説明

フッ素化スルホンアミド及びスルホン誘導体

【課題】静電補助によって基材に塗布されることができる導電率向上剤を含有する組成物。
【解決手段】前記組成物は、1つ以上のカチオン重合性モノマー、1つ以上のカチオン開始剤の他、前記モノマーに可溶性であると共にカチオン重合を妨げないアニオン及びカチオン部分を有する1つ以上の不揮発性導電率向上剤であって、前記アニオン部分が非配位親有機性炭素含有アニオンである不揮発性導電率向上剤を含む。前記組成物は更に、1つ以上の解離向上剤、好ましくは共反応性であるオリゴマーまたはポリマー、フリーラジカル硬化性モノマー、フリーラジカル生成開始剤、均染剤、及び重合した組成物に特定の特性を付与する他の添加剤または補助剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は静電補助によって基材上に塗布されることができる組成物に関する。より詳しくは、本発明は、導電率向上剤を含有するカチオン重合性組成物、これらの組成物を塗布される基材、前記基材を塗布する方法、特定のイミド及びメチド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば空気を汚染する化学物質の大気中への放出が、実質的な関心事である。このように、化学物質の業界において新規な生成物及び方法が開発されるとき、基本要因は環境への影響である。化学物質の放出を低減させる1つの手段は、溶剤を用いないプロセスを開発すること、及び化学物質が加工中にまたは最終生成物から蒸発しないことを必要とすることである。
【0003】
液体塗布は従来は溶剤ベースのプロセスであった。液体塗布は、ガス、一般に空気を入れ替え、基材、通常は薄膜またはウェブなどのべた表面を液体の層と接触させるプロセスである。塗料を付着させた後、それは液体のままであることがあり、それが揮発性の液体中に溶解した固形分を含有する場合、乾燥し、べたの一般に粘着層を後に残すことがあり、あるいは「硬化」(すなわち、重合させる)または何か他の仕方でそれを機能層及び一般に粘着層に凝固させることができる。揮発性の溶剤は一般に、特に薄い塗膜が望ましいときに、塗布プロセス中に用いられ、次に、蒸発して所望の組成物を残す。
【0004】
前記塗布プロセスは一般に、所望の塗り高さ(すなわち、塗り厚)に対して選択される。連続的液体塗布技術(ロール、カーテン、スロット、スライド、グラビアなど、及びそれらの組合せ)は一般に、組成物を平滑な基材に約5マイクロメーター以上の高さに適用することが好ましい。概して、『Modern Coating and Drying Technology』、E.コーエン及びE.ガトフ著、VCH出版、ニューヨーク、1992年を参照のこと。粗または「三次元の」表面は好ましくは、吹付けプロセスによって塗布される。
【0005】
以前から、溶液型の薄い塗料、すなわち、約5マイクロメーターより小さい乾燥厚さの薄い塗料を、剥離塗料、プライマー、または帯電防止層として使用するために基材上に塗布し、他方、より厚い塗料を接着剤のために、または塗布研磨剤の製造などのために用いている。連続的液体塗布技術を用いて薄い塗料を適用してもよい。しかしながら、前記組成物は一般に、後で蒸発によって取り除かれる多量の溶剤で希釈され、所望の厚さの組成物を後に残す。乾燥した最終層の均一性及び厚さは、特に粗面上で制御することが難しいことがある。付加的な溶剤はより高い材料費、調製費及び溶剤除去費につながる。更に、一般に用いられる溶剤は環境に危険であることがある。
【0006】
連続液体塗布プロセスについては塗布のライン速度を増すとき、前記プロセスは、組成物が最初に基材に出会う領域で空気の閉じ込めを生じさせ、不安定になることがある。この領域は、通常「塗料ビード」と称される。幸いに、静電補助を用いて塗料ビードと基材との間に生じる空気の閉じ込め問題を軽減することができる。しかしながら、すべての組成物を静電補助方法によって適用することができるわけではない。前記組成物は、自由イオンが、電界が適用されるときに組成物中で移動することができるように、十分な導電率を有しなくてはならない。次いで、大きな差の電気ポテンシャルが組成物と基材との間に適用されるとき、電界が組成物中に作り出され、組成物中の1方の極性のイオンを基材に最も近い塗料ビード表面に移動させる。単一の塗料ビードを有しないいくつかのコータ(例えば、グラビア)において、前記イオンは更に、基材に最も近い組成物の表面(例えば、グラビア気泡中の組成物の表面)に移動する。組成物のこの「誘導帯電」は、塗料ビード表面に静電圧を生じさせ、塗料ビードの形状を変え、空気が塗料ビードと基材と間に入るのを防ぐ。このように静電補助により、連続塗布を行うときに均一性を維持したまま、増大したライン速度を得ることができる。不連続グラビア塗布方法でも、静電圧が組成物をグラビア気泡から「引き抜く」ため、静電補助はライン速度の増大を可能にする。
【0007】
溶剤型の薄い塗料を吹付けプロセスによって適用することもできる。吹付け塗料を用いて平滑な基材に組成物を適用することができるが、それは粗または三次元の物体及び、粗または三次元の表面を有するシート状ウェブを塗布する方法として特に有用である。静電吹付けプロセスは一般に、溶剤を有する組成物を粗面に5マイクロメーター以上の塗り高さに適用するのに好ましい。しかしながら、吹付けプロセスに伴う問題は、スプレー飛沫(すなわち、組成物の50〜80パーセントが基材に達しないことがある)である(ミラー,E.P.、『Electrostatic Coating』第11章、静電塗料及びその適用、ワイリー−インターサイエンス(1973年)A.D.ムーア編)。静電吹付けプロセスは、吹付けのより制御された手段を提供し、このため材料の減量を低減させる。
【0008】
より効率的な静電吹付けプロセスにおいて、液体粒子は誘導帯電を用いて形成中に帯電される。誘導帯電は、電界が負の自由イオンに逆の方向に自由イオンを移動させる吹付け機において組成物中の電界によって電荷を液体粒子上に置く。イオンの過剰な一方の極性が組成物の表面に沿った領域に蓄積し、組成物を帯電した液体粒子霧に分解するために必要とされる静電圧を生じる。この誘導帯電に得るために、前記組成物は自由イオンの適度の数が確実に存在するように十分な導電率を有しなくてはならない。静電吹付け塗料の液体粒子は一般に、直径約50マイクロメーター(μm)〜約200μmの範囲であり、従来の(非静電)吹付けプロセスは最大500μmの液体粒子を有することがある。
【0009】
静電吹付けの中の異なったサブクラスである電気吹付けは、小さい流れ速度に制限され、そのため塗料を約0.005マイクロメーター〜約10マイクロメーターの厚さに適用するのに有用である。電気吹付けを用いて溶剤を用いずに薄い塗料を適用することができる。電気吹付けプロセスにおいて、スプレーヘッドにおける組成物の表面に対する静電圧は、液体の微細フィラメントが出る組成物の1つ以上のコーンを精密に制御して形成する。各フィラメントが、直径がフィラメントの直径のオーダーである液体粒子の霧に分解する。液体粒子の直径を塗料液の導電率によって制御することができる。液体粒子の直径は一般に、50μmであり、導電率が十分に大きい場合、1μmより小さくてもよい。
【0010】
電気吹付けプロセスは薄い塗料を適用する有効な手段であるが、すべての組成物が電気吹付けをすることができるわけではない。すべての静電補助方法の場合のように、前記組成物は特定の加工必要条件を満たさなくてはならない。前記組成物が塗布される粘度及び導電率の必要条件は、静電補助方法によって、及び所望の塗り厚さによって変化する。電気吹付けについては、前記組成物は本質的に、単一相液または非イオン性安定化分散系またはエマルジョンのどちらかでなければならず、さもなければ前記組成物は電気吹付けプロセス中に不安定になることがある。単一相液(「真溶液」)において、各成分は完全に可溶性である。
【0011】
組成物が単一相液または非イオン性安定化エマルジョンまたは分散系である場合、組成物を溶剤を用いてまたは用いずに電気吹付けすることができる。しばしば溶剤をも必要な成分の溶解度を得るために前記組成物に添加されなくてはならない。この添加された溶剤は、特に有機系である場合、加工中または後に蒸発して捕捉されない場合、環境問題を引き起こすことがある。
【0012】
前記組成物が全く溶剤を含まないとき、初期成分の実質的にすべてが最終硬化生成物に何らかの形で存在している。溶剤によって流延される薄い塗料が存在するが、前記溶剤が加工中に蒸発するため、この規定を合わない。例えば、エタノールまたはメタノールを溶解度及び導電率を増すために電気吹付け可能な組成物に添加することができるが、それらは加工中に蒸発する。
【0013】
水性の組成物は、「溶剤を含まない」と表現されることがあるが、少なくとも十分に乾燥するまで、カチオン重合することができない。
【0014】
溶剤を導電率を増すために組成物に添加することができる。所望の導電率の範囲に達するために、組成物は導電率向上剤、すなわち、塩の他に、しばしば揮発性有機化合物(「VOC」)であると一般に考えられる極性の溶剤を含有する。これらの揮発性有機化合物は環境に危険なことがある。
【0015】
第四アンモニウム塩が導電率を増すために印刷インキに添加されている。しかしながら、アニオンの選択に依存して、これらの塩はカチオン重合と両立できないことがある。特許文献1には、硫酸塩、ボラート、及びヨウ化物などの比較的に低分子量のアニオンを有する第四アンモニウム塩をインキに添加することが開示されている。これらの導電率制御剤を0.05〜約1重量パーセントの量で添加して静電適用されるインキの導電率を増す。
【0016】
特許文献2には、Va族元素の鉱酸及び有機酸の第四塩などの油溶性の塩を極性の有機溶剤0〜30%を含有する硬化性の印刷インキに添加することが開示されている。すべての例は極性の有機溶剤を含む。
【0017】
均一な厚さを有する薄い層を電気吹付けするために、電気吹付け霧から生じる各液体粒子は、基材上で適度に均すことが可能であるために十分に低い粘度を有しなくてはならない。しかしながら、若干の用途については基材、例えば、スリップシート上で個々の液体粒子を硬化させることが望ましいことがある。溶剤及び反応性希釈剤が粘度を制御するために添加された。例えば特許文献3(レアら)には、電気吹付けされることができるカチオン共重合性ポリシロキサン剥離塗料の粘度を調整するために反応性希釈剤を添加することが開示されている。
【0018】
塗料を基材に適用する方法にかかわりなく、前記成分は好ましくは生成物の最終性能を有害なまでに損なわない。成分は好ましくは蒸発したり、または重合を妨げず、または加工中に塗料に物理的に捕えられ、さもなければ、前記成分は基材中へ移動し、生成物の性能に有害なまでに影響を及ぼすことがある。あるいは、それは後に蒸発して環境を汚染することがあり、または後に別の表面と接触し、摩擦して取れて、その表面を汚すことがある。静電補助方法が提供する利点を利用するために、前記組成物は十分な導電率を有しなくてはならない。このように、静電補助(すなわち、静電補助連続液体塗布(ロール、カーテン、スロット、スライド、グラビアなど)、静電吹付け塗布、または電気吹付け塗布)によって適用することができ、成分の実質的にすべてが最終生成物中に存在し、他の成分と共重合するか、または別の仕方で塗料の永久的な一部分になる塗料組成物に対する需要が存在する。メチド及びイミド塩などの具体的には導電率向上剤を含むこのような塗料組成物の個々の成分に対する需要もまた存在する。
【特許文献1】米国特許第4,059,444号公報
【特許文献2】米国特許第4,303,924号公報
【特許文献3】欧州特許第93.924905.8号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
我々は、静電補助によって基材に適用することができ、その成分が重合を妨げない組成物を見い出したが、基材上に置かれて実質的に重合されるときに前記組成物は生成物の特性を好ましくなく劣化させることはない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による導電率向上剤を混和することによって、静電補助による塗布に不十分な導電性であった組成物を所望の導電率に得るように配合することができる。更に適切な導電率に得ることの他に、前記導電率向上剤は好ましくは前記組成物中に可溶性であり、好ましくは組成物の粘度に悪影響を及ぼさず、好ましくは実質的に共重合するか、または最終組成物の永久的な一部分になり、最終生成物を有害に劣化させない。非配位炭素含有アニオンを有する不揮発性塩がこれらの必要条件に満たす。
【0021】
本発明は、静電補助によって基材に塗布されることができる導電率向上剤を含有する組成物を提供する。前記組成物は、1つ以上のカチオン重合性モノマー、1つ以上のカチオン開始剤の他、モノマーに可溶性であると共にカチオン重合を妨げないアニオン及びカチオン部分を有する1つ以上の不揮発性導電率向上剤であって、前記アニオン部分が非配位親有機性炭素含有アニオンである不揮発性導電率向上剤を含む。前記モノマー及び開始剤は、組合せたときに静電補助によって基材に適用されるには不十分な導電率である。前記組成物は更に、1つ以上の解離向上剤、フリーラジカル硬化性モノマー、フリーラジカル生成開始剤、均染剤、好ましくは共反応性のオリゴマーまたはポリマー、並びに、重合した塗料に特定の特性を付与する添加剤及び補助剤を含んでもよい。前記粘度の必要条件は静電補助塗布方法によって変化する。
【0022】
本発明の別の実施例は、静電補助によって基材に適用することができる「溶剤を含まない」組成物である。
【0023】
本発明の別の実施例は、基材上に、特に粗または三次元の基材上に電気吹付けすることができる組成物である。
【0024】
本発明は更に、a) 水素カチオンと、b)以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II中、一方のXが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)Rからなる群から選択され、
Rがアルキル、シクロアルキル、アラルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリール からなる群から選択され、
Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルであってもよい]の1つを有するアニオンと、を含むメチド及びイミド酸化合物に関する。
【0025】
本発明は更に、a) カチオンと、b) 以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II中、一方のXが−SO2R、−C(O)R、−SO2Rf、及び−C(O)Rfからなる群から選択され、他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)Rからなる群から選択され、Rが、骨格炭素鎖が二価の酸素、三価の窒素、または二価の硫黄の1個以上に割り込まれているアルキル、シクロアルキル、アラルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリール からなる群から選択され、Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルであってもよい]の1つを有するアニオンと、を含むメチド及びイミド酸化合物に関する。
【0026】
本発明はまた更に、a) カチオンと、b) 以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II)において、一方のXが−SO2R、−C(O)R、−SO2Rf、及び−C(O)Rfからなる群から選択され、他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)Rからなる群から選択され、Rが重合性部分を含み、Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルであってもよい]の1つを有するアニオンと、を含むメチド及びイミド化合物に関する。
【0027】
本発明はまた更に、a) カチオンと、b) 以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II)において、一方のXが−SO2R、−C(O)R、−SO2Rf、及び−C(O)Rfからなる群から選択され、他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)R からなる群から選択され、Rが重合性部分を含み、Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルであってもよい]の1つを有するアニオンと、を含む重合性化合物の反応生成物を含む化学物質に関する。
【発明の効果】
【0028】
導電率向上剤としての特定の種類の塩をカチオン重合性モノマーを含む有機組成物に添加することにより、溶剤を添加せずに前記組成物の導電率が大幅に高められる。導電率向上剤の添加は、静電補助による適用のためには不十分な導電率を有する組成物に必要な導電率を得させ、このため連続液体塗布、静電吹付け塗布、または電気吹付け塗布手続によって静電塗布可能にする。
【0029】
前記導電率の必要条件は、適用プロセスにだけ当てはまる。前記組成物を基材に適用するとき、導電率を大幅に低減させ、または除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
誘導帯電に依存する静電補助塗布方法は、イオン導体として役立つ液中の自由イオン(すなわち、それらが非配位イオンとして振る舞うように、物理的に分離されているイオン)を必要とする。周知のイオン導体は、塩、酸、水の他、解離種含有極性溶剤などである。水はカチオン重合と両立できない。酸はしばしば揮発性及び腐蝕性である。前述のように、極性溶剤を用いて、解離向上剤として作用することによって導電率を増すことができる。しかしながら、極性溶剤が加工中にしばしば蒸発し、このため環境に有害であることがある。従って、静電補助方法によって適用することができる溶剤を用いない組成物を生じるために、塩が導電率を増すためには有用である。しかしながら、すべての塩が有機組成物に有用であるわけではない。
【0031】
溶剤を含まない組成物または高固形分の溶液について一般的に1つだけの定義は用いられない。理想的には、溶剤を含まない組成物は100%反応性であり何れのVOCも有せず、または生じない。従来技術に周知のように、この理想的な組成物は、得るのは不可能でないにしても難しい。特に、塊重合はより高い転化率において大幅に速度が低下し、このため100パーセントの転化または重合は、経済的な制限条件を考慮しなくても得るのが難しい。組成物の理想的でない性質を説明するために、非反応性成分または揮発性成分の若干量が予想される。米国環境庁(EPA)は、試験及び材料(ASTM)基準D5403−93のためのアメリカンソサエティーにみられるように、放射線硬化性材料についてVOC含有量を測定するための試験の方法論を確立した。試験方法Aは、「本質的に100%反応性であるが、不純物としてまたはいろいろな添加剤を混在させることによって投入される微量の揮発性材料(3%以下)を含有する放射線硬化性材料」に適用できる。揮発性材料の存在を定量するために、組成物を硬化させ、次に強制通風炉内で60分間、100*5℃に加熱した。重量の測定(すべて室温で)を基材、硬化前の組成物、硬化後の組成物及び加熱後の硬化した組成物について行なった。本発明において、「溶剤を含まない」組成物は、この基準に従い、このようにVOC 含有量が3重量パーセント以下である組成物である。
【0032】
この基準を満たす他に本発明の溶剤を含まない組成物は、すべての元の成分の合計の2重量パーセント未満がASTM D5403−93試験方法Aを適用する間に加熱抽出可能であるのが好ましい。このため、好ましくはモノマー、開始剤、導電率向上剤、及び他の添加剤の少なくとも98重量パーセントが、フリーラジカル硬化のために用いたエネルギー源に関係なく最終重合生成物中に存在する。重合の理想的でない性質もまた、2重量パーセントより少ない減量の必要条件において考慮されている。
【0033】
この溶剤を含まない組成物を得るために、各成分は、加工、重合中、及び最終生成物において、前記組成物は2重量パーセント以上にまで蒸発または「加熱抽出」によって材料を失わない。
【0034】
更に、前記成分は好ましくは最終生成物の他の層中に移動せず、さもなければ生成物の特性は有害なまでに変化することがある。
【0035】
前記組成物についての導電率の必要条件は、静電塗布方法によって変化し(表Aを参照のこと)、塗布方法を所望の塗り高さによって決定することができる。
【0036】
『Walden's Rule』(ジョルダンP.C.、Chemical Kinetics and Transport、プレナムプレス、ニューヨーク(1980年))は、与えられた系について、生成物の粘度×イオン導電率がおよそ一定であることを規定する。このように、イオン導電率を粘度の減少によって増すことができる。しかしながら、吹付け塗料において前記液体粒子の粘度は好ましくは短時間で塗料を適度に塗布及び均すことを可能にするために非常に低く保持される。従って、静電塗布において、特に電気吹付け塗布において、前記組成物の粘度は一般に1パスカル−秒より小さい。同様な制限が他の方法に適用される(表Aを参照のこと)。たいていの静電補助方法について粘度が低いことが既に必要とされているため、粘度を調整することによって容易に所望の導電率を得ることができない。
【0037】

【0038】
必要な導電率がなければ、組成物を静電補助によって適用することができない。これは実質的にこれらの適用方法の使用を制限する。しかしながら、本発明に従って十分な導電率を提供するために特定の種類の塩をこれらの組成物に添加することによって、以前には静電補助可能でない組成物をいまや静電補助方法によって基材に適用することができる。
【0039】
導電率向上剤
導電率向上剤としての塩は、クーロン引力によってまとまったイオンを含有する。単にイオンが存在していることは塩溶液が十分なイオン導体であることを意味しない。静電引力が反対に帯電したイオンを相互に結合してイオン対にし、イオン導電率を実質的に低減させる。従って、十分な導体であるために、イオン対は少なくとも部分的に解離しなくてはならず、前記イオンは単独になり、すなわち、自由イオン(または、より好ましくはないが、イオントリプレット)になる。自由イオンは、組成物に適用された電界に容易に反応するのに十分な固有移動度を有する場合、組成物のイオン導電率を大幅に増すことができる。組成物中でイオン対が解離することができることは、前記材料の誘電率などのいろいろな要因に依存する。
【0040】
他の添加剤の場合同様、前記イオン対(すなわち、塩)は前記組成物が可能性としては電気吹付け可能である真溶液を形成するように可溶性でなければならない。いろいろなモノマー混合物が導電性になるためにイオンが必要とされるが、塩の溶解度は異なり、一部の塩を他の塩より有効にする。考察対象の組成物が有機系であるため、少なくとも1つの有機イオンを有する塩が一般により良好な溶解度を有する。このような有機塩の溶解度を有機基の適切な選択によって調整することができる。
【0041】
概して、より高い誘電率(より高い極性)を有する材料は自由イオンを安定させることがより良好に可能である。極性材料は、反対に帯電したイオン間の引力を低減させ、イオン対を自由イオンに分離させる。概して、溶解した塩イオンが密接に対になり(配位される)、このため本質的に導電性でなくなることがあり、または、(それらの構造及び環境の結果として)前記イオンが実質的に導電性の非配位(または遊離)イオンとして作用するように容易に物理的に分離することがある。有機組成物の極性がより低くなり、このためより低い誘電率を有するとき、自由イオンと密接イオン対との間の均衡は後者に向かって移行する。それ故に、より有利ではない条件(すなわち、低極性及び低誘電率の混合物)にもかかわらず、溶解して、自由イオンに容易に解離するイオン対を形成する塩が導電率を増すために望ましくは選択される。
【0042】
2つのイオンが容易に解離的分離することは、前記イオンの一方または両方の電荷の非局在化によって及び/または対イオンがイオン対に密接に配位するのを妨げる電荷の中心の周りの立体障害によって有利に影響されると考えられる。イオンの荷電部位の周りの立体障害は対イオンへのアクセシビリティを減少させることがあり、それ故にイオンがより弱く対になる傾向がある。 立体障害基が塩の溶解度を妨げない場合、より大きい立体障害がイオン対を個々のイオンに分離するのを促進し、前記組成物のイオン導電率を増す傾向がある。しかしながら、増大したイオンの大きさがイオン移動度の低下のために結局は導電率を低減させる。電子吸引基、特にフッ素またはフッ素化基は概してアニオン部分中の電荷の非局在化を増大させ、それによって導電率を増す。
【0043】
イオンは多数の電荷を有することができる。概して、一価のイオンはより容易に可溶化し、前記選択されたモノマー混合物によって自由イオンに解離する。二価及び三価のイオンも用いてもよいが、十分に「安定化されない」場合、過剰な電荷がより大きい距離にわたり密接なイオン凝集を促進するため、概してあまり好ましくない。ポリアクリル酸の塩に由来するようなポリマーのイオンは、それらの大きさによって移動度がひどく制限され、このため、粘性材料の導電率に限界がある。
【0044】
導電率向上剤は不揮発性であり、またはそれらの蒸気圧は25℃で1kPa以下であり、好ましくは25℃で0.5kPa以下であり、より好ましくは25℃で0.1kPa以下である。好ましくは、導電率向上剤は分解して揮発物を形成せず、または加工中にいつでもまたは最終生成物から加熱または水抽出可能にならない。好ましくは、導電率向上剤は、比較的少量で添加されるとき、前記組成物の導電率を増す。一般に、約0.001重量パーセント〜約10重量パーセントが添加され、好ましくは約0.001重量パーセント〜約1重量パーセントが添加される。更に、前記導電率向上剤は重合を妨げてはならない。本発明に有用な導電率向上剤は、有機モノマー中で塩の溶解及びイオン性解離を促進するために無機または有機カチオン及びバルク炭素含有非配位親有機性アニオンを有する塩を含む。好ましくは前記アニオン少なくとも200kg/kmolの式量を有する。
【0045】
前記導電率向上剤は、1つ以上の重合性部分を含有することができる。重合性導電率向上剤を、それらだけで、他の反応性のコモノマーと、または前記塗料組成物の他の成分と反応させ(例えば、重合させる)、重合性導電率向上剤から誘導されたダイマー、トライマー、オリゴマー、ホモポリマー及びコポリマーを形成することができる。好ましくは、前記選択された導電率向上剤の少なくとも1部が前記組成物の残余と共重合する。しかしながら、導電率向上剤が少量添加されて硬化した組成物中に物理的に閉じ込められ、このため加熱または水に接触時に基材の他の層に実質的に移動したり、蒸発または抽出可能にならない場合、導電率向上剤は共重合する必要がない。導電率向上剤の移動は、最終生成物の特性を有害に損なうことがある。
【0046】
有用なアニオンは、アルキル、シクロアルキル及びアリールスルホナート、フルオロアルキルスルホニルイミド、フルオロアルキルスルホニルメチド、アリールボラート、カルボランアニオン、及びメタロカルボランアニオンなどであるがこれらに制限されない。特定の場合には、ホウ素カテコレートが有用である。好ましくは前記アニオンはハロゲンで置換されており、最も好ましくは前記ハロゲンはフッ素である。
【0047】
好ましい導電率向上剤は、以下の式:

[式中、Xが基H、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、−SO2Rf、−C(O)R、−SO2F、及び−C(O)Rfから選択され、好ましくは−SO2Rfであリ、Rがアルキル、シクロアルキル、アラルキル、置換アルキル、アリール、及び任意に重合性の部分を含有する置換アリール基からなる群から選択される]をそれぞれ有する(フルオロアルキルスルホニル)イミド(I)、(フルオロアルキルスルホニル)メチド(II)、フルオロアルキルスルホナート(III)、またはフルオロアルキル化アリールボラートアニオン(IV)であるフッ素化アニオンを含む。前記置換アリールは、ハロゲンまたはハロアルキル置換基、好ましくはフッ素またはフルオロアルキル置換基を含有してもよい。炭素原子の骨格鎖は、それぞれ炭素原子にだけ結合した二価の酸素、三価の窒素、または二価の硫黄などのヘテロ部分 に割り込まれていてもよく、好ましくはこのようなヘテロ部分が存在している場合、このような骨格鎖は炭素原子2個ごとに1個より多いヘテロ部分を含有しない。
【0048】
任意に、Rが別の反応性または重合性ケミカル部分と反応して(例えば、重合して)ダイマー、トライマー、オリゴマー、コポリマー、ポリマーなどを、例えば、鎖型または縮合型の重合、フリーラジカル重合、カチオン重合、または縮合による重合によって形成することができる部分を含む。用いた用語「重合する」及び「重合」は、ポリマーまたはコポリマーの製造だけではなく、ダイマー、トライマー、またはオリゴマーなどの製造も指す。何れの型の重合性ケミカル部分も好適であり得る。好適な重合性部分の例は、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、スチレニル、エポキシ、ビニルエーテル、アリル、カルボン酸などである。
【0049】
Rfはフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルであってもよい。前記ラジカルが骨格鎖中の複数の炭素原子を含有する場合、このような鎖は枝分かれまたは環状であってもよい。炭素原子の骨格鎖は、それぞれ炭素原子にだけ結合した二価の酸素、三価の窒素、またはそれぞれ炭素、フッ素、または酸素原子に結合していてもよい六価の硫黄原子などのヘテロ部分に割り込まれていてもよく、好ましくはこのようなヘテロ部分が存在している場合、このような骨格鎖は炭素原子2個ごとに1個より多いヘテロ部分を含有しない。ところどころ炭素に結合した水素原子、臭素原子または塩素原子が存在していてもよい。しかしながら、存在している場合、それらは好ましくは平均して炭素原子2個ごとに多くても1個が存在している。このように、非骨格原子価結合は好ましくは「フッ素−炭素」結合である。すなわち、Rfは好ましくは過フッ素化されている。
【0050】
Rf中の炭素原子の合計数は変化してもよく、例えば、1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4であってもよい。Rfが環状構造であるかまたは含有する場合、このような構造は好ましくは5または6員環を有し、その1個または2個が前記 ヘテロ部分、例えば、酸素及び/または窒素であってもよい。2個以上のRf基が単一の式中に存在する場合、それらは同一または異なっていてもよく、相互に結合して環を形成してもよい。あるいは、Rfはフッ素化またはフルオロアルキル化芳香族基またはフッ素原子であってもよい。
【0051】
式(IV)中のR'fは芳香環1個中の1個以上のフッ素化置換基を表し、1個以上のフッ素原子または、好ましくはCF3である上述の説明によるRf基であってもよい。好ましくは、R'fによって一括して表される芳香環1個中の非環状炭素原子の合計数は4個以下である。最も好ましくは式(IV)は、PFTPB(テトラキス[ペンタフルオロフェニル]ボラート)及びTFPB(テトラキス[3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル]ボラート)である。単一のボラートアニオンと結合した複数のR'f部分が同一または異なっていてもよく、何れの組合わせで配列されていてもよい。
【0052】
R及びRfは更に、塩が溶解されるモノマーと反応性である重合性の官能価を含有してもよく、このため重合の間にアニオンの固定化の機構を提供する。このような固定化は、硬化した組成物中の塩の抽出、浸出または移行が望ましくない用途において必要なことがある。
【0053】
式(I)〜(IV)によって表されるアニオンのうち、式(I)、(II)、及び(IV)のイミド、メチド及びアリールボラートアニオンが溶解度及び導電率に対して最も好ましい。
【0054】
本発明の実施に有用なアニオンの例としては以下のアニオンが挙げられるがそれらに制限されない。











【0055】
概して、上述のビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミド及び環状ペルフルオロアルキレンジスルホニルイミドを米国特許出願第08/531,598号(ラマンナら)及び米国特許出願第08/398,859号(ワッデル)に記載されているように調製することができる。これらの塩をフルオロアルキルスルホニルフルオリド、RfSO2Fと無水アンモニアとの反応から調製する。Rf1及びRf2 が同一である対称イミドを図式Iに示すようにトリエチルアミンなどの弱塩基性有機溶剤を用いて単一の工程で調製することができるのに対し、Rf1及びRf2が異なっている非対称イミドを図式IIに示すように、2つの工程で調製しなくてはならない。
【0056】
図式I

図式II



【0057】
ペルフルオロアルキルスルホニル基及び非過フッ素化炭化水素スルホニルまたはカルボニル基を有するイミド塩を、上記の図式IIに示したペルフルオロアルキルスルホンアミド中間物を炭化水素スルホニルハリドまたは無水物または炭化水素カルボニルハリドまたは無水物と反応させることによって調製した。最も好都合には、未置換ペルフルオロアルキルスルホンアミド(例えば、CF3SO2NH2またはC8F17SO2NH2)をアプロティック溶媒に溶解してもよく、好ましくはアセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルまたはジメチルスルホオキシド及び第三アミン酸掃去剤(例えば、トリエチルアミンまたはピリジン)などの極性アプロティック溶媒を少なくとも等モル量添加することができる。次に、所望の非過フッ素化炭化水素スルホニルまたはカルボニルハリドまたは無水物(例えば、F-C6H4-SO2Cl,CH2=CH-C(O)ClまたはCH2=CH-C6H4-SO2Cl)の等モル量を、希釈せずに、または同じ極性アプロティック溶媒中に溶解するかのどちらかで投入し、前記反応混合物を撹拌しながら大気圧以上の圧力で約−25℃〜約150℃、好ましくは約25℃〜約100℃の温度に加熱し、第三アミンイミド塩の溶溶液を形成する。前記溶剤を取り除いて第三アミン塩を単離することができる。第三アミン塩を適切な塩基で中和して直接に塩を形成することができる。あるいは、前記第三アミン塩を水溶液中で酸性にし、所望のイミド酸、RfSO2NHSO2Rfまたは RfSO2NHCORfを抽出するために水と非混和性の極性溶剤で抽出することができ、極性溶剤を蒸発させることによって単離することができる。そして次に、イミド酸を無機塩基(例えば、NaOH、K2CO3、LiOH、CaO、CuCO3またはFe(OH)3)または有機塩、通常アミンまたは水酸化第四アンモニウムで水中で中和し、所望の金属またはアンモニウム塩を生じることができる。
【0058】
あるいは、ペルフルオロアルキルスルホニル基及び非過フッ素化炭化水素スルホニルまたはカルボニル基を有するイミド塩は、ペルフルオロアルキルスルホニルハリド、最も好都合にはペルフルオロアルキルスルホニルフルオリドと炭化水素スルホンアミドとを反応させ、前記スルホンアミド及び前記スルホニルハリド上のアルキルとペルフルオロアルキル基とが逆転した上述の類似の反応を用いて調製することができる。
【0059】
ジ−イミド、トリ−イミド、オリゴ−イミド及びポリイミド塩などの多イミド塩を類似の方法によって類似の反応図式を用いて調整することができるが、ただし、上記の単官能性スルホニルハリド及び/または単官能性スルホンアミドの代わりに多官能性スルホンアミド及び/または多官能性スルホニルハリドの1つ以上を使用して前記反応物の段階成長縮合に達し、このような多イミド化合物を作り出す。もちろん、ハリド及びアミドの両方に関して、カルボニルをスルホニルの代わりに使用することができる。これらに類似した過フッ素化材料を、D・D・デズマートウ、『Fluorine Chemistry』、72、(1995年)203〜208ページに記載されているように類似の経路によって調製した。このようなジ−イミド化合物を次のように例示することができる。

【0060】
有用な反応の例を図式IIIに示す。
図式III

式中、Xがハロゲンであり、Rfがペルフルオロアルキル(エン)であり、Rが炭化水素である。
【0061】
図式IIIの第1の例示した反応において、二官能性アミド(炭化水素ビス(スルホニルアミド))がペルフルオロアルキルスルホニルハリド(例えば、ペルフルオロアルキルスルホニルフルオリド)と反応することが示されている。これは、置換された末端アルキル基が過フッ素化されていると共にイミドを結合する前記炭化水素基がフッ素化されていないジ−イミドを生じる。あるいは、第2の例示された反応に示されるように、前記スルホニルアミドは単官能性であってもよく、前記スルホニルハリドが二官能性であってもよい。ここで、ペルフルオロアルキルスルホンアミドを炭化水素ビス(スルホニル)ハリドと反応させ、類似の反応生成物を生じさせる。もちろん、前記反応物の一方に示されたフッ素化基を他方の反応物に移し、非フッ素化末端炭化水素基及びフッ素化結合アルキレン基を有するジ−イミドを生じさせることができる。第3の例示された反応において、炭化水素ビス(スルホンアミド)をペルフルオロアルキルビス(スルホニル)ハリドと反応させ、ポリイミドを生じさせる。ここで、最初の2つの例の場合同様、前記フッ素化及び非フッ素化アルキル/アルキレン基を反応物間で交換することができる。
【0062】
環状ペルフルオロアルキレンジスルホニルイミド塩を米国特許第4,387,222号に記載されているように調製することができる。
【0063】
概して、式II によるメチド塩を従来の化学技術に周知の方法など、ペルフルオロアルキルスルホニルメチドを調製するために用いた方法に類似した方法によって調製することができる。例えば、ビス−アルキルスルホニルメチドまたはビス−ペルフルオロアルキルスルホニルメチド(例えば1,1−ジスルホン)を非常に強い塩基(例えば、メチルマグネシウムクロリド)の2当量と反応させてもよく、得られたジアニオンをペルフルオロアルキルまたはアルキルスルホニルハリドと反応させてメチドを形成することができる。典型的な反応図式は次の通りである:

R、R'及びR''の各々が独立して、前記メチドの上記の説明に対応して、過フッ素化または非過フッ素化アルキル、アリールなどであってもよい。必要ならば、前記ジスルホン反応物は環状であってもよい(例えば、1,3−ジチオラン−1,1,3,3−テトラオキシド)。アルキルカルボニルまたはペルフルオロアルキルカルボニル置換を生じさせるために、カルボニルハリドをスルホニルハリドの代わりに用いてもよい。ジスルホン及びスルホニルまたはカルボニルハリド上に存在しているR基を制御することによって、前記メチド置換の組成を制御することができる。
【0064】
具体的に、2個のペルフルオロアルキルスルホニル基と1個の非過フッ素化炭化水素スルホニルまたはカルボニル基を有するメチドを生じるために、ビス−ペルフルオロアルキルスルホニルメタン(米国特許第2,732,398号の例1に記載されているように調製することができる)1モルをアルキルマグネシウムハリド(グリニャール試薬)2モルと数分間、低温度、好ましくは0℃で反応させ、メチドジアニオン(及び副生成物アルカン)を形成することができる。次に、前記ジアニオンを第三アミン酸掃去剤の少なくとも1モルの存在下で、任意にアプロティック、好ましくは極性アプロティック溶媒中で適切な非過フッ素化炭化水素スルホニルまたはカルボニルハリドまたは無水物の1モルと類似の反応条件下で反応させ、混合過フッ素化/非過フッ素化イミド第三アミン塩を形成することができる。前記メチド酸及びそれらの金属またはアンモニウム塩を前記イミド酸及び塩を調製するのに記載した同じ手順を用いて調製することができる。
【0065】
1個のペルフルオロアルキルスルホニル基及び2個の非過フッ素化炭化水素スルホニルまたはカルボニル基を有するメチドを製造するために、ビス−非過フッ素化炭化水素スルホニルメタンまたはビス−非過フッ素化炭化水素カルボニルメタン(例えば、(C6H5SO2)2CH2、(C6H5C(O))2CH2の1モルを前記ビス−ペルフルオロアルキルスルホニルメタンの代わりに用いることができ、ペルフルオロアルキルスルホニルハリドの1モルを非過フッ素化炭化水素スルホニルまたはカルボニルハリドまたは無水物の代わりに用いることができる。より高い反応温度、好ましくは少なくとも約80℃が、スルホニルフルオリドを用いる時に反応を完了させるのに望ましい。
【0066】
非スルホニルまたは非カルボニル(例えば、H、アルキル、アリールなど)基を含むXを有する、式IIのメチドが望ましい場合、このようなメチドを例えば、コーシャー、J.Org.Chem. Vol. 38、No.19、3358ページ(1973年)に記載されている方法と同様の方法によって調製することができる。
【0067】
この発明のイミド及びメチド塩に対する先駆物質として用いたペルフルオロアルキルスルホニルフルオリド及びペルフルオロアルキレンジスルホニルフルオリドを、例えば、米国特許第3,542,864号、5,318,674号、3,423,299号、3,951,762号、3,623,963号、2,732,398号及びS.テンプル、J.Org.Chem.、33(1)、344(1968年)、D.D.デズマートウ、Inorg.Chem.、32、5007(1993年)に記載されているような従来技術に周知のいろいろな方法によって調製することができる。
【0068】
重合性官能基を有するフルオロアルキレンスルホニルフルオリドは、ガードら、J. Fluorine Chem.66、105(1994年)、ガードら、Coordination Chemistry Reviews112、47(1992年)、ガードら、J. Fluorine Chem.、49、331(1990年)、ガードら、J. Fluorine Chem.43、329(1989年)、ガードら、J. Fluorine Chem.67、27(1994年)、ガードら、J. Fluorine Chem.55、313(1991年)、ガードら、J. Fluorine Chem.38、3(1988年)、ガードら、Inorg. Chem.、29、4588(1990年)、米国 特許第5,414,117号(アーマンド)及び米国 特許第5,463,005号(デズマートウ)に記載されている。重合性官能基を有するフルオロアルキレンスルホニルフルオリドから調製されるポリマーは、デズマートウ著、Novel Fluorinated Acids for Phosphoric Acid Fuel Cells、Gas Research Institute Report#GRI−92/0385、1992年7月号及びJ. Fluorine Chem.、72、203(1995年)に記載されている。
【0069】
概して、上述のペルフルオロ−有機スルホナート塩を米国特許出願第08/398,859号(ワッデルら)に概して記載されているように調製することができる。これらの塩は、水及び、任意に、付加的な極性溶剤の存在下で所望のカチオン(例えば、カーボネート、水酸化物、またはアルコキシド塩)を有する塩基性塩との反応を介して、対応するペルフルオロオルガノスルホニルフルオリドの加水分解によって調製されてもよい。
【0070】
フルオロケミカルイミド塩の合成に有用なプロセスについての記載は、以下の通りである。
【0071】
1.D.D.デズマートウら、Inorg.Chem.、1984年、23、3720〜3723ページ
2.D.D.デズマートウら、Inorg.Chem.、1990年、29、2982〜2985ページ
3.カナダ特許第2000142−A号
4.米国特許第4,505,997号、及び
5.米国特許第5,072,040号
【0072】
フルオロケミカルメチド塩及びそれらの共役酸の合成に有用なプロセスについての記載は、以下の通りである。
1.米国特許第5,273,840号
2.タロウスキー及びセッペルト、 Inorg. Chem.、(1988年)27、2135〜2137ページ、及び
3.コーシャー及びミッチュ、J. Org. Chem.、38 3358〜63ページ(1973年)。
【0073】
ペルフルオロオルガノスルホニル フルオリドを調製するために、それに対応する炭化水素スルホニルフルオリド(例えば、ハンセン、米国 特許第3,476,753号に記載されている技術に従って調製した)を、ハンセン、米国 特許第3,476,753号、サイモンズ、米国特許第2,519,983号及びChemistry of Organic Fluorine Compounds、ミロハッドリッキー編、第2版、PTR プレンティスホール(ニューヨーク)、73〜76ページに記載されている方法による電気化学フッ素化によって過フッ素化し、その後に、精製した。
【0074】
概して、本発明の導電率向上剤を米国特許公開第95/03338号(ラマンナら)に従って調製することができ、そのために、好適な溶剤中で所望のカチオン及び塩化物、PF6、SbF6、またはBF4などの通常の対アニオンを含有する塩と、アルカリまたはアルカリ土類金属塩またはアルキルアンモニウム塩などの本発明の非求核アニオンの単塩とを組合せることによるアニオン交換または複分解反応を行なう。概して、複分解反応は、本発明の塩または複分解の副生成物が選択的に沈殿し、このため液または純粋な固体の形で本発明の塩を単離させる条件下で、約−80〜約100℃の温度、好ましくは周囲温度で行なわれてもよい。あるいは、イオン複分解は、本発明の非求核性アニオンを含有する不溶解性アニオン交換樹脂のカラムを介して塩の溶液を通過させることによって達せられる。上述の個々の成分が静電補助によって適用されることができる組成物に直接に添加される場合、本発明の塩はin situ形成される。しかしながら、純粋な塩(導電率向上剤)を静電補助可能な組成物に添加して前記塗布及び重合プロセスを行なう前に固体としてまたは好適な溶剤中で単独の工程において形成するのが好ましい。
【0075】
好適な複分解の溶剤は概して、前記複分解反応のために必要とされる少なくとも1つ及び好ましくは全てをこれらの試薬と反応することなく溶解させることができる。溶剤は概して、所望の塩または複分解の副生成物が選択的に沈殿し、このため所望の塩を比較的に純粋な形で単離させるように選択される。通常、特定の系のための好ましい溶剤は実験的に決定される。アニオン交換樹脂が用いられる場合、溶剤は樹脂を溶解するべきではなく、複分解試薬及び所望の生成物の塩を溶解するべきである。好適な溶剤の非制限的な例は、水、メチレンクロリド及びクロロホルムなどのクロロカーボン、エーテル、トルエン及びクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、アセトニトリルなどのニトリル、メタノール及びエタノールなどのアルコール、ニトロベンゼン、ニトロメタンの他、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン、及び有機溶剤の他の類似の種類などである。溶剤の混合物はしばしば、試薬及び生成物の塩の溶解度を制御することが望ましい。
【0076】
[3,5-(CF3)2C6H3]4B(TFPB)のナトリウム及びリチウム塩を公開された技術(H.コバヤシら、Bull Chem.Soc., Jpn.、57、2600(1984年)に従って調製した。
【0077】
[Li[B(C6F5)4]]2(C2H5)2Oを米国公開第95/03338号(ラマンナら)に記載したように調製した。
【0078】
C6F5Li (70ミリモル)をA. G.マッセイA. H. 及パーク著、Organometallic Synthesis、、461ページ(1986年)に記載された方法に従って調製し、200mLのヘキサンと50mLのジエチルエーテルとの混合物を溶剤として用いて改良した。−78℃の温度のこの混合物に、ヘキサンに溶かした1.0M BCl3の17.5mLを滴下した。一晩撹拌した後、未精製生成物をSchlenkフィルター上で採取し、真空乾燥させた。前記未精製材料を無水メチレンクロリドによって真空下でSoxhlet抽出によって精製し、白い、粉状の生成物を生じた。この生成物を高真空下で乾燥させ、13グラム(77パーセント)の収量を生じた。1H NMR分析は、前記生成物が式量当たりジエチルエーテルの2.1モルを含有することを示した。前記生成物は吸湿性であったため、乾燥窒素下で貯蔵された。
【0079】
Li [B(n−ブチル)(C6F5)3]を米国特許出願第08 / 097,279号(ラマンナら)に記載したように調製した。10mLのヘキサンに溶かした1.17グラム(2.3ミリモル)の(C6F53Bの撹拌された懸濁液に、ヘキサンに溶かしたn−ブチルリチウムの2.5M溶液0.95mLを窒素下で添加した。白い固体の生成物が沈殿し、30分後にそれを濾過によって単離し、5mLのヘキサンで洗浄した。真空乾燥の後、収量は0.98グラムであった。11B NMR(トルエン):BF3(OEt2)に対して−7.7(s)ppm。
【0080】
メチド及びイミドのカチオン部分は実質的に何れの有機または無機カチオンであってもよい。例えば、好ましいカチオンは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニウム、アルキルアンモニウム及び他の窒素−オニウム、ホスホニウム、アルソニウム、ヨードニウム及びスルホニウムカチオンなどのVa.、VIa、またはVIIa族のオニウムカチオンなどである 。前記カチオンはまた好ましくは、塩の固定化のために重合性官能基を含有してもよい。
【0081】
最も好ましい塩を1重量パーセントより低い濃度で用いることができ、何れの解離向上剤をも必要としない。解離向上剤を添加してもよく、または相対的に非導電性の混合物のイオン導電率を増すために1重量パーセントより高い濃度で塩を用いてもよい。
【0082】
エポキシ及びビニルエーテルなどのカチオン重合性モノマー混合物に好適な導電率向上剤は、その成長種(成長ポリマー鎖末端のカチオン)と結合して重合を大幅に緩慢にするかまたは妨げる傾向がある高求核性アニオンを含まない導電率向上剤である。カルボン酸塩、ハロゲン化物などの求核性イオンが存在しているとき、重合不活性種が、特に低誘電率材において、容易に形成される。この問題を回避するために、一般に、BF4、PF6、AsF6及びSbF6などの非求核性アニオンが用いられる。ビニルエーテル及びエポキシなどの高度に無極性のモノマーに関しては、CF3SO3(トリフラート)、C(SO2CF3)3、N(SO2CF3)2、CH(SO2CF3)2、TFPBなどのややより可溶化するアニオンを用いることが有利であることがある。これらの対イオンによって、カチオン硬化性のモノマーの重合が更に起こり得る。(上述の)フッ素化無機アニオンの場合同様、重合の速度はモノマーの選択及び前記アニオンの非求核性の程度よって変化する。
【0083】
モノマーの電気吹付け可能な混合物を硬化させるために用いた開始剤は塩であってもよく、それらの溶解度、反応性、イオン導電率、及び/または安定性を改良するためにそれらと結合した本発明のアニオンを有してもよい。イオン触媒または開始剤が十分に導電性である場合、それは更に、硬化または重合開始剤及び導電率向上剤の両方として二重の機能を果たすことができる。同一または異なったアニオンを含有する塩(すなわち、開始剤及び導電率向上剤)の混合物を静電補助によって適用することができる組成物中で用いてもよいが、ただし、前記混合物は相溶性である。すなわち、前記塩は前記モノマー混合物中に本質的に完全に溶解しており、他の成分の活性を妨げたり、または基材上で適用する前に重合を開始することなくそれらの意図された活性を保つ。
【0084】
解離向上剤
イオン対の解離もまた1つ以上の解離向上剤を添加することによって促進することができる。これらの解離向上剤は、塩のイオンの一方または両方と結合する(すなわち、「安定化される」)。それぞれの成分の場合同様、添加したときに解離向上剤は好ましくは「溶剤を含まない」必要条件を満たし、好ましくは重合を妨げるべきではない。一般に、解離向上剤が前記組成物の一部であるとき、少なくとも0.1重量パーセント、好ましくは、約0.5〜約5重量パーセントに添加される。好ましい解離向上剤は、20℃で少なくとも5の誘電率を有する。より好ましくは、前記誘電率は20℃で少なくとも10であり、最も好ましくは20℃で少なくとも20である。例は従来技術に周知であり、アルカリ塩と組合せて選択的に前記イオン対の金属イオンと錯体を形成し、このようにして解離を促すポリエチレングリコール、クラウンエーテル及びポリ(エチレンオキシド)などの材料が挙げられる。硬化した塗料の特性に悪影響を与えない場合、N−ビニルピロリジノンなどの共反応性且つより極性のモノマーの少量を用いて解離を促進させることができる。
【0085】
モノマー
これらの組成物のために選択されたモノマーは、前記混合物の他の成分と本質的に完全に混和性である。更に、これらのモノマーは、材料の減量が加工中にほとんど起こらないように、十分に低い蒸気圧を有する。好ましくは、前記モノマーは不揮発性であるか、またはそれらの蒸気圧が25℃で1kPa以下、より好ましくは、25℃で0.5kPa以下、最も好ましくは25℃で0.1kPa以下になるようなモノマーである。モノマーはまた、前記組成物の所望の用途に対する濃度で選択される。有用なモノマーは、単官能性及び多官能性モノマーの両方を含む。
【0086】
代表的なカチオン重合性及び/または共重合性モノマーは、ビニルまたはビニリデンエーテル、N−ビニルカルバゾール、ビニルシラン、N−ビニルピロリジノン、1,1−ジアルキル−、トリアルキル−、及びテトラアルキル置換オレフィン、環状オレフィン、共役ジオレフィン及びスチレンなどのエチレン性不飽和化合物などである。他のカチオン反応性モノマーとしては、環状エーテル、特にエポキシドなどの歪み環状エーテルなどが挙げられる。
【0087】
代表的な有用なビニルエーテルモノマーは、4〜18個の炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキル基で置換したビニルオキシ基を含む。4個より少ない炭素を有するアルキル基は概して、それらの高揮発性及び非常に低い引火点のために取り扱いが難しい。
【0088】
アルキル基に18個より多い炭素を有するビニルエーテルは、商業供給元から容易に入手できず、反応するのが一般に緩慢である。
【0089】
1つより多いビニルオキシ基を有するビニルエーテルもまた好適である。それらは、単官能性材料と組合せて、前記組成物を共有結合によって架橋することによってその特性を強化することができる。
【0090】
これらのビニルエーテルの例は、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどである。
【0091】
高電子ビニル化合物もまた好適である。通常、より反応性が低いが、イソプロペニルエーテルなどの置換ビニル類似体もまた含まれる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アネトール、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、プロペニルフェノール、ジビニルベンゼン及びジイソプロペニルベンゼンなどのフェニル置換ビニル化合物及びスチレン化合物を用いることができる。これらの化合物は一般に低分子量に重合して硬い塗料になるため、それらは一般には、単独重合するよりむしろ他のモノマーと共重合させられる。
【0092】
他の好適な高電子オレフィンは、多アルキル置換オレフィン、ジ−及びポリオレフィン及び環状オレフィンなどである。具体例は、リモネン、ピネン、シトラール及びカンフェンなどである。
【0093】
エポキシドもまた、これらの組成物中で好適なモノマーである。多くのエポキシモノマーは静電補助によって塗布されるには粘度が大きすぎるため、反応性希釈剤が通常はこれらのモノマーと共に用いられる。
【0094】
低粘度のエポキシド材料の例は、エポキシ化α−オレフィンがアトケム製(ペンシルベニア州、フィラデルフィア)の商品名 VikoloxTM、スチレンオキシド、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド(チバ・ガイギー製(ニューヨーク州、ホーソーン)のAralditeTMRD−4)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(チバ・ガイギー製のAralditeTMRD−2)、ブチルグリシジルエーテル(チバ・ガイギー製のAralditeTMRD−1)、ジペンテンジオキシド(コネチカット州、ダンバリーのユニオンカーバイド 製、ERL−4269)などである。
【0095】
既に希釈された材料を含めて他の例を参考文献『Handbook of Epoxy Resins』、リー&ネヴィル、マグロー−ヒル、1982年、付録4〜2、4−58から4−70ページから当業者は選択することができる。
【0096】
前記組成物の所望の特性によって、いくつかのカチオン共反応性オリゴマーまたはポリマーが性能特性を改良するために組成物の一部として望ましいことがある。
【0097】
これらの共反応性材料の例は、共にシェルケミカル製(テキサス州、ヒューストン)製のEKP201(エポキシ化スターポリマー)及びEKP207(線状エポキシ化モノ−オールポリマー)など、イソプレン、ブタジエン及びスチレンを主成分とするエポキシ化ポリブタジエン、エポキシ官能性ポリジメチルシロキサン、エポキシ官能性水素添加アニオンのブロックコポリマーなどである。
【0098】
エポキシと共に、共反応性希釈剤が一般に用いられる。これらの共反応性希釈剤の例は、ビニルエーテル、スチレン及び、共にシェルケミカル製のHPVM1201またはHPVM1202などのアルコール官能性材料である。
【0099】
他のカチオン重合性または共重合性モノマーは、アジリジン及びアゼチジンなどの歪み環状アミン、ラクタム及びラクトンなどの環状モノマー、5員環の環状エーテル、トリオキサン、ケトン及びアルデヒドなどである。これらのモノマーは、使用目的と矛盾することがある、水 −膨潤性などの特性を持ち込むことがあるため、通常、より好ましくはない。しかしながら、特定の場合、特により少量において、それらは望ましく増大した接着性または湿潤性を与えることができる。
【0100】
開始剤
開始剤は、触媒作用を示すことができ、概して、重合プロセスを活性化することが必要とされる。活性化エネルギーは、放射または熱のどちらかであってもよい。熱活性化については、触媒をルイス酸、有機プロトニック酸、または無水物などの材料から選択することができる。『Radiation Curing in Polymer Science and Technology』、Elsevier Applied Science、1993年、Vol.2、『Radiation Curing Science and Technology』S.P.パッパス、プレナムプレス、ニューヨーク、1992年、を参照のこと。モノマーの反応性によって、100℃を超える活性化温度が必要とされることがある。これらの開始剤に関する共通の問題は、モノマー/開始剤の混合物の時期尚早の重合の危険である。モノマーと開始剤とを混合することが時期尚早の重合のために取り扱い上の支障をきたす場合、好ましくは、最初に開始剤を基材上に適用し、その後に、選択された静電補助方法を用いて前記モノマー組成物を付着させる。これが必要である場合、前記開始剤は一般に適用温度で本質的に不揮発性であり、必要とされる非常に少量を好ましくは、例えば、従来の真空蒸着によって、または希釈溶液から適用することができる。
【0101】
別の可能性は、触媒をブロック化することである。例は、トリエチルアミンなどの揮発性塩基を、(CF3SO22CH2などの有機酸と共に使用することである。熱によって、前記の酸が分離され、開始が可能である。例えば、米国特許第4,049,861号(ノザキ及びイギリス特許第1327205−A号(R・コーシャー)を参照のこと。
【0102】
カチオン重合を開始する別の方法は、安息香酸第二銅などの触媒をヨードニウム塩及び求核性モノマーと組合せて用いることであり、その系は加熱するときに「自発的に」重合する。(Ring Opening Polymerization、J.E.マクグラス著、ACS シンポジウムシリーズ、1985年、198ページを参照のこと)。前記触媒は、電気吹付けのために必要とされるような完全に可溶性の混合物を必ずしも形成するわけではないので、それらの場合、触媒を最初に、上述のように基材上に付着させ、その後に、モノマー/開始剤の混合物を適用するのがよい。
【0103】
紫外光を用いて重合を開始することができる。有用な光開始剤は完全に可溶性であり、基材上に適用する前に時期尚早の重合を回避するようにモノマー混合物中では安定している。必要ならば、開始剤を(何れかの従来の塗布方法によって)最初に基材に適用し、その後に、モノマーを適用することができる。
【0104】
有用な光開始剤の例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びそれらの混合物から選択されるがそれらに制限されないオニウム塩などである。それぞれ、一般構造Ar2 I+X及びAr3S+Xを有するジアリールヨードニウム塩またはスルホニウム塩が特に有用であり、式中、Arがアリール基であり、XがBF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、CF3SO3 -、ClO4-などの強一価酸のアニオンから選択される。HC-(SO2CF3)2-C(SO2CF3)3-N(SO2CF3)2-B(C6F5)4、C6H5C-(SO2CF3)2などの有機アニオンもまた有用である。トリフラート及び過塩素酸塩などのアニオンを有するより反応性の低いオニウム塩は、ビニルエーテルなどのより反応性のモノマーに関して有用であるにすぎない。より反応性の塩もまた、特定のエポキシドなどのより遅く反応するモノマーに関して有用である。
【0105】
ジアリールヨードニウム化合物の例を米国特許第4,279,717号(エックバーグら)に見い出すことができる。米国特許第4,231,511号(スミスら)、4,256,828号(スミスら)、4,101,513号(フォックスら)、4,049,861号(ノザキら)、4,058,400号(クリベロら)に記載されているような一般構造Ar3S+Xを有するトリアリールスルホニウム塩もまた好適である。
【0106】
カチオン重合のための開始剤として有用なフッ素化アリールボラートアニオンのオニウム及び有機金属塩の例を米国特許公開第95/03338号に見い出すことができる。
【0107】
他の好適な化合物は、チバ・ガイギー製のIrgacureTM261などのフェロセニウム塩などであるが、ヨードニウムまたはスルホニウム塩ほど反応性ではない。前記モノマーに応じて、硬化を完了させるためにUV照射のほかに加熱が必要とされることがある。(J.クリベロ、『Radiation Curing in Polymer Science and Technology』、Elsevier Applied Science、1993年、第2巻、435〜471ページ)。
【0108】
チオキサントン、アントラセン、キサントンなどの光増感剤をこれらの光開始剤と組合せて用いて前記開始プロセスを促進することができる。参考文献スティーブン L. ムーロフ、『Handbook of Photochemistry』、ニューヨークのマーセルデッカーインク、27〜35ページ(1973年)の表2−1を参照のこと。
【0109】
一般に、前記開始剤の濃度は、モノマーの反応性及び重合の所望の速度に対して選択される。ビニルエーテル化合物などの高反応性のモノマーについては、開始剤の量は、約0.05〜約1重量パーセントのオーダーである。より反応性の低いエポキシドについては、約0.5〜約4重量パーセントの開始剤の量が最も一般的である。
【0110】
ヨードニウム塩などの開始剤のいくつかは、静電補助によって付着させるのに十分に導電率を増すために前記モノマー混合物の十分な溶解度及びイオン化を有することがある。しかしながら、導電率は開始剤の濃度に依存している。そしてこのため、開始剤の濃度を変えずに導電率を変えることは基本的に不可能である。開始剤の高濃度は、重合した塗料の制御が困難な反応速度論または好ましくない老化安定性をもたらすことがある。導電率の必要条件が用いてもよい開始剤の濃度を低レベルに制限するならば、重合速度は経済的に許容範囲内の速度よりも低下することがある。
【0111】
それ故に、開始剤及び導電率向上剤の濃度は好ましくは、この発明の静電補助可能な組成物中で独立して制御されている。
【0112】
付加的な添加剤
アクリレート、メタクリレート、ビニルエステル、メタクリルアミド、アクリルアミド、フマレート、スチレン、マレイミドなどのフリーラジカル重合性モノマーを本発明のカチオン重合性モノマーに添加して「ハイブリッド」組成物を得ることができる。フリーラジカル重合性モノマーが添加されるとき、フリーラジカル開始剤もまた添加されなくてはならない。フリーラジカル開始剤は、ベンゾインエーテル、カンファキノン、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンゾイルペルオキシド、2,2'−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、1,1'−アゾ−ビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジクミルペルオキシド及び過硫酸塩/重亜硫酸塩レドックス対などであるがそれらに制限されない。いくつかの開始剤は、フリーラジカル及びカチオン重合の両方を引き起こすことができる。例えば、ジアリールヨードニウム及びトリアリールスルホニウム塩及びアニオンPF6及びSbF6の(シクロペンタジエニル)(アレーン)鉄塩などのオニウム及び有機金属塩が有用であることがある。
【0113】
2つの開始剤が存在するとき、活性化機構は同一または異なっていてもよい。前記機構が同一(例えば、熱または放射)であるとき、活性化エネルギー差が異なった時点で重合を引き起こすように、開始剤はを選択することができる。ある場合には、カチオン及びフリーラジカル重合が同時に起り、例えば塗料に有用なポリマー網目構造を相互侵入させることが望ましいことがある。異なった活性化機構の例は、フリーラジカル重合についてはUV開始剤及びカチオン重合については熱活性化開始剤である。
【0114】
完成塗料の特定の機能性を得るために、前記モノマー及び他の成分が所望の特性を与えるように選択される。
【0115】
艶消剤、染料、顔料、可塑剤または粘着性付与剤などの添加剤を用いることができ、または非官能性流れ向上剤及び湿潤剤を添加して塗料の美観を改良することができる。これらの添加剤は、前記組成物中で好ましくは可溶性、不揮発性であり、好ましくは前記組成物の導電率または硬化性を有害なまでに損なわない。
【0116】
組合せたときに静電補助(すなわち、静電補助連続液体塗布、静電吹付け塗布、電気吹付け塗布)によって適用されるには不十分な導電率を有するように、1つ以上のカチオン重合性モノマー及び1つ以上のカチオン開始剤を好適な容器内で混合することによって組成物を調製することができる。1つ以上の導電率向上剤及び任意に解離向上剤を添加して導電率を増し、適用組成物を製造することができる。次に、この適用組成物を静電補助を用いて基材に適用し、そして次に重合させることができる。一般に、前記基材は2つの主表面を有し、前記組成物は少なくとも1つの主表面の少なくとも一部分に適用する。
【0117】
本発明の実施例の一つは、基材上の剥離塗料組成物であり、前記基材は、第1及び第2の側面を有する裏材料と、一との側面が前記裏材料の第1の側面に塗布された、2つの側面を有する接着剤層と、剥離塗料として配合された重合組成物を含む前記裏材料の第2の側面の剥離層と、を含む。好ましくは前記剥離塗料組成物は裏材料の第2の側面に電気吹付けされる。前記剥離塗料舗装道路マーキングテープ及び他の圧延した基材上で用いるとき、前記基材は、裏材料の第1の側面(すでに接着剤を塗布されている場合、接着剤層)が剥離層と接触するように圧延される。
【0118】
他の実施例は、プライマー、薄い接着剤、防曇塗料、氷剥離塗料、耐落書き塗料、耐摩耗塗料、耐久性塗料、光散乱塗料、硬い塗層、耐汚染塗料、耐擦りきず塗料、及び艶消し表面塗料などであるがそれらに制限されない。各々の用途のための好適なモノマー及び添加剤並びに塗膜厚さの選択を当業者は容易に選択することができる。
【0119】
好適な基材は、シート、繊維、または成形された物体などであり、それらに制限されないが、ただし、前記基材は開始または生長反応プロセスを局部的に失活させることができる十分な塩基性基を含有しない。前記組成物は好適な可撓性または非可撓性の裏材料の少なくとも1つの主表面に適用され、次いで硬化させることができる。有用な可撓性裏材料材料は、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))、デュポンのKaptonTMなどのポリイミドフィルム、酢酸セルロース、及びエチルセルロースなどの可塑性フィルムなどである。裏材料は織布、不織布、紙などの不規則な表面、または粗面を有する構造物であってもよい。このため、裏材料はまた、綿、ナイロン、レーヨン、ガラス、またはセラミック材料などの合成または天然材料の糸から形成された織布であってもよく、またはそれらは、あまり多孔性ではない場合、天然または合成繊維またはこれらのブレンドのエアーレイドウエブなどの不織布から成っていてもよい。その高い多孔性のため、紙自体は1マイクロメータより大きい厚い塗膜を適用して紙中へのソーキングを相殺しなければ好適でない。しかしながら、グラシン紙、プラスチック塗被または含浸紙が好適である。粗面は、エンボス加工またはパターン形成表面または、研磨粒子被覆(エポキシ)樹脂及びガラスビード被覆樹脂などの粒子含浸樹脂などであるが、ただし、表面、樹脂、または粒子は重合を妨げるほど塩基性ではない。更に、好適な基材を金属、蒸着ポリマーフィルム、セラミックシート材料、天然または合成ゴムまたは舗装道路マーキングテープから形成することができる。
【実施例】
【0120】
以下の例は、いろいろな具体的な特徴、本発明の利点及び他の詳細を示す。これらの例で説明される特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、この発明の範囲を不当に制限するように解釈されるべきではない。
【0121】
溶解度の試験
各々の組成物のための導電率向上剤の溶解度を以下の方法によって定量した。導電率向上剤の試料を最大2時間、室温で透明なモノマー溶液と混合し、次に撹拌下で光学透明度について調べた。導電率向上剤を含有する試料が全く透明または「真溶液」でない場合、前記試料を(試料を手で持つことができるように)適度に加熱し、次に室温に冷却した。可視的な導電率向上剤の粒子を含有する試料は不良であるとみなされた。
【0122】
粘度の測定
ブルックフィールド粘度(センチポアズ(cp)単位、1cp=1mPa・s)をマサチューセッツ州、ストートンのブルックフィールド エンジニアリングラボラトリー製のブルックフィールドデジタル粘度計モデルDV−IIを用いて室温で測定した。
【0123】
導電率の測定
溶液の電気導電率は、電極の働きをする2本の平行したステンレス鋼ロッドから成る単純な電池を前記溶液を含有するガラスジャーに挿入することによって測定された。各々、長さ約9cm、直径約3mmのロッドを「中心から中心まで」1cmの間隔に隔置し、両方のロッドを絶縁材料(標準ゴムビンストッパまたは イリノイ州、シカゴのマクマスター−カー製のGarolite片のどちらか )中に一方の端部を埋め込んで平行に維持した。高さHはロッドの下部に対する溶液メニスカスの高さであった。ロッドを高さHの溶液中に置き、電位をロッド間に適用したとき、電流がロッド間に流れるようにした。溶液、空気及び絶縁体は電流フローに正味抵抗Rを提供した。ロッドを空気よりかなり導電性である溶液中に高さHに置くとき、有効抵抗は溶液の有効抵抗であった。例えば、空気の導電率は約10−12S/mまたは10−6μS/mであり、絶縁体の導電率は更により低く、このため0.001μS/mより大きい導電率を有する溶液については、0.1パーセント以内までの抵抗Rは、実質的に溶液だけによるものであった。抵抗Rは幾何学因子Gに正比例し、電気導電率σに反比例し、このためG=Rσである。Gは、高さH並びにロッドの離隔距離及びロッドの直径などの他の固定パラメータに依存する。これらの固定パラメータが第2の幾何学因子gと規定されるなら、g=GHであり、gは電極構造の固有の幾何学によって規定される定数である。gの値は、ロッドが溶液中で或る固有の高さHoに置かれるときに抵抗Roを生じる周知の導電率σoを有する溶液を用いて決定された。σoは周知でありRoが測定されるので、幾何学因子GoはGo=Roσoから決定された。Hoがわかると、gはg=GoHoを用いて決定された。gは定数であるので、g=GoHo=GHであり、gが周知なので、Gを何れのロッド−電極挿入深さHについても決めることができる。
【0124】
ロッド−電極電池を較正するために、セル定数gは周知の導電率のいろいろな塩溶液を用いて決定された(標準基準材料(1500、10000及び50000μS/m)、National Institute of Standards and Technology(NIST)製、メリーランド州Gaithersburg)。定数gは、1500μS/mで約60cm/mから50,000μS/mで約70cm/mの値まで変化した。インピーダンスアナライザを用いてメタノール、イソプロピルアルコール(IPA)及びメチルエチルケトン(MEK)の誘電率を測定するとき、gが、『the Handbook of Chemistry and Physics』(フロリダ州、ボカラトンのCRC プレスインク)に記載された誘電率の値を得るように調節された。これらのg値がIPA、MEK、及びメタノールについて測定された導電率の自然対数に対してプロットされ、NIST 溶液を用いて決定したg値もまたNIST溶液の値の自然対数に対してプロットされるとき、すべてのg値は同一の直線上にあった。結果として、g=59.45cm/mが選択され、1000μS/mの正確な導電率を提供した。gのこの値について、すべての報告された導電率のデータは1000μS/mから導電率10毎に約10パーセントずれ、1000S/mより低い導電率についてはより低くなり、1000S/mより高い導電率についてはより高くなった。例えば、100S/mとして記録された導電率は、実際に約10パーセント低く、100μS/mとして記録された導電率は実際に約20パーセント低かった、等々。g=59.45cm/mを用いるとき、導電率σは、式σ=g/(HR)によって電池の両端の抵抗から決定され、式中、Rは、電池が高さHにまで溶液中に挿入されたときの溶液の抵抗である。
【0125】
3つの方法を用いて溶液の抵抗R、したがって導電率σを調べた。
方法Iにおいて、ヒューレット・パッカードLF(低周波)インピーダンスアナライザーモデル 4192A (ヒューレット・パッカードカンパニー、カリフォルニア州、パロアルト)を電池の両端に接続し、アドミタンスY及び角度Dを溶液中のロッドの挿入深さHとともに100、300、500、700、900、及び1000キロヘルツ(kHz)の周波数Fにおいて記録した。このデータを用いて式σ=(gYcosD)/Hによって導電率を計算した。方法Iについて、溶液の誘電率εrもまた、式εr=(gYsinD)/(2πεoFH)によって計算することでき、式中、εoは自由空間の誘電率である(8.85×10−12ファラド/メートル(F/m))。
【0126】
方法IIにおいて、BK 精度モデル878 ユニバーサルLCRメータ(BK精度、イリノイ州、シカゴのマックステックインターナショナルコーポレーション製)を電池の両端に接続し、1kHzの周波数Fの抵抗Rを溶液中のロッドの挿入深さHで測定した。次に、導電率を式σ=g/(HR)によって計算した。
【0127】
方法IIIにおいて、電池を直列に1MΩの抵抗 Rs、マイクロアンペア計A及びスイッチSと直列に接続した。次に、この直列回路を標準9ボルト乾電池の両端に接続した。電池を溶液中に高さHに浸漬した後、スイッチSをしばらく閉じ、電流計の読み取り値Isを記録した。Isと共に、電極の挿入深さHを記録した。方法IIIにおいて、バッテリー電圧Vbを電流計及び1MΩの較正抵抗器Rcと直列に置いたスイッチSの両端に接続した。このスイッチを閉じるとき、測定された電流Ic×抵抗Rcがバッテリーの電圧となった。次に、このデータは式:


によって溶液の導電率を計算した。
【0128】

【0129】

【0130】
イミド及びメチドの調製及び重合

リチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドの合成

【0131】
スチレンスルホニルクロリド4.48gを乾燥アセトニトリル35mLとトリエチルアミン10mLとの混合物中に溶解させた。前記溶液を0℃に冷却し、次いでこの溶液に、アセトニトリル35mLに溶解させたトリフルオロメチルスルホンアミド、CF3SO2NH2の3.30gをゆっくりと添加した。得られた黄色溶液を室温に昇温し、1時間撹拌した。前記溶剤を回転式蒸発器で取り除き、得られた赤い固体を1MのLiOH水溶液100mLに溶解させた。溶剤の除去後に、ジエチルエーテルの200mLを添加した。得られた懸濁液を1時間撹拌し、濾過し、前記エーテルを取り除いて黄色固体5.4gを生じ、所望の生成物であると同定された。CH2Cl2からの黄色固体の再結晶作用により、薄黄色の粉体(59%の収量)4.18gを生じた。この薄黄色の粉体のNMR分析は、以下のデータを提供した。

【0132】
リチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドの重合
リチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドの4.84gを脱イオン水150mL中に溶解させた。過硫酸アンモニウム100mgを添加し、得られた溶液を16時間80℃に加熱した。次に、前記溶剤を取り除いてガラス状ポリマーを生じた。ポリマーのガラス転移温度、Tgを調べると示差走査熱量測定(DSC)によって約250℃であり、重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて約800,000であることがわかった。
【0133】
リチウムフェニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドの合成

このイミドをリチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドを作製するために記載したのと本質的に同じ手順を用いて調製したが、ただし、ベンゼンスルホニルクロリドをスチレニルスルホニルクロリドの代わりに用いた。

【0134】
リチウムメチルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミド,
CH3SO2NLiSO2CF3の合成
このイミドをリチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドを作製するために記載したのと本質的に同じ手順を用いて調製したが、ただし、メチルスルホニルクロリドをスチレニルスルホニルクロリドの代わりに用いた。

【0135】
フェニルペンタフルオロエチルビス−スルホニルイミド酸の合成

このイミド酸をリチウムフェニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドを作製するのに記載したのと本質的に同じ手順を用いて調製したが、ただし、ペンタフルオロエチルスルホンアミド、CF3CF2SO2NH2をトリフルオロメチルスルホンアミドの代わりに用いた。試料を硫酸で酸性にした。

【0136】
トリエチルアンモニウムスチレニルペルフルオロオクチルビス − スルホニルイミドの合成

このイミドをリチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドを作製するのに記載したのと本質的に同じ手順を用いて調製したが、ただし、ペルフルオロオクチルスルホンアミド、C8F17SO2NH2をトリフルオロメチルスルホンアミド の代わりに用い、LiOHによる中和は行われなかった。

【0137】
リチウムスチレニル1,4−ペルフルオロブチレンビス−スルホニルイミドの合成

このイミドをリチウムスチレニル トリフルオロメチルビス−スルホニルイミドを作製するのに記載したのと本質的に同じ手順を用いて調製したが、1/2モル量の1,4−ペルフルオロブチレンジスルホンアミド、H2NSO2(CF24SO2NH2をトリフルオロメチルスルホンアミドの代わりに用いた。前記ジスルホンアミドを米国特許第2,732,398号(ブライスら)の第6欄においてその調製が記載されているFSO2(CF24SO2Fのアンモニアによるアミド化によって誘導することができる。

【0138】
リチウムフェニルトリフルオロメチル ビス−スルホニルイミドの合成

このイミドをリチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドを作製するのに記載したのと本質的に同じ手順を用いて調製したが、ただし、4−フルオロベンゼンスルホニルクロリドをスチレニル スルホニルクロリドの代わりに用いた。

【0139】
リチウム(トリフルオロメチルスルホニル)アクリリルイミド、CH2=CH−C(O)NLi(SO2CF3)の合成
トリフルオロメチルスルホンアミド74.5gをアセトニトリル1000mL中に溶解した。前記溶液を窒素下の氷槽(0℃)で冷却し、窒素とアクリロイルクロリド54gを撹拌しながら滴下した。次に、トリエチルアミン202gを同様にして前記混合物に添加し、前記反応物を窒素下で2時間、0℃で撹拌した。得られた茶色の溶液を濾過し、溶剤を回転式蒸発器を用いて濾液から取り除き、更に乾燥を真空ラインを用いて行なった。前記乾燥材料を脱イオン水中で30%(wt)で溶解させ、得られた溶液を1pHにまで濃縮HClで酸性にした。生じたイミド酸をジエチルエーテルで抽出し、周囲温度の真空下で乾燥させた。リチウムイオン交換をTHF中に前記酸を溶解させて5%(wt)溶液を作製することによって行ない、前記溶液を7のpHが得られるまで(48時間後)、炭酸リチウム(4eq)によって撹拌した。所望の生成物を不純物を取り除くために濾過によって単離し、その後に、濾液を乾燥させた。

【0140】
リチウム(トリフルオロメチルスルホニル)アクリリルイミドの重合
リチウム(トリフルオロメチルスルホニル)アクリリルイミド4.00gと少量のCH3CH2OCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2SHとをTHF20g中に(連鎖移動剤として)溶解させた。前記溶液はN2で脱気させ、AIBN(2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)35mgを添加させた。前記溶液を19時間、60℃に加熱し、重合を完了させた。得られたポリマーのTgは約220℃であった(DSC)。
【0141】
リチウム(ペルフルオロオクチルスルホニル)アクリリルイミド、CH2=CH−C(O)NNa(SO2C8F17)の合成
このイミドをリチウム(トリフルオロメチルスルホニル)アクリリルイミドを作製するのに記載したのと本質的に同じ手順を用いて調製したが、ただし、ペルフルオロオクチルスルホンアミドをトリフルオロメチルスルホンアミドの代わりに用い、炭酸ナトリウムを炭酸リチウムの代わりに用いた。

【0142】
リチウム(1,2−エポキシエチルフェニル)トリフルオロメチルビス−スルホニルイミドの合成

リチウムスチレニルトリフルオロメチルビス−スルホニルイミドの0.3gをジエチルエーテル20mL中に溶解させ、得られた溶液を0℃に冷却した。m−クロロ過安息香酸酸(MCPBA)の0.50gを前記溶液に添加し、前記溶液を周囲温度で54時間撹拌した。54時間後、アリコートのNMR分析は反応がおよそ1/2が完了していることを示した。それ故に、MCPBAを更に0.65g添加し、前記反応混合物を一晩、撹拌した。追加の酸化剤を加えたこの反応の後に、NMR分析はオレフィンのエポキシドへの酸化が完了したことを示した。

【0143】
ピリジニウムスチレンスルホニルビス−トリフルオロメチルスルホニルメチドの合成

ビス−トリフルオロメチルスルホニルメタン、(CF3SO22CH2(コーシャーら、J.Org.Chem.、Vol.38、No.19(1973年)に記載されているように調製することができる)の2.4gを乾燥THF100mL中に溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、これに3Mのメチルマグネシウムクロリド(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニー製)5.8mLを約10分にわたって添加した。そして次に、また0℃で、この溶液を乾燥THF50mLにスチレンスルホニルクロリド1.74g及び乾燥ピリジン1.1gを溶かした溶液に添加した。得られた溶液を30分間撹拌し、次に、一晩、フリーザー内に貯蔵した。翌朝、溶剤を真空下で取り除き、得られた黄色の固体をCH3CNの50mLに溶解させた。アセトニトリルのこの溶液を濾過し、溶剤を回転式蒸発器を用いて取り除いて薄黄色の固体の5.66gを生じたが、それは所望の生成物であった。

【0144】
ペルフルオロブチルスルホニルビス−フェニルスルホニルメチドの合成

ビス−フェニルスルホニルメタン(アルドリッチケミカルカンパニー製)の5.0gを乾燥THF50mLのと乾燥ジエチルエーテル50mLとの混合物中に溶解させた。得られた溶液を0℃に冷却し、この溶液に3M MeMgCl(アルドリッチケミカルカンパニー製)の11.25mLを約10分にわたって添加した。次に、この溶液を0℃で1/2時間、その後に、室温で1/2時間撹拌し、次に、前記溶液にペルフルオロブチル スルホニルフルオリド5.10gを添加した。得られた溶液を72時間撹拌し、次に溶剤を真空を用いて取り除いて黄色の固体の8.46gを生じたが、それは所望の生成物と出発ビス−スルホンとの混合物であった。

【0145】
実施例1
カチオン硬化性モノマー混合物を室温で25gのUV9300エポキシ−シリコーン、75gのリモネン、及びGE9380C UV開始剤の3gを混合して調製した。高さH=4cmの混合物の抵抗は、方法IIを用いて測定すると10MΩの計測器の制限条件を超えていた。0.5pphのHQ−115の添加は抵抗を8.2MΩに減少させた(1.8μS/mの導電率)。次いで、付加的な0.5pphのHQ−115を前記混合物に添加して更に抵抗を5.5MΩに減少させた(2.7μS/mの導電率)。HQ−115の付加的な量を前記混合物に添加し、添加された全量を3.5pphにした。抵抗は更に約893kΩに減少した(16.6μS/mの導電率)。この混合物の導電率は、HQ−115の3.5pph を添加後に電気吹付け可能な溶液のために最も望ましい範囲にある。UV光(300W/インチ(11.8kW/m)フージョンH−バルブ、100fpm(30.5m/分)で1パス)に露光するとき、前記混合物は重合して硬化装置を出るときに剥離塗料を形成する。
【0146】
この混合物に関する1つの制限条件は、前記溶液の貯蔵寿命である。暗所に貯蔵されるときでも、前記溶液の粘度はゆっくりと増加した。従って、HQ−115を用いるとき、小さいバッチだけを混合するか、または前記光開始剤を別に供給する(例えば、前記組成物を適用する前にウエブ上に同時吹付けまたは置いた)または塗布する直前に溶液中に計量しながら供給することが勧められる。
【0147】
実施例2
同じモノマー混合物を実施例1に記載したのと同様に(HQ−115を添加する前に)調製した。0.5pphのNaTFPBをエポキシシリコーン/リモネン混合物に添加するとき、方法IIを用いて、抵抗が439kΩに減少し(34μS/mの導電率)。3pphのGE9380C開始剤を添加するとき更に抵抗が141kΩに低減した(105μS/mの導電率)。この試料は一晩で粘度を増大させることはなく、UV光に露光したとき重合して剥離塗料を形成した。
【0148】
実施例3
実施例2に記載した組成物を0.2pphのNaTFPBを0.5pphの代わりに用いて調製した。この組成物は、方法Iに従って測定すると28μS/mの導電率を有した。前記組成物を単一の、ナンバー24のステンレス鋼製生物医学用ピペット針、1.25mmID、2.15mmOD(ニューヨーク州、ニューハイドパークのポッパーアンドサンズインク製)から電気吹付けした。その液体流出端が金属板の下に8ミリ突き出るように、この針を直径19.1mmの穴の中心を通して金属板に挿入した。前記金属板は、針の先端の11cmかに置かれた第2の接地金属板と同様に接地電位に保持した。前記試料を好適な容器(蓋付きガラスジャー)中に置き、ポンプ(MasterflexTM100RPMポンプドライブモデル7530−35、MicropumpTMモデル07002−25ポンプヘッド、共にイリノイ州、シカゴのコールパーマーインストルメントカンパニー製)で汲み出し、セミフレキシブルナイロン6/6チュービング2.44mmID、3.18mmOD、0.38mm壁(及びイリノイ州、エルムハーストのマクマスター−カーサプライカンパニー製の好適なフィッティング)の5.2mの長さに沿って前記針を移動させた。高電圧を負電源(ニュージャージー州、ホワイトステーションのグラスマンハイボルテージインク製のモデルPS/WG−20N15−DM)を用いて前記針と前記接地板との間に適用した。毎分136マイクロリットルの流れ速度(毎時間8160マイクロリットル)及び−4kVの電位で、針の先端に安定した円錐体及びフィラメントにおいて観察されるように、安定した電気吹付けが得られた。導電率及び流れ速度の両方が代表的な電気吹付けプロセスの導電率及び流れ速度に一致していた(例えば、米国特許第4,748,043号、実施例2)。
【0149】
実施例4
試料を20gのDDVE、12gのDVE−3、及び0.44gのHQ−115を室温で混合することによって調製した。方法IIを用いて抵抗は469kΩ(32μS/mの導電率)であったのに対し、HQ−115がない場合、抵抗は機器の制限条件の10MΩを超えた。
【0150】
0.64gのGE9380C開始剤を添加したとき抵抗が121kΩに減少した(123μS/mの導電率)。次に、試料をポリエステルライナー上に塗布し、300W/インチ(11.8kW/m)フュージョンH−バルブ下で75fpm(22.9m/分)で1回通過させて重合させた。
【0151】
実施例5
この例は、DDSA(カチオン重合のための熱開始剤)をGE9380C UV開始剤の代わりに用いて、実施例4に記載したように調製した。方法IIを用いて、抵抗は251kΩであった(59μS/mの導電率)。この試料を熱硬化させることができる。
【0152】
実施例6
これらの試料は、エポキシ(Araldite RD−1)、オレフィン(リモネン)、及びビニルエーテル(CHVE)など、カチオン硬化性モノマー中の異なった塩の有効性について明らかにする。前記試料は、本発明の塩を用いてモノマーの導電率を変化させることができることについて明らかにする。Araldite RD−1より極性が小さいリモネンは、同様な塩濃度でのより低い導電率の値によって示されるように塩が解離するのにより望ましくない環境である。より極性の且つすでに導電性のAralditeをより容易に改良することができる。
【0153】
前記塩は好ましくは最小のプロトンまたはルイス酸性度を有し、さもなければそれらは、例えば、CHVEと組合せたHQ−115など、より反応性のモノマーと時期尚早に重合することがある。前記試料の電流は、方法IIIを用いてマイクロアンペア(μA)単位で測定した。
【0154】



【0155】
この発明の種々の修正および変更がこの発明の範囲と精神から外れることなく実施できることは、当業者には明白であろう。この発明は、ここに示した具体的な実施例によって不当に制限するものでないと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 水素カチオンと、
b) 以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II中、一方のXが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)R からなる群から選択され、
Rがアルキル、シクロアルキル、アラルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、及び
Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルを含む]の1つを有するアニオンと、を含む化合物。
【請求項2】
前記Rが重合性スチレニル部分を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記アニオンが、

からなる群から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
a) カチオンと、
b) 以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II中、一方のXが−SO2R、−C(O)R、−SO2Rf、及び−C(O)Rfからなる群から選択され、他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)Rからなる群から選択され、
Rが、骨格炭素鎖が二価の酸素、三価の窒素、または二価の硫黄の1個以上に割り込まれているアルキル、シクロアルキル、アラルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、
Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルを含む]の1つを有するアニオンと、を含む化合物。
【請求項5】
前記骨格炭素鎖が二価の酸素に割り込まれている請求項4に記載の化合物。
【請求項6】

からなる群から選択される請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
a) カチオンと、
b) 以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II中、一方のXが−SO2R、−C(O)R、−SO2Rf、及び−C(O)Rf からなる群から選択され、他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)R からなる群から選択され、
Rが非過フッ素化重合性部分を含み、
Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルを含む]の1つを有するアニオンと、を含む化合物。
【請求項8】
前記重合性部分がビニルまたはエポキシから選択される請求項7に記載の化合物。
【請求項9】

からなる群から選択される請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
a) カチオンと、
b) 以下の式:

[式I中、Xが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
式II中、一方のXが−SO2R、−C(O)R、−SO2Rf、及び−C(O)Rfからなる群から選択され、他方のXがH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、−SO2R、及び−C(O)Rからなる群から選択され、
Rが重合性部分を含み、
Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルを含む]の1つを有するアニオンと、を含む反応性化合物の反応生成物を含む化学物質。
【請求項11】

[式中、Rが、任意に骨格ヘテロ原子を含むと共に任意に重合性部分を含むアルキル、シクロアルキル、アラルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールからなる群から選択され、
Rfがフッ素、または任意に骨格ヘテロ原子を含むと共に任意に重合性部分を含む少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルである]からなる群から選択されるアニオン化学物質。
【請求項12】
a) 水素カチオンと、
b) 以下の式:

[式中、一方のXが−SO2Rf及び−C(O)Rfからなる群から選択され、他方のXが−SO2R及び−C(O)Rからなる群から選択され、
Rが少なくとも5個の炭素を有する非ハロゲン化アルキル、少なくとも5個の炭素を有する非ハロゲン化シクロアルキル、非ハロゲン化アラルキル、非ハロゲン化置換アルキル、非ハロゲン化アリール及び非ハロゲン化置換アリールからなる群から選択され、
Rfがフッ素または少なくとも1個の炭素原子を含有する一価のフッ素化ラジカルである]を有するアニオンと、を含む化合物。

【公開番号】特開2008−138008(P2008−138008A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1950(P2008−1950)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【分割の表示】特願平10−548024の分割
【原出願日】平成9年9月25日(1997.9.25)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】