説明

フォトレジスト用反射防止膜組成物

本発明は、ポリマー、架橋剤及び酸発生剤を含む、フォトレジスト層用の反射防止膜組成物であって、前記ポリマーが、以下の構造1
【化1】


[式中、Aは非芳香族連結部であり、
R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、ここでZは(C1〜C20)ヒドロカルビル部分であり、そしてWは(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そして
Y'は、独立して(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である]
で表される少なくとも一種の単位を含む、前記反射防止膜組成物に関する。また、本発明は、該反射防止膜組成物を像形成する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の反射防止膜組成物、並びに反射性基材とフォトレジスト被膜との間に該新規反射防止膜組成物の薄い層を形成することによって前記組成物をイメージプロセッシングに使用することに関する。該組成物は、フォトリソグラフィ技術による半導体デバイスの製造に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、コンピュータチップ及び集積回路の製造など、微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用される。一般的に、これらのプロセスでは、先ずフォトレジスト組成物のフィルムの薄い被膜を、集積回路の製造に使用されるケイ素ウェハなどの基材に塗布される。次いで、この被覆された基材をベーク処理してフォトレジスト組成物中の溶剤を蒸発して、基材上に被膜を定着させる。基剤の被覆されそしてベーク処理された表面を次に放射線による像様露光に付す。
【0003】
この放射線露光は、前記の被覆された表面の露光された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子ビーム及びX線放射エネルギーは、マイクロリソグラフィプロセスに現在常用されている放射線種である。この像様露光の後、被覆された基材を現像剤溶液で処理して、フォトレジストの放射線露光された領域または未露光の領域のいずれかを溶解除去する。
【0004】
半導体デバイスは微細化される傾向にあり、このような微細化に伴う問題を解消するために、より一層短い波長に感度を示す新しいフォトレジストや、精巧な多層系が使用されている。
【0005】
フォトリソグラフィに高吸光性の反射防止膜を使用することが、高反射性基材からの光の後方反射(back reflection)の結果生ずる問題を軽減するための一つの方策である。後方反射の二つの主な不利益は、薄膜干渉効果と反射ノッチング(reflective notching)である。薄膜干渉または定在波は、フォトレジストの厚さが変化する際のフォトレジストフィルム中の全光強度の変動によって臨界線幅寸法(critical line width dimensions)の変化を招く。反射ノッチングは、フォトレジストフィルム中に光を散乱させるような段差(topographical features)を含む基材上でフォトレジストをパターン化する際に深刻になり、線幅の変動を招き、そして極端な場合には、フォトレジストが完全に失われた領域さえも形成する。
【0006】
線幅変動の更なる減少もしくは排除が必要な場合には、底面反射防止膜の使用が、反射の排除のための最良の解決策を提供する。底面反射防止膜は、フォトレジストの塗布及び露光の前に、基材に塗布される。フォトレジストは像様露光されそして現像される。次いで、露光された領域の反射防止膜は、典型的にはガス状プラズマ中でエッチングされ、そうしてフォトレジストパターンが基材に転写される。反射防止膜のエッチング速度は、エッチング工程中にフォトレジスト膜が過剰に失われることなく反射防止膜がエッチングされるように、フォトレジストと比べて比較的速いものであるのがよい。反射防止膜は、所望のリソグラフィ性を達成するために、露光波長において適切な吸光及び屈折率をも持たなければならない。
【0007】
230nm未満の露光で良好に機能する底面反射防止膜を供することが必要である。このような反射防止膜は、高速なエッチング速度を有する必要と、反射防止膜として作用するために適切な屈折率を持って十分な吸光性を有する必要がある。
【0008】
独特の化学構造に基づく新規のポリエステルポリマーを含む本発明の新規の反射防止膜が、フォトレジストから基材への良好な像の転写を可能にする良好なドライエッチング性と、特に193nmにおいて、反射ノッチング及び線幅変動または定在波を防ぐ良好な吸光特性とを有することが見出された。本発明の反射防止膜は、比較的高速なエッチング速度を有するために、フォトレジスト層の厚さの極僅かな損失だけで除去される。更に、反射防止膜とフォトレジスト膜との間の相互混合は実質的にない。また、該反射防止膜は良好な溶液安定性を有し、そして良好な被膜品質を有する格別薄いフィルムを形成する。後者は、リソグラフィにとって特に有利である。像形成プロセスにおいて該反射防止膜とフォトレジストと共に使用すると、良好なリソグラフィ性をもって鮮明な像が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0058468号明細書
【特許文献2】米国特許第3,474,054号明細書
【特許文献3】米国特許第4,200,729号明細書
【特許文献4】米国特許第4,251,665号明細書
【特許文献5】米国特許第5,187,019号明細書
【特許文献6】米国特許第4,491,628号明細書
【特許文献7】米国特許第5,350,660号明細書
【特許文献8】米国特許第5,843,624号明細書
【特許文献9】米国特許第6,866,984号明細書
【特許文献10】米国特許第5,843,624号明細書
【特許文献11】米国特許第6,447,980号明細書
【特許文献12】米国特許第6,723,488号明細書
【特許文献13】米国特許第6,790,587号明細書
【特許文献14】米国特許第6,849,377号明細書
【特許文献15】米国特許第6,818,258号明細書
【特許文献16】国際公開第01/98834A1号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Shun-ichi Kodama et al Advances in Resist Technology and Processing XIX, Proceedings of SPIE Vol. 4690 p76 2002
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、連結部Aの例を示す。
【図2】図2は、脂肪族二無水物の例を示す。
【図3】図3は、構造(1)のポリマー単位の例を示す。
【図4】図4は、構造(1)のポリマー単位の更なる例を示す。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、ポリマー、架橋剤、及び酸発生剤を含む、フォトレジスト層用反射防止膜組成物であって、前記ポリマーが、以下の構造1
【0013】
【化1】

[式中、
Aは、非芳香族連結部であり、
R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、この際、Zは、(C1〜C20)ヒドロカルビル部分であり、そしてWは(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そして
Y'は、独立して(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である]
で表される少なくとも一種の単位を含む、前記反射防止膜組成物に関する。
【0014】
本発明は更に、該反射防止膜組成物に像を形成する方法にも関する。
[発明の開示]
本発明は、ポリマー、架橋剤及び酸発生剤を含む新規の反射防止膜組成物に関する。更に本発明は、該新規組成物を特に193nmで使用する方法にも関する。本発明のポリマーは、次の構造(1)
【0015】
【化2】

[式中、Aは非芳香族連結部であり、
R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、この際、Zは(C1〜C20)ヒドロカルビル部分でありそしてWは(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そして
Y'は、独立して(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である]
から選択される少なくとも一種の単位を含む。
【0016】
本発明の組成物のポリマーにおいて、Aは、四つのカルボキシル(C(O)O)基を繋ぐ非芳香族基または非芳香族連結部である。このA基は、非芳香族脂肪族基と定義することもできる。一つの態様では、Aは、置換されていないC1〜C20アルキレン、置換されたC1〜C20アルキレン、置換されていないC1〜C20環状脂肪族基、置換されたC1〜C20環状脂肪族基、置換されていないC1〜C20複素環式脂肪族基、及び置換されたC1〜C20複素環式脂肪族基から選択される。Aの一部の例を図1に示す。他の態様の一つでは、Aは、C4〜C10非置換アルキレン、C4〜C10置換アルキレン、C1〜C20非置換複素環式脂肪族基、及びC1〜C20置換複素環式脂肪族基から選択される。更に別の態様の一つでは、Aは、C4〜C10非置換アルキレン及びC4〜C10置換アルキレンから選択される。また更に別の態様の一つでは、Aはブチレンである。典型的には、ポリマーは、少なくとも一種の脂肪族二無水物と少なくとも一種のジオールとを反応させることによって得られる。得られたポリマーは、更に、末端キャップ用の反応体と反応させて、遊離の酸基の一つまたはそれ以上をキャップすることができる。重合してAを形成する脂肪族二無水物の例を図2に示す。
【0017】
該組成物のポリマーの態様の一つでは、このポリマーは、一つまたはそれ以上の脂肪族A部のみによって表される。すなわち、このポリマーは、追加の芳香族無水物から誘導されない。
【0018】
一つの態様では、該ポリマーは、次の構造2の少なくとも一種の単位を含む。
【0019】
【化3】

[式中、Bは単結合またはC1〜C6非芳香族脂肪族部であり、
R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、この際、Zは、(C1〜C20)ヒドロカルビル部分であり、そしてWは、(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そして
Y'は、独立して、(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である]
一つの態様では、Bは、単結合、及び線状もしくは分枝状であることができるC1〜C6アルキレンから選択される。他の態様の一つでは、Bは単結合である。
【0020】
ポリマー構造(1)の更に別の例を図3に示す。この際、R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、ここでZは(C1〜C20)ヒドロカルビル部分であり、そしてWは(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そしてY'は独立して(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である。
【0021】
該ポリマーは、少なくとも一種の脂肪族二無水物から誘導することができ、そして他の脂肪族及び/または芳香族二無水物も含むことができる。一種のジオールまたは複数種のジオールの混合物を、一種もしくはそれ以上の二無水物との反応に使用して該ポリマーとすることができる。芳香族二無水物の例は、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(メチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジヨードピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',6,6'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(4,4'−オキシ二フタル酸二無水物)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物(3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4'−[4,4'−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物; 2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4'−(1,3−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4'−オキシジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、4,4'−メチレンジ(1,4−フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物、ヒドロキノンジエーテル二無水物、4,4’−ジフェノキシ二無水物、及びビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物である。
【0022】
本発明のポリマーにおいては、Y'はヒドロカルビル部分である。典型的には、Y'は、前記ジオール反応体から誘導されて該ポリマーを形成する。二種以上のジオールを使用して該ポリマーを形成することができる。R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、Zは、(C1〜C20)ヒドロカルビル部分であり、そしてWは(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そしてY'は、独立して、(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である。典型的には、R'及びR''はWまたはW−OHである場合には、R'及びR''は、遊離のカルボン酸と末端キャッピング反応体との反応から誘導される。
【0023】
本明細書において“ヒドロカルビル”または“ヒドロカルビル置換基”または“ヒドロカルビル基”または“ヒドロカルビル連結部部”または“ヒドロカルビル部分”という用語は、当業者には周知のそれの通常の意味で使用される。具体的には、この用語は、主に炭化水素の性質を有しそして分子に直接結合した一つまたはそれ以上の炭素原子を有する基のことである。ヒドロカルビル基の例には次のものが挙げられる:
(1)炭化水素基、すなわち脂肪族置換基(例えばアルキル、アルキレニルもしくはアルケニルまたはアルキレン)、脂肪環式置換基(例えばシクロアルキル、シクロアルケニルまたはシクロアルキレン)、芳香族置換基、脂肪族基もしくは脂肪環式基で置換された芳香族置換基、並びに分子の他の部分を介して環が完結している環状置換基(例えば、二つの置換基が一緒になって脂肪環式基を形成するような場合);
(2) 炭素及び水素以外の原子を含むが、主として炭化水素の性質を有する炭化水素基、この際、他の原子の例は、硫黄、酸素または窒素であり、これらは、単独で存在するか(例えばチアもしくはエーテル)または官能性結合、例えばエステル、カルボキシル、カルボニル、環状エーテルなどとして存在することができる;
(3) 置換された炭化水素基、すなわち、本発明に関連して、その主として炭化水素性の置換基を変化させない非炭化水素基(例えばハロゲン(特に塩素及びフッ素)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、及びスルホキシ)を含む置換基;
(4) ヘテロ置換基、すなわち、主に炭化水素の性質を有しながらも、本発明に関連して、他は炭素原子からなる環または鎖中に炭素以外の原子を含む置換基。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、窒素などが挙げられ、そしてピリジル、フリル、チエニル及びイミダゾリルなどの置換基などが包含される。一般的に、せいぜい二つ、好ましくはせいぜい一つの非炭化水素置換基が、ヒドロカルビル基中の10個の炭素原子当たりに存在する。
【0024】
ヒドロカルビル基の例は、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アルキレン基、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アルキル基、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1〜C20)シクロアルキル基、置換されているかもしくは置換されていないチア−アルキレン脂肪族(C1〜C20)基、置換されているかもしくは置換されていないシクロアルキレン、置換されているかもしくは置換されていないベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、置換されたアリール、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アルキレンアリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、アリールエステル、芳香族置換基を有するエステル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミド、またはこれらの混合物である。
【0025】
上記の定義及び本明細書全体にわたり、脂肪族基とは、非芳香族の主に炭化水素の鎖のことを指す。脂肪族基は、線状、分枝状、環状またはこれらの混合物であることができる。置換されているかもしくは置換されていないアルキレンまたはチアアルキレン(C1〜C20)基は、20個までの炭素原子を含み線状もしくは分枝状であることができる主に炭化水素鎖であるアルキレンまたはチアアルキレン基を意味し、この際、その置換基は、鎖の炭化水素の性質を概して変化させないものであり、そして当業者には既知の全ての有機化合物、例えばエーテル、アルキル、エステル、ヒドロキシル、アルキノール、シアノ、ニトロ、アシル、ハロゲン(塩素もしくは臭素)、フェニル及び置換されたフェニルであることができる。チアアルキレン基は、鎖中に一つもしくはそれ以上の硫黄基を含む。脂肪族置換もしくは非置換チア−アルキレン(C1〜C20)基の一つの例は、限定はされないが、3,6−ジチア−1,8−オクチレンである。
【0026】
上記の定義及び本明細書全体にわたり、特に断りがない限りは、使用する用語は以下に説明する通りである。
【0027】
アルキルは、所望の炭素原子数及び価数を有する線状もしくは分枝状アルキルを意味する。アルキル基は概して脂肪族であり、そして環式もしくは非環式であることができる。適当な非環式基は、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−もしくはtert−ブチル、線状もしくは分枝状ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル及びヘキサデシルであることができる。特に断りがなければ、アルキルは、炭素原子数1〜20の部分を指す。環状アルキル基は、単環式もしくは多環式であることができる。単環式アルキル基の適当な例には、置換されたシクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル基などが挙げられる。置換基は、本明細書に記載の非環式アルキル基の任意のものであることができる。適当な二環式アルキル基としては、置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、及びビシクロ[3.3.2]デカン、及びこれらの類似物などが挙げられる。三環式アルキル基の例には、トリシクロ[5.4.0.0.2,9]ウンデカン、トリシクロ[4.2.1.2.7,9]ウンデカン、トリシクロ[5.3.2.0.4,9]ドデカン、及びトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカンなどが挙げられる。本明細書に記載の通り、環状アルキル基は、置換基として上記の非環式アルキル基の任意のものを有することができる。
【0028】
アルキレン基は、上記のアルキル基の任意のものから誘導された二価のアルキル基を指す。アルキレン基について言及する時は、これらには、アルキレン基の主炭素鎖において(C1〜C6)アルキル基で置換されたアルキレン鎖も包含される。アルキレン基は、アルキレン部分中に一つまたはそれ以上のアルキンもしくはアルケン基を含むこともでき、この際、アルキンは三重結合を指し、そしてアルケンは二重結合を指す。本質的には、アルキレンは、骨格としての二価の炭化水素基である。それ故、二価の非環式基は、メチレン、1,1−もしくは1,2−エチレン、1,1−、1,2−もしくは1,3−プロピレン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサン−3−イン、及びその他のものであることができる。同様に、二価の環状アルキル基は、1,2−もしくは1,3−シクロペンチレン、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキシレン、及びこれらの類似物であることができる。二価の三環式アルキル基は、上記の三環式アルキル基の任意のものであることができる。
【0029】
アリールまたは芳香族基は、6〜24個の炭素原子を含み、これには、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル類、ビス−フェニル類、トリス−フェニル類、及びこれらの類似物などが挙げられる。これらのアリール基は、更に、適当な置換基、例えば上記のアルキル、アルコキシ、アシルまたはアリール基のうちの任意のもので置換されていてもよい。同様に、望ましい場合には、適当な多価アリール基も本発明に使用することができる。二価アリール基の代表的な例には、フェニレン類、キシリレン類、ナフチレン類、ビフェニレン類及びこれらの類似物などが挙げられる。
【0030】
アルコキシは、炭素原子数1〜20の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシを意味し、これには例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ、デカニルオキシ、4−メチルヘキシルオキシ、2−プロポルヘプチルオキシ、及び2−エチルオクチルオキシなどが挙げられる。
【0031】
アラルキルは、置換基が結合したアリール基を意味する。置換基は、アルキル、アルコキシ、アシルなどの任意のものであることができる。炭素原子数7〜24の一価のアラルキルの例には、フェニルメチル、フェニルエチル、ジフェニルメチル、1,1−もしくは1,2−ジフェニルエチル、1,1−、1,2−、2,2−もしくは1,3−ジフェニルプロピル、及びこれらの類似物などが挙げられる。所望の価数を有する本明細書に記載の置換されたアラルキル基の適当な組み合わせを、多価アラルキル基として使用することができる。
【0032】
アルキレンアリールは、アリール基を側基として有する脂肪族アルキレン部分を意味する。例は、1−フェニル−1,2−エチレン及び1−フェニルプロピレンである。
【0033】
更に、本明細書で使用する“置換された”という用語は、可能な全ての有機化合物置換基を包含することが意図されている。広い概念では、可能な置換基には、非環式もしくは環式で分枝状もしくは非分枝状の炭素環式もしくは複素環式または芳香族もしくは非芳香族の有機化合物置換基が包含される。例示的な置換基には、例えば、上記のものが挙げられる。可能な置換基は、適当な有機化合物の一つまたはそれ以上で及び同一かまたは異なることができる。本発明の目的において、窒素などのヘテロ原子は、この原子の原子価を満足させる水素置換基及び/または本明細書に記載の任意の可能な有機化合物置換基を有することができる。本発明は、可能な有機化合物置換基によってはどのようにも限定されることを意図しない。
【0034】
ハロゲンは、フッ素、塩素及び臭素を指すが、フッ素及び塩素が好ましい。
【0035】
Y'の部分は、該ポリマーを形成するためのジオールまたは類似の化合物から誘導される。Y'は、(C1〜C20)置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換チア−アルキレン脂肪族(C1〜C20)基、置換もしくは非置換シクロアルキレン、置換されているかもしくは置換されていないベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、吸光性発色団(例えばフェニル、ナフチルまたはアントラシル)によって置換されたアルキレンエステル、置換されたアリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ベンジル、置換されたベンジル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシル、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキレンアリール、アルキルアリール、アルケニル、置換されたアリール、アルキレンアリーレート、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミド、及びこれらの混合物によって例示することができる。より具体的な例は、メチレン(−CH2−)、エチレン(CH2CH2)、プロピレン、ブチレン、1−フェニル−1,2−エチレン、ネオペンチレン、エチレンフェニレート、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロピレン、2−ブロモ−2−メチル−1,3−プロピレン、ポリエチレングリコール、1−フェニレート−1,2−エチレン、1−ベンジレート−1,2−エチレン、−CH2OCH2−、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2SCH2CH2−、または−CH2CH2SCH2CH2SCH2CH2−、フェニル誘導体、ナフチル誘導体、アントラシル誘導体、プロピレンフェニルアセテート、2−プロピレンフェニルアセテート(-CH2CH2(CH2CO2CH2Ph)、プロピレンフェニルエーテル (-CH2CH2(CH2OPh)、プロピレンフェノレート(-CH2CH2(CH2CO2Ph)、プロピレンナフトエート、プロピレンフタルイミド、プロピレンスクシンイミド、プロピレンクロチリデンアセテート(−CH2CH2(CH2CO2CHCHCHCHCH3)である。本発明のポリマーの合成に使用できそしてY'成分を代表し得るモノマーの一部は、好ましくは、ジオール及びグリコール類であり、これらの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、ジエチルビス(ヒドロキシメチル)マロネート、及び3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールである。芳香族ジオールの例は、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール及び2,2’−(1,2−フェニレンジオキシ)ジエタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、フェニル酢酸とグリシドールとの反応から誘導される1−フェニレート−1,2−エタンジオール、グリシドールとフェノールとの反応生成物、グリシドールと安息香酸との反応生成物、グリシドールとナフトエ酸との反応生成物、グリシドールアンダントラセンカルボン酸の反応生成物である。他は、グリシドールとフタルイミドとの反応生成物、グリシドールとスクシンイミドとの反応生成物、及びグリシドールとソルビン酸との反応生成物である。
【0036】
本発明のポリマーは、二無水物から誘導され、遊離の酸として存在するかまたはキャッピング基でキャップされているカルボキシル側基の一種または二種以上を有することができる。該ポリマーの一つの態様では、R'及びR''のうちの少なくとも一つは、構造1及び2に示されるように、Z及び/または−W−OHによって表される。Zは、上述のようにヒドロカルビル基によって表され、そして置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アルキル基、置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)シクロアルキル基、置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アリール基、及び置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アルキレンアリール基によって例示される。Wは、上記のようにヒドロカルビル連結基によって例示することができ、そして置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アルキレン基、置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)シクロアルキレン基、置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アリール基、及び置換されているかまたは置換されていない脂肪族(C1〜C20)アルキレンアリール基によって例示され得る。アルコールキャッピング基W−OHは、更に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、第三級ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−n−オクタノール、2−n−オクタノール、1−フェニル−1−エタノール、及びこれらの類似物によって例示することができる。カルボン酸(このカルボン酸基は二無水物から誘導される)と反応させてW−OH基を形成するのに有用なヒドロキシル形成化合物の例には、芳香族酸化物、脂肪族酸化物、アルキレンカーボネートなどが挙げられ、そして更にスチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンカーボネート及びこれらの類似物によって例示することができる。芳香族酸化物の例には、スチレンオキシド、1,2−エポキシ−フェノキシプロパン、グリシジル−2−メチルフェニルエーテル、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、1−フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、2−(または3−もしくは4−)ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)スチルベンオキシド、ベンジルグリシジルエーテル、C1-10直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びこれらの類似物など)フェニルグリシジルエーテル、4−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)フェニルグリシジルエーテル、グリシジル4−C1-10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)フェニルエーテル、2,6−ジハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)ベンジルメチルエーテル、3,4−ベンジルオキシベンジルハライド(クロライド、フルオライド、ブロマイド、アイオダイド)、2−(または4−)メトキシビフェニル、3,3’−(または4,4’−)ジC1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)ビフェニル、4,4’−ジメトキシオクタフルオロビフェニル、1−(または2−)C1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)ナフタレン、2−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−6−メトキシナフタレン、2,6−ジC1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)ナフタレン、2,7−ジC1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)ナフタレン、1,2,3,4,5,6−ヘキサハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−7−C1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)ナフタレン、9,10−ビス(4−C1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)フェニル)−アントラセン、2−C1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びこれらの類似物など)−9,10−ジC1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)アントラセン、9,10−ビス(4−C1−10直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、及びこれらの類似物など)フェニル)−2−ハロ(クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード)−アントラセン、2,3,6,7,10,11−ヘキサメトキシトリフェニレン、グリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル、4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、[(4−(1−ヘプチル−8−[3−(オキシラニルメトキシ)フェニル]−オクチル)フェノキシ)メチル]オキシラン、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテル、ヒドロキシフェノールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。脂肪族酸化物の例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド類(イソブチレンオキシドも含む)、1,2−ブチレンオキシド及び2,3−ブチレンオキシド、ペンチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、デシルグリシジルエーテル、及びドデシルグリシジルエーテルなどが挙げられる。アルキレンカーボネートの例には、以下の式を有する化合物が挙げられる。
【0037】
【化4】

[式中、R40はC2〜C4アルキルであり、脂肪族環炭素は、置換されていないか、あるいはC1〜C10アルキル、C6〜C10アリールまたはC6〜C15アラルキル基から選択される基によって置換されている]
アルキレンカーボネートの例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びブチレンカーボネート類である。
【0038】
本発明のポリマーは、当業界において既知の標準的な任意の重合方法、特に縮合重合技術によって製造することができる。該ポリマーは、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合またはこれらの類似法によって合成することができる。典型的には、二無水物をジオールまたは類似の化合物と、高められた温度下に、場合によっては酸の存在下に縮合してポリエステルとする。該ポリエステルポリマーを更に反応させて、このポリマー中の置換基を変えることができる。二無水物から誘導され生ずるカルボン酸置換基は遊離の酸の形であることができ、そして反応させてエステルとするかまたは他のポリマー鎖に結合させることができるか、あるいはこれらのまたは他の置換基の混合物であることができる。一つの態様では、有機のカルボン酸は反応させてエステルを形成させる。他の態様の一つでは、ポリマー中の酸基は部分的にエステル化する。更に別の態様の一つでは、ポリマーを完全にエステル化する。すなわち、この場合、ポリマーは遊離の酸を含まない。
【0039】
ジオールは、典型的には、少なくとも一種の脂肪族二無水物と縮合させる。典型的には、先ず、適当な溶剤中で二無水物とジオールとを反応させて線状のポリエステルを製造する。該ポリマーは、一種の二無水物と一種のジオールとを反応させるか、または種々の二無水物及び/またはジオールの混合物を反応させることによって得ることができ、この際、少なくとも一種の二無水物は脂肪族二無水物とする。該ポリエステルは、非溶剤中に析出させることによって単離される。該ポリエステルは、遊離のカルボン酸基を、キャッピング化合物、例えばアルコール、アルケンオキシドまたはカーボネートと反応させることによって更に変性することができる。ポリエステルとキャッピング化合物との反応は、ポリマーの単離の前またはポリマーの単離の後に行うことができる。最終のポリマーは単離し、そして乾燥することができる。
【0040】
一つの態様では、本発明の組成物のポリマーは部分的に架橋してその分子量を増大する。ポリマーを合成した後に、このポリマーを、これを架橋させることができる一つまたはそれ以上の基を含む化合物と更に反応させるか、あるいは架橋剤、例えば本願に教示される架橋剤を用いて架橋させることができる。該ポリマーの架橋は、当業者には周知の技術、例えば加熱及び/または触媒によって促進することができる。架橋の程度は、ポリマーの所望の物理的及び化学的性質によって決定される。架橋されたポリマーは、次いで、本発明の反射防止膜組成物中に配合される。
【0041】
該ポリマーの重量平均分子量は、約1500〜約180,000、好ましくは約4,000〜約60,000、より好ましくは約10,000〜約30,000の範囲であることができる。重量平均分子量が1,500未満であると、反射防止膜に良好な成膜性が得られず、重量平均分子量が大きすぎる場合は、溶解性、貯蔵安定性などの性質が劣化する恐れがある。
【0042】
該反射防止膜組成物は、ポリマー、架橋剤及び酸発生剤、及び溶剤組成物を含む。
【0043】
本発明の組成物には様々な架橋剤を使用することができる。酸の存在下に該ポリマーを架橋し得るものであれば任意の適当な架橋剤を使用することができる。このような架橋剤の例は、次のものには限定されないが、メラミン類を含む樹脂、メチロール類、グリコールウリル、ポリマー性グリコールウリル類、ベンゾグアナミン、尿素、ヒドロキシアルキルアミド、エポキシ及びエポキシアミン樹脂、ブロックドイソシアネート類、及びジビニルモノマーである。モノマー性メラミン類、例えばヘキサメトキシメチルメラミン; グルコールウリル類、例えばテトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル; 及び芳香族メチロール類、例えば2,6−ビスヒドロキシメチルp−クレゾールを使用することができる。
【0044】
米国特許出願公開第2006/0058468号明細書に記載の架橋剤を使用することができ、この架橋剤は、少なくとも一種のグリコールウリル化合物と、少なくとも一つのヒドロキシ基及び/または少なくとも一つの酸基を含む少なくとも一種の反応性化合物とを反応させることによって得られるポリマーである。なお、この米国特許出願公開明細書の内容は本明細書に掲載されたものとする。
【0045】
本発明に使用される熱酸発生剤(TAG)は、加熱されると酸を発生し、この酸が該ポリマーと反応しそして本発明に存在するこのポリマーの架橋を伝播することができる任意の一種またはそれ以上のものであることができる。特に好ましいものは、強酸、例えばスルホン酸類である。好ましくは、熱酸発生剤は90℃以上、より好ましくは120℃以上、更により好ましくは150℃以上で活性化される。フォトレジストフィルムは、コーティングと反応するのに十分な時間加熱する。熱酸発生剤の例は、金属不含のヨードニウム及びスルホニウム塩である。TAGの他の例は、ニトロベンジルトシレート類、例えば2−ニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、4−ニトロベンジルトシレート; ベンゼンスルホネート類、例えば2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネート; フェノール性スルホネートエステル類、例えばフェニル,4−メトキシベンゼンスルホネート; 有機酸のアルキルアンモニウム塩、例えば10−カンフルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩である。ヨードニウム塩は、ヨードニウムフルオロスルホネート類、ヨードニウムトリス(フルオロスルホニル)メチド、ヨードニウムビス(フルオロスルホニル)メチド、ヨードニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ヨードニウム第四級アンモニウムフルオロスルホネート、ヨードニウム第四級アンモニウムトリス(フルオロスルホニル)メチド、及びヨードニウム第四級アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドによって例示することができる。様々な芳香族(アントラセン、ナフタレンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして使用することができ、これには、米国特許第3,474,054号明細書、米国特許第4,200,729号明細書、米国特許第4,251,665号明細書及び米国特許第5,187,019号明細書に記載のものなどが挙げられる。好ましくは、TAGは、170〜220℃の温度で非常に低い揮発性を有する。TAGの例は、Nacure及びCDXの名称でKing Industriesから販売されているものである。このようなTAGは、Nacure 5225及びCDX−2168Eであり、これは、King Industries,Norwalk,Conn.06852,USAから、プロピレングリコールメチルエーテル中25〜30%の有効成分で供給されているドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩である。
【0046】
該新規組成物は、更に光酸発生剤を含んでいてもよく、これの例は、限定されないが、オニウム塩、スルホネート化合物、ニトロベンジルエステル類、トリアジン類などである。好ましい光酸発生剤は、オニウム塩、及びヒドロキシイミド類のスルホネートエステル、具体的にはジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、ジアルキルヨードニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩、及びこれらの混合物である。
【0047】
本発明の組成物中での該ポリマーの量は、該組成物の固形分に対して約95重量%〜約50重量%、好ましくは約85重量%〜約70重量%、より好ましくは約80重量%〜約70重量%の範囲であることができる。本発明の組成物中の架橋剤の量は、該組成物の固形分に対して5重量%〜約50重量%、好ましくは15重量%〜約30重量%の範囲であることができる。本発明の組成物中の酸発生剤の量は、該組成物の固形分に対し0.1重量%〜約5重量%、好ましくは0.5重量%〜約3重量%、より好ましくは1重量%〜約2重量%の範囲であることができる。
【0048】
本発明の組成物に使用することができる混合物としてまたは単独で使用される典型的な溶剤は、限定はされないが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、及び乳酸エチル(EL)、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びガンマブチロラクトンであるが、PGME、PGMEA及びELまたはこれらの混合物が好ましい。毒性が低く、良好な塗布性及び溶解性を有する溶剤が概して好ましい。
【0049】
該反射防止膜組成物は、本発明のコポリマー、架橋剤及び酸発生剤、及び適当な溶剤または複数種の溶剤の混合物を含む。被膜の性能を高めるために他の成分を加えることができ、このような他の成分としては、例えばモノマー性染料、低級アルコール、表面レベリング剤、粘着促進剤、消泡剤などが挙げられる。性能が悪影響を受けない限りは、他のポリマー、例えばノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリメチルメタクリレート及びポリアクリレートなども該組成物に加えてもよい。このポリマーの量は、好ましくは、該組成物の全固形物の50重量%未満、より好ましくは20重量%未満、更により好ましくは10重量%未満に維持される。
【0050】
該反射防止膜の光学特性は、露光波長及び他の所望のリソグラフィ性に合わせて最適化される。一例としては、193nm露光用の該新規組成物の吸光パラメータ(k)は、エリプソメトリを用いて測定して、約0.1〜約1.0、好ましくは約0.2〜約0.75、より好ましくは約0.25〜約0.65の範囲である。屈折率(n)の値は、約1.25〜約2.5、好ましくは約1.3〜約2.0、より好ましくは約1.5〜約2.0の範囲である。193nmでの該組成物の良好な吸光特性の故に、約40nmのオーダーの非常に薄い反射防止膜を使用することができる。このことは、非芳香族系フォトレジスト、例えば193nm、157nm及びより短い波長に感度を示すこのようなフォトレジストを使用する場合に特に有利である。この際、フォトレジスト膜は薄くそして反射防止膜のためのエッチングマスクとして働かなければならない。反射防止膜は基材の表面に塗布され、そして更にドライエッチングに付されるために、該反射防止膜が、半導体デバイスの性質が悪影響を受けないように十分に金属イオン濃度が低くかつ純度が高いということも視野に含まれる。金属イオン濃度を低めそして異物を減少させるために、ポリマーの溶液をイオン交換カラムに通すことや、濾過及び抽出プロセスなどの処理を使用することができる。
【0051】
該反射防止膜組成物は、当業者に周知の技術を用いて基材に塗布される。このような技術には、ディプ塗布法、スピン塗布法またはスプレー塗布法などが挙げられる。反射防止膜の膜厚は、約15nm〜約200nmの範囲である。被膜は、更に、残留溶剤を除去しそして架橋を誘発し、そうして反射防止膜を不溶化して反射防止膜間の相互混合を防ぐのに十分な時間、ホットプレートまたは熱対流炉で加熱される。好ましい温度範囲は約90℃〜約250℃である。温度が90℃よりも低いと、溶剤除去及び架橋の量が不十分となり、他方、温度が300℃を超えると、組成物が化学的に不安定になる恐れがある。次いで、フォトレジストのフィルムを、一番上の反射防止膜の上にコーティングしそしてベーク処理してフォトレジスト溶剤を実質的に除去する。当技術分野において周知の方法を用いて、エッジビードリムーバを、塗布工程の後に適用して基剤の縁を清掃することができる。
【0052】
上に反射防止膜が形成される基材は、半導体工業において通常使用される基材のうちの任意のものであることができる。適当な基材としては、限定はされないが、ケイ素、金属表面で被覆されたケイ素基材、銅で被覆されたケイ素ウェハ、銅、反射防止膜で被覆された基材、アルミニウム、ポリマー性樹脂、二酸化ケイ素、金属、ドープされた二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タンタル、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、ヒ化ガリウム、及び他のこのようなIII/V族化合物などが挙げられる。基材は、上記の材料から作られた任意の数の層を含むことができる。
【0053】
フォトレジストは、フォトレジスト及び反射防止膜中の光活性化合物が、像形成プロセスに使用される露光波長で吸収を示すものであれば、半導体工業において使用される種のうちの任意のものであることができる。
【0054】
現在まで、微細化に大きな進展をもたらした幾つかの主要な深紫外線(uv)露光技術があり、これらは248nm、193nm、157nm及び13.5nmの放射線を発する。248nm用のフォトレジストは、典型的には、置換されたポリヒドロキシスチレン及びこれのコポリマー/オニウム塩、例えば米国特許第4,491,628号明細書及び米国特許第5,350,660号明細書に記載のものなどに基づく。他方、200nm未満の露光用のフォトレジストは、芳香族類がこの波長で不透明なために、非芳香族系ポリマーを必要とする。米国特許第5,843,624号明細書及び米国特許第6,866,984号明細書は、193nm露光用に有用なフォトレジストを開示している。一般的に、脂肪環式炭化水素を含むポリマーが、200nm未満の露光用のフォトレジストに使用される。脂肪環式炭化水素は、多くの理由からポリマーに組み入れられる。すなわち、主には、これらが、耐エッチング性を向上する比較的高い炭素:水素比を有し、また低い波長で透明性を供し、更に比較的高いガラス転移温度を有するためである。米国特許第5,843,624号明細書は、無水マレイン酸と不飽和環状モノマーとの遊離基重合によって得られる、フォトレジスト用ポリマーを開示している。既知のタイプの193nmフォトレジストのうちの任意のものを使用することができ、例えば米国特許第6,447,980号明細書及び米国特許第6,723,488号明細書に記載のものを使用することができる。これらの米国特許明細書の内容は、本明細書に掲載されたものとする。
【0055】
フルオロアルコール側基を有するフッ素化ポリマーに基づき157nmに感度を示す二つの基本的な部類のフォトレジストが、この波長に実質的に透明であることが知られている。一方の部類の157nmフルオロアルコールフォトレジストは、フッ素化ノルボルネン類などの基を含むポリマーから誘導され、そして単独重合されるか、または金属触媒重合もしくは遊離基重合を用いて他の透明モノマー、例えばテトラフルオロエチレンと共重合される(米国特許第6,790,587号明細書及び米国特許第6,849,377号明細書)。一般的に、これらの材料は、比較的高い吸光性を与えるが、脂肪族環式基の含有率が高いために良好な耐プラズマエッチング性を有する。より最近になって、別の部類の157nmのフルオロアルコールポリマーが開示された。それのポリマー主鎖は、非対称性ジエン、例えば1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンのシクロ重合から誘導されるか(Shun-ichi Kodama et al Advances in Resist Technology and Processing XIX, Proceedings of SPIE Vol. 4690 p76 2002; 米国特許第6,818,258号明細書)、またはフルオロジエンとオレフィンとの共重合から誘導される(国際公開第01/98834A1号パンフレット)。これらの材料は、157nmで許容可能な吸光度を与えるが、前記のフルオロ−ノルボルネンポリマーと比べると脂肪族環式基の含有率が低いために、耐プラズマエッチング性に劣る。これらの二つの部類のポリマーは、最初のポリマー種の高い耐エッチング性と第二のポリマー種の157nmでの高い透明性との間でのバランスをとるために、しばしば混合することができる。13.5nmの極端紫外線(EUV)を吸収するフォトレジストも有用であり、当技術分野において既知である。
【0056】
塗布工程の後、フォトレジストは像様露光される。露光は、典型的な露光装置を用いて行うことができる。露光されたフォトレジストは、次いで水性現像剤中で現像して、処理されたフォトレジストを除去する。現像剤は、好ましくは、水性アルカリ性溶液、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む水性アルカリ性溶液である。現像剤は、更に、一種または二種以上の界面活性剤を含んでいてもよい。現像の前及び露光の後に任意の加熱段階をプロセスに組み入れることができる。
【0057】
フォトレジストを塗布しそして像を形成する方法は、当業者には周知であり、そして使用する特定のタイプのレジストに合わせて最適化される。次いで、パターン化された基材は、適当なエッチングチャンバ中で、エッチングガスまたは複数種のガスの混合物を用いてドライエッチングして、反射防止膜の露光された部分を除去することができる。この際、残留したフォトレジストはエッチングマスクとして働く。様々なエッチングガスが、有機反射防止膜のエッチング用に当技術分野において既知であり、例えばCF4、CF4/O2、CF4/ CHF3、O2またはCl2/O2を含むものなどがある。
【0058】
また本発明は、像を形成する方法であって、
a) 上述のように定義される反射防止膜組成物で基材を被覆し、そしてベーク処理し、
b) 反射防止膜の上にフォトレジスト膜を塗布し、そしてベーク処理し、
c) フォトレジストを像様露光し、
d) フォトレジストに像を現像し、
e) 場合により、露光段階の後に基材をベーク処理する、
ことを含む前記方法にも関する。
【0059】
上記方法では、フォトレジストは、好ましくは130nm〜250nmの波長で像様露光される。
【0060】
上記方法では、フォトレジストは、好ましくは、ポリマー及び光活性化合物を含む。
【0061】
上記方法では、反射防止膜は、好ましくは90℃よりも高い温度でベーク処理される。
【0062】
上記で引用した文献は、それぞれ、全ての目的に関してその内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造しそして使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものとは解釈するべきではない。
【実施例】
【0063】
以下の例での反射防止膜の屈折率(n)及び吸光値(k)は、J.A.Woollam VASETM302エリプソメータで測定した。
【0064】
ポリマーの分子量は、ゲル透過クロマトグラフで測定した。
【0065】
合成例1:
400gのブタンテトラカルボン酸二無水物、280gのスチレングリコール、40gのベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、及び1760gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を、冷却器、温度コントローラ及び機械的攪拌機を備えた5L容積のフラスコに仕込んだ。窒素雰囲気下及び攪拌しながら、この混合物を110℃に加熱した。この温度で透明溶液が得られた後に、温度を100℃まで下げ、そして4時間維持した。次いで、1356gのプロピレンオキシドを加えた。反応を50℃で48時間維持した。この反応溶液を室温に冷却し、そして高速ブレンダー中の多量の水中にゆっくりと注ぎ入れた。ポリマーを集めそして水で十分に洗浄した。最後に、ポリマーを減圧炉中で乾燥した。720gのポリマーが得られ、重量平均分子量(MW)は、約20,000g/モルであった。
【0066】
合成例2
210gのブタンテトラカルボン酸二無水物、36gのピロメリト酸二無水物、84gのスチレングリコール、80.4gのネオペンチルグリコール、3.2gのベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、及び1500gのPGMEAを、冷却器、温度コントローラ及び機械的攪拌機を備えた5L容積のフラスコに仕込んだ。窒素雰囲気下に及び攪拌しながら、この混合物を100℃に加熱しそしてこの温度で16時間維持した。次いで、760gのプロピレンオキシド及び3.2gのベンジルトリブチルアンモニウムクロライドを加えた。反応を56℃で36時間維持した。この反応溶液を室温まで冷却し、そして高速ブレンダー中の多量の水中にゆっくりと注ぎ入れた。ポリマーを集めそして水で十分に洗浄した。最後に、ポリマーを減圧炉中で乾燥した。410gのポリマーが得られ、MWは約30,000g/モルであった。
【0067】
合成例3
15gのグリシドール(0.2モル)及び27.5gのフェニル酢酸(0.2モル)を、100ml容積のフラスコ中で200gのPGMEAに加えた。この混合物を、1.3gのベンジルトリブチルアンモニウムクロライドの存在下に100℃に加熱し、そして100℃で24時間維持した。40g(0.2モル)のブタンテトラカルボン酸二無水物及び2.7gのベンジルトリブチルアンモニウムクロライドを上記の溶液中に導入し、そして均一な溶液が得られるまで温度を110℃に上昇した。この反応を100℃で5時間維持し、そして室温まで冷却した。140gのプロピレンオキシドを上記混合物中に加え、そして反応を50℃で二日間続けた。冷却後、生成物を水中で析出させ、そして空気乾燥した。ポリマーをアセトン中に再溶解し、そして水中で再析出させた。得られた材料を乾燥しそして集めたところ、46,900の重量平均分子量を有するポリマー生成物が約78g(74%)得られた。
【0068】
合成例4
25g(0.126モル)のブタンテトラカルボン酸二無水物、51gのポリエチレングリコール(Mw=400)、及び1.0gのベンジルトリブチルアンモニウムクロライドを175gのPGMEAに加えた。均一な溶液が得られるまで温度を105℃に上昇した。この混合物を105℃で5時間維持した。100gのPGMEA及び(0.55モル)のスチレンオキシドを上記の混合物に加え、そして反応を80℃で48時間維持した。冷却後、生成物を水中で析出させ、そして乾燥した。得られたポリマーをアセトン中に再溶解し、そして水中で再析出した。得られた材料を空気乾燥しそして集めた。
【0069】
合成例5
600gのテトラメトキシメチルグリコールウリル、96gのスチレングリコール、及び1200gのPGMEAを、温度計、機械的攪拌機及び冷水冷却器を備えた2L容積のジャケット付きフラスコに仕込み、そして85℃に加熱した。触媒量のパラトルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で5時間維持した。次いで、この反応溶液を室温に冷却しそして濾過した。濾液を、攪拌しながら蒸留水にゆっくりと注ぎ入れ、ポリマーを析出させた。このポリマーを濾過し、水で十分に洗浄しそして減圧炉中で乾燥した(250gが得られた)。得られたポリマーは、約17,345g/モルの重量平均分子量及び2.7の多分散性を有していた。
【0070】
合成例6
400gのテトラメトキシメチルグリコールウリル、132gのネオペンチルグリコール、51.4gの3,4,5−トリメトキシベンジルアルコール、及び1170gのPGMEAを、温度計、冷水冷却器及び機械的攪拌機を備えた2000mL容積のフラスコに仕込んだ。この反応混合物を85℃に加熱した。触媒量のパラトルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で6時間維持した。次いで、この反応溶液を室温に冷却しそして濾過した。得られたポリマーをDI水中で析出させ、そしてフィルタ中に集め、水で十分に洗浄しそして減圧炉中で乾燥した(200gが得られた)。得られたポリマーは、約8,000g/モルの重量平均分子量及び3の多分散性を有していた。
【0071】
合成例7
1000gのテトラメトキシメチルグリコールウリル、500gのネオペンチルグリコール、及び3000gのPGMEA中を、温度計、冷水冷却器及び機械的攪拌機を備えた5000mL容積のフラスコに仕込んだ。この反応混合物を85℃に加熱した。触媒量のパラトルエンスルホン酸一水和物を加えた後、反応をこの温度で8.0時間維持した。次いで、この反応溶液を室温に冷却し、そして濾過した。得られたポリマーをDI水中で析出させ、そしてフィルタ上に集め、水で十分に洗浄し、そして減圧炉中で乾燥した(400gが得られた)。得られたポリマーは、約8,000g/モルの重量平均分子量及び3の多分散性を有していた。
【0072】
評価例1
合成例1からのポリマー8.69g、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル2.174g(日本国平塚市在の三和ケミカル社から入手可能なMX−270)、p−トルエンスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩0.087gを、PGMEA 167.73g及びPGME71.89g中に溶解することによって反射防止膜組成物を調製した。この溶液を0.2μmフィルタに通して濾過した。
【0073】
上記の溶液を、約3000rpmの速度で8インチケイ素ウェハ上にスピンコートし、次いでこのウェハを200℃で60秒間ベーク処理して、78nmの膜厚を得た。次いで、このウェハを使用して、J.A.Woollam VUV−Vaseエリプソメータ,モデルVU−302で屈折率n及びkを測定した。このフィルムの屈折率は、n(193nm)=1.858、k(193nm)=0.342であることが分かった。
【0074】
上記反射防止膜調合物の性能を、AZ(R)AX 1120Pフォトレジスト(AZ Electronic Materials USA Corp.,Somerville ,NJ,USAの製品)を用いて評価した。この例の反射防止膜調合物を用いて、ケイ素ウェハ上に約78nm厚の反射防止膜フィルムを塗布しそして200℃で60秒間ベーク処理した。次いで、270nm厚のAZ(R)EXP AX1120Pフォトレジスト溶液を塗布し、そして130℃で60秒間ベーク処理した。次いで、このウェハを、6%HTPSMマスクを用いた0.56/0.85シグマの2/3輪帯照明の下に、0.78NAを有するNikon NSR−S306Dスキャナを使用して像様露光した。露光されたウェハを130℃で60秒間ベーク処理し、そしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度水溶液を用いて60秒間現像した。30mJ/cm2の露光線量において、90nm 1:1ピッチのライン・アンド・スペースパターンが電子顕微鏡下に観察され、そして定在波は示さなかった。これは、該底面反射防止膜の有効性を示している。上記の線量における上記パターンでの焦点深度は0.35μmよりも大きかった。
【0075】
評価例2
合成例1からのポリマー3.45g、合成例5からのポリマー3.45g、p−トルエンスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩0.069gを、PGMEA110.17g及びPGME47.22g中に溶解することによって反射防止膜組成物を調製した。この溶液を0.2μmフィルタに通して濾過した。
【0076】
上記の溶液を、約3000rpmの速度で8インチのケイ素ウェハ上にスピンコートし、次いでこのウェハを200℃で60秒間ベーク処理した。次いで、このウェハを使用して、J.A.Woollam VUV−Vaseエリプソメータ,モデルVU−302で屈折率n及びkを測定した。このフィルムの屈折率は、n(193nm)=1.858、k(193nm)=0.372であることが分かった。
【0077】
該反射防止膜調合物の性能を、AZ(R)AX1120Pフォトレジスト(AZ Electronic Materials USA Corp.,Branchburg,NJの製品)を用いて評価した。この例の反射防止膜調合物を用いて、ケイ素ウェハ上に約78nm厚のフィルムを塗布しそして200℃で60秒間ベーク処理した。次いで、270nm厚のAZ(R)EXP AX1120Pフォトレジスト溶液を塗布しそして130℃で60秒間ベーク処理した。次いで、このウェハを、6%HTPSMマスクを用いた0.56/0.85シグマの2/3帯状照射の下に、0.78NAのNikon NSR−S306Dを使用して像様露光した。この露光されたウェハを130℃で60秒間ベーク処理し、そしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%水溶液を用いて60秒間現像した。30mJ/cm2の露光線量で、90nm 1:1ピッチのライン・アンド・スペースパターンが電子顕微鏡下に観察され、そして定在波は示さなかった。これは、該底面反射防止膜の有効性を示している。上記の線量における上記パターンでの焦点深度は0.35μmよりも大きかった。
【0078】
評価例3
合成例2からのポリマー2.4g、合成例7からのポリマー1.2g、及び10−カンフルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩0.048gを、PGMEA180g中に溶解することによって反射防止膜組成物を調製した。この溶液を、0.2μmフィルタに通して濾過した。
【0079】
この反射防止膜調合物の性能を、AZ(R)EXP AX1120Pフォトレジスト(AZ Electronic Materials,Somerville,NJから入手可能)を用いて評価した。上記溶液からの反射防止膜を、ケイ素ウェハ上のAZ(R)ArF−1C5D BARC(AZ Electronic Materials,Somerville ,NJから入手可能)の薄い層の上に塗布し、そして200℃で90秒間ベーク処理した。この反射防止膜フィルムは、1.77の(n)値及び0.16の(k)値を有することがわかった。AZ(R)EXP AX1120Pフォトレジストを用いて、270nm厚のフィルムを塗布し、そして130℃で60秒間ベーク処理した。次いで、このウェハを、193nm露光ツールを用いて像様露光した。露光されたウェハを130℃で60秒間ベーク処理し、そしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%水溶液を用いて60秒間現像した。電子顕微鏡下に観察したライン・アンド・スペースパターンは定在波を示さなかった。これは、該底面反射防止膜の有効性を示している。
【0080】
評価例4
合成例2からのポリマー2.4g、合成例6からのポリマー1.2g、及び10−カンフルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩0.048gを、PGMEA180g中に溶解することによって反射防止膜組成物を調製した。この溶液を、0.2μmフィルタに通して濾過した。
【0081】
この反射防止膜調合物の性能を、AZ(R) EXP AX1120Pフォトレジスト(AZ Electronic Materials,Somerville,NJから入手可能)を用いて評価した。上記の溶液からの反射防止膜フィルムを、ケイ素ウェハ上に塗布されたAZ(R)ArF−1C5D BARC(AZ Electronic Materials,Somerville,NJから入手可能)の薄い層の上に塗布し、そして200℃で90秒間ベーク処理した。この反射防止膜フィルムは、1.75の(n)値及び0.20の(k)値を有することが分かった。AZ(R)EXP AX1120Pフォトレジストを用いて、270nmのフィルムを塗布しそして130℃で60秒間ベーク処理した。次いで、このウェハを193nm露光ツールを用いて像様露光した。この露光されたウェハを130℃で60秒間ベーク処理し、そしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%水溶液を用いて60秒間現像した。電子顕微鏡下に観察したライン・アンド・スペースパターンは定在波を示さなかった。これは、該底面反射防止膜の有効性を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー、架橋剤及び酸発生剤を含む、フォトレジスト層用反射防止膜組成物であって、前記ポリマーが、次の構造1
【化1】

[式中、Aは非芳香族連結部であり、
R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、ここでZは、(C1〜C20)ヒドロカルビル部分であり、そしてWは(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そして
Y'は独立して(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である]
で表される少なくとも一種の単位を含む、前記反射防止膜組成物。
【請求項2】
Aが、置換されていないC1〜C20アルキレン、置換されたC1〜C20アルキレン、置換されていないC1〜C20環状脂肪族部、置換されたC1〜C20環状脂肪族部、置換されていないC1〜C20複素環式脂肪族部、及び置換されたC1〜C20複素環式脂肪族部から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
ポリマーが、以下の構造2
【化2】

[式中、Bは、単結合またはC1〜C6非芳香族脂肪族部であり、
R'及びR''は、独立して、水素、Z及びW−OHから選択され、ここでZは(C1〜C20)ヒドロカルビル部分であり、そしてWは(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部であり、そして
Y'は、独立して(C1〜C20)ヒドロカルビル連結部である]
で表される、請求項2の組成物。
【請求項4】
前記ヒドロカルビル部分が、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1-C20)アルキレン基、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1-C20)アルキル基、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1-C20)シクロアルキル基、置換されているかもしくは置換されていないチア−アルキレン脂肪族(C1-C20)基、置換されているかもしくは置換されていないシクロアルキレン、置換されているかもしくは置換されていないベンジル、アルコキシアルキレン、アルコキシアリール、アリール、置換されたアリール、置換されているかもしくは置換されていない脂肪族(C1-C20)アルキレンアリール、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルキルアリール、アルケニル、アリールエステル、芳香族置換基を有するエステル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロアルキル、ハロアルキル、アルキルイミド、アルキルアミド、またはこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一つの組成物。
【請求項5】
Y'が、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、フェニルエチレン、アルキルニトロアルキレン、ネオペンチレン、アルキレンアリーレート、ジチアオクチレン、ブロモニトロアルキレン、フェニル、ナフチル、フェニルの誘導体、ナフチルの誘導体、及びアントラシルの誘導体から選択される、請求項1〜4のいずれか一つの組成物。
【請求項6】
Y'が、1−フェニル−1,2−エチレン、ネオペンチレン、エチレンフェニレート、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロピレン、2−ブロモ−2−メチル−1,3−プロピレン、ポリエチレングリコール、1−フェニレート−1,2−エチレン、1−ベンジレート−1,2−エチレン、−CHOCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHSCHCH−、−CHCHSCHCHSCHCH−、プロピレンフェニルアセテート、2−プロピレンフェニルアセテート(−CHCH(CHCOCHPh)、プロピレンフェニルエーテル(−CHCH(CHOPh)、プロピレンフェノレート(−CHCH(CHCOPh)、プロピレンナフトエート、プロピレンフタルイミド、プロピレンスクシンイミド、プロピレンクロチリデンアセテート(−CHCH(CHCOCHCHCHCHCH)から選択される、請求項1の組成物。
【請求項7】
架橋剤が、メラミン類、メチロール類、グルコールウリル類、ポリマー性グリコールウリル類、ヒドロキシアルキルアミド類、エポキシ及びエポキシアミン樹脂、ブロックドイソシアネート類、及びビニルモノマーから選択される、請求項1〜6のいずれか一つの組成物。
【請求項8】
熱酸発生剤が、有機酸のアルキルアンモニウム塩、フェノール性スルホネートエステル類、ニトロベンジルトシレート類、及び金属不含のヨードニウム及びスルホニウム塩から選択される、請求項1〜7のいずれか一つの組成物。
【請求項9】
前記ポリマーが、部分的に架橋されたポリマーである、請求項1〜8のいずれか一つの組成物。
【請求項10】
更に、ポリヒドロキシスチレン、ノボラック、ポリアリーレート及びポリメチルメタクリレートから選択される他のポリマーを含む、請求項1〜9のいずれか一つの組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つの反射防止膜組成物の層と、ポリマー及び光活性化合物を含むフォトレジストの被膜を前記層の上に有する基材を含む物品。
【請求項12】
a) 請求項1〜11のいずれか一つの反射防止膜組成物で基材を被覆し、そしてベーク処理し;
b) 前記反射防止膜の上にフォトレジスト膜を塗布し、そしてベーク処理し、
c) 前記フォトレジストを像様露光し、
d) フォトレジストに像を現像し、
e) 場合によっては、露光段階の後に基材をベーク処理する、
ことを含む像を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−500607(P2010−500607A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523369(P2009−523369)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002340
【国際公開番号】WO2008/017954
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】