フェナントロリン化合物とそれを使用するエレクトロルミネッセンス素子
OLEDにおいて、改善された効率が、nは、1〜4の整数であり、[Ar]は、随意に、1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及びR1は、随意に、メチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意に、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物を使用することによって、得られる。化合物は、新規であると考えられ、[Ar]とnが上記のとおり定義されるとおりの式の化合物を、式[Ar](CH3)nR1CHOの化合物と、酸触媒、例えば、有機酸の無水物の存在下、縮合させることにより製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物とその使用、特に光発光素子、例えば、エレクトロルミネッセンス層或いは電子輸送層中でのホスト材料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1(その内容は、参照により、ここに組み込まれる。)は、有機発光ダイオード(OLED)の性能を向上するために使用される電子輸送材料(ETM)に関する文献を概説している。彼らは、非常に多くの有機材料に加えて、アルミニウムキノレートを含む金属キレート化合物を検討しているが、彼らは、高いEA(〜−3.0eV;本出願人により−2.9eVとして測定された)とIP(〜−5.95eV;本出願人により−5.7eVとして測定された)、良好な熱的安定性(Tg〜172℃)と真空蒸発によるピンホールのない薄膜の容易な堆積のようなその優れた特性に基づいて、依然として最も広範に研究されている金属キレートであると説明している。アルミニウムキノレートは、依然として、エレクトロルミネッセンス層を与えるために種々の蛍光材料でドープされるホスト材料としての使用及び電子輸送層としての使用の双方のための好適な材料である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kulkarni et al., Chem. Mater. 2004, 16, 4556-4573
【発明の概要】
【0004】
本発明が関心のある課題は、改善された性能のOLEDを提供することである。本発明が関心のある更なる課題は、OLEDのエレクトロルミネッセンス層及び/又は電子輸送層中での使用のための更なる材料を提供することである。
【0005】
一つの面で、本発明は、
nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に、1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意に、メチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意に、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、
式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物を提供する。
【0006】
具体例では、Arは3個以上の縮合環を有し、具体例では、3〜5縮合環、例えば、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ペリレンピレン、ベンゾピレン、テトラセン、ペンタセン及び同様のヘテロ環、例えば、ベンゾキノリン、アクリデン、ベンゾナフチリジンとフェナントロリンである。本発明の具体例は、特に、1,7-フェナントロリン、1,10-フェナントロリン及び4,7-フェナントロリンを含むフェナントロリンの種々の異性体を含む環構造中に二個以上の窒素原子を有する三環式複素環式芳香族を基礎としているが、1,10-フェナントロリンが最も普通である。フェナントロリン核は、1以上の置換基、例えば、アルキル基或いはアルコキシ基で置換されてもよく、例えば、4-メチル-1,10-フェナントロリン、5-メチル-1,10-フェナントロリン、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,5,9-トリメチル-1,10-フェナントロリン及び3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリンにおけるようなメチルまたは4,7-ジメトキシ-1,10-フェナントロリンにおけるようなメトキシである。メチル置換フェナントロリンと他の窒素含有複素環式芳香族は、アルデヒドと反応して、存在する1以上のメチル基をCH=CH-R1基に変換してもよい。
【0007】
更なる面では、本発明は、化合物2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリン、すなわち、式
【化1】
【0008】
の化合物を提供する。
【0009】
本発明は、また、[Ar]とnが請求項1で定義されるとおりの式[Ar](CH3)nの化合物を、R1が請求項1で定義されるとおりの式R1CHOの化合物と、酸触媒の存在下、縮合させることを含む、上記提示された式の化合物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明は、また、nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意にメチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意にメチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物ともう一つの有機半導体或いは金属を含む(現場で生成され得、例えば、OLED若しくは他の電子光学素子中の層であり得る。)組成物を提供する。いくつかの具体例では、化合物は金属でドープされていてもよく、他の具体例では、化合物はもう一つの電子輸送材料、例えば、金属キノレート或いは置換キノレートと混合されていてもよく、更なる具体例では、化合物は蛍光ドーパントでドープされ、燐光ドーパントでドープされ、または希土類キレートでドープされていてもよい。
【0011】
更なる面では、本発明は、上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンを含む層を有する電子光学或いは光電子工学素子を提供する。このような素子は、OLED及びまた例えば、有機光トランジスタ、有機光セル、有機光検出器、二安定有機分子を基礎とする電子貯蔵素子と静電潜像生成のための光伝導画像要素を含む。
【0012】
なお更なる面では、本発明は、第1の電極と、上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンを含む層と第2の電極とを有する光発光ダイオード素子を提供する。
【0013】
具体例では、エレクトロルミネッセンス層と電子輸送層を有する光発光ダイオード素子が提供され、ここで、電子輸送層は上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンを含む。2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンは、OLEDの電子輸送層中に使用されると、その目的のために例外的に高い効率を有する材料であるジルコニウムキノレートが使用されるときに得られる以上にさえも効率を増加し、この働きは上記定義されるような他の化合物でも共有されることが見出された。上記化合物を電子輸送層中に組み込んだOLEDの具体例は、減少したターンオン電圧と増加した素子寿命とを示すはずである。上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンは、以下に記載されるような1以上の蛍光或いは燐光ドーパントでドープ可能であり、エレクトロルミネッセンス層中でのホスト材料として使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【0015】
好ましい特徴の説明
混合物とドープ材料
式の化合物は、上に述べたとおりであり、一連の材料で、一連の目的で混合され、またはドープされてよい。
【0016】
電子輸送層として機能すべきところでは、それらは、低い仕事関数の金属、例えば、Li、Cs、K、Ca、Ba若しくはそれらの錯体で、例えば、化合物がドープされるべく望まれる金属の蒸気への真空中での曝露により、ドープされてよい。例えば、US-A-2006/0079004(Werner et al,その記載は、ここで参照により組み込まれる。)は、Csドープ有機半導体は比較的高い安定性を示すが故に、Csが通常使用されることを説明している。有機半導体のCsへの曝露によるドーピングは、GaCs合金、例えば、Ga7Cs11を使用して約300℃の穏やかな温度で実行することができる。それらは、錯体、例えば、キノレートで混合され、またはドープされてもよい。
【0017】
上に述べたとおりの式の芳香族及び複素環式芳香族化合物、例えば、フェナントロリン化合物は、他の電子輸送材料と混合されてもよい。非特許文献1(その内容は、参照により、ここに組み込まれる。)は、有機発光ダイオード(OLED)の性能を向上するために使用される電子輸送材料(ETM)に関する文献を概説している。本発明の化合物が混合されることのできる非常に多くの有機材料に加えて、彼らは、本発明の化合物が追加的にまたは代替として混合され得るアルミニウムキノレートを含む金属キレート化合物を検討しているが、彼らは、高いEA(〜−3.0eV;本出願人により−2.9eVと測定された)とIP(〜−5.95eV;本出願人により−5.7eVと測定された)、良好な熱的安定性(Tg〜172℃)と真空蒸発によるピンホールのない薄膜の容易な堆積のようなその優れた特性に基づいて、依然として最も広範に研究されていると、説明している。アルミニウムキノレートは、依然として、エレクトロルミネッセンス層を与えるための種々の蛍光材料でドープされるホストとしての使用のための及び電子輸送層としての使用のための双方の好適な材料である。更に最近では、ジルコニウム及びハフニウムキノレートが、電子輸送材料として開示されてきたが、その内容が、ここで参照により組み込まれるPCT/GB2007/050737 (Kathirgamanathan et al.)を参照すると、その式が上記に提示される化合物は、ジルコニウム及びハフニウムキノレートと混合されてもよい。例えば、2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)と3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(TAZ)のようなアゾール化合物;4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DPA)と2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DDPA)のようなフェナントロリン及びそれらの混合物が使用されてもよい。
【0018】
式の化合物は上記提示され、その内容がここで参照により組み込まれる本出願人の同日付け国際出願[Case EL,073-PCT]でクレームされる任意の化合物で混合されてもよい。この化合物は式
【化2】
【0019】
から成る。
【0020】
R1は、1以上のC1-C4アルキル、アルコキシ或いはシアノで置換されてよい、1〜5環状アリール(ポリ環状を含む)、アラルキル若しくはヘテロアリール基であり、
R2とR3は、一緒になって、C1-C4アルキル、アルコキシ或いはシアノで置換されてもよい、1〜5環状アリール(ポリ環状を含む)、アラルキル若しくはヘテロアリール基を形成し、
R4は、水素、C1-C4アルキル或いはアリールであり、及び
Arは、1以上のC1-C4アルキル或いはアルコキシ基で置換されてよい、単環状、二環状或いは三環状アリール若しくはヘテロアリールまたはそれらのオリゴマーである。好ましい亜属は、式
【化3】
【0021】
から成り、ここで、R1は、フェニル若しくは1以上のC1-C4アルキル基で置換されたフェニルであり、R2とR3は、一緒になって、フェニル若しくはC1-C4アルキル基で置換されたフェニルを形成する。
【0022】
R4が水素である上記式の化合物は、芳香族若しくは複素環式芳香族一級アミンを芳香族若しくは複素環式芳香族アルデヒドと反応させてシッフ塩基を形成し、続いて、シッフ塩基をリチウム化合物、例えば、リチウムアルコキシド、例えば、リチウムt-ブトキシドと反応させることにより製造され得る。R4がアルキル、アリール若しくはヘテロアリールである上記式の化合物は、同様に、芳香族若しくは複素環式芳香族二級アミンから出発して製造され得る。
【0023】
上記属内の真空昇華可能な化合物は、
【化4】
【0024】
を含む。
【0025】
溶液から加工可能である他の化合物は、次のものを含む。
【化5】
【0026】
エレクトロルミネッセンス層中に組み込まれるときには、上に提示される式のフェナントロリン化合物は、蛍光材料或いは燐光材料で混合され或いはドープされてよい。このような材料は、エレクトロルミネッセンス層と関連して以下に概観される。
【0027】
セル構造
本発明のOLEDは、とりわけ、フラットパネルディスプレーに有益であり、典型的には、陽極と陰極とその間に挟まれたエレクトロルミネッセンス層、電子注入及び/又は輸送層、正孔注入及び/又は輸送層及び随意に補助的層を含む多様な薄層を含む。層は、典型的には連続的真空気相堆積操作により構築されるが、1以上の層、例えば、正孔注入及び正孔輸送層を他の方法、例えば、スピンコート或いはインクジェット印刷により形成することが都合がよいかもしれない。
【0028】
典型的な素子は、その上に陽極層、正孔注入(バッファー)層、正孔輸送層、エレクトロルミネッセンス層、電子輸送層、電子注入層が連続的に形成される透明基板と、第2の透明基板に同様に積層されてもよい陰極層を含む。最上部発光OLEDは、その中にITO層、正孔注入層、正孔輸送層、エレクトロルミネッセンス層、電子輸送層、電子注入層を保持するアルミニウム若しくは他の金属基板と、ITO層或いは他の透明陰極においても可能であり、光は陰極を通じて放出される。更なる可能性は、その中で、アルミニウム或いは低仕事関数の金属で合金化されたアルミニウムの陰極が、連続的に、電子注入層、電子輸送層、エレクトロルミネッセンス層、正孔輸送層、正孔注入層とITO或いは他の透明導電性陽極を保持する逆OLEDであり、発光は陽極を通じてなされる。所望により、正孔障壁層が、例えば、エレクトロルミネッセンス層と電子輸送層との間に挿入されてもよい。反射率に影響する材料、例えば、銅キノレート、バナジウムオキシキノレート或いはバナジウムテトラフェノキシフタロシアニン(例えば、WO 2007/052083 (Kathirgamanathan et al.)に記載され、その内容は、ここで参照により組み込まれる。)の層が組み込まれてもよい。
【0029】
本発明のOLEDは、小分子OLED、ポリマー発光ダイオード(p-OLED)、蛍光により発光するOLED、燐光により発光するOLED(PHOLED)、イオン蛍光(希土類錯体)により発光するOLEDを含み、また単色或いは多色アクティブ若しくはパッシィブマトリックスディスプレーを含む。
【0030】
OLEDの前板及び/又は後板は、マイクロレンズ或いはマイクロレンズアレー、例えば、OLED基板或いは板上、例えば、OLEDの前板を形成するための基板或いは板上に印刷された有機ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート)のマイクロレンズアレーを有する前板及び/又は後板上に提供されてもよく、Sun et al.「平版印刷により製造されたマイクロレンズを介する向上されたアウトカップリングを有する有機発光素子」J. Appl. Phys. 100, 073106 (2006)及びWO 2003/007663 (Moler et al., Princeton)を参照されたい。プリズム状及びレンズ状フィルムは、Microsharp Corporation Limited of Watchfield, Oxfordshireから入手可能であり、マイクロレン状及びプリズム状シート材料は、3M Corporationから入手可能である。
【0031】
電導性基板:ITO/ガラス、透明金属被覆/ガラス、ATO、InZnO/ガラスが、プラスチック基板上で使用されてもよい。伝導性ポリマー被覆プラスチック及びガラスが、例えば、陽極として使用されてよい。
【0032】
陽極
多くの具体例で、陽極は、ガラス或いは他の透明基板上に被覆された錫酸化物或いはインジウム錫酸化物の層により形成される。使用されてもよい他の材料は、アンチモン錫酸化物とインジウム亜鉛酸化物を含む。基板に関しては、硬質或いは軟質透明プラスチック材料、好ましくは、寸法的に安定で、比較的高いTgの水(水蒸気を含む)不透過性である材料が使用されてよい。PENが好ましい材料であるが、使用されてよい他の材料は、PES、PEEKとPETを含む。プラスチックは電導性フィルムで被覆されてよく、耐湿性を改善し、それゆえ使用寿命を改善するためにバリア被覆を有してもよい。
【0033】
正孔注入材料
単一の層が、陽極とエレクトロルミネッセンス材料との間に設けられてもよいが、多くの具体例では、少なくとも二つの層が存在し、その一つは、正孔注入層(バッファー層)であり、他方は、正孔輸送層であり、二つの層構造は、いくつかの具体例では、改善された安定性と素子寿命を与える(US-A-4720432 (VanSlyke et al., Kodak)参照。)。正孔注入層は、引き続く有機層の膜形成特性を改善し、正孔輸送層中への正孔の注入を容易にすることに役立ち得る。
【0034】
材料とセルの型に依存して、例えば、0.1〜200nmの厚さであり得る正孔注入層のための適切な材料は、正孔注入ポルフィリン化合物、例えば、その式が以下に提示される、亜鉛フタロシアニン銅フタロシアニンとZnTpTPを含む(US-A-4356429 (Tang, Eastman Kodak)参照。)。
【化6】
【0035】
特に良好な素子効率、ターンオン電圧及び/又は寿命は、エレクトロルミネッセンス層のためのホスト材料が、有機錯体、例えば、アルミニウムキノレートのような金属キノレートである時とホスト材料が有機小分子材料である時の両方で、正孔注入層がZnTpTPであり、電子輸送層が2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンであるところで得られ得る。
【0036】
正孔注入層は、フルオロカーボンガスのプラズマ重合により生成されるフルオロカーボン系電導性ポリマー(US-A-6208075 (Hung et al; Eastman Kodak参照。)、トリアリールアミンポリマー(EP-A-0891121 (Inoue et al., TDK Corporation)参照。)若しくはフェニレンジアミン誘導体(EP-A-1029909 (Kawamura et al., Idemitsu)参照。)であってもよい。
【0037】
正孔輸送材料
使用され得る正孔輸送層は、好ましくは、20〜200nmの厚さを有する。
【0038】
正孔輸送材料の一つのクラスは、スピンコートにより層として堆積され得るポリマー材料を含む。このようなポリマー正孔輸送材料は、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロールとポリアニリンを含む。他の正孔輸送材料は、共役ポリマー、例えば、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)とPPVを含むコポリマーである。他の好ましいポリマーは、ポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)例えば、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1.4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1.4-フェニレンビニレン)、ポリ(2メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1.4-フェニレンビニレン)とアルコキシ基の少なくとも一方が長鎖可溶性アルコキシ基である他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン);ポリフルオレン及びオリゴフルオレン;ポリフェニレン及びオリゴフェニレン;ポリアントラセン及びオリゴアントラセン;並びにポリチオフェン及びオリゴチオフェンである。
【0039】
正孔輸送材料の更なるクラスは、昇華可能な小分子を含む。例えば、芳香族三級アミンは、好ましい正孔輸送材料のクラスを提供し、例えば、少なくとも二つの芳香族三級アミン部分を含む芳香族三級アミン(例えば、ビフェニルジアミン系のもの或いは「スターバースト」立体配置のもの)であるが、以下が代表的である。
【化7】
【0040】
それは、更に、芳香族アミンであるスピロ結合分子、例えば、スピロ-TAD(2,2’,7,7’-テトラキス-(ジフェニルアミノ)-スピロ-9,9’-ビフルオレンン)を含む。
【0041】
小分子正孔輸送材料の更なるクラスは、WO 2006/061594 (Kathirgamanathan et al)に開示されており、ジアミノジアントラセン系である。典型的な化合物は、以下のものを含む。
【0042】
9-(10-(N-(ナフタレン-1-イル)-N-フェニルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-(ナフタレン-1-イル)-N-フェニルアントラセン-10-アミン;
9-(10-(N-(ビフェニル-N-2-m-トリルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-ビフェニル-N-2-m-トリルアミノ-アントラセン-10-アミン;及び
9-(10-(N-(フェニル-N-m-トリルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-フェニル-N-m-トリルアントラセン-10-アミン。
【0043】
エレクトロルミネッセンス材料
原則として、任意のエレクトロルミネッセンス材料が使用されてよく、蛍光染料、例えば、ペリレン染料、金属錯体、例えば、Alq3、Ir(III)L3、希土類キレート、例えば、Tb(III)錯体、デンドリマー及びオリゴマー、例えば、セクシチオフェンまたはポリマー放射性材料であり得る分子性固体を含む。エレクトロルミネッセンス層は、ルミネッセンス材料として、金属キノレート、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム或いは白金錯体、ホウ素錯体若しくは希土類錯体を含んでよい。
【0044】
エレクトロルミネッセンス材料の一つの好ましいクラスは、蛍光性、燐光性若しくはイオン燐光性(希土類)であり得る染料でドープされたホスト材料を含む。用語「エレクトロルミネッセンス素子」は、電子燐光性素子を含む。
【0045】
好ましくは、ホストは、ドーパントとして微量の、好ましくは、ドープ混合物の0.01〜25重量%の量の蛍光材料でドープされる。その内容が参照により含まれるUS-A-4769292 (Tang et al., Kodak)で検討されたとおり、蛍光材料の存在は、広範囲な幅の発光波長からの選択を許容する。特に、US-A-4769292に開示されるとおり、正孔-電子再結合に応じて発光することのできる微量の蛍光材料を有機金属錯体と調合することにより、ルミネッセントゾーンから放出された光の色合いを改変することができる。理論的には、ホスト材料と蛍光材料が、正孔-電子再結合のための正確に同じ親和性を有する調合で見出され得るならば、各材料は、ルミネッセントゾーンでの正孔と電子の注入後、発光するはずである。知覚される発光の色合いは、両発光の視覚的統合であるだろう。しかしながら、ホスト材料と蛍光材料のこのようなバランスを課すことは、制限されることから、発光のために有利なサイトを提供するように、蛍光材料を選択することが好ましい。発光のために有利なサイトを提供する蛍光材料のほんの少量が存在するときには、ホスト材料に典型的なピーク強度波長発光は、蛍光材料に起因しうる新たなピーク強度波長発光に有利なように、完全に排除されることができる。
【0046】
この効果を達成するに十分な蛍光材料の最小割合は変動し、ホスト材料を基礎として約10モル%を超える蛍光材料を使用する必要はなく、1モル%を超える蛍光材料を使用する必要は全くない。他方、存在する蛍光材料を極端に少量に、典型的には、ホスト材料を基礎として10−3モルパーセント未満に制限することは、ホスト材料に特有な波長での発光を保持することを生じ得る。したがって、発光のために有利なサイトを提供することのできる蛍光材料の割合を選択することにより、発光波長の完全な或いは部分的なシフトを実現することができる。これは、EL素子のスペクトル発光を、使用される用途に適するように選択し、バランスさせることを可能とする。蛍光染料の場合には、典型的な量は、0.01〜5重量%、例えば、2〜3重量%である。燐光染料の場合には、典型的な量は、0.1〜15重量%である。イオン燐光材料の場合には、典型的な量は、0.01〜25重量%または100重量%までである。
【0047】
発光のために有利なサイトを提供することのできる蛍光材料を選択することは、必然的にホスト材料の特性と蛍光材料の特性とを関連付けることを含む。ホストは、発光のための分子サイトを提供する蛍光材料と共に、注入された正孔と電子のための集電体とみなすことができる。ホストに存在するときに、発光色の色合いを改変することのできる蛍光材料を選択するための一つの重要な関係は、二つの材料の還元ポテンシャルの比較である。発光波長をシフトすることが実証された蛍光材料は、ホストよりも負の還元ポテンシャルを示した。電子ボルトで測定された還元ポテンチャルは、それらの測定のための種々な技術と共に広く文献で報告されてきた。望まれるのは、その絶対値よりもむしろ還元ポテンチャルの比較であるから、蛍光とホストの還元ポテンチャルが同様に測定されているならば、還元ポテンチャル測定のための任意の受容される技術を使用することができることは明らかである。好ましい酸化還元ポテンチャル測定技術は、R. J. Cox, Photographic Sensitivity, Academic Press, 1973, Chapter 15に報告されている。
【0048】
ホストに存在するときに、発光色の色合いを改変することのできる蛍光材料を選択するための第二の重要な関係は、二つの材料のバンドギャップポテンシャルの比較である。発光波長をシフトすることが実証された蛍光材料は、ホストよりも低いバンドギャップポテンシャルを示した。分子のバンドギャップポテンシャルは、その基底状態と第一の単項状態とを隔てる電子ボルト(eV)でのポテンシャル差とみなされる。バンドギャップポテンシャルとそれらの測定のための技術は、広く文献で報告されてきた。ここで報告されたバンドギャップポテンシャルは、吸収ピークに深色性で、吸収ピークの大きさの10分の1の大きさである吸収波長で、電子ボルト(eV)で測定されたものである。望まれるのは、その絶対値よりもむしろバンドギャップポテンシャルの比較であるから、蛍光とホストのバンドギャップの両者が同様に測定されているならば、バンドギャップ測定のための任意の受容される技術を使用することができることは明らかである。一つの実証的測定技術は、F. Gutman and L. E. Lyons, Organic Semiconductors, Wiley, 1967, Chapter 5.に開示されている。
【0049】
蛍光材料がなくともそれ自体発光することができるホスト材料と共に、ホスト単独の発光特性の波長での発光の抑制と蛍光材料の波長特性での発光の向上が、ホストと蛍光材料のスペクトルカップリングが達成されるときに生じることが観察された。「スペクトルカップリング」によって、ホスト単独の発光特性の波長とホストがないときの蛍光材料の光の吸収波長との間に、重複が存在することが意味されている。最適なスペクトルカップリングは、ホストの発光波長が、蛍光材料単独の最大吸収の±25nm以内であるときに生じる。実際に、有利なスペクトルカップリングは、ピークの幅とそれらの浅色及び深色勾配に依存して、100nm以上までの異なるピーク発光及び吸収波長で生じることができる。ホストと蛍光材料との間で最適とはいえないスペクトルカップリングが考えられるところでは、深色性は、蛍光材料の浅色変位と比べると、より効率的な結果を生み出す。
【0050】
有益な蛍光材料は、ホストと調合され、本発明のEL素子のルミネッセントゾーンを形成する上記記載の厚さ範囲を満足する薄膜に製造することができるものである。結晶性有機金属錯体は、それ自体薄膜形成に向いていないが、ホストに存在する限定された量の蛍光材料は、単独で薄膜を形成することのできない蛍光材料の使用を許容する。好ましい蛍光材料は、ホストと共通の相を形成するものである。蛍光染料は、染料が分子レベルでのホストでの分配に向いていることから、蛍光材料の好ましいクラスを構成する。ホストに蛍光染料を分散するための任意の都合のよい技術を使用することができるが、好ましい蛍光染料は、ホスト材料と共に真空気相堆積することのできるものである。
【0051】
ホスト材料の一つのクラスは、特許出願WO 2004/058913に開示されたとおりの蛍光材料或いは染料でドープされてよい金属錯体、例えば、リチウムキノレート、アルミニウムキノレート、チタンキノレート、ジルコニウムキノレート或いはハフニウムキノレートのような金属キノレートを含む。
【0052】
キノレート、例えば、アルミニウムキノレートの場合:
(a)以下の化合物は、例えば、赤色ドーパントとして機能し得る:
【化8】
【0053】
(b)以下の化合物は、例えば、緑色ドーパントとして機能し得る:
【化9】
【0054】
ここで、Rは、C1-C4アルキル、単環状アリール、二環状アリール、単環状ヘテロアリール、二環状ヘテロアリール、アラルキル若しくはチエニルであり、好ましくは、フェニルである;及び
(c)ビフェニルオキシアルミニウムビス-キノレート(BAlQ2)若しくはアルミニウムキノレートのためには、化合物ぺリレンと9-(10-(N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアントラセン-10-アミンが、青色ドーパントとして機能する。
【0055】
ホストのもう一つの好ましいクラスは、例えば、置換基、例えば、アルキル(特に、メチル)、アルコキシ及びフッ素を有してもよく、蛍光材料或いは染料でドープされてもよい4〜10アリール若しくはヘテロアリール環である共役芳香族系を組み込んだ小分子である。
【0056】
上記種類の構造の例は、ホストとしての以下の化合物(化合物H)とドーパントとしてのペリレン或いは9-(10-(N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアントラセン-10-アミンに基づく青色発光材料である。
【化10】
【0057】
小芳香族分子であるホスト材料の更なる例は、以下に示される:
【化11】
【0058】
上記説明したとおりの、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンは、ホストとしてエレクトロルミネッセンス層に使用されてよいし、或いはそれ自身で存在してよい。
【0059】
青色発光材料は、有機ホスト(例えば、上記示したとおりの共役芳香族化合物)とドーパントとしてのWO 2006/090098 (Kathirgamanathan et al.)に開示されたジアリールアミンアントラセン化合物を基礎とし得る。例えば、CBPは、青色発光置換アントラセンとりわけ
9.10-ビス-(4-メチルベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(2,4-ジメチルベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(2,5-ジメチルベンジル)-アントラセン、
1,4-ビス-(2,3,5,6-テトラメチルベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(4-メトキシベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(9H-フルオレン-9-イル)-アントラセン
2,6-ジ-t-ブチルアントラセン、
2,6-ジ-t-ブチル-9.10-ビス-(2,5-ジメチルベンジル)-アントラセン、
2,6-ジ-t-ブチル-9.10-ビス-(ナフタレン-1-イルメチル)-アントラセン、
でドープされてよい。
【0060】
更なる青色発光材料は、ホストとしてTCTAを使用してよく、以下に提示される青色燐光材料でドープされてよい(WO 2005/080526 (Kathirgamanathan et al.)参照。):
青色燐光材料
【化12】
【0061】
CBP或いはTAZと共に使用され得る緑色燐光材料の例は以下に提示される(WO 2005/080526参照。):
緑色燐光材料
【化13】
【0062】
CBP或いはTAZと共に使用され得る赤色燐光材料の例は以下に提示される(WO 2005/080526参照。):
赤色燐光材料
【化14】
【0063】
更なるドーパントとして、蛍光レーザー染料は、本発明の有機EL素子での使用のための特に有益な蛍光材料であると認識されている。使用することのできるドーパントは、ジフェニルアクリジン、クマリン、ペリレンとそれらの誘導体を含む。有益な蛍光ドーパントは、US 4769292に開示されている。好ましいドーパントの一つのクラスは、クマリンである。次のものは、レーザー染料として有益であることが知られた例となる蛍光クマリン染料である。
【0064】
FD-1 7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、
FD-2 4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン、
FD-3 4-メチルウンベリフェロン、
FD-4 3-(2’-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、
FD-5 3-(2’-ベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、
FD-6 7-アミノ-3-フェニルクマリン、
FD-7 3-(2’-N-メチルベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、
FD-8 7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-9 2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-メチルキノラジノ[9,9a,1-gh]クマリン、
FD-10 シクロペンタ[c]ユロリインジノ[9,10-3]-11H-ピラン-11-オン、
FD-11 7-アミノ-4-メチルクマリン、
FD-12 7-ジメチルアミノ-シクロペンタ[c]クマリン、
FD-13 7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-14 7-ジメチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-15 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジン-10-オン、
FD-16 4-メチル-7-(スルホメチルアミノ)クマリンナトリウム塩、
FD-17 7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-18 7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリン、
FD-19 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-カルベトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-20 9-アセチル-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-21 9-シアノ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-22 9-(t-ブトキシカルボニル)-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-23 4-メチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、
FD-24 4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、
FD-25 9-カルボキシ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-26 N-エチル-4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]クマリン。
【0065】
他のドーパントは、
【化15】
【0066】
のようなビスベンゼンスルホン酸塩(昇華よりもむしろスピンコートによる堆積を必要とする)とペリレン並びにペリレン誘導体とドーパントを含む。他のドーパントは、蛍光4-ジシアノメチレン-4H-ピラン及び4-ジシアノメチレン-4H-チオピランのような染料、例えば、蛍光ジシアノメチレンピラン及びチオピラン染料である。有益な蛍光染料は、既知のポリメチン染料の中から選択されることもでき、シアニン、錯体シアニン及びメロシアニン(すなわち、三-、四-及び多-核シアニン及びメロシアニン)、オキソノール、ヘミオキソノール、スチリル、メロスチリル並びにストレプトシアニンである。シアニン染料は、メチン結合により結合され、アゾリウム或いはアジニウム核、例えば、ピリジニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、セレナゾリウム、インダゾリウム、ピラゾリウム、ピロリウム、インドリウム、3H-インドリウム、イミダゾリウム、オキサジアゾリウム、チアジオキサゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾセレナゾリウム、ベンゾテルラゾリウム、ベンズイミダゾリウム、3H-或いは1H-ベンゾインドリウム、ナフトキサゾリウム、ナフトチアゾリウム、ナフトセレナゾリウム、ナフトテルラゾリウム、カルボゾリウム、ピロロピリジニウム、フェナントロチアゾリウム及びアセナフトチアゾリウム四級塩からの誘導体のような2個の塩基性ヘテロ環核を含む。他の有益な蛍光染料のクラスは、4-オキソ-4H-ベンズ-[d,e]アントラセンとピリリウム、チオピリリウム、セレナピリリウム及びテルロピリリウム染料である。
【0067】
更なる青色発光材料は、次の特許、出願及び公報に開示されており、その内容は、ここで参照により組み込まれる。
【0068】
US-A-5141671 (Bryan, Kodak)-フェノレート配位子と2個の8-キノリノレート配位子を含むアルミニウムキレート。
【0069】
WO 00/32717 (Kathirgamanathan)-真空堆積可能であるリチウムキノレートと他の置換リチウムキノレートであって、置換基は、同一か異なり、2、3、4、5、6及び7位に存在してよく、また、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、スルホン酸、エステル、カルボン酸、アミノ及びアミド基から選択され、または、芳香族、ポリ環状或いはヘテロ環状基である。
【0070】
US 2006/0003089 (Kathirgamanathan)- リチウムアルキル或いはアルコキシドと8-ヒドロキシキノリン基とをアセトニトリル中で反応させることにより製造されたリチウムキノレート。
【0071】
Misra,http://www.ursi.org/Proceedings/ProcGA05/pdf/D04.5(01720).pdf 青色有機エレクトロルミネッセンス材料 1×10−5Torrで真空堆積可能なビス-(2-メチル 8-キノリノレート)(トリフェニルシロキシ)アルミニウム(III)。
【0072】
WO 03/006573 (Kathirgamanathan et al)-金属ピラゾロン。
【0073】
WO 2004/084325 (Kathirgamanathan et al)-ホウ素錯体。
【0074】
WO 2005/080526 (Kathitgamanathan et al)-青色燐光イリジウム系錯体。
【0075】
Ma et al., Chem. Comm. 1998, 2491-2492 架橋配位子として7-アザインドレートを有する四核亜鉛(II)化合物[Zn4O(AlD)6]の調製と結晶構造。とりわけ、薄い均質なフィルムを形成するためにインジウム-錫酸化物で被覆されたガラス基板上へのこの化合物の真空堆積(<200℃、2×10−6Torr)による単層LEDの製造が、報告されている。
【0076】
使用することのできる更なるエレクトロルミネッセンス材料は、アルミニウムキノレート、リチウムキノレート、チタンキノレート、ジルコニウムキノレート、ハフニウムキノレート等のような金属キノレートを含む。
【0077】
使用され得る多くの更なるエレクトロルミネッセンス材料が、WO 2004/050793 (ピラゾロン)、WO 2004/058783 (ジイリジウム金属錯体)、WO 2006/016193 (ジベンゾチオフェニル金属錯体)及びWO 2006/024878 (チアントレン金属錯体)に記載されており、その内容がここで参照により組み込まれるWO 2006/ 040593も参照されたい。希土類キレートは、特に、緑色及び赤色エミッターとして使用され得る。更に、以下に示されるとおりの電導性ポリマー、例えば、ポリアニリン、フェニレンビニレンポリマー、フルオレンホモポリマー及びコポリマー、フェニレンポリマーが、エレクトロルミネッセンス材料として使用され得る。
【0078】
電導性ポリマー
【化16】
【0079】
電子輸送材料
説明されたとおり、ここで使用される電子輸送材料は、上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンから成るか、または、それを含む。好ましくは、上記定義されるとおの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンのET層中での含有量は、少なくとも30重量%、好ましくは、少なくとも50重量%である。
【0080】
上記化合物の具体例は、nが上記で定義されるとおりの式[Phen](CH3)nの化合物を、式R1CHOの化合物と、酸触媒、例えば、有機酸の無水物の存在下、縮合させることにより製造され得る。
【0081】
電子注入材料
任意の既知の電子注入材料が使用されてよく、LiFが典型的である。他に可能なものは、BaF2、CaF2及びCsF2を含む。
【0082】
陰極
多くの具体例では、アルミニウムが、それ自身か、マグネシウム或いは銀のような元素と合金化されて、陰極として使用されるが、いくつかの具体例では、他の陰極金属、例えば、カルシウムが使用されてよい。一つの具体例では、陰極は、電子注入層或いは電子輸送層に、より近接する、第1の合金層、例えば、Li-Ag、Mg-Ag或いはAl-Mgと、電子注入或いは電子輸送層から更に離れた純粋なアルミニウムの第2層を含み得る。陰極材料は、ガラスから成り得るか、硬質或いは軟質であってよく、随意に透明であってよいプラスチックから成りなり得る透明板状材料上に存在してもよい。プラスチック基板については、硬質或いは軟質透明プラスチック材料、好ましくは、比較的高いTgを有する寸法的に安定で、水(水蒸気を含む)不透過性である材料が使用され得る。PENが好ましい材料であるが、使用されてもよい他の材料は、PES、PEEKとPETを含む。プラスチックは電導性フィルムで被覆されてよく、作業条件下で遭遇し得る湿気、例えば、雰囲気水蒸気に対する抵抗性を改善するためにバリア被覆を有してもよい。
【0083】
本発明が如何に実行され得るかは、以下の例を参照して、今や説明されるだろう。
【0084】
調製方法
2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンの調製
【化17】
【0085】
無水酢酸(15ml)中の2,9-ジメチル-1,10フェナントロリン(ネオクプロイン水和物)(10g、0.048モル)と2-チオフェンカルボキシアルデヒド(9.4ml、0.188モル)の混合物が、5時間還流された。溶液は室温まで冷却され、薄黄色の固形物を得た。固形物は吸引ろ過され、濾滓はテトラヒドロフランで洗浄された。これは、コニカルフラスコに移送され、脱イオン水で15分間攪拌され、吸引ろ過された。固形物は、再度テトラヒドロフランと石油エーテル(40〜60℃)で洗浄された。生成物は、真空下80℃で8時間乾燥された。収量:5.9g。生成物は昇華され、強い黄色蛍光を呈する黄橙色の固形物を得た。薄膜状でのTHF溶液中でのその吸収及び蛍光スペクトルが、図1と2に示されている。
【0086】
収量:2.8g、M.p298℃(DSC、開始)、303℃(DSC、ピーク);Tg111℃
【表1】
【0087】
素子の構成
予めエッチングされたITO被覆ガラス片(10×10cm2)が使用された。素子はSolciet Machine, ULVAC Ltd. Chigacki,日本、を使用する真空蒸着により、ITO上に連続的に層を形成することにより製造された。各画素の活性領域は、3mm×3mmであった。被覆された電極は、ガラス背板を使用してUV硬化接着剤で不活性雰囲気(窒素)中に封入された。エレクトロルミネッセンスの調査が、正端子に常に接続したITO電極により実行された。電流対電圧の調査が、コンピューター制御されたKeithly 2400 source meterにより実行された。
【0088】
例1
陽極層、バッファー層、正孔輸送層、エレクトロルミネッセンス層(ドープされた材料)、電子輸送層、電子注入層と陰極層から成る、赤色及び青緑色発光を有する素子が、上記方法により形成された。膜厚は、nmである。
【0089】
赤色
ITO/ZnTpTP(20)/α-NBP(50)/Alq3:DCJTi(60:0.6)/ETL(20)/LiF(0.3)/Al、ここで、ETLは、Zrq4若しくは2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンである。
【0090】
青色
ITO/ZnTpTP(20)/α-NBP(50)/化合物H:ペリレン(25:0.1)/ETL(20)/LiF(0.3)/Al、ここで、ETLは、Zrq4若しくは2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンである。
【0091】
緑色
図9〜12に示されるとおり。
【0092】
結果は、図3〜12に示される。
【0093】
例2
2,9-ビス(2-アリールビニル)-[1,10]フェナントロリンの調製
【化18】
【0094】
無水酢酸(20ml)中の2,9-ジメチル-1,10フェナントロリン(ネオクプロイン水和物)(5.0g、0.024モル)と2-アリールカルボキシアルデヒド(0.053モル)の混合物が、5〜16時間還流された。冷却された反応混合物は、メタノール/水中に注がれ、固形物を得た。固形物は、固形物を溶解することにより、ジクロロメタン中に吸収され、ろ過され、分離漏斗中で水により抽出された。有機相は、脱イオン水で洗浄され、無水硫酸マグネシウムで乾燥され、蒸発され、収率55%〜75%で固形物を得た。生成物は昇華され、強い蛍光を呈する分析的に純粋な固形物を得た。
【0095】
以下に挙げられた化合物は、上記手順により製造された。
【表2−1】
【表2−2】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物とその使用、特に光発光素子、例えば、エレクトロルミネッセンス層或いは電子輸送層中でのホスト材料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1(その内容は、参照により、ここに組み込まれる。)は、有機発光ダイオード(OLED)の性能を向上するために使用される電子輸送材料(ETM)に関する文献を概説している。彼らは、非常に多くの有機材料に加えて、アルミニウムキノレートを含む金属キレート化合物を検討しているが、彼らは、高いEA(〜−3.0eV;本出願人により−2.9eVとして測定された)とIP(〜−5.95eV;本出願人により−5.7eVとして測定された)、良好な熱的安定性(Tg〜172℃)と真空蒸発によるピンホールのない薄膜の容易な堆積のようなその優れた特性に基づいて、依然として最も広範に研究されている金属キレートであると説明している。アルミニウムキノレートは、依然として、エレクトロルミネッセンス層を与えるために種々の蛍光材料でドープされるホスト材料としての使用及び電子輸送層としての使用の双方のための好適な材料である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kulkarni et al., Chem. Mater. 2004, 16, 4556-4573
【発明の概要】
【0004】
本発明が関心のある課題は、改善された性能のOLEDを提供することである。本発明が関心のある更なる課題は、OLEDのエレクトロルミネッセンス層及び/又は電子輸送層中での使用のための更なる材料を提供することである。
【0005】
一つの面で、本発明は、
nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に、1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意に、メチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意に、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、
式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物を提供する。
【0006】
具体例では、Arは3個以上の縮合環を有し、具体例では、3〜5縮合環、例えば、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ペリレンピレン、ベンゾピレン、テトラセン、ペンタセン及び同様のヘテロ環、例えば、ベンゾキノリン、アクリデン、ベンゾナフチリジンとフェナントロリンである。本発明の具体例は、特に、1,7-フェナントロリン、1,10-フェナントロリン及び4,7-フェナントロリンを含むフェナントロリンの種々の異性体を含む環構造中に二個以上の窒素原子を有する三環式複素環式芳香族を基礎としているが、1,10-フェナントロリンが最も普通である。フェナントロリン核は、1以上の置換基、例えば、アルキル基或いはアルコキシ基で置換されてもよく、例えば、4-メチル-1,10-フェナントロリン、5-メチル-1,10-フェナントロリン、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,5,9-トリメチル-1,10-フェナントロリン及び3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリンにおけるようなメチルまたは4,7-ジメトキシ-1,10-フェナントロリンにおけるようなメトキシである。メチル置換フェナントロリンと他の窒素含有複素環式芳香族は、アルデヒドと反応して、存在する1以上のメチル基をCH=CH-R1基に変換してもよい。
【0007】
更なる面では、本発明は、化合物2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリン、すなわち、式
【化1】
【0008】
の化合物を提供する。
【0009】
本発明は、また、[Ar]とnが請求項1で定義されるとおりの式[Ar](CH3)nの化合物を、R1が請求項1で定義されるとおりの式R1CHOの化合物と、酸触媒の存在下、縮合させることを含む、上記提示された式の化合物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明は、また、nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意にメチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意にメチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物ともう一つの有機半導体或いは金属を含む(現場で生成され得、例えば、OLED若しくは他の電子光学素子中の層であり得る。)組成物を提供する。いくつかの具体例では、化合物は金属でドープされていてもよく、他の具体例では、化合物はもう一つの電子輸送材料、例えば、金属キノレート或いは置換キノレートと混合されていてもよく、更なる具体例では、化合物は蛍光ドーパントでドープされ、燐光ドーパントでドープされ、または希土類キレートでドープされていてもよい。
【0011】
更なる面では、本発明は、上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンを含む層を有する電子光学或いは光電子工学素子を提供する。このような素子は、OLED及びまた例えば、有機光トランジスタ、有機光セル、有機光検出器、二安定有機分子を基礎とする電子貯蔵素子と静電潜像生成のための光伝導画像要素を含む。
【0012】
なお更なる面では、本発明は、第1の電極と、上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンを含む層と第2の電極とを有する光発光ダイオード素子を提供する。
【0013】
具体例では、エレクトロルミネッセンス層と電子輸送層を有する光発光ダイオード素子が提供され、ここで、電子輸送層は上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンを含む。2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンは、OLEDの電子輸送層中に使用されると、その目的のために例外的に高い効率を有する材料であるジルコニウムキノレートが使用されるときに得られる以上にさえも効率を増加し、この働きは上記定義されるような他の化合物でも共有されることが見出された。上記化合物を電子輸送層中に組み込んだOLEDの具体例は、減少したターンオン電圧と増加した素子寿命とを示すはずである。上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンは、以下に記載されるような1以上の蛍光或いは燐光ドーパントでドープ可能であり、エレクトロルミネッセンス層中でのホスト材料として使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明によるセルの性能を示すグラフである。
【0015】
好ましい特徴の説明
混合物とドープ材料
式の化合物は、上に述べたとおりであり、一連の材料で、一連の目的で混合され、またはドープされてよい。
【0016】
電子輸送層として機能すべきところでは、それらは、低い仕事関数の金属、例えば、Li、Cs、K、Ca、Ba若しくはそれらの錯体で、例えば、化合物がドープされるべく望まれる金属の蒸気への真空中での曝露により、ドープされてよい。例えば、US-A-2006/0079004(Werner et al,その記載は、ここで参照により組み込まれる。)は、Csドープ有機半導体は比較的高い安定性を示すが故に、Csが通常使用されることを説明している。有機半導体のCsへの曝露によるドーピングは、GaCs合金、例えば、Ga7Cs11を使用して約300℃の穏やかな温度で実行することができる。それらは、錯体、例えば、キノレートで混合され、またはドープされてもよい。
【0017】
上に述べたとおりの式の芳香族及び複素環式芳香族化合物、例えば、フェナントロリン化合物は、他の電子輸送材料と混合されてもよい。非特許文献1(その内容は、参照により、ここに組み込まれる。)は、有機発光ダイオード(OLED)の性能を向上するために使用される電子輸送材料(ETM)に関する文献を概説している。本発明の化合物が混合されることのできる非常に多くの有機材料に加えて、彼らは、本発明の化合物が追加的にまたは代替として混合され得るアルミニウムキノレートを含む金属キレート化合物を検討しているが、彼らは、高いEA(〜−3.0eV;本出願人により−2.9eVと測定された)とIP(〜−5.95eV;本出願人により−5.7eVと測定された)、良好な熱的安定性(Tg〜172℃)と真空蒸発によるピンホールのない薄膜の容易な堆積のようなその優れた特性に基づいて、依然として最も広範に研究されていると、説明している。アルミニウムキノレートは、依然として、エレクトロルミネッセンス層を与えるための種々の蛍光材料でドープされるホストとしての使用のための及び電子輸送層としての使用のための双方の好適な材料である。更に最近では、ジルコニウム及びハフニウムキノレートが、電子輸送材料として開示されてきたが、その内容が、ここで参照により組み込まれるPCT/GB2007/050737 (Kathirgamanathan et al.)を参照すると、その式が上記に提示される化合物は、ジルコニウム及びハフニウムキノレートと混合されてもよい。例えば、2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)と3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(TAZ)のようなアゾール化合物;4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DPA)と2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(DDPA)のようなフェナントロリン及びそれらの混合物が使用されてもよい。
【0018】
式の化合物は上記提示され、その内容がここで参照により組み込まれる本出願人の同日付け国際出願[Case EL,073-PCT]でクレームされる任意の化合物で混合されてもよい。この化合物は式
【化2】
【0019】
から成る。
【0020】
R1は、1以上のC1-C4アルキル、アルコキシ或いはシアノで置換されてよい、1〜5環状アリール(ポリ環状を含む)、アラルキル若しくはヘテロアリール基であり、
R2とR3は、一緒になって、C1-C4アルキル、アルコキシ或いはシアノで置換されてもよい、1〜5環状アリール(ポリ環状を含む)、アラルキル若しくはヘテロアリール基を形成し、
R4は、水素、C1-C4アルキル或いはアリールであり、及び
Arは、1以上のC1-C4アルキル或いはアルコキシ基で置換されてよい、単環状、二環状或いは三環状アリール若しくはヘテロアリールまたはそれらのオリゴマーである。好ましい亜属は、式
【化3】
【0021】
から成り、ここで、R1は、フェニル若しくは1以上のC1-C4アルキル基で置換されたフェニルであり、R2とR3は、一緒になって、フェニル若しくはC1-C4アルキル基で置換されたフェニルを形成する。
【0022】
R4が水素である上記式の化合物は、芳香族若しくは複素環式芳香族一級アミンを芳香族若しくは複素環式芳香族アルデヒドと反応させてシッフ塩基を形成し、続いて、シッフ塩基をリチウム化合物、例えば、リチウムアルコキシド、例えば、リチウムt-ブトキシドと反応させることにより製造され得る。R4がアルキル、アリール若しくはヘテロアリールである上記式の化合物は、同様に、芳香族若しくは複素環式芳香族二級アミンから出発して製造され得る。
【0023】
上記属内の真空昇華可能な化合物は、
【化4】
【0024】
を含む。
【0025】
溶液から加工可能である他の化合物は、次のものを含む。
【化5】
【0026】
エレクトロルミネッセンス層中に組み込まれるときには、上に提示される式のフェナントロリン化合物は、蛍光材料或いは燐光材料で混合され或いはドープされてよい。このような材料は、エレクトロルミネッセンス層と関連して以下に概観される。
【0027】
セル構造
本発明のOLEDは、とりわけ、フラットパネルディスプレーに有益であり、典型的には、陽極と陰極とその間に挟まれたエレクトロルミネッセンス層、電子注入及び/又は輸送層、正孔注入及び/又は輸送層及び随意に補助的層を含む多様な薄層を含む。層は、典型的には連続的真空気相堆積操作により構築されるが、1以上の層、例えば、正孔注入及び正孔輸送層を他の方法、例えば、スピンコート或いはインクジェット印刷により形成することが都合がよいかもしれない。
【0028】
典型的な素子は、その上に陽極層、正孔注入(バッファー)層、正孔輸送層、エレクトロルミネッセンス層、電子輸送層、電子注入層が連続的に形成される透明基板と、第2の透明基板に同様に積層されてもよい陰極層を含む。最上部発光OLEDは、その中にITO層、正孔注入層、正孔輸送層、エレクトロルミネッセンス層、電子輸送層、電子注入層を保持するアルミニウム若しくは他の金属基板と、ITO層或いは他の透明陰極においても可能であり、光は陰極を通じて放出される。更なる可能性は、その中で、アルミニウム或いは低仕事関数の金属で合金化されたアルミニウムの陰極が、連続的に、電子注入層、電子輸送層、エレクトロルミネッセンス層、正孔輸送層、正孔注入層とITO或いは他の透明導電性陽極を保持する逆OLEDであり、発光は陽極を通じてなされる。所望により、正孔障壁層が、例えば、エレクトロルミネッセンス層と電子輸送層との間に挿入されてもよい。反射率に影響する材料、例えば、銅キノレート、バナジウムオキシキノレート或いはバナジウムテトラフェノキシフタロシアニン(例えば、WO 2007/052083 (Kathirgamanathan et al.)に記載され、その内容は、ここで参照により組み込まれる。)の層が組み込まれてもよい。
【0029】
本発明のOLEDは、小分子OLED、ポリマー発光ダイオード(p-OLED)、蛍光により発光するOLED、燐光により発光するOLED(PHOLED)、イオン蛍光(希土類錯体)により発光するOLEDを含み、また単色或いは多色アクティブ若しくはパッシィブマトリックスディスプレーを含む。
【0030】
OLEDの前板及び/又は後板は、マイクロレンズ或いはマイクロレンズアレー、例えば、OLED基板或いは板上、例えば、OLEDの前板を形成するための基板或いは板上に印刷された有機ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート)のマイクロレンズアレーを有する前板及び/又は後板上に提供されてもよく、Sun et al.「平版印刷により製造されたマイクロレンズを介する向上されたアウトカップリングを有する有機発光素子」J. Appl. Phys. 100, 073106 (2006)及びWO 2003/007663 (Moler et al., Princeton)を参照されたい。プリズム状及びレンズ状フィルムは、Microsharp Corporation Limited of Watchfield, Oxfordshireから入手可能であり、マイクロレン状及びプリズム状シート材料は、3M Corporationから入手可能である。
【0031】
電導性基板:ITO/ガラス、透明金属被覆/ガラス、ATO、InZnO/ガラスが、プラスチック基板上で使用されてもよい。伝導性ポリマー被覆プラスチック及びガラスが、例えば、陽極として使用されてよい。
【0032】
陽極
多くの具体例で、陽極は、ガラス或いは他の透明基板上に被覆された錫酸化物或いはインジウム錫酸化物の層により形成される。使用されてもよい他の材料は、アンチモン錫酸化物とインジウム亜鉛酸化物を含む。基板に関しては、硬質或いは軟質透明プラスチック材料、好ましくは、寸法的に安定で、比較的高いTgの水(水蒸気を含む)不透過性である材料が使用されてよい。PENが好ましい材料であるが、使用されてよい他の材料は、PES、PEEKとPETを含む。プラスチックは電導性フィルムで被覆されてよく、耐湿性を改善し、それゆえ使用寿命を改善するためにバリア被覆を有してもよい。
【0033】
正孔注入材料
単一の層が、陽極とエレクトロルミネッセンス材料との間に設けられてもよいが、多くの具体例では、少なくとも二つの層が存在し、その一つは、正孔注入層(バッファー層)であり、他方は、正孔輸送層であり、二つの層構造は、いくつかの具体例では、改善された安定性と素子寿命を与える(US-A-4720432 (VanSlyke et al., Kodak)参照。)。正孔注入層は、引き続く有機層の膜形成特性を改善し、正孔輸送層中への正孔の注入を容易にすることに役立ち得る。
【0034】
材料とセルの型に依存して、例えば、0.1〜200nmの厚さであり得る正孔注入層のための適切な材料は、正孔注入ポルフィリン化合物、例えば、その式が以下に提示される、亜鉛フタロシアニン銅フタロシアニンとZnTpTPを含む(US-A-4356429 (Tang, Eastman Kodak)参照。)。
【化6】
【0035】
特に良好な素子効率、ターンオン電圧及び/又は寿命は、エレクトロルミネッセンス層のためのホスト材料が、有機錯体、例えば、アルミニウムキノレートのような金属キノレートである時とホスト材料が有機小分子材料である時の両方で、正孔注入層がZnTpTPであり、電子輸送層が2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンであるところで得られ得る。
【0036】
正孔注入層は、フルオロカーボンガスのプラズマ重合により生成されるフルオロカーボン系電導性ポリマー(US-A-6208075 (Hung et al; Eastman Kodak参照。)、トリアリールアミンポリマー(EP-A-0891121 (Inoue et al., TDK Corporation)参照。)若しくはフェニレンジアミン誘導体(EP-A-1029909 (Kawamura et al., Idemitsu)参照。)であってもよい。
【0037】
正孔輸送材料
使用され得る正孔輸送層は、好ましくは、20〜200nmの厚さを有する。
【0038】
正孔輸送材料の一つのクラスは、スピンコートにより層として堆積され得るポリマー材料を含む。このようなポリマー正孔輸送材料は、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロールとポリアニリンを含む。他の正孔輸送材料は、共役ポリマー、例えば、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)とPPVを含むコポリマーである。他の好ましいポリマーは、ポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)例えば、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1.4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1.4-フェニレンビニレン)、ポリ(2メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1.4-フェニレンビニレン)とアルコキシ基の少なくとも一方が長鎖可溶性アルコキシ基である他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン);ポリフルオレン及びオリゴフルオレン;ポリフェニレン及びオリゴフェニレン;ポリアントラセン及びオリゴアントラセン;並びにポリチオフェン及びオリゴチオフェンである。
【0039】
正孔輸送材料の更なるクラスは、昇華可能な小分子を含む。例えば、芳香族三級アミンは、好ましい正孔輸送材料のクラスを提供し、例えば、少なくとも二つの芳香族三級アミン部分を含む芳香族三級アミン(例えば、ビフェニルジアミン系のもの或いは「スターバースト」立体配置のもの)であるが、以下が代表的である。
【化7】
【0040】
それは、更に、芳香族アミンであるスピロ結合分子、例えば、スピロ-TAD(2,2’,7,7’-テトラキス-(ジフェニルアミノ)-スピロ-9,9’-ビフルオレンン)を含む。
【0041】
小分子正孔輸送材料の更なるクラスは、WO 2006/061594 (Kathirgamanathan et al)に開示されており、ジアミノジアントラセン系である。典型的な化合物は、以下のものを含む。
【0042】
9-(10-(N-(ナフタレン-1-イル)-N-フェニルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-(ナフタレン-1-イル)-N-フェニルアントラセン-10-アミン;
9-(10-(N-(ビフェニル-N-2-m-トリルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-ビフェニル-N-2-m-トリルアミノ-アントラセン-10-アミン;及び
9-(10-(N-(フェニル-N-m-トリルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-フェニル-N-m-トリルアントラセン-10-アミン。
【0043】
エレクトロルミネッセンス材料
原則として、任意のエレクトロルミネッセンス材料が使用されてよく、蛍光染料、例えば、ペリレン染料、金属錯体、例えば、Alq3、Ir(III)L3、希土類キレート、例えば、Tb(III)錯体、デンドリマー及びオリゴマー、例えば、セクシチオフェンまたはポリマー放射性材料であり得る分子性固体を含む。エレクトロルミネッセンス層は、ルミネッセンス材料として、金属キノレート、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム或いは白金錯体、ホウ素錯体若しくは希土類錯体を含んでよい。
【0044】
エレクトロルミネッセンス材料の一つの好ましいクラスは、蛍光性、燐光性若しくはイオン燐光性(希土類)であり得る染料でドープされたホスト材料を含む。用語「エレクトロルミネッセンス素子」は、電子燐光性素子を含む。
【0045】
好ましくは、ホストは、ドーパントとして微量の、好ましくは、ドープ混合物の0.01〜25重量%の量の蛍光材料でドープされる。その内容が参照により含まれるUS-A-4769292 (Tang et al., Kodak)で検討されたとおり、蛍光材料の存在は、広範囲な幅の発光波長からの選択を許容する。特に、US-A-4769292に開示されるとおり、正孔-電子再結合に応じて発光することのできる微量の蛍光材料を有機金属錯体と調合することにより、ルミネッセントゾーンから放出された光の色合いを改変することができる。理論的には、ホスト材料と蛍光材料が、正孔-電子再結合のための正確に同じ親和性を有する調合で見出され得るならば、各材料は、ルミネッセントゾーンでの正孔と電子の注入後、発光するはずである。知覚される発光の色合いは、両発光の視覚的統合であるだろう。しかしながら、ホスト材料と蛍光材料のこのようなバランスを課すことは、制限されることから、発光のために有利なサイトを提供するように、蛍光材料を選択することが好ましい。発光のために有利なサイトを提供する蛍光材料のほんの少量が存在するときには、ホスト材料に典型的なピーク強度波長発光は、蛍光材料に起因しうる新たなピーク強度波長発光に有利なように、完全に排除されることができる。
【0046】
この効果を達成するに十分な蛍光材料の最小割合は変動し、ホスト材料を基礎として約10モル%を超える蛍光材料を使用する必要はなく、1モル%を超える蛍光材料を使用する必要は全くない。他方、存在する蛍光材料を極端に少量に、典型的には、ホスト材料を基礎として10−3モルパーセント未満に制限することは、ホスト材料に特有な波長での発光を保持することを生じ得る。したがって、発光のために有利なサイトを提供することのできる蛍光材料の割合を選択することにより、発光波長の完全な或いは部分的なシフトを実現することができる。これは、EL素子のスペクトル発光を、使用される用途に適するように選択し、バランスさせることを可能とする。蛍光染料の場合には、典型的な量は、0.01〜5重量%、例えば、2〜3重量%である。燐光染料の場合には、典型的な量は、0.1〜15重量%である。イオン燐光材料の場合には、典型的な量は、0.01〜25重量%または100重量%までである。
【0047】
発光のために有利なサイトを提供することのできる蛍光材料を選択することは、必然的にホスト材料の特性と蛍光材料の特性とを関連付けることを含む。ホストは、発光のための分子サイトを提供する蛍光材料と共に、注入された正孔と電子のための集電体とみなすことができる。ホストに存在するときに、発光色の色合いを改変することのできる蛍光材料を選択するための一つの重要な関係は、二つの材料の還元ポテンシャルの比較である。発光波長をシフトすることが実証された蛍光材料は、ホストよりも負の還元ポテンシャルを示した。電子ボルトで測定された還元ポテンチャルは、それらの測定のための種々な技術と共に広く文献で報告されてきた。望まれるのは、その絶対値よりもむしろ還元ポテンチャルの比較であるから、蛍光とホストの還元ポテンチャルが同様に測定されているならば、還元ポテンチャル測定のための任意の受容される技術を使用することができることは明らかである。好ましい酸化還元ポテンチャル測定技術は、R. J. Cox, Photographic Sensitivity, Academic Press, 1973, Chapter 15に報告されている。
【0048】
ホストに存在するときに、発光色の色合いを改変することのできる蛍光材料を選択するための第二の重要な関係は、二つの材料のバンドギャップポテンシャルの比較である。発光波長をシフトすることが実証された蛍光材料は、ホストよりも低いバンドギャップポテンシャルを示した。分子のバンドギャップポテンシャルは、その基底状態と第一の単項状態とを隔てる電子ボルト(eV)でのポテンシャル差とみなされる。バンドギャップポテンシャルとそれらの測定のための技術は、広く文献で報告されてきた。ここで報告されたバンドギャップポテンシャルは、吸収ピークに深色性で、吸収ピークの大きさの10分の1の大きさである吸収波長で、電子ボルト(eV)で測定されたものである。望まれるのは、その絶対値よりもむしろバンドギャップポテンシャルの比較であるから、蛍光とホストのバンドギャップの両者が同様に測定されているならば、バンドギャップ測定のための任意の受容される技術を使用することができることは明らかである。一つの実証的測定技術は、F. Gutman and L. E. Lyons, Organic Semiconductors, Wiley, 1967, Chapter 5.に開示されている。
【0049】
蛍光材料がなくともそれ自体発光することができるホスト材料と共に、ホスト単独の発光特性の波長での発光の抑制と蛍光材料の波長特性での発光の向上が、ホストと蛍光材料のスペクトルカップリングが達成されるときに生じることが観察された。「スペクトルカップリング」によって、ホスト単独の発光特性の波長とホストがないときの蛍光材料の光の吸収波長との間に、重複が存在することが意味されている。最適なスペクトルカップリングは、ホストの発光波長が、蛍光材料単独の最大吸収の±25nm以内であるときに生じる。実際に、有利なスペクトルカップリングは、ピークの幅とそれらの浅色及び深色勾配に依存して、100nm以上までの異なるピーク発光及び吸収波長で生じることができる。ホストと蛍光材料との間で最適とはいえないスペクトルカップリングが考えられるところでは、深色性は、蛍光材料の浅色変位と比べると、より効率的な結果を生み出す。
【0050】
有益な蛍光材料は、ホストと調合され、本発明のEL素子のルミネッセントゾーンを形成する上記記載の厚さ範囲を満足する薄膜に製造することができるものである。結晶性有機金属錯体は、それ自体薄膜形成に向いていないが、ホストに存在する限定された量の蛍光材料は、単独で薄膜を形成することのできない蛍光材料の使用を許容する。好ましい蛍光材料は、ホストと共通の相を形成するものである。蛍光染料は、染料が分子レベルでのホストでの分配に向いていることから、蛍光材料の好ましいクラスを構成する。ホストに蛍光染料を分散するための任意の都合のよい技術を使用することができるが、好ましい蛍光染料は、ホスト材料と共に真空気相堆積することのできるものである。
【0051】
ホスト材料の一つのクラスは、特許出願WO 2004/058913に開示されたとおりの蛍光材料或いは染料でドープされてよい金属錯体、例えば、リチウムキノレート、アルミニウムキノレート、チタンキノレート、ジルコニウムキノレート或いはハフニウムキノレートのような金属キノレートを含む。
【0052】
キノレート、例えば、アルミニウムキノレートの場合:
(a)以下の化合物は、例えば、赤色ドーパントとして機能し得る:
【化8】
【0053】
(b)以下の化合物は、例えば、緑色ドーパントとして機能し得る:
【化9】
【0054】
ここで、Rは、C1-C4アルキル、単環状アリール、二環状アリール、単環状ヘテロアリール、二環状ヘテロアリール、アラルキル若しくはチエニルであり、好ましくは、フェニルである;及び
(c)ビフェニルオキシアルミニウムビス-キノレート(BAlQ2)若しくはアルミニウムキノレートのためには、化合物ぺリレンと9-(10-(N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアントラセン-10-アミンが、青色ドーパントとして機能する。
【0055】
ホストのもう一つの好ましいクラスは、例えば、置換基、例えば、アルキル(特に、メチル)、アルコキシ及びフッ素を有してもよく、蛍光材料或いは染料でドープされてもよい4〜10アリール若しくはヘテロアリール環である共役芳香族系を組み込んだ小分子である。
【0056】
上記種類の構造の例は、ホストとしての以下の化合物(化合物H)とドーパントとしてのペリレン或いは9-(10-(N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアミノ)アントラセン-9-イル)-N-(ナフタレン-8-イル)-N-フェニルアントラセン-10-アミンに基づく青色発光材料である。
【化10】
【0057】
小芳香族分子であるホスト材料の更なる例は、以下に示される:
【化11】
【0058】
上記説明したとおりの、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンは、ホストとしてエレクトロルミネッセンス層に使用されてよいし、或いはそれ自身で存在してよい。
【0059】
青色発光材料は、有機ホスト(例えば、上記示したとおりの共役芳香族化合物)とドーパントとしてのWO 2006/090098 (Kathirgamanathan et al.)に開示されたジアリールアミンアントラセン化合物を基礎とし得る。例えば、CBPは、青色発光置換アントラセンとりわけ
9.10-ビス-(4-メチルベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(2,4-ジメチルベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(2,5-ジメチルベンジル)-アントラセン、
1,4-ビス-(2,3,5,6-テトラメチルベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(4-メトキシベンジル)-アントラセン、
9.10-ビス-(9H-フルオレン-9-イル)-アントラセン
2,6-ジ-t-ブチルアントラセン、
2,6-ジ-t-ブチル-9.10-ビス-(2,5-ジメチルベンジル)-アントラセン、
2,6-ジ-t-ブチル-9.10-ビス-(ナフタレン-1-イルメチル)-アントラセン、
でドープされてよい。
【0060】
更なる青色発光材料は、ホストとしてTCTAを使用してよく、以下に提示される青色燐光材料でドープされてよい(WO 2005/080526 (Kathirgamanathan et al.)参照。):
青色燐光材料
【化12】
【0061】
CBP或いはTAZと共に使用され得る緑色燐光材料の例は以下に提示される(WO 2005/080526参照。):
緑色燐光材料
【化13】
【0062】
CBP或いはTAZと共に使用され得る赤色燐光材料の例は以下に提示される(WO 2005/080526参照。):
赤色燐光材料
【化14】
【0063】
更なるドーパントとして、蛍光レーザー染料は、本発明の有機EL素子での使用のための特に有益な蛍光材料であると認識されている。使用することのできるドーパントは、ジフェニルアクリジン、クマリン、ペリレンとそれらの誘導体を含む。有益な蛍光ドーパントは、US 4769292に開示されている。好ましいドーパントの一つのクラスは、クマリンである。次のものは、レーザー染料として有益であることが知られた例となる蛍光クマリン染料である。
【0064】
FD-1 7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、
FD-2 4,6-ジメチル-7-エチルアミノクマリン、
FD-3 4-メチルウンベリフェロン、
FD-4 3-(2’-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、
FD-5 3-(2’-ベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、
FD-6 7-アミノ-3-フェニルクマリン、
FD-7 3-(2’-N-メチルベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、
FD-8 7-ジエチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-9 2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-8-メチルキノラジノ[9,9a,1-gh]クマリン、
FD-10 シクロペンタ[c]ユロリインジノ[9,10-3]-11H-ピラン-11-オン、
FD-11 7-アミノ-4-メチルクマリン、
FD-12 7-ジメチルアミノ-シクロペンタ[c]クマリン、
FD-13 7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-14 7-ジメチルアミノ-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-15 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-8-トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジン-10-オン、
FD-16 4-メチル-7-(スルホメチルアミノ)クマリンナトリウム塩、
FD-17 7-エチルアミノ-6-メチル-4-トリフルオロメチルクマリン、
FD-18 7-ジメチルアミノ-4-メチルクマリン、
FD-19 1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ-カルベトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-20 9-アセチル-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-21 9-シアノ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-22 9-(t-ブトキシカルボニル)-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-23 4-メチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、
FD-24 4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]クマリン、
FD-25 9-カルボキシ-1,2,4,5,3H,6H,10H-テトラヒドロ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1-gh]キノリジノ-10-オン、
FD-26 N-エチル-4-トリフルオロメチルピペリジノ[3,2-g]クマリン。
【0065】
他のドーパントは、
【化15】
【0066】
のようなビスベンゼンスルホン酸塩(昇華よりもむしろスピンコートによる堆積を必要とする)とペリレン並びにペリレン誘導体とドーパントを含む。他のドーパントは、蛍光4-ジシアノメチレン-4H-ピラン及び4-ジシアノメチレン-4H-チオピランのような染料、例えば、蛍光ジシアノメチレンピラン及びチオピラン染料である。有益な蛍光染料は、既知のポリメチン染料の中から選択されることもでき、シアニン、錯体シアニン及びメロシアニン(すなわち、三-、四-及び多-核シアニン及びメロシアニン)、オキソノール、ヘミオキソノール、スチリル、メロスチリル並びにストレプトシアニンである。シアニン染料は、メチン結合により結合され、アゾリウム或いはアジニウム核、例えば、ピリジニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、セレナゾリウム、インダゾリウム、ピラゾリウム、ピロリウム、インドリウム、3H-インドリウム、イミダゾリウム、オキサジアゾリウム、チアジオキサゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾセレナゾリウム、ベンゾテルラゾリウム、ベンズイミダゾリウム、3H-或いは1H-ベンゾインドリウム、ナフトキサゾリウム、ナフトチアゾリウム、ナフトセレナゾリウム、ナフトテルラゾリウム、カルボゾリウム、ピロロピリジニウム、フェナントロチアゾリウム及びアセナフトチアゾリウム四級塩からの誘導体のような2個の塩基性ヘテロ環核を含む。他の有益な蛍光染料のクラスは、4-オキソ-4H-ベンズ-[d,e]アントラセンとピリリウム、チオピリリウム、セレナピリリウム及びテルロピリリウム染料である。
【0067】
更なる青色発光材料は、次の特許、出願及び公報に開示されており、その内容は、ここで参照により組み込まれる。
【0068】
US-A-5141671 (Bryan, Kodak)-フェノレート配位子と2個の8-キノリノレート配位子を含むアルミニウムキレート。
【0069】
WO 00/32717 (Kathirgamanathan)-真空堆積可能であるリチウムキノレートと他の置換リチウムキノレートであって、置換基は、同一か異なり、2、3、4、5、6及び7位に存在してよく、また、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、スルホン酸、エステル、カルボン酸、アミノ及びアミド基から選択され、または、芳香族、ポリ環状或いはヘテロ環状基である。
【0070】
US 2006/0003089 (Kathirgamanathan)- リチウムアルキル或いはアルコキシドと8-ヒドロキシキノリン基とをアセトニトリル中で反応させることにより製造されたリチウムキノレート。
【0071】
Misra,http://www.ursi.org/Proceedings/ProcGA05/pdf/D04.5(01720).pdf 青色有機エレクトロルミネッセンス材料 1×10−5Torrで真空堆積可能なビス-(2-メチル 8-キノリノレート)(トリフェニルシロキシ)アルミニウム(III)。
【0072】
WO 03/006573 (Kathirgamanathan et al)-金属ピラゾロン。
【0073】
WO 2004/084325 (Kathirgamanathan et al)-ホウ素錯体。
【0074】
WO 2005/080526 (Kathitgamanathan et al)-青色燐光イリジウム系錯体。
【0075】
Ma et al., Chem. Comm. 1998, 2491-2492 架橋配位子として7-アザインドレートを有する四核亜鉛(II)化合物[Zn4O(AlD)6]の調製と結晶構造。とりわけ、薄い均質なフィルムを形成するためにインジウム-錫酸化物で被覆されたガラス基板上へのこの化合物の真空堆積(<200℃、2×10−6Torr)による単層LEDの製造が、報告されている。
【0076】
使用することのできる更なるエレクトロルミネッセンス材料は、アルミニウムキノレート、リチウムキノレート、チタンキノレート、ジルコニウムキノレート、ハフニウムキノレート等のような金属キノレートを含む。
【0077】
使用され得る多くの更なるエレクトロルミネッセンス材料が、WO 2004/050793 (ピラゾロン)、WO 2004/058783 (ジイリジウム金属錯体)、WO 2006/016193 (ジベンゾチオフェニル金属錯体)及びWO 2006/024878 (チアントレン金属錯体)に記載されており、その内容がここで参照により組み込まれるWO 2006/ 040593も参照されたい。希土類キレートは、特に、緑色及び赤色エミッターとして使用され得る。更に、以下に示されるとおりの電導性ポリマー、例えば、ポリアニリン、フェニレンビニレンポリマー、フルオレンホモポリマー及びコポリマー、フェニレンポリマーが、エレクトロルミネッセンス材料として使用され得る。
【0078】
電導性ポリマー
【化16】
【0079】
電子輸送材料
説明されたとおり、ここで使用される電子輸送材料は、上記定義されるとおりの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンから成るか、または、それを含む。好ましくは、上記定義されるとおの化合物、例えば、2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンのET層中での含有量は、少なくとも30重量%、好ましくは、少なくとも50重量%である。
【0080】
上記化合物の具体例は、nが上記で定義されるとおりの式[Phen](CH3)nの化合物を、式R1CHOの化合物と、酸触媒、例えば、有機酸の無水物の存在下、縮合させることにより製造され得る。
【0081】
電子注入材料
任意の既知の電子注入材料が使用されてよく、LiFが典型的である。他に可能なものは、BaF2、CaF2及びCsF2を含む。
【0082】
陰極
多くの具体例では、アルミニウムが、それ自身か、マグネシウム或いは銀のような元素と合金化されて、陰極として使用されるが、いくつかの具体例では、他の陰極金属、例えば、カルシウムが使用されてよい。一つの具体例では、陰極は、電子注入層或いは電子輸送層に、より近接する、第1の合金層、例えば、Li-Ag、Mg-Ag或いはAl-Mgと、電子注入或いは電子輸送層から更に離れた純粋なアルミニウムの第2層を含み得る。陰極材料は、ガラスから成り得るか、硬質或いは軟質であってよく、随意に透明であってよいプラスチックから成りなり得る透明板状材料上に存在してもよい。プラスチック基板については、硬質或いは軟質透明プラスチック材料、好ましくは、比較的高いTgを有する寸法的に安定で、水(水蒸気を含む)不透過性である材料が使用され得る。PENが好ましい材料であるが、使用されてもよい他の材料は、PES、PEEKとPETを含む。プラスチックは電導性フィルムで被覆されてよく、作業条件下で遭遇し得る湿気、例えば、雰囲気水蒸気に対する抵抗性を改善するためにバリア被覆を有してもよい。
【0083】
本発明が如何に実行され得るかは、以下の例を参照して、今や説明されるだろう。
【0084】
調製方法
2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンの調製
【化17】
【0085】
無水酢酸(15ml)中の2,9-ジメチル-1,10フェナントロリン(ネオクプロイン水和物)(10g、0.048モル)と2-チオフェンカルボキシアルデヒド(9.4ml、0.188モル)の混合物が、5時間還流された。溶液は室温まで冷却され、薄黄色の固形物を得た。固形物は吸引ろ過され、濾滓はテトラヒドロフランで洗浄された。これは、コニカルフラスコに移送され、脱イオン水で15分間攪拌され、吸引ろ過された。固形物は、再度テトラヒドロフランと石油エーテル(40〜60℃)で洗浄された。生成物は、真空下80℃で8時間乾燥された。収量:5.9g。生成物は昇華され、強い黄色蛍光を呈する黄橙色の固形物を得た。薄膜状でのTHF溶液中でのその吸収及び蛍光スペクトルが、図1と2に示されている。
【0086】
収量:2.8g、M.p298℃(DSC、開始)、303℃(DSC、ピーク);Tg111℃
【表1】
【0087】
素子の構成
予めエッチングされたITO被覆ガラス片(10×10cm2)が使用された。素子はSolciet Machine, ULVAC Ltd. Chigacki,日本、を使用する真空蒸着により、ITO上に連続的に層を形成することにより製造された。各画素の活性領域は、3mm×3mmであった。被覆された電極は、ガラス背板を使用してUV硬化接着剤で不活性雰囲気(窒素)中に封入された。エレクトロルミネッセンスの調査が、正端子に常に接続したITO電極により実行された。電流対電圧の調査が、コンピューター制御されたKeithly 2400 source meterにより実行された。
【0088】
例1
陽極層、バッファー層、正孔輸送層、エレクトロルミネッセンス層(ドープされた材料)、電子輸送層、電子注入層と陰極層から成る、赤色及び青緑色発光を有する素子が、上記方法により形成された。膜厚は、nmである。
【0089】
赤色
ITO/ZnTpTP(20)/α-NBP(50)/Alq3:DCJTi(60:0.6)/ETL(20)/LiF(0.3)/Al、ここで、ETLは、Zrq4若しくは2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンである。
【0090】
青色
ITO/ZnTpTP(20)/α-NBP(50)/化合物H:ペリレン(25:0.1)/ETL(20)/LiF(0.3)/Al、ここで、ETLは、Zrq4若しくは2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリンである。
【0091】
緑色
図9〜12に示されるとおり。
【0092】
結果は、図3〜12に示される。
【0093】
例2
2,9-ビス(2-アリールビニル)-[1,10]フェナントロリンの調製
【化18】
【0094】
無水酢酸(20ml)中の2,9-ジメチル-1,10フェナントロリン(ネオクプロイン水和物)(5.0g、0.024モル)と2-アリールカルボキシアルデヒド(0.053モル)の混合物が、5〜16時間還流された。冷却された反応混合物は、メタノール/水中に注がれ、固形物を得た。固形物は、固形物を溶解することにより、ジクロロメタン中に吸収され、ろ過され、分離漏斗中で水により抽出された。有機相は、脱イオン水で洗浄され、無水硫酸マグネシウムで乾燥され、蒸発され、収率55%〜75%で固形物を得た。生成物は昇華され、強い蛍光を呈する分析的に純粋な固形物を得た。
【0095】
以下に挙げられた化合物は、上記手順により製造された。
【表2−1】
【表2−2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意にメチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意に、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、
式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物。
【請求項2】
Arが、少なくとも三つの環を含み、また、少なくとも一つの窒素原子を含む複素環式芳香族骨格を表わす、式1の化合物。
【請求項3】
Arが、フェナントロリン骨格を表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
[Ar]が、置換或いは非置換1,10-フェナントロリンを表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
[Ar]が、置換或いは非置換1,7-フェナントロリン若しくは4,7-フェナントロリンを表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリン。
【請求項7】
第1の電極と、請求項1〜6何れか1項記載の化合物を含む層と第2の電極とを有する光発光ダイオード素子。
【請求項8】
エレクトロルミネッセンス層と電子輸送層を含み、ここで、電子輸送層は、請求項1〜6何れか1項記載の化合物を含む、請求項7記載の素子。
【請求項9】
エレクトロルミネッセンス層が、請求項1〜6何れか1項記載のドープされた化合物を含む、請求項8記載の素子。
【請求項10】
エレクトロルミネッセンス層が、金属錯体を含む、請求項8記載の素子。
【請求項11】
エレクトロルミネッセンス層が、ドーパントでドープされたホスト材料として、ジルコニウム或いはハフニウムキノレートを含む、請求項10記載の素子。
【請求項12】
エレクトロルミネッセンス層が、ドーパントでドープされたホスト材料として、アルミニウムキノレートを含む、請求項10記載の素子。
【請求項13】
エレクトロルミネッセンス層が、ドーパントでドープされたホスト材料として、芳香族三級アミンを含む、請求項8記載の素子。
【請求項14】
エレクトロルミネッセンス層が、金属或いはメタロイド錯体である発光材料を含む、請求項8記載の素子。
【請求項15】
エレクトロルミネッセンス層が、ルミネッセンス材料として、金属キノレート、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム或いは白金錯体、ホウ素錯体若しくは希土類錯体を含む、請求項14記載の素子。
【請求項16】
エレクトロルミネッセンス層が、エレクトロルミネッセンス材料として、リチウムキノレート或いはアルミニウムキノレートを含む、請求項14記載の素子。
【請求項17】
エレクトロルミネッセンス層が、発光共役ポリマー或いはコポリマー或いはデンドリマーを含む、請求項8記載の発光素子。
【請求項18】
ZnTpTPを含む正孔注入層を有する、請求項7〜17何れか1項記載の素子。
【請求項19】
α-NBPを含む正孔輸送層を有する、請求項7〜18何れか1項記載の素子。
【請求項20】
請求項1〜6何れか1項記載の化合物を含む層を有する、電子光学或いは光電子工学素子。
【請求項21】
フラットパネルディスプレーである請求項20記載の素子。
【請求項22】
静電潜像の生成のための画像処理要素である請求項20記載の素子。
【請求項23】
[Ar]とnが請求項1で定義されるとおりの式[Ar](CH3)nの化合物を、R1が請求項1で定義されるとおりの式R1CHOの化合物と、酸触媒の存在下、縮合させることを含む、請求項1で提示された式の化合物の製造方法。
【請求項24】
式[Ar](CH3)nの化合物が、4-メチル-1,10-フェナントロリン、5-メチル-1,10-フェナントロリン、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,5,9-トリメチル-1,10-フェナントロリン或いは3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリン若しくはそれらの混合物である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
触媒が無水酢酸である、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意にメチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意に、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物ともう一つの有機半導体或いは金属を含む組成物(OLED若しくは他の電子光学素子中の層を含む。)。
【請求項27】
化合物が金属でドープされた、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
化合物が、もう一つの電子輸送材料と混合された、請求項26記載の組成物。
【請求項29】
他の電子輸送材料が、金属キノレート或いは置換キノレートである、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
化合物が蛍光ドーパントでドープされた、請求項26記載の組成物。
【請求項31】
化合物が燐光ドーパントでドープされた、請求項26記載の組成物。
【請求項32】
化合物が希土類キレート化合物でドープされた、請求項26記載の組成物。
【請求項1】
nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意にメチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意に、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、
式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物。
【請求項2】
Arが、少なくとも三つの環を含み、また、少なくとも一つの窒素原子を含む複素環式芳香族骨格を表わす、式1の化合物。
【請求項3】
Arが、フェナントロリン骨格を表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
[Ar]が、置換或いは非置換1,10-フェナントロリンを表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
[Ar]が、置換或いは非置換1,7-フェナントロリン若しくは4,7-フェナントロリンを表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
2,9-ビス(2-チオフェン-2-イル-ビニル)-[1,10]フェナントロリン。
【請求項7】
第1の電極と、請求項1〜6何れか1項記載の化合物を含む層と第2の電極とを有する光発光ダイオード素子。
【請求項8】
エレクトロルミネッセンス層と電子輸送層を含み、ここで、電子輸送層は、請求項1〜6何れか1項記載の化合物を含む、請求項7記載の素子。
【請求項9】
エレクトロルミネッセンス層が、請求項1〜6何れか1項記載のドープされた化合物を含む、請求項8記載の素子。
【請求項10】
エレクトロルミネッセンス層が、金属錯体を含む、請求項8記載の素子。
【請求項11】
エレクトロルミネッセンス層が、ドーパントでドープされたホスト材料として、ジルコニウム或いはハフニウムキノレートを含む、請求項10記載の素子。
【請求項12】
エレクトロルミネッセンス層が、ドーパントでドープされたホスト材料として、アルミニウムキノレートを含む、請求項10記載の素子。
【請求項13】
エレクトロルミネッセンス層が、ドーパントでドープされたホスト材料として、芳香族三級アミンを含む、請求項8記載の素子。
【請求項14】
エレクトロルミネッセンス層が、金属或いはメタロイド錯体である発光材料を含む、請求項8記載の素子。
【請求項15】
エレクトロルミネッセンス層が、ルミネッセンス材料として、金属キノレート、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム或いは白金錯体、ホウ素錯体若しくは希土類錯体を含む、請求項14記載の素子。
【請求項16】
エレクトロルミネッセンス層が、エレクトロルミネッセンス材料として、リチウムキノレート或いはアルミニウムキノレートを含む、請求項14記載の素子。
【請求項17】
エレクトロルミネッセンス層が、発光共役ポリマー或いはコポリマー或いはデンドリマーを含む、請求項8記載の発光素子。
【請求項18】
ZnTpTPを含む正孔注入層を有する、請求項7〜17何れか1項記載の素子。
【請求項19】
α-NBPを含む正孔輸送層を有する、請求項7〜18何れか1項記載の素子。
【請求項20】
請求項1〜6何れか1項記載の化合物を含む層を有する、電子光学或いは光電子工学素子。
【請求項21】
フラットパネルディスプレーである請求項20記載の素子。
【請求項22】
静電潜像の生成のための画像処理要素である請求項20記載の素子。
【請求項23】
[Ar]とnが請求項1で定義されるとおりの式[Ar](CH3)nの化合物を、R1が請求項1で定義されるとおりの式R1CHOの化合物と、酸触媒の存在下、縮合させることを含む、請求項1で提示された式の化合物の製造方法。
【請求項24】
式[Ar](CH3)nの化合物が、4-メチル-1,10-フェナントロリン、5-メチル-1,10-フェナントロリン、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,5,9-トリメチル-1,10-フェナントロリン或いは3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリン若しくはそれらの混合物である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
触媒が無水酢酸である、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
nは、1〜4の整数であり、
[Ar]は、随意に1以上のアルキル或いはアルコキシ基で置換されたポリ環状芳香族若しくは複素環式芳香族骨格であり、及び
R1は、随意にメチル、メトキシ、アリール或いはヘテロアリールで置換された5員環ヘテロアリール基であるか、または随意に、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル或いはシアノで置換されたフェニル若しくはナフチルであるか、またはビフェニルであるか、または置換ビフェニルである、式[Ar](CH=CH-R1)nの化合物ともう一つの有機半導体或いは金属を含む組成物(OLED若しくは他の電子光学素子中の層を含む。)。
【請求項27】
化合物が金属でドープされた、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
化合物が、もう一つの電子輸送材料と混合された、請求項26記載の組成物。
【請求項29】
他の電子輸送材料が、金属キノレート或いは置換キノレートである、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
化合物が蛍光ドーパントでドープされた、請求項26記載の組成物。
【請求項31】
化合物が燐光ドーパントでドープされた、請求項26記載の組成物。
【請求項32】
化合物が希土類キレート化合物でドープされた、請求項26記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−513451(P2010−513451A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542234(P2009−542234)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050768
【国際公開番号】WO2008/078115
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050768
【国際公開番号】WO2008/078115
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】
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