説明

フィルム状異方導電性接着剤及びその検査方法

【課題】 貯蔵信頼性、低温硬化性、絶縁安定性、接続信頼性について所定レベルを充足できるフィルム状異方導電性接着剤の提供、及び得られる接合体の接続信頼性、絶縁安定性が不十分となるおそれがあるか否かを、フィルム状異方導電性接着剤の状態で判別できる簡易な検査方法を提供する。
【解決手段】 (A)エポキシ樹脂;(B)導電性粒子;及び(C)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤を含むフィルム状異方導電性接着剤であって、該フィルム状異方導電性接着剤を燃焼して得られるガスの塩素量が600ppm未満である。フィルム状異方導電性接着剤を粉砕して得られた測定用試料を燃焼する工程;及び得られた燃焼ガス中の含有塩素量が600ppm未満か否かを判定する工程を含む検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCDのガラスパネルとフレキシブルプリント配線板(FPC)とのような回路基板同士の接合等に使用されるフィルム状異方導電性接着剤及びその検査方法に関し、特に接続信頼性、絶縁性能の優れたフィルム状異方導電性接着剤、及び所定レベルの絶縁性能、接続信頼性を充足した接合体が得られない可能性のあるフィルム状異方導電性接着剤を効率よく選別できる検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板同士の接合、例えば、図1に示すように、電極1a、1a…が所定間隔をあけて並置されたLCDガラスパネル1と、電極2a、2aが所定間隔をあけて並置されたフレキシブルプリント配線板(FPC)2の接合には、フィルム状の異方導電性接着剤3が用いられている。
【0003】
接合は、通常、LCDガラスパネル1とFPC2とを、各電極1a、2aの組が相対するように向かいあわせ、これらの間に、フィルム状異方導電性接着剤3を挟み込み、一方の回路基板(図1においてはFPC2)を、クッション材4を介して、プレス熱ヘッド5により、他方の接合部材(図1においてはガラスパネル1)へ向けて、加熱加圧することにより行われる。プレス熱ヘッド5を用いた加熱加圧により、相対する電極同士(1aと2a)の間隔が狭められ、フィルム状異方導電性接着剤3は溶融流動して、同一面上にある電極(1a−1a間、及び2a−2a間)の隙間を埋めるとともに、相対する電極同士(1aと2a)の隙間を埋める。
【0004】
図2は、フィルム状異方導電性接着剤3を用いて接合された状態を示している。一般に、導電性粒子(図2中、3aで示す)の流動は、溶融樹脂の流動より遅いため、相対する電極同士(1aと2a)の隙間に多く残存することから、LCDガラスパネル1とFPC2との間が導通状態となる。一方、各接合部材であるガラスパネル1、FPC2のそれぞれにおいて、隣接する電極間間隙に導電性接着剤の硬化物が充填されることにより、接合体の接着強度を確保している。
【0005】
このような回路基板の接合用フィルム状異方導電性接着剤としては、一般に、電気的特性、熱的特性、耐薬品性、接着性等の優れた性能を有するエポキシ樹脂に導電性粒子を分散させた、エポキシ樹脂組成物が用いられる。また、エポキシ樹脂の硬化剤としては、フィルム状異方導電性接着剤としての優れた貯蔵安定性と、接合時の硬化温度を低下できる低温硬化性の双方を充足できるという理由から、アミン系硬化剤のコアを特定のシェルで被覆した所謂マイクロカプセル型硬化剤が、一般に用いられている。
【0006】
近年の電子機器分野において、回路の高密度化や接続信頼性の向上に対応するため、このようなフィルム状異方導電性接着剤に関して、接合体における絶縁安定性及びその信頼性に対する要求は益々厳しくなっており、さらに生産性の観点から、貯蔵安定性を損なわずに、低温硬化性の一層の向上が求められている。
【0007】
低温硬化性と貯蔵安定性を両立し得るマイクロカプセル硬化剤として、例えば、特許4326524号では、アミン系硬化剤を含むコアとアミン系硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物であるシェルとで構成されるマイクロカプセル型硬化剤、又は当該マイクロカプセル型硬化剤をエポキシ樹脂中に分散させてなるマスターバッチ型硬化剤において、含有されている全塩素量が少ない方が、これらの硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性及び硬化性(ゲルタイムが5分未満となる温度)に優れることが示されており(表2)、シェルを構成するエポキシ樹脂中の全塩素量を400ppm以下、アミン系硬化剤に含まれる全塩素量を400ppm以下とした、マイクロカプセル型硬化剤、マスターバッチ型硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物が提案されている。
【0008】
同様に、特許4583373号においても、アミンアダクト、低分子アミン化合物、及びエポキシ樹脂の反応により得られるアミン系硬化剤をコアとし、該コアとエポキシ樹脂との反応により得られるシェルで被覆してなるマイクロカプセル型硬化剤、又はマスターバッチ型硬化剤において、エポキシ樹脂の全塩素量を2000ppm以下とすることが提案され、全塩素量2000ppmを超えるエポキシ樹脂を用いた硬化剤(エポキシ樹脂組成物)では、貯蔵安定性1(粘度上昇率で評価)が悪く、硬化性2(ゲルタイム5分未満となる温度測定)が劣っていることが示されている(表3、表4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許4326524号公報
【特許文献2】特許4583373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、硬化剤又はその構成成分としてのエポキシ樹脂中に含まれる塩素が、硬化性、貯蔵安定性に影響を及ぼすことは知られているが、これを用いて得られた接合体の接続信頼性、絶縁性等についてまでは、上記文献には、特に説明されていない。
【0011】
接合体の接続信頼性、絶縁性に対する影響は、硬化剤の貯蔵安定性、速硬化性とは異なる特性であることから、マイクロカプセル硬化剤として全塩素量400ppm以下のものを用いた場合であっても、接合体の接続信頼性、絶縁性を満足できるとは限らない。
また、硬化剤の種類に応じて、硬化時間、硬化温度を適宜設定することで、フィルム状異方導電性接着剤が十分軟化溶融して、隣接する電極間間隙に充填された接合体を得ることはできる。しかしながら、このように、フィルム状異方導電性接着剤が十分に軟化溶融できる硬化条件(硬化温度、硬化時間)を設定した場合であっても、所定の接続信頼性、絶縁性を有しない接合体が得られる場合がある。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フィルム状異方導電性接着剤において、貯蔵信頼性、低温硬化性だけでなく、絶縁安定性、接続信頼性について所定レベルを充足できるフィルム状異方導電性接着剤の提供、及び得られる接合体の接続信頼性、絶縁安定性が不十分となるおそれがあるか否かを、フィルム状異方導電性接着剤の状態で判別できる簡易な検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、硬化剤だけでなく、種々のフィルム状異方導電性接着剤について、全塩素量を検討し、硬化条件、得られた接合体の接続信頼性、絶縁安定性を検討した結果、本発明に到達した。
【0014】
即ち、硬化剤に含まれる塩素分は、単に硬化剤の貯蔵安定性、低温硬化性に影響を与えるだけでなく、得られる接合体の接続信頼性、絶縁安定性にも影響を与えることが、本発明者らにより明らかとなった。そして、接合体の接続信頼性、絶縁安定性に影響を与える塩素分は、硬化剤に由来するものだけでなく、主成分として用いられている樹脂中に含有されていた場合であっても、同様に影響を与えることを明らかにし、その結果、本発明を完成した。
【0015】
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、(A)エポキシ樹脂;(B)導電性粒子;及び(C)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤を含むフィルム状異方導電性接着剤であって、該フィルム状異方導電性接着剤を燃焼して得られるガスの塩素量が600ppm未満であることを特徴とする。
【0016】
前記(A)エポキシ樹脂は、フェノキシ樹脂、室温で液状の液状エポキシ樹脂、及び室温で固体の固形エポキシ樹脂の混合物であることが好ましい。
【0017】
前記(A)エポキシ樹脂に含有されている全塩素量は、1000ppm以下であることが好ましく、前記(C)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤の全塩素量は、400ppm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の検査方法は、(A)エポキシ樹脂;(B)導電性粒子;及び(C)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤を含むフィルム状異方導電性接着剤の検査方法であって、前記フィルム状異方導電性接着剤を粉砕して得られた測定用試料を燃焼する工程;及び 得られた燃焼ガス中の含有塩素量が600ppm未満か否かを判定する工程を含む。
【0019】
本明細書における全塩素量とは、対象とする試料を燃焼して得られた燃焼ガス中の塩素ガス量を測定することにより得られる値である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、フィルム状異方導電性接着剤に含まれる塩素量を600ppm未満としているので、貯蔵信頼性、低温硬化性だけでなく、絶縁安定性、接続信頼性について優れている。また、本発明の検査方法によれば、同一ラインから製造されるフィルム状異方導電性接着剤から切り取った少量の試料を検査するだけで、接続信頼性、絶縁安定性についての良否判別を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】フィルム状異方導電性接着剤を用いた、回路基板同士の接合方法を説明するための図である。
【図2】フィルム状異方導電性接着剤を用いて接合された回路基板を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、今回、開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
〔フィルム状異方導電性接着剤〕
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、(A)エポキシ樹脂;(B)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤;及び(C)導電性粒子を含むフィルム状異方導電性接着剤であって、当該フィルム状異方導電性接着剤を燃焼することにより得られる燃焼ガスから測定される塩素量が600ppm未満のフィルム状異方導電性接着剤である。
【0024】
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基をもつポリマーであればよく、重合度、分子量、種類などは特に限定せず、重合度が1以下、重量平均分子量が700以下で、常温で液状を示す液状エポキシ樹脂、重合度が1超の固形エポキシ樹脂、結晶性エポキシ樹脂、さらには、フェノキシ樹脂に該当するような高分子量(通常、重合度(n)が100程度以上)のエポキシ樹脂などが含まれる。
【0025】
また、エポキシ樹脂の種類としても、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、その蒸留品、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アルコキシ含有シラン変性エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂を用いることができる。
【0026】
これらのエポキシ樹脂は、単独又は必要に応じて、分子量、反応性、軟化点などが異なる種類のエポキシ樹脂と組み合わせて用いてもよい。好ましくは、フェノキシ樹脂と常温で液状を示す液状エポキシ樹脂との組合せ、さらに好ましくはフェノキシ樹脂と液状エポキシ樹脂と室温で固体である固形エポキシ樹脂との組み合わせなどが挙げられる。
【0027】
高分子量のエポキシ樹脂に該当するフェノキシ樹脂は、通常、軟化点80〜150℃程度であり、常温で固体である。熱可塑性樹脂として挙動することから、フィルム形成性がよい。また、高分子量のフェノキシ樹脂は、接合のための加熱処理の早期段階でおこる、エポキシ樹脂の流動による急激な粘度低下を阻止するとともに、エポキシ樹脂と(B)マイクロカプセル型潜在性硬化剤との急激な硬化反応の進行を防止する。これにより、接合作業の間の適切な流動性を保持し、被接合部材の同一面上にある電極間の隙間(例えば、図1,2における2a−2a間、1a−1a間間隙)にまで樹脂が流入できて、ボイドが少なく、均質性の高い接合部を形成することができる。フェノキシ樹脂としては、GPCにより測定される重量平均分子量が3万以上のものが好ましく、より好ましくは4万以上のもの、さらに好ましくは45000以上ものが用いられることが好ましい。
【0028】
液状エポキシ樹脂は、常温で液状を示すことから、加熱開始とともに速やかに粘度が下がって硬化剤と混ざり合い、素早く反応を進めることができる。固形エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂の加熱開始に伴う急激な粘度低下、これに伴う反応の進行を緩める働きがある。すなわち、液状エポキシ樹脂による急激な粘度低下を抑制し、粘度調整に役立つ。
【0029】
接着剤用組成物におけるエポキシ樹脂の含有率は、同一面上の電極間の絶縁性保持の点から、通常、20〜80重量%程度であり、好ましくは30〜70重量%程度である。
【0030】
また、フェノキシ樹脂を、樹脂全量の20〜40重量%(特に25〜35重量%)含有することが好ましい。20重量%未満では、組成物全体としての固形性を保持することが困難になり、フィルム状異方導電性接着剤を作製することが困難になる傾向にある。
【0031】
ここで、本発明において使用するエポキシ樹脂(複数種類の組み合わせを使用するときは、その総量)の全塩素量が1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは800ppm以下である。このような塩素は、通常、樹脂合成の過程で、エポキシ樹脂原料として用いられるエピクロルヒドリンに由来し、樹脂中に残存したりすることによると考えられる。そして、樹脂中に含有されている塩素量が、得られる接合体の接続信頼性、絶縁安定性に影響を及ぼすからである。
【0032】
(B)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤
マイクロカプセル型潜在性硬化剤とは、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂の硬化剤として作用する、イミダゾール系誘導体を核とし、当該核を膜で被覆したものである。
【0033】
核となるイミダゾール系誘導体は、通常、常温で固体の粉末であり、エポキシ化合物とイミダゾール化合物あるいはイミダゾール化合物のカルボン酸塩との付加物を、適当な粒度に粉砕したものが好ましく用いられる。
【0034】
上記イミダゾール誘導体としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチル−5−メチルイミダゾール、2−フェニル−3−メチル5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びブロム化ビスフェノールA等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
【0035】
被覆膜としては、エポキシ樹脂との相性が良好であるという理由から、通常、ウレタン結合を有する被膜が好ましく用いられる。具体的には、硬化剤本体である粉体表面のOH基に、イソシアネート基を有する化合物を重合反応させて得られる被膜が好ましく用いられる。
【0036】
上記イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのイソシアネート化合物を、常温にて、イミダゾール化合物の表面で重合することにより、被膜が形成される。
【0037】
以上のようなマイクロカプセル型潜在性硬化剤は、通常、平均粒子径1〜10μmであることが好ましい。ここで、平均粒子径の測定は、レーザー回折型測定装置RODOS SR型(SYMPATEC HEROS&RODOS)を用いて、キシレン有機溶剤により固形分として取り出したマイクロカプセル粒子を測定し、体積積算平均粒子径を平均粒子径とした。
【0038】
マイクロカプセル型潜在性硬化剤は、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を、液状エポキシ樹脂中に分散させたマスターバッチ型潜在性硬化剤であってもよい。
また、市販品を用いてもよく、代表的な市販品としては、旭化成イーマテリアルズ社製のノバキュアシリーズが挙げられる。
【0039】
本発明で用いられるマイクロカプセル型潜在性硬化剤は、フィルム状異方導電性接着剤としての全塩素量が600ppm未満、好ましくは500ppm以下となるように、組み合わせて使用する(A)エポキシ樹脂に含有されている全塩素量に応じて選択することが好ましい。硬化剤の貯蔵安定性、低温硬化性の観点からは、400ppm以下、好ましくは100ppm以下のマイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤を使用することが好ましい。
【0040】
マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤は、使用するエポキシ樹脂、後述するその他の樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーの種類、配合量により異なるが、通常、樹脂成分合計量100質量部に対して、8〜20質量部含有することが好ましい。
【0041】
(C)導電性粒子
導電性粒子としては、導電性を有する粒子であればよく、例えば、半田粒子、ニッケル粒子、金メッキニッケル粉、銅粉末、銀粉末、ナノサイズの金属結晶、金属の表面を他の金属で被覆した粒子等の金属粒子;スチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の樹脂粒子に金、ニッケル、銀、銅、半田などの導電性薄膜で被覆した粒子等が使用できる。このような導電性粒子の粒径は特に限定しないが、通常、平均粒径0.1〜5μmである。
【0042】
これらのうち、導電性粒子を所定方向(本発明においてはフィルムの厚み方向)に配向させやすいという点から、磁性を有する粒子が好ましく用いられる。また、導電性粒子を厚み方向に配向させやすいという観点から、アスペクト比5以上の導電性粒子が好ましく用いられる。具体的には、微細な金属粒が直鎖状につながった形状、あるいは、針状粒子が好ましく用いられる。このような導電性粒子は、フィルム成形の際に磁場の作用により、厚み方向に配向させることができる。
【0043】
導電性粒子の含有量は、用途により異なるが、同一面上に並置された隣接する電極間間隙を導通させるには不十分な量で、且つ相対する電極間を導通させることができる量であり、具体的には、導電性接着剤の全体積に対して、0.01〜10体積%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1体積%である。
【0044】
(D)その他の成分
本発明のフィルム状異方導電性接着剤には、上記成分(A)(B)(C)の他、必要に応じて、さらに、他の熱可塑性樹脂、他の熱硬化性樹脂、その他、ゴム、熱可塑性エラストマーなどを含有してもよい。
【0045】
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
他の熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0046】
また、他の高分子物質としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエン、アクリルゴム、ニトリルゴム等のゴム系材料;スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
このようなゴムや熱可塑性エラストマーは、硬化収縮によって接着界面や接着剤内部に応力が発生する応力緩和材となることができる。また、一般に可撓性が不足しやすいエポキシ樹脂硬化物に可撓性を付与することができる。
【0047】
本発明のフィルム状異方性導電性接着剤には、上記成分の他、さらに所望により、補強材、充填剤、カップリング剤、硬化促進剤、難燃化剤などを含有してもよい。
【0048】
以上のような他の成分は、最終的に得られるフィル状異方導電性接着剤の全塩素量が600ppm未満、好ましくは500ppm以下となるように、いずれも含有塩素量が少ないものを用いることが好ましい。
【0049】
〔フィルム状異方導電性接着剤の製造〕
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、以上のような成分を含有する接着剤用組成物をフィルム状に成形したものである。フィルム状異方導電性接着剤の製造方法は特に限定しないが、通常、以下のような方法で製造される。
【0050】
上記成分(A),(B),(C)、さらに必要に応じて、(D)その他の成分を所定量配合し、溶剤に溶解して、接着剤の塗工用溶液を調製する。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、芳香族炭化水素などが挙げられる。また、フィルム状異方導電性接着剤が、導電性粒子として針状粒子(例えばアスペクト比5以上の導電性粒子)を用いている場合、乾燥中に、導電性粒子が厚み方向に配向できるような揮発速度を有する溶剤が好ましく用いられる。具体的には、PGMEA、PMA等のエステル系が好ましく用いられる。
前記塗工用溶液の固形分率としては、特に限定しないが、40〜70重量%であることが好ましい。
【0051】
調製した塗工用溶液を、基材フィルム上に塗工、流延、加熱乾燥してフィルム状とする。
フィルム状異方導電性接着剤を製造するための乾燥温度は、使用する有機溶剤により異なるが、通常、60〜80℃程度である。
【0052】
フィルム状異方導電性接着剤が、(C)成分として、磁性を有する粒子又はアスペクト比5以上の導電性粒子を含有する場合、加熱乾燥前または同時に、磁場を通過させて、導電性粒子を厚み方向に整列させておくことが好ましい。
フィルム状異方導電性接着剤の厚みは、特に限定しないが、通常10〜50μmであり、好ましくは15〜40μmである。
【0053】
以上のようにして得られる本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、燃焼法で測定される全塩素量が600ppm未満、好ましくは500ppm以下である。ここで、燃焼法で測定される全塩素量とは、フィルム状異方導電性接着剤の粉砕物を燃焼して得られる燃焼ガス中の塩素量をいう。このようにして測定される塩素量は、加水分解及び硝酸銀滴定等により測定される塩化物由来の塩素だけでなく、有機化合物(C−Cl)結合状態にある塩素量も測定されることになる。従って、全塩素量は、エピクロルヒドリン等のエポキシ樹脂原料の残存モノマーに含有される塩素量も含んで測定される。
【0054】
このようにフィルム状異方導電性接着剤として、含有されている全塩素量が少ないフィルム状異方導電性接着剤では、初期接続抵抗、接続信頼性、さらに絶縁安定性に優れている。換言すると、全塩素量が600ppm以上のフィルム状異方導電性接着剤は、接続信頼性、絶縁安定性に劣っている。理由は明らかではないが、フィルム状異方導電性接着剤中に含有されていた塩素分が、高温高湿かつ電圧印加の条件において、時間経過とともに遊離し、電極や導電性粒子を腐食させ、発生した金属イオンが電極間を短絡させるためではないかと考えられる。よって、そのような挙動を示し得る塩素量を少なくすることで、接続信頼性、絶縁安定性を向上することができると考えられる。
【0055】
〔回路基板接合体の製造方法〕
以上のような本発明のフィルム状異方導電性接着剤を用いた、回路基板の接合方法としては、従来より公知の方法で接合できる。具体的には、図1に示すように、複数の電極が並置された2つの回路基板を、前記電極が対向するように向かい合わせ、前記回路基板の間に、上記本発明のフィルム状異方導電性接着剤を介在させ、加熱加圧すればよい。
【0056】
加熱加圧条件は、使用する潜在性硬化剤、フィルム状異方導電性接着剤の組成に応じて、適宜設定すればよい。要するに、接着剤中の樹脂成分が十分に軟化溶融して、隣接する電極間間隙に流入することができ、反応硬化できるような加熱加圧条件を設定すればよい。
【0057】
加熱加圧方法は、特に限定しないが、通常、所定温度に加熱したプレス機、押圧部材等の加圧ツールを用いて行う。被着体となる回路基板と加圧ツールとの間には、適宜クッション材を介在させてもよい。
【0058】
加熱温度は、特に限定しないが、通常、150〜220℃、好ましくは170〜200℃、より好ましくは、180〜200℃である。ここで、加熱温度とは、フィルム状異方導電性接着剤が到達すべき温度であり、例えば、細径の熱電対をフィルム状異方導電性接着剤中に埋め込み、ガラスパネル1とフレキシブルプリント配線板2の間に挟み込んで実測する方法が用いられる。
【0059】
加圧圧力も特に限定しないが、通常、2〜6MPa、好ましくは3〜5MPaである。加圧時間は、接合体の生産性の点から、15秒以下、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下である。
【0060】
〔フィルム状異方導電性接着剤の検査方法〕
本発明のフィルム状異方導電性接着剤の検査方法は、検査対象とするフィルム状異方導電性接着剤を粉砕して得られた測定用試料を燃焼する工程、及び得られた燃焼ガス中の含有塩素量が600ppm未満か否かを判定する工程を含む。
【0061】
粉砕方法は、公知のプラスチックフィルム粉砕機、例えば、カッター、はさみなどを用いて行うことができる。
燃焼に供する測定用試料の量としては、特に限定しないが、20mg〜200mg程度であればよい。
【0062】
燃焼方法、燃焼条件は、特に限定しないが、BS EN 14582:2007に準拠することが好ましく、具体的には、石英やステンレス鋼製の燃焼管中に高圧酸素やアルゴンを封入し、電気的に火花を飛ばして燃焼することが好ましい。
燃焼ガスの捕捉方法としては、特に限定しないが、例えば、上記燃焼を密閉容器内で行い、容器天井に開口した排出口からダクト等で別の容器に補修することによって行ってもよいし、ダクトから、直接、塩素量測定装置に供給してもよい。
【0063】
塩素ガス量の測定方法は、特に限定しないが、例えば、イオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーにより行うことができる。捕捉した塩素ガスは、使用する測定装置に応じて、ガスを適当な溶媒に溶解した溶液としてもよい。
この場合、使用できる溶媒としては、水、メタノール、アセトニトリル及びその混合液
などが挙げられる。
【0064】
測定値(含有塩素量)を、測定に供した試料量で除することにより、フィルム状異方導電性接着剤中の全塩素量濃度(ppm)を求める。全塩素量が600ppm以上か否か、好ましくは500ppmを超えるか否かを判定する。600ppm以上のフィルム状異方導電性接着剤は、通常の使用環境では問題ないものの、低温・短時間といった接続条件や、ファインピッチ回路や高電圧印加といった使用環境において、接続あるいは絶縁信頼性を満足できない可能性が高いからである。
【0065】
このような本発明の検査方法によれば、燃焼、全塩素量測定するだけで、接続信頼性、絶縁安定性について、所定レベルを満足する接合体を得られない可能性が高いフィルム状異方導電性接着剤を、接合体を形成しなくても選別して、出荷ラインから取り除くことができる。塩素量は、連続的に製造されるフィルム状異方導電性接着剤の部位によらず、ほぼ一定値を示すことから、少量の試料で、同一ラインから製造されるフィルム状異方導電性接着剤の良否選別を、効率的に行うことができる。そして、フィルム状異方導電性接着剤の段階で検査することにより、接続信頼性、絶縁安定性について、所定レベルを満足できない可能性が高いフィルム状異方導電性接着剤を、接合体製造現場に供給することを阻止できるので、結果として、接合体の歩留まりを低減できることになる。
【実施例】
【0066】
本発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0067】
〔評価測定方法〕
(1)全塩素量(ppm)
測定対象となるフィルムを細かく粉砕して完全に燃焼させ、発生したガスを水中にトラップし、得られた溶液をイオンクロマトグラフィーにより分析して含有塩素量を求めた。
【0068】
(2)絶縁安定性
幅50μmのAuメッキしたCu回路が50μmの間隔をあけて、くし型形状に配列されたFPCと、同幅のAl回路が形成されたガラス基板とを用意した。
両者をたがいの電極が向き合うように配置し、前記で得られた異方導電性フィルムを挟み、硬化条件1(加熱温度:190℃、加圧圧力:3MPa、加圧時間:15秒間)で硬化させて接合体を得た。得られた接合体を85℃、85%RHに設定した高温高湿槽内に静置し、くし型回路の隣接電極間に50Vの電圧を印加しながら、絶縁抵抗の連続測定を行い、抵抗値が10MΩ以下になるまでの時間を計測した。
【0069】
(3)初期抵抗(Ω)
幅50μm、高さ18μmのAuメッキしたCu回路が50μmの間隔をあけて、124本配列されたFPCと、幅150μmのITO回路が50μm間隔をあけて形成されたガラス基板とを用意した。両者を、連続する124箇所の接続抵抗が測定可能なデイジーチェーンを形成するように、たがいに向い合わせて配置し、前記で得られた異方導電性フィルムを挟み、硬化条件2(加熱温度:180℃、加圧圧力:3MPa、加圧時間:5秒間)で硬化して、接合体を得た。
得られた接合体において、ITO、接着剤、およびAuメッキCu回路を介して接続された連続する124箇所の抵抗値を四端子法により求め、その値を124で除することで、1箇所あたりの接続抵抗を求めた。
【0070】
(4)接続信頼性
(3)で作成した接合体を、85℃、85%RHに設定した高温高湿槽内に500時間静置した後、取り出し、(3)と同様の方法により、1か所当たりの接続抵抗を算出した。
【0071】
〔フィルム状異方導電性接着剤の作製及び評価〕
No1:
フェノキシ樹脂として、(a)JER(株)製のエピコート1256(重量平均分子量5万)、エポキシ樹脂として、固形エポキシ樹脂((b)JER(株)製エピコート1007(数平均分子量2900)と液状エポキシ樹脂((c)DIC(株)製のエピクロン4032D)、熱可塑性エラストマーとして(d)富士化成工業社のTPAEを用いた。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤として、マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤((e)旭化成イーマテリアルズ(株)製ノバキュアLSA−H0910)を用いた。
導電性粒子としては、1μmから12μmまでの鎖長分布を有する直鎖状ニッケル微粒子を用いた。
【0072】
上記(a)〜(e)を、質量比でa:b:c:d:e=25:25:10:5:35の割合で混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)と酢酸ブチルの混合溶媒(混合比率90/10)に溶解した後、遠心攪拌ミキサーを用いて3分間混合して、固形分60%の均質溶液を調製した。
【0073】
次いで、固形分(導電性粒子+樹脂+エラストマー)の総量に占める割合で表される導電性粒子の充填率が、0.15体積%となるように上記導電性粒子を添加した後、遠心ミキサーを用いて撹拌することで均一分散させ、フィルム状異方導電性接着剤溶液を調製した。
【0074】
上記で調製した接着剤溶液を、離型処理したPETフィルム上にドクターナイフを用いて塗布し、磁束密度100mTの磁場中で60℃、30分間、乾燥、固化させることにより、直鎖状粒子が磁場方向に配向した、厚み20μmのフィルム状異方導電性接着剤を作成した。このフィルム状異方導電性接着剤について、上記評価方法に基づいて、全塩素量、絶縁安定性、初期抵抗、接続信頼性を測定評価した。結果を表1に示す。
【0075】
なお、上記(a)〜(c)を、質量比でa:b:c=25:25:10の割合で混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)と酢酸ブチルの混合溶媒(混合比率90/10)に溶解した後、遠心攪拌ミキサーを用いて3分間混合して、固形分60%の均質溶液を調製し、このエポキシ樹脂溶液を基材上に塗工、乾燥して形成したフィルムについて、上記評価方法に基づいて測定した全塩素量は680ppmであった。
また、(e)旭化成イーマテリアルズ(株)製ノバキュアLSA−H0910を、基材上に塗工、乾燥して形成したフィルムをついて、上記評価方法に基づいて測定した全塩素量は85ppmであった。
【0076】
No.2−5:
含有塩素量が異なる硬化剤を用いて、No.1と同様にすることにより、全塩素量が異なるフィルム状異方導電性接着剤を作製した。得られたフィルム状異方導電性接着剤について、上記評価方法に基づいて、絶縁性、初期接続、接続信頼性について測定評価した。結果を表1に示す。
なお、No.2−5で使用した硬化剤2−5は以下のとおりである。
硬化剤2:ノバキュアLSA−H1004(全塩素量:160ppm)
硬化剤3:ノバキュアHXA−3932HP(全塩素量:550ppm)
硬化剤4:ノバキュアHXA−3042HP(全塩素量:700ppm)
硬化剤5:ノバキュアHX−3088(全塩素量:1300ppm)
【0077】
No.6:
エポキシ樹脂(c)を、DIC株式会社製のエピクロン850LCに変更した以外は、No.1と同様にすることにより、全塩素量が異なるフィルム状異方導電性接着剤を作製した。得られたフィルム状異方導電性接着剤について、上記評価方法に基づいて、絶縁性、初期接続、接続信頼性について測定評価した。結果を表1に示す。
なお、No.6で用いたエポキシ樹脂溶液を基材上に塗工、乾燥して得られたフィルムについて、上記評価方法に基づいて測定した全塩素量は、8300ppmであった。
【0078】
【表1】

【0079】
接合体2は、使用したフィルム状異方導電性接着剤において、最も経済的と考えられる硬化条件2で硬化して得られる接合体である。No.1とNo.2、No.3とNo.4のように逆転する結果もあったが、全体としては、全塩素量が大きいほど、初期抵抗が大きくなり、接続信頼性が劣る傾向が認められた。また、接合体1は、フィルム状異方導電性接着剤が十分に軟化溶融して、隣接電極間の間隙を充填できる硬化条件1で硬化して得られた接合体である。フィルム状異方導電性接着剤の全塩素量が増大するほど、絶縁安定性が低下する傾向にあった。特に、全塩素量が600ppm以上では、絶縁安定性が大幅に低下する傾向がみられた。
【0080】
また、全塩素量が少ない硬化剤1を用いた場合であっても、バインダー樹脂として、塩素量が多いエポキシ樹脂(エポキシ樹脂に含有されている塩素分が1000ppm以上)を用いたために、フィルム状異方導電性接着剤の全塩素量が600ppm以上になり(No.6)、接続信頼性、絶縁安定性が不十分となった。
【0081】
以上のことから、フィルム状異方導電性接着剤については、フィルム全体としての全塩素量が、接合体の接続信頼性、絶縁安定性に影響を及ぼしていることがわかる。従って、フィルム状異方導電性接着剤の段階で全塩素量を測定検査することにより、接続信頼性、絶縁安定性を満足できない可能性が高いものをピックアップできる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のフィルム状異方導電性接着剤を用いれば、接続信頼性、絶縁安定性の高い接合体を得ることができる。そして、本発明の検査方法によれば、満足できる接続信頼性、絶縁安定性を有する接合体が得られないおそれがあるフィルム状異方導電性接着剤を、フィルム状異方導電性接着剤の製造現場で効率よく選別して、出荷から除外できるので、フィルム状異方導電性接着剤のメーカーにとっても、接合を行うユーザー側にとっても経済的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂;(B)導電性粒子;及び(C)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤を含むフィルム状異方導電性接着剤であって、
該フィルム状異方導電性接着剤を燃焼して得られるガスの塩素量が600ppm未満であることを特徴とするフィルム状異方導電性接着剤。
【請求項2】
前記(A)エポキシ樹脂は、フェノキシ樹脂、室温で液状の液状エポキシ樹脂、及び室温で固体の固形エポキシ樹脂の混合物である請求項1に記載のフィルム状異方導電性接着剤。
【請求項3】
前記(A)エポキシ樹脂に含有されている全塩素量は、1000ppm以下である請求項1又は2に記載のフィルム状異方導電性接着剤。
【請求項4】
前記(C)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤の全塩素量は、400ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム状異方導電性接着剤。
【請求項5】
(A)エポキシ樹脂;(B)導電性粒子;及び(C)マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤を含むフィルム状異方導電性接着剤の検査方法であって、
前記フィルム状異方導電性接着剤を粉砕して得られた測定用試料を燃焼する工程;及び 得られた燃焼ガス中の含有塩素量が600ppm未満か否かを判定する工程
を含む検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−23671(P2013−23671A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162709(P2011−162709)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【復代理人】
【識別番号】100104307
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 尚司
【Fターム(参考)】