説明

フェンス

【課題】 従来のフェンスは支持脚をネジ等を用いて締着固定する作業が必要となり、完成するまでの手間が多く、その作業が面倒なものとなっている点である。加えて、二以上のフェンスを連結するにはワイヤーを連結握持するクリップ(連結具)を必要としており、その分コスト高となり、作業も煩わしくなっている点である。
【解決手段】 ワイヤーで略矩形に形成した枠体を有し、その枠体に複数本の縦棒を所定間隔で並設固定し、前記枠体の下方寄りに補強用の横棒を固定してなり、前記枠体の下端横棒及び補強用の横棒に対し、据え置き部と、その据え置き部の上面に立設した立壁部とから成る支持脚を取り付けてあるフェンスにおいて、前記支持脚の立壁部の頂部に補強用の横棒の受溝を形成し、立壁部の下方となる据え置き部の上面に枠体の下端横棒の受溝を形成してあることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフェンスに関し、主として、壁と壁の間、壁と引き戸の間等に設置することでペット、特に犬の通行、強いては所定スペースへのペットの侵入を防止するためのフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した使用目的のフェンスの存在は幾つか知られている。その従来製品の構成はワイヤーを使用して組み付けたフェンス本体を、通常一対の支持脚で支持し、据え置く構成となっている。フェンス本体は複数の横棒と縦棒を組み合せ、縦棒の上端も横棒で一体的に熔接し、連結してある。
【0003】
また、支持脚はフェンス本体の下端の二箇所にネジ等の締結要素を用いて、固着される構成となっており、フェンスの連結には格別なクリップ(連結具)を使用するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
本願発明について、出願人は先行する特許文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする問題点は、従来のフェンスは材料量が多く、また熔接箇所が多くなり、その分コスト高となってしまう点である。
【0006】
また、従来のフェンスは支持脚をネジ等を用いて締着固定する作業が必要となり、完成するまでの手間が多く、その作業が面倒なものとなっている点である。加えて、二以上のフェンスを連結するにはワイヤーを連結握持するクリップ(連結具)を必要としており、その分コスト高となり、作業も煩わしくなっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した問題点を解決するために、本願発明に係るフェンスは、ワイヤーで略矩形に形成した枠体を有し、その枠体に複数本の縦棒を所定間隔で並設固定し、前記枠体の下方寄りに補強用の横棒を固定してなり、前記枠体の下端横棒及び補強用の横棒に対し、据え置き部と、その据え置き部の上面に立設した立壁部とから成る支持脚を取り付けてあるフェンスにおいて、前記支持脚の立壁部の頂部に補強用の横棒の受溝を形成し、立壁部の下方となる据え置き部の上面に枠体の下端横棒の受溝を形成してあることを特徴としている。
【0008】
また、本願発明に係るフェンスは、前記した支持脚の立壁部は、据え置き部の長手方向に沿って中心位置からずらせた位置に設けられていることを特徴とし、前記した立壁部の基端は切り欠き部が形成され、据え置き部の、枠体の下端横棒の受溝はその切り欠き部の下方に形成されていることを特徴とし、前記した切り欠きは立壁部の基端の両側に形成され、その各々の切り欠き部の下方に各々枠体の下端横棒の受溝を形成するとともに、立壁部の頂部に補強用の横棒の受溝も二つ形成して、隣接したフェンス本体を一部重合させて左右方向に連結可能としてあることを特徴としている。
【0009】
さらに、本願発明に係るフェンスは、前記した複数本の縦棒のうち、相隣接する一対は、一本のワイヤーを屈曲して形成され、その頂部は略U字状に湾曲されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本願発明に係るフェンスは上記のように構成されている。そのため、支持脚をフェンス本体に対し、ワンタッチで着脱することができ、ネジ等の要素を使用する必要性もなくなり、作業が簡易で、かつ、ネジ等の要素の分コストも削減される。さらに、二以上のフェンス本体の連結が格別な連結具を必要とせず、ワンタッチで行なえ、その連結した際の長さ調整も自在に行なえる。
【0011】
また、縦棒を屈曲して、上部の横棒を必要としないので、熔着等の作業も必要なく、コスト減となる。加えて、熔着によるバリが形成されることもないため、人がこのフェンスを跨いだとしても衣服が引っ掛かったり、皮膚を傷付けてしまうような事故も未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施したフェンスの組立図である。
【図2】フェンス本体の正面図である。
【図3】支持脚の斜視図である。
【図4】支持脚の取り付け構造を示す斜視図である。
【図5】側面図である。
【図6】支持脚の別の例を示す側面図である。
【図7】フェンスの連結状態を示す図である。
【図8】要部を示す斜視図である。
【図9】使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の一例をペット用のものとして図面を参照して説明する。図中1はフェンス本体を示しており、このフェンス本体1は、角丸で略矩形に形成したワイヤー製の枠体2を有している。この枠体2には、その下端横棒3に下端を熔着されて、複数本の縦棒4、4a,4b、4c‥が所定の間隔で並設固定され、その縦棒4、4a‥の上端寄りは枠体2の上端横棒3aに熔着されて固定されている。尚、この縦棒4、4a‥もワイヤーで成形されているが、枠体2を形成するワイヤーよりも、やや細径のものが使用されている。
【0015】
また、前記した縦棒4、4a,4b、4c‥の相隣接する一対は一本のワイヤーを屈曲して形成してあり、その頂部は略U字状に湾曲されたものとなっている。このため、フェンス本体1として最上部分にはワイヤー間の熔着部分は存在せず、従ってバリが存在することもなく、人がフェンス本体1を跨いでも衣服が引っ掛かったり、皮膚を傷付けてしまうような事故は未然に防止でき、しかもコストダウンを図れるものとなっている。
【0016】
さらに、フェンス本体1にあって、枠体2の下端横棒3寄りには補強用の横棒5がその両端を枠体2の縦棒に、また、補強用の横棒5の途中は各縦棒4、4a,4b、4c‥に熔着し、枠体2の下端横棒3と平行に設けられている。尚、この補強用の横棒5は縦棒4、4a‥と同等の径のワイヤーが使用されている。
【0017】
一方、図中6はフェンス本体1を支持する支持脚を示している。この支持脚6の素材はプラスチックを想定しているが、木製でも金属製等、ある程度のウェイトがあれば他の素材のものでもよく、通常は左右の一対が使用される。
【0018】
この支持脚6は前後端をアール状とした平板状の据え置き部7とその据え置き部7の上面に垂直に立設された立壁部8とより構成されており、この立壁部8は据え置き部7の長手方向に沿った中心部をずらせて設けられており、据え置き部7に長尺部7aと短尺部7bを形成している。図中9、9は据え置き部7の裏面に備えられた滑り止め用のパッドである。
【0019】
また、支持脚6の短尺部7b側で、立壁部8の基端には切り欠き10が形成されている。この切り欠き10は短尺部7bの表面との間で枠体2の下端横棒3が通過するのに十分な幅を有しており、この切り欠き10の下方で、据え置き部7の表面には、その枠体2の下端横棒3が嵌め付けられる受溝11が形成されている。
【0020】
さらに、立壁部8の頂面は左右方向にかけてのアール面となっており、補強用の横棒5が嵌め付けられる受溝12が形成されている。この受溝12と前記した受溝11は平面的に同一位置の配置となり、フェンス本体1を支持脚6に対して垂直に保持することができるものとされている。
【0021】
ここで、フェンス本体1と支持脚6との組み付けは、所定位置に配置した支持脚6に対し、フェンス本体1を浮かし持って切り欠き10に沿って移動させ各受溝11、12に対し、補強用の横棒5と枠体2の下端横棒3を押圧入することでなされるが、必要に応じて、支持脚6、6を持ってフェンス本体1に対して組み付けてやることも可能である。
【0022】
また、前記した支持脚6、6は図6として示すように、立壁部8の長尺部7a側には切り欠き10aを形成し、その切り欠き10aの下方にも連結される枠体2の下端横棒3が嵌め付けられる受溝11aを形成してやることができる。この場合、この受溝11aと対応して、連結される枠体2の補強用の横棒5が嵌め付けられる受溝12aを形成してある。こうすることで、連結される二つのフェンス本体1、1を部分重合させ、前記した要領でワイヤーを嵌め付け組み立てることができる。尚、この重合した連結部分には補強のため二つの支持脚6、6を使用し、連結した全体として四つの支持脚6を使用することが望ましく、安定性を確保できる。
【0023】
かかる構成によって、ペット用フェンスの連結には格別なクリップ(連結具)は不要となり、容易にワンタッチ作業で行なうことができる。また、このペット用フェンスの連結は重合する幅を選択することで、全体の長さを調整することができ、設置すべき場所に合せ、必要十分なサイズとすることができる。このペット用フェンスの連結は二枚のみならず、それ以上の複数を順次連結していくことも可能で、相応の広いスペースにも対応できることとなる。
【0024】
次いで、こうして組み立てられたペット用フェンスの設置態様を説明する。このペット用フェンスは例えば壁と壁の間でフェンス本体1の左右端部がその各壁と接するようにペットが存在している側に設置される。これは、ペットがフェンスを押したとしても、各壁がストッパとなり、フェンスの移動を妨げるようにするためである。
【0025】
また、据え置き部7の長尺部7a側をペットの存在する側に向けておく。こうすることで、万一の場合でもフェンスがペットの方へ向かって倒れてしまうことがなく、ペットを事故から守ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本実施例に係るペット用フェンスは上記のように構成されている。この実施例では支持脚6はごくシンプルなデザインの仕様としているが、需要に応じて、据え置き部を円形、楕円形、ハート形等の意匠を施したものに代替することも可能となる。また、支持脚は、一対使用することとしたが、これより数多く使用しても、あるいは据え置き部の底面面積を大きくして、摩擦度を高めれば一つ使用することでも実行できる。さらに、本実施例ではペットを対象としているが、これに限らず他の目的にも応用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 フェンス本体
2 枠体
3 下端横棒
3a 上端横棒
4 縦棒
4a 縦棒
5 補強用の横棒
6 支持脚
7 据え置き部
7a 長尺部
7b 短尺部
8 立壁部
9 パッド
10 切り欠き
11 受溝
11a 受溝
12 受溝
12a 受溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーで略矩形に形成した枠体を有し、その枠体に複数本の縦棒を所定間隔で並設固定し、前記枠体の下方寄りに補強用の横棒を固定してなり、前記枠体の下端横棒及び補強用の横棒に対し、据え置き部と、その据え置き部の上面に立設した立壁部とから成る支持脚を取り付けてあるフェンスにおいて、前記支持脚の立壁部の頂部に補強用の横棒の受溝を形成し、立壁部の下方となる据え置き部の上面に枠体の下端横棒の受溝を形成してあることを特徴とするフェンス。
【請求項2】
前記した支持脚の立壁部は、据え置き部の長手方向に沿って中心位置からずらせた位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフェンス。
【請求項3】
前記した立壁部の基端は切り欠き部が形成され、据え置き部の、枠体の下端横棒の受溝はその切り欠き部の下方に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフェンス。
【請求項4】
前記した切り欠きは立壁部の基端の両側に形成され、その各々の切り欠き部の下方に各々枠体の下端横棒の受溝を形成するとともに、立壁部の頂部に補強用の横棒の受溝も二つ形成して、隣接したフェンス本体を一部重合させて左右方向に連結可能としてあることを特徴とする請求項3に記載のフェンス。
【請求項5】
前記した複数本の縦棒のうち、相隣接する一対は、一本のワイヤーを屈曲して形成され、その頂部は略U字状に湾曲されていることを特徴とする請求項1から4のうち1項に記載のフェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−34410(P2013−34410A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171613(P2011−171613)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(509160085)
【Fターム(参考)】