説明

フォーム複合材料要素Iの製造方法

本発明は、上層を供給する工程、変性イソシアネート含有下塗剤層を上層に適用する工程、並びにポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を下塗剤層に適用する工程を含む、フォーム複合材料要素の製造方法に関する。適用時、下塗剤層中の変性イソシアネートは、10%〜29%の遊離イソシアネート基含量を有する。本発明は更に、フォーム複合材料要素の製造における下塗剤としての、10%〜29%の遊離イソシアネート基含量を有する変性イソシアネートの使用、および本発明の方法によって得られたフォーム複合材料要素に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上層を供給する工程、変性イソシアネート含有下塗剤層を上層に適用する工程、並びにポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を下塗剤層に適用する工程を含む、フォーム複合材料要素の製造方法に関する。適用時、下塗剤層中の変性イソシアネートは、10%〜25%の遊離イソシアネート基含量を有する。本発明は更に、フォーム複合材料要素の製造における下塗剤としての、10%〜25%の遊離イソシアネート基含量を有する変性イソシアネートの使用、および本発明の方法によって得られたフォーム複合材料要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン硬質フォーム(すなわちポリウレタン硬質フォームとポリイソシアヌレート硬質フォームの両方)に基づく金属サンドイッチ要素の連続製造にとって、特にフォームがイソシアヌレートフォームであるならば、金属上層のフォームへの接着強さは重要である。二液型ポリウレタン下塗剤系は市場で知られている。接着強さは基本的に、この種の二液型下塗剤系の使用によって著しく向上する。このことは、メーカーの視点から見れば、完成部材が改良品であることを意味する。特に、接着不良という長期的リスクは著しく低下する。
【0003】
しかしながら、この種の二液型下塗剤系を処理する際、下塗剤成分を十分に均質化することは困難である。不十分な均質化は、温度変動により上層のフォームへの接着が低下することになるという点で、金属複合材料要素の長期複合材料特性に高いリスクをもたらすことがある。更に、二液型下塗剤系の処理により、生産段階開始時に、比較的高い割合の不良品が発生することがある。
【0004】
2つの下塗剤成分の不十分な均質化により生じる不完全な複合材料特性というリスクを回避する方法は、一液型溶液によってもたらされる。例えば、EP 1 516 720 A1は、ポリイソシアヌレートフォーム層および上層を含んでなる複合材料要素の層の間の接着を改善するためのポリウレタン下塗剤の使用、複合材料要素自体、および複合材料要素の製造方法を開示している。
【0005】
EP 1 593 438 A2は、サンドイッチ複合材料要素を製造するためのデバイスおよび方法を開示している。デバイスは、少なくとも2つの上層用供給デバイスを含んでなり、このデバイスに、下塗剤用適用デバイス、コア層用適用デバイス、輸送デバイスおよび切断デバイスが順に接続されている。下塗剤用適用デバイスは、下塗剤用供給ライン、少なくとも1つの側面出口を有するターンテーブルおよびターンテーブル用駆動装置を少なくとも含んでいる。使用可能な下塗剤は一液型系、例えばポリウレタンに基づく一液型系、例としてNCO基含有プレポリマーである。別の可能な一液型系は、ポリクロロプレン、エポキシまたはポリ酢酸ビニルに基づく。下塗剤は、多液型系、好ましくは二液型系であってもよい。好ましい二液型系は、ポリウレタン系である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 1 516 720 A1
【特許文献2】EP 1 593 438 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、フォーム複合材料要素においてフォーム層と上層の接着を改善することである。特に、ふくれおよび/または脆弱部の発生を減少させると同時に、フォーム複合材料要素におけるフォーム層と上層の接着の改善を可能にする、前記複合材料要素の代替製造方法または改良製造方法に対する要求が存在している。実用的用途では、上層とフォーム層の十分な接着について、0.20N/mm(DIN 53292に従って測定)の下限値が限界値とされている。従って、本発明の目的は、可能な限り少量の下塗剤を使用すると同時に、上層とフォーム層の接着強さを可能な限り大きくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外なことに、本発明の目的は、
A)上層を供給する工程、
B)変性イソシアネート含有下塗剤層を上層に適用する工程、
C)ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を下塗剤層に適用する工程
を含むフォーム複合材料要素の製造方法であって、適用時、下塗剤層中の変性イソシアネートが10%〜29%、好ましくは10%〜25%の遊離イソシアネート基含量を有することを特徴とする方法によって達成されることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
遊離イソシアネート基の含量は、各々の場合において、使用するイソシアネートの量に関する重量%で表す。
【0010】
本発明に従った変性イソシアネートの下塗剤としての使用によって、フォームと上層の接着が、既知の系と比べて向上することが見出された。特に、プレポリマー(すなわち常套の技術によれば一液型系)としての変性イソシアネートの使用によって、二液型系を使用する際の不満足な混合比を回避することができる。下塗剤系における不満足な混合は、複合材料において、ふくれまたは脆弱部をもたらす。有利なことに、プレポリマーとしての変性イソシアネートの使用により、上層を表面全体にわたって湿潤させることができる。
【0011】
本発明に従って製造したフォーム複合材料要素は特に、断熱要素として適している。
【0012】
本発明の方法の工程A)は、上層の提供に関する。この提供は、連続生産プラントで、例えば巻いた上層をロールから巻き出すことによって、実施することができる。まず、上層のタイプをより詳細に規定することはしないが、本発明の場合、断熱分野で上層に通常使用される材料を使用することができる。上層の厚さは、例えば200μm〜5mm、好ましくは300μm〜2mm、特に好ましくは400μm〜1mmであってよい。
【0013】
工程B)では、変性イソシアネート含有下塗剤層を、供給された上層に適用する。噴霧またはロール塗りのような常套の技術によって適用することができる。好ましい変性イソシアネートは、ウレア変性イソシアネート、ビウレット変性イソシアネート、ウレタン変性イソシアネート、イソシアヌレート変性イソシアネート、アロファネート変性イソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネート、ウレトジオン変性イソシアネートおよびウレトンイミン変性イソシアネートを包含する。この種の変性イソシアネートは市販されており、イソシアネートと化学量論量より少ないイソシアネート反応性化合物との反応またはイソシアネート同士の反応によって調製される。例えば、ウレア変性イソシアネートおよびウレタン変性イソシアネートはそれぞれ、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートと、比較的少量の水またはジアミンとの或いはグリコールとの反応によって調製することができる。カルボジイミド変性イソシアネート、ウレトンイミン変性イソシアネートおよびイソシアヌレート変性イソシアネートは、適当な触媒の存在下でイソシアネートがそれ自身で置換される反応によって調製される。
【0014】
特に好ましい変性イソシアネートは、カルボジイミド変性イソシアネートまたはウレタン変性イソシアネートである。
【0015】
極めて好ましい変性イソシアネートは、ウレタン変性イソシアネートである。ウレタン変性イソシアネートは、ポリウレタンプレポリマーと称されることもある。本発明において、用語「プレポリマー」は、通常の意味で使用する。用語「ポリウレタンプレポリマー」は特に、ポリウレタンポリマーを生成するイソシアネートの反応の際の反応中間体として使用される。ポリウレタンプレポリマーは、ポリオール成分と過剰のイソシアネート成分との反応によって調製される。
【0016】
好ましくは、イソシアネート成分は、テトラメチレンジイソシアネート、メチルペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート−1,6、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよび2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメチルベンゼンおよび1,4−ジイソシアナトメチルベンゼンおよびこれら化合物の混合物からなる群から選択される。イソシアネート成分として、ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
【0017】
下塗剤層の厚さは、例えば200μm〜5mm、好ましくは300μm〜2mm、特に好ましくは400μm〜1mmであってよい。
【0018】
変性イソシアネートを下塗剤として使用することにより、フォーム複合材料要素の製造を、比較的多量の不良品の発生を伴わずに中断することが可能になる。二液型系に基づく常套の下塗剤は短時間で反応を完了するのに対し、変性下塗剤は潜在反応性である。従って、フォーム複合材料要素の製造は、有利なことに、製造過程で問題が起きたら直ぐ、多量の材料の廃棄を伴わずに停止することができる。
【0019】
工程C)では、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を下塗剤層に適用する。この適用もまた、連続生産プラントで実施することができる。この層は、例えば2cm〜25cm、5cm〜23cm、好ましくは12cm〜20cmの厚さで存在することができる。ミキシングヘッドでの反応成分の混合は、もっぱら適用直前であってよく、フォームを生成する反応混合物は、下塗剤層に直接適用することができる。別の態様として、完成フォーム層を適用することができ、例えば下塗剤層上に配置することができる。特に、ポリイソシアヌレートを含有するフォームまたは主にポリイソシアヌレートを含有するフォームは、難燃剤の含量が少ない場合であっても良好な難燃性を有するので、それらを使用することが有利である。
【0020】
フォーム層の調製には、常套の脂肪族、脂環式、特に芳香族のポリイソシアネートを使用することができる。トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、特にジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとの混合物(粗MDI)を使用することがとりわけ好ましい。イソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも2個含有する可能な化合物は一般に、一分子中に、OH基、SH基、NH基、NH基、およびβ−ジケト基のようなCH酸基から選択される反応性基を2個以上含有する化合物である。ポリエーテルオールおよび/またはポリエステルオールを使用することが好ましく、ポリエーテルポリオールが好適である。使用するポリエーテルオールおよび/またはポリエステルオールのヒドロキシル価は好ましくは25〜800mgKOH/gであり、分子量は一般に400g/molより大きい。
【0021】
本発明では、適用時、下塗剤層中の変性イソシアネートは10%〜29%、好ましくは10%〜25%の遊離イソシアネート基含量を有する。本発明では、下塗剤層がフォーム層と接触する前のイソシアネート基含量であると理解される。遊離イソシアネート基含量が12%〜20%の範囲にあることが特に好ましい。遊離イソシアネート基含量は、DIN53 185を用いて測定することができる。記載の遊離イソシアネート基含量は、下塗剤層を上層に適用する際のイソシアネート基含量を表す。
【0022】
好ましい態様では、フォーム層中のフォームを含むと一般に理解されているフォーム層は、85%〜100%、好適には90%〜100%の独立気泡含量を有し、独立気泡含量はDIN ISO 4590に従って測定される。フォーム層は、好ましくは10μm〜600μm、好適には50μm〜400μmのASTM 3576−77に従って測定した平均気泡直径を有する。
【0023】
本発明の方法では、工程C)の後、別の下塗剤層を、工程B)について記載したようにフォーム層に適用し、その後、別の上層を、工程A)について記載したように適用することができる。これにより、両側に上層を備えたフォーム複合材料要素を得る。この製造方法は例えば、常套のダブルベルトコンベヤープラントで実施することができる。
【0024】
本発明の方法の一態様では、上層の材料は、アルミニウム、スチール、ビチューメン、紙材、無機不織布、有機繊維含有不織布、合成パネル、合成フィルムおよび/または木材パネルを含有する。上層がアルミニウム金属またはスチールである場合が特に好ましい。この場合、アルミニウムまたはスチールは被覆されていてもよい。本発明に従って使用される変性イソシアネート、特にウレタン変性イソシアネートは、とりわけポリイソシアヌレートフォームとアルミニウム上層またはスチール上層との間に、特に良好な接着をもたらす。
【0025】
本発明の方法の好ましい態様では、下塗剤層中のウレタン変性イソシアネートは、単量体および/または重合体ジフェニルメタンジイソシアネートと、2〜8、好ましくは3〜8、特に好ましくは3〜6の平均官能価を有するポリエーテルポリオールとの反応によって得ることができる。ポリエーテルポリオールは好ましくは、50mol%〜100mol%の第二級ヒドロキシル基含量を有する。例えば、25℃で100mPas〜300mPasの粘度を有し、かつ5重量%〜15重量%の2,4’−異性体、75重量%〜85重量%の4,4’−異性体および5重量%〜15重量%の重合体MDIの割合を有する、単量体ジフェニルメタンジイソシアネートと重合体ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物を使用することができる。本発明では、重量%で表した割合は合計100%以下となる。ポリエーテルポリオール成分は例えば、スターター分子としてのグリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを付加することによって調製することができる。プロピレンオキシドの割合は有利には80〜95重量%であり、エチレンオキシドの割合は有利には5〜20重量%である。特に好ましくは、ポリエーテルポリオール中の第二級ヒドロキシル基の割合は、60mol%〜80mol%の範囲であってよい。
【0026】
好ましくは、本発明の方法に従って、下塗剤層を20g/m〜50g/mの量で上層に適用する。このことは、既知の方法と比べて、下塗剤層の必要量が低減したことを表す。意外なことに、本発明の方法において、上層に適用する下塗剤層の量が30g/m〜40g/mの範囲である場合に、最適な接着が達成されることが見出された(表2に記載の結果を参照)。
【0027】
本発明の方法の好ましい態様では、下塗剤層およびフォーム層調製用反応混合物の適用後、上層を30℃〜70℃、特に好ましくは40℃〜60℃、極めて好ましくは45℃〜55℃の温度に加熱する。上層の加熱により、下塗剤層における反応が促進され、全体的により堅固な結合が得られる。
【0028】
本発明の方法の別の好ましい態様では、フォーム層は、ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有する反応混合物を反応させることによって得られ、反応開始時、反応混合物中のイソシアネート基とヒドロキシル基のモル比は、1:1〜5:1である。換言すると、この反応混合物のイソシアネート指数は100〜500である。イソシアネート指数は150〜350または200〜300であってもよい。この範囲の比で、主にポリイソシアヌレートフォームが得られ、先に記載したようにより少量の難燃剤で対処でき、本発明の方法の結果として上層(特にアルミニウム上層)との接着を堅固にすることができる。ポリイソシアヌレートフォームは好ましくは、10%圧縮での圧縮応力を用いて、または100kPa〜300kPasで規定される硬質フォームである。この圧縮応力または圧縮強さは、DIN 53421/DIN EN ISO 604を用いて測定することができる。圧縮応力または圧縮強さは、150kPa〜250kPasまたは180kPa〜280kPasの範囲であってもよい。
【0029】
本発明の方法では好ましくは、フォーム層の見掛密度は25g/l〜48g/l、特に好ましくは35g/l〜45g/lである。フォーム層の見掛密度は、ISO845を用いて測定される。特に好ましい態様では、フォーム層の見掛密度は37g/l〜42g/lであり、極めて好ましくは39g/l〜40g/lである。これとは独立して、フォーム層中のフォームを含むと一般に理解されているフォーム層は、85%〜100%、好ましくは90%〜100%の独立気泡含量を有することもでき、独立気泡含量はDIN ISO 4590に従って測定される。更に、フォーム層は、好ましくは10μm〜600μm、特に好ましくは50μm〜400μmのASTM 3576−77に従った平均気泡直径を有する。
【0030】
本発明は更に、フォーム複合材料要素の製造における下塗剤としての、10%〜29%、好ましくは10%〜25%、特に好ましくは12%〜20%の遊離イソシアネート基含量を有する変性イソシアネートの使用に関する。変性イソシアネートについての詳細は既に先に記載されており、その詳細をここで完全に参照することができる。
【0031】
本発明の方法の一態様では、ウレタン変性イソシアネートは、単量体および/または重合体ジフェニルメタンジイソシアネートと、2〜8、好ましくは2〜6、特に好ましくは2〜3の平均官能価を有するポリエーテルポリオールとの反応によって得ることができる。これに関しても、詳細については、先の記載を参照する。
【実施例】
【0032】
以下の実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0033】
実施例1:変性イソシアネートの調製
25℃で200mPasの粘度を有し、かつ10.0重量%の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、80.0重量%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび10.0重量%の重合体MDIからなるイソシアネート527.0g、並びにスターター分子としてのグリセリンへのプロピレンオキシド90重量%およびエチレンオキシド10重量%の付加によって調製された、46mgKOH/gのOH価を有し、かつ主に第二級ヒドロキシル基を含有するポリエーテルポリオール472.0gの混合物を、撹拌しながら90℃で2時間反応させた。遊離イソシアネート基含量は15.3%と測定された。25℃での粘度は1600mPasであった。
【0034】
実施例2:
実施例1に従って、変性イソシアネートを調製した。実施例1のイソシアネート混合物483.0gを、スターター分子としてのソルビトールへのプロピレンオキシド81重量%およびエチレンオキシド19重量%の付加によって調製された、28mgKOH/gのOH価を有し、かつ主に第一級ヒドロキシル基を含有するポリエーテルポリオール347.0gと反応させた。遊離イソシアネート基含量は18.0%と測定された。25℃での粘度は1100mPasであった。
【0035】
実施例3:
実施例1に従って、変性イソシアネートを調製した。実施例1のイソシアネート混合物450.0gを、実施例1のポリエーテルポリオール550.0gと反応させた。遊離イソシアネート基含量は12.1%と測定された。25℃での粘度は3856mPasであった。
【0036】
実施例4:
実施例1に従って、変性イソシアネートを調製した。実施例1のイソシアネート混合物700.0gを、実施例1のポリエーテルポリオール300.0gと反応させた。遊離イソシアネート基含量は21.1%と測定された。25℃での粘度は425mPasであった。
【0037】
実施例4A:
実施例1に従って、変性イソシアネートを調製した。29.5%のNCO含量および23%のカルボジイミド含量を有するカルボジイミド化4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン700.0g、並びにスターター分子としてのグリセリンへのプロピレンオキシド90重量%およびエチレンオキシド10重量%の付加によって調製された、46のOH価を有し、かつ主に第二級ヒドロキシル基を含有するポリエーテルポリオール300gを反応させた。遊離イソシアネート基含量は19.5%と測定された。25℃での粘度は635mPasであった。
【0038】
実施例5(比較):
実施例1のイソシアネート混合物100gを、スターターとしてのエチレングリコールへのプロピレンオキシド100重量%の付加によって調製された56mgKOH/gのOH価を有するポリエーテルポリオール1547.0gに滴加し、反応混合物を95℃で2時間加熱した。遊離NCO基はもはや検出できなかった。25℃での粘度は5497mPasであった。
【0039】
実施例6:変性イソシアネートの調製
実施例1のイソシアネート混合物2640.0gを、実施例1のポリエーテルポリオール360.0gと、撹拌しながら95℃で2時間反応させた。遊離イソシアネート基含量は27.8%と測定された。25℃での粘度は96mPasであった。
【0040】
実施例7:変性イソシアネートの調製
実施例1のイソシアネート混合物969.0gと実施例1のポリエーテルポリオール2031.0gの混合物を、撹拌しながら95℃で2時間反応させた。遊離イソシアネート基含量は7.8%と測定された。25℃での粘度は13491mPasであった。
【0041】
実施例8〜16:
EP 1 593 438 A2に記載されているようなデバイスを用いて、各下塗剤組成物を、40℃に予備加熱したアルミニウムシートに適用した。各々の場合に使用した下塗剤の量を表1に示す。
【0042】
次いで、下記組成のポリイソシアヌレートフォームを適用した。
A成分:
2の官能価および310mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、無水フタル酸、ジエチレングリコールおよびエチレングリコールを含んでなるポリエーテルエステルオール1の39部。2の官能価および28mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、プロピレングリコール、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを含んでなるポリエーテルオール1の15.7部;
3の官能価および380mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、糖、エチレングリコールおよびプロピレンオキシドを含んでなるポリエーテルオール2の12部;
25部の難燃剤1(トリス−クロロ−イソプロピルホスフェート、TCPP);
5部の安定剤1(シリコーン含有安定剤);
3.5部の触媒1(PIR触媒、カルボン酸塩);
2.5部の(無水フタル酸およびジエチレングリコールを含んでなる)ポリエステルオール1;
2.5部の触媒2(アミン含有ポリウレタン触媒);
発泡剤1(n−ペンタン)、発泡剤2(水)。
B成分:
Desmodur 44V70L(Bayer MaterialScience AGから入手可能な重合体MDI)。
【0043】
DIN53292を用いて接着強さを試験した。本発明では、試料厚さおよび上層数が異なっているという点で、上層面に対して垂直なDIN 53292−82に従った引張試験とは異なった方法で実施した。DIN 53292−82に従った試験では、上層の厚さ全体を基準とする。その場合、試料全体の脆弱領域によって破損の位置が決まる。一方、本発明に記載の変更を伴った接着試験では、部分に関して接着を評価することができる。
【0044】
このため、サンプリングの際、複合材料要素を上層に対して垂直に切断した。測定には、50mmの辺長および15mmの(上層を含む)試料高さを有する正方形の試料を使用した。
105℃で1時間加熱処理した後のふくれも試験した。
【0045】
【表1】

【0046】
本発明の系では、フォーム複合材料要素を105℃で1時間加熱しながら貯蔵した後、フォームと上層の間の中間領域は、上層下側の領域においてふくれなかったことが観察された。下塗剤を使用しなかった場合、または二液型下塗剤を十分に混合しなかった場合は、加熱しながらの貯蔵中に、上層下側の領域において望ましくないふくれが生じた。
【0047】
実施例17〜22:
実施例1の変性イソシアネートを下塗剤として使用し、使用した下塗剤の量を変化させた。EP 1 593 438 A2に記載されているようなデバイスを用いて、下塗剤組成物を、40℃に予備加熱したアルミニウムシートに適用した。使用した下塗剤の量を表2に示す。
【0048】
次いで、下記組成のポリイソシアヌレートフォームを適用した。
A成分:
5の官能価および435mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、無水フタル酸、ジエチレングリコール、ソルビトールおよびプロピレンオキシドを含んでなるポリエーテルエステルポリオール1の31部。
6.2の官能価および370mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、無水フタル酸、アジピン酸、オレイン酸およびトリメチロールプロパンを含んでなるポリエステルポリオール1の10部;
3の官能価および380mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、トリメチロールプロパンおよびプロピレンオキシドを含んでなるポリエーテルポリオール1の7部;
4の官能価および420mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、トルイレンジアミン、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含んでなるポリエーテルポリオール2の3部;
3の官能価および235mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、ジブロモブテンジオールおよびエピクロロヒドリンを含んでなるハロゲン成分含有ポリエーテルポリオールの12部;
31部の難燃剤1(トリス−クロロ−イソプロピルホスフェート、TCPP);
3.5部のグリセリン;
2部のOS 340(Bayer MaterialScience AGから入手可能なシリコーン含有安定剤);
2.5部のDesmorapid 1792(Bayer MaterialScience AGから入手可能なPIR触媒、カルボン酸塩);
3.5部のDesmorapid VP 1221 VN(Bayer MaterialScience AGから入手可能なアミン含有ポリウレタン触媒);
発泡剤1(n−ペンタン);
発泡剤2(水)。
B成分:
Desmodur 44V70L(Bayer MaterialScience AGから入手可能な重合体MDI)。
【0049】
先に記載したように接着強さを試験した。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)上層を供給する工程、
B)変性イソシアネート含有下塗剤層を上層に適用する工程、
C)ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を下塗剤層に適用する工程
を含むフォーム複合材料要素の製造方法であって、適用時、下塗剤層中の変性イソシアネートが10%〜29%の遊離イソシアネート基含量を有する方法。
【請求項2】
適用時、下塗剤層中の変性イソシアネートが10%〜25%の遊離イソシアネート基含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上層の材料が、アルミニウム、スチール、ビチューメン、紙材、無機不織布、有機繊維含有不織布、合成パネル、合成フィルムおよび/または木材パネルを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
変性イソシアネートが、ウレア変性イソシアネート、ビウレット変性イソシアネート、ウレタン変性イソシアネート、イソシアヌレート変性イソシアネート、アロファネート変性イソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネート、ウレトジオン変性イソシアネートおよびウレトンイミン変性イソシアネートからなる群から選択される変性イソシアネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
変性イソシアネートがカルボジイミド変性イソシアネートまたはウレタン変性イソシアネートである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
下塗剤層中のウレタン変性イソシアネートが単量体および/または重合体ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応によって得られ、ポリエーテルポリオールが2〜8の平均官能価を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
下塗剤層を20g/m〜50g/mの量で上層に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
下塗剤層を30g/m〜40g/mの量で上層に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
フォーム層が、ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含有する反応混合物を反応させることによって得られ、反応開始時、反応混合物中のイソシアネート基とヒドロキシル基のモル比が1:1〜5:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
フォーム層の見掛密度が25g/l〜48g/lである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程A)において、上層の材料がアルミニウム、スチール、紙材、合成パネル、合成フィルムおよび/または木材パネルを含有し、工程B)において、下塗剤が単量体および/または重合体ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応によって得られたウレタン変性イソシアネートであり、下塗剤層を20g/m〜50g/mの量で上層に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
フォーム複合材料要素の製造における、上層とポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層の間の下塗剤としての、10%〜29%の遊離イソシアネート基含量を有する変性イソシアネートの使用。
【請求項13】
変性イソシアネートが、ウレア変性イソシアネート、ビウレット変性イソシアネート、ウレタン変性イソシアネート、イソシアヌレート変性イソシアネート、アロファネート変性イソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネート、ウレトジオン変性イソシアネートおよびウレトンイミン変性イソシアネートからなる群から選択される変性イソシアネートである、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
変性イソシアネートがカルボジイミド変性イソシアネートまたはウレタン変性イソシアネートである、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
ウレタン変性イソシアネートが単量体および/または重合体ジフェニルメタンジイソシアネートと2〜8の平均官能価を有するポリエーテルポリオールとの反応によって得られる、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2012−528023(P2012−528023A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512230(P2012−512230)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002964
【国際公開番号】WO2010/136126
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】