説明

フェノール及びメチルエチルケトンの製造方法

フェノール及びメチルエチルケトンを製造する方法は、ベンゼン及びC4アルキル化剤を含む原材料をアルキル化条件下で、ゼオライトベータ又は12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07、及び3.42±0.07オングストロームの格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブを含む触媒に接触させ、sec−ブチルベンゼンを含むアルキル化流出液を生成する工程を含む。該sec−ブチルベンゼンをその後酸化し、ヒドロキシペルオキシドを生成し、該ヒドロキシペルオキシドを分解してフェノール及びメチルエチルケトンを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール及びメチルエチルケトンを同時に生産するための方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
フェノール及びメチルエチルケトンは化学工業において重要な製品である。例えば、フェノールは、フェノール樹脂、ビスフェノールA、ε−カプロラクタム、アジピン酸、アアルキルフェノール、及び可塑剤の製造において有用である。一方、メチルエチルケトンはラッカー、溶媒として、及び潤滑油の脱ろうに用いることができる。
【0003】
メチルエチルケトンの製造のための最も一般的な手段は、ブテンの酸触媒水素化により生成されるアルコールであるsec−ブチルアルコール(SBA)の脱水素化によるものである。硫酸を用いたブテンによる商業的規模のSBA製造は、長年、液体/気体抽出を利用して行われている。この水素化工程の改良方法は、高いブチレン転化率を達成するために、プラグフロー、気泡塔、及びCSTR(撹拌タンク反応器)反応区分を独特に組み合わせた工程配置を含んでいる。他の改良方法は、ブチレン/硫酸 取り込み/抽出のために特別設計されたスパージャーを用いる。ループ反応器も混合強度を改良するために好ましい。sec−ブチルアルコールの脱水素化において、sec−ブチルアルコールをsec−ブチルエーテルから分離するために、幾つかの塔、好ましくは1つの塔を用いた、取り込み又は抽出区分において、粗sec−ブチルアルコールを回収する。
【0004】
近年における、フェノール生成の最も一般的な手段は、ホック(Hock)法である。この方法は、プロピレンを用いたベンゼンのアルキル化を含む操作によりクメンを製造する第一工程、これに続く、クメンを対応するヒドロキシペルオキシドに酸化する工程、及びその後の、ペルオキシドを分解し等量のフェノール及びアセトンを生成する工程から成る3段階法である。しかしながら、フェノールの世界的な需要はアセトンの需要よりも急速に大きくなっており、加えて、プロピレン不足が拡大していることにより、ブテンの価格よりもプロピレンの価格が高くなる傾向にある。従って、原料としてプロピレンの替わりにブテンを用い、且つフェノールの生成と同時にアセトンよりもメチルエチルケトンを生成する方法は、フェノール生産の魅力的な代替方法である。
【0005】
フェノール及びメチルエチルケトンは、sec−ブチルベンゼンを酸化して、sec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドを得たのちに、そのペルオキシドを所望のフェノール及びメチルエチルケトンに分解するホック(Hock)法の変法により生成することができることが知られている。このような方法の概要は1997年12月にスタンフォードリサーチインスチュート(Stanford Resarch Institute)により出版された“フェノール”という標題のプロセスエコノミックレポート(Process Economic Report)No.23Bの113−421頁及び261−263頁に記載されている。
【0006】
更に、米国特許No.5,298,667は、sec−ブチルベンゼンを酸化して主要生成物としてsec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドを含む反応液体を得る工程と、蒸留カラムを用いて該反応液体を濃縮し、主要生成物としてsec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドを含むボトム液体を得る工程と、該ボトム液体を分解してフェノール及びメチルエチルケトンを得る工程とを含む、フェノールとメチルエチルケトンを生成する方法を開示する。前記方法は、sec−ブチルベンゼン開始物質が(a)エチルヒドロキシペルオキシド、カルボン酸及びフェノール、(b)スチレン、又は(c)メチルベンジルアルコールを実質的に含んでいないことを必要とする。しかしながら、必要とされるsec−ブチルベンゼンを得るための方法は開示されていない。
【0007】
欧州公開公報No.1,088,809は、クメン及び25重量%までのsec−ブチルベンゼンの混合物を酸化させ、その後該酸化物をホック(Hock)分解することによりフェノール、メチルエチルケトン、及びアセトンを製造する方法を開示する。生成物中のフェノール:アセトン:メチルエチルケトンの比は原料混合物の組成を介して制御することができる。原料混合物は、AlCl、HPO/SiO又はゼオライトのような市販のアルキル化触媒の存在下で、対応するプロペン及び1−ブテン/2−ブテンの混合物を用いてベンゼンをアルキル化することにより直接生成される。
【0008】
しかしながら、ブテンを用いたベンゼンのアルキル化のための既存の市販触媒、例えば、AlCl及び固形リン酸はsec−ブチルベンゼンだけでなく、様々な量の副生成物、主に、iso−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、di−ブチルベンゼン及びtri−ブチルベンゼンも生成してしまう。これらの化合物の中で、di−ブチルベンゼンとtri−ブチルベンゼンは反応混合から容易に分離でき、トランスアルキル化することにより更なるsec−ブチルベンゼンを生成する。しかしながら、iso−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン及びtert−ブチルベンゼンの沸点はそれぞれ172.8℃、173.5℃、及び169℃であることから、蒸留により各化合物を分離することは難しい。更に、iso−ブチルベンゼン及びtert−ブチルベンゼンは対応するヒドロペルオキシドへのsec−ブチルベンゼンの酸化に対して抑制物質となることが知られている。例えば、sec−ブチルベンゼンが1重量%のiso−ブチルベンゼンを含んでいる場合、sec−ブチルベンゼンの酸化速度はiso−ブチルベンゼンを含まない場合の約91%に減少する。同様に、iso−ブチルベンゼンが重量により1.65%含まれる場合、酸化速度は約86%まで減少し;iso−ブチルベンゼンが重量により2%含まれる場合、酸化速度は約84%まで減少する、そしてiso−ブチルベンゼンが重量により3.5%含まれる場合、酸化速度は約82%ほどに減少する。
【0009】
それゆえ、ホック(Hock)法を用いてフェノール及びメチルエチルケトンを生成する場合には、sec−ブチルベンゼンを生成するためのアルキル化工程の間に副生成物として形成されるiso−ブチルベンゼン及びtert−ブチルベンゼンの量を最小化することが重要である。
【0010】
米国特許No.5,059,736は均一な液体の塩化アルミニウム複合触媒の存在下で、ベンゼンとn−ブテンを反応させる工程を含む、ベンゼンとn−ブテンからsec−ブチルベンゼンを生成する工程を開示する。前記触媒は、塩化アルミニウム、塩化水素及び芳香族炭化水素を含んでいる。複合触媒の成分として用いられる塩化アルミニウムの量は、用いるベンゼンの重量を基準にして0.51乃至5%である。反応温度は20℃乃至70℃であり、副生成物として形成されるiso−ブチルベンゼンの量は、生成されるsec−ブチルベンゼンに対するiso−ブチルベンゼンの重量で0.01:1を超えない。しかしながら、上述したように、1重量%の不純物としてのiso−ブチルベンゼンでさえ、sec−ブチルベンゼンが対応するヒドロキシペルオキシドになるための酸化を有意に抑制する。
【0011】
例えば、米国特許No.4,992,606に記載のように、1乃至5の炭素数を有する、オレフィンのようなアルキル化剤を用いてベンゼンのような芳香族化合物をアルキル化するための触媒として、MCM−22として知られている合成細孔性結晶物質が、有効であることが知られている。米国特許No.5,371,310、及び5,557,024にも同様の開示があるが、これらに記載の合成細孔性結晶物質はそれぞれ、MCM−49及びMCM−56である。しかしながら、これらの文献には、MCM−22、MCM−49又はMCM−56が、C4アルキル化剤とともにベンゼンのアルキル化を触媒するために用いたときにsec−ブチルベンゼンを著しく選択するとの開示も示唆もない。
【0012】
米国特許No.4,891,458はベンゼン等の芳香族炭化水素をアルキル化又はトランスアルキル化するための方法を開示する。前記方法は、少なくとも部分的に液体相の条件下及びゼオライトベータを含む触媒の存在下において、C2乃至C4オレフィンアルキル化剤又はポリアルキル芳香族炭化水素トランスアルキル化剤に芳香族炭化水素を接触させる工程を含む。好適なオレフィンアルキル化剤はエチレン、プロピレン、ブテン−1、トランス−ブテン−2及びシス−ブテン−2を含むか、又はこれらの混合物であると言われているが、好ましいオレフィンはエチレン及びプロピレンである。ベンゼンをn−ブテン又はポリブチルベンゼンと反応させる場合、反応生成物はsec−ブチルベンゼンを含むといわれているが、iso−ブチルベンゼン又はtert−ブチルベンゼンの不純物のレベルは開示されていない。
【0013】
直鎖ブテンを用いたベンゼンのアルキル化における触媒としてゼオライトベータ又はMCM−22ファミリーを使用することが、iso−ブチルベンゼン及びtert−ブチルベンゼンを実質的に含まないsec−ブチルベンゼンを生成し、従って、前記sec−ブチルベンゼンがフェノール及びメチルエチルケトンを生成するためのホック(Hock)分解のための魅力的な原料となることが本発明により見出される。
【発明の開示】
【0014】
発明の概要
1つの側面において、本発明はフェノール及びメチルエチルケトンを製造する方法に関する。前記方法は、
(a)ゼオライトベータ又は12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07及び3.42±0.07オングストロームの格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブを含む触媒を用いて、アルキル化条件下においてベンゼンとC4アルキル化剤を接触させてsec−ブチルベンゼンを含むアルキル化流出液を生成する工程と、
(b)前記(a)からのsec−ブチルベンゼンを酸化させるヒドロペルオキシドを製造する工程と、
(c)前記(b)からのヒドロキシペルオキシドを分解してフェノール及びメチルエチルケトンを生成する工程とを含む。
【0015】
前記工程(a)において用いる触媒は12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07及び3.42±0.07オングストロームで、格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブであることが、有利である。前記sec−ブチルベンゼンは0.5重量%未満、例えば0.1重量%、例えば0.05%未満のiso−ブチルベンゼンしか含まないことが好ましい。
【0016】
前記(a)におけるC4アルキル化剤は、例えば、1−ブテン及び/又は2−ブテンのような直鎖ブテンを含むとこが好ましい。1つの態様において、前記直鎖ブテンは、接触工程(a)に先立ち、硫黄除去、窒素除去、酸化物除去、ブタジエン除去及びイソブテン除去のうちの少なくとも1つの処理がなされた混合C4流れ中に含むようにされる。
【0017】
前記モレキュラーシーブはMCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8及びこれらの混合物の中から選択されることが望ましい。ここにおいて及び本明細書並びに特許請求の範囲を通じて用いられる「混合物」の語は、列挙された選択肢からの任意の2つ以上の選択肢を意味する。
【0018】
1つの態様において、前記接触工程(a)は、少なくとも部分的に液体相の条件下において行われる。好都合なことには、前記アルキル化条件は約60℃乃至約260℃の温度、7000kPa未満の圧力、及びC4アルキル化剤を基準にして約0.1乃至50hr−1の重量空間速度(WHSV)及び約1乃至50のC4アルキル化剤に対するベンゼンのモル比を含むようにする。
【0019】
1つの態様において、前記(a)において生成される前記アルキル化流出液は、ポリブチルベンゼンを含み、前記工程はトランスアルキル化触媒の存在下においてベンゼンと前記ポリブチルベンゼンを接触させ、sec−ブチルベンゼンを生成する工程を更に含む。前記トランスアルキル化触媒は、ゼオライトベータ、モルデナイト、USY、MCM−22、PSH−3、SSZ−25,ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8及びこれらの混合物から選択されるモレキュラーシーブを含むことが望ましい。
【0020】
前記酸化工程(b)は、(i)マンガンを含むオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核金属錯体、
(ii)混合された金属核、Zn、Cu、Fe、Co、Ni、Mn及びこれらの混合物から選択される二価金属、とIn、Fe、Mn、Ga、Al及びこれらの混合物から選択される三価金属である他の金属を有するオキソ(ヒドロオキソ)架橋4核金属錯体、
(iii)単独又はフリーラジカル開始剤の存在下における、N−ヒドロキシ置換環状イミドから選択される触媒等の存在下で行われることが望ましい。1つの態様において、前記酸化触媒は不均一系触媒である。
【0021】
前記酸化工程(b)は約70℃乃至約200℃の温度及び約0.5乃至約10気圧(50乃至1000kPa)の圧力で行われることが望ましい。
【0022】
前記分解工程(b)は触媒の存在下において行われることが望ましい。前記触媒は均一、又は不均一触媒である。1つの態様において、前記触媒は硫酸のような均一系触媒である。
【0023】
前記分解工程(c)は、約40℃乃至120℃の温度、約100乃至約2500kPaの圧力、及びヒドロキシペルオキシドを基準にして約0.1乃至約100hr−1の液体空間速度(LHSV)において行われることが望ましい。
【0024】
更なる側面において、本発明はフェノール及びメチルエチルケトンを製造する方法に関する。前記方法は、
(a)触媒を用いてアルキル化条件下においてベンゼンをC4アルキル化剤に接触させ、sec−ブチルベンゼンを含むアルキル化流出液を生成する工程と、
(b)触媒の存在下において前記(a)からのsec−ブチルベンゼンを酸化し、ヒドロキシペルオキシドを生成する工程と、
(c)触媒の存在下において前記(b)からのヒドロキシペルオキシドを分解し、フェノール及びメチルエチルケトンを生成する工程とを含み、前記工程(a)、(b)、及び(c)において用いる触媒が不均一系触媒であることを特徴とする。
【0025】
前記接触工程(a)、前記酸化工程(b)及び前記分解工程(c)の少なくとも1つの工程、好ましくは各工程、は触媒的蒸留により行われる。
【0026】
更なる態様において、本発明はsec−ブチルベンゼンの生成方法に関し、該方法は、12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07及び3.42±0.07オングストロームの格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブを含む触媒を用いて、アルキル化条件下において、ベンゼンをC4アルキル化剤に接触させ、0.12重量%未満のiso−ブチルベンゼン又はtert−ブチルベンゼンしか含まないsec−ブチルベンゼンを有するアルキル化流出液を生成する工程を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、sec−ブチルベンゼンを生成し、その後sec−ブチルベンゼンをフェノール及びメチルエチルケトンに転化する方法に関する。前記転化は、最初にsec−ブチルベンゼンを酸化して、対応するヒドロキシペルオキシドを生成する工程と、及びその後に、得られたヒドロキシペルオキシドを分解して、所望のフェノール及びメチルエチルケトンを生成する工程とを含む。
【0028】
特に、特定の種類の不均一系モレキュラーシーブ触媒を用いて、直鎖ブテン等のC4アルキル化剤を用いてベンゼンをアルキル化したときに、酸化工程において他の様式により抑制剤として作用するiso−ブチルベンゼン及び/又はtert−ブチルベンゼンを0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満しか含んでいないsec−ブチルベンゼンを生成するように前記アルキル化を制御することができるという発見に本発明は基づいている。
【0029】
アルキル化工程における不均一触媒は、ゼオライトベータ又は12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07及び3.42±0.07オングストロームの格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブから選択される。更に、不均一系触媒は好ましくは本発明の方法の酸化及び分解工程のいずれかにおいて、又は両方においても用いられる。
【0030】

ベンゼンのアルキル化
sec−ブチルベンゼンを生成するためのアルキル化工程に用いるベンゼンは、市販のベンゼンでよいが、少なくとも99%の純度を有することが好ましい。
【0031】
アルキル化剤は、ベンゼンとの反応が可能な1つ以上の利用可能なアルキル化脂肪基、及び4の炭素数を有する、脂肪族又は芳香族の有機化合物であればいずれでもよい。適したアルキル化剤の例は、ブテン−1及び/又はブテン−2、好ましくはブテン−2のような直鎖ブテン等のモノオレフィン;ブタノール等のアルコール類(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコール等を含む);ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル及びブチルアルコール等のアルキルハライドを含む。
【0032】
前記アルキル化剤は、エタン、プロパン、ブタン、LPG及び軽質ナフサのスチームクラッキングにより、ナフサ及び他の精油原材料の触媒分解により、並びにメタノール等の酸素処理物を低級オレフィンへ転化することにより得ることができる、オレフィンC4炭化水素混合物であってもよい。
【0033】
例えば、以下のC4炭化水素混合は通常、粗スチーム分解されたブテン流れ、ラフィネート−1、(粗スチーム分解されたブテン流れからブタジエンを除去するための溶媒抽出又は水素化処理後に残った生成物)及びラフィネート−2(分解されたブテン粗流れからブタジエン及びイソブテンを除去した後の残りの生成物)を生成するためのスチームクラッキングに用いられている。通常、これらの流れは、以下の表1に表示するような重量幅の組成を有している。
【表1】

【0034】
ナフサ、及び他の精油原材料の触媒分解により得られるような、他の精油の混合C4流れは通常以下に示すような組成を有する:
プロピレン − 0−2 重量%
プロパン − 0−2 重量%
ブタジエン − 0−5 重量%
ブテン−1 − 5−20 重量%
ブテン−2 − 10−50 重量%
イソブテン − 5−25 重量%
iso−ブタン − 10−40 重量%
n−ブタン − 5−25 重量%。
【0035】
メタノール等の酸素処理物を低級オレフィンへ転化することにより得られるC4炭化水素分画は通常以下に示す組成を有する:
プロピレン − 0−1 重量%
プロパン − 0−0.5 重量%
ブタジエン − 0−1 重量%
ブテン−1 − 10−40 重量%
ブテン−2 − 50−85 重量%
イソブテン − 0−10 重量%
n−及びiso−ブテン − 0−10 重量%。
【0036】
上記C4炭化水素のいずれか1つ又はいかなる混合物も本発明の方法に用いることができる。直鎖ブテン及びブタンに加えて、これらの混合物は通常、本発明の方法に有害であるイソブテン及びブタジエンのような成分を含む。例えば、イソブテンとベンゼンとのノルマルアルキル化生成物は、後の酸化工程において抑制剤として作用すると説明したtert−ブチルベンゼンである。従って、アルキル化工程に先立ち、これらの混合物から、ブタジエン及びイソブテンを除去することが好ましい。例えば、イソブテンは選択的二量化又はMETBを生成するためのメタノールとの反応により除去することができ、ブタジエンは抽出又はブテン−1への選択的水素化により除去することができる。
【0037】
他の炭化水素成分に加えて、市販のC4炭化水素混合物は、通常、アルキル化工程に有害となりうる他の不純物を含む。例えば、精油C4炭化水素流れは通常、窒素、及び硫黄不純物を含み、酸素転化工程により得られたC4炭化水素流れは好ましくない酸化物及び水を通常含む。従って、アルキル化工程の前に、これらの混合物も、ブタジエン及びイソブテンの除去に加えて、硫黄除去、窒素除去、及び酸化物除去の1つ以上を行う。硫黄、窒素、酸化物不純物の除去は、苛性アルカリ処理、水洗浄、蒸留、モレキュラーシーブ
及び/又は膜分離を用いた吸着の1つ以上を組み合わせることにより、簡便に行うことができる。水も通常吸着により除去することができる。
【0038】
特に好ましくはないが、本発明のアルキル化工程におけるアルキル化剤として、上述のようなC4アルキル化剤とプロピレン等のC3アルキル化剤との混合物を用いることも可能であり、アルキル化工程でクメン及びsec−ブチルベンゼンの混合物を生じる。得られた混合物はその後、アセトン及びMEKの混合物を作るために、フェノールと共に酸化及び分解工程を通じて処理することができる。ビスフェノール−A生成の要求に見合うために、アセトン:フェノールのモル比が0.5:1であることが好ましい。
【0039】
本発明のアルキル化工程に供給される材料中に、水は1000ppm未満、例えば500ppm未満、例えば100ppm未満しかふくまれていないことが望ましい。更に、材料中の硫黄含量は通常100ppm未満、例えば30ppm未満、例えば3ppm未満であり、及び窒素含量は10ppm未満、例えば1ppm未満、例えば0.1ppm未満である。
【0040】
ベンゼン対アルキル化剤のモル比としては、2:1乃至3.5:1が好ましく、2.5:1乃至3.2:1がより好ましい。
【0041】
本発明の方法に用いるアルキル化触媒は、(a)ゼオライトベータ、又は(b)12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07及び3.42±0.07オングストロームの格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有する物質から選択される結晶性モレキュラーシーブである。物質(b)を特徴づけるのに用いる前記X線回折データは、入射光として銅のK−アルファダブレット(K−alpha
doublet)及び収集システムとしてシンチレーションカウンターに装備された、コンピューターを連結した回折計を用いた標準的な手順を用いて得ることができる。
【0042】
ゼオライトベータ及びその合成は、例えば、米国特許No.3,308,069に開示されている。前記X線回折パターンを有する物質(b)はMCM−22ファミリーのモレキュラーシーブと言われることもあり、MCM−22(米国特許No.4,954,325に開示されている)、PSH−3(米国特許No.4,439,409に開示されている)、SSZ−25(米国特許No.4,826,667に開示されている)、ERB−1(欧州特許No.0293032に開示されている)、ITQ−1(米国特許No.6,077,498に開示されている)、ITQ−2(国際公開公報No.WO97/17290に開示されている)、MCM−36(米国特許No.5,250,277に開示されている)、MCM−49(米国特許No.5,236,575に開示されている)、MCM−56(米国特許No.5,362,697に開示されている)、UZM−8(米国特許No.6,756,030に開示されている)及びこれらの混合物を含む。
【0043】
前記アルキル化触媒は未結合型又は自己結合型のモレキュラーシーブを含むことができ、前記モレキュラーシーブは、前記アルキル化触媒が、最終的に2乃至80重量%のモレキュラーシーブを含むように、従来技術によりアルミナ等の酸素結合剤と結合させることができる。
【0044】
前記アルキル化工程は、効果的なアルキル化条件下において、適した反応ゾーン中、例えば、触媒成分の固定床を含む流動反応器中、又は触媒的蒸留反応器中で、有機反応物、すなわちアルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤を、アルキル触媒と反応させることにより行われる。そのような条件は、約60乃至260℃、例えば、約100℃乃至約200℃の温度、7000kPa以下、例えば、約1000乃至3500kPaの圧力、及び約0.1乃至約50hr−1、例えば約1乃至約10hr−1のC4アルキル化剤を基準にした重量空間速度(WHSV)を含む。通常ベンゼン対アルキル化剤のモル比は約1乃至約50、例えば約2乃至約10である。
【0045】
反応剤は、気相、並びに部分的又は全体的に液体相のいずれかの中に存在することができ、きれいな、すなわち、他の物質を意図的に混ぜ、希釈したものではなく、又はそれらはキャリアガス、又は、例えば、水素又は窒素等の希釈剤を用いてゼオライト触媒組成物と接触させることができる。
【0046】
上記のような触媒を用いたときに、本発明のアルキル化工程におけるsec−ブチルベンゼンの選択性が高いことが見出された。特に、本発明により生成されるsec−ブチルベンゼンはiso−ブチルベンゼン又はtert−ブチルベンゼンを0.5重量%未満、例えば、0.1重量%未満、例えば0.05重量%未満しか含まないことが発見された。sec−ブチルベンゼンの酸化はiso−ブチルベンゼン又はtert−ブチルベンゼンの影響を受けることから、このことは非常に有利なことである。sec−ブチルベンゼンの有意な減少はsec−ブチルベンゼン中の不純物が0.7重量%を越えた時に起こる。
【0047】
前記アルキル化工程はsec−ブチルベンゼンの選択性が高い一方で、前記アルキル化反応からの流出液は、通常、未反応の芳香族原料及び所望のモノアルキル化種のほかに、幾つかのポリアルキル化されたオリゴマー生成物を含む。未反応の芳香族原料は、通常蒸留により回収されアルキル化反応に再利用する。ベンゼン蒸留からのボトム液は、任意のポリアルキル化オリゴマー生成物及び他の重質量分から、モノアルキル化生成物を分離するために更に蒸留される。所望のモノアルキル化種の生成を最大化するために、アルキル化流出液中に存在するポリアルキル化オリゴマー生成物の量に応じて、追加的なベンゼンを用いてポリアルキル化されたオリゴマー生成物をトランスアルキル化することが望ましい。
【0048】
追加的なベンゼンを用いたトランスアルキル化は、MCM−22ファミリーの触媒、ゼオライトベータ、MCM−68(米国特許No.6,014,018参照)、ゼオライトY、及びモルデナイト等の好適なトランスアルキル化触媒を用いて、アルキル化反応器とは別個の、トランスアルキル化反応器中で行われる。トランスアルキル化反応は、通常、100乃至300℃の温度、1000乃至7000kPaの圧力、総原材料に対して1乃至50hr−1の重量空間速度、及び1乃至10のベンゼン/ポリアルキル化ベンゼンの重量比を含む条件を満たすような、少なくとも一部分が液体相である条件下で行われる。
【0049】
ポリアルキル化された芳香族が、ポリエチルベンゼンであり、エチルベンゼンを生成するためにベンゼンと反応するとき、トランスアルキル化条件は、好ましくは、220℃乃至260℃の温度、2000乃至3000kPaの圧力、総原材料に基づき、2乃至6の重量空間速度及び1:1乃至6:1のベンゼン/PEB重量比を含む。
【0050】
sec−ブチルベンゼンの酸化
本発明の方法における第二工程は、sec−ブチルベンゼンを対応するヒドロキシペルオキシドへと酸化する工程を含み、空気等の酸素含有ガスをsec−ブチルベンゼンを含む液相へ導入することにより行われる。前記反応は触媒無しの条件で行うことができるが、その場合反応速度が遅くなる(100psig(698.5kPag)の圧力において1時間当たり1%未満)。多座配位子がコバルト、ニッケル、マンガン、銅及び鉄の中の少なくとも1つの金属に配位している、水溶性キレート化合物(米国特許No.4,013,725参照)等の触媒の存在下で酸化工程を行うことにより反応速度の改善をすることができる。不均一系触媒を用いることがより好ましい。適した触媒は、米国特許No.5,183,945に記載されているオキソ(ヒドロオキソ)架橋四核マンガン複合体、及び、米国特許No.5,922、290に記載されているような、コアの1つの金属が、Zn、Cu、Fe、Co、Ni、Mn、及びこれらの混合物から選択される2価金属であり、他の金属コアがIn、Fe、Mn、Ga、Al及びこれらの混合物から選択される3価金属である、混合金属コアを有する、オキソ(ヒドロオキソ)四核金属錯体を含む触媒である。前記米国特許文献の全開示を参照により本明細書に援用する。
【0051】
sec−ブチルベンゼンの酸化工程に適した他の触媒は、N−ヒドロキシフタルイミド、4−アミノ−N−ヒドロキシフタルイミド、3−アミノ−N−ヒドロキシフタルイミド、テトラブロモ−N−ヒドロキシフタルイミド、テトラクロロ−N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシヘチマイド(hetimide)、N−ヒドロキシヒミマイド(himimide)、N−ヒドロキシトリメリチマイド(mellitimide)、N−ヒドロキシベンゼン−1,2,4−トリカルボキシイミド、N,N’−ジヒドロキシ(ピロメリティックジイミド)、N,N’−ジヒドロキシ(ベンゾフェノン−3,3’4,4’−テトラカルボキシリックジイミド)、N−ヒドロキシマレイミド、ピリジン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシスクシニイミド、N−ヒドロキシ(タータリックイミド)、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、exo−N−ヒドロキシ−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−ene−2,3−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ−cis−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ−cis−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシ−シス−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシナフサルイミドナトリウム塩又はN−ヒドロキシ−o−ベンゼンジスルフォイミド等の、参照により本明細書に援用される米国公開公報No.2003/0083527に記載されているN−ヒドロキシ置換環状イミドである。これらの物質は単独に又はフリーラジカル開始剤の存在下のいずれかにおいて用いることができ、液相均一触媒として用いることができ、又は不均一触媒を提供するために固形担体上に担持させることもできる。
【0052】
sec−ブチルベンゼンの酸化工程に適した条件は、約70℃乃至約200℃、約90℃乃至約130℃のような温度、約0.5乃至約10気圧(50乃至1000kPa)の圧力を含む。塩基性緩衝剤は、酸化工程の間に形成される酸性副生成物と反応させるために添加する。更に、炭酸ナトリウム等の塩基性化合物の溶解を補助することができる水性相が導入される。酸化工程におけるper−pass転化は副生成物の形成を最小化するために50%以下に維持することが好ましい。前記酸化反応は、触媒的蒸留単位中で行われ、及び生成されたsec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドは分解工程に先立ち未反応のsec−ブチルベンゼンを蒸留除去することにより濃縮されることが望ましい。
【0053】
ヒドロキシペルオキシド分解
本発明の第三工程は、所望のフェノール及びメチルエチルケトンを生成するためのsec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドの分解工程を含む。前記分解反応は、約20℃乃至約150℃、約40℃乃至約120℃のような温度、約50乃至約2500kPa、約100乃至約1000kPaのような圧力及び約0.1乃至約100hr−1、好ましくは約1乃至約50hr−1の液体空間速度(LHSV)における液体相中で、sec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドを触媒と接触させることにより行われる。前記sec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドは好ましくは、熱除去においてアシストするために、メチルエチルケトン、フェノール及びsec−ブチルベンゼン等の、前記分解反応に対して不活性な有機溶媒中で希釈される。前記分解反応は触媒蒸留単位中で行われることが望ましい。
【0054】
前記分解工程に用いる触媒は均一触媒でも不均一触媒でもよい。
【0055】
適した均一分解触媒は、硫酸、過塩素酸、リン酸、塩化水素酸、及びp−トルエンスルホン酸を含む。塩化第2鉄、三フッ化ホウ素、硫黄二酸化物、及び硫黄三酸化物も効果的な均一触媒である。好ましい均一分解触媒は硫酸である。
【0056】
sec−ブチルベンゼンヒドロキシペルオキシドの分解工程の使用に適した不均一触媒は米国特許No.4,870,217に開示されているような酸性モントモリロナイトシリカ−アルミナクレイのような、スメクタイトクレイを含む。該特許文献を参照により本明細書に援用する。
【0057】
以下の実施例は説明の目的に用いるものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0058】
実施例1:MCM−22を用いたsec−ブチルベンゼンの合成
0.5グラムのMCM−22触媒のサンプル(65重量%MCM−22/35%アルミナバインダー)をブテン−2とベンゼンとのアルキル化に用いた。該触媒を1.6mm(1/16”)直径の円筒形押出物に成形し、砂で3ccに希釈し、4.76mm(3/16”)の外直径を有する、等温、下方床、固定床、環状反応器に充填した。該触媒を100cc/分の窒素を流しながら、125℃、1アトムで2時間、乾燥した。前記窒素を停止し、ベンゼンを60cc/時間で反応器へ供給し、反応器の圧力が300psig(217kPa)に上昇する間、所望のWHSVまで減少した。2−ブテン(シス及びトランスの混合物)を3:1のベンゼン/ブテンモル比においてシリンジポンプに導入し、反応温度を5℃/分160℃まで上昇させた。液体生成物を冷却トラップ中で収集し、別個回折した。ブテン転化率は供給されたブテンに対する未反応ブテンを測定することにより決定した。95%をこえるブテン転化率に適した操作条件は、1.5WHSVのブテン流れにおいて得られた。10日間及び13日間稼動した時のパフォーマンスを表2に示す。
【0059】
実施例2:ゼオライトベータを用いたsec−ブチルベンゼンの合成
MCM−22触媒を0.5グラムのゼオライトベータ触媒(65重量%ベータ/35%アルミナバインダー)に置き換えて、実施例1の方法を繰り返した。該触媒を同様に1.6mm(1/16”)直径の円筒形押出物に成形した。1、3、及び5日間稼動した時の触媒パフォーマンスを表2に示す。
【表2】

【0060】
表2のデータは、MCM−2触媒の活性が高く、測定不可能な程度のiso−ブチルベンゼンとわずかな量のtert−ブチルベンゼンとsec−ブチルベンゼンを生成することを示している。MCM−22は13日間の稼動サイクルにおいて、失活の兆候を示さず、大変安定であった。ゼオライトベータは良い初期活性を示した。ゼオライドベータはブテンオリゴマーが形成すると急速に失活するけれども、ゼオライドベータは測定可能な量のiso−ブチルベンゼンを生成せずにsec−ブチルベンゼンを生成した。ゼオライトベータは、わずかな量のtert−ブチルベンゼンを生産したが、95+%の転化率を比較すると、MCM−22はsec−ブチルベンゼン生成においてゼオライトベータよりも約8%以上選択性が高かった。
【0061】
実施例3:sec−MCM−22を用いたsec−ブチルベンゼン合成
実施例1で用いたのと同じMCM−22触媒(65%MCM−22/35%アルミナバインダー)の1.0gサンプルを2−ブテンを用いたベンゼンのアルキル化に使用した。該触媒を1.6mm(1/16”)直径の円筒形に押出成形し、1/16”の長さに切断し、砂を用いて3ccに希釈し、4.76mm(3/16”)の該直径を有する等温の下方床の固定床の環状反応器に充填した。前記触媒を100cc/分の窒素流れを用いて150℃、1気圧で2時間乾燥した。前記窒素流れを停止し、ベンゼンを反応器へ60cc/時間で1時間供給し、反応器の圧力が300psgi(2170kPa)まで高められる間に、ベンゼンを所望のWHSVにまで低めた。
【0062】
ブテン原料(57.1%cis−ブテン、37.8%trans−ブテン、2.5% n−ブタン、0.8%イソブテンと1−ブテン及び1.8%その他)をシリンジポンプから3:1のベンゼン/ブテンモル比で導入した。この割合を稼動中維持した。反応器の温度を2℃/分で160℃まで上げた。160℃及び300psigの反応器条件における液体生成物をコールドトラップで回収し、別途解析した。2−ブテン転化率を原料中の2−ブテンに対する未反応2−ブテンを測定することにより決定した。
【0063】
該触媒は1.6WHSVのブテンで4日間稼動した場合、97%の2−ブンテを転化し、4.8WHSVで2日間稼動したときに95%の2−ブテンを転化し、7.2WHSVで1日稼動した場合、86%の2−ブテンを転化し、その後、1.6WHSVで4日間稼動すると、97%の2−ブテンを転化した。11日間のテストサイクルの間、失活は見られなかった。代表的なデータを表3に示す。
【0064】
実施例4:固形リン酸(SPA)を用いたsec−ブチルベンゼンの合成
前記MCM−22触媒を1.6mgの固形リン酸(UPOにより市販されているSPA)に置き換えて、実施例3の方法を繰り返した。前記触媒を14−24メッシュにサイズ調製し、窒素パージしたグローブボックス内で反応器に充填した。代表的なデータを表3に示す。
【表3】

【0065】
表3のデータはMCM−22触媒がSPA触媒よりも活性及び選択性が高く、安定であることを示している。80−86%の転化率の場合を比較すると、MCM−22はSPAよりも少なくとも、7倍以上活性が高かった。MCM−22はsec−ブチルベンゼン生成に対して高い選択性及びSPAよりも低いブテンオリゴマー形成を示した。MCM−22は如何なる失活の兆候も見せず、11日間のテストサイクルの間安定であった。sec−ブチルベンゼンの純度もMCM−22触媒を用いた方が高かった。SPAは反応活性を有してはいるものの、時間が経つにつれて急激に失活した。MCM−22のパフォーマンスと比較した場合、SPAの全体のパフォーマンスは劣っていた。
【0066】
実施例5:MCM−49を用いたsec−ブチルベンゼンの合成
MCM−22触媒をa)0.5gmのMCM−49−A、b)0.6gmのMCM−49−B及びc)0.5mgのMCM−49−Cに置き換えて実施例3の方法を繰り返した。触媒の情報及び各試験の結果を以下に示す。
【0067】
MCM−49−A:80%MCM−49/20%アルミナバインダーの1/20”の4ローブ押出成形物を1/20”の長さに切断した。該触媒は、6日間、3.2WHSVで、96%の2−ブテンを転化し、9.6WHSVで0.8日では88%の転化率を示し、14.4WHSVで0.6日では88%の転化率を示し、その後、3日間3.2WHSVで流すと95%の転化率を示した。
【0068】
MCM−49−B:60%MCM−49/40%Versal 200アルミナバインダーの1/20”の4ローブ押出成形物を1/20”の長さに切断した。該触媒は、4日間、2.7WHSVでは、98%の2−ブテンを転化し、8WHSVで1日では97%の転化率であり、12WHSVで0.5日では93%の転化率であり、2.7WHSVで1.6日では98%の転化率であり、19.2WHSVで0.3日では86%の転化率であり、その後、0.7日間2.7WHSVで流すと98%の転化率となった。
【0069】
MCM−49−C:80%MCM−49/20%アルミナバインダーの1/20”の4ローブ押出成形物を1/20”の長さに切断した。該MCM−49触媒はアルミナとの押出成形の前に、ジェットミルを行った(ジェット粉砕は、粉砕チャンバー内で物質相内へいくつかのグラインドノズルから排出される高速ジェットスチームの噴出しにより凝集したゼオライト結晶がお互いに摩擦及び衝突をすることにより粉砕を行う方法である)。該触媒は、3.2WHSVで5日間では、98%の2−ブテンを転化し、9.6WHSVで11日間では、97%の転化率を示し、3.2WHSVで4日間では、98%の転化率を示し、23WHSVで0.4日間では、89%の転化率を示し、その後3.2WHSV、3日間で98%の転化率を示した。
【0070】
表4に代表的なデータを示す。表4のデータは、MCM−49触媒はベンゼン及びエチレンからsec−ブチルベンゼンの形成を触媒することにおいて、固形リン酸よりも活性が高く、選択性が良く、安定であることを示している。
【表4】

【0071】
実施例6:MCM−22及び混合ブテン原料を用いたsec−ブチルベンゼンの合成
実施例1と同様にMCM−22触媒(65%MCM−22/35%アルミナバインダー)の1.0グラムサンプルをブテン原料を用いたベンゼンのアルキル化において用いた。原材料を以下の組成の新たな原料に置き換えて、実施例3の方法を繰り返した:53.4%cis−ブテン、41.2%trans−ブテン、4.6%イソブテン、0.5%ブタジエン、0.1%n−ブタン及び0.2%その他。
【0072】
該触媒は、1.6WHSVのブテン、6日間で、89%の2−ブテンを転化率し、4.8WHSV、1日で80%の転化率を示し、7.2WHSV1日で62%の転化率を示し、その後、1.6WHSV、4日間で97%の転化率を示した。代表的なデータを表5に示す。
【表5】

【0073】
表5のデータは、MCM−22触媒が4.6%イソブテン及び0.5%のブタジエンを含む2−ブテン原料を用いたsec−ブチルベンゼンの生成に有効であることを示している。12日間のテストサイクルの間、0.5%ブタジエンの存在はMCM−22の有意な失活を生じなかった。ブテン原料中の4.6%のブタジエンの存在は、初めのラインアウト(lineout)の後、組み合わされたブチルベンゼン中の2%未満のtert−ブチルベンゼン形成となった。ブテンオリゴマー形成が高いことは、高められたイソブテンがベンゼンとアルキル化を受けたものよりも容易にオリゴマー化することに起因する。
【0074】
実施例7:MCM−22及び混合ブテン原料を用いたsec−ブチルベンゼンの合成
MCM−22触媒を実施例5で述べたMCM−49−B触媒、0.5gmに置き換えて、実施例6の方法を行った。触媒MCM−49−Bは、3.2のブテンのWHSV、3日では96%の転化を示し、9.6WHSV、0.7日では83%の転化を示し、その後3.2WHSVで3日間で95%の転化を示した。代表的なデータを表6に示す。
【表6】

【0075】
実施例8:sec−ブチルベンゼン酸化
コンデンサー、スターラー及びエアスパージャーに連結している250mLの丸底フラスコに、75.0gのsec−ブチルベンゼン(アルドリッチ)を入れた。温度制御加熱マントルを用いて該フラスコを加熱した。反応温度は100℃であった。反応圧力は約大気圧と同等であった。空気流れは約175cc/分であった。45分毎に、反応溶液の少量のアリコットをフラスコから除去しGCで解析した。触媒不存在下におけるsec−ブチルベンゼンの酸化速度は1時間当たり約0.1%であった。
【0076】
実施例9:sec−ブチルベンゼン酸化物における不純物の影響
iso−ブチルベンゼン及びtert−ブチルベンゼンをsec−ブチルベンゼン原料流れに既知の量添加する点を除いては、実施例8の方法を繰り返した。図1及び2に結果を示す。これらの結果は、sec−ブチルベンゼンの酸化に影響を及ぼすiso−ブチルベンゼン又はtert−ブチルベンゼンの濃度は約0.7%であることを示している。
【0077】
実施例9sec−ブチルベンゼンの酸化
コンデンサー、スターラー及び空気噴霧器に連結している250−mLの丸底フラスコに、75.0gのsec−ブチルベンゼン(アルドリッチ)及び米国特許No.5,922,290の調製手順 1(Preparation 1)に従って生成した0.1gのBaMnO触媒を入れた。温度制御加熱マントルを用いて該フラスコを加熱した。反応温度は100℃であった。反応圧力は約大気圧と同等であった。空気流れは約175cc/分であった。45分毎に、反応溶液の少量のアリコットをフラスコから除去しGCで解析した。BaMnO触媒の存在下におけるsec−ブチルベンゼンの酸化速度は実施例8の触媒の不存在下における速度よりも7倍速かった。
【0078】
以上、本発明は特定の態様を参照することにより説明及び図示してきたけれども、当業者は、本発明は本明細書に図示されていない変法をも包含することを理解している。このことから、本発明の真の範囲を決定する目的のためには添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1はsec−ブチルベンゼン及びsec−ブチルベンゼン/tert−ブチルベンゼン混合物に対する、sec−ブチルベンゼン酸化の経時的プロットである。
【図2】図2はsec−ブチルベンゼン及びsec−ブチルベンゼン/iso−ブチルベンゼン混合物に対する、sec−ブチルベンゼン酸化の経時的プロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール及びメチルエチルエーテルを製造する方法であって、
(a)ベンゼン及びC4アルキル化剤を含む原材料をアルキル化条件下で、ゼオライトベータ又は12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07、及び3.42±0.07オングストロームにおける格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブを含む触媒に接触させてsec−ブチルベンゼンを生成する工程と、
(b)前記(a)において生成されたsec−ブチルベンゼンを酸化してヒドロペルオキシドを生成する工程と、
(c)前記(b)において生成されたヒドロキシペルオキシドを分解してフェノール及びメチルエチルケトンを製造する工程とを含む方法。
【請求項2】
sec−ブチルベンゼンを製造する方法であって、
ベンゼン及びC4アルキル化剤を含む原材料をアルキル化条件下で、ゼオライトベータ又は12.4±0.25、6.9±0.15、3.75±0.07、及び3.42±0.07オングストロームの格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブを含む触媒に接触させて0.12重量%未満のiso−ブチルベンゼン又はtert−ブチルベンゼンを含むsec−ブチルベンゼンを生成する工程を含む方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記sec−ブチルベンゼン中のiso−ブチルベンゼンが0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満、例えば0.05重量%未満であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法であって、前記sec−ブチルベンゼン中のtert−ブチルベンゼンが0.1重量%未満、例えば0.05重量%未満であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法であって、前記sec−ブチルベンゼン中のiso−及びtert−ブチルベンゼンが0.5重量%未満、例えば0.1重量%未満であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法であって、前記(a)におけるC4アルキル化剤が直鎖ブテンを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記直鎖ブテンが、1−ブテン及び/又は2−ブテンを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記直鎖ブテンが2−ブテンを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法であって、前記直鎖ブテンが混合C4流れの中に存在することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記混合C4流れが以下の主要成分を含む蒸気分解された粗C4流れから提供されることを特徴とする方法:
30乃至85重量%ブタジエン
0乃至15重量%C4アセチレン
1乃至30重量%ブテン−1
1乃至15重量%ブテン−2
0乃至30重量%イソブテン
0乃至10重量%ノルマル−ブタン
0乃至1重量%iso−ブタン
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法であって、前記混合C4流れが、ブタジエンを除去するために、蒸気分解された粗C4流れを溶媒抽出工程にかけることにより得られたラフィネート流れから提供されることを特徴とし、
前記ラフィネート流れが以下の主要な成分を含むことを特徴とする方法:
0乃至2重量%ブタジエン
0乃至0.5重量%C4アセチレン
20乃至50重量%ブテン−1
10乃至30重量%ブテン−2
0乃至55重量%イソブテン
0乃至55重量%ノルマル−ブタン
0乃至1重量%iso−ブタン
【請求項12】
請求項9又は10に記載の方法であって、前記混合C4流れが、ブタジエンを除去するために、蒸気分解された粗C4流れを水素化工程にかけることにより得られたラフィネート流れから提供されることを特徴とし、
前記ラフィネート流れが以下の主要な成分を含むことを特徴とする方法:
0乃至2重量%ブタジエン
0乃至0.5重量%C4アセチレン
50乃至95重量%ブテン−1
0乃至20重量%ブテン−2
0乃至35重量%イソブテン
0乃至10重量%ノルマル−ブタン
0乃至1重量%iso−ブタン
【請求項13】
請求項9又は10に記載の方法であって、前記混合C4流れが、蒸気分解された粗C4流れをブタジエン除去のための溶媒抽出工程とイソ−ブテン除去工程とで処理することにより得られたラフィネート流れから提供されることを特徴とし、
前記ラフィネート流れが以下の主要な成分を含むことを特徴とする方法:
0乃至1重量%ブタジエン
0乃至0.5重量%C4アセチレン
25乃至75重量%ブテン−1
15乃至40重量%ブテン−2
0乃至5重量%イソブテン
0乃至55重量%ノルマル−ブタン
0乃至2重量%iso−ブタン
【請求項14】
請求項9又は10に記載の方法であって、前記混合C4流れが、蒸気分解された粗C4流れをブタジエン除去のための水素化工程とイソ−ブテン除去工程で処理することにより得られたラフィネート流れから提供されることを特徴とし、
前記ラフィネート流れが以下の主要な成分を含むことを特徴とする方法:
0乃至1重量%ブタジエン
0乃至0.5重量%C4アセチレン
75乃至95重量%ブテン−1
0乃至20重量%ブテン−2
0乃至5重量%イソブテン
0乃至10重量%ノルマル−ブタン
0乃至2重量%iso−ブタン
【請求項15】
請求項9に記載の方法であって、前記混合C4流れが精製混合されたブタン/ブテン流れであることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記精製混合されたブタン/ブテン流れが以下の主要成分を含むことを特徴とする方法:
プロピレン − 0乃至2重量%
プロパン − 0乃至2重量%
ブタジエン − 0乃至5重量%
ブテン−1 − 5乃至20重量%
ブテン−2 − 10乃至50重量%
イソブテン − 5乃至25 重量%
iso−ブタン − 10乃至45重量%
n−ブタン − 5乃至25重量%
【請求項17】
請求項9に記載の方法であって、前記混合C4流れがオレフィン転化工程のための酸素処理により得られたC4分画由来であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記C4分画が以下の主要な成分を含むことを特徴とする方法:
0乃至1重量% プロピレン
0乃至0.5重量%プロパン
0乃至1重量%ブタジエン
10乃至40重量%ブタジエン−1
50乃至85重量%ブタジエン−2
0乃至10重量%イソブテン
0乃至10重量%ノルマル及びiso−ブタン
【請求項19】
請求項9乃至18のいずれか1項に記載の方法であって、前記混合C4流れが複数のオレフィンC4炭化水素又はこれらの混合物を結合することにより生成されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項9乃至19に記載の方法であって、前記混合C4流れの混合物が、前記(a)の接触させる工程の前に、硫黄除去、窒素除去、酸化物除去、ブタジエン除去、及びイソブテン除去の中の少なくとも1つの処理を受けることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1乃至20に記載の方法であって、前記(a)における原材料が1000ppm未満、例えば500ppm未満、例えば100ppm未満の水を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の方法であって、前記(a)における原材料中の硫黄が100ppm未満、例えば30ppm未満、例えば3ppm未満であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法であって、前記(a)における原材料中の窒素が10ppm未満、例えば1ppm未満、例えば0.1ppm未満であることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1乃至23に記載の方法であって、前記(a)における触媒が、ゼオライトベータを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1乃至23のいずれか1項に記載の方法であって、前記モレキュラーシーブがMCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1乃至25に記載の方法であって、前記接触する工程(a)が少なくとも部分的に液体相条件で行われることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の方法であって、前記アルキル化条件が、約60℃乃至約260℃の温度、7000kPa以下の圧力、及び約0.1乃至50hr−1のアルキル化剤を基準にした原材料の重量空間速度(WHSV)、及び約1乃至約50のC4アルキル化剤を基準にしたベンゼンのモル比を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1乃至27のいずれか1項に記載の方法であって、前記(a)において生成されるアルキル化流出物がポリブチルベンゼンを含み、トランスアルキル化触媒の存在下で、前記ポリブチルベンゼンをベンゼンに接触させてsec−ブチルベンゼンを製造する工程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記トランスアルキル化触媒が、ゼオライトベータ、モルデナイト、USY、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、MCM−36、MCM−49、MCM−56、UZM−8及びこれらの混合物から選択されるモレキュラーシーブを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項1乃至29のいずれか1項に記載の方法であって、前記酸化する工程(b)が触媒の存在下において行われることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記酸化触媒が、
(a)マンガンを含むオキソ(ヒドロオキソ)架橋4核金属錯体、
(b)混合金属コア、Zn、Cu、Fe、Co、Ni、Mn及びこれらの混合物から選択される二価金属、並びにIn、Fe、Mn、Ga、Al及びこれらの混合物から選択される三価金属である他の金属を有するオキソ(ヒドロオキソ)架橋4核金属錯体、及び
(c)単独又はフリーラジカル開始剤の存在下におけるN−ヒドロキシ置換環状イミド
から選択されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30又は31に記載の方法であって、前記酸化触媒が不均一系触媒であることを特徴とする方法。
【請求項33】
前記酸化する工程(b)が約70℃乃至約200℃の温度、及び約0.5乃至10大気(50乃至1000kPa)の圧力で行われることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項1乃至33に記載の方法であって、前記分解する工程(c)が触媒の存在下で行われることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項1乃至34のいずれか1項に記載の方法であって、前記分解(c)が均一系触媒の存在下で行われることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記均一系触媒が、硫酸、過塩素酸、リン酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、塩化第2鉄、三フッ化ホウ素、二酸化硫黄、及び三酸化硫黄のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法であって、前記均一系触媒が、硫酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項1乃至34のいずれか1項に記載の方法であって、前記分解する工程(c)が不均一系触媒の存在下で行われることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、前記不均一系触媒がスメクタイトクレイを含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項1乃至39のいずれか1項に記載の方法であって、前記分解する工程(c)が約40℃乃至約120℃の温度、約100乃至1000kPaの圧力及びヒドロペルオキシドを基準として約1乃至約50hr−1の液体時間空間速度(LHSV)において行われることを特徴とする方法。
【請求項41】
フェノール及びメチルエチルケトンの生成方法であって、
(a)触媒を用いてベンゼンをC4アルキル化剤と接触させてsec−ブチルベンゼンを含むアルキル化流出液を生成する工程と、
(b)触媒の存在下において前記(a)から得られたsec−ブチルベンゼンを酸化してヒドロペルオキシドを生成する工程と、
(c)触媒の存在下において前記(b)から得られたヒドロペルオキシドを分解してフェノール及びメチルエチルケトンを生成する工程とを含み、
前記(a)、前記(b)、及び前記(c)において用いる各触媒が不均一系触媒であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、前記(a)において用いられる触媒が、ゼオライトベータ又は12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07、及び3.42±0.07オングストロームの格子面間隔の最大値を含むX線回折パターンを有するモレキュラーシーブを含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、前記モレキュラーシーブがMCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、MCM−36、MCM−49、MCM−56及びUZM−8から選択されることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項41乃至43のいずれか1項に記載の方法であって、前記(a)において生成された前記アルキル化流出液がポリブチルベンゼンを含み、及び前記工程が前記ポリブチルベンゼンを不均一系トランスアルキル化触媒の存在下においてベンゼンと接触させてsec−ブチルベンゼンを生成する工程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項41乃至44のいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つの接触工程(a)、酸化工程(b)、及び分解工程(c)が触媒蒸留により行われることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項1乃至45のいずれか1項に記載の方法であって、接触工程(a)、酸化工程(b)、及び分解工程(c)のうちの少なくとも1つ工程が触媒蒸留により行われることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項1乃至45のいずれか1項に記載の方法であって、接触工程(a)、酸化工程(b)、及び分解工程(c)のうちの少なくとも1つ工程が触媒蒸留により行われることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−509178(P2008−509178A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525234(P2007−525234)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008557
【国際公開番号】WO2006/015826
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】