説明

フォームを含有するウォールボード中での分散剤の効果的な使用

フォームを含有するウォールボード中での分散剤の効果的な利用は、第1の分散剤および第1の分量の水とミックスして、漆喰が石膏スラリーを形成する方法から成る。第2の分散剤および第2の分量の水とブレンドされ、石鹸からフォームを作製する。次に、フォームとスラリーとを混合する。異なる第1および第2の分散剤ならびにその相対量の選択により、スラリー中のフォーム気泡および石膏コア中の得られた空隙のサイズ分布の制御が可能になる。ミキサおよびフォーム水の両方での同じ分散剤の使用は、分散剤の有効性の向上をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照として本明細書に組み入れられている、2005年6月14日に出願された“Effective Use of Dispersants in Wallboard Containing Foam”という題名の米国特許出願第152,404号に関する。
【0002】
本出願は、すべて2005年6月14日に出願され、すべて参照として本明細書に組み入れられている、“Fast Drying Wallboard”という題名の同時係属米国特許出願第11/152,661号(Attorney Ref.2033.72380);“Method of Making a Gypsum Slurry with Modifiers and Dispersants”という題名の米国特許出願第11/152,323号(Attorney Ref.No.2033.73064)、“Modifiers for Gypsum Products and Method of Using Them”という題名の米国特許出願第11/152,317号(Attorney Ref.No.2033.72739)、および,“Gypsum Products Using a Two−Repeating Unit Dispersant and Method for Making Them”という題名の米国特許出願第11/152,418号(Attorney Ref.No.2033.72740)に関する。
【0003】
本出願は、すべてこれと共に同時に出願され、すべて参照として本明細書に組み入れられている、“Method of Making a Gypsum Slurry with Modifiers and Dispersants”という題名の同時係属米国特許出願第11/xxx,xxx号(Attorney Ref.No.2033.75339)、“Modifiers for Gypsum Products and Method of Using Them”という題名の米国特許出願第11/xxx,xxx号(Attorney Ref.No.2033.75338)、 および“Gypsum Products Using a Two−Repeating Unit Dispersant and Method for Making Them”という題名の米国特許出願第11/xxx,xxx号(Attorney Ref.No.2033.75332)に関する。
【0004】
[発明の背景]
本発明は、ウォールボードを作製するときのコアの特性を制御する方法に関するものである。さらに詳細には、本発明は、制御されたサイズの空隙を生成することによってコア強度を制御することに関する。
【0005】
石膏ベース建材は建設で一般に使用されている。石膏で作製されるウォールボードは耐火性であり、ほぼすべての形状の壁の建造に使用され得る。石膏より成るウォールボードは主に、内壁および天井製品として使用される。石膏は消音特性を有する。石膏は損傷を受けた場合に、比較的容易に修繕または交換される。ウォールボードに施用され得る塗料および壁紙を含む、各種の装飾仕上げがある。これらの利点すべてを備えていても、石膏はなお比較的安価な建材である。
【0006】
ウォールボードパネルの合理的なコストの1つの理由は、ウォールボードパネルが高速および効率的であるプロセスによって製造されるということである。コアを形成するのに使用されるスラリーは、ミキサ内でブレンドされる硫酸カルシウム半水化物および水を含む。スラリーがミキサを出ると、石鹸および水から生成されたフォームがスラリーに添加されてから、スラリーはミキサを通過する表面が紙のシートに連続的に堆積される。第2の紙のカバーシートがスラリー上に施用され、そして、得られたアセンブリはパネルの形状に形成される。硫酸カルシウム半水化物は十分な量の水と反応して、半水化物を連結硫酸カルシウム二水和物結晶のマトリクスに変換して、マトリクスを硬化させて堅固にする。このように形成された連続ストリップは、焼成石膏が硬化するまでベルト上を運搬され、その後ストリップは切断されて所望の長さのボードを形成し、ボードは余分な水分を除去するために乾燥窯内を通って運搬される。これらのステップのそれぞれは数分しかかからないので、プロセスステップのいずれかにおける小規模な変化は、製造プロセスにおける全体的な非効率につながり得る。
【0007】
設置者らは、作業での疲労を軽減するために軽量ボードの方を好む。フォームは石膏コア内に重量を減少させる空隙を導入するが、空隙のサイズが制御されない場合、製品に関する問題が起こることがある。非常に大きな気泡は、美観上の問題を引き起こす可能性がある。多くの小さな気泡がコア内の多くの極小空隙として去ると、強度が低下する。理想的には、高強度であるが軽量のボードを生産するために、大小の気泡の分布が所望である。完成ボードの強度および重量に影響を及ぼすことに加えて、石膏スラリーへのフォームの混合はスラリーの流動性を低下させる。
【0008】
水および硫酸カルシウム半水化物の混合物の流動化を補助して、スラリーの流動性を向上させる分散剤は、石膏と共に使用されることがすでに知られている。ナフタレンスルホネート分散剤は周知であるが、有効性が限られている。ポリカルボキシレート分散剤は一般に、セメントと共に、そしてより少ない程度で石膏と共に使用される。1つ以上の分散剤の添加は、フォームが添加されるときに流動性を上昇させるために使用され得る。
【0009】
さらに石膏スラリーへの分散剤の添加がフォーム気泡の、およびそれらが残す空隙のサイズ分布を変化させることが見出されている。ある分散剤は、エンドユーザにとって不愉快であり得る異常な概観をボードに持たせる。他の分散剤は、強度を低下させる可能性のある極小気泡を作る。
【0010】
分散剤は石膏スラリーの硬化も遅延させ、さらにウォールボードなどの石膏製品の高速生産を複雑にする可能性がある。流動性を改善するために分散剤用量を増加すると、硬化時間が遅延する可能性がある。刃物で切断する際に、ウォールボードが十分に硬化していない場合、製品はその形状を維持することができず、ボードが切断された後、ボードの取り扱いによって破損を受けるであろう。ボードを硬化させて、その形状を維持させるために、ラインの速度低下が必要であろう。
【0011】
分散剤の化学的性質、フォーム気泡サイズおよびスラリー流動性の間のこの複雑な関係は、硬化時間を著しく延長することなく、所望の気泡サイズ分布および流動性の両方を有する石膏スラリーを生産することを困難にしている。Kao Corporationに譲渡された米国特許第6,264,739号は、フォームを安定させる、ウォールボード内での使用のためのポリマー分散剤の使用を開示している。本参考文献は、それぞれ2〜3個の炭素原子およびアクリル反復単位を有する、オキシアルキレン基2〜300モルを有するポリアルキレングリコールモノエステルモノマーについて記載している。分散剤を添加するために開示された唯一の方法は、分散剤を界面活性剤と共に石膏粉末に添加する方法である。制御されたコア構造のための気泡サイズまたは気泡サイズ分布を制御することへの言及はなされず、フォームを安定化することへの言及のみがなされている。
【0012】
米国特許第6,527,850号も、アクリル/ポリエーテル櫛状分岐共重合体を含む分散剤調合物を利用する石膏組成物について記載している。本参考文献は、フォーム、デンプン、界面活性剤およびガラス繊維を含む組成物の第2の湿潤部分があり得ることを教示する。実施例6において、ナフタレンスルホネートに加えて、ポリカルボキシレート櫛状分岐共重合体の使用が明らかにされる。しかしながら、スラリーミキサへの添加のためにポリカルボキシレート分散剤およびナフタレンスルホネート分散剤が共にミックスされる場合に、成分は次にスラリーへ均質にミックスするのが非常に困難であるゲルを形成し得ることが見出されている。分散剤の組合せも、より低い流動性のスラリーを生じた。
【0013】
それゆえ強いと同時に軽量である石膏コアを得るために、フォームおよび分散剤を共に効果的に利用する方法への要求がある。さらに本発明は、製品を効率的に作製するために必要な高い流動性および硬化時間を維持しながら、このことを達成すべきである。
【0014】
[発明の概要]
これらおよび他の問題に対する解決策は、石膏、分散剤およびフォームから流体スラリーを一貫して生産し、気泡サイズ分布を制御して、大小の気泡の混合物を生成するという現在の方法に適合する、若しくは勝る。現在の方法では大小の気泡の混合物を生産するために制御される。気泡サイズ分布は、スラリー流動性を低下させることなく、または硬化時間を著しく延長することなく制御される。
【0015】
さらに詳細には、フォームを含有するウォールボード中で分散剤を効果的に利用する方法において、漆喰は石膏スラリーを形成するために第1の分散剤および第1の分量の水とミックスされる。石鹸はフォームを作製するために、第2の分散剤および第2の分量の水とブレンドされる。次に、フォームはスラリーとミックスされる。異なる第1および第2の分散剤ならびにその相対量の選択は、スラリー中のフォーム気泡および石膏コア中の生じた空隙のサイズ分布の制御を可能にする。ミキサおよびフォーム水の両方での同じ分散剤の使用は、分散剤の有効性の向上をもたらす。
【0016】
ミキサ内の計量水とフォーム水との間での異なる分散剤の選択は、フォーム気泡サイズの制御向上を可能にする。気泡サイズ分布の制御することによって、製造者は高強度および軽量のボードを容易に生産することができ、または必要に応じてこれらの特性のバランスをとることができる。従来技術は、ウォールボード中でのある分散剤の使用がウォールボード製造で使用されたフォームを安定させることのみ教示している。いずれの既知の従来技術においても、フォーム水へ分散剤を添加する利点があるという教示または示唆はない。
【0017】
第2の実施形態において、第1および第2の分散剤は同じ種類の分散剤である。この場合、気泡サイズ分布を変更する代わりに、分散剤の有効性の向上が得られる。ミキサへ分散剤の全量を添加することと比較して、流動性の上昇が得られる。
【0018】
この様式での分散剤の使用は、分散剤の全量がミキサに添加されるときに達成されるよりも良好なスラリー流動性がもたらす。このことは、同じ分散剤がミキサおよびフォームに添加される場合でも当てはまる。改善されたスラリー流動性は、許容される流動性を達成するために必要な分散剤の量がより少ないことを意味する。分散剤の全量を維持すること、または減少させることも、製造における問題を引き起こす、スラリーの硬化時間の著しい遅延の可能性を低下させるであろう。
【0019】
さらに本プロセスの実施は、ユーザにより大きな製造上の柔軟性を許容する。フォーム水に対する、またはミキサに対する分散剤を単に変更することによって、流動性または気泡サイズ分布のどちらかが変更され得る。プロセスの変更は、ポンプおよびスイッチを配備した後、既存の器具の改良をしないで行うことができる。プロセスには、追加的な制御を加えられる。
【0020】
[発明の詳細な説明]
分散剤は、本発明の利益を得るために、混合水または計量水およびフォーム水の両方に添加される。分散剤の2つの部分は同じ分散剤であり得るが、少なくとも2つの異なる分散剤の使用も好ましい。
【0021】
本発明では多数の分散剤が有用である。ポリカルボキシレート分散剤は、分散剤の好ましい種類である。最も好ましいのは、ポリカルボン酸エーテル分散剤である。本発明により、1つ以上の分散剤をスラリーに添加する。この場合、第1の分散剤をミキサ内の水の第1の部分に添加し、第2の添加剤はフォーム水に添加する。第1の添加剤および第2の添加剤は場合により同じである。同じ分散剤を計量水およびフォーム水で使用する場合でも、ミキサ内の計量水に分散剤の全量を添加するのと比べて、より良好な流動性が得られる。
【0022】
本発明の一実施形態において、第1の分散剤は、小さい気泡を生成する種類の1つ、たとえば2641型またはPCE211型分散剤の1つである。分散剤の種類は、下でさらに詳細に説明される。第2の分散剤は、フォームを不安定化させて、大きな気泡を生成する分散剤、たとえば1641型分散剤またはナフタレンスルホネート分散剤である。たとえばPCE211型ポリマーは、ウォールボード製造においてミキサ内での使用にとって好ましい。このポリカルボン酸エーテルは、高い有効性および短い硬化時間遅延を示すが、このポリカルボン酸エーテルは極小空隙を有するコアを生成する。PCE211型分散剤の10重量%が除去されて、ナフタレンスルホネート分散剤のほぼ同じ重量がフォーム水に添加される場合、好ましい気泡サイズの分布が得られる。
【0023】
本実施形態の別の態様において、大きな気泡を生成する第1の分散剤、たとえばナフタレンスルホネート分散剤の第1の部分がミキサ内の計量水に添加される。第2の分散剤は、小さい気泡を生成するポリカルボン酸エーテル分散剤、たとえば2641型またはPCE211型分散剤である。
【0024】
本発明の第2の実施形態は、単一の分散剤を2つの部分に分割して、第1の部分を計量水で、そして第2の部分をフォーム水で利用する。本実施形態が利用されるとき、気泡サイズの制御はないが、分散剤の全量と比較して分散剤の有効性が向上する。
【0025】
ミキサ水およびフォーム水中での異なる分散剤の使用には、有利な点がある。気泡サイズの分布は、スラリーおよびフォームを作製するための異なる分散剤の使用によって最適化することができる。ミキサにて添加されたあるポリカルボキシレート分散剤は一般に、フォームが石膏スラリーと混合されるときに非常に小さなフォーム気泡を生じることが見出されている。これらは、Degussa Construction Polymers,GmbH(Trostberg Germany)の製品であり、Degussa Corp.(Kennesaw,GA)(以下「Degussa」)によって供給される、MELFLUX 2641 F、MELFLUX 2651 FおよびPCE211型分散剤を含む。(MELFLUXは、Deguss Construction Polymers,GmbHの(登録商標)である)。DegussaによるMELFLUX 1641およびナフタレンスルホネート分散剤を含む他の分散剤は、フォームを不安定化して、非常に大きな気泡を生成する。適切なナフタレンスルホネート分散剤の例としては、GEO Specialty Chemicals,Ambler,PAによるDILOFLOまたはDow Chemical Co.,Midland,MIからのDAXADが挙げられる。
【0026】
スラリーで使用された「PCE211型」と呼ばれる好ましいポリカルボン酸エーテル分散剤の1つは、2つの反復単位を含む。PCE211型分散剤は、すべて以前に参照として組み入れられている、2005年6月14日に出願され、“Gypsum Products Using a Two−Repeating Unit Dispersant and Method for Making Them”という題名の、米国特許出願第11/152,418号;これと共に同時に出願され、“Gypsum Products Using a Two−Repeating Unit Dispersant and Method for Making Them”という題名の、米国特許出願第11/xxx,xxx号(Attorney Ref.No.2033.75332);2005年6月14日に出願され、“Polyether−Containing Copolymer”という題名の米国特許出願第11/152,678号;ならびにこれと共に同時に出願され、“Polyether−Containing Copolymer”という題名の米国特許出願第11/xxx,xxx号(Attorney Ref.DCP 3)にさらに詳細に開示されている。
【0027】
第1の反復単位は、オレフィン不飽和モノカルボン酸反復単位、そのエステルまたは塩、あるいはオレフィン不飽和硫酸反復単位またはその塩である。好ましい反復単位としては、アクリル酸またはメタクリル酸が挙げられる。1価または2価塩は、酸基の水素の代わりに適切である。水素は、エステルを形成するために炭化水素基に置換することができる。
【0028】
第2の反復単位は、式I
【化1】


を満たし、
は、式IIによる不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル基に由来する。
【化2】

【0029】
式Iを参照すると、アルケニル反復単位は場合により、ポリマー主鎖とエーテル結合との間にC〜Cアルキル基を含む。pの値は、0〜3の、0および3を含めた整数である。好ましくは、pは0または1のどちらかである。Rは、水素原子または直鎖、分岐、飽和または不飽和であり得る脂肪族C〜C炭化水素基のどちらかである。好ましい反復単位の例としては、アクリル酸またはメタクリル酸が挙げられる。
【0030】
式IIのポリエーテル基は、酸素原子によって結合された少なくとも2個の異なるアルキル基を含む複数のC〜Cアルキル基を含有し、mおよびnは、2〜4の、2および4を含めた整数であり、好ましくはmおよびnの少なくとも1つが2である。xおよびyは、55〜350の、55および350を含めた整数である。zの値は、0および200を含めて0〜200である。Rは、非置換または置換アリール基、および好ましくはフェニル基であり、Rは、水素または脂肪族C〜C20炭化水素基、脂環式C〜C炭化水素基、置換C〜C14アリール基または式III(a)、III(b)およびIII(c)の少なくとも1つに一致する基である。
【化3】

【0031】
上の式において、RおよびRは、相互から独立して、アルキル、アリール、アラルキルまたはアルキルアリール基を表す。Rは、2価アルキル、アリール、アラルキルまたはアルキルアリール基である。
【0032】
本クラスのポリマーは、DegussaによってPCE211分散剤シリーズとして販売されている。ウォールボードで有用であることが既知の本シリーズの他のポリマーとしては、PCE111が挙げられる。PCE211型分散剤のさらなる教示は、2005年6月14日に出願された、“Polyether−Containing Copolymer”という題名の米国特許出願第11/152,678号に開示されている。
【0033】
分散剤の分子量は、好ましくは、約20,000〜約60,000ダルトンである。驚くべきことに、より低分子量の分散剤が、60,000ダルトンを超える分子量を有する分散剤よりも短い硬化時間の遅延を引き起こすことが見出されている。一般に、分子量全体の増加を生じるより長い側鎖長は、より良好な分散性を与える。しかしながら石膏を用いた試験は、分散剤の有効性が約60,000ダルトンを超える分子量にて低下することを示している。
【0034】
有用であることが既知である他の分散剤(「2641型」)は、参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第6,777,517号に開示されている。好ましくは、分散剤は、式IV(a)、IV(b)およびIV(c)に示す少なくとも3つの反復単位を含む。
【化4】

【0035】
この場合、アクリル酸およびマレイン酸反復単位の両方が存在しており、酸基/ビニルエーテル基の比がより高くなる。Rは、水素原子または1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカルを表す。Xは、OMを表し、式中、Mは、水素原子、1価金属カチオン、およびアンモニウムイオンまたは有機アミンラジカルである。Rは、置換され得る、水素、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカル、6〜14個の炭素原子を有する脂環式炭化水素ラジカルであり得る。Rは、場合により直鎖または分岐、飽和または不飽和である、水素または1〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素ラジカルである。Rは、構造単位がアクリル酸またはメタクリル酸であるかによって、水素またはメチル基である。Pは、0〜3であり得る。Mは、2〜4の、2および4を含めた整数であり、nは、0〜200の、0および2を含めた整数である。本ファミリーの分散剤は、Degussaによって、MELFLUX 2641 F、MELFLUX 2651 FおよびMELFLUX 2500分散剤として販売されている。石膏スラリー中での2641型分散剤の使用は、参照として以前に組み入れられた、2005年6月14日に出願された、“Fast Drying Wallboard”という題名の米国特許出願第11/152,661号に記載されている。
【0036】
なお別の好ましい分散剤は、DegussaによってMELFLUX 1641(「1641型」)として販売されている。これは、式Vに示すように、主に2つの成分より成る別の分散剤である。この分散剤は主に、一方はビニルエーテル、他方はビニルエーテルの2つの反復単位より成る。式Vにおいて、mおよびnは、ポリマー鎖に沿ってランダムに位置決めされ得る成分反復単位のモル比である。
【化5】

【0037】
モノマーの重合は、当業者によって既知のいずれの方法によっても実施される。ポリマーを作製する1つの好ましい方法は、参照として本明細書に組み入れられている米国特許第6,777,517号に教示されている。
【0038】
これらの分散剤は、石膏との使用に特に十分に適している。理論に縛られたくはないが、酸反復単位が石膏結晶に結合して、その間に第2の反復単位の長いポリエーテル鎖が分散作用を果たすと考えられている。該分散剤は他の分散剤よりも遅延性が低いので、ウォールボードなどの石膏製品の製造プロセスの中断がより少ない。該分散剤はいずれかの有効な量で使用される。大方の場合、選択された分散剤の量は、スラリーの所望の流動性に依存する。水の量が減少するにつれて、一定のスラリー流動性を維持するためにより多くの分散剤が必要とされる。好ましくは、使用された分散剤の全量は、漆喰の乾燥重量に基づいて約0.01%〜約0.5%である。さらに詳細には、分散剤は同じ基準に基づいて約0.05%〜約0.2%で使用される。液体分散剤を測定するにあたって、分散剤の用量を計算するのにポリマー固体のみが考慮され、分散剤からの水は、水/漆喰比が計算されるときに考慮される。
【0039】
硬化した石膏含有製品において空隙を生じさせてより軽い重量を与えるために発泡剤を利用する本発明の実施形態において、発泡硬化石膏製品を調製するのに有用であることが既知の従来の発泡剤のいずれも利用され得る。多くのそのような発泡剤、たとえばGEO Specialty Chemicals,Ambler,PAからのHYONICラインの石鹸は周知であり、ただちに市販品として入手可能である。フォームおよび発泡石膏製品を調製する好ましい方法は、参照として本明細書に組み入れられている米国特許第5,683,635号に開示されている。フォームが製品に添加される場合、ポリカルボキシレート分散剤は場合により、硫酸カルシウム半水化物へ添加する前に、プロセス水とフォーム水との間で分割される。
【0040】
石膏スラリーは場合により、ポリカルボキシレート分散剤の作用を強化する1つ以上の調整剤も含む。本明細書で使用する2反復単位分散剤は、調整剤の影響に対して特に感受性がある。好ましい調整剤としては、セメント、石灰、生石灰または酸化カルシウム、水酸化カルシウムとしても既知の消石灰、炭酸ナトリウムとしても既知のソーダ灰、カリとしても既知の炭酸カリウム、および他のカーボネート、シリケート、ホスホネートおよびホスフェートが挙げられる。調整剤を使用すると、分散剤の有効性が向上して流動性の新たなレベルが達成され、ポリカルボキシレート分散剤の量が減少し、ポリカルボキシレートのコストを低減することができる。調整剤およびその使用に関する追加の情報は、2005年6月14日に出願され、参照として以前に組み入れられた“Modifiers For Polycarboxylate Dispersants”という題名の米国特許出願第11/152,317号に見出されている。
【0041】
調整剤は石膏スラリーにいずれの適切な量でも使用される。好ましくは、調整剤は乾燥漆喰に基づいて約0.01重量%〜約2重量%の量で使用される。さらに好ましくは、調整剤は約0.03%〜約0.5%の、なおさらに好ましくは約0.05%〜約0.5%の量で使用される。
【0042】
水は、流動性を有するスラリーを作製するいずれの量でもスラリーに添加される。使用される水の量は、スラリーが使用される用途、使用される正確な分散剤、使用される漆喰および添加剤の特性に従って大きく変化する。ウォールボードの水/漆喰の比(「WSR」)は、好ましくは、漆喰の乾燥重量に基づいて約0.1〜約0.8である。一般に約0.2〜約0.6のWSRが好ましい。床用組成物は、好ましくは、約0.17〜約0.45の、好ましくは約0.17〜約0.34のWSRを使用する。成形または鋳造可能な製品は、好ましくは、約0.1〜約0.3の、好ましくは約0.16〜約0.25のWSRで水を使用する。WSRは、PGE211型分散剤の適度な添加に基づく実験室試験において、0.1以下まで低下させることができる。
【0043】
スラリーを作製するために使用される水は、スラリーおよび硬化石膏の両方の特性を最大限制御するためにできるだけ純粋でなければならない。加速剤から硬化抑制剤までの多岐にわたる塩および有機化合物は、スラリーの硬化時間を改良することが周知である。ある不純物は、二水和物結晶の連結マトリクスが形成するときに構造内に不規則を引き起こして、硬化製品の強度を低下させる。製品強度および堅さはそれゆえ、できるだけ汚染物質を含まない水の使用によって向上できる。
【0044】
調整剤が分散剤にさらされる前に漆喰が分散剤にさらされると、そのときに調整剤の効果が弱まることが発見されている。好ましくは、調整剤および分散剤はどちらも計量水に予備溶解させ、溶液を生成しておく。調整剤および分散剤は、いずれの順序でも、連続的または本質的に同時のどちらでも添加される。溶液を生成した後、漆喰を溶液とミックスして、漆喰を分散剤および調整剤の両方に同時にさらす。調整剤および分散剤の両方が乾燥形であるときは、それらを乾燥漆喰と共にミックスして、添加する。調整剤、分散剤および漆喰を混合させるための好ましい方法はさらに、参照として以前に組み入れられた、“Method of Making a Gypsum Slurry with Modifiers and Dispersants”という題名の米国特許出願第11/152,323号(Attorney Ref.No.2033.73064)に記載されている。
【0045】
別の実施形態において、調整剤を計量水の一部とミックスし、調整スラリーを生成する。調整スラリーを、次に残りの計量水および分散剤と同時または連続的のいずれかでミックスし、3成分溶液を生成する。いずれの場合でも、調整剤および分散剤の両方が、乾燥成分の導入前に計量水中にブレンドされる。
【0046】
硫酸カルシウム半水化物または焼成石膏としても知られている漆喰は、乾燥物質の少なくとも50%の量で存在する。好ましくは、漆喰の量は少なくとも80%である。多くのウォールボード組成物において、乾燥成分物質は、90%超過またはさらに95%超過の硫酸カルシウム半水化物である。焼成の方法は重要ではなく、アルファまたはベータ焼成漆喰のいずれかが適切である。硫酸カルシウム無水石膏の使用も考慮されるが、硫酸カルシウム無水石膏は、20%未満の少量で使用されることが好ましい。
【0047】
異なる供給源からの漆喰は、塩および不純物の異なる量および種類を含む。本発明のスラリーは、漆喰が高濃度の天然発生型塩を有するときにより有効ではない。低塩漆喰は、300ppm未満の溶解性塩を有する漆喰として定義される。少なくとも600ppmの溶解性塩を有する漆喰を含む高塩含量漆喰は、調整剤の作用を最も妨害するように思われる。Southard,OK,Little Narrows,Nova Scotia,Fort Dodge,IA,Sweetwater,TX,Plaster City,CAおよび多くの他の場所からの石膏堆積物がこの選好を満足する。
【0048】
本発明のある実施形態において、最終製品の1つ以上の特性を改良するために、添加剤が石膏スラリーに含まれる。添加剤は当分野で既知である様式および量で使用される。しばしばこれらおよび他の添加剤は固体、粉末または顆粒形であり、スラリーがミックスされる前に乾燥成分に添加される。濃度は、完成ボードパネルの1000平方フィート当たりの量(「MSF」)で報告される。
【0049】
デンプンは、紙接着を増強して、製品を強化するために、約3〜約20ポンド/MSF(14.6〜97.6g/m)で使用される。ガラス繊維は場合によりスラリーに11ポンド/MSF(54g/m)までの量で添加される。15ポンド/MSF(73.2g/m)までの紙繊維もスラリーに添加される。ワックスエマルジョンは、完成石膏ボードパネルの耐水性を改善するために、石膏スラリーに90ポンド/MSF(0.439kg/m)までの量で添加される。
【0050】
ある実施形態において、製品の強度を向上させ、硬化石膏の耐たわみ性を改善するために、トリメタホスフェート化合物が石膏スラリーに添加される。好ましくはトリメタホスフェート化合物の濃度は、焼成石膏の重量に基づいて約0.07%〜約2.0%である。トリメタホスフェート化合物を含む石膏組成物は、参照としてどちらも本明細書に組み入れられている、米国特許第6,342,284号および米国特許第6,632,550号に開示されている。例示的なトリメタホスフェート塩としては、トリメタホスフェートのナトリウム、カリウムまたはリチウム塩、たとえばAstaris,LLC,St.Louis,MOから入手できるトリメタホスフェートのナトリウム、カリウムまたはリチウム塩が挙げられる。トリメタホスフェートを石灰またはスラリーのpHを上昇させる他の調整剤と共に使用するときに、注意を払う必要がある。pH約9.5より上では、トリメタホスフェートは、製品を強化する能力を失い、スラリーは大幅に遅延性となる。
【0051】
石膏スラリーが使用される特定の用途にしたがって使用されるような典型的な他の添加剤も、スラリーに添加される。水和反応が起こる速度を調節するために、硬化遅延剤(約2ポンド/MSF(9.8g/m)まで)または乾燥促進剤(約35ポンド/MSF(170g/m)まで)が添加される。「CSA」は、5%糖と同時に粉砕された95%硫酸カルシウム二水和物を含み、糖をカラメル化するために250°F(121℃)まで加熱された硬化促進剤である。CSAは、USG Corporation,Southard,OK plantより入手可能であり、参照として本明細書に組み入れられている米国特許第3,573,947号に従って作製される。カリウムサルフェートは別の好ましい促進剤である。HRAは、硫酸カルシウム二水和物100ポンド当たり糖約5〜25ポンドの比で糖と共に新たに粉砕された硫酸カルシウム二水和物である。HRAは、参照として本明細書に組み入れられている米国特許第2,078,199号にさらに記載されている。CSAおよびHRAのどちらも好ましい促進剤である。
【0052】
湿潤石膏促進剤またはWGAとして既知である別の促進剤も好ましい促進剤である。湿潤石膏促進剤の使用および湿潤石膏促進剤の作製方法の説明は、参照として本明細書に組み入れられている米国特許第6,409,825号に開示されている。本促進剤は、有機ホスホン酸化合物、ホスフェート含有化合物またはその混合物から成る群より選択される少なくとも1つの添加剤を含む。この特定の促進剤は、湿潤石膏促進剤が使用前に作製、貯蔵、および長距離にわたって運搬もされ得るように、かなりの寿命を示し、長期にわたってその有効性を維持する。湿潤石膏促進剤は、ボード製品の1000平方フィート当たり約5〜約80ポンド(24.3〜390g/m)の範囲の量で使用される。
【0053】
本発明のある実施形態において、最終製品の1つ以上の特性を改良するために、添加剤が石膏スラリーに含まれる。添加剤は当分野で既知である様式および量で使用される。濃度は、完成ボードパネルの1000平方フィート当たりの量(「MSF」)で報告される。デンプンは、紙接着を増強して、製品を強化するために、約3〜約20ポンド/MSF(14.6〜97.6g/m)で使用される。ガラス繊維は場合によりスラリーに少なくとも11ポンド/MSF(54g/m)の量で添加される。15ポンド/MSF(73.2g/m)までの紙繊維もスラリーに添加される。ワックスエマルジョンは、完成石膏ボードパネルの耐水性を改善するために、石膏スラリーに90ポンド/MSF(0.4kg/m)までの量で添加される。
【0054】
硬化した石膏含有製品において空隙を生じさせてより軽い重量を与えるために発泡剤を利用する本発明の実施形態において、発泡硬化石膏製品を調製するのに有用であることが既知の従来の発泡剤のいずれも利用され得る。多くのそのような発泡剤、たとえばGEO Specialty Chemicals,Ambler,PAからのHYONICラインの石鹸は周知であり、手軽に市販品として入手可能である。フォームおよび発泡石膏製品を調製するための好ましい方法は、参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,683,635号に開示されている。
【0055】
ウォールボードへの添加剤として他に可能性のあるものは、カビ、白カビまたは真菌類の増殖を減少させる殺生物剤である。選択された殺生物剤およびウォールボードの所期の用途に応じて、殺生物剤は被覆、石膏コアまたは両方に添加することができる。殺生物剤の例としては、ホウ酸、ピリチオン塩および銅塩が挙げられる。殺生物剤は、被覆または石膏コアのどちらかに添加され得る。使用される場合、殺生物剤は被覆に500ppm未満の量で使用される。
【0056】
加えて、石膏組成物は場合により、デンプン、たとえばアルファ化デンプンまたは酸修飾デンプンを含み得る。アルファ化デンプンの包含は、硬化および乾燥石膏鋳物の強度を上昇させて、(たとえば水対焼成石膏比の上昇に関して)湿度上昇の条件下での紙剥離のリスクを最小限に抑える、または回避する。当業者は、生デンプンをアルファ化する方法、たとえば生デンプンを水中で少なくとも約185°F(85℃)の温度で加熱する方法または他の方法を認識するであろう。アルファ化デンプンの適切な例としては、これに限定されるわけではないが、Lauhoff Grain Companyから市販されているPCF 1000デンプンならびにどちらもArcher Daniels Midland Companyから市販されているAMERIKOR 818およびHQM PREGELデンプンが挙げられる。アルファ化デンプンは含まれる場合、いずれかの適切な量で存在する。たとえばアルファ化デンプンは含まれる場合、アルファ化デンプンが硬化石膏組成物の約0.5重量%〜約10重量%の量で存在するような硬化石膏組成物を形成するために使用される混合物に添加され得る。USG95(United States Gypsum Company,Chicago,IL)などのデンプンも場合により、コア強度のために添加される。
【0057】
他の既知の添加剤は、製品の特定の特性を改善するために必要に応じて使用することができる。糖、たとえばデキストロースは、ボードの端部での紙接着を改善するために使用される。ワックスエマルジョンまたはポリシロキサンは、耐水性のために使用される。剛性が必要な場合、一般にホウ酸が添加される。難燃性はバーミキュライトの添加することで改善することができる。これらおよび他の既知の添加剤は本スラリーおよびウォールボード調合物において有用である。
【0058】
操作にあたって、漆喰はミキサに向かって移動される。ミキサに入る前に、乾燥添加剤、たとえばデンプン、または硬化促進剤が粉末状漆喰に添加される。ある添加剤は独立ラインを介してミキサに直接添加される。トリメタホスフェートは、後述する実施例で本方法を使用して添加された。他の添加剤も水に添加され得る。添加剤が液体形である場合に、このことは特に好都合である。大半の添加剤では、スラリーに添加剤を加えることに関して重大性はなく、添加剤は好都合であるどの機器または方法を使用しても添加され得る。
【0059】
しかしながら本発明による分散剤を使用するとき、漆喰の添加前に分散剤の第1の部分を水に添加することが重要である。計量水または補給水は、他の源からの水が考慮されているときに目標の水/漆喰比を満足するために必要な割合でミキサに添加される。1つ以上の調整剤を使用する場合、漆喰添加の前に調整剤も水に添加する。分散剤の第1の部分および調整剤を混合した後、得られた溶液に漆喰を添加する。
【0060】
その間、フォームは、石鹸と、分散剤の第2の部分と、第2の水部分とを混合することによって生成する。フォームは次に、ホースまたはシュートを通じてミキサを出た後、移動中の石膏スラリー中に注入する。フォームリングは、ホースの軸に対して垂直なリングに配置されている複数のポートを有する装置であり、フォームがフォームリングを通過するときに、フォームが圧力下で石膏スラリー中に強制的に加えられるようになっている。
【0061】
フォームおよびスラリーが合せられた後に、得られたスラリーは、1枚の表面材料によって裏打ちされたコンベヤに向かって移動して、その上に注がれる。1片の表面材料がスラリーの上に配置され、2枚の表面材料間のスラリーによってサンドイッチを形成する。サンドイッチは成形プレートに供給され、成形プレートの高さはボードの厚さを決定する。次に連続したサンドイッチは、刃物にて適切な長さ、通常は8フィート〜12フィートに切断される。
【0062】
ボードは次に乾燥のために窯まで移動させられる。窯の温度は通例、450°F〜最高500°Fの範囲である。窯内に3つ以上の温度ゾーンがあると好ましい。湿ったボードと接触する第1のゾーンにおいて、温度は最高温度まで上昇するのに対して、最後の2つのゾーンでは温度は緩やかに低下する。第1ゾーンの送風機はゾーンの出口に位置決めされ、ボード移動方向に向流の空気を送る。第2および第3ゾーンにおいて、送風機はゾーンの入口に位置して、ボード移動と並流の高温空気を流す。最終ゾーンにおいてあまり激しい加熱をすると、ボードの乾燥範囲の焼成が起こり、不十分な紙接着を引き起こす。窯内での代表的な滞留時間は約40分であるが、時間はラインの能力、ボードの湿潤度および他の因子によって変化するであろう。
【0063】
続いての実施例において、サンプルの流動性を測定するためにスランプ試験が使用され、同時に各種の組成物の硬化時間を比較するために硬化およびビカー硬化時間が使用された。すべての乾燥成分は秤量されて、乾燥状態で共にブレンドされた。乾燥成分は、正確さのためにロス・イン・ウェイト・フィーダーによってミキサに送達された。液体成分は正確な調合のために秤量され、蠕動ポンプによって連続ミキサ内へ供給された。
【0064】
スラリーサンプルは、プラスチックシート上に置かれた2”×4”(5cm×10cm)シリンダ内に、シリンダからやや溢れるように注入された。過剰な物質は上面でスクリーディングされ、次にシリンダは滑らかに持ち上げられて、そこからスラリーを流出させて、パテが作製された。パテは90°離れた2つの方向で測定され(±1/8”)、平均はパテ直径として報告された。
【0065】
スラリーパテを通じて垂直方向に300gビカー針を引っ張る。針が塊の中を引っ張られるときに、スラリーが針の後の溝を閉じることができなくなる時点までこの手順を続ける。スラリーがミキサ放出物から最初に回収された時点からの硬化時間を報告する。
【0066】
硬化時間への言及は、参照として本明細書に組み入れられているASTM C−472によるビカー硬化時間を指す。ビカー硬化時間は、スラリーがミキサ放出物から最初に回収された時点から開始した。
【0067】
[実施例1]
液体ポリカルボキシレート分散物は、フォーム水と計量水との間で分割された。液体分散剤の合計14グラムは、表1に示すように添加された。分散剤は40%固体および60%水であった。乾燥CSA促進剤は、乾燥漆喰に基づいて0.20%の割合で漆喰に添加された。フォームは水に添加された1%PFM石鹸および表1に示した液体分散剤の量から作製された。分散剤中に存在する水を考慮すると、フォームを作製するために合計148グラムの水が使用された。
【0068】
液体分散物は、合計852グラムの水を生じるために、表1に従って計量水に添加された。漆喰は液体に添加され、均質なスラリーを作製するためにブレンドされた。フォームがスラリーに添加された。生じたスラリーに対して試験が実施され、試験の結果は表1に示されている。
【表1】

【0069】
分散剤15%がフォーム水に添加されるとき、そのサンプルのパテサイズの増大からも明らかなように、流動性は劇的に上昇した。15%よりは劇的ではないが、26%および35%の分散剤がフォーム水に添加されたときにもパテサイズの増大は観察される。
【0070】
[実施例2]
商用試験において、2つの異なる分散剤がミキサおよび/またはフォーム水に添加された。プラントは、ボードMSF当たり漆喰1795ポンド(7989kg)を操作していた。湿潤石膏促進剤およびHRAは、刃物での50%硬化を維持するために、表IIAおよびIIBに示す量で添加された。表IIAおよびIIBは、添加された分散剤の種類および量はもちろんのこと、スランプおよび気泡分布に関する観察も示す。表IIで報告された分散剤の量は、漆喰の乾燥重量に基づいている。硬化促進剤はポンド/MSF(g/m)で報告される。
【表2】


【表3】

【0071】
本商用試験において、2つの異なる分散剤の種類がミキサ内およびフォーム水中で使用され、製造されたボードはコア中の気泡のサイズを検査するために切り開かれた。サンプルLおよびMは、ミキサ内のみでポリカルボキシレート分散剤を使用する。図2に示すように、形成された気泡は小型であり、サイズはほぼ均一である。ナフタレンスルホネート分散剤は、サンプルNおよびOでフォーム水に添加され、図3に示すように気泡サイズ分布を変化させた。サンプルPおよびQでナフタレンスルホネートがミキサのみに添加されるときに、図1に示す気泡サイズ分布と同様に、気泡サイズ分布は再度変化した。図4のウォールボードコアは、ナフタレンスルホネートが0.21%の用量で添加されたことを除いて、サンプルPおよびQと同じ成分および同じ方法を使用して作製された。
【0072】
[実施例3]
ミキサとフォーム水との間で分散剤を分割する効果は、プラント試験でさらに研究された。液体ポリカルボキシレート分散剤、MELFLUX 2500L(「2500L」)は、表IIIに規定されたようにミキサまたはフォーム水に添加された。分散剤の量は固体ベースで報告されるが、液体分散剤と共に含まれた水はスラリー中に存在する水全量を計算するにあたって考慮された。漆喰は、1235ポンド/MSFの割合で利用された。分散剤の量および配置は、添加した水の全量、使用した促進剤、および製品のスランプと共に表IIIに示されている。
【表4】

【0073】
これらの試行の比較は、分散剤の全量が実質的に同じである場合でも、同じ分散剤がミキサとフォーム水との間で分割されるときの流動性の上昇を確認する。計量水が36ポンド/MSF減少したにもかかわらず、スランプ試験によるパテサイズは増大した。
【0074】
石膏スラリー中のフォーム気泡サイズの分布を制御する方法の特定の実施形態が表示および記載されているが、本発明からそのより幅広い態様において逸脱せずに、請求項で述べられるように、実施形態に対する変更および改良が行われ得ることが当業者によって認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】ナフタレンスルホネート分散剤を用いて作製されたウォールボード中のコア気泡分布の写真である。
【図2】ポリカルボキシレート分散剤を用いて作製されたウォールボード中のコア気泡分布の写真である。
【図3】フォーム水中にナフタレンスルホネートを、ミキサ内の計量水中にポリカルボキシレートを使用する、本発明のウォールボード中のコア気泡分布の写真である。
【図4】ナフタレンスルホネート分散剤が高い用量で使用されるときに形成される、非常に大きな気泡を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏スラリー中でフォームおよび分散剤を利用する方法であって、
漆喰と、第1の分散剤と、第1の分量の水とをミックスして、石膏スラリーを形成するステップと、
石鹸と、第2の分散剤と、第2の分量の水とをブレンドして、フォームを作製するステップと、
前記フォームを前記スラリーと混合するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の分散剤および前記第2の分散剤が同じ分散剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の分散剤がポリカルボン酸エーテル分散剤であり、前記第2の分散剤がナフタレンスルホネート分散剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の分散剤がナフタレンスルホネート分散剤であり、前記第2の分散剤がポリカルボン酸エーテル分散剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の分散剤が、ポリカルボン酸エーテル分散剤であって、
前記ポリカルボン酸エーテル分散剤が、
ビニルエーテル反復単位と、
マレイン酸、マレイン酸無水物、そのエステルおよび塩から成る群の少なくとも1つを含む反復単位と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の分散剤が前記フォームを不安定化し、より大きな気泡を作る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の分散剤の量が、前記第1の分散剤および前記第2の分散剤の全重量の約10重量%〜約15重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記混合するステップがフォームリングを通じてフォームをスラリー中に導入する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ミックスするステップが、前記漆喰を添加する前に、前記第1の分散剤および調整剤を前記第1の分量の水に添加して、溶液を形成する工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記調整剤がセメント、石灰、シリケート、カーボネートおよびホスフェートから成る群より選択される少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
石膏ウォールボードコア中で分散剤を効果的に利用する方法であって、
漆喰と、第1の分散剤と、第1の分量の水とをミックスして、石膏スラリーを形成するステップと、
石鹸と、第2の分散剤と、第2の分量の水とをブレンドしてフォームを作製するステップと、
前記フォームを前記スラリーと混合するステップと、
前記スラリーを表面材料に注入するステップと、
前記スラリーをパネルに成形するステップと、
石膏スラリーを硬化させて、前記ウォールボードコアを形成するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記第1の分散剤および前記第2の分散剤が同じ分散剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の分散剤がポリカルボン酸エーテル分散剤であり、前記第2の分散剤がナフタレンスルホネート分散剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の分散剤がナフタレンスルホネート分散剤であり、前記第2の分散剤がポリカルボン酸エーテル分散剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記混合ステップが前記第1の分散剤と、前記第1の分量の水と、調整剤とを混合する工程をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記調整剤がセメント、石灰、シリケート、カーボネートおよびホスフェートから成る群より選択される少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の分散剤の量が、前記第1の分散剤および前記第2の分散剤の全重量の約10重量%〜約15重量%である、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−546620(P2008−546620A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517008(P2008−517008)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/022942
【国際公開番号】WO2006/138280
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】