108は、この実施例では連続的に運転されており、この搬送コンベヤ108の側部に配置されている位置決め用のスクリュー110を間欠的に回転、停止させることにより、搬送コンベヤ108上の3本の容器1を、3本の各円筒状ホルダ68の下方にそれぞれ停止させる。なお、これら容器1は、フィルム挿入装置4に供給される前の工程で、錠剤等の物品が充填されている。
【0029】
搬送コンベヤ108上の容器1が停止し、その上方に円筒状ホルダ68が停止する位置のさらに上方に、円筒状ホルダ68内に収容されているフィルム切断片6Aを容器1内に押し込む第2プッシャ74が配置されている。この第2プッシャ74は直立して設置されたサーボシリンダ112によって鉛直方向に昇降するようになっており、上昇時には、回転移動してくる円筒状ホルダ68に干渉しないように上方へ退避し、下降時には、円筒状ホルダ68の内部を貫通して、先端部が容器1内に挿入される。なお、第2プッシャ72も、3本の円筒状ホルダ68に収容されているフィルム切断片6Aを同時に3本の容器1に押し込むようになっており、3本が等間隔で並列に配置されている。
【0030】
前記構成のフィルム挿入装置4の作動について説明する。ロール状に巻かれたフィルムは、図示しないロールスタンドに支持されている。このロールから引き出されたフィルム6は、複数のガイドローラ8、8に案内されてフィルム供給装置2まで送られている。フィルム供給装置2のフィードローラ10はその上方に配置された小径ローラ14とともに前記フィルム6を挟持し、これら両ローラ10、14の回転によりこのフィルム2をロータリーカッター12の方向へ搬送する。フィードローラ10は図示しないサーボモータによって駆動されるようになっており、その回転速度は、ロータリーカッター12によって切断されるフィルム(フィルム切断片6A)の長さに応じて制御される。
【0031】
フィードローラ10から送られたフィルム6は、ロータリーカッター12によって所定の長さに切断される。ロータリーカッター12による切断時には、下方に配置されているバックアップローラ16によってフィルム6の下面側が支持される。ロータリーカッター12は図示しないサーボモータによって駆動されるようになっており、フィルム挿入装置4の能力に応じて可変制御されるが、その回転速度は、フィルム6がきれいに切断できるようにフィードローラ10の回転速度、すなわちフィルム6の搬送速度よりも常に速くなるように設定されている。
【0032】
前記フィードローラ10とロータリーカッター12は、移動可能なベース18上に配置されてフィルム6の搬送方向Aに進退動できるようになっており、フィルム6の切断長さに応じてロータリーカッター12およびバックアップローラ16と受け渡しローラ62、64との間隔を調整する。つまり、フィルム6がロータリーカッター12によって切断されたときに、その切断されたフィルム6Aの先端が受け渡しローラ62、64に保持されているように、ロータリーカッター12と受け渡しローラ62、64との間隔および受け渡しのタイミングを調整する。
【0033】
ロータリーカッター12によって切断されて、後方のフィルム6から切り離されたフィルム切断片6Aは、その先端部を受け渡しローラ62、64に挟持されて前方へ送られ、抱き込みベルト40に引き渡される。受け渡しローラ62、64は、この実施例では、フィードローラ10およびロータリーカッター12側から送られてきたフィルム6の先端を挟持してから、後方側がロータリーカッター12によって切断されるまでの間は、フィードローラ10の速度に同期して回転し、フィルム6が切断されてからフィルム切断片6Aの後端がこの受け渡しローラ62、64から離れるまでの間は、抱き込みベルト40の速度に同期するように加速される。
【0034】
受け渡しローラ62、64からフィルム切断片6Aを受け取った抱き込みベルト40は、フィルム切断片6Aの幅のほぼ2分の1の幅を有しており、図3に示すように、フィルム切断片6Aの幅方向のほぼ2分の1が、抱き込みベルト40の上下のエンドレスベルト58、60間に挟持され、残りの2分の1は、むき出しの状態のまま搬送される。フィルム切断片6Aの幅方向のほぼ2分の1が抱き込みベルト40に挟持された状態で搬送されていくと、むき出しの状態のほぼ2分の1の部分がグリッパ装置66のグリッパ38と重なり合う位置に移動する。
【0035】
グリッパ38は、抱き込みベルト40からフィルム切断片6Aを受け取る受け渡し位置Bの手前で、グリッパ装置66の内側を向いたカムフォロア94がカム98によって押し上げられ、受け渡し位置Bに到達した時点では、上方の可動部86が上昇して下方の固定部82と上下に離れて開放した状態になっている。前記フィルム切断片6Aの、抱き込みベルト40によって挟持されていない部分が、開放している上方の可動部86と下方の固定部82との間に挿入される。その後、カム98の高さが低くなると、上方の可動部86がスプリング88によって下降して、下方の固定部82との間にフィルム切断片6Aを挟み込む。その後、抱き込みベルト40が前進するとともに、搬送ベルト76が回転移動することにより、フィルム切断片6Aは抱き込みベルト40からグリッパ38に完全に引き渡される。このように抱き込みベルト40ではフィルム切断片6Aの幅方向の一部だけを上下から挟持し、挟持した状態のままで、残りの部分をグリッパ38によって掴むことができるので、折り畳まれたフィルム切断片6Aのハンドリングが安定し、フィルム供給装置2による連続搬送が可能となる。なお、グリッパ38は抱き込みベルト40が挟持していないフィルム切断片6Aの少なくとも一部分を保持すれば良く、必ずしも残りの部分すべてを保持する必要はない。なお、グリッパ装置66は、グリッパ38の3個分ずつ間欠的に走行しており、3個のグリッパ38が連続してフィルム切断片6Aを受け取った後、一旦停止する。
【0036】
グリッパ装置66のグリッパ38に挟持されたフィルム切断片6Aは、搬送ベルト76の走行によってホルダ装置70への供給位置(グリッパ装置66とホルダ装置70とが向かい合う直線部D)へと移動する。ホルダ装置70の円筒状ホルダ68とグリッパ装置66のグリッパ38とが上下に重なり合う位置に到達して一時停止すると、円筒状ホルダ68の下方に配置されている第1プッシャ72が上昇して、グリッパ38に保持されていたフィルム切断片6Aが円筒状ホルダ68内に押し込まれる。また、この第1プッシャ72の上昇するタイミングに合わせて、グリッパ開放用のエアシリンダ106が作動して、グリッパ38の外側を向いたカムフォロア96が押し上げられ、グリッパ38の上方の可動部86が押し上げられて、グリッパ38が開放する。
【0037】
フィルム切断片6Aが押し込まれた3本の円筒状ホルダ68が、円筒状ホルダ68の3本分移動して、次の3本の円筒状ホルダ68が前記グリッパ装置66と対向する直線部に停止する。円筒状ホルダ68が直線部に停止するとともに、グリッパ装置66も次の3個のグリッパ38が同じ直線部に停止して、第1プッシャ72が上昇し、3個のグリッパ38から3本の円筒状ホルダ68へのフィルム切断片6Aの受け渡しが行われる。このとき前記フィルム切断片6Aを収容した3本の円筒状ホルダ68は、前記直線部から移動して図1の右側の円弧状部に停止している。
【0038】
フィルム切断片6Aを収容した前記3本の円筒状ホルダ68は、次の移動により搬送コンベヤ108の上方に位置する直線部Eに停止する。搬送コンベヤ108上の直線部Eに停止した各円筒状ホルダ68の下方には、それぞれ、スクリュー110で位置決めされた3本の容器1が、搬送コンベヤ108の上に停止している。上下の位置を一致させて停止している各容器1および円筒状ホルダ68の上方には、昇降可能な第2プッシャ74が鉛直方向を向けて配置されており、容器1および円筒状ホルダ68が停止すると、サーボシリンダ112の作動により第2プッシャ74が下降する。第2プッシャ74は円筒状ホルダ68内を貫通して先端が容器1内に挿入される位置まで下降し、円筒状ホルダ68内に収容されていたフィルム切断片6Aを容器1内に押し込む。
【0039】
その後、第2プッシャ74が上昇して円筒状ホルダ68の上方へ抜け出した後、3個の円筒状ホルダ68が回転移動して図1の左側の円弧状部に移動するとともに、スクリュー110が回転して搬送コンベヤ108上の容器1も下流側へ搬送される。このようにグリッパ装置66とホルダ装置70が同期して駆動され、3本ずつ両者66、70の対向する直線部Dに停止してフィルム切断片6Aの受け渡しが行われ、その後、円筒状ホルダ68が3本ずつ搬送コンベヤ108によって搬送されてきた3本の容器1上に停止して、フィルム切断片6Aが容器1内に挿入される。この実施例に係るフィルム挿入装置4では、従来の装置のように容器を収容したホルダを反転させる必要がないので、構造が極めて簡素化し、しかも、摩耗粉等が発生するおそれがなく、サニタリー性も優れている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】フィルム挿入装置の全体の構成を示す平面図である。(実施例1)
【図2】前記フィルム挿入装置の縦断面図である。
【図3】フィルム供給装置からフィルム挿入装置へのフィルム受け渡し部を示す平面図である。
【図4】フィルム供給装置の側面図であり、図3のIV方向矢視図である。
【図5】(a)図は、グリッパの中心線に沿う断面図であり、(b)図は、グリッパの正面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 フィルム供給手段(フィルム供給装置)
6 フィルム
6A フィルム切断片
38 フィルム保持手段(グリッパ)
68 ホルダ(円筒状ホルダ)
72 第1プッシャ
74 第2プッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に貫通した空間を有し、この空間内にフィルムを収容するとともに、循環搬送されるホルダと、フィルム供給手段から供給されたフィルムを保持して前記ホルダの下方へ移送するフィルム保持手段と、昇降可能に設けられ、前記フィルム保持手段によってホルダの下方へ移送されたフィルムをホルダ内に挿入する第1プッシャと、昇降可能に設けられ、ホルダ内に収容されているフィルムを押し出して下方の容器内に挿入する第2プッシャとを備えたことを特徴とするフィルム挿入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−261624(P2007−261624A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88345(P2006−88345)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】