説明

フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法及びその使用

フェニレンジオキシ二酢酸の製造工程は:(a)反応条件下、ハロ酢酸を添加しない溶液中で、ジヒドロキシベンゼンをハロ酢酸塩と接触させてフェニレンジオキシ二酢酸を製造すること;及び(b)任意にフェニレンジオキシ二酢酸塩を、遊離フェニレンジオキシ二酢酸へと変換すること;を含む。いくつかの実施態様において、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸(RDOA)を、約7〜約11の範囲のpHを有する反応混合物中、約70℃〜105℃の温度で、レゾルシノールをクロロ酢酸ナトリウムと反応させることで製造する。該反応条件を調整することにより、相対的に高収率の1,3−フェニレンジオキシ二酢酸(すなわち、80%よりも高い)が得られる。精製した酸は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル合成に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ポリエチレンテレフタレート(「PET」)に代表されるポリエステル樹脂は、優れた機械的特性及び化学的特性、例えば優れた透明度、気体遮断特性、安全性及び衛生性を有する。そのようなものとして、該樹脂は、特に食品包装分野において、射出成形プレフォームの延伸ブロー成形によって得られるボトルとして、押出成形シートの熱成形によって得られるトレイ又はカップとして、又は該シートの二軸延伸によって得られるフィルムとして、広く使用されている。
【0003】
PETは、エチレングリコールとテレフタル酸とを縮合させることによって製造可能である。その気体遮断特性を増加させるため、レゾルシノールジオキシ酢酸(RDOA)又は1,3−フェニレンジオキシ二酢酸が、重合工程における共単量体として使用されている。RDOA単量体の使用は、ポリエステル、ポリアミド、及びそれらの共重合体の遮断特性を強化するのに効果的であることが発見されている。
【0004】
RDOAを、2つの異なる経路由来のレゾルシノールから合成できる。第一の方法では、はじめに、レゾルシノールを、レゾルシノールのビス(ヒドロキシエチル)エーテルへと変換し、その次に酸化させてRDOAを製造する。第二の方法では、RDOAは、アルカリ条件下での、レゾルシノールとクロロ酢酸との反応から直接的に得ることができる。これら2つの方法において、クロロ酢酸経路がより経済的でかつ単純であり得るが、様々な副産物の形成のために、該クロロ酢酸経路から得られるRDOAの収率はしばしば相対的に低い。
それゆえ、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸(すなわち、RDOA)及びその類似体を、比較的高収率で製造する工程が必要である。好ましくは、該工程は、相対的により高い純度の生成物も製造する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法及びその使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
前述の必要性は、本発明の様々な態様で満たされる。1つの態様において、本発明は、フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法に関する。該方法は:反応条件下、ハロ酢酸を添加しない溶液中で、ジヒドロキシベンゼンをハロ酢酸塩と接触させてフェニレンジオキシ二酢酸塩を製造すること;及び、任意に、フェニレンジオキシ二酢酸塩を遊離フェニレンジオキシ二酢酸へと変換すること;を含む。
【0007】
いくつかの実施態様において、ジヒドロキシベンゼンは、レゾルシノール、ヒドロキノン、又はカテコールである。好ましくは、ジヒドロキシベンゼン塩を出発物質としては使用しない。他の実施態様において、ジヒドロキシベンゼンに接触させる前に、水酸化物とハロ酢酸とを接触させることによって、ハロ酢酸塩を形成させる。いくつかの実施態様において、該接触工程で得られる反応混合物は、約7〜約11、約8〜約10、又は約8.5〜約8.9の範囲のpH値を有する。他の実施態様において、該接触工程から得られる反応混合物を、約70℃〜約105℃の範囲、約80℃〜約95℃の範囲、又は約85℃の温度で維持する。いくつかの実施態様において、化学量論的量のハロ酢酸塩を、ジヒドロキシベンゼンと接触させる。他の実施態様において、モル過剰量のハロ酢酸塩を、ジヒドロキシベンゼンと接触させる。好ましくは、ハロ酢酸塩を、該反応混合物に段階的に添加する。モル過剰量は、約20%〜約30%である。該反応混合物は、適切な量のアルカリ溶液を添加することで調整可能である。フェニレンジオキシ二酢酸塩から遊離フェニレンジオキシ二酢酸への変換は、該塩を酸と接触させることによって達成することができ、該酸は塩酸、硫酸又は鉱酸であり得る。いくつかの実施態様において、ハロ酢酸塩は、モノクロロ酢酸ナトリウム又はモノブロモ酢酸ナトリウムである。好ましくは、ジヒドロキシベンゼンはレゾルシノールであり、かつハロ酢酸塩はクロロ酢酸ナトリウムである。
【0008】
別の態様において、本発明は:温度が約70℃〜約95℃でかつpHが約8.5〜8.9のクロロ酢酸を添加しない水溶液中で、レゾルシノールをクロロ酢酸ナトリウムと接触させて1,3−フェニレンジオキシ二酢酸ナトリウムを製造すること;を含む、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法に関する。該方法は、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸ナトリウムを遊離1,3−フェニレンジオキシ二酢酸へと変換することをさらに含む。好ましくは、レゾルシノールと接触させる前に、化学量論的量の水酸化ナトリウムをクロロ酢酸と反応させることによって、クロロ酢酸ナトリウムを調製する。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、共重合体化ポリエステル樹脂の製造方法に関し、該方法は:主要成分としてテレフタル酸又はそのエステル誘導体、及び共重合体化可能な成分として請求項1記載の方法から得られるフェニレンジオキシ二酢酸を含むジカルボン酸成分;並びに、主要成分としてエチレングリコールを含むジオール成分;を対象とし、エステル化反応又はトランスエステル化反応を介して重縮合させることを含む。処理単位工程又は連続工程のいずれかを使用できる。
本発明のさらなる態様、利点、及び本発明の様々な実施態様によって提供される特徴は、以下の記載で明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の実施態様の記載)
以下の記載において、単語「約(about)」又は「約(approximate)」がその関連で使用されているかどうかにかかわらず、本明細書で開示する全ての数は概略値である。概略値は、1パーセント、2パーセント、5パーセント、又は場合によっては10〜20パーセントで変動してよい。下限であるR、及び上限であるRを伴った数値範囲を開示する場合は常に、該範囲内に収まる全ての数が具体的に開示される。特に、下記の範囲に収まる数が開示される:R=R+k(R−R)(式中、kは1パーセント増分で、1パーセントから100パーセントにわたり可変である。すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、…、50パーセント、51パーセント、52パーセント、…、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、又は100パーセントである)。さらに、先に記載したような2つのR数で定義される全ての数値範囲もまた、具体的に開示される。
【0011】
本発明の実施態様は、フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法を提供する。本方法は、反応条件下、ハロ酢酸を添加しない溶液中で、ジヒドロキシベンゼンをハロ酢酸塩と接触させてフェニレンジオキシ二酢酸塩を製造すること;及び、任意に、フェニレンジオキシ二酢酸塩を遊離フェニレンジオキシ二酢酸へと変換すること;を含む。好ましくは、ハロ酢酸塩は前記溶液に可溶であり、かつ該溶液は水又はアルコールである。反応条件を調整することによって、フェニレンジオキシ二酢酸が比較的高収率に得られる。いくつかの実施態様において、高純度のフェニレンジオキシ二酢酸が得られる。用語「収率」を、理論的量に比較して、得られた酸の実際量のパーセンテージとして定義する。一般的に、フェニレンジオキシ二酢酸の収率は、少なくとも約70%である。いくつかの実施態様において、収率は約75%よりも高い。他の実施態様において、収率は約80%よりも高い。特定の反応条件下において、収率は約85%、又は90%よりさえも高い。
【0012】
適切なジヒドロキシベンゼンは、下記の式(1)に表され、
【化1】

式中、Rはヒドロキシル基、ハロゲン基、カルボキシル基又は炭化水素基を表し、かつnは0〜3の整数を表す。好ましくは、炭化水素基は、1つの基につき、1個〜4個の炭素原子を有する。式(1)のジヒドロキシベンゼンの例は、レゾルシノール、ヒドロキノン、及びカテコールを含むが、これらに限定されない。レゾルシノールは、非置換又は置換であり得る。置換レゾルシノールの例は、これらに限定されないが、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、4−プロピルレゾルシノール、2−エチルレゾルシノール、2−プロピルレゾルシノール、及び2−ブチルレゾルシノールを含む。適切な塩は、任意の一価の金属塩を含む。好ましくは、該塩は、水又はアルコールに可溶である。一価の金属の例は、Li、Na、K、Rb及びCsなどのアルカリ金属である。
【0013】
上記工程から得られたフェニレンジオキシ二酢酸は式(2)に表され、
【化2】

式中、R及びnは、先に定義したものである。
【0014】
前記酸の具体例は、これらに限定されないが、1,2−フェニレンジオキシ二酢酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、2−メチル-1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、5−メチル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、6−メチル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、5−エチル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、6−エチル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、5−メトキシ−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、6−メトキシ−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、4−メチル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、4−エチル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、4−プロピル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、2−エチル−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、4−クロロ−1,2−フェニレンジオキシ二酢酸、4−クロロ−1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、2−クロロ−1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、2−メチル−1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、及び2−エチル−1,4−フェニレンジオキシ二酢酸を含む。
【0015】
適切なハロ酢酸塩は、水に可溶であり、かつジヒドロキシベンゼンと反応してフェニレンジオキシ二酢酸塩を形成することができる全ての塩を含む。ハロ酢酸塩は、式(3)で表すことができる
【化3】

(式中、Xは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲンである)。好ましくは、Xは塩素又は臭素である。Mは、グループIA金属などの一価の金属である。好ましくは、Mは、Li、Na、K及びRbである。そのような塩は下記の反応で調製可能である:
【化4】


【0016】
本発明のいくつかの実施態様において、ハロ酢酸塩を代わりに使用するので、クロロ酢酸などの外来ハロ酢酸は反応混合物に添加しない。いくつかの実施態様においては、ジヒドロキシベンゼン塩ではなく、ジヒドロキシベンゼンを使用するが、他の実施態様においては、部分的に又は完全にジヒドロキシベンゼンに代えて、ジヒドロキシベンゼン塩を使用することができる。いくつかの実施態様において、該反応混合物のpHは、約7〜約11、好ましくは約8〜約10、又は約8.5〜約9の範囲のpH値を有する。他の実施態様において、該反応混合物の温度は、約70℃〜約105℃の範囲、好ましくは約85℃〜約95℃の範囲、又は約85℃である。
【0017】
1,3−フェニレンジオキシ二酢酸は、下記の反応スキームに従って調製できる。下記の反応において、インサイチュウ(in situ)で、レゾルシノールを水酸化ナトリウムと反応させて、レゾルシネートナトリウムを形成させる。その後、インサイチュウで生成したレゾルシネートナトリウムをクロロ酢酸塩と反応させて、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸塩を形成させる。該塩を、硫酸などの酸と接触させることによって、遊離酸を得ることができる。先に議論したように、インサイチュウで生成したレゾルシネートナトリウムは、好ましくはクロロ酢酸塩と反応するにつれて連続的に補充される低濃度で、外部レゾルシネートナトリウムを反応混合物に添加することに置換してもよい。「低濃度」は、レゾルシネートナトリウムが、クロロ酢酸塩と反応して1,3−フェニレンジオキシ二酢酸塩を形成するのに必要な化学量論的量の約50%未満を意味する。いくつかの実施態様において、低濃度は、約20%未満、約10%未満、又は約5%未満である。他の実施態様において、低濃度は、約2%未満又は約1%未満である。
【0018】
【化5】

上記の反応スキームに従って、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸を2工程で調製する:(1)クロロ酢酸ナトリウムの形成工程;及び、(2)クロロ酢酸ナトリウムとレゾルシノール又はその塩との反応工程。該工程の第一段階において、クロロ酢酸を容器に入れ、水と混合して水溶液を得る。該溶液を、室温よりも低いが0℃よりも高い温度まで冷却する。この温度は、好ましくは約5℃〜約30℃、好ましくは約10℃〜約20℃である。該冷却済クロロ酢酸溶液に、1時間よりも長い時間、水性水酸化ナトリウム溶液を滴下で加える。NaOHを正確な量添加して、クロロ酢酸ナトリウムを形成させる。クロロ酢酸ナトリウム溶液を、必要になるまで、冷却状態で維持する。
【0019】
前記工程の第二段階において、レゾルシノールを反応溶液に入れる。水を加えて水溶液を調製し、第一段階で調製したクロロ酢酸ナトリウム溶液の一部を該溶液に加える。該反応溶液に添加するクロロ酢酸ナトリウムの量は変更可能である。はじめに添加する化学量論的量が有益であることが見出されている。換言すれば、1モルのレゾルシノールあたり、2モル当量のクロロ酢酸ナトリウムを加える。前記容器及びその内容物をそれから反応温度へと加熱する。該内容物が激しく還流する70℃〜105℃の温度で、この反応を実施するのが好ましい。温度は、より好ましくは70℃〜95℃、及び最も好ましくは約85℃であろう。いったん反応温度に達したならば、標的値を維持するような方法で、水性水酸化ナトリウムを添加する。該反応は7.2〜11の範囲で成功的に実施されるが、約8.5〜約8.9の範囲のpHを使用する利点が発見されている。
【0020】
pH制御が重要であることを発見している。任意の適切な高品質pHプローブを使用してよいが、Orion Research社製のオリオンロスpHプローブ(Orion Ross pH probe)が特に適していることを発見している。反応が進行するにつれて、水中のRDOAの溶解限度を超える。これが起こったとき、RDOAはpHプローブ上に析出し始め、読み取りの誤りをもたらす。この理由から、反応が早く、かつ使用中撹拌可能なプローブが好ましい。
【0021】
また、pH又は温度のいずれかが高すぎる場合、RDOAの転移生成物である、式(4)の形態に表されるような副産物も検出される。
【化6】

【0022】
該化合物は、技術的には、3−ヒドロキシ−4−(カルボキシメチル)フェノキシ酢酸(「HCPA」)とよばれる。これが、反応条件を注意深く制御すべきであるもう1つの理由である。この理由のために、該反応は、より高い温度で促進されるにもかかわらず、温度は105℃以下で維持すべきなのである。さらに、pHは11未満、好ましくは10未満に維持すべきである。
【0023】
NaOH添加の間、pHが安定したらすぐに、第2分量のクロロ酢酸ナトリウムを添加する。先に記載したように、クロロ酢酸ナトリウムは任意の比率で添加可能であるが、モル比で1:0.15:0.15に対応する、3段階での添加を実施することが好ましいことを発見している。約20〜30%モル過剰のクロロ酢酸が、最適収率を与えることを見出している。第2分量のクロロ酢酸ナトリウムの添加後、NaOH溶液を必要に応じて再び滴下し、pHを調整する。pHをさらなるNaOHの添加なしで安定化させる場合、クロロ酢酸ナトリウムの最終分量を添加する。pHを調整して確定的な時間安定化させた後、鉱酸を添加し、形成したRDOAを沈殿させる。RDOAを精製するための鉱酸の使用は、その全てが本明細書に組み込まれる米国特許第6,316,666号に開示されている。
【0024】
いくつかの実施態様において、硫酸及び塩酸を使用して、沈殿用にpHを下げる。該2種のうち、塩酸は塩化ナトリウムを生成するので好ましく、同塩が合成の間生成される。この結果、2種の塩の混合物の処理の問題が回避される。
濾過によってRDOA生成物を回収し、洗浄して精製物質を得ることができる。所望であれば、当業界で実施されるような再結晶化を実施してもよい。RDOAは、2種類の純度規格(未精製及び高純度)に区分できる。該2種の間の違いは、未精製は再結晶化されないが、高純度物質は、エチルアルコール又は他の有機溶媒中で再結晶化されることである。
【0025】
典型的には、未精製RDOAは、レゾルシノールモノオキシ酢酸(「RMOA」)及びHCPAの各々を、1.5重量%まで含む可能性がある。再結晶化は、HCPA含量を約60%にまで、かつRMOAを75%にまで減少させる。エタノールを結晶化溶媒として使用した場合、約2〜4%のRDOAのエチルエステルが再結晶化物質中に見出される。エタノール、エタノール/水、メタノール、メタノール/水、トルエン、キシレンなどの再結晶化溶媒が再結晶化に適切であることを発見している。これは完全な一覧ではない。さらに、全ての低級アルコールが再結晶化に適しており、この目的で使用してよい。得られた物質の融点は192〜194℃であり、未精製に関しては98.5%の純度、又は再結晶化した場合には99.8%の純度を有する。
【0026】
先に記載した工程で調製された1,3−フェニレンジオキシ二酢酸などの精製フェニレンジオキシ二酢酸を、ポリエステルの合成に使用できる。ポリエステル合成に関する多くの方法が存在する。そのような方法は、例えばその全てが引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,239,249号に開示されている。具体的には:主要成分としてテレフタル酸又はそのエステル誘導体を含むジカルボン酸成分;と、主要成分としてエチレングリコールを含むジオール成分;との重縮合から、ポリエステル樹脂を調製する。すなわち、前記方法は:主要成分としてテレフタル酸を含むジカルボン酸成分、及び主要成分としてエチレングリコールを含むジオール成分を、エステル化反応タンク中でエステル化させ、それで得られたエステル化反応生成物を、重縮合用の重縮合反応タンクに移す、直接重合化法;主要成分としてテレフタル酸のエステル誘導体を含むジカルボン酸成分、及び主要成分としてエチレングリコールを含むジオール成分を、トランスエステル化反応タンク中で、トランスエステル化反応に供し、それで得られたトランスエステル化反応生成物を、重縮合用の重縮合反応タンクに移す、トランスエステル化法;又は、スラリー製造タンク中で、主要成分としてテレフタル酸を含むジカルボン酸成分を、主要成分としてエチレングリコールを含むジオール成分へと分散させることで得られるスラリーを、標準圧力下、エステル化用のエステル化反応タンク中で、先に記載したように得られたエステル化反応生成物又はトランスエステル化反応生成物に連続的に添加し、該反応生成物を、連続的に及び/又は段階的に重縮合用の重縮合反応タンクに移す、連続的直接重合法;のいずれかであってよい。さらに、重縮合反応によって得られる樹脂は通常、重縮合反応タンクの底に与えられる引き出し口(drawing aperture)から紐の形態で引き出され、水で冷却しながら又は冷却後にカッターで切られ、ペレット形態となる。重縮合後のペレットは、固体重合用に熱処理を受ける場合、より高度な重合を得ることが可能であり、さらに、例えば副産物としてのアセトアルデヒド並びに低分子量オリゴマーの形成を減少させることができる。
【0027】
先に記載した製造方法において、エステル化反応を、約200℃〜約270℃の温度で、0〜3kg/cmGの存在下、当該事例が必要とするようなエステル化触媒、例えば三酸化ジアンチモン、アンチモン、チタン、マグネシウム又はカルシウムなどの有機酸塩の存在下で実施する。重縮合反応を、約240〜290℃の温度で、約0.1〜約10mmHgの減圧下、重縮合触媒、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、又は三酸化ジアンチモンなどの酸化金属;若しくは、ゲルマニウム、アンチモン、亜鉛、チタン、コバルトなどの有機酸塩;及び、リン酸、亜リン酸、又はリン酸アルキルなどの安定剤;の存在下で実施する。さらに、予備結晶化を、約120〜約200℃の温度で、少なくとも1時間加熱することで実施した後、固相重合を、約180〜240℃の温度で、窒素ガスなどの不活性気体の雰囲気で、及び/又は約0.1〜約10mmHgの減圧下で実施する。
【0028】
ポリエステル樹脂の製造方法において、ジカルボン酸成分中の共重合体成分としてのフェニレンジオキシ二酢酸を、ジオール成分中に溶解した溶液の形態で、該反応系に加えることが好ましい。共重合は安定的に実施することが可能であり、従って、安定品質を有するポリエステル樹脂の生成物が製造可能である。
ここで、共重合体として使用されるのがエチレングリコール又は別のジオール成分である限り、溶解用に使用するジオール成分は特に限定されない。好ましいのはエチレングリコールであり、かつ溶液の溶解度及び流動性の観点から、該溶液中の溶解用のジオール成分対フェニレンジオキシ二酢酸のモル比は、好ましくは2〜12、より好ましくは2.5〜8、特に好ましくは3.5〜5である。溶解は50〜180℃の好ましいレベルの温度で実施する。
【0029】
先に記載した、反応溶液へのフェニレンジオキシ二酢酸溶液の添加に関して、例えば:エステル化反応又はトランスエステル化反応の開始時、若しくは該反応の間における、エステル化反応タンクへの溶液の添加方法;又は、エステル化反応タンク内、生成物をエステル化反応タンクから重合反応タンクへ移す移送管内、又は生成物が移送される重縮合反応タンク内での、エステル化反応生成物若しくはトランスエステル化反応生成物への溶液の添加方法;は言及されてよい。これらの中で、エステル化反応生成物又はトランスエステル化反応生成物へ溶液を添加するのが好ましい。溶液は、好ましくは30〜150℃、より好ましくは50〜100℃の温度で反応系に添加する。
【0030】
特に好ましくは、重縮合用触媒の添加前であって、安定剤としてのリン化合物の添加後における、フェニレンジオキシ二酢酸を除くジカルボン酸成分と、ジオール成分とのエステル化反応又はトランスエステル化反応の開始後で、かつ重縮合反応の開始前の任意の時間で得られるエステル化反応生成物若しくはトランスエステル化反応生成物の存在下で、ジオール成分中に溶解したフェニレンジオキシ二酢酸を含む溶液を前記反応系へ添加し、それにより異物の形成を減少させることができる。
【0031】
先に記載した、重縮合反応の開始前で、エステル化反応又はトランスエステル化反応の開始後の任意の時間で得られるエステル化反応生成物若しくはトランスエステル化反応生成物の存在下での溶液の添加は、エステル化反応タンク、エステル化反応タンクから重縮合反応タンクへの移送管、あるいは反応タンク内での、エステル化反応又はトランスエステル化反応の開始直後、エステル化反応又はトランスエステル化反応の間、エステル化反応若しくはトランスエステル化反応の完了後の、エステル化反応生成物又はトランスエステル化反応生成物への溶液の添加を特異的に表す。これらの中で、生成物移送前の、重縮合反応タンク内でのエステル化反応又はトランスエステル化反応の完了後に、該溶液を、エステル化反応生成物若しくはトランスエステル化反応生成物に添加することがより好ましい。
【0032】
フェニレンジオキシ二酢酸溶液を:エステル化反応又はトランスエステル化反応の開始前若しくは開始時にエステル化反応タンクへ添加する;あるいはフェニレンジオキシ二酢酸溶液を、重縮合反応タンクへの反応生成物の移送前におけるエステル化反応又はトランスエステル化反応の完了後に、エステル化反応タンクへ添加する;場合において、フェニレンジオキシ二酢酸はおそらく熱によって劣化し、それにより得られるポリエステル樹脂の色調は乏しい傾向にある。
【0033】
亜リン酸化合物の添加後でかつ重縮合用触媒の添加前におけるフェニレンジオキシ二酢酸溶液の添加に関して、具体的には、該溶液を、亜リン酸化合物の添加後、好ましくは少なくとも5分、より好ましくは少なくとも10分で添加し、かつ重縮合触媒を該溶液の添加後、好ましくは少なくとも5分、より好ましくは10分で添加する。亜リン酸化合物及び重縮合触媒は、それぞれ先に記載したジオール成分、好ましくはエチレングリコールに溶解した溶液の形態で添加するのが好ましい。
【0034】
使用する亜リン酸化合物は、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸又はポリリン酸、若しくはそれらのエステル、あるいはホスフィン又は亜リン酸塩であってよい。亜リン酸化合物はポリエステル樹脂の理論的収率に基づくので、該量は好ましくは20〜400ppm、特に好ましくは40〜340ppmである。
使用する重縮合用触媒は先に定義したようなものであり、使用する化合物はポリエステル樹脂の理論的収率に基づくので、好ましくは10〜400ppm、特に好ましくは30〜300ppmである。
【0035】
本製造方法で得られるポリエステル樹脂に関して、射出成形で得られたプレフォームを延伸ブロー成形に供し、及び押出成形で得られるシートを熱成形に供して、例えばトレイ及び容器へと成形し、あるいは該シートを二軸延伸に供して、例えばフィルムを得る。
特にポリエステル樹脂は、射出成形により得られるプレフォームの二軸延伸が再加熱後に実施される冷却パリソン法などのブロー成形によるボトルの製造に適切である。ボトルは:炭酸飲料、フルーツジュース、アルコール飲料、お茶及びミネラルウオーターなどの飲料;並びに醤油、ウースターシャーソース、みりん及びドレッシングなどの液体香味料;用の容器としての使用に適している。
【0036】
以下の実施例は、本発明の実施態様を例示するために提供する。全ての数値は概数である。数値範囲が与えられた場合、設定範囲外の実施態様もまた本発明の範囲内に収まり得ることは理解されるべきである。各々の実施例に記載される特定の詳細は、本発明の必須な特徴として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0037】
クロロ酢酸ナトリウムの製造:磁性撹拌機、温度計及び追加漏斗を装備した丸底フラスコ中に、水に溶解させたクロロ酢酸を入れた。NaOH溶液を、撹拌しているクロロ酢酸溶液中へと滴下した。該溶液を容器中の氷水で冷却した。溶液の温度を30℃より低く維持することに気をつけた。これらの条件の下で、クロロ酢酸からグリコール酸への加水分解を抑制した。この方法で製造した場合、クロロ酢酸ナトリウムは、冷蔵庫の中で数日間安定である。
【0038】
(実施例1)
機械的撹拌機、冷却機、温度計及び追加漏斗を備えた500mlの反応ケトルに、45グラムの水に溶解した16グラムの水酸化ナトリウム(NaOH、0.4モル)を添加した。その後、窒素雰囲気下で22グラムのレゾルシノール(0.2モル)を加えてよく撹拌し、レゾルシノールの二ナトリウム塩を形成させた。この後、38グラムのクロロ酢酸(0.4モル)を加え、徹底的に混合した。該反応混合物を、約50〜55℃に加熱し、それから45グラムの蒸留水中に16グラムのNaOHを溶解し調製した水溶液を、30分を超える時間をかけてこの温度でゆっくりと添加した。この添加の後、該反応混合物を加熱して還流させ(95〜100℃)、この還流条件で60分間固定した。その後、該反応混合物を約80〜85℃に冷却した。該生成物はスラリーのようであった。その後、20グラムの蒸留水を含有する36.8グラムの濃硫酸(0.38モル)の溶液から調製した希硫酸を、80〜85℃で、レゾルシノールジオキシ酢酸のナトリウム塩を含む反応スラリーにゆっくりと添加した。酸性化段階後の溶液のpHは、約0.5〜1.0の範囲内であった。酸性化段階の間、該溶液のレゾルシノールジオキシ酢酸の結晶が析出し始めた。
【0039】
その後、酸性化反応混合物を室温に冷却した。沈殿した結晶を濾過し、160グラムの蒸留水で洗浄した。最後に、湿潤生成物をはじめに大気条件下で乾燥させ、それから約50〜70℃で真空乾燥させて未精製のレゾルシノールジオキシ酢酸(RDOA)を得た。上記工程を下記の工程スキーム1として以下に示す。一般的に、この工程に基づいた収率は、55〜65重量パーセントの間で変化する。NMR解析を実施し、RDOAの純度に加えて、該未精製反応混合物中に存在するレゾルシノールモノオキシ酢酸(RMOA)及び3−ヒドロキシ−4−カルボキシメチルフェノキシ酢酸(HCPA)などの他の不純物の存在を測定した。
【0040】
【化7】

【0041】
(実施例2〜4)
レゾルシノールナトリウムの反応由来のレゾルシノールジオキシ酢酸の合成の詳細、及びクロロ酢酸のモル比の変動を、以下の表1に示す。これらの実施例も、上記の工程スキーム1として記載した方法に基づいている。
【表1】

【0042】
工程スキーム1から得られるRDOA収率は相対的に低い、すなわち約58〜約66%の範囲内であることが示された。該反応に使用するクロロ酢酸の量は、レゾルシノール1モルあたりに必要とされる化学量論的量よりも高かった(35モル%過剰)が、RDOAの収率はこの工程からは改善しなかった。
【0043】
(実施例7)
撹拌機、冷却機、温度計、pHプローブ及び追加漏斗を備えた500mlの丸型フラスコに、22グラムのレゾルシノール(0.2モル)及び0.4モルのクロロ酢酸ナトリウム(38グラムのクロロ酢酸、16グラムの水酸化ナトリウム、及び45グラムの水を使用して調製した)溶液を添加した。該混合物を約100℃に加熱した。その後、0.4モルの水性水酸化ナトリウム溶液(16グラムの水酸化ナトリウム及び45グラムの水から調製した)を、添加の間、pHが8.2で維持されるように、レゾルシノールとクロロ酢酸ナトリウム溶液へとゆっくり添加した。NaOH溶液の添加時間は、約75〜80分であった。この後、該反応混合物を、さらに30〜60分間、95〜100℃で撹拌した。それから該混合物を約85〜90℃に冷却し、0.38モルの希硫酸を滴下してpHを約0.5〜1.0にした。該溶液を室温まで冷却し、分離した結晶を濾過して水で洗浄し、乾燥させた。該生成物の収率、融点、及びRDOA物質のNMR分析結果を表2に示す。
【0044】
(実施例8〜10)
実施例7を、増加したモル量のクロロ酢酸ナトリウムを用い、かつ反応pHを8.2で維持して繰り返した。これらの実験結果を表2に示す。
【表2】

表2の結果で見ることができるように、クロロ酢酸の位置におけるクロロ酢酸ナトリウムの使用は、レゾルシノールジオキシ酢酸収率を向上させるようである。
【0045】
(実施例11)
RDOAの収率に関して、pHの効果を測定するため、また該製造におけるクロロ酢酸ナトリウムの30%モル過剰の使用でのpHの効果を測定するため、以下の実験を実施した。これらの実験において、クロロ酢酸ナトリウム溶液及び水酸化ナトリウム溶液の3段階添加を実施した。これらの調製は、工程スキーム2として示す以下の工程に基づいた。
【化8】

55グラムのレゾルシノール(0.5モル)及び247.1グラムのクロロ酢酸ナトリウム溶液(94.5グラムのクロロ酢酸(1モル)、40グラムの水酸化ナトリウム、及び112.5グラムの水から調製した)を、撹拌機、温度計、冷却機、pHプローブ、及び追加漏斗を備える反応ケトルへと満たす。該溶液を窒素雰囲気下で撹拌し、約85〜90℃に加熱した。その後、水酸化ナトリウム溶液(135グラムの水で溶解させた48グラムの水酸化ナトリウムから調製した)の第1部を、該反応混合物のpHが8.2(又は予め決定した値)に維持されるように、滴下して加えた。該反応溶液のpHが8.2で15分間安定である場合、第2部のクロロ酢酸ナトリウム溶液(0.1モル、24.7グラム)を、該反応混合物に添加した。それから、第2部の水酸化ナトリウム溶液(すでに追加漏斗に取ってある)を、約8.2のpHで滴下して加えた。8.2でのpH定常を15分間測定した後、クロロ酢酸ナトリウム溶液(0.1モル、24.7グラム)の第3の添加を実施した。追加漏斗内に残った残存水酸化ナトリウム溶液を85〜95℃で滴下して加えた。水酸化ナトリウム付加の過程の間、該反応混合物の温度及びpHを一定に保ち維持した。
【0046】
該反応混合物の温度を約85℃に下げ、その後、塩酸溶液(1.2モル)を滴下して加え、レゾルシノールジオキシ酢酸のナトリウム塩からレゾルシノールジオキシ酢酸を遊離させた。酸性化後の該反応混合物の最終pHは、0.5〜1.0であった。該反応混合物を酸性化した後、室温まで冷却した。分離した結晶を濾過し、冷水で洗浄し、はじめに大気条件下で乾燥させ、その後真空乾燥させた。
収量は89.7グラム(理論値の79.4%)であった。融点は191〜193℃であると測定された。該生成物のNMR解析は、任意のさらなる生成前に98%の純度を示した。
【0047】
(実施例12〜15)
同モル比のレゾルシノール及びクロロ酢酸ナトリウム(1:2.6モル)、並びに温度を維持し、実施例11を数回繰り返した。該反応混合物のpHは変動し(8.2〜10)、水酸化ナトリウム付加の過程の間、一定に保った。該実験の詳細を表3に示す。
【表3】

【0048】
表3の結果から理解できるように、pHは約8.2〜8.5でもよい収率を与えるが、反応pHを8.6〜8.9の間に維持した場合にレゾルシノールジオキシ酢酸の収率はより高かった。
先に記載したように、本発明の実施態様は、相対的に高収率なフェニレンジオキシ二酢酸の製造方法を提供する。いくつかの実施態様において、収率は約80%を超え、又は約90%すらも超える。さらに、該酸の純度は、収率又は生成物費用を犠牲にして得られたのではない。それゆえ、該酸は、ポリエステル及びポリアミドの合成に使用可能である。
【0049】
本発明は、限られた数の実施態様に関して記載しているが、或る実施態様の特定の特徴が、本発明の他の実施態様の原因であるとすべきではない。1つの実施態様が、本発明の全ての態様を示すことはない。いくつかの実施態様において、組成物又は方法は、本明細書で言及しない非常に多くの化合物又は工程を含んでよい。他の実施態様において、組成物又は方法は、本明細書で列挙していない化合物若しくは工程を含まないか、又は実質的に含まない。記載の実施態様からの変更及び修飾が存在する。樹脂の製造方法を、多くの行為又は工程を含むものとして記載する。他に記載しない限り、これらの工程又は行為を、任意の配列又は順番で実施してよい。最後に、数を記載するにあたり、単語「約(about)」又は「約(approximately)」を使用しているか否かにかかわらず、本明細書に記載する全ての数は概数を意味すると解釈すべきである。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲内に収まるような全ての修飾及び変更を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法であって:
(a)反応条件下、ハロ酢酸が添加されていない溶液中で、式(1)
【化1】

で表されるジヒドロキシベンゼンを、ハロ酢酸塩と接触させてフェニレンジオキシ二酢酸塩を製造すること;及び、
(b)該フェニレンジオキシ二酢酸塩を、式(2)
【化2】

(式中、Rは、ヒドロキシル基、ハロゲン基、カルボキシル基又は炭化水素基を表し、かつnは0〜3の整数を表す。)で表される遊離のフェニレンジオキシ二酢酸へと変換すること;を含む、前記方法。
【請求項2】
出発物質として、ジヒドロキシベンゼン塩を使用しない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ジヒドロキシベンゼンを接触させる前に、水酸化物とハロ酢酸とを反応させて前記ハロ酢酸塩を形成させる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
化学量論的量の前記ハロ酢酸塩を、前記ジヒドロキシベンゼンと接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
モル過剰量の前記ハロ酢酸塩を、前記ジヒドロキシベンゼンと接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ハロ酢酸塩を、前記反応混合物中に段階的に添加する、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記反応混合物のpHを、適切な量のアルカリ溶液を添加することによって調整する、請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記フェニレンジオキシ二酢酸塩から遊離フェニレンジオキシ二酢酸への変換が、該塩を酸と接触させることによって達成される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記酸が、塩酸、硫酸、又は鉱酸である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ハロ酢酸塩が、モノクロロ酢酸ナトリウム又はモノブロモ酢酸ナトリウムである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ジヒドロキシベンゼンがレゾルシノールであり、かつ前記ハロ酢酸塩がクロロ酢酸ナトリウムである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記接触工程で得られる反応混合物が、約7〜約11の範囲のpH値を有する、請求項1又は10記載の方法。
【請求項13】
前記接触工程で得られる反応混合物が、約8〜約10の範囲のpH値を有する、請求項1又は10記載の方法。
【請求項14】
前記接触工程で得られる反応混合物が、約8.5〜約8.9の範囲のpH値を有する、請求項1又は10記載の方法。
【請求項15】
前記接触工程で得られる反応混合物が、約70℃〜約105℃の範囲の温度で維持される、請求項1又は10記載の方法。
【請求項16】
前記接触工程で得られる反応混合物が、約80℃〜約95℃の範囲の温度で維持される、請求項1又は10記載の方法。
【請求項17】
前記接触工程で得られる反応混合物が、約85℃の温度で維持される、請求項1又は10記載の方法。
【請求項18】
前記ジヒドロキシベンゼンが、レゾルシノール、ヒドロキノン、又はカテコールである、請求項10記載の方法。
【請求項19】
温度が約70℃〜約95℃でかつpHが約8.5〜8.9のクロロ酢酸を添加しない水溶液中で、レゾルシノールをクロロ酢酸ナトリウムと接触させて、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸ナトリウムを製造することを含む、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸の製造方法。
【請求項20】
前記レゾルシノールに接触させる前に、化学量論的量の水酸化ナトリウムをクロロ酢酸と反応させることによって前記クロロ酢酸ナトリウムを製造する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
化学量論的量のクロロ酢酸ナトリウムを、レゾルシノールと接触させる、請求項19記載の方法。
【請求項22】
モル過剰量のクロロ酢酸ナトリウムを、レゾルシノールと接触させる、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記モル過剰量が、約20%〜30%である、請求項5又は22記載の方法。
【請求項24】
前記クロロ酢酸ナトリウムを段階的に添加する、請求項19記載の方法。
【請求項25】
水性水酸化ナトリウム溶液を使用して前記pHを維持する、請求項19記載の方法。
【請求項26】
前記1,3−フェニレンジオキシ二酢酸ナトリウムから遊離1,3−フェニレンジオキシ二酢酸への変換をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項27】
主要成分としてテレフタル酸又はそのエステル誘導体、及び共重合体化可能な成分として請求項1又は19記載の方法から得られるフェニレンジオキシ二酢酸を含むジカルボン酸成分;並びに、主要成分としてエチレングリコールを含むジオール成分;を対象とし、エステル化反応又はトランスエステル化反応を介して重縮合させることを含む、共重合体化ポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項28】
処理単位工程を使用する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
連続工程を使用する、請求項27記載の方法。

【公表番号】特表2009−500322(P2009−500322A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519272(P2008−519272)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/013768
【国際公開番号】WO2007/005086
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(394025751)インドスペック ケミカル コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】