説明

フェイズドアレイ探触子及びその仕様決定方法

【課題】複雑な欠陥部を有し、かつ深さ位置が不明な欠陥の検出精度を向上できるフェイズドアレイ探触子を実現する。
【解決手段】多数の圧電素子12が配列されて探傷部10を形成し、単一材料からなり欠陥の深さ位置hが不明な被検査体106の欠陥検出に用いられるフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法において、評価因子が超音波の集束度を表す超音波の集束径g1、g2であり、制御因子が探傷部10の全長L及び幅lと、圧電素子の数nと、探傷部10の被検査体106に接触する面の曲率rとであり、誤差因子が探傷深さ位置h及び探傷屈折角θであり、実験計画法により、誤差因子の変動見込み幅の範囲内で該誤差因子及び前記制御因子の値を異ならせた複数の設計値を設定し、該設計値から算出された該集束径の平均から求められる感度Sが小さくかつ該集束径のばらつき度を表すSN比ηが大きい設計値を推定し、確認計算により選択された設計値に基づいて前記制御因子の値を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の微小な圧電素子を配列させ、該圧電素子で送受信する超音波により被検査体の欠陥を検出するフェイズドアレイ探触子において、特に単一材料からなり欠陥のの深さ位置が不明な被検査体の欠陥検出に用いられるフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェイズドアレイ探触子は、前述のように、多数の微小な圧電素子を配列させ、該圧電素子で送受信を行ない、超音波断層像を得ることにより被検査体の欠陥を検出するものである。その原理を図9により説明する。
図9において、フェイズドアレイ探触子100は、多数の圧電素子102が微小間隔を有して配列され、各圧電素子102から超音波を発生させる。各圧電素子102から発信された超音波Xは、合成波面Xを形成して矢印a方向に進行する。そして、欠陥部分で反射して戻ってきた反射波を受信し解析して断層像を得、欠陥部分を検出する。
【0003】
図9(b)に示すように、各圧電素子102の励起時間に差を設けることにより、超音波の進行方向を角度θ(探傷屈折角)だけ変えることができる。例えば、金属部材の内部に発生した応力腐食割れ(SCC)の割れ方向に対して超音波の入射方向aを直角方向に入射させることによって、SCCの検出能力を向上できる。
また、各圧電素子102の励起時間を図9(c)に示すように設定することによって、合成波面Xの集束位置bを適宜に設定することができる。欠陥部分に集束位置bを合わせることにより、欠陥部分に照射される超音波の強度を高め、欠陥検出能を向上できる。
【0004】
図10は、蒸気タービンにおいて、翼根部104が挿入される翼植込み溝部106にSCC108が発生した状態を模式的に示している。翼植込み溝部106の外周面に超音波探触子100を当ててSCC108を探傷する場合に、SCC108の基部c1は超音波が良く反射されるので、測定が可能である。しかし、SCC108は複雑に割れが発生しており、その方向は様々であるので、測定は容易ではない。
【0005】
特に、SCC108の先端部c2の深さ位置h及び方向が不明確であるので、合成波面Xを先端部c2に集束させようとしても、正確に当てることは困難である。
従来は、被検査体が厚肉のときは、経験上から、音圧を上げるか又は周波数を下げ、あるいは探触子のサイズを大きくし、逆に、被検査体が薄肉のときは、音圧を下げるか又は周波数を上げることにより、検出精度を向上させようとしていた。
【0006】
しかし、これでは大幅な検出精度の向上は望めず、根本的な解決にはならない。また、S/N比(雑音に対する信号の比)を上げても、ノイズと反射エコーとの差を識別するのは容易ではなかった。
また、フェイズドアレイ探触子の仕様も、経験的に、被検査体の材質、探傷深さ範囲(ビーム路程)、対象欠陥の程度、必要な検出精度などから決定していた。
【0007】
特許文献1(特開2007−151561号公報)には、フェイズドアレイ探触子を生体の体腔内に挿入し、体腔内から超音波の送受信を行ない、超音波断層像を得る超音波探触子が開示されている。
特許文献1では、圧電素子102の比誘電率を2500以上とすると共に、図11に示すように、圧電素子102の横幅wと厚みtの比率w/tを0.6以下とし、かつ隣接する圧電素子間の間隔を超音波の波長以下とするものであり、これによって、電気機械変換率が高く、工程難易度を低下させ、信頼性を向上させた超音波探触子を提案している。
【0008】
【特許文献1】特開2007−151561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、生体の各臓器や脂肪層等で誘電率が異なるため、圧電素子の誘電率をある範囲に特定することにより、探傷精度を安定させている。しかし、蒸気タービン翼根部のように、単一の材料からなる被検査体の場合には、特許文献1とは適用分野が異なり、有効ではない。
しかも、特許文献1に開示された超音波探触子は、応力腐食割れのように、割れ方向が線状に連なりかつ複雑で、欠陥の深さ位置が不明なものに対して検出精度を向上できるものではない。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、応力腐食割れのように、複雑な形態の欠陥部を有し、かつ深さ位置が不明な欠陥の検出精度を向上できるフェイズドアレイ探触子を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明のフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法は、
多数の圧電素子が配列されて探傷部を形成し、単一材料からなり欠陥の深さ位置が不明な被検査体の欠陥検出に用いられるフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法において、
評価因子が超音波の集束度を表す超音波の集束径であり、制御因子が前記探触子の全長及び幅と、圧電素子の数と、探傷部の被検査体に接触する面の曲率とであり、誤差因子が探傷深さ位置及び探傷屈折角であり、
実験計画法により、誤差因子の変動見込み幅の範囲内で該誤差因子及び前記制御因子の値を異ならせた複数の設計値を設定し、該設計値から算出された該集束径を計算し、該計算結果を用いて該集束径の平均から求められる感度が小さくかつ該集束径のばらつき度を表すSN比が大きい設計値を推定し、確認計算された設計値に基づいて前記制御因子の値を決定するようにしたものである。
【0012】
本発明方法では、実験計画法により、制御因子として前記4因子を選択し、誤差因子である探傷深さ位置及び探傷屈折角の変動範囲内で、算出された超音波の集束径の平均から求められる感度が小さくかつ該集束径のばらつき度を表すSN比が大きい設計値を選択し、この設計値に基づいて制御因子の値を決定するものである。
これによって、探傷深さ位置及び探傷屈折角に変動に対して、超音波の集束径が小さく合成波面Xの集束度が良好な探触子の設計値を効率良く得ることができ、検出精度が良く、かつ探傷深さ位置及び探傷屈折角に変動に対してロバストな設計が可能となる。
【0013】
なお、「実験計画法」とは、そもそもイギリスのR.A.Fisher氏によって農場実験の合理化のために開発された手法であり、技術研究の世界では、田口玄一氏によって「直交表」の利用法、SN比の導入、種々の実験への適応例が広く紹介されたため、一般に普及したもので、海外でも“TAGUCHI METHOD”(田口法)として知られている。
【0014】
田口法は、「直交表」を用いた実験と、「SN比」と呼ばれるばらつき(誤差)による評価法とを特長としている。ここで「直交表」とは、試験するパラメータの組み合わせを表す表であり、試験者は試験するパラメータを選定しそのパラメータに応じて予め用意されている「直交表」を選択しさえすれば、実験回数と試験条件が決まり、それに従って実験を進めれば良いようになっている。
【0015】
また、その結果得られたデータに「分散分析」と呼ばれる統計解析処理を施すことで、各パラメータの効果の大きさを数値として評価することができる。さらに、この手法は、最適化したい特性値の推定値を求めることもできる。
本発明方法では、パラメータとして前記4制御因子を選択し、田口法を使って、誤差因子である探傷深さ及び探傷屈折角の変動に対してロバスト性のある制御因子の値を選択できるようにしたものである。
【0016】
本発明方法において、設定された設計値から算出された前記集束径の平均値μと該集束径の標準偏差σとからなる算式(μ±σ)の差分(変動幅)が最小となる設計値を選択し、選択された設計値に基づいて前記制御因子の値を決定するようにするとよい。
これによって、前記算式(μ±σ)の差分から一義的に、検出精度が良くかつ探傷深さ位置及び探傷屈折角に対するロバスト性のある仕様を決定することができる。
【0017】
従って、検査対象となる欠陥が複雑な形態をもち探傷深さが不明な応力腐食割れであっても、良好な検出精度で検出できる。
【0018】
また、本発明のフェイズドアレイ探触子は、前記本発明方法により仕様が決定されたものである。従って、応力腐食割れのように、亀裂の方向が定まらない複雑な欠陥でも検出精度を維持でき、また探傷深さや探傷屈折角が変動しても検出精度が低下しないロバスト性を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明方法によれば、多数の圧電素子が配列されて探傷部を形成し、単一材料からなり欠陥の深さ位置が不明な被検査体の欠陥検出に用いられるフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法において、評価因子が超音波の集束度を表す超音波の集束径であり、制御因子が前記探傷部の全長及び幅と、圧電素子の数と、探傷部の被検査体に接触する面の曲率とであり、誤差因子が探傷深さ位置及び探傷屈折角であり、実験計画法により、誤差因子の変動見込み幅の範囲内で該誤差因子及び前記制御因子の値を異ならせた複数の設計値を設定し、該設計値から算出された該集束径の平均から求められる感度が小さくかつ該集束径のばらつき度を表すSN比が大きい設計値を選択し、選択された設計値に基づいて前記制御因子の値を決定するようにしたことにより、応力腐食割れのように探傷深さが不明で複雑な形態をもつ欠陥であっても、探傷深さの変動に係わり無く、高い検出精度を維持できる。
【0020】
また、前記本発明方法により仕様が決定された本発明のフェイズドアレイ探触子は、応力腐食割れのように探傷深さが不明で複雑な形態をもつ欠陥であっても、探傷深さの変動に係わり無く、高い検出精度が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0022】
本発明を蒸気タービンの翼植込み溝部に発生する応力腐食割れ等の欠陥検出に適用した一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1に本実施形態の手順を示す。まず、ステップ1で、材質、探傷深さ範囲(ビーム路程)及び対象欠陥等、被検査体の仕様に関する情報と必要な検出精度を設定する。
【0023】
次に、フェイズドアレイ探触子の探触子10の制御因子(設計パラメータ)を選択する。図2に示すように、探傷部のプローブ全長L、探傷部のプローブ幅l、圧電素子12の数及び被検査体に対する圧電素子12の接触面の曲率rの4因子を制御因子として選択する。
次に、フェイズドアレイ探触子の基本設計値を決定する(ステップ2)。
【0024】
基本設計値の決定手法は、例えば、図11に示すプローブ(探傷部)全長Lは、次の算式(1)から求める。
L=d・Dmax/e・f (1)
ここで、dは超音波モード(縦波又は横波)の音速、Dmaxは最大フォーカシング距離(最大路程)、eはビームサイズ(ビームスポット)、fは周波数である。
【0025】
また、圧電素子の素子長wは次の算式(2)から求める。

ここで、Dminは必要最小フォーカシング距離(最小路程)、Dmaxは必要最大フォーカシング距離(最大路程)である。
【0026】
このようにして、探傷部10の基本仕様を決定した後、次に、選択した前記4制御因子による直交表を作成する(ステップ3)。図3は、4制御因子の値として、3つの水準1〜3を設定したものである。
図4は、誤差因子として探傷屈折角θと探傷深さ位置hとを設定し、これらの値として3つの水準1〜3を設定したものである。なお、探傷屈折角θはSCCの向きに直角方向に合わせるように調整されるものであり、探傷深さ位置hはSCCの深さに合わせるように調整されるものである。
【0027】
図5は、前記4制御因子の水準1〜3の値と前記2誤差因子の水準1〜3の値を18通りに割り振ったときの超音波ビーム径の算出結果を示す直交表である。該直交表中、感度Sは試験No.1〜18の夫々のビーム径の平均値を用いて次の算式(3)より求めたものであり、SN比ηは、次の算式(4)から求めたものである。
感度S=10logm(dB) (3)
SN比η=10log(m/σ)(db) (4)
ここで、mはビーム径の平均であり、σはビーム径の標準偏差である。
【0028】
ビーム径は、各設計パラメータの設計値に基づいて音場シミュレーションにより求めることができる(ステップ4)。図6は、音場シミュレーションによりビーム径を求める際の画面表示を示すものであり、超音波の強さを濃淡で示している。
超音波の強さ(dB)は、次の算式(5)で求められる。
dB=20log10A/A (5)
ここで、Aはエコー高さ、Aは基準エコー高さを示す。
【0029】
図5に示したビーム径は、図6で得られたシミュレーション上で、式(6)に示すように、ビーム強度が最も高いピーク位置に対して、ビーム強度が半減するビーム範囲としている。即ち、音場シミュレーションでは、超音波の強さを、ピーク値から半減するまでの[ピーク値〜−6dB]間のビーム範囲を有効ビーム範囲とし、有効ビーム範囲に対応するビーム径を求めるようにする。
20log10A/AO=20log101/2=−6dB (6)
【0030】
フェイズドアレイ探触子では、複数の圧電素子を用いてビームを集束する効果があるため、探触子の寸法や、各圧電素子に与える時間差によって、集束位置でのビーム径が異なるため、一般的な理論式によりビーム径を求めるのは困難である。
図6において、(a)は、被検査体内部の浅い位置に超音波が集束した時のビーム径gを示し、(b)は、被検査体内部の深い位置に超音波が集束した時のビーム径gを示す。なお、図中、右側の数値は超音波の強度(dB)を示す。
【0031】
次に、図5に示す直交表から、SN比η及び感度Sに関する要因効果図を作成する。図7にその要因効果図を示す。図7の要因効果図から、特に接触面の曲率rがSN比η及び感度Sの出力変動に大きな影響を与えることがわかる。
【0032】
次に、確認計算により前記4設計パラメータの値を決定する(ステップ6)。図8に、ビーム径について、田口法を用いた推定計算値と確認計算値を示す。図中、上段の因子の行に記入された数字は、図3の制御因子の水準1〜3の数字を示す。例えば、現行条件の列では、4制御因子とも水準2の数値を用いたものであり、改善1の列では、プローブ全長Lが水準3の数値を用い、プローブ幅lは水準1の数値を用い、圧電素子数n及び接触面の曲率rは水準2の数値を用いたことを示す。
【0033】
図8の仕様決定表中の推定計算値は、各制御因子が同じ水準の場合でのSN比η及び感度Sの平均値を使って求めている。一方、確認計算値は、設定した各制御因子の水準に合わせて、探触子の音場シミュレーションを行い(図5の誤差因子のケース分実施)を行なう。これらの結果(図7の要因効果図等)や図8の最大化/最小化の条件を元にして、改善1〜5の項目において各制御因子を設定し、目標のSN比η及び感度Sになるような推定計算を行い、確認計算を行なう。
【0034】
この結果が確認計算値であり、これらの結果を見ながら、より改善される条件を考えて、改善1〜5で探触子の仕様を最適設計に近づける。
図8では、感度Sが最小のものは改善4であるが、改善4はSN比ηが小さいので、感度Sが2番目に小さくかつSN比ηが大きい改善5を選択する。
【0035】
そして、改善5の制御因子を基準とし、これらの値を適宜調節することにより、誤差因子である探傷屈折角θ及び探傷深さhの変動に対して、その影響を受けない良好なロバスト性と、良好な検出精度を維持できる仕様を決定することができる。
【0036】
即ち、田口法によって最適設計に近づけられた設計値である改善5を求めて、図8に示した利得について、(7)利得(SN比)が、1.81と向上しており、(8)利得(感度)が−1.83と減少している。
このように、図5の18ケースに比べてより良い条件、即ち、ビーム径が小さく、探傷深さh及び探傷屈折角θに対するばらつきが少ない条件を見出せたことで、ロバスト性が向上したと言うことができる。更に、改善5に対して、設計パラメータで水準を設定し、繰り返してタグチ法を行うことで、より最適設計に近づけることができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、田口法を採用して、4つの制御因子(プローブ全長L、プローブ幅l、圧電素子数n及び圧電素子の被検査体への接触面の曲率r)を選択すると共に、探傷屈折角θ及び探傷深さ位置hを誤差因子とし、これら誤差因子の変動に検出精度が影響を受けない制御因子の値を決定するようにしたので、応力腐食割れのように、深さ位置及び割れ方向が定まらない複雑な形態をなす欠陥に対しても、高い検出精度を得ることができる。
【0038】
なお、前記実施形態において、SN比η及び感度Sの値に基づいて設計仕様を決定したが、代わりに、出力(μ±σ)の差分(変動幅)が最小のものを選択するようにしてもよい。図9において、出力(μ±σ)の差分が最小となるものは改善5であり、SN比η及び感度Sから選択した場合と同様の結果を得ることができる。
出力(μ±σ)の差分を用いる場合には、1個の変数を指標として制御因子を選択するので、選択が容易になり、誤りがなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、田口法を用いて、ロバスト性があり検出精度が高いフェイズドアレイ探触子の最適仕様を効率良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る仕様決定手順を示すフローチャートである。
【図2】前記実施形態で選択された制御因子を示す探傷部の斜視図である。
【図3】前記実施形態の制御因子の設定値(水準1〜3)を示す図表である。
【図4】前記実施形態の誤差因子の設定値(水準1〜3)を示す図表である。
【図5】前記実施形態の直交表を示す図表である。
【図6】前記実施形態で音場シミュレーションを行なった画面表示を示す図である。
【図7】前記実施形態のSN比η及び感度Sの要因効果図である。
【図8】前記実施形態で確認計算により探触子の仕様決定を行なう図表である。
【図9】フェイズドアレイ探触子の探傷原理を示す説明図である。
【図10】蒸気タービンの翼植込み溝部に発生した応力腐食割れを探傷する場合の説明図である。
【図11】フェイズドアレイ探触子を構成する圧電素子の斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
10 フェイズドアレイ探傷部
12、102 圧電素子
100 フェイズドアレイ探触子
106 蒸気タービン翼植込み溝部(被検査体)
108 応力腐食割れ
L プローブ全長
合成波面
a 合成波面進行方向
b 合成波面の集束位置
h 探傷深さ
l プローブ幅
r 接触面曲率
t 圧電素子厚さ
w 圧電素子長
θ 探傷屈折角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の圧電素子が配列されて探傷部を形成し、単一材料からなり欠陥の深さ位置が不明な被検査体の欠陥検出に用いられるフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法において、
評価因子が超音波の集束度を表す超音波の集束径であり、制御因子が前記探傷部の全長及び幅と、圧電素子の数と、探傷部の被検査体に接触する面の曲率とであり、誤差因子が探傷深さ位置及び探傷屈折角であり、
実験計画法により、誤差因子の変動見込み幅の範囲内で該誤差因子及び前記制御因子の値を異ならせた複数の設計値を設定し、該設計値から算出された該集束径の平均から求められる感度が小さくかつ該集束径のばらつき度を表すSN比が大きい設計値を推定し、確認計算により選択された設計値に基づいて前記制御因子の値を決定するようにしたことを特徴とするフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法。
【請求項2】
設定された設計値から算出された前記集束径の平均値μと該集束径の標準偏差σとからなる算式(μ±σ)の差分が最小となる設計値を選択し、
選択された設計値に基づいて前記制御因子の値を決定することを特徴とする請求項1に記載のフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法。
【請求項3】
検査対象となる欠陥が被検査体に形成された応力腐食割れであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェイズドアレイ探触子の仕様決定方法。
【請求項4】
前記制御因子が請求項1又は2のいずれかの項に記載された仕様決定方法により製作されてなることを特徴とするフェイズドアレイ探触子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−117215(P2010−117215A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289822(P2008−289822)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】