説明

フェンダーライナーの取付け構造

【課題】 バンパーと反対の方向の変位をも、確実に防止することができるフェンダーライナーの取付け構造を提供すること。
【解決手段】 バンパーの両側部にフェンダー前端に組み付けられる側面部を設け、該側面部とフェンダーによって、車体内側にホイールハウスを形成し、該ホイールハウスの内部にフェンダーライナーを取り付ける構造において、上記フェンダー10の前部端面に、バンパーホルダー20を配設し、該バンパーホルダー20に上記バンパー30の側面部30bを組付けるとともに、該バンパーホルダー20と上記バンパー30の側面部30bとの間にフェンダーライナー11の側縁部を挟持させて取付けた構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンダーライナーの取付け構造に関し、詳しくは、フェンダーとバンパーとの組付部におけるフェンダーライナーの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バンパーの両側部に設けられた側面部をフェンダー前端に組み付け、該側面部とフェンダーによって、車体内側にタイヤを収容するホイールハウスを形成するようにした車両では、該ホイールハウスの内部にフェンダーライナーを取り付けるようにしている。
フェンダーライナーは、一般に、一方側縁がフェンダーの側縁部に固定され、他方の側縁がフェンダーエプロン等に固定される。
また、フェンダーライナーの先端部は、バンパーに締結することによって、取付け強度を高めている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1におけるフェンダーライナーの取付け構造では、S字クリップを使用し、該S字クリップの一方の溝にバンパーを挿嵌させるとともに、他方の溝にフェンダーライナーを挿嵌させ、それらを固定用クリップによって互いに締結している。
【特許文献1】特開2002−308150号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなフェンダーライナーの取付け構造では、フェンダーライナーのバンパー方向への変位に対しては、バンパーによって受止められるので、その変位が防止されるが、フェンダーライナーのバンパーとは反対の方向の変位に対しては、S字クリップの片によって受止められるだけなので、その変位を防止できない虞がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決し、バンパーと反対の方向の変位をも、確実に防止することができるフェンダーライナーの取付け構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、バンパーの両側部にフェンダー前端に組み付けられる側面部を設け、該側面部とフェンダーによって、車体内側にホイールハウスを形成し、該ホイールハウスの内部にフェンダーライナーを取り付ける構造において、上記フェンダーの前部端面に、バンパーホルダーを配設し、該バンパーホルダーに上記バンパーの側面部を組付けるとともに、該バンパーホルダーと上記バンパーの側面部との間にフェンダーライナーの側縁部を挟持させて取付けたことにある。
【0006】
また、本発明は、前記バンパーホルダーよりも先端側のフェンダーライナーを前記バンパーに当接させて配設したことにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フェンダーの前部端面に、バンパーホルダーを配設し、該バンパーホルダーにバンパーの側面部を組付けるとともに、該バンパーホルダーと上記バンパーの側面部との間にフェンダーライナーの側縁部を挟持させて取付けたので、フェンダーライナーのバンパーと反対方向の変位も、バンパーホルダーによって受止められるので、フェンダーライナーの変位が確実に防止される。
【0008】
また、本発明によれば、バンパーホルダーよりも先端側のフェンダーライナーをバンパーに当接させて配設したので、フェンダーライナーがバンパーに当たることによるばたつきを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るフェンダーライナーの取付け構造を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るフェンダーライナーの取付け構造が適用される車体前部を分解して示した斜視図,図2は、図1における部品を組付けた状態を示した車体前部の斜視図,図3は、フェンダーライナーを支持するための部品であるバンパーホルダーを示した斜視図,図4は、フェンダーライナーを支持するための他の部品であるバンパーの要部を示した側部平面図,図5は、図2におけるA−A線断面図,図6は、ホルダーをフロントフェンダーの前端面に取付けた状態を示した斜視図,図7は、図2におけるB−B線断面図,図8は、図2におけるC−C線断面図,図9は、図2におけるD−D線断面図,図10は、図2におけるE−E線断面図である。
【0010】
本発明に係る車体前部部品は、図1に示したように、前部車体フレーム1の両側に組み付けられたフロントフェンダー10に取付けられるフェンダーライナー11と、フロントフェンダー10の前端面に取付けられるホルダー20と、該ホルダーに位置決めして前部車体フレーム1の前面に取付けられるフロントバンパー30およびヘッドランプ40である。
【0011】
フェンダーライナー11は、図1に示したように、帯状のプレートを円弧状に湾曲させて形成されており、側縁の長手方向の中間部、即ち、フロントフェンダー10の前端部に対応する位置に、切欠き12が形成されている。
【0012】
バンパーホルダー20は、図3に示したように、長方形状の枠体を格子状の桟で補強した主部20aと、該主部20aの内側端に、該主部20aに対してく字状に前方に向けて屈曲させた側部20bとによって形成されている。
このバンパーホルダー20の上面、即ちフロントフェンダー10の前部端面に対向する面には、長手方向に一定間隔で、3つの段付きボス21が立設されている。この段付きボス21は、径の小さな上部ボス部21aと径の大きな下部ボス部21bによって形成されており、その中間を除く両側のボス21には、その軸芯にスクリュー用孔21c(図5参照)が形成されている。さらに、ホルダー20の上面におけるボス21,21相互間には、一端から他端側に向けて両側に切込みを入れて揺動可能に構成した舌片22が側方に向けて形成され、該舌片22の先端に矢尻形状の爪22aが形成されている。また、バンパーホルダー20の側部20bの上面にも、一端から他端側に向けて両側に切込みを入れて揺動可能に構成した舌片23が外方に向けて形成され、該舌片23の先端に爪23aが形成されている。さらに、バンパーホルダー20の側部20bには、先端を開口した凹部24が形成され、その近傍にクリップ用孔25が板面に形成されている。
また、バンパーホルダー20の主部20aの側部20bと反対の端壁20cにも、クリップ用孔26が形成されている。
【0013】
フロントバンパー30は、前部車体フレーム1の前面を覆うバンパー本体30aと、該バンパー本体30aの両側に、該バンパー本体30aに対してく字状に後方へ屈曲する側面部30bとから成っている。側面部30bは、フロントフェンダー10の前端に組み付けられて車体内側にタイヤを収容する、いわゆるホイールハウス(図示せず)を形成している。
そして、バンパー本体30aの中央部および中央上部には、冷却風の通孔31,32がそれぞれ形成され、両側上部には、ヘッドランプ40の下部を収容する切欠き33が形成されている。また、側面部30bの上面には、図4に示したように、フランジ34が内方に向けて形成されており、バンパー本体30aの上面にもフランジ35が内方に向けて形成されている。そして、フランジ34には、2つの矩形状孔34aと、3つの切欠き34bが交互に形成されている。また、フランジ35にも、1つの矩形状孔35aが形成されている。さらに、側面部30bの端縁は、図1に示したように、内方に屈曲され、その屈曲部36には、クリップ用孔37が形成されている。
【0014】
ヘッドランプ40の外側側面には、図1に示したように、ステー40aが設けられ、このステー40aには、上記ホルダー20の凹部24に合致する径のピン41が立設され、その近傍にクリップ用孔42が形成されている。
【0015】
そして、上記フェンダーライナー11は、従来と同様にしてフロントフェンダー10に取付けられる。この状態におけるフェンダーライナー11は、切欠き12がフロントフェンダー10の前端に位置した状態にある。
【0016】
このような状態にあるフロントフェンダー10に、以下のようにして、バンパーホルダー20が係止され、該バンパーホルダー20に、フロントバンパー30およびヘッドランプ40が係止される。
【0017】
先ず、図5に示したように、バンパーホルダー20のボス21の上部ボス21aをフロントフェンダー10の前部端面に形成した孔10aに挿通させ、次いで、ボス21に形成されているスクリュー用孔21cにスクリュー50を挿通させ、該スクリュー50の先端をフロントフェンダー10の前端面に形成されているスクリュー用孔10bに係合することによって、図6に示したように、ホルダー20をフロントフェンダー10の前端に係止する。この状態においては、ホルダー20の端面20cは、フェンダーライナー11の切欠き12の周縁部内面11aに当接した状態にある(図10参照)。
【0018】
次いで、図7に示したように、ヘッドライト40のピン41をホルダー20の凹部24に嵌挿させながら、ヘッドランプ40をホルダー20に位置決めし、ホルダー20のスクリュー用孔25に挿通させたスクリュー51をヘッドライト40のスクリュー用孔42に締結することによって、ヘッドライト40をホルダー20に固定する。なお、スクリュー51は、スクリュー用孔42に代えて、図示のようにナットを用いることで、ナットに螺合させて締結するようにしてもよい。
また、ヘッドライト40の他の部分は、車体フレーム1等にスクリューあるいはクリップ等によって締結される。
【0019】
次いで、図8に示したように、フロントバンパー30の側面部30bに形成されているフランジ34の切欠き34bを、ホルダー20の下部ボス部21bに嵌合させながら、上記間隙にフランジ34を挿入する。すると、フロントバンパー30のフランジ34,35に形成された孔34a,35aがバンパーホルダー20の爪22a,23aに係合される。
この状態においては、図9および図10に示したように、フロントバンパー30の側面部30bの屈曲部36が、フェンダーライナー11の切欠き12の周縁11aを挟み込んで、ホルダー20の端壁20cに当接される。なお、フェンダーライナー11の切欠き12は、図10に示したように、クリップ用孔37に位置する。
次いで、このフロントバンパー30は、クリップ用孔37に挿通させたクリップ52をバンパーホルダー20のクリップ用孔26に係合することによって、ホルダー20に固定される。
なお、このフロントバンパー30の他の部分は、クリップ等によって車体フレーム1等に締結される。
また、フェンダーライナー11におけるフロントバンパー30に対応する部分は、該フロントバンパー30の内面に当接させる。
【0020】
上記のように、フェンダーライナー11の切欠き12の周縁11aをホルダー20とフロントバンパー30の間に挟み込んで固定したので、フェンダーライナー11の固定を確実に行うことができる。また、フェンダーライナー11のバンパー30と反対方向の変位も、バンパーホルダー20によって受止められるので、フェンダーライナー11の変位が確実に防止される。
【0021】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で、適宜変更して実施し得ることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るフェンダーライナーの取付け構造が適用される車体前部を分解して示した斜視図である。
【図2】図1における部品を組付けた状態の車体前部の斜視図である。
【図3】フェンダーライナーを支持するための部品であるバンパーホルダーを示した斜視図である。
【図4】フェンダーライナーを支持するための他の部品であるバンパーの要部を示した側部平面図である。
【図5】図2におけるA−A線断面図である。
【図6】ホルダーをフロントフェンダーの前端面に取付けた状態を示した斜視図である。
【図7】図2におけるB−B線断面図である。
【図8】図2におけるC−C線断面図である。
【図9】図2におけるD−D線断面図である。
【図10】図2におけるE−E線断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 車体フレーム
10 フロントフェンダー
10a 孔
10b クリップ用孔
11 フェンダーライナー
11a 周縁
12 切欠き
20 バンパーホルダー
20a 主部
20b 側部
20c 端面
21 ボス
21a 上部ボス部
21b 下部ボス部
21c スクリュー用孔
22 舌片
22a 爪
23 舌片
23a 爪
24 凹部
25 スクリュー用孔
26 クリップ用孔
30 フロントバンパー
30a バンパー本体
30b 側面部
31,32 通風孔
33 切欠き
34 フランジ
34a 矩形状孔
34b 切欠き
35 フランジ
35a 矩形状孔
36 屈曲部
37 クリップ用孔
40 ヘッドランプ
41 ピン
42 スクリュー用孔
50,51 スクリュー
52 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーの両側部にフェンダー前端に組み付けられる側面部を設け、該側面部とフェンダーによって、車体内側にホイールハウスを形成し、該ホイールハウスの内部にフェンダーライナーを取り付ける構造において、上記フェンダーの前部端面に、バンパーホルダーを配設し、該バンパーホルダーに上記バンパーの側面部を組付けるとともに、該バンパーホルダーと上記バンパーの側面部との間にフェンダーライナーの側縁部を挟持させて取付けたことを特徴とするフェンダーライナーの取り付け構造。
【請求項2】
前記バンパーホルダーよりも先端側のフェンダーライナーを前記バンパーに当接させて配設したことを特徴とする請求項1に記載のフェンダーライナーの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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