説明

フェノール系抗菌剤

【課題】人体に安全で、レジオネラ属菌に対する抗菌活性の高い化合物および当該化合物を含む抗菌剤を提供する。
【解決手段】下記式(I):


〔式中、Xは、ヒドロキシル基または炭素数が1〜6個のアルコキシ基であり、R1は、水素原子または炭素数が1〜6個のアルキルオキシカルボニル基など、R2は、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基またはホルミル基であり、R3は、水素原子またはハロゲン原子である〕で表されるフェノール誘導体を有効成分として含有することを特徴とするレジオネラ属菌に対する抗菌剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール誘導体を有効成分として含有するレジオネラ属菌に対する抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
レジオネラ(Legionella)属菌は、水系、土壌など自然界に広く分布するブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌であり、肺炎を主徴とする細菌感染症を惹起する。本菌は細胞内増殖菌であり、生体の中ではマクロファージなどの貪食細胞の中で殺菌されずに増殖することが可能である。また、β−ラクタマーゼ産生菌であるため、一部のβ−ラクタム剤に耐性を示す。
【0003】
レジオネラ菌感染症の多くは外来性に進入した菌により発症する。感染源としては空調用冷却水、温泉水、老朽化した給水設備による水溜まり等が挙げられている。近年、空調設備等の開放循環系冷却水の中に生存するレジオネラ属菌によるレジオネラ症(Legionnaires disease)問題が多発している。これらの冷却塔が、居室の窓や空調の外気取り入れ口等が近い場合には、冷却水のエアロゾルが室内に進入してレジオネラ症の発生原因になるのである。
特に夏場にかけての空調が必要な時期では、冷却塔の水温が高くなり(約15℃〜35℃)、塔内でレジオネラ属菌をはじめとする微生物や病原菌の増殖に好適な場所となる。
【0004】
さらに最近では、「24時間風呂」(24時間いつでも浴槽の湯を適温に保ち、汚れた湯を浄化する機能を備えた装置であり、水の交換や毎日の掃除をしなくてもすむ)でのレジオネラ菌増殖が問題視されている。
歴史的には、1976年に米国フィラデルフィア市内のホテルで全米在郷軍人大会が開催された際、原因不明の重症肺炎が集団発生し、そのうち29名が死亡したが、その後の調査によってレジオネラ菌(菌型はレジオネラ・ニューモフィラ;Legionella pneumophila)が原因菌であることが明らかになった。
【0005】
わが国においては1981年、レジオネラ肺炎の第一例が報告されて以来、病院での院内感染等多数の報告がなされている。このような微生物による問題の対策として、循環水系等に抗菌剤を注入して微生物・細菌類の増殖を抑制する方法や、装置内を物理的に清掃洗浄し、或いは洗浄剤を用いて化学的に洗浄する方法等が用いられてきた。
【0006】
レジオネラ属菌にはエリスロマイシン、タファンピシン等の抗生物質が有効であるといわれているが、これらの抗生物質を日常的に使用することは耐性菌の出現や副作用の点で好ましくない。また、レジオネラ肺炎は進行が速く、生命予後に重大な影響を与えるので早急な治療を必要とするものの迅速な確定診断が容易でないという問題点もある。
従って、主な感染源である水冷式空調の冷却水の汚染防止が、レジオネラ症対策として最も有効な手段であると言われている。
【0007】
空調用冷却水等の感染源を殺菌する目的で、抗菌剤を注入して細菌類の増殖を抑制する方法としては、塩素や臭素、二酸化塩素等ハロゲン系の抗菌剤や四級アンモニウム塩類等の界面活性剤、ヒドラジン類やマレイミド類、イソチアゾリン系化合物、ホスホニウム化合物、ニトロアルコール系化合物などの有機化合物が主に用いられている。
しかしながら、上記ハロゲン系化合物は設備や配管を腐食させ易いといった問題があり、一方、上記有機化合物では、皮膚刺激性や感作性、発癌性等の毒性の問題や効力が充分でないといった問題あった。
【0008】
このような状況にあって、レジオネラ属菌の感染予防が重要であるという考え方が広がりつつあり、一般人が手軽に使用でき、安全性に問題のない抗菌活性素材の提供が強く要望されている。
こうした中、グレープフルーツ等の柑橘類果物の種子抽出物を添加することによる水系システム内のレジオネラ科グラム陰性細菌を制御する方法が提案されている(特許文献1)。
【0009】
また、エンメイソウ、オオバンガジュツ、カラコウボク、ワコウボク、カンキョウ、キンギンカ、ケイガイ、ゲンカ(芫花)、ソウズク(草豆蒄)、タクラン、バンカ(蕃果)、ミツモウカ(蜜蒙花)、ヤクチ、リョウキョウ、グアバ葉、棕呂葉、南天葉、ユーカリ葉、ヨモギ、グアバ果実、ステビア、マンゴスチン果皮、桑枝樹皮、キャットニップ、カルダモン、スイートバイオレット、タラゴン、チャイブ、ヒソップ、ブラックベリー、マグワート、モナルダ、ヤロー、ラズベリー、ローズマリー、ワイルドストロベリーまたはプロポリスの抽出物から選択される1種または2種以上の抽出物を有効成分とする抗レジオネラ属菌組成物も提案されている(特許文献2)。しかし、その効果はレジオネラ属菌の増殖を完全に抑えるほど高いものとは認められなかった。
【0010】
さらに、樫の樹などの表皮に着生するコケであるオークモス(Oakmoss:ラテン語名Evernia prunastri(L.)Arch.;和名ツノマタゴケ)抽出物がレジオネラ菌に対して抗菌活性を示すことを本発明者らは見出している(非特許文献1)。しかし、その効果はレジオネラ属菌の増殖を完全に抑えるには50〜150ppmの濃度を必要とし、またオークモス抽出物自体が濃い茶褐色をしていること、及び強い香りを有しており実用化および汎用化には問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−233986号公報
【特許文献2】特開平11−43442号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】第55回日本生薬学会要旨集(2008年)、第268頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、日常的に使用しても人体に悪影響をもたらすことがなく安全で、しかも、レジオネラ属菌の増殖を強力に阻止できる抗菌作用を有する化合物および当該化合物を有効成分として含む抗菌剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明者らは、従来より天然物から抗菌活性を有する成分探索研究を続けてきたが、その一環として、これまで高級ブランドの香水等に使用されてきた香料原料のオークモス抽出物に注目して鋭意研究し、オークモス抽出物中に微量に存在する特定のフェノール誘導体に強いレジオネラ属菌増殖阻害作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明は、下記式(H):
【化1】

で表される化合物である。
【0016】
また、本発明は下記式(I):
【化2】

〔式中、
Xは、ヒドロキシル基または炭素数が1〜6個のアルコキシ基であり、
1は、水素原子または炭素数が1〜6個のアルキルオキシカルボニル基、または、ヒドロキシル基もしくは炭素数が1〜6個のアルコキシ基で置換された5−メチルフェノキシカルボニル基であり、
2は、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基またはホルミル基であり、
3は、水素原子またはハロゲン原子である〕
で表されるフェノール誘導体を有効成分として含有することを特徴とするレジオネラ属菌に対する抗菌剤である。
【0017】
そして、上記式(I)において、
Xがヒドロキシル基またはメトキシ基であり、
1が水素原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、3−メトキシ−5−メチルフェノキシカルボニル基または3−ヒドロキシ−5−メチルフェノキシカルボニル基であり、
2が水素原子、メチル基またはホルミル基であり、
3が水素原子または塩素原子であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、下記の化合物A〜Lからなる群より選ばれた1種又は2種以上のフェノール誘導体を有効成分として含有するレジオネラ属菌に対する抗菌剤である。
(A)メチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(B)エチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(C)メチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート
(D)イソプロピル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(E)3-メトキシ-5-メチルフェニル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(F)エチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート
(G)エチル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(H)イソプロピル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(I)3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(J)3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2-ジヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート
(K)3-メトキシ-5-メチルフェニル 2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート
(L)3-クロロ-2,6-ジヒドロキシ-4-メチルベンゾエート
【0019】
また、本発明は、上記の抗菌剤を含有することを特徴とする浴用剤であり、さらに、上記の抗菌剤を含有することを特徴とする工業用殺菌剤である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の抗菌剤は、従来より香粧品香料として広く使用されてきたオークモス抽出物に由来し、日常的に使用しても人体に副作用がなく安全性があり、しかも、レジオネラ属菌の増殖を強力に阻止できる抗レジオネラ属菌剤である。
また、オークモスが有する海草・コケ様の特有の臭いを有さず、色も無色透明に近いので、日常的に頻繁に使用する浴用剤や工業用殺菌剤など各種日用品に広範な適用が可能である。
従って、本発明の抗菌剤を使用することにより、冷房・冷蔵・冷凍装置の循環冷却水や、24時間風呂の循環温水などの冷温水系および蓄熱水系等に生存しているレジオネラ属菌を防除し、その増殖を阻止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔1〕フェノール誘導体
本発明の抗菌剤の有効成分であるフェノール誘導体は、
下記式(I):
【化3】

で表されるフェノール誘導体である。
【0022】
式(I)において、Xは、ヒドロキシル基(−OH)または炭素数が1〜6個のアルコキシ基(−O−(C1〜C6)アルキル)であり、R1は、水素原子(−H)または炭素数が1〜6個のアルキルオキシカルボニル基(−COO−(C1〜C6)アルキル)、またはヒドロキシル基もしくは炭素数が1〜6個のアルコキシ基で置換された5−メチルフェノキシカルボニル基(−COO−(C64)メチル)であり、R2は、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基(−(C1〜C6)アルキル)またはホルミル基(−CHO)であり、R3は、水素原子またはハロゲン原子である。
アルコキシ基およびアルキルオキシカルボニル基中のアルキル基の炭素数は1〜4個が好ましく、特に1〜3個が好ましい。また、ハロゲン原子は塩素原子が好ましい。
【0023】
上記の置換基X、R1、R2、R3において、Xがヒドロキシル基およびメトキシ基(−OCH3)から選ばれる基であり、R1が水素原子、メトキシカルボニル基(−COOCH3)、エトキシカルボニル基(−COOC25)、n−プロポキシカルボニル基(−COOCH2CH2CH3)、イソプロポキシカルボニル基(−COOCH(CH3)2)、3−メトキシ−5−メチルフェノキシカルボニル基および3−ヒドロキシ−5−メチルフェノキシカルボニル基から選ばれる基であり、そしてR2が水素原子、メチル基(−CH3)およびホルミル基から選ばれる基であり、R3が水素原子および塩素原子から選ばれる基であることが特に好ましい。
【0024】
式(I)で表されるフェノール誘導体の中で、特に抗菌活性が高い化合物は以下のA〜Lである。
【0025】
【表1】

【0026】
〔2〕フェノール誘導体の製造方法
上記のフェノール誘導体は、主に欧米の樫の樹の表皮に着生するコケであるオークモスを原材料として抽出単離することができる。
まず、オークモスを、石油エーテル、ベンゼン、ヘキサン等の低極性炭化水素系溶剤で抽出し、溶剤除去してロウ分が多い固形状の抽出物(コンクリート)を得る。
次いで、ロウ分を除き溶解性をよくするために上記コンクリートをエチルアルコール等のアルコールで再度抽出し、アルコール留去することにより抽出物(アブソリュート)を得る。
【0027】
次に、アブソリュートを分子の大きさに基づく分離法によって抗菌活性の高い分画物を選択した後、さらに吸着性に基づく分離法によって抗レジオネラ菌活性を顕著に示す目的成分を単離する。
分子の大きさに基づく分離法として、半透膜による透析、限外濾過、ゲル濾過法、分画遠心法等の超遠心が例示される。本発明においては、多糖類デキストランにエピクロルヒドリンを反応させ三次元的に架橋して網目構造をもたせたデキストランゲルを用いたゲル濾過クロマトグラフィー、例えばGEヘルスケアバイオサイエンス社製「セファデックスSephadex(商品名)」が好ましい。
【0028】
吸着性に基づく分離法に使用する吸着剤として、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、合成吸着剤(スチレン・ジビニルベンゼン系、(メタ)アクリル系等)、イオン交換樹脂、多孔質ガラス、シクロデキストリン等を挙げることができる。中でも、化学結合型シリカゲル(オクタデシル基結合やフェニル基結合)が充填されたカラムを用いた吸着クロマトグラフィーが好ましい。
【0029】
具体的な単離方法としては、先ず、オークモスアブソリュートを有機溶媒、好ましくはアセトニトリルとメタノールの混合溶媒(アセトニトリル:メタノールが10:1〜1:10)を用い架橋高分子デキストランゲルが充填されたカラムクロマトグラフィーで第1次分画物を得る。
次いで、第2次分画として、第1次分画物をアセトニトリル水溶液(アセトニトリル:水が10:1〜1:10)を用い、化学結合型シリカゲルが充填されたカラムクロマトグラフィーで分画して目的物を得る方法、を例示することができる。なお、第1次分画物をメタノール又はメタノール水溶液を用い、化学結合型シリカゲルが充填されたカラムクロマトグラフィーで分画する操作を経由してから、第2次分画を行ってもよい。
【0030】
〔3〕抗菌剤
本発明で抗菌剤として用いられる化合物群は、好ましくは下記の式(A)〜(L)で表されるフェノール誘導体化合物からなるレジオネラ属菌に対する抗菌剤であり、これらは1種又は2種以上の組み合わせで用いられる。
【化4】

【0031】
すなわち、本発明で抗菌剤として用いられる化合物群は、好ましくは(A)メチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、(B)エチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、(C)メチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、(D)イソプロピル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、(E)3-メトキシ-5-メチルフェニル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、(F)エチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、(G)エチル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、(H)イソプロピル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、(I)3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、(J)3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2-ジヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート、(K)3-メトキシ-5-メチルフェニル 2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート、(L)3-クロロ-2,6-ジヒドロキシ-4-メチルベンゾエートから選択され、これらは1種又は2種以上の組み合わせで用いられる。
これらの化合物のうち、種々の菌に対する抗菌活性が知られているものもあるが、レジオネラ属菌に対する抗菌活性については一切知られていなかった。
【0032】
本発明の抗菌剤は、レジオネラ菌に対する抗菌活性が強いので低濃度で使用することができる。
本発明の抗菌剤の使用濃度は、使用する目的に応じて選択することが可能であるが、単独で使用する場合は一般的には0.1〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppm、さらに好ましくは1.0〜10ppmの範囲で用いられる。
レジオネラ属菌に対する殺菌剤としては、一般に塩素が1ppm程度で有効とされている。循環系の施設において繰り返し使用される場合は、有効塩素の気散・分解などによる失活が起こる。しかし、本発明の抗菌剤は、気散・分解などが起こらないため、塩素と比較して同程度の抗菌活性を有する以上に有効性が高いといえる。
【0033】
本発明の抗菌剤の有効成分である前記フェノール誘導体は、他の成分と併用して組成物として用いることが効果的である。そのようにして併用される他の成分としては、目的に応じて種々の成分が用いられるが、一般的には他の殺菌剤、香料、色素、界面活性剤などが挙げられる。中でも、抗菌活性を有する香料との組み合わせが特に好ましい。
【0034】
本発明において、併用される他の抗菌剤としては、四級アンモニウム塩類等の界面活性剤系殺菌剤、ヒドラジン類やマレイミド類、イソチアゾリン系化合物、ホスホニウム化合物、ブロモニトロ系化合物、ピリチオン系化合物等が挙げられ、具体的には、N,N−ジメチル−N,N−ジn−デシルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチル−N,N−ジn−オクチルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチル−N−オクチル−N−デシルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチル−N−イソノニル−N−デシルアンモニウムクロリド、N−ヘキサデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ヘキサデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N,N−ジメチル−N−オクタデシル−N−(3−(トリメトキシリル)プロピル)アンモニウムクロリド、
【0035】
ヒドラジン、水和ヒドラジン、ソルビタン酸ヒドラジン、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、シトラコン酸イミド、N−メチルシトラコン酸イミド、N−エチルシトラコン酸イミド、2,3−ジメチルマレイン酸イミド、N−メチル−2,3−ジメチルマレイン酸イミド、N−エチル−2,3−ジメチルマレイン酸イミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−4−ヒドロキシシクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、
【0036】
N−p−ヒドロキシベンジルマレイミド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムリン酸塩、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硝酸塩、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩酸塩、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム臭酸塩、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムフッ酸塩、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロプロパン−1−エタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)鉄塩、2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウム、ピリチオンジスルフィド、グルタルアルデヒド、過酸化水素、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、メチレンビスチオシアネート、次亜塩素酸ナトリウム、1,5−ペンタンジアール、
【0037】
3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジホスホン酸、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、中でも2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましい。これらの殺菌・抗菌剤は単一または混合して前記フェノール誘導体と併用して用いることができ、その配合量は、前記フェノール誘導体の配合量を超えないことが好ましい。
【0038】
本発明で用いられる他の成分としては、例えば、下記に示すような浴用剤(入浴剤)などで通常使用される基剤、添加剤等を併用して製造することができる。
(1)各種油脂類:
アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)などが例示される。
【0039】
(2)ロウ類:
ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス、スクワレン、スクワラン、プリスタンなどが例示される。
【0040】
(3)鉱物油:
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどが例示される。
【0041】
(4)脂肪酸類:
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ラノリン脂肪酸などの天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸などの合成脂肪酸が例示される。
【0042】
(5)アルコール類:
エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの天然アルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの合成アルコールが例示される。
【0043】
(6)多価アルコール類:
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールなどが例示される。
【0044】
(7)エステル類:
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどが例示される。
【0045】
(8)金属セッケン類:
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛などが例示される。
【0046】
(9)ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物:
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイドなどのアルキレン(C2〜C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2〜C4)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミンなどが例示される。
【0047】
(10)界面活性剤:
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤〔カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤〕、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)などが例示される。
【0048】
(11)各種ビタミン類:
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、
ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、
ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、
ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、
ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、
ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、
その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンUなどが例示される。
【0049】
(12)各種アミノ酸類:
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンなどや、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体などが例示される。
【0050】
(13)植物又は動物系原料由来の種々の添加物:
これらは、添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色などを任意に選択、組合せた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すればよい。
【0051】
なお、上記植物又は動物系原料の抽出を行う場合に用いる溶媒については、供する製品の使用目的、種類、或いは後に行う加工処理等を考慮した上で選択すればよいが、通常では、水、水溶性有機溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)の中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。但し、用途により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、あるいは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独又は水との任意の混液で用いたりすれば良く、又、搾取抽出したものでも良い。
【0052】
なお、前記植物又は動物系原料由来の添加物を、全身用又は局所用の外用剤、化粧品類に供する場合、皮膚や頭髪の保護をはじめ、保湿、感触・風合いの改善、柔軟性の付与、刺激の緩和、芳香によるストレスの緩和、細胞賦活(細胞老化防止)、炎症の抑制、肌質・髪質の改善、肌荒れ防止及びその改善、発毛、育毛、脱毛防止、光沢の付与、清浄効果、疲労の緩和、血流促進、温浴効果などの美容的効果のほか、香付け、消臭、増粘、防腐、緩衝などの効果も期待できる。
【0053】
(14)香料:
ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリスなどの天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イランイラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シンナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンダー精油、シソ精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、パチュリー精油、バラ精油、パルマローザ精油、桧精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバー精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、ライム精油、ラベンダー精油、リナロエ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー精油、和種ハッカ精油などの植物性香料などが例示される。
【0054】
合成香料成分としては、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類、脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類、脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類、脂肪族オキサイド、テルペン類のオキサイド等のオキサイド類、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、水素化芳香族アルデヒド、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類、脂肪族ケトン、テルペンケトン、水素化芳香族ケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類、アセタール類、ケタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸、水素化芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類、酸アマイド類、脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、水素化芳香族ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類、脂肪族エステル、フラン系のカルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類、ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物などが例示される。
【0055】
合成香料のより具体的としては、例えば「合成香料化学と商品知識」(1996年、化学工業日報社発行,印藤元一著)や「パフューム アンド フレバー ケミカルス(Perfume and Flavor Chemicals)」(1969年,ステファンアークタンダー(STEFFENARCTAMDER)著)等に記載された香料等が好適に使用できる。
【0056】
以下に主な香料等を示す。アルデヒドC6〜C12、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、イソアミルサリシレート、オーランチオール、アセチルユゲノール、バクダノール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ボルニルアセテート、ブチルブチレート、パラターシャリーブチルシクロヘキサノール、パラターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノール、ベンズアルデヒド、
【0057】
ベンジルフォーメート、カリオレフィン、カシュメラン、カルボン、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セリストリッド、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、キャロン、クマリン、シンナミルアセテート、デルタC6〜C13ラクトン、ジメチルベンジルカービノール、ジヒドロジャスモン、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメトール、
【0058】
ジミルセトール、ジフェニルオキサイド、エチルワニリン、ユゲノール、フルイテート、フェンキルアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、ガラキソリッド、ガンマC6〜C13ラクトン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルルサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ヒヤシンスジメチルアセタール、ハイドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、インドール、イソボルニルアセテート、イソシクロシトラール、イソEスーパー、イソユゲノール、イソノニルアセテート、イソブチルキノリン、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、コアボン、リグストラール、リリアール、ライムオキサイド、リモネン、リナロール、リナロールオキサイド、リナリルアセテート等が挙げられる。
【0059】
本発明の抗菌剤の利用用途としては、24時間風呂の循環温水などの冷温水系、蓄熱水系等、クーリングタワー、冷凍装置の循環冷却水などの工業用殺菌剤として特に有効である。
本発明の抗菌剤は、失活や分解がないため、長時間循環される水中に生存しているレジオネラ属菌を防除し、その増殖を防止することができる。
従って、家庭用あるいは業務用の浴用剤(入浴剤)や浴槽洗浄剤などにも幅広く適用することができる。
【実施例】
【0060】
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例は例示の目的にのみ用いられ、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔製造例1〕試料の調製
(1)原材料(オークモス抽出物):
フランス国シャラボ(Charabot)社製のオークモスアブソリュートを使用した。当該アブソリュートは、樫の木に着生するオークモス(Evernia prunastri(L.)Arch.)(ツノマタゴケ)を石油エーテル、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤で抽出し溶剤を除去してコンクリートを得、それをエチルアルコールで抽出後アルコールを除去して得られた抽出物である。
【0061】
(2)第1次分画
GEヘルスケアバイオサイエンス社製の「Sephadex LH-20(商品名)」〔マトリックス:ヒドロキシプロピル化Sephadex G-25、粒子径:18〜111μm(粉末時)、27〜163μm(メタノール膨潤時)、分画範囲:100〜4000Da〕を30×500mm充填したオープンカラム上に原材料のオークモスアブソリュートを2.24gのせ、アセトニトリル:メタノール=10:1の溶媒を毎分2mlの割合で15時間流して1〜9までのフラクションに分画した。
溶媒除去後の各フラクションの抽出物の量は次の通りである。
【0062】
【表2】

【0063】
この中で、フラクション2〜5及び8に抗レジオネラ菌活性を見出し、次の分画へ使用した。
(3)第2次分画
(a)フラクション2の分画
フラクション2(全量514.4mg)約10mgをWaters社製の「Sep-Pak C18 Cartridges Classic(商品名);C18(オクタテ゛シル)基が結合したシリカゲルクロマト)にのせ、20%メタノール、40%メタノール、60%メタノール、80%メタノール、100%メタノールを各10ml流した。
これを繰り返し、分画した。各々の流出画分の量は次の通りである。
【0064】
【表3】

【0065】
このなかで、60%メタノール画分、80%メタノール画分及び100%メタノール画分に強い抗レジオネラ菌活性を認め、また、UV280nm検出器により、(G)、(I)及び(J)の化合物のピークを認めた。
次に高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製「HPLC LC-6A」)を用いて目的物の分取を行った。使用したカラムはC18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」(10×250mmカラム)、検出器はUV280nm、移動層にはアセトニトリルと水を用いた。
フラクション2の60%メタノール画分、80%メタノール画分、100%メタノール画分を合わせた471.7mgを上記カラムに導入しアセトニトリル:水=60:40の割合の溶媒を毎分4ml流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後18分、37分、46分の流分を分取し各々(G)、(I)及び(J)を得た。
【0066】
(b)フラクション3の分画
フラクション3(全量315.6mg)約12mgを液体クロマトグラフィー(フェニル基が結合したシリカゲルクロマトであるVARIAN社製「Bond Elut PH(商品名)」)に導入し、20%メタノール、40%メタノール、60%メタノール、80%メタノール、100%メタノールを各10ml流した。
これを繰り返し、分画した。各々の流出画分の量は次の通りである。
【0067】
【表4】

【0068】
このなかで、20%メタノール画分〜80%メタノール画分に強い抗レジオネラ活性を認め、また、UV280nm検出器により、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(H)の化合物のピークを認めた。
上記フラクション3の20%メタノール画分(16.7mg)を液体クロマトグラフィー(C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」、10×250mmカラム)に導入し、アセトニトリル:水=35:65の割合の溶媒を毎分4ml流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後37分、41分の流分を分取して各々化合物(B)、(C)を得た。
【0069】
フラクション3の40%メタノール画分19.3mgを液体クロマトグラフィー(C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」、10×250mmカラム)に導入し、アセトニトリル:水=45:55の割合の溶媒を毎分4ml流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後16分、17分の流分を分取し各々(B)、(C)を得た。
【0070】
フラクション3の60%メタノール画分、80%メタノール画分を合わせた142.4mgを液体クロマトグラフィー(C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」、10×250mmカラム)に導入し、アセトニトリル:水=65:35の割合の溶媒を毎分4ml流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後9.5分、10分、15分、21分の流分を分取し各々(E)、(F)、(G)、(H)を得た。
【0071】
(c)フラクション4の分画
フラクション4(全量218.4mg)約13mgをWaters社製の「Sep-Pak C18 Cartridges Classic(商品名);C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマト)にのせ、20%メタノール、40%メタノール、60%メタノール、80%メタノール、100%メタノールを各10ml流した。
これを繰り返し、分画した。各々の流出画分の量は次の通りである。
【0072】
【表5】

【0073】
このなかで、20%メタノール画分〜80%メタノール画分に強い抗レジオネラ活性を認め、また、UV280nm検出器により、(B)、(C)および(D)の化合物のピークを認めた。
フラクション4の20%メタノール画分、40%メタノール画分を合わせたもの84.9mgを液体クロマトグラフィー(C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」、10×250mmカラム)に導入しアセトニトリル:水=38:62の割合の溶媒を毎分4ml流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後29分、31分の流分を分取し各々(B)、(C)を得た。
【0074】
フラクション4の60%メタノール画分、80%メタノール画分を合わせた67.9mgを液体クロマトグラフィー(C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」、10×250mmカラム)に導入しアセトニトリル:水=45:55の割合の溶媒を毎分4ml流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後17分、25分、49分の流分を分取し各々(B)、(C)、(D)を得た。
【0075】
(d)フラクション5の分画
フラクション5の259.4mgを液体クロマトグラフィー(C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」、10×250mmカラム)に導入しアセトニトリル:水=38:62の割合で35分、65:35の割合で15分の条件で毎分4ml流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後10分、28分、30分、40分、45分、55分、24分の流分を分取し各々(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(K)を得た。
【0076】
フラクション6の全量72.9mgを液体クロマトグラフィー(C18(オクタデシル)基が結合したシリカゲルクロマトである資生堂製「CAPCELL PAK MG II(商品名)、品番90604」、10×250mmカラム)に導入しアセトニトリル:水=38:62の割合の溶媒を毎分4mL流し、UV280nm検出器にてモニタリングしながら、開始後24分の流分を分取し(L)を得た。
【0077】
得られた各化合物の合計量とその性状は以下のとおりである。
【表6】

【0078】
得られた化合物は、それぞれ機器分析によりその構造を同定した。
〔1〕化合物A:メチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
【化5】

先ず、質量分析によりM/Z:182を確認し、解裂パターンからメチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート、またはメチル 2,4-ジヒドロキシ-4-メチルベンゾエートであることを推定した。そして2,4-ジヒドロキシ-4-メチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果、一致しなかった。さらに、質量分析データを詳細に解析した結果、メチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Aを上記の構造と判定した。
【0079】
〔2〕化合物B:エチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
【化6】

先ず、質量分析によりM/Z:196を確認した。そして、エチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果一致した。また、質量分析データを詳細に解析した結果、エチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Bを上記の構造と判定した。
【0080】
〔3〕化合物C:メチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート
【化7】

先ず、質量分析によりM/Z:196を確認した。そして、メチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果一致した。また、質量分析データを詳細に解析した結果、メチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Cを上記の構造と判定した。
【0081】
〔4〕化合物D:イソプロピル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(1)
【表7】

【0082】
(2)質量分析
MS m/z 210 (M+)
【0083】
〔5〕化合物E:3-メトキシ-5-メチルフェニル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
【化8】

先ず、質量分析によりM/Z:288を確認した。そして、3-メトキシ-5-メチルフェニル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果一致した。また、質量分析データを詳細に解析した結果、3-メトキシ-5-メチルフェニル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Eを上記の構造と判定した。
【0084】
〔6〕化合物F:エチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート
【化9】

先ず、質量分析によりM/Z:210を確認した。そして、エチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果一致した。また、質量分析データを詳細に解析した結果、エチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Fを上記の構造と判定した。
【0085】
〔7〕化合物G:エチル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
【化10】

先ず、質量分析によりM/Z:224を確認した。そして、エチル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果一致した。また、質量分析データを詳細に解析した結果、エチル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Gを上記の構造と判定した。
【0086】
〔8〕化合物H:イソプロピル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(1)1H NMRおよび13C NMRスペクトル解析
【表8】

【0087】
(2)質量分析
MS m/z 238 (M+)
【0088】
〔9〕化合物I:3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
【化11】

先ず、質量分析によりM/Z:274を確認した。そして、3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果一致した。また、質量分析データを詳細に解析した結果、3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Iを上記の構造と判定した。
【0089】
〔10〕化合物J:3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2-ジヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート
(1)1H NMRおよび13C NMRスペクトル解析
【表9】

【0090】
(2)質量分析
MS m/z 288 (M+)
【0091】
〔11〕化合物K:3-メトキシ-5-メチルフェニル 2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート
【化12】

先ず、質量分析によりM/Z:302を確認した。そして3-メトキシ-5-メチルフェニル 2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエートを購入し、ガスクロマトグラフィーによるリテンションタイムの比較を行った結果一致した。また、質量分析データを詳細に解析した結果、3-メトキシ-5-メチルフェニル 2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエートと良い一致を示した。これら2点から化合物Kを上記の構造と判定した。
【0092】
〔12〕化合物L:3-クロロ-2,6-ジヒドロキシ-4-メチルベンゾエート
(1)1H NMRおよび13C NMRスペクトル解析
【表10】

【0093】
(2)質量分析
MS m/z 186 (M+)
【0094】
〔試験例1〕
(1)使用菌株と培養:
菌株はLegionella peneumophila JCM7571(Philadelphia 1)株を用い、bufferd charcoal yeast extract agar supplementyed with 0.1% α-ketoglutarate (BCYE-α、Becton Dickinson,MD) 平板寒天培地で37℃、72時間培養した。
【0095】
(2)抗菌試験用培地:
抗菌試験用培地としてbufferd yeast extract supplementyed with 0.1% α-ketoglutarate(BCYE-α)液体培地を使用した。
【0096】
(3)試験菌懸濁液の調製
最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration、MIC)測定には下記により調整した試験菌懸濁液を原液として、適宜希釈して用いた。BCYE−α平板寒天培地で培養したL.peneumophiaの菌体は、培地上に直接4mLの滅菌生理食塩水を加え、コマゴメピペットで攪拌しながら懸濁液とした後、滅菌試験管に移し、ボルテックスミキサーで攪拌して均一な懸濁液とした。さらに、600nmにおける吸光度が0.1となるように滅菌生理食塩水で希釈して試験菌懸濁原液とした。
本懸濁液は、コロニー形成単位(colony forming unit:CFU)測定の結果、1.7×108CFU/mLを示した。
【0097】
(4)抗菌試験:MICの測定
MIC測定は、基本的に米国臨床検査標準委員会(Clinical and Laboratory Standards Institute;CLSI)基準法の微量液体希釈法に基づく変法に準じたが、L.pneumophilaは試料の分散剤として用いるポリ(オキシエチレン)ソルビタンモノオレアート(商品名「Tween 80」)に対して感受性を示すため分散剤を使用することなく試料の希釈を行った。
ジメチルスルホキシド(DMSO)で4倍希釈した試料はBCYE−αで希釈・攪拌して溶解または懸濁液とし、1.0(%、V/V)試料含有BCYE−αを作成した。得られた1.0(%、V/V)試料含有BCYE−αはディープウェルプレート(ビーエム機器株式会社製「BM6022」)とBCYE−αを用いて1.0から0.0020(%、V/V)までの2倍希釈列とした。試験菌懸濁液は試験菌懸濁液原液を濃度が6.0×105CFU/mLとなるようにBCYE−αで希釈して調整した。
【0098】
それぞれの試料の希釈試験液50μLと試験菌懸濁液50μLを96穴マイクロプレート(ビーエム機器株式会社製「BM6000」)各ウェルに分注し、攪拌・混合した後、プレートシール(三光純薬株式会社製「SJ103−40」)を用いて各ウェルを密閉し、37℃、48時間培養した。各試料のMICの判定はCLSI基準法に基づき、培養後に増殖して沈降または浮遊する菌体の有無を目視で観察することで行った。また、試験は同一試験を2度繰り返し行った。
比較のため、抗レジオネラ菌活性を有する物質として知られている、オークモスアブソリュート、シンナミックアルデヒド及びクロルヘキシジングルコン酸塩についても同様に試験を行った。
【0099】
各化合物と比較物質のL.pneumophilaに対するMIC測定結果を表1に示す。
【0100】
【表11】

【0101】
表1の結果から、本発明の抗菌剤の有用性が示された。
【0102】
次に、本発明の応用範囲について、応用例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの応用例により何ら限定されるものではない。本発明の抗菌剤入り製品を各処方にしたがい製造した。なお、処方例は全て重量部で示した。
【0103】
〔応用例1〕抗菌スプレー剤
処方例1にしたがい、エチルアルコールに香料、本発明の各種化合物を室温にて混合溶解したスプレー基剤に、無水ケイ酸を0.2%配合し、スプレー容器内の圧力は35℃で8kg/cm2以下になるようにLPGとイソペンタンを封入して本発明の抗菌スプレー剤を調製した。
【0104】
【表12】

【0105】
〔応用例2〕浴用剤a
処方例2にしたがい、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムに、香料などを添加し混合した浴槽投入剤基剤を用意し、本発明の各種化合物を0.2%配合し、本発明の浴用剤aを製造した。
【0106】
【表13】

【0107】
〔応用例3〕浴用剤b
処方例3にしたがい、エチルアルコールに香料、本発明の各種化合物を室温にて混合溶解した浴槽投入基剤に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.1%、精製水を30.0%配合し、本発明の浴用剤bとした。
【0108】
【表14】

【0109】
〔応用例4〕消毒剤
処方例4にしたがい、エチルアルコールに非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラルリルエーテルリン酸ナトリウムを加え溶解した。これに、エチルアルコールに溶解した本発明の各種化合物を加えて混合溶解した。さらに精製水を加え溶解し、本発明のクーリングタワー消毒剤とした。
【0110】
【表15】

【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の抗菌剤により、日常的に使用しても副作用がなく、安全性があり、しかも、レジオネラ属菌の増殖を強力に阻止できる抗レジオネラ属菌剤を提供することができる。
また、本発明の抗菌剤を含有するレジオネラ属菌抗菌組成物を添加することにより、冷凍装置の循環冷却水や、24時間風呂の循環温水などの冷温水系、蓄熱水系等に生存しているレジオネラ属菌を防除し、その増殖を防止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(H):
【化1】

で表される化合物。
【請求項2】
下記式(I):
【化2】

〔式中、
Xは、ヒドロキシル基または炭素数が1〜6個のアルコキシ基であり、
1は、水素原子または炭素数が1〜6個のアルキルオキシカルボニル基、または、ヒドロキシル基もしくは炭素数が1〜6個のアルコキシ基で置換された5−メチルフェノキシカルボニル基であり、
2は、水素原子、炭素数が1〜6個のアルキル基またはホルミル基であり、
3は、水素原子またはハロゲン原子である〕
で表されるフェノール誘導体を有効成分として含有することを特徴とするレジオネラ属菌に対する抗菌剤。
【請求項3】
式(I)において、
Xがヒドロキシル基またはメトキシ基であり、
1が水素原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、3−メトキシ−5−メチルフェノキシカルボニル基または3−ヒドロキシ−5−メチルフェノキシカルボニル基であり、
2が水素原子、メチル基またはホルミル基であり、
3が水素原子または塩素原子である、請求項2記載の抗菌剤。
【請求項4】
下記の化合物A〜Lからなる群より選ばれた1種又は2種以上のフェノール誘導体を有効成分として含有するレジオネラ属菌に対する抗菌剤。
(A)メチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(B)エチル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(C)メチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート
(D)イソプロピル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(E)3-メトキシ-5-メチルフェニル 2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(F)エチル 2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート
(G)エチル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(H)イソプロピル 3-ホルミル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(I)3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾエート
(J)3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル-2-ジヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート
(K)3-メトキシ-5-メチルフェニル 2-ヒドロキシ-4-メトキシ-6-メチルベンゾエート
(L)3-クロロ-2,6-ジヒドロキシ-4-メチルベンゾエート
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の抗菌剤を含有することを特徴とする浴用剤。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の抗菌剤を含有することを特徴とする工業用殺菌剤。

【公開番号】特開2010−202562(P2010−202562A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48690(P2009−48690)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【出願人】(500407536)学校法人城西大学 (2)
【Fターム(参考)】