説明

フィールドシーケンシャル画像表示装置

【課題】観察者が視線移動しながら表示を確認した時に違和感のないフィールドシーケンシャル画像表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネル6は、第一の表示領域及び第二の表示領域を有する。制御手段13は、照明手段2,3をフィールド毎に発光させる。第一の発光素子2aは、第一の発光色にて第一の表示領域を、第二の発光素子2bは、第一の発光色にて第二の表示領域を照明する。第三の発光素子3aは、第二の発光色にて第一の表示領域を、第四の発光素子3bは、第二の発光色にて第二の表示領域を照明する。制御手段13は、第一の発光素子2aと第三の発光素子3aを点灯して第三の色で第一の表示領域を照明するサブフィールドを有する第一の駆動モードと、第二の発光素子2bと第四の発光素子3bを点灯して第四の色で第二の表示領域を照明するサブフィールドを有する第二の駆動モードと、により画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールド順次駆動方式により画像を表示するフィールドシーケンシャル画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィールドを分割したサブフィールド毎に単位色画像データに対応する色の照明光を液晶表示パネルに照射してカラー画像を表示するフィールドシーケンシャル画像表示装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。斯かるフィールドシーケンシャル画像表示装置は、複数色からなるカラー画像を表示するための1フィールドを少なくとも2分割したサブフィールド毎に、液晶表示パネルの複数の画素行を第1行から順次選択して、これらの行の画素に2色以上のうちの1色の単位色画像データを書込み、前記サブフィールド毎に、液晶表示パネルに書込んだ単位色画像データに対応する色の照明光を面光源から出射させるものである。
【0003】
フィールドシーケンシャル画像表示装置は、カラーフィルタを有しない液晶表示パネルを用いてカラー画像を表示するものであり、画素が複数行に配列された表示エリアを備えた液晶表示パネルに、2色以上の単位色画像データを順次書込み、その単位色画像データに対応する色の照明光を面光源から出射させることにより、液晶表示パネルに2色以上の単位色画像を順次表示させ、その各色の視覚的な混合によりカラー画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−295105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記フィールドシーケンシャル画像表示装置は、観察者が視線を移動したときに、各フィールド間の色が分かれて見えてしまうカラーブレイクと称される問題を有していた。このカラーブレイクは、フィールド周波数を上げることで低減が可能であるが、液晶表示パネルのスイッチング時間及び各サブフィールドに対する書込み時間が増えるため、発光素子の発光期間が短くなり、表示を明るくできないという新たな問題が生じる虞がある。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、観察者が視線移動をしながら表示を確認したときに違和感のないフィールドシーケンシャル画像表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一の表示領域6a及び第二の表示領域6bを有する液晶表示パネル6と、前記液晶表示パネル6を照明する照明手段2,3と、前記照明手段2,3をフィールド毎に発光させる制御手段13と、を備え、フィールド順次駆動方式により画像を表示するフィールドシーケンシャル画像表示装置であって、前記照明手段2,3は、第一の発光色にて前記第一の表示領域6aを照明する第一の発光素子2aと、前記第一の発光色にて前記第二の表示領域6bを照明する第二の発光素子2bと、第二の発光色にて前記第一の表示領域6aを照明する第三の発光素子3aと、前記第二の発光色にて前記第二の表示領域6bを照明する第四の発光素子3bと、を有するものである。
【0007】
また、本発明は、前記制御手段13は、前記第一の発光素子2a及び前記第三の発光素子3aを点灯させて第三の色にて前記第一の表示領域6aを照明するサブフィールドを有する第一の駆動モードと、前記第二の発光素子2b及び前記第四の発光素子3bを点灯させて第四の色にて前記第二の表示領域6bを照明するサブフィールドを有する第二の駆動モードと、によって前記画像を表示させるものである。
【0008】
また、本発明は、前記制御手段13は、前記サブフィールドおいて、前記第三の発光素子3a及び前記第四の発光素子3bに供給する電流の波高値H1,H2を異ならせるものである。
【発明の効果】
【0009】
液晶表示パネルの第一の表示領域を第一,第三の発光素子にて照明すると共に、第二の表示領域を第二,第四の発光素子にて照明することにより、カラーブレイクを低減し、観察者が視線移動をしながら表示を確認したときの違和感を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図。
【図2】同上実施形態を示す照明手段の正面図。
【図3】同上実施形態を示す液晶表示パネルの正面図。
【図4】同上実施形態を示すブロック図。
【図5】同上実施形態を示す概観図。
【図6】同上実施形態を示すタイミング図。
【図7】同上実施形態を示すタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明をヘッドアップディスプレイ装置に適用した一実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明で「右方」,「左方」,「下方」とは、図1における向きである。
【0012】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、所定間隔を隔てて配設された照明手段2,3を有している。照明手段2,3は、光軸が互いに略直交するように配置されており、照明手段2は赤色光Rを下方へ向かって出射し、照明手段3は緑色光Gを左方へ向かって出射する。照明手段2は、発光ダイオード(第一の発光素子)2a及び発光ダイオード(第二の発光素子)2bを有している。照明手段3は、発光ダイオード(第三の発光素子)3a及び発光ダイオード(第四の発光素子)3bを有している。
【0013】
各照明手段2,3には点灯制御部4が接続されている。点灯制御部4は、定電流方式により発光ダイオード2a,3aの輝度を制御する第一制御部4aと、発光ダイオード2b,3bの輝度を制御する第二制御部4bとを有しており、照明手段2,3を高速で順次切り替えることによって、時分割による加法混色を利用したフィールドシーケンシャル方式を行うようになっている。これにより、各発光ダイオード2a,2b,3a,3bの原色を含め、各発光ダイオード2a,2b,3a,3bの混合色からなる複数の着色光が視認され得るようになっている。
【0014】
発光ダイオード2a,2bが発した赤色光R及び発光ダイオード3a,3bが発した緑色光Gの進行方向側であって、発光ダイオード2a,2bの光軸と、発光ダイオード3a,3bの光軸が交差する位置には、ダイクロイックミラー5が配設されている。このダイクロイックミラー5によって、発光ダイオード2a,2bから出射された赤色光Rが左方に反射され、他方の発光ダイオード3a,3bから出射された緑色光Gが透過されるようになっている。これにより、各発光ダイオード2a,2b,3a,3bの赤色光R,緑色光Gが同一方向へ進行する。
【0015】
ダイクロイックミラー5で反射された赤色光R,ダイクロイックミラー5を透過した緑色光Gの進行方向側には、液晶表示パネル6が配設されている。液晶表示パネル6は発光ダイオード2a,2b,3a,3bにて透過照明される。液晶表示パネル6は、カラーフィルタが搭載されていないモノクロの液晶パネルであり、発光ダイオード2a,2b,3a,3bから導かれた赤色光R,緑色光Gを透過あるいは遮蔽することによって所定のカラー画像を形成する。従って、従来のカラーフィルタ付きの液晶表示パネルとは異なり、透過率が高く、カラー画像の輝度を向上することができる。なお、調色を目的とする着色層は配設されていてもよい。
【0016】
液晶表示パネル6は、ポリシリコン型のTFT液晶パネルが用いられており、左側エリア(第一の表示領域)6a及び右側エリア(第二の表示領域)6bを有している。液晶表示パネル6の左側エリア6aは発光ダイオード2a,3aにて透過照明され、右側エリア6bは発光ダイオード2b,3bにて透過照明される。液晶表示パネル6は、ブラックマトリクスによって画素部分以外の非表示部の遮光が十分に行われていることが望ましい。遮光膜としてのブラックマトリクスとしては、樹脂製あるいは金属製のものが用いられるが、遮光度と膜厚の観点から金属製の膜が好ましい。液晶のモードは、応答性に優れたOCBモードとすることが望ましい。
【0017】
液晶表示パネル6には駆動制御部7が接続されており、この駆動制御部7は、点灯制御部4と同期した液晶駆動電圧のオン/オフ制御を行う。液晶表示パネル6を透過した表示光Lの進行方向側には、凹面鏡9が配設されており、この凹面鏡9によって液晶表示パネル6からの表示光Lがウインドシールド10に導かれるようになっている。表示光Lは、ウインドシールド10により反射され、ドライバーDは虚像Vを視認することができる(図5参照)。マイコン12は、CPU,ROM,RAM等からなり、点灯制御部4及び駆動制御部7に制御信号を出力する。制御手段13は、点灯制御部4とマイコン12とからなるものである。
【0018】
図6は、RGY駆動(第一の駆動モード)における液晶表示パネル6の左側エリア6aへのデータ書き込みシーケンスと、発光ダイオード2a,3aの点灯シーケンスとを示す図である。RGY駆動では、発光ダイオード2aのみが点灯される単色サブフィールドと、発光ダイオード3aのみが点灯される単色サブフィールドと、発光ダイオード2aと発光ダイオード3aとが同時に点灯される複数色サブフィールドとから1フィールドが構成されている。複数色サブフィールドにおいて発光ダイオード3aに供給される電流の波高値はH1になっている。
【0019】
図7は、RGA駆動(第二の駆動モード)における液晶表示パネル6の右側エリア6bへのデータ書き込みシーケンスと、発光ダイオード2b,3bの点灯シーケンスとを示す図である。RGA駆動では、発光ダイオード2bのみが点灯される単色サブフィールドと、発光ダイオード3bのみが点灯される単色サブフィールドと、発光ダイオード2bと発光ダイオード3bとが同時に点灯される複数色サブフィールドとから1フィールドが構成されている。複数色サブフィールドにおいて発光ダイオード3bに供給される電流の波高値は、波高値H1よりも小さいH2になっている。
【0020】
本実施形態によれば、RGY駆動及びRGA駆動によって液晶表示パネル6の左側エリア6a及び右側エリア6bに画像を表示することにより、カラーブレイクを低減し、観察者が視線移動をしながら表示を確認したときの違和感を緩和することができる。なお、本実施形態はヘッドアップディスプレイ装置であったが、本発明はコンビネーションメータ,ナビゲーション装置等の直視タイプの車載表示器に適用するものであっても良い。
【符号の説明】
【0021】
2 照明手段
2a 発光ダイオード(第一の発光素子)
2b 発光ダイオード(第二の発光素子)
3 照明手段
3a 発光ダイオード(第三の発光素子)
3b 発光ダイオード(第四の発光素子)
6 液晶表示パネル
6a 左側エリア(第一の表示領域)
6b 第二の表示領域
13 制御手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の表示領域及び第二の表示領域を有する液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを照明する照明手段と、前記照明手段をフィールド毎に発光させる制御手段と、を備え、フィールド順次駆動方式により画像を表示するフィールドシーケンシャル画像表示装置であって、
前記照明手段は、第一の発光色にて前記第一の表示領域を照明する第一の発光素子と、前記第一の発光色にて前記第二の表示領域を照明する第二の発光素子と、第二の発光色にて前記第一の表示領域を照明する第三の発光素子と、前記第二の発光色にて前記第二の表示領域を照明する第四の発光素子と、を有することを特徴とするフィールドシーケンシャル画像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第一の発光素子及び前記第三の発光素子を点灯させて第三の色にて前記第一の表示領域を照明するサブフィールドを有する第一の駆動モードと、前記第二の発光素子及び前記第四の発光素子を点灯させて第四の色にて前記第二の表示領域を照明するサブフィールドを有する第二の駆動モードと、によって前記画像を表示させることを特徴とする請求項1に記載のフィールドシーケンシャル画像表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記サブフィールドおいて、前記第三の発光素子及び前記第四の発光素子に供給する電流の波高値を異ならせることを特徴とする請求項2に記載のフィールドシーケンシャル画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−197828(P2010−197828A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44063(P2009−44063)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】