フォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法
【課題】コレステリック液晶を含まずにフォトニック結晶構造を有する高分子膜を形成することができ、さらに、生じた高分子膜がいかなる液晶または液体も含まずに、ブラッグ反射特性を有して、大幅な製造コストダウンを図り、その応用性を拡大する高分子膜の製造方法を提供する。
【解決手段】混合ステップS01、照光ステップS02、拡散ステップS03、液晶除去ステップS04の工程を備える製造方法。混合ステップでは、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。照光ステップでは、マスクによって、液晶モノマー混合物に対して照光する。拡散ステップでは、液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを照光領域に拡散させる。液晶除去ステップでは、非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【解決手段】混合ステップS01、照光ステップS02、拡散ステップS03、液晶除去ステップS04の工程を備える製造方法。混合ステップでは、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。照光ステップでは、マスクによって、液晶モノマー混合物に対して照光する。拡散ステップでは、液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを照光領域に拡散させる。液晶除去ステップでは、非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子膜の製造方法に関し、特に、フォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display, FPD)は、その製造技術の発展と、フラットパネルディスプレイが薄型かつ低消費電力であり、さらに輻射汚染がない等のメリットを有することから、徐々に従来の陰極線管(Cathode Ray Tube, CRT)ディスプレイに取って代わり、各種電子製品に応用されている。このうち、コレステリック液晶(Cholesteric Liquid Crystal)は、ディスプレイ技術に応用され、特に、電子ペーパーのような双安定性を有するディスプレイに応用されている。
【0003】
図1は、コレステリック液晶11の分子配列を示した図である。これは、対称性コレステリック液晶か、対称性化合物を添加した非対称性液晶である。コレステリック液晶は、基本的には、非対称炭素原子(chiral center)を有する。これらの分子が構成する液晶は、その分子が層状に平行に堆積して配列して、層と層が互いに平行であることにより、各層における分子は、ネマチックのように互いに同じ方向に配列しており、その長軸と層面は平行である。隣り合う両層間において、分子の長軸方向は規則的に順次に一定の角度に回転し、それぞれの層が回転して一種の螺旋状態構造を形成する。液晶分子の長軸方向は、さらに360度に一周回転した後、再び、同じ方向に戻ってピッチPを形成する。このタイプの液晶分子は、特殊な螺旋構造であるため、入射光を振れ回転させて、特殊な波長の光を射出する。そして、ピッチPはその最も強烈な反射光線の波長を決定する。
【0004】
図2及び図3は、コレステリック液晶の分子配列を示した図である。図2は、コレステリック液晶11が両ガラス基板12、13によって挟まれ、さらに、底部に黒色吸収層14が設置された状態を示している。追加の電場を有さない時、コレステリック液晶11は平面螺旋型(planar texture)であり、その螺旋周期(ピッチ)が、およそ光線の波長に等しいことにより、この種の周期性構造は特定の波長の光線にブラッグ(Bragg)反射を発生させる。その反射光のピークはλ=nP(nは平均屈折率)である。一般に、それは特定の波長範囲の光線を反射するのに用いられ、光学素子及び液晶ディスプレイの設計に応用される。図3は、垂直螺旋型のコレステリック液晶(focal-conic)配列である。
【0005】
現在、ブラッグ反射特性を有する光学膜の設計は、コレステリック液晶設計によるもので、純コレステリック液晶膜またはコレステリック液晶を混合した高分子膜を含む。
【0006】
このうち、高分子安定型コレステリック液晶において、少量のモノマー(濃度は10%以下)を添加することで、モノマーに高分子を形成させて、コレステリック液晶中に散布し、コレステリック液晶の平面螺旋型を安定させて、ブラッグ反射の効果を達成する。しかしながら、コレステリック液晶の価格は高く、大幅なコストアップとなるため、これまでは実用化を困難にしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、新たな製造方法により、コレステリック液晶を含まずにフォトニック結晶構造を有する高分子膜を形成することができ、さらに、生じた高分子膜がいかなる液晶または液体を含まずに、ブラッグ反射特性を有することにより、大幅な製造コストダウンを図り、その応用性を拡大する高分子膜の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、以下のステップを備える。
混合ステップでは、少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、また、以下のステップを備えることができる。
混合ステップでは、少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、また、以下のステップを備えることができる。
混合ステップでは、少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、レーザーによって、前記液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明フォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、また、以下のステップを備えることができる。
混合ステップでは、少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、レーザーによって、前記液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0012】
一実施例において、本発明の製造方法は、前記照光ステップ及び前記拡散ステップを繰り返すことを含む。複数回の照光及び拡散ステップによってモノマーの重合率を顕著に高めることで、高分子膜に充分なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。
【0013】
一実施例において、拡散ステップは、液晶モノマー混合物を一定時間静置し、好適には、液晶モノマー混合物が光の照射を受けるのを回避して拡散効果を高める。
【0014】
一実施例において、液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域に、異なる照光回数、照光強度、照光時間によって照光を行なう。異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、前記照光領域のコレステリック液晶構造が、異なるピッチ及び/または屈折率を有して、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。
【0015】
一実施例において、フォトニック結晶構造はコレステリック液晶構造である。製造上は、コレステリック液晶転写(imprint)によって形成されるか、非対称性液晶(achiral LC)と光学活性添加剤(chiral dopant)の混合によって転写することで形成される。
【0016】
一実施例において、製造方法は、さらに、充填ステップを含む。
該充填ステップでは、高分子膜に流体が充填される。流体は気体または液体である。液体は、等方性液体または異方性液体であり、このうち、等方性液体は、例えば溶剤で、異方性液体は、例えば液晶である。溶剤は、例えば、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran, THF)、クロロフォルムまたはトルエンである。液晶は、例えば、コレステリック液晶、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。充填する液体が異方性液体である場合は、電場駆動によって異方性液体を制御することによって表示機能が達成され、さらに、応用される表示モジュールにおいて、高分子膜が必要とする填充液体(例えば、液晶)の量を大幅に減少させることができる。
【0017】
一実施例において、上述の流体は、さらに重合され、重合後はエッジシーリングの必要がなく、さらに高分子膜の安定性を高める。
【0018】
一実施例において、製造方法は、さらに透明導電膜を上述の流体を有する高分子膜の一側にコーティングするステップを含む。例えば、透明導電膜を高分子膜の上下両側にコーティングする方法である。透明導電膜が流体(例えば、異方性液体)の分子配列、屈折率をコントロールすることで、反射光の色を変化させることが可能である。
【0019】
一実施例において、製造方法は、さらに製成された複数の高分子膜を重ねて、多層構造の高分子膜を形成させるステップを含む。さらに、前記高分子膜は、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶を利用して製成する。これにより、高分子膜の反射光の輝度を高めることが可能である。
【0020】
このように、本発明は、照光ステップによって、液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光し、さらに、拡散ステップによって、照光領域周囲のモノマーを照光領域に拡散して、モノマーの重合率を高める。さらに、高分子膜のポリマーの比例を高めると同時に、対称性の転写率を高めることで、より充足したフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高分子膜に提供することにより、高分子膜はいかなる流体も充填せずにブラッグ反射特性を有することが可能である。また、複数回の照光及び拡散ステップにより、モノマーの重合率を大きく高めて、強力なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。また、本発明は、気体または液体を含む異なる流体を充填することにより、異なる反射光の色を表示して、高分子膜の応用性を拡大する。さらに、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、異なる照光領域のコレステリック液晶構造に、異なるピッチ及び/または屈折率をもたらして、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、何ら高価なコレステリック液晶によってブラッグ反射させる必要がないため、大幅なコストダウンが図れる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、照光ステップによって、液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光し、さらに、拡散ステップによって、照光領域周囲のモノマーを照光領域に拡散して、モノマーの重合率を高める。さらに、高分子膜のポリマーの比例を高めると同時に、対称性の転写率を高めることで、より充足したフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高分子膜に提供することにより、高分子膜はいかなる流体も充填せずにブラッグ反射特性を有することが可能である。また、複数回の照光及び拡散ステップにより、モノマーの重合率を大きく高めて、強力なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。また、本発明は、気体または液体を含む異なる流体を充填することにより、異なる反射光の色を有して高分子膜の応用性を拡大する。さらに、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、異なる照光領域のコレステリック液晶構造に、異なるピッチ及び/または屈折率をもたらして、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、何ら高価なコレステリック液晶によってブラッグ反射させる必要がないため、大幅なコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コレステリック液晶の分子配列を示した図である。
【図2】コレステリック液晶が平面螺旋型配列であり、ブラッグ反射特性を有することを示した図である。
【図3】コレステリック液晶が垂直螺旋型配列であることを示した図である。
【図4】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法のフローチャートである。
【図5】本発明の好適な実施例においてマスクによって照光ステップが進行することを示した図である。
【図6】高分子膜の横断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図を示し、(A)は高分子膜全体の画像図であり、(B)は(A)の中の菱形フレームの部分の拡大画像図である。
【図7】本発明の好適な実施例における製造方法によって製成された高分子膜及びその異なる液体を充填した時に異なる波長に対する反射率を示した図である。
【図8】高分子膜のネマチック液晶を充填して異なる温度まで加熱した場合の反射率を示した図である。
【図9】本発明の好適な実施例におけるレーザーによる照光ステップを示した図である。
【図10】本発明の好適な実施例における製造方法によって製成された高分子膜に透明導電膜をコーティングした状態を示した図である。
【図11】本発明の好適な実施例における製造方法によって製成された複数の高分子膜を重ねて設置した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照しながら、本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法について説明する。
【0024】
図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法のフローチャートである。本実施例の製造方法は、ステップS01からステップS04を備える。
【0025】
ステップS01は、混合ステップである。少なくとも、非対称性液晶(achiral liquid crystal)、光学活性添加剤(chiral dopant)、モノマー(monomer)及び光開始剤(photo initiator)を混合して、液晶モノマー混合物(liquid-crystal-monomer mixture)を製成することにより、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。透光容器は、例えば、透光部を有して光線を通過させるか、開口部を有して光線を通過させる。このステップにおいて、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合することも可能である。この時は、光学活性添加剤を混合物中に添加する必要がない。対称性液晶は、例えば全てのコレステリック液晶である。
【0026】
本実施例において、非対称性液晶は、対称性(chirality)を有さない液晶を意味する。例えば、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。光学活性添加剤は、非対称性液晶を誘導して螺旋配列を発生させ、その対称性を付与する。光学活性添加物は、例えば、 シアノビフェニル(cyanobiphenyl)派生物である。モノマーは、単官能モノマーまたは二官能モノマーである。ここでは、単官能モノマーの場合を例とする。これは、液晶相のモノマーを有し、光重合反応によって安定液晶の配向効果を達成する。モノマーは、例えば、BAHB(4,4’-Bis(6-acryloyxy-hexyloxy)biphenyl)である。また、単官能モノマーに多官能モノマーを混合して、クロスリンクポリマーを形成しても、溶剤に溶解するのを回避する。光開始剤の作用は、モノマーに照光時に光重合反応を生じさせる。
【0027】
本実施例において、非対称性液晶の重量パーセンテージは、10%から80%の間で、モノマーの重量パーセンテージは、20%から90%の間である。ここで、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤の混合比例は、53.3%、13.3%、33.3%及び0.1%である。室温下で均一に混合した後、液晶モノマー混合物はコレステリック液晶相を呈する。ここで注意すべきは、本実施例は、モノマーの重合パーセンテージ(従来は10%以下)を高めることにより、高分子膜のポリマーの対称性の転写率を高めることができるという点である。これは、高分子膜におけるフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高めるのに役立つ。
【0028】
ステップS02は、照光ステップである。マスクによって、液晶モノマー混合物に対して照光を行なう。ここでは、紫外光(例えば、254nm)によって照光を行ない、照光ステップを経た後、モノマーは光重合反応を生じてポリマーを形成し、液晶の対称性をポリマーに転写する。本実施例では、コレステリック液晶相によって転写を行なうため、高分子膜が有するフォトニック結晶構造はコレステリック液晶構造である。照光ステップは、図5で示したように、紫外光がマスクMによって液晶モノマー混合物2に対して照光を行なって、少なくとも1個の照光領域A1を形成する。ここでは、不限制マスクMの図案は制限されない。
【0029】
ステップS03は、拡散ステップである。液晶モノマー混合物2のうち、照光領域A1の周囲のモノマーを照光領域A1に拡散させる。照光領域において照光されると、このうちのモノマーはすでにポリマーとなる。このため、照光領域内のモノマーの濃度が照光領域周囲のモノマーの濃度より小さいことにより、照光領域周囲のモノマーが照光領域A1内に拡散される。このようにして、モノマーの重合率が高まる。ここでは、拡散ステップにおいて、液晶モノマー混合物が一定時間静置される。さらに、静置ステップにおいて、液晶モノマー混合物が照光を受けるのを回避する。また、本発明の製造方法は、複数回の照光及び拡散ステップを繰り返すことにより、大幅にモノマーの重合率が高まる。このうち、複数回の照光ステップにおいて、同じ領域または異なる領域に対して照光が行なわれる。
【0030】
ステップS04は、液晶除去ステップであり、非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。このステップにおいては、有機溶剤によって液晶を除去する。有機溶剤は、例えば、アセトンまたはクロロフォルムである。液晶は高分子膜中から完全に除去されて乾燥される。二官能基は耐性を有するため、モノマーは架橋(crosslink)後は溶解せず、よって、有機溶剤がポリマーを除去するのを回避する。図6の(A)と(B)は、高分子膜の横断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図であり、高分子の高転化率構造が見られる。このうち、図6の(B)は図6の(A)中の菱形フレーム領域の拡大図である。
【0031】
図7は、ステップS04の後に発生した高分子膜(Empty)が異なる波長に対する反射率を示した図である。高分子膜は、液晶分子を含まずとも、ブラッグ反射特性を有する。また、製造方法はさらに、充填ステップを備える。該充填ステップは、流体が高分子膜に充填される。流体は、気体または液体である。液体は、等方性液体または異方性液体であり、このうち、等方性液体は、例えば溶剤で、異方性液体は、例えば液晶である。溶剤は、例えば、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran, THF)、クロロフォルムまたはトルエンである。液晶は、例えば、コレステリック液晶、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。図7は、高分子膜にメタノール(屈折率=1.3284)、アセトン(屈折率=1.3586)、テトラヒドロフランTHF(屈折率=1.4072)、クロロフォルム(屈折率=1.4458)及びトルエン(屈折率=1.4969)を充填した時の異なる波長に対する反射率を示す。溶剤の屈折率の変化に伴い、その反射光の波長が異なる。この現象は、ブラッグ反射の原理λ=nP(nは平均屈折率)に適合する。
【0032】
図8を参照しながら説明する。ネマチック液晶を充填した高分子膜を、前記液晶の等方性相温度(約90度)を超すまで加熱しても、高分子膜は安定したブラッグBragg反射特性を有する。これは、本発明の高分子膜が極めて優れた温度安定性を有することを示している。
【0033】
また、流体が充填された後、高分子膜の製造方法はさらに、流体をさらに重合させる。重合後はエッジシーリングの必要がなく、高分子膜の安定性を高める。
【0034】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法の混合ステップでは、少なくとも対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成する。ここでは、直接対称性液晶を使用して対称性を高分子膜に転写するもので、非対称性液晶に光学活性添加剤を加えることによるものではない。
【0035】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法はさらに、配向させるステップを有して、前記液晶モノマー混合物を配向させる。例えば、透光容器の内側表面を平行配向処理を施すことによって、配向効果を達成する。平行配向処理は、高分子、有機、または無機層によって処理される。液晶モノマーを透光容器に充填または透光容器中に混合した時、配向ステップにおいて、液晶モノマー混合物に平面螺旋型(planar texture)を呈する。配向させた後、液晶モノマー混合物に対して照光重合を行なってから、後続ステップを進行させる。
【0036】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法は、図10に示したように、さらに、透明導電膜TCを前記高分子膜Fの一側にコーティングする。ここでは、両透明導電膜TCをそれぞれ高分子膜Fの上下両側にコーティングする場合を例としている。当然、高分子膜Fが上側のみに使用されて表示に供される場合は、下側の導電膜は不透光性である。透明導電膜によって高分子膜内に充填される流体(例えば、異方性液体)の分子配列、屈折率をコントロールすることにより、反射光の色を変化させることができる。
【0037】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法は、図11に示したように、さらに、製成された複数の高分子膜Fが重なって設置されることで形成される多層構造の高分子膜を備える。さらに、前記高分子膜Fは、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶を利用して製成されることで、高分子膜の反射光の輝度を高める。右旋性または左旋性コレステリック液晶を使用して転写される場合、理論上は、半分(50%)の入射光を反射するのみである。このため、左旋及び右旋コレステリック液晶を複製した高分子膜を重ねれば、全光反射(100%)の光学膜を製成することが可能である。
【0038】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法における照光ステップでは、レーザーによって対液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に照光を行なうことも可能である。図9を参照しながら説明する。レーザーヘッドLは、液晶モノマー混合物2の複数の照光領域A1(例えば、点線の範囲)に対して照射を行なうことにより、前記照光領域A1のモノマーに光重合反応を発生させてポリマーにする。その後、さらに、拡散ステップによって、モノマーを照光領域A1内に拡散させる。当然、照光ステップ及び拡散ステップを繰り返すことで、モノマーの重合率を高め、さらに、複数の照光ステップにおいて、レーザーが同じ領域または異なる領域に照射される。また、照光領域A1の形状及び複数の照光領域A1の配列方式は、ここでは制限されない。
【0039】
また、マスク、レーザーまたはマスクとレーザーを結合させた方法のいかなる方式による照光ステップを実行しても、液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域は、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間を有する。したがって、前記照光領域は異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を形成して、異なる波長の光線にブラッグ反射を生じさせて、高分子膜の応用性を拡大する。例えば、隣接して反射する三原色の三つの照光領域を形成する。
【0040】
このように、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、照光ステップを介して、液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光し、さらに、拡散ステップを介して、照光領域の周囲のモノマーを照光領域に拡散して、モノマーの重合率を高める。さらに、高分子膜の重合率の比例を高めると同時に、対称性の転写率を高めることで、充分なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供することにより、高分子膜はいかなる流体も充填せずに、ブラッグ反射特性を有することが可能である。また、複数回の照光及び拡散ステップにより、モノマーの重合率を大きく高めて、強力なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。また、本発明は、気体または液体を含む異なる流体を充填することにより、異なる反射光の色を表示して、高分子膜の応用性を拡大する。また、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、異なる照光領域のコレステリック液晶構造に、異なるピッチ及び/または屈折率をもたらして、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、何ら高価なコレステリック液晶によってブラッグ反射させる必要がないため、大幅なコストダウンが図れる。本発明の高分子膜は、特定の波長光を反射するのみで、その他の波長光は通過するため、太陽電池表面のカラー図案設計及び液晶表示LCDのバックライトモジュールの光拡散シートに応用される。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は以上のように構成したので、製造コストの安価な電子ペーパー、フラットパネルディスプレイ装置、広告用看板、バックライトモジュール、太陽電池の外側に設けるカラー図案等に用いる高分子膜等の製造方法として好適に用いられ、その用途は今後さらに拡大されることが予測されている。
【符号の説明】
【0043】
11 コレステリック液晶
12、13 ガラス基板
14 黒色吸収層
2 液晶モノマー混合物
A1 照光領域
F 高分子膜
L レーザーヘッド
M マスク
P ピッチ
S01〜S04 フォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法ステップ
TC 透明導電膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子膜の製造方法に関し、特に、フォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display, FPD)は、その製造技術の発展と、フラットパネルディスプレイが薄型かつ低消費電力であり、さらに輻射汚染がない等のメリットを有することから、徐々に従来の陰極線管(Cathode Ray Tube, CRT)ディスプレイに取って代わり、各種電子製品に応用されている。このうち、コレステリック液晶(Cholesteric Liquid Crystal)は、ディスプレイ技術に応用され、特に、電子ペーパーのような双安定性を有するディスプレイに応用されている。
【0003】
図1は、コレステリック液晶11の分子配列を示した図である。これは、対称性コレステリック液晶か、対称性化合物を添加した非対称性液晶である。コレステリック液晶は、基本的には、非対称炭素原子(chiral center)を有する。これらの分子が構成する液晶は、その分子が層状に平行に堆積して配列して、層と層が互いに平行であることにより、各層における分子は、ネマチックのように互いに同じ方向に配列しており、その長軸と層面は平行である。隣り合う両層間において、分子の長軸方向は規則的に順次に一定の角度に回転し、それぞれの層が回転して一種の螺旋状態構造を形成する。液晶分子の長軸方向は、さらに360度に一周回転した後、再び、同じ方向に戻ってピッチPを形成する。このタイプの液晶分子は、特殊な螺旋構造であるため、入射光を振れ回転させて、特殊な波長の光を射出する。そして、ピッチPはその最も強烈な反射光線の波長を決定する。
【0004】
図2及び図3は、コレステリック液晶の分子配列を示した図である。図2は、コレステリック液晶11が両ガラス基板12、13によって挟まれ、さらに、底部に黒色吸収層14が設置された状態を示している。追加の電場を有さない時、コレステリック液晶11は平面螺旋型(planar texture)であり、その螺旋周期(ピッチ)が、およそ光線の波長に等しいことにより、この種の周期性構造は特定の波長の光線にブラッグ(Bragg)反射を発生させる。その反射光のピークはλ=nP(nは平均屈折率)である。一般に、それは特定の波長範囲の光線を反射するのに用いられ、光学素子及び液晶ディスプレイの設計に応用される。図3は、垂直螺旋型のコレステリック液晶(focal-conic)配列である。
【0005】
現在、ブラッグ反射特性を有する光学膜の設計は、コレステリック液晶設計によるもので、純コレステリック液晶膜またはコレステリック液晶を混合した高分子膜を含む。
【0006】
このうち、高分子安定型コレステリック液晶において、少量のモノマー(濃度は10%以下)を添加することで、モノマーに高分子を形成させて、コレステリック液晶中に散布し、コレステリック液晶の平面螺旋型を安定させて、ブラッグ反射の効果を達成する。しかしながら、コレステリック液晶の価格は高く、大幅なコストアップとなるため、これまでは実用化を困難にしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、新たな製造方法により、コレステリック液晶を含まずにフォトニック結晶構造を有する高分子膜を形成することができ、さらに、生じた高分子膜がいかなる液晶または液体を含まずに、ブラッグ反射特性を有することにより、大幅な製造コストダウンを図り、その応用性を拡大する高分子膜の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、以下のステップを備える。
混合ステップでは、少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、また、以下のステップを備えることができる。
混合ステップでは、少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、また、以下のステップを備えることができる。
混合ステップでは、少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、レーザーによって、前記液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明フォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、また、以下のステップを備えることができる。
混合ステップでは、少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。
少なくとも1個の照光ステップでは、レーザーによって、前記液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光する。
少なくとも1個の拡散ステップでは、前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる。
液晶除去ステップでは、前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。
【0012】
一実施例において、本発明の製造方法は、前記照光ステップ及び前記拡散ステップを繰り返すことを含む。複数回の照光及び拡散ステップによってモノマーの重合率を顕著に高めることで、高分子膜に充分なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。
【0013】
一実施例において、拡散ステップは、液晶モノマー混合物を一定時間静置し、好適には、液晶モノマー混合物が光の照射を受けるのを回避して拡散効果を高める。
【0014】
一実施例において、液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域に、異なる照光回数、照光強度、照光時間によって照光を行なう。異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、前記照光領域のコレステリック液晶構造が、異なるピッチ及び/または屈折率を有して、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。
【0015】
一実施例において、フォトニック結晶構造はコレステリック液晶構造である。製造上は、コレステリック液晶転写(imprint)によって形成されるか、非対称性液晶(achiral LC)と光学活性添加剤(chiral dopant)の混合によって転写することで形成される。
【0016】
一実施例において、製造方法は、さらに、充填ステップを含む。
該充填ステップでは、高分子膜に流体が充填される。流体は気体または液体である。液体は、等方性液体または異方性液体であり、このうち、等方性液体は、例えば溶剤で、異方性液体は、例えば液晶である。溶剤は、例えば、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran, THF)、クロロフォルムまたはトルエンである。液晶は、例えば、コレステリック液晶、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。充填する液体が異方性液体である場合は、電場駆動によって異方性液体を制御することによって表示機能が達成され、さらに、応用される表示モジュールにおいて、高分子膜が必要とする填充液体(例えば、液晶)の量を大幅に減少させることができる。
【0017】
一実施例において、上述の流体は、さらに重合され、重合後はエッジシーリングの必要がなく、さらに高分子膜の安定性を高める。
【0018】
一実施例において、製造方法は、さらに透明導電膜を上述の流体を有する高分子膜の一側にコーティングするステップを含む。例えば、透明導電膜を高分子膜の上下両側にコーティングする方法である。透明導電膜が流体(例えば、異方性液体)の分子配列、屈折率をコントロールすることで、反射光の色を変化させることが可能である。
【0019】
一実施例において、製造方法は、さらに製成された複数の高分子膜を重ねて、多層構造の高分子膜を形成させるステップを含む。さらに、前記高分子膜は、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶を利用して製成する。これにより、高分子膜の反射光の輝度を高めることが可能である。
【0020】
このように、本発明は、照光ステップによって、液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光し、さらに、拡散ステップによって、照光領域周囲のモノマーを照光領域に拡散して、モノマーの重合率を高める。さらに、高分子膜のポリマーの比例を高めると同時に、対称性の転写率を高めることで、より充足したフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高分子膜に提供することにより、高分子膜はいかなる流体も充填せずにブラッグ反射特性を有することが可能である。また、複数回の照光及び拡散ステップにより、モノマーの重合率を大きく高めて、強力なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。また、本発明は、気体または液体を含む異なる流体を充填することにより、異なる反射光の色を表示して、高分子膜の応用性を拡大する。さらに、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、異なる照光領域のコレステリック液晶構造に、異なるピッチ及び/または屈折率をもたらして、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、何ら高価なコレステリック液晶によってブラッグ反射させる必要がないため、大幅なコストダウンが図れる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、照光ステップによって、液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光し、さらに、拡散ステップによって、照光領域周囲のモノマーを照光領域に拡散して、モノマーの重合率を高める。さらに、高分子膜のポリマーの比例を高めると同時に、対称性の転写率を高めることで、より充足したフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高分子膜に提供することにより、高分子膜はいかなる流体も充填せずにブラッグ反射特性を有することが可能である。また、複数回の照光及び拡散ステップにより、モノマーの重合率を大きく高めて、強力なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。また、本発明は、気体または液体を含む異なる流体を充填することにより、異なる反射光の色を有して高分子膜の応用性を拡大する。さらに、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、異なる照光領域のコレステリック液晶構造に、異なるピッチ及び/または屈折率をもたらして、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、何ら高価なコレステリック液晶によってブラッグ反射させる必要がないため、大幅なコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コレステリック液晶の分子配列を示した図である。
【図2】コレステリック液晶が平面螺旋型配列であり、ブラッグ反射特性を有することを示した図である。
【図3】コレステリック液晶が垂直螺旋型配列であることを示した図である。
【図4】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法のフローチャートである。
【図5】本発明の好適な実施例においてマスクによって照光ステップが進行することを示した図である。
【図6】高分子膜の横断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図を示し、(A)は高分子膜全体の画像図であり、(B)は(A)の中の菱形フレームの部分の拡大画像図である。
【図7】本発明の好適な実施例における製造方法によって製成された高分子膜及びその異なる液体を充填した時に異なる波長に対する反射率を示した図である。
【図8】高分子膜のネマチック液晶を充填して異なる温度まで加熱した場合の反射率を示した図である。
【図9】本発明の好適な実施例におけるレーザーによる照光ステップを示した図である。
【図10】本発明の好適な実施例における製造方法によって製成された高分子膜に透明導電膜をコーティングした状態を示した図である。
【図11】本発明の好適な実施例における製造方法によって製成された複数の高分子膜を重ねて設置した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照しながら、本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法について説明する。
【0024】
図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法のフローチャートである。本実施例の製造方法は、ステップS01からステップS04を備える。
【0025】
ステップS01は、混合ステップである。少なくとも、非対称性液晶(achiral liquid crystal)、光学活性添加剤(chiral dopant)、モノマー(monomer)及び光開始剤(photo initiator)を混合して、液晶モノマー混合物(liquid-crystal-monomer mixture)を製成することにより、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される。透光容器は、例えば、透光部を有して光線を通過させるか、開口部を有して光線を通過させる。このステップにおいて、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合することも可能である。この時は、光学活性添加剤を混合物中に添加する必要がない。対称性液晶は、例えば全てのコレステリック液晶である。
【0026】
本実施例において、非対称性液晶は、対称性(chirality)を有さない液晶を意味する。例えば、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。光学活性添加剤は、非対称性液晶を誘導して螺旋配列を発生させ、その対称性を付与する。光学活性添加物は、例えば、 シアノビフェニル(cyanobiphenyl)派生物である。モノマーは、単官能モノマーまたは二官能モノマーである。ここでは、単官能モノマーの場合を例とする。これは、液晶相のモノマーを有し、光重合反応によって安定液晶の配向効果を達成する。モノマーは、例えば、BAHB(4,4’-Bis(6-acryloyxy-hexyloxy)biphenyl)である。また、単官能モノマーに多官能モノマーを混合して、クロスリンクポリマーを形成しても、溶剤に溶解するのを回避する。光開始剤の作用は、モノマーに照光時に光重合反応を生じさせる。
【0027】
本実施例において、非対称性液晶の重量パーセンテージは、10%から80%の間で、モノマーの重量パーセンテージは、20%から90%の間である。ここで、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤の混合比例は、53.3%、13.3%、33.3%及び0.1%である。室温下で均一に混合した後、液晶モノマー混合物はコレステリック液晶相を呈する。ここで注意すべきは、本実施例は、モノマーの重合パーセンテージ(従来は10%以下)を高めることにより、高分子膜のポリマーの対称性の転写率を高めることができるという点である。これは、高分子膜におけるフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高めるのに役立つ。
【0028】
ステップS02は、照光ステップである。マスクによって、液晶モノマー混合物に対して照光を行なう。ここでは、紫外光(例えば、254nm)によって照光を行ない、照光ステップを経た後、モノマーは光重合反応を生じてポリマーを形成し、液晶の対称性をポリマーに転写する。本実施例では、コレステリック液晶相によって転写を行なうため、高分子膜が有するフォトニック結晶構造はコレステリック液晶構造である。照光ステップは、図5で示したように、紫外光がマスクMによって液晶モノマー混合物2に対して照光を行なって、少なくとも1個の照光領域A1を形成する。ここでは、不限制マスクMの図案は制限されない。
【0029】
ステップS03は、拡散ステップである。液晶モノマー混合物2のうち、照光領域A1の周囲のモノマーを照光領域A1に拡散させる。照光領域において照光されると、このうちのモノマーはすでにポリマーとなる。このため、照光領域内のモノマーの濃度が照光領域周囲のモノマーの濃度より小さいことにより、照光領域周囲のモノマーが照光領域A1内に拡散される。このようにして、モノマーの重合率が高まる。ここでは、拡散ステップにおいて、液晶モノマー混合物が一定時間静置される。さらに、静置ステップにおいて、液晶モノマー混合物が照光を受けるのを回避する。また、本発明の製造方法は、複数回の照光及び拡散ステップを繰り返すことにより、大幅にモノマーの重合率が高まる。このうち、複数回の照光ステップにおいて、同じ領域または異なる領域に対して照光が行なわれる。
【0030】
ステップS04は、液晶除去ステップであり、非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。このステップにおいては、有機溶剤によって液晶を除去する。有機溶剤は、例えば、アセトンまたはクロロフォルムである。液晶は高分子膜中から完全に除去されて乾燥される。二官能基は耐性を有するため、モノマーは架橋(crosslink)後は溶解せず、よって、有機溶剤がポリマーを除去するのを回避する。図6の(A)と(B)は、高分子膜の横断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図であり、高分子の高転化率構造が見られる。このうち、図6の(B)は図6の(A)中の菱形フレーム領域の拡大図である。
【0031】
図7は、ステップS04の後に発生した高分子膜(Empty)が異なる波長に対する反射率を示した図である。高分子膜は、液晶分子を含まずとも、ブラッグ反射特性を有する。また、製造方法はさらに、充填ステップを備える。該充填ステップは、流体が高分子膜に充填される。流体は、気体または液体である。液体は、等方性液体または異方性液体であり、このうち、等方性液体は、例えば溶剤で、異方性液体は、例えば液晶である。溶剤は、例えば、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran, THF)、クロロフォルムまたはトルエンである。液晶は、例えば、コレステリック液晶、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。図7は、高分子膜にメタノール(屈折率=1.3284)、アセトン(屈折率=1.3586)、テトラヒドロフランTHF(屈折率=1.4072)、クロロフォルム(屈折率=1.4458)及びトルエン(屈折率=1.4969)を充填した時の異なる波長に対する反射率を示す。溶剤の屈折率の変化に伴い、その反射光の波長が異なる。この現象は、ブラッグ反射の原理λ=nP(nは平均屈折率)に適合する。
【0032】
図8を参照しながら説明する。ネマチック液晶を充填した高分子膜を、前記液晶の等方性相温度(約90度)を超すまで加熱しても、高分子膜は安定したブラッグBragg反射特性を有する。これは、本発明の高分子膜が極めて優れた温度安定性を有することを示している。
【0033】
また、流体が充填された後、高分子膜の製造方法はさらに、流体をさらに重合させる。重合後はエッジシーリングの必要がなく、高分子膜の安定性を高める。
【0034】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法の混合ステップでは、少なくとも対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成する。ここでは、直接対称性液晶を使用して対称性を高分子膜に転写するもので、非対称性液晶に光学活性添加剤を加えることによるものではない。
【0035】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法はさらに、配向させるステップを有して、前記液晶モノマー混合物を配向させる。例えば、透光容器の内側表面を平行配向処理を施すことによって、配向効果を達成する。平行配向処理は、高分子、有機、または無機層によって処理される。液晶モノマーを透光容器に充填または透光容器中に混合した時、配向ステップにおいて、液晶モノマー混合物に平面螺旋型(planar texture)を呈する。配向させた後、液晶モノマー混合物に対して照光重合を行なってから、後続ステップを進行させる。
【0036】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法は、図10に示したように、さらに、透明導電膜TCを前記高分子膜Fの一側にコーティングする。ここでは、両透明導電膜TCをそれぞれ高分子膜Fの上下両側にコーティングする場合を例としている。当然、高分子膜Fが上側のみに使用されて表示に供される場合は、下側の導電膜は不透光性である。透明導電膜によって高分子膜内に充填される流体(例えば、異方性液体)の分子配列、屈折率をコントロールすることにより、反射光の色を変化させることができる。
【0037】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法は、図11に示したように、さらに、製成された複数の高分子膜Fが重なって設置されることで形成される多層構造の高分子膜を備える。さらに、前記高分子膜Fは、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶を利用して製成されることで、高分子膜の反射光の輝度を高める。右旋性または左旋性コレステリック液晶を使用して転写される場合、理論上は、半分(50%)の入射光を反射するのみである。このため、左旋及び右旋コレステリック液晶を複製した高分子膜を重ねれば、全光反射(100%)の光学膜を製成することが可能である。
【0038】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法における照光ステップでは、レーザーによって対液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に照光を行なうことも可能である。図9を参照しながら説明する。レーザーヘッドLは、液晶モノマー混合物2の複数の照光領域A1(例えば、点線の範囲)に対して照射を行なうことにより、前記照光領域A1のモノマーに光重合反応を発生させてポリマーにする。その後、さらに、拡散ステップによって、モノマーを照光領域A1内に拡散させる。当然、照光ステップ及び拡散ステップを繰り返すことで、モノマーの重合率を高め、さらに、複数の照光ステップにおいて、レーザーが同じ領域または異なる領域に照射される。また、照光領域A1の形状及び複数の照光領域A1の配列方式は、ここでは制限されない。
【0039】
また、マスク、レーザーまたはマスクとレーザーを結合させた方法のいかなる方式による照光ステップを実行しても、液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域は、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間を有する。したがって、前記照光領域は異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を形成して、異なる波長の光線にブラッグ反射を生じさせて、高分子膜の応用性を拡大する。例えば、隣接して反射する三原色の三つの照光領域を形成する。
【0040】
このように、本発明のフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法は、照光ステップを介して、液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光し、さらに、拡散ステップを介して、照光領域の周囲のモノマーを照光領域に拡散して、モノマーの重合率を高める。さらに、高分子膜の重合率の比例を高めると同時に、対称性の転写率を高めることで、充分なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供することにより、高分子膜はいかなる流体も充填せずに、ブラッグ反射特性を有することが可能である。また、複数回の照光及び拡散ステップにより、モノマーの重合率を大きく高めて、強力なフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を提供する。また、本発明は、気体または液体を含む異なる流体を充填することにより、異なる反射光の色を表示して、高分子膜の応用性を拡大する。また、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間によって、異なる照光領域のコレステリック液晶構造に、異なるピッチ及び/または屈折率をもたらして、ブラッグ反射の光線波長を変化させる。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、何ら高価なコレステリック液晶によってブラッグ反射させる必要がないため、大幅なコストダウンが図れる。本発明の高分子膜は、特定の波長光を反射するのみで、その他の波長光は通過するため、太陽電池表面のカラー図案設計及び液晶表示LCDのバックライトモジュールの光拡散シートに応用される。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は以上のように構成したので、製造コストの安価な電子ペーパー、フラットパネルディスプレイ装置、広告用看板、バックライトモジュール、太陽電池の外側に設けるカラー図案等に用いる高分子膜等の製造方法として好適に用いられ、その用途は今後さらに拡大されることが予測されている。
【符号の説明】
【0043】
11 コレステリック液晶
12、13 ガラス基板
14 黒色吸収層
2 液晶モノマー混合物
A1 照光領域
F 高分子膜
L レーザーヘッド
M マスク
P ピッチ
S01〜S04 フォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法ステップ
TC 透明導電膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項2】
少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項3】
少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
レーザーによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項4】
少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
レーザーによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記照光ステップ及び前記拡散ステップを繰り返すステップを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項6】
前記拡散ステップは、前記液晶モノマー混合物を一定時間静置させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項7】
前記拡散ステップにおいて、前記液晶モノマー混合物が照光を受けるのを回避することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項8】
前記液晶除去ステップにおいて、有機溶剤によって前記液晶を除去することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項9】
前記液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域は、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項10】
前記フォトニック結晶構造は、コレステリック構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項11】
さらに、流体を前記高分子膜に充填する充填ステップを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項12】
前記流体は、気体または液体であることを特徴とする請求項11項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項13】
前記液体は、等方性液体または異方性液体であることを特徴とする請求項12項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項14】
前記流体は、さらに重合されることを特徴とする請求項11項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項15】
さらに、透明導電膜が前記高分子膜の一側にコーティングされることを特徴とする請求項11項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項16】
前記透光容器の内側表面に平行配向処理が行なわれることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項17】
前記平行配向処理は、高分子、有機、または無機層よって処理されることを特徴とする請求項16項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項18】
さらに、
複数の高分子膜を製成する時、前記高分子膜を重ねて設置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項19】
前記高分子膜は、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶を利用して製成されることを特徴とする請求項18項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項1】
少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項2】
少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
マスクによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項3】
少なくとも、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
レーザーによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項4】
少なくとも、対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することで、前記液晶モノマー混合物が透光容器に充填される混合ステップと、
レーザーによって、前記液晶モノマー混合物に対して照光する少なくとも1個の照光ステップと、
前記液晶モノマー混合物のうちの一照光領域の周囲のモノマーを前記照光領域に拡散させる少なくとも1個の拡散ステップと、
前記対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる液晶除去ステップとを、備えることを特徴とするフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記照光ステップ及び前記拡散ステップを繰り返すステップを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項6】
前記拡散ステップは、前記液晶モノマー混合物を一定時間静置させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項7】
前記拡散ステップにおいて、前記液晶モノマー混合物が照光を受けるのを回避することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項8】
前記液晶除去ステップにおいて、有機溶剤によって前記液晶を除去することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項9】
前記液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域は、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項10】
前記フォトニック結晶構造は、コレステリック構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項11】
さらに、流体を前記高分子膜に充填する充填ステップを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項12】
前記流体は、気体または液体であることを特徴とする請求項11項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項13】
前記液体は、等方性液体または異方性液体であることを特徴とする請求項12項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項14】
前記流体は、さらに重合されることを特徴とする請求項11項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項15】
さらに、透明導電膜が前記高分子膜の一側にコーティングされることを特徴とする請求項11項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項16】
前記透光容器の内側表面に平行配向処理が行なわれることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項17】
前記平行配向処理は、高分子、有機、または無機層よって処理されることを特徴とする請求項16項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項18】
さらに、
複数の高分子膜を製成する時、前記高分子膜を重ねて設置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項19】
前記高分子膜は、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶を利用して製成されることを特徴とする請求項18項に記載の高分子膜の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【公開番号】特開2012−48189(P2012−48189A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45531(P2011−45531)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】
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