説明

フォトレジストストリッパー組成物及びこれを利用したフォトレジストの剥離方法

本発明は、フォトレジストストリッパー組成物に関するものである。より具体的に、本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、化学式1で示される化合物を含むことによって、フォトレジストの剥離能力が優れていて、フォトレジスト下部膜にモリブデン(Mo)が含まれる場合にもフォトレジスト下部膜に対する腐蝕防止力が優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストストリッパー組成物及びこれを利用したフォトレジストの剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路または液晶表示素子の微細回路の製造工程は、基板上に形成されたアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、モリブデン、モリブデン合金などの導電性金属膜、またはシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜にフォトレジストを均一に塗布し、これを選択的に露光、現像処理して、フォトレジストパターンを形成した後、パターン化されたフォトレジスト膜をマスクとして前記導電性金属膜や絶縁膜を湿式または乾式エッチングして、微細回路パターンをフォトレジスト下部層に転写した後、不必要になったフォトレジスト層をストリッパー(剥離液)で除去する工程で行われる。
【0003】
前記半導体素子及び液晶表示素子製造用フォトレジストを除去するためのストリッパーが備えるべき基本特性は、下記の通りである。
【0004】
まず、低温で短時間内にフォトレジストを剥離することができ、洗浄(rinse)後に基板上にフォトレジスト残留物を残さない優れた剥離能力を備えなければならない。また、フォトレジスト下部層の金属膜や絶縁膜を損傷させない低腐蝕性を備えなければならない。また、ストリッパーの構成溶剤間に相互反応が発生すると、ストリッパーの保存安定性が問題になり、ストリッパーの製造時の混合順序によって異なる物性を示すこともあるので、混合溶剤間の無反応性及び高温安定性を備えなければならない。また、作業者の安全や廃棄処理時の環境問題を考慮して、低毒性を備えなければならない。また、高温でフォトレジストの剥離工程が行われる場合に、揮発が著しく発生すると、構成成分比が急速に変化して、ストリッパーの工程安定性及び作業再現性が低下するので、低揮発性を備えなければならない。また、一定のストリッパー量で処理することができる基板の数が多くなければならず、ストリッパーの構成成分の需給が容易で安価で、廃ストリッパーの再処理による再利用が可能で、経済性を備えなければならない。
【0005】
このような条件を充たすために、多様なフォトレジスト用ストリッパー組成物が開発されている。しかし、より優れたフォトレジストストリッパー組成物として、組成物内の他の成分と反応せず、不必要な副産物を発生させず、特に、フォトレジスト下部層の金属膜や絶縁膜を損傷させない低腐蝕性を備えたフォトレジストストリッパー組成物の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フォトレジストの剥離効果が優れていて、フォトレジストの剥離工程を繰りかえす場合にもフォトレジスト下部膜を腐蝕させない、フォトレジストストリッパー組成物を提供することを目的とする。特に、フォトレジスト下部膜としてCu膜/Mo膜の多層膜を使用する場合にも下部膜の腐蝕がなく、効率的にフォトレジストを剥離することができる、フォトレジストストリッパー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、1)下記の化学式1で示される化合物及び2)溶媒を含む、フォトレジストストリッパー組成物を提供する。
【化1】

前記化学式1で、R、R′、及びR″は互いに同一であるか相異して、各々独立的に炭素数1乃至6の直鎖または分枝鎖のアルキレンである。
【0008】
また、本発明は、前記フォトレジストストリッパー組成物を利用してフォトレジストを剥離する方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、フォトレジストの剥離速度、剥離効率などが優れているだけでなく、フォトレジスト下部膜に対する腐蝕防止力が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】化学式1−2で示される化合物のNMRデータである。
【図2】化学式1−2で示される化合物のNMRデータである。
【図3】フォトレジストストリッパー組成物のアミン化合物による剥離速度を評価した結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
ディスプレイの高解像度、大画面化が進められるのに伴って、低抵抗の銅(Cu)配線が必須的に要求されている。Cuの場合、ガラスとの密着力が低く、下部膜への拡散が著しく、拡散防止膜として他の金属膜が必要である。現在は、一般的に、モリブデン(Mo)合金を利用したCu/Mo合金の二重膜が適用されている。
【0013】
しかし、Mo合金の場合、蒸着装置内のパーティクル(particle)汚染、例えばTi粒子によるパーティクル汚染が著しく、収率を低下させる短所があり、またターゲット(target)の価格が高価な短所がある。
【0014】
Mo合金の代わりにMoを下部膜に適用する場合、MoがCuとガルバニックカップル(galvanic couple)を形成するので、高温の塩基性フォトレジストストリッパーを利用する場合、腐蝕が著しく発生する。したがって、フォトレジストストリッパーによる腐蝕の問題のため、フォトレジスト下部膜としてCu/Moを適用した企業はいまだない。
【0015】
しかし、本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、前記化学式1で示される化合物を含むことによって、フォトレジスト下部膜の腐蝕の問題を解決することができるだけでなく、従来の有機アミン化合物を利用する場合より剥離速度が優れている。
【0016】
従来は、Mo膜の厚さが10nm以下の水準では、ガルバニック現象が著しく、フォトレジストストリッパー組成物の適用そのものが不可能であったが、本発明では、ガルバニック現象を制御することができるので、Mo膜が10nm以下である場合にも適用が可能である。
【0017】
また、工程中に不良が発生する場合、再作業(rework)を行うが、フォトレジストの剥離工程の回数によって腐蝕がより深刻になり、廃棄処分するしかなかったが、本発明では、フォトレジストの剥離工程を数回繰りかえす場合にも腐蝕の問題が発生しないので、再作業が可能である。
【0018】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、1)前記化学式1で示される化合物及び2)溶媒を含むことを特徴とする。
【0019】
前記化学式1において、Rはメチレンであるのが好ましく、R′は炭素数2以上のアルキレンであるのが好ましく、エチレンであるのがより好ましい。好ましい化合物の構造式は、下記の化学式1−1の通りである。
【化2】

前記化学式1−1で、R″は炭素数1乃至6の直鎖または分枝鎖のアルキレンである。
前記化学式1−1で示される化合物は、下記の化学式1−2で示される化合物であるのがより好ましい。
【化3】

前記化学式1で示される化合物は、沸点(b.p.)が54〜58℃/3.3torrであるのが好ましい。
【0020】
前記化学式1で示される化合物は、下記の化学式2で示される化合物を(RO)n(ここで、Rは炭素数1乃至6のアルキレンであり、nは1乃至20の整数である)及び溶媒の存在下で還流(reflux)させる段階を含む方法によって製造される。
【化4】

前記化学式2で、R′及びR″は互いに同一であるか相異して、各々独立的に炭素数1乃至6の直鎖または分枝鎖のアルキレンである。
【0021】
前記方法において、Rはメチレン、R′及びR″はエチレン、nは1であるのが好ましい。
【0022】
前記方法において、溶媒は特に限定されないが、ベンゼン、メタノールなどのアルコール類などが好ましい。
【0023】
前記方法において、前記還流のために前記反応物を加熱する。前記還流温度は、溶媒の沸点により当業者が容易に決定することができる。例えば、溶媒がベンゼンである場合には、85〜95℃であるのが好ましい。前記還流時間は、30分内乃至2時間であるのが好ましく、約1時間であるのがより好ましい。前記方法は、常圧で行うことができる。
前記製造方法の一具体例を下記の反応式1に示した。
【化5】

【0024】
前記化学式1で示される化合物の含有量は、組成物全体の総重量中1〜35重量%であるのが好ましく、3〜30重量%であるのがより好ましい。万が一、前記1)有機アミン化合物の含有量が1重量%未満である場合には、変性されたフォトレジストに対する剥離能力が充分でなく、35重量%を超過する場合には、粘度が増加して、フォトレジストへの浸透力が低く、剥離時間が増加して、フォトレジスト下部層の導電性金属膜に対する腐蝕が著しくなる問題点が発生する。
【0025】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、前記化学式1で示される化合物以外に、本発明の技術分野で周知の有機アミン化合物を追加的に含むことができる。より具体的な例としては、モノエタノールアミン(MEA)、1−アミノイソプロパノール(AIP)、2−アミノ−1−プロパノール、N−メチルアミノエタノール(N−MAE)、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−(2−アミノエトキシ)−1−エタノール(AEE)、2−(2−アミノエチルアミノ)−1−エタノール、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ヒドロキシエチルピペラジン(HEP)などがあるが、これに限定されない。
【0026】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物において、前記追加的な有機アミン化合物を含む場合には、前記化学式1で示される化合物及び追加的な有機アミン化合物の総含有量は、組成物全体の総重量中1〜35重量%であるのが好ましく、3〜30重量%であるのがより好ましい。
【0027】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物において、前記2)溶媒は、水及び有機化合物との常用性が優れていて、フォトレジストを溶解する溶剤の役割を果たす。また、ストリッパーの表面張力を低下させて、フォトレジスト膜に対する湿潤性(wetting property)を向上させる。
【0028】
前記2)溶媒は、本発明の技術分野で周知の溶媒を利用することができる。その具体的な例としては、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアミド(NMF)、テトラメチレンスルホン、ブチルジグリコール(butyl diglycol、BDG)、エチルジグリコール(ethyl diglycol、EDG)、メチルジグリコール(methyl diglycol、MDG)、トリエチレングリコール(triethylene glycol、TEG)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(diethyleneglycol monoethylether、DEM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethyleneglycol monoethylether)、またはこれらの混合物などがあるが、これに限定されない。
【0029】
前記2)溶媒の含有量は、組成物全体の総重量中65〜99重量%であるのが好ましく、70〜97重量%であるのがより好ましい。万が一、溶媒の含有量が65重量%未満である場合には、ストリッパーの粘度が増加して、ストリッパーの剥離能力が低下する問題点が発生する。
【0030】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、下記の化学式3、化学式4、化学式5、化学式6、及び化学式7で示される化合物からなる群より選択される1種以上の腐蝕防止剤を追加的に含むことができる。
【0031】
【化6】

前記化学式3で、R1は水素、炭素数1乃至12のアルキル基、チオール基、またはヒドロキシ基であり、R2は水素、炭素数1乃至12のアルキル基、アルコキシ基、または炭素数6乃至20のアリール基であり、R3は水素、炭素数1乃至12のアルキル基、アルコキシ基、またはヒドロキシ基である。
【0032】
前記ベンズイミダゾール系化合物としては、ベンズイミダゾール、2−ヒドロキシベンズイミダゾール、2−メチルベンズイミダゾール、2−(ヒドロキシメチル)ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールなどがあり、ベンズイミダゾールまたは2−(ヒドロキシメチル)ベンズイミダゾールであるのが好ましいが、これに限定されない。
【0033】
【化7】

前記化学式4で、R4は水素または炭素数1乃至4のアルキル基であり、R5及びR6は互いに同一であるか相異して、各々独立的に炭素数1乃至4のヒドロキシアルキル基である。
【0034】
【化8】

前記化学式5で、R7は水素または炭素数1乃至4のアルキル基である。
【0035】
【化9】

前記化学式6で、R8は水素または炭素数1乃至4のアルキル基である。
【0036】
【化10】

前記化学式7で、R9及びR10は互いに同一であるか相異して、各々独立的に水素またはヒドロキシ基であり、R11は水素、t−ブチル基、カルボン酸基(−COOH)、メチルエステル基(−COOCH)、エチルエステル基(−COOC)、またはプロピルエステル基(−COOC)である。
【0037】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物において、前記腐蝕防止剤の含有量は、組成物全体の総重量中0.01〜5重量%であるのが好ましく、0.1〜1重量%であるのがより好ましい。万が一、前記腐蝕防止剤の含有量が0.01重量%未満である場合には、剥離しようとする基板が長時間ストリッパーと接触する時に金属配線で部分的な腐蝕が発生し、5重量%を超過する場合には、粘度が増加して、剥離能力が減少し、組成物の価格が上昇して、価格対比性能の面で非効率的である。
【0038】
本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、フォトレジストの剥離能力が優れているだけでなく、フォトレジスト下部層の導電性金属膜及び絶縁膜を損傷させず、フォトレジスト下部層の導電性金属膜または絶縁膜に対する腐蝕防止力が優れている。
【0039】
前記導電性金属膜または絶縁膜は、アルミニウム、銅、ネオジム、モリブデンなどの金属、またはこれらの金属の合金からなる単一膜、または2層以上の多層膜である。より好ましくは、アルミニウム、銅、またはこれらの合金を含む単一膜、または2層以上の多層膜であったり、アルミニウム、銅、またはこれらの合金とネオジム、モリブデン、またはこれらの合金とを含む単一膜、または2層以上の多層膜である。
【0040】
本発明によるフォトレジストの剥離方法は、前記本発明によるフォトレジストストリッパー組成物を利用することを特徴とする。
【0041】
本発明の一つの実施形態によるフォトレジストの剥離方法は、1)基板上に形成された導電性金属膜または絶縁膜にフォトレジストを塗布する段階、2)前記基板にフォトレジストパターンを形成する段階、3)前記パターンが形成されたフォトレジストをマスクとして前記導電性金属膜または絶縁膜をエッチングする段階、及び4)本発明のフォトレジストストリッパー組成物を利用してフォトレジストを剥離する段階を含む。
【0042】
本発明のまた一つの実施形態によるフォトレジストの剥離方法は、1)基板上にフォトレジストを全面塗布する段階、2)前記基板にフォトレジストパターンを形成する段階、3)前記フォトレジストパターンが形成された基板に導電性金属膜または絶縁膜を形成する段階、及び4)本発明のフォトレジストストリッパー組成物を利用してフォトレジストを剥離する段階を含む。
【0043】
前記本発明によるフォトレジストの剥離方法において、前記導電性金属膜または絶縁膜は、アルミニウム、銅、ネオジム、モリブデンなどの金属、またはこれら金属の合金からなる単一膜、または2層以上の多層膜である。具体的には、Al−Nd/Mo二重膜、Cu/Mo二重膜などであるのが好ましい。
【0044】
本発明のフォトレジストストリッパー組成物を利用して微細回路パターンが形成された基板からフォトレジストを剥離する方法は、多量のストリッパー液に剥離しようとする基板を同時に多数枚浸漬(dipping)するディップ方式、及び基板1枚ずつにストリッパー液をスプレー(噴霧)してフォトレジストを除去するシングル方式の全てを使用することができる。
【0045】
本発明のフォトレジストストリッパー組成物を利用して剥離することができるフォトレジストの種類としては、ポジ型フォトレジスト、ネガ型フォトレジスト、ポジ型/ネガ型兼用フォトレジスト(dual tone photoresist)があり、構成成分に制限はないが、特に効果的に適用されるフォトレジストは、ノボラック系フェノール樹脂及びジアゾナフトキノンを根幹とする光活性化合物から構成されたフォトレジストである。
【0046】
本発明により、前記フォトレジストストリッパー組成物を利用してフォトレジストを剥離して製造された液晶表示装置または半導体素子は、フォトレジストの剥離時に微細パターンが形成された基板が腐蝕または損傷されず、残留フォトレジストが少ない特徴がある。
【0047】
このように、本発明によれば、エッチング工程の間に変性されたフォトレジスト膜を高温及び低温でも短時間内に容易に除去することができ、フォトレジスト下部のアルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅合金、モリブデンまたはモリブデン合金などの導電性膜及び絶縁膜に対する腐蝕が少ないフォトレジストストリッパー組成物を提供することができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の理解のために、好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより簡単に理解するために提供するものにすぎず、本発明の内容がこれによって限定されるのではない。
【0049】
〈製造例〉 有機アミン化合物の製造
前記反応式1によって化学式1−2で示される化合物を製造した。この時、常圧下で反応温度は85〜95℃であり、還流時間は1時間であった。製造された化合物の物性は下記の通りであり、そのNMRデータを図1及び図2に示した。

化学式:C12
Mass:116.09
Mol.Wt.:116.16
m/e:116.09(100.0%)、117.10(5.6%)
C,51.70;H,10.41;N,24.12;O,13.77
【0050】
〈実施例1〜2〉
下記の表1に記載されている成分及び組成比を利用して、常温で2時間攪拌した後、0.1μmでろ過して、ストリッパー溶液を製造した。
〈比較例1〜3〉
下記の表1に記載されている成分及び組成比を利用して、前記実施例1〜2と同様な方法でストリッパー溶液を製造した。
【表1】

【0051】
〈実験例〉
1)剥離速度の評価
前記実施例1及び比較例1〜3で製造したフォトレジストストリッパー組成物を利用して、各々140℃、150℃、及び160℃で5分間ハードベーク(hard bake)したフォトレジストに対する剥離工程を行い、フォトレジストが完全に剥離されるのにかかる時間を測定した。評価結果は下記の表2及び図3に示した。
【表2】

【0052】
前記表2及び図3の結果から、本発明によるフォトレジストストリッパー組成物は、剥離能力が優れていて、剥離速度が速いことが分かる。
【0053】
2)腐蝕程度の評価
前記実施例1及び比較例1〜3で製造したフォトレジストストリッパー組成物を利用して、フォトレジストの剥離工程を行った後、試片の表面、側面、及び断面の腐蝕程度を観察して、その結果を下記の表3に示した。この時、前記腐蝕程度は、下記のような基準で評価した。

◎:表面及び側面に腐蝕が全くない場合
○:表面及び側面に若干の腐蝕がある場合
△:表面及び側面に部分的な腐蝕がある場合
×:表面及び側面に全体的に激しい腐蝕がある場合
【表3】

【0054】
前記表3の結果から、本発明によるフォトレジスト組成物は、フォトレジスト下部膜の種類に関係なく、全て腐蝕防止力が優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記の化学式1で示される化合物及び2)溶媒を含む、フォトレジストストリッパー組成物
【化1】

(前記化学式1で、R、R′、及びR″は互いに同一であるか相異して、各々独立的に炭素数1乃至6の直鎖または分枝鎖のアルキレンである)。
【請求項2】
前記化学式1で示される化合物は、下記の化学式1−1で示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストストリッパー組成物
【化2】

(前記化学式1−1で、R″は炭素数1乃至6の直鎖または分枝鎖のアルキレンである)。
【請求項3】
前記化学式1で示される化合物は、下記の化学式1−2で示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストストリッパー組成物。
【化3】

【請求項4】
前記化学式1で示される化合物の含有量は、組成物全体の総重量中1〜35重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストストリッパー組成物。
【請求項5】
前記フォトレジストストリッパー組成物は、モノエタノールアミン(MEA)、1−アミノイソプロパノール(AIP)、2−アミノ−1−プロパノール、N−メチルアミノエタノール(N−MAE)、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−(2−アミノエトキシ)−1−エタノール(AEE)、2−(2−アミノエチルアミノ)−1−エタノール、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、及びヒドロキシエチルピペラジン(HEP)からなる群より選択される1種以上の有機アミン化合物を追加的に含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストストリッパー組成物。
【請求項6】
前記2)溶媒は、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアミド(NMF)、テトラメチレンスルホン、ブチルジグリコール(butyldiglycol、BDG)、エチルジグリコール(ethyl diglycol、EDG)、メチルジグリコール(methyl diglycol、MDG)、トリエチレングリコール(triethyleneglycol、TEG)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(diethyleneglycol monoethylether、DEM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(diethyleneglycol monoethylether)、及びこれらの混合物からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストストリッパー組成物。
【請求項7】
前記2)溶媒の含有量は、組成物全体の総重量中65〜99重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストストリッパー組成物。
【請求項8】
前記フォトレジストストリッパー組成物は、下記の化学式3、化学式4、化学式5、化学式6、及び化学式7で示される化合物からなる群より選択される1種以上の腐蝕防止剤を追加的に含むことを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストストリッパー組成物
【化4】

(前記化学式3で、R1は水素、炭素数1乃至12のアルキル基、チオール基、またはヒドロキシ基であり、R2は水素、炭素数1乃至12のアルキル基、アルコキシ基、または炭素数6乃至20のアリール基であり、R3は水素、炭素数1乃至12のアルキル基、アルコキシ基、またはヒドロキシ基である)、
【化5】

(前記化学式4で、R4は水素または炭素数1乃至4のアルキル基であり、R5及びR6は互いに同一であるか相異して、各々独立的に炭素数1乃至4のヒドロキシアルキル基である)、
【化6】

(前記化学式5で、R7は水素または炭素数1乃至4のアルキル基である)、
【化7】

(前記化学式6で、R8は水素または炭素数1乃至4のアルキル基である)、
【化8】

(前記化学式7で、R9及びR10は互いに同一であるか相異して、各々独立的に水素またはヒドロキシ基であり、R11は水素、t−ブチル基、カルボン酸基(−COOH)、メチルエステル基(−COOCH)、エチルエステル基(−COOC)、またはプロピルエステル基(−COOC)である)。
【請求項9】
前記腐蝕防止剤の含有量は、組成物全体の総重量中0.01〜5重量%であることを特徴とする、請求項8に記載のフォトレジストストリッパー組成物。
【請求項10】
1)基板上に形成された導電性金属膜または絶縁膜にフォトレジストを塗布する段階、2)前記基板にフォトレジストパターンを形成する段階、
3)前記パターンが形成されたフォトレジストをマスクとして前記導電性金属膜または絶縁膜をエッチングする段階、及び
4)請求項1乃至請求項9のうちのいずれか一項のフォトレジストストリッパー組成物を利用してフォトレジストを剥離する段階を含む、フォトレジストの剥離方法。
【請求項11】
1)基板上にフォトレジストを全面塗布する段階、
2)前記基板にフォトレジストパターンを形成する段階、
3)前記フォトレジストパターンが形成された基板に導電性金属膜または絶縁膜を形成する段階、及び
4)請求項1乃至請求項9のうちのいずれか一項のフォトレジストストリッパー組成物を利用してフォトレジストを剥離する段階を含む、フォトレジストの剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−514765(P2012−514765A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545283(P2011−545283)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007002
【国際公開番号】WO2011/065603
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】