説明

フォーマット変換装置

【課題】 BDFSフォーマットの記録情報をUDF2.5フォーマットに変換して記録する場合、元の記録情報を一時的に退避させるために別の情報記録媒体を用意しなければならず、また、元の記録情報を退避させるには大容量であるので時間がかかる。
【解決手段】 BDFSフォーマットの信号が記録された光ディスク101は、情報再生器202により再生され、ボリューム情報変換器204によりボリューム情報のみがUDF2.5フォーマットに変換されてUDF2.5情報テーブル205に格納され、データ領域の情報はフォーマット変換しない。情報記録器206は、光ディスクのボリューム情報領域を消去した後、フォーマット変換されたボリューム情報のみを光ディスク101内の所定の領域に書き込み、データ領域のデータに関してはそのまま変更しない。ボリューム情報は小容量であるので、高速にフォーマット変換が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォーマット変換装置に係り、特に情報記録媒体を使わずに、第1のフォーマットの信号を所定の第2のフォーマットの信号へ変換するフォーマット変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、第1の記憶媒体に記憶した第1のフォーマットの信号を、異なる別の第2の記憶媒体に記憶する場合、第2の記憶媒体に適合したフォーマットが第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットの場合、フォーマット変換装置により第1のフォーマットの信号を第2のフォーマットの信号にフォーマット変換してから第2の記憶媒体に記憶する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、この特許文献1記載のフォーマット変換装置では、MPEGカメラやデジタルスチルカメラで撮ったMPEG画像やJPEG静止画の第1のフォーマットのデータファイルを、第1の記憶媒体であるPCカードに記憶し、PCカードから読み取ったデータファイルをDVD−RAMが読み書きできる第2のフォーマットにフォーマット変換装置で変換し、それをDVD−RAMへ記録することが開示されている。
【0004】
他方、上記の場合とは異なり、同一の記録媒体に元の記録フォーマットとは異なるフォーマットに変換して上書きする場合も、フォーマット変換装置が必要となる。例えば、現在、大容量の光ディスクとして知られているブルーレイ(Blu−ray)ディスクでは、ファイルシステムとしてBDFS(Blu-ray Disc File System)フォーマットを採用しているが、今後は汎用性のあるUDF(Universal Disk Format)2.5フォーマットが採用されることが決定している。
【0005】
このため、BDFSフォーマットは徐々に消えていくことになる。これにより、現在のブルーレイディスクレコーダで録画したブルーレイディスクは、将来のブルーレイディスクレコーダでは再生できない問題がでてくる。そこで、BDFSフォーマットのブルーレイディスクを、UDF2.5フォーマットに変換するフォーマット変換装置が必要になる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−66736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、再フォーマットをした信号を、書き換え型光ディスクであるブルーレイディスクに上書き記録すると、ブルーレイディスク上の元の記録情報は消去されてしまうため、元の記録情報も引き続き保存したい場合は、元の記録情報を一時的に退避させる必要がある。しかし、ブルーレイディスクは容量が大きいため、元の記録情報を退避させるためには、ブルーレイディスクと同等以上の大容量のハードディスクなどの別の情報記録媒体を用意しなければならない。
【0008】
また、情報を退避させる別の情報記録媒体に、退避させるために必要な容量の空きが無い場合は、フォーマット変換ができない。更に、情報を退避させる別の情報記録媒体に、退避させるために必要な容量の空きがあったとしても、ブルーレイディスクは容量が大きいため、元の記録情報を退避させるには時間がかかり、その結果、迅速なフォーマット変換ができない。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、別の情報記録媒体を用意することなく、高速に第1のフォーマットから第2のフォーマットへフォーマット変換し得るフォーマット変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の目的を達成するため、記録媒体に第1のフォーマットで記録された、データ及び媒体の記録情報に関する補助情報からなる第1の信号を、データの形式は第1のフォーマットと同一で、かつ、補助情報の形式は第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットに変換した第2の信号を記録媒体に記録するフォーマット変換装置であって、記録媒体から第1のフォーマットの第1の信号を再生する再生手段と、再生手段により再生された第1の信号のうち、補助情報のみを第2のフォーマットに変換する変換手段と、記録媒体に記録されている第1の信号中の補助情報の記録領域を消去する消去手段と、変換手段により第2のフォーマットに変換された補助情報を、第1の信号中のデータが記録されているデータ記録領域を残し、かつ、第2のフォーマットに規定された補助情報記録領域に第2の信号として記録する補助情報記録手段とを有することを特徴とする。
【0011】
この発明では、記録媒体に記録されている第1のフォーマットの第1の信号を、第2のフォーマットの第2の信号にフォーマット変換して同じ記録媒体に記録するに際し、データ形式が第1及び第2のフォーマットで共通で、補助情報が第1のフォーマットと第2のフォーマットで異なることに着目し、補助情報のみを第1のフォーマットから第2のフォーマットに変換して記録媒体に記録する。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、第1のフォーマットはBDFSフォーマットであり、第2のフォーマットはUDF2.5フォーマットであり、補助情報はディスクリプタ情報、記録信号のディレクトリやファイル情報を含むボリューム情報であり、記録媒体は光ディスクであることを特徴とする。この発明では、BDFSフォーマットの第1の信号が記録されている光ディスクから、第1の信号中のボリューム情報のみをUDF2.5フォーマットにフォーマット変換して光ディスクに書き込むことにより、光ディスク全体の記録信号をUDF2.5フォーマットとすることができる。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、少なくとも第2のフォーマットで規定されたデータ領域は可変であり、第2のフォーマットのデータ領域の先頭アドレスが第1のフォーマットで記録されたデータ領域の先頭アドレスを超えず、かつ、第2のフォーマットのデータ領域が第1のフォーマットのデータ領域を含むように、第2のフォーマットに変換された補助情報を、第1のフォーマットで記録されたデータ領域以外の領域に記録することを特徴とする。この発明では、第1のフォーマットのデータ領域はそのまま第2のフォーマットのデータ領域として使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録媒体に記録されている第1のフォーマットの第1の信号を、第2のフォーマットの第2の信号にフォーマット変換して同じ記録媒体に記録するに際し、データ形式が第1及び第2のフォーマットで共通で、補助情報が第1のフォーマットと第2のフォーマットで異なることに着目し、補助情報のみを第1のフォーマットから第2のフォーマットに変換して記録媒体に記録するようにしたため、以下の特長を有する。
【0015】
(1)第1の信号が記録されている記録媒体以外に、ハードディスクなどの別の情報記録媒体が不要であるため、その情報記録媒体に依存することなく、いつでも行える。
【0016】
(2)ハードディスクなどの別の情報記録媒体が不要であり、また、補助情報はデータに比べて小容量であるため、フォーマット変換後の補助情報格納用メモリは小容量でよく、よって装置全体を安価な構成とすることができる。
【0017】
(3)データを別の情報記録媒体に退避させる時間が不要で、小容量の補助データのみをフォーマット変換すればよいため、高速にフォーマット変換ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になるフォーマット変換装置の一実施の形態のブロック図を示す。本実施の形態のフォーマット変換装置は、ディスクドライブ100とファイルシステム200とからなる。ディスクドライブ100は、光ディスク(ここでは、一例としてブルーレイディスク)101と、信号変調器202と、ディスクドライブ200との間のインターフェースをとるインターフェース回路103とからなる。信号変調器202は、光ディスク101に対する信号記録時には記録信号を光信号に変換して光ディスク101に照射し、光ディスク101の再生時には光ディスク101に対し光ビームを照射して得た反射光信号を電気信号である読取信号に変換する(本明細書では、この電気信号と光信号の一方から他方への変換のことを変調という)。
【0019】
一方、ファイルシステム200は、ディスクドライブ100との間のインターフェースをとるインターフェース201と、光ディスク101から信号変調器102、インターフェース103、及びインターフェース201を介して供給された読取信号からBDFSフォーマットのボリューム情報を再生する情報再生器202と、情報再生器202で再生したBDFSフォーマットのボリューム情報を保存しておくBDFS情報テーブル203と、BDFS情報テーブル203からUDF2.5情報テーブルにボリューム情報を変換するボリューム情報変換器204と、ボリューム情報変換器204で変換されたUDF2.5フォーマットのボリューム情報を保存しておくUDF2.5情報テーブル205と、UDF2.5フォーマットのボリューム情報を光ディスク101に記録する情報記録器206とから構成される。
【0020】
ここで、上記のBDFSフォーマットは図2(A)に示す構造とされており、上記のUDF2.5フォーマットは同図(B)に示す構造とされている。BDFSフォーマットは、図2(A)に示すように、予約領域I、ボリューム(volume)領域II、データ(data)領域III、ボリューム情報領域IV、予約領域VIからなる。一方、UDF2.5フォーマットは図2(B)に示すように、予約領域VI、ボリューム(volume)領域VII、予約領域VIII、メタパーティション(metapartition)領域IX、データ(data)領域X、予約領域XI、ボリューム情報領域XIIからなる。
【0021】
上記のBDFSフォーマットのデータ領域IIIと、UDF2.5フォーマットのデータ領域Xの各データ情報は形式が同じである。また、UDF2.5フォーマットのmetapartition領域IXとデータ領域Xは、位置か大きさが可変であるが、データ領域Xの先頭から0x8A00までの範囲で作成するように定められている。もし、データ領域Xの先頭をアドレス0x8A00より大きなアドレス値にしてしまうと、BDFSのデータ領域IIIの先頭位置を超えてしまい、BDFSのデータ領域IIIの正常再生ができなくなる。
【0022】
また、UDF2.5フォーマットのデータ領域Xの終わりは、BDFSフォーマットのデータ領域IIIの終わりよりも大きなアドレス値である。つまり、フォーマット変換後も、BDFSのデータ領域IIIであった領域は、UDF2.5フォーマットのデータ領域Xとなる。そこで、本実施の形態では、BDFSのデータ領域IIIがUDF2.5フォーマットのデータ領域Xにすべて収まるようにUDF2.5フォーマットのmetapartition領域IXを設定することで、BDFSフォーマットのデータ領域IIIのデータ情報は、フォーマット変換により移動させないようにする。
【0023】
また、BDFSフォーマットのボリューム情報領域II、IVのボリューム情報と、UDF2.5フォーマットのボリューム情報領域VII、XIIのボリューム情報とは、形式が異なる。よって、ボリューム情報はフォーマット変換して書き直す必要がある。この変換の際に使用する容量は大きくないため、システムメモリでまかなえる。また、アドレス0x200〜0x8A00のボリューム情報領域IIとlast−0x8A00〜last−0x200のボリューム情報領域IVには、BDFSフォーマットを認識させるボリューム情報が格納されているため、再フォーマット前に消去する必要がある。
【0024】
次に、図1に示した本実施の形態の上記の点を考慮した動作について、図3のフローチャートと共に説明する。まず、フォーマット変換装置にBDFSフォーマットの光ディスク(ブルーレイディスク)101をセットする(ステップ301)。信号変調器102は光ディスク(ブルーレイディスク)101の所定の領域から再生信号を得て、インターフェース103及び201を通して情報再生器202に供給し、BDFSフォーマットのボリューム情報を再生させる(ステップ302)。ここで、ボリューム情報とは、光ディスク(ブルーレイディスク)101の情報(ディスクリプタ情報等)やディレクトリやファイルの情報(サイズやデータのあるアドレス等)である。
【0025】
続いて、情報再生器202は再生したBDFSフォーマットのボリューム情報を、メモリのBDFS情報テーブル203に保存する(ステップ303)。ボリューム情報変換器204は、BDFS情報テーブル203に保存されているBDFSフォーマットのボリューム情報を、UDF2.5フォーマットのボリューム情報に変換し(ステップ304)、その変換後のUDF2.5フォーマットのボリューム情報をメモリのUDF2.5情報テーブル205に保存する(ステップ305)。
【0026】
情報記録器206は、UDF2.5情報テーブル205にUDF2.5フォーマットのボリューム情報が保存されると、インターフェース201及び103、信号変調器102を介して、光ディスク(ここでは、ブルーレイディスク)101の予め規格で定められているBDFSのボリューム情報領域、すなわち図2に示した、アドレス0x200〜0x8A00のボリューム情報領域IIとlast−0x8A00〜last−0x200のボリューム情報領域IVに「0」を上書き記録することにより、BDFSのボリューム情報領域II、IVに記録されているボリューム情報を消去する(ステップ306)。
【0027】
続いて、情報記録器206は、インターフェース201及び103、信号変調器102を介して、光ディスク(ここでは、ブルーレイディスク)101の予め規格で定められているUDF2.5フォーマットのボリューム情報領域VII、XIIに、UDF2.5情報テーブル205から取得したUDF2.5フォーマットのボリューム情報を書き込む(ステップ307)。このとき、データ領域Xの先頭アドレスが、BDFSフォーマットの先頭アドレス0x8A00を超えないように記録を行う。
【0028】
これにより、光ディスク(ここでは、ブルーレイディスク)101はUDF2.5フォーマットにフォーマット変換されたこととなり、その後装置から取り出される(ステップ308)。
【0029】
このように、本実施の形態によれば、BDFSフォーマットで記録されている光ディスク101のボリューム情報をUDF2.5フォーマットにフォーマット変換した後、BDFSフォーマットで記録されている光ディスク101のボリューム情報領域を消去して、UDF2.5フォーマットに規定されているボリューム情報領域に、上記のフォーマット変換後のボリューム情報を光ディスク101に書き込むことにより、最も大容量のデータ領域のデータについてはフォーマット変換せず、フォーマット変換は小容量のボリューム情報のみ行うので、小容量のシステムメモリにより高速に変換できる。
【0030】
なお、本発明は、ブルーレイディスクを例にとって説明したが、同様のフォーマットであれば、ブルーレイディスク以外の記録媒体のフォーマットも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態のブロック図である。
【図2】BDFSフォーマットとUDF2.5フォーマットの説明図である。
【図3】図1の動作説明用フローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
100 ディスクドライブ
101 光ディスク
102 信号変調器
103、201 インターフェース
200 ファイルシステム
202 情報再生器
203 BDFS情報テーブル
204 ボリューム情報変換器
205 UDF2.5情報テーブル
206 情報記録器
II、IV BDFSフォーマットのボリューム情報領域
III BDFSフォーマットのデータ領域
VII、XI UDF2.5フォーマットのボリューム情報領域
X UDF2.5フォーマットのデータ領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に第1のフォーマットで記録された、データ及び媒体の記録情報に関する補助情報からなる第1の信号を、前記データの形式は前記第1のフォーマットと同一で、かつ、前記補助情報の形式は前記第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットに変換した第2の信号を前記記録媒体に記録するフォーマット変換装置であって、
前記記録媒体から前記第1のフォーマットの前記第1の信号を再生する再生手段と、
前記再生手段により再生された前記第1の信号のうち、前記補助情報のみを前記第2のフォーマットに変換する変換手段と、
前記記録媒体に記録されている前記第1の信号中の前記補助情報の記録領域を消去する消去手段と、
前記変換手段により前記第2のフォーマットに変換された前記補助情報を、前記第1の信号中の前記データが記録されているデータ記録領域を残し、かつ、前記第2のフォーマットに規定された補助情報記録領域に前記第2の信号として記録する補助情報記録手段と
を有することを特徴とするフォーマット変換装置。
【請求項2】
前記第1のフォーマットはBDFSフォーマットであり、前記第2のフォーマットはUDF2.5フォーマットであり、前記補助情報はディスクリプタ情報、記録信号のディレクトリやファイル情報を含むボリューム情報であり、前記記録媒体は光ディスクであることを特徴とする請求項1記載のフォーマット変換装置。
【請求項3】
少なくとも前記第2のフォーマットで規定されたデータ領域は可変であり、前記第2のフォーマットのデータ領域の先頭アドレスが前記第1のフォーマットで記録されたデータ領域の先頭アドレスを超えず、かつ、前記第2のフォーマットのデータ領域が前記第1のフォーマットのデータ領域を含むように、前記第2のフォーマットに変換された補助情報を、前記第1のフォーマットで記録されたデータ領域以外の領域に記録することを特徴とする請求項1又は2記載のフォーマット変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−179082(P2006−179082A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370069(P2004−370069)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】