説明

フマギロール型化合物並びにその製造方法及び使用方法

本開示は、フマギロール型化合物及び肥満のような医学的疾患の治療におけるその使用を提供する。医薬組成物及び、例えば、肥満の治療における使用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への参照
本出願は、その全体が参照により本出願に組み込まれる、2010年1月8日に出願した米国仮特許出願、出願番号61/293,318の優先権及び利益を主張する。
【0002】
世界中で11億人以上の人々が、体重過多であると報告されている。肥満は、米国だけで9000万人以上の人々に影響を与えていると推定されている。20歳を超えた25パーセントの米国国民は、臨床的には、肥満と見られている。体重過多もしくは太りすぎになると問題(たとえば、移動の制限、映画館や飛行機の座席などの狭い空間での不快感、社会的不便さなど)が発生し、とくに医学的肥満においては、その状態が他の健康面に、すなわち、その体重過多もしくは肥満状態が助長する、悪化させる、または誘発する疾患もしくは他の有害な健康状態に、影響を及ぼす。米国では肥満が関連する死亡は、毎年30万以上と推定されている(O’Brien et al. Amer J Surgery (2002) 184:4S−8S;およびHill et al. (1998) Science, 280: 1371)。
【0003】
体重過多もしくは太り過ぎになった場合に根治治療はないのである。たとえば、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを防ぐ薬剤、ノルアドレナリンの再摂取阻害剤、選択的セロトニン再摂取阻害剤、腸リパーゼ阻害剤または胃をホッチキスで止めたり、胃を縛ったりの外科手術などの、体重過多もしくは太り過ぎの患者に対する伝統的な療法は、最少の短期の恩恵またはきつい確率の再発をもたらしてきたことを見せてきている。そしてさらには、患者への有害な副作用も露呈している。
【0004】
MetAP2は、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素等のある新しい翻訳タンパク質由来のアミノ末端メチオニン残基を酵素的に除去することによって少なくとも一部で機能するタンパク質をコードしている(Warder et al. (2008) J Proteome Res 7:4807)。そのMetAP2遺伝子を多く眼にするようになったことは、歴史的に、がんにいろいろな形で関与していることがわかってきたからである。MetAP2の酵素的活性を阻害する分子が識別され、そしていろいろな腫瘍型(Wang et al., (2003) Cancer Res 63:7861)および微胞子虫症、リーシュマニア症、そしてマラリア等の感染症(Zhang et al., (2002) J Biomed Sci.9:34)への治療でのそれらの分子の利用法が探索され続けてきた。とりわけ、肥満のそして肥満性糖尿病の動物でのMetAP2活性を阻害することは、脂肪の酸化を増加させることによりそして食物の摂取を減少させることにより、ある程度の体重の減少に結びつく(Rupnick et al., (2002) Proc Natl Acad Sci USA 99: 10730)。
【0005】
このようなMetAP2阻害剤は、過度の脂肪過多症を患う患者、そして2型糖尿病、肝臓脂肪症そして心臓血管疾患を含む脂肪過多症に関連ある状態にある患者にとってまた有効かもしれない(たとえば、インスリン耐性の改善、肝臓脂質容量の減量そして心臓負荷の軽減を介して)。したがって、MetAP2を調節できる化合物は、肥満症やその関連疾患だけでなくMetAP2変調治療に有利に応答して他の病気の治療に取り組む必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、例えば、MetAP2の調節剤であり得る化合物、その薬剤としての使用、その製造方法、それを有効成分として単独で又は他の剤と組み合わせて含む医薬組成物、その医薬としての使用及びヒトのような温血動物内でのMetAP2活性の阻害に用いられる医薬の製造のための使用を提供する。特に、本発明は、肥満、2型糖尿病及び他の肥満関連状態の治療に有用な化合物に関する。また、少なくとも1つの開示された化合物と薬剤的に許容できる担体とを含む医薬組成物も提供される。
【0007】
1つの実施形態において、
【化1】


で表される化合物並びにその薬剤的に許容できる塩及び/又は立体異性体が提供される。また、開示された化合物の有効量を、必要とする患者に投与することを含む、肥満の治療方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、化合物Aを経口投与したマウスモデルにおける7日間の体重減少を示す。脚注の数字は、第8日(すなわち、投与7日後)の関連する対照との差の百分率を示す。データは、調整平均(n=10)である。SEMSは統計学的モデルの残渣から算出する。データは第1日における体重を共変量としてANCOVAにより解析した。
【図2】図2は、化合物Aを3 mg/kgの投与量で7日間経口投与したマウスモデルにおける効果を示す。
【図3】図3は、3 mg/kgの投与量で3つの化合物を投与したマウスモデルにおける体重減少を比較して示す。
【図4】図4は、図3のマウスモデルにおいて、化合物を投与後の睾丸バイオマーカーの濃度を示し、化合物Aが睾丸組織に利用されないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の特徴や他の細部をより詳しく記載する。本発明のさらなる記述に入る前に、本明細書、例示、そして添えられた請求項に使われている特定用語をここに集めている。これらの定義は、本開示の残りに照らして読み、当業者であれば理解されるはずである。他に定義されていない場合は、本明細書中で用いられる技術的および科学的用語すべては、当業者により共通して理解されているものと同一の意味を有する。
定義
【0010】
用語「治療する」とは、ある状態、病気、異常などに改善をもたらし、たとえばそれらを和らげる、少なくする、調子を変えるまたは取り除くなどのいかなる効果も包含する。
【0011】
用語「薬剤的又は薬理学的に許容できる」とは、必要に応じて動物またはヒトに投与したときに不都合、アレルギーまたは他の有害反応を発生することのない分子的実体や組成物を包含する。ヒト投与の場合、製品は米国食品医薬品局(FDA)の生物学的水準によって要求される無菌性、発熱性、一般的安全性、純度水準に満たさなければならない。
【0012】
本明細書に使用される用語「薬剤的に許容できる担体」や「薬剤的に許容できる賦形剤」とは、薬剤投与に対応する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、等張剤、吸収遅延剤などに対して使われる。このような薬剤作用物質のための溶剤そして薬剤の使用は、当技術分野で周知である。その組成物とは、補助的な、付加的な、そして機能強化された治療作用をもたらす他の活性化合物も含めることができる。
【0013】
本明細書に使用される用語「医薬組成物」とは、一つ以上の薬剤的に許容できる担体とともに製剤化された本明細書に開示された少なくとも一つの化合物を含む組成物をいう。
【0014】
「個体」、「患者」、または「対象者」は、互換的に使用し、そしてそれには哺乳類を含めたあらゆる動物、好ましくはマウス、ラット、そしてそのほかの齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、もしくは霊長類、そしてさらに好ましくはヒトも含まれる。本発明の化合物は、ヒトなどの哺乳類に投与できる、けれどもたとえばイヌやネコなどの愛玩動物、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなどの家畜、そしてラット、マウス、モルモットなどの実験動物で獣医学的治療を必要としているほかの哺乳類にも投与することができる。本発明の方法で治療する哺乳類は、太り過ぎの治療または減量を望む哺乳類にうってつけである。「調節すること」とは、たとえば抑制を意味する拮抗作用、作動性、部分拮抗作用及び/又は部分的作動性を含む。
【0015】
本明細書では、用語「治療に効果的な量」とは、研究者、獣医師、医師または臨床医師が探求している体組織、体構造、動物そしてヒトにおいて生物学的もしくは医学的応答を顕在化するであろう対象化合物の用量を意味する。本発明の化合物は、疾病を治療するために治療面で効果のある用量を投与する。あるいは、化合物の治療的に効果のある用量とは、たとえば減量をもたらす用量という、望ましい治療的及び/又は予防的効果を達成するのに必要な量のことである。
【0016】
本明細書に使用する用語「薬剤的に許容できる塩(複数可)」とは、本組成物に使われている化合物に存在する酸類または塩基類の塩を言う。本来は塩基性である本組成物に含まれる化合物は、いろいろな無機酸や有機酸を使って多岐にわたる塩を形成できる。このような塩基性化合物の薬剤として許容できる酸付加塩を作製するのに使うことのできる酸は、たとえば薬理学的に容認可能な陰イオンを含む塩である無毒酸付加塩を形成したものである。その無毒付加塩には以下のものが挙げられるが、限定されない:リンゴ酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩そしてp−トルエンスルホン酸塩。
【0017】
本開示の化合物は、一つ以上のキラル中心及び/又は二重結合を含むことができ、そしてそれゆえたとえば幾何異性体、光学異性体またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在できる。本明細書に使用した時の用語「立体異性体」は、幾何異性体、光学異性体またはジアステレオマーのすべてから構成される。これらの化合物は、立体炭素原子の周囲の置換基の構造によって、記号「R」または「S」で指名できる。本発明は、これらの化合物の多様な立体異性体とそれらの混合物を包含する。立体異性体は、光学異性体とジアステレオマーを含む。光学異性体とジアステレオマーの混合物は、用語に(±)を指名できるかもしれないが、しかし当業者にとって構造はそれとなくキラル中心を意味するかもしれないということは認めるであろう。
【0018】
本開示の化合物は、一つ以上のキラル中心及び/又は二重結合を含むことができ、そしてそれゆえ幾何異性体、光学異性体またはジアステレオマーとして存在できる。光学異性体とジアステレオマーは、立体炭素原子の周囲の置換基の構造によって、記号「(+)」、「(−)」、「R」または「S」を指名できるかもしれない、しかし当業者にとって構造はそれとなくキラル中心を意味するかもしれないということは認めるであろう。炭素−炭素二重結合の周囲の置換基の配置もしくはシクロアルキルまたは複素環の周囲の置換基の配置に起因する、幾何異性体は、本発明の化合物にも存在するはずである。記号「」は、本明細書に記載してあるように、単結合、二重結合、または三重結合であり得る結合を表す。炭素−炭素二重結合の周囲の置換基は、「Z」または「E」構造にあるとして指名され、このうち、用語「Z」と「E」は、生化学命名法委員会(IUPAC)基準に則り、使用されている。他に明記されていない場合は、二重結合を表す構造は「Z」異性体と「E」異性体の両方を含む。炭素−炭素二重結合の周囲の置換基は、「cis」または「trans」と称され、このうち、「cis」は二重結合の同一側面の置換基を表し、そして「trans」は二重結合の反対側面の置換基を表している。炭素環の周囲の置換基の配置は、「cis」または「trans」としても指定できる。用語「cis」は、環平面の同一側面の置換基を表し、そして用語「trans」は、環平面の反対側面の置換基を表している。置換基が環平面の同一側面上そして反対側面上に位置している、化合物の混合物は、「cis/trans」を指名する。
【0019】
本明細書に使用する場合の用語「立体異性体」は、幾何異性体、光学異性体またはジアステレオマーのすべてから構成される。本発明は、これらの化合物の多様な立体異性体と、そしてその混合物も包含する。
【0020】
本発明の化合物の光学異性体とジアステレオマーのそれぞれは、不斉中心または立体中心を含む市販の出発材料から合成的に作製できるか、またはラセミ混合物の作製、続いて、当業者にとっての公知の分割方法によって作製できる。これらの分割方法は、以下に例示する。(1)光学異性体の混合物をキラル補助基に添付し、そのキラル補助基から光学的純粋製品の再結晶法またはクロマトグラフィー分析法および単体分離法によって得られたジアステレオマー混合物の分離による、(2)光学的活性分割剤を使う塩生成による、(3)キラル液体クロマトグラフィーカラムでの光学的に光学異性体混合物の直接分離による、または(4)立体選択的化学試薬または酵素試薬を使った動的分割による、方法。ラセミ混合物はまた、公知の方法によってその混合物の成分光学異性体に分割させることができる。その公知の方法とは、キラル相ガスクロマトグラフィーまたはキラル溶媒中での該化合物の結晶法がある。単一反応が、新しい立体中心を作製中に、または既存の立体中心を変換中に立体異性体の不等混合物を形成する化学的反応または酵素的反応である、立体選択的合成法は、当技術分野で公知である。その立体選択的合成法には、「エナンチオ選択的」そして「ジアステレオ選択的」の両方の立体選択的変換を包含する。たとえば、Carreira and Kvaerno, Classics in Stereoselective Synthesis, Wiley− VCH: Weinheim, 2009を参照のこと。
【0021】
本明細書に使用する化合物は、水、エタノールなどの薬剤的に許容できる溶剤による溶媒和はもちろん非溶媒和の形態に存在でき、本発明は溶媒和形態と非溶媒和形態の両方を受諾することを目的としている。一実施形態において、該化合物は、非結晶物質である。一実施形態において、該化合物は、多形体物質である。別の実施形態において、該化合物は、結晶性形状形態に存在する。
【0022】
本発明は、一つ以上の原子が自然界に一般的に見られる原子量や質量数とは異なる原子量や質量数を有する原子によって代替されることを除いて、本明細書に列挙したものと完全に一致している本発明の同位体としてラベル表示された化合物も容認する。本発明の化合物に組み込むことができる同位元素の例としては、たとえばH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、そして36Clなどの、それぞれ、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素そして塩素の同位元素が挙がる。たとえば、本発明の化合物は、重水素に取って代わる一つ以上の水素原子を有しているかもしれない。
【0023】
そしてある同位体標識した開示化合物(例えば、Hおよび14Cで標識した化合物)は、化合物組織分布アッセイ及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム(すなわちH)同位元素と炭素14(すなわち14C)同位元素は、制作のしやすさと検出能で特に好ましい。さらに、たとえば重水素(すなわちH)などのより重い同位元素による置換が、より大きな代謝的安定性(たとえばインビボでの半減期の増加もしくは必要用量の減少)をもたらすある治療上の利点をもたらすかもしれない。本発明の同位元素標識化合物は、同位体元素標識試薬を非同位体元素標識試薬の代わりにすることによって本明細書に記載された例として開示されたものに類似している後述の手続きによって、普通に作製することができる。
【0024】
ある実施形態において、本開示は、
【化2】


(化合物A)
で表される化合物とその薬剤的に許容できるその塩及び/又はその立体異性体を提供する。
【0025】
本開示の別の局面は、MetAP2の活性を調節する方法を提供することである。その方法とは、前述のレセプターを本明細書に記された化合物に触れさせることを含む。MetAP2を調節したり、抑えたりするために本明細書に記された化合物の活性は、当業界に公知の及び/又は本明細書に記された手続きによって評価することができる。本発明の別の局面は、患者においてMetAP2の発現または活性が関与する疾病を治療する方法を提供する。たとえば、予定される方法としは、たとえば患者に血管形成を減少するために不適格な量で開示された化合物を投与することによって、患者のチオレドキシン生産量を増加させるのに十分な細胞内MetAP2の抑制を達成するため、そして対象の肥満解消工程の多臓器刺激を生じさせるために、十分な用量の開示化合物を投与することが挙げられる。
【0026】
ある実施形態において、開示されたものは、効果的な量の開示化合物を投与することによって患者の肥満を治療及び/又は改善する方法を提供する。本明細書に記されたその提供物はまた、患者の必要に応じて、減量を促すための方法でもある。
【0027】
別の予定される治療法としては、対象者に開示化合物を投与することによって肥満関連状態または併存疾患を治療または改善する方法を含む。たとえば本明細書に記されたその予定のものとしては、患者の必要に応じて、2型糖尿病を治療するための方法である。
【0028】
開示化合物で治療できる例示される併存疾患または他の疾患は、心疾患、内分泌障害、呼吸器疾患、肝疾患、骨障害、精神疾患、代謝性疾患、代謝性疾患そして繁殖障害を挙げる。
【0029】
例示される心疾患は、高血圧症、異常脂質血症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、心臓発作、静脈血栓塞栓症そして肺高血圧症を挙げる。例示される内分泌障害は、成人における2型糖尿病そして潜在自己免疫性糖尿病を挙げる。例示される呼吸器疾患は、肥満低換気症候群、ぜんそくそして閉塞性睡眠時無呼吸を挙げる。例示される肝疾患は、非アルコール性脂肪肝疾患を挙げる。例示される骨障害は、背痛そして体重を支える関節の骨関節症を挙げる。例示される代謝性疾患は、プラダーウィリ症候群そして多嚢胞性卵巣症候群を挙げる。例示される繁殖障害は、性機能障害、勃起障害、不妊症、産科合併症そして胎児異常を挙げる。例示される精神疾患は、体重関連うつ病そして不安神経症を挙げる。
【0030】
特に、ある実施形態において、開示される物は、本明細書に記された、治療効果のある用量の化合物を対象の必要に応じて投与することを含む前記の医療適応症を治療する方法を提供する。
【0031】
肥満または「太り過ぎ」との言及は、脂肪のない体に比べての脂肪過多をいう。過剰な脂肪蓄積は、脂肪組織細胞の数の増加(過形成)はもちろんサイズの増大(肥大)にも関連する。肥満とは、絶体体重、体重:身長比、皮下脂肪の配分そして社会的基準や美的基準の観点からいろいろ判断される。体脂肪の一般的基準は、肥満度指数(BMI)である。BMIは、身長(mで表示)の二乗に対する体重(kgで表示)の比で示される。肥満度指数は以下の2式のいずれかを使って正しく計算できる。
体重(kg)÷身長の二乗(m)(国際基準)または
703×体重(ポンド)÷身長の二乗(in)(米国基準)
【0032】
米国疾病対策センター(CDC)によると、太り過ぎ成人は25 kg/mから29.9 kg/mのBMI値であり、そして肥満成人は30 kg/m以上のBMI値である。40 kg/m以上のBMI値は病的肥満または極度の肥満と示している。また、肥満は、腰周りが約102cmの男性で、約88cmの女性で病人と言われる。子どもの場合、太り過ぎと肥満の定義は、体脂肪における年齢と男女の影響を考慮する。遺伝的背景が異なる患者では、一般的指針とは異なる水準か、それ以上で「肥満」と見なすことができる。
【0033】
開示された化合物はまた、たとえば左心室肥大の危険性を減ずるという、肥満の二次的結果の危険性に対して有用であることができる。たとえば約25kg/mと30kg/mの間のBMI値で、肥満ではなく、太り過ぎである患者などの肥満の危険性のある患者を治療する方法もまた、考えられている。ある実施形態において、患者はヒトである。
【0034】
過剰な脂肪は、選択的に体のあちこちに溜まり、そして脂肪組織の進行は体のいろいろな部分で健康に危険さをもたらす可能性があるという事実にまでは、BMI値は言及していない。たとえば「リンゴ型」体型と一般的に関連する「中心性肥満」は、特に腹部に、脂肪や内臓脂肪過剰を含む過度の脂肪過多をもたらし、そして「末端肥満」に比べて併存疾患においてより高い危険性をはらんでいる。なお、「末端肥満」とは、臀部に特に過度の脂肪過剰をもたらす「西洋ナシ型」体型と一般的に関連したものである。ウエストヒップ比(WHR)の測定は、中心性肥満の指標として使うことができる。中心性肥満を示す最少WHR値は、いろいろに決められており、成人の中心性肥満の場合、WHR値は女性が約0.85以上、男性は約0.9以上が一般的である。
【0035】
対象者が太り過ぎか肥満化かを決定するという方法は、脂肪のない体と過度の脂肪過多組織の比率を説明することであり、対象者の身体組成を得ることが含まれる。身体組成は、たとえば腹部、肩甲下部、腕、臀部そして大腿部などの、体の複数の場所で皮下脂肪の厚さを測ることによって得られる。さらにそれらの測定値は、約4%の誤差の範囲で体脂肪を見積もるのに使用できる。別の方法では、生体電気インピーダンス分析法(BIA)があり、同方法は体の中を流れる電流の抵抗を使って体脂肪を見積もるのである。さらに別の方法では、大きな水タンクを使って体の浮力を測る方法である。体脂肪が増加すればより大きな浮力をもたらし、一方、筋肉量がより増えれば沈む傾向を示す。
【0036】
別の局面において、本開示は、太り過ぎ対象者または肥満対象者を治療する方法を提供する。そのことには、対象者における太り過ぎまたは肥満に関係する少なくとも一つの生物指標の基準を決定し、そして開示した化合物の効果的な用量を投与して対象者における標的基準を達成することである。例となる生物指標としては、体重、肥満度指数(BMI)、ウエストヒップ比(WHR)、血漿アディポカインそしてこれらの二つ以上の組み合わせを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、化合物Aは、特定の生物組織に利用できないかもしれず、これは、より少ない副作用をもたらし得る(例えば、睾丸のような他の組織の関与がごく少なくまたは皆無となる)。たとえばいくつかの実施形態において、化合物Aは、投与されると、他のMetAp−2阻害剤(例えばフマギロール化合物(i)や
【化2】


(化合物(ii))のようなフマギロール誘導体)と比較して、男性患者の睾丸中における濃度が有意に低くなり得る。
【0038】
本発明の化合物は、治療を必要としている患者(動物(例えばネコ、イヌ及び/又は他のペット動物又はヒト)に、最善の薬効を提供するであろう投与量で投与することができる。あらゆる特定の適用に用いることが必要な投与量は、選択される特定の化合物又は組成物のみならず、投与経路、治療される状態の本質、患者の年齢及び状態、併用される薬剤、患者が引き続き行う特定の食事制限、並びに当業者が認めるであろう他の因子によっても、患者毎に異なることが理解されるであろう。適切な投与量は、究極的には、担当医の裁量により決定される。上記の臨床状態及び疾病を治療するために、本発明の化合物は、経口的、皮下的、局所的、非経口的、吸入スプレーにより、又は直腸的に、従来の無毒な薬剤的に許容できる担体、アジュバント及び賦形剤を含む単位用量製剤として投与することができる。非経口投与は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射又は点滴を包含し得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、化合物Aまたはその塩は、経口投与されたとき、別のフマギロール誘導体、たとえば6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールと比べて、約二倍、または約三倍(または以上)、より効き目がある。
【0040】
治療は所望により、長くまたは短く続けることができる。組成物は、たとえば一日あたり、一回から4回もしくはそれ以上の治療計画で投与できる。適当な投薬期間は、たとえば少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約1年間、または無期限にすることもできる。治療期間は、望みどおりの成果が、たとえば減量目的などが達成されたときは、終了できる。治療計画は、体重の減少を与えるのに十分な投与量で投与する修正期と、それに続く、例えば体重増加に十分なより低い投与量で投与する維持期を含むことができる。適切な維持投与量は、ここに記載する投与量範囲内の下部中に見出され易いが、修正及び維持投与量は、ここでの開示に基づき、個々の対象について、当業者が過度の実験なしに容易に確立することができる。維持投与量は、食事制限及び運動、バイパスや結紮手術のような肥満学的手法、又は他の薬剤を用いた治療を包含する他の手段により予め体重が制御されている対象の体重を維持するために採用することができる。
【0041】
本開示の別の局面は、薬剤的に許容できる担体とともに製剤化された本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を提供する。特に、本開示は、一つ以上の薬剤的に許容できる担体とともに製剤化された本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を提供する。これらの処方設計は、経口の、直腸の、局所の、ほおの、非経口の(例えば、皮下、筋肉内、皮内、静脈内)、直腸の、膣のそして噴霧の投与に最適の方法が挙げるが、任意に得られた場合の投与の最も適切な形は、使われる特別な化合物の性質および治療された状態の程度そして重篤度によって決まる。たとえば開示された組成物は、単位用量として製剤化され、及び/又は経口投与または皮下投与を製剤化することができる。
【0042】
本発明の例示される医薬組成物は、医薬品の形状、たとえば固形物、半固形物または液体物であったり、本発明の一つ以上の化合物を有効成分として含んでいたり、有機担体または無機担体による混合剤もしくは外用、腸用、非経口用に最適な賦形剤であったりして使用されうる。有効成分は、たとえば錠剤、丸薬、カプセル剤、坐薬、液剤、乳剤、懸濁液そしてその使用に合致する任意の形状での通常の無毒性の薬剤的に許容できる担体で混合されうる。有効目的化合物には、疾病の経過または状態において所望の効果を生み出すために最適の用量で医薬組成物を使うことが含まれる。
【0043】
たとえば錠剤などの固形組成物を作成するために、主要な有効成分は、たとえばコーンスターチ、乳糖、蔗糖、ソルビトール、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウムまたはゴム、そしてたとえば水などの他の医薬希釈剤などの伝統の錠剤成形材料である医薬担体と混合し、本発明の化合物の均一混合物を含む固形予備処方組成物またはその無毒性の薬剤的に許容できる塩を形成することができる。これらの予備処方組成物を均一なものと考えたとき、有効成分を組成物内に均一に分散するようにしたので、その結果、錠剤、丸薬そしてカプセルなどの均一で有効な単位用量形状に容易に細分できるように意図される。
【0044】
経口投与のための固体剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉剤、顆粒など)において、対象組成物は一つ以上の薬剤的に許容できる担体、たとえばクエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム及び/又は次のいずれかで混合される:(1)デンプン、乳糖(ラクトース)、蔗糖、ブドウ糖、マンニトール及び/又はケイ酸などの充てん剤または増量剤、(2)たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖及び/又はアカシアなどの結合剤、(3)グリセロールなどの保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ポテトでんぷんまたはタピオカでんぷん、アルギン酸、ある種のケイ酸塩そして炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶液緩染剤、(6)第4アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)たとえばアセチルアルコールそしてグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、(8)陶土そしてベントナイト粘土などの吸収剤、(9)滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムそしてそれらの混合物などの滑剤、そして(10)着色剤。カプセル、錠剤そして丸薬の場合、組成物はまた、緩衝剤も含むことができる。同一型の固体組成物はまた、高分子量ポリエチレングリコールなど同様、乳糖(ラクトース)または乳糖などの賦形剤として使われる軟ゼラチンカプセル剤そして硬ゼラチンカプセル剤での充てん剤として使うことができる。
【0045】
錠剤は、圧縮または成型で、任意に一つ以上の副成分で作製できる。圧縮錠剤は、バインダー(たとえばゼラチンまたはハイドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(たとえばグリコール酸でんぷんナトリウムまたは架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使って作成できる。成型錠剤、不活性液体希釈剤でぬらした対象組成物の混合物を適切な機械で成型することによって作製できる。錠剤そして糖衣錠、カプセル錠、丸薬そして顆粒などの他の固体剤形は、腸溶被覆剤そして製剤処方技術における公知の他の被覆剤などのコーティングそして殻で、任意に獲得あるいは調製することができる。
【0046】
吸入または吹き込むための組成物は、薬剤的に許容できる水性溶剤または有機溶剤、またはその混合物での溶液そして懸濁液、そして粉剤を含む。経口投与のための液体剤形は、薬剤的に許容できる乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁液、シロップ剤そしてエリキシル剤を含む。対象組成物に加えて、液体剤形は、たとえば水または他の溶剤、可溶化剤、乳化剤などの、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、そしてゴマ油)、グリセロール、テトラハイドロフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールそして脂肪酸エステル、シクロデキストリンそしてそれらの混合物などの、当業界では一般的に使用されてきた不活性希釈剤を含むことができる。
【0047】
対象組成物に加えて、懸濁液は、たとえばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天そしてトラガカントそしてそれらの混合物のような懸濁化剤を含むことができる。
【0048】
直腸内投与または膣内投与ための剤形は、坐薬として現れうる。その坐薬は、対象組成物を一つ以上の最適な無刺激性賦形剤または、たとえばココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬ろうまたはサリチル酸塩を含む担体と混合することによって作製することができ、そして常温で固体であり、しかし体温では液化し、そしてそれゆえ、体腔中では融解し、活性薬剤を放出するのである。
【0049】
対象組成物の経皮投与のための剤形は、粉剤、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム剤、水薬、ゲル剤、液剤、パッチ剤、吸入剤を含む。活性成分は、滅菌状態下で薬剤的に許容できる担体とそして任意の防腐剤、緩衝化剤、または要求されうる高圧ガスで混合させることができる。
【0050】
軟膏、のり、クリーム、そしてゲルは、対象組成物に加えて、動物性脂肪そして植物性脂肪、油、ろう、パラフィン、でんぷん、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、滑石そして酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含むことができる。
【0051】
粉剤そして噴霧剤は、対象組成物に加えて、乳糖、滑石、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムそしてポリアミド粉剤またはそれらの材料の混合物などの賦形剤を含むことができる。噴霧剤は、追加として、クロロフルオロ炭化水素などの例の高圧ガス、そしてブタンそしてプロパンなどの揮発性非置換炭化水素を含むことができる。
【0052】
本発明の組成物そして化合物は、もう一つの方法として、噴霧器で投与することができる。これは、その化合物を含む、水溶性エアロゾル、リポソーム製剤または固形微粒子を作って完成する。非水の(たとえばフロン系高圧ガス)懸濁液は、使うことができる。音響噴霧器は、薬剤をせん断にかけることをできるだけ少なくすることで、使うことができるようになり、そして対象組成物に含まれる化合物に分解をもたらすことができる。普通、水溶性エアロゾルは、伝統的に薬剤的に許容できる担体そして安定剤とともに対象組成物の水溶液または懸濁液を製剤化することで作られている。担体そして安定剤は、特別な対象組成物の必要条件に応じて異なるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Tweens、Pluronics、又はポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害なタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝剤、塩、糖または糖アルコールを含む。エアロゾルは一般的に等張溶液から調製される。
【0053】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、対象組成物を、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、意図されるレシピエントの血液により製剤を等張にする溶質、又は懸濁剤若しくは濃厚剤を含み得る、1種または複数の薬剤的に許容できる、滅菌等張水溶液若しくは非水溶液、分散液、懸濁液若しくは乳濁液、又は使用直前に滅菌された注射可能溶液若しくは分散剤に再構成することができる滅菌粉末と組み合わせて含む。
【0054】
本発明の医薬組成物を採用することができる適切な水性担体そして非水担体の例としては、水、エタノール、多価アルコール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、そして適切なその混合物、オリーブ油のような植物油、オレイン酸エチルそしてシクロデキストリンなどの注射用有機エステルを挙げる。適当な流動性は、たとえばレシチンなどのコーティング材の使用によって、分散の場合に要求された粒径を維持することによって、そして界面活性剤を使用することによって維持することができた。
【0055】
別の局面において、本発明は、開示された化合物、腸内物質そして薬剤的に許容できる担体そしてその賦形剤を含めて、腸の製剤処方を提供する。腸内物質は、胃の酸性環境で実質的に不溶な、そして特定のpH値での腸内の流動体中において大部分は可溶な、ポリマーに言及する。小腸とは、胃と大腸の間の消化管(内臓)の一部であり、そして十二指腸、空腸そして回腸を含む。十二指腸のpH値は約5.5、空腸のpH値は約6.5そして回腸のpH値は約7.5である。それに応じて、腸内物質は、たとえば約5.0のpH値まで、約5.2のpH値まで、約5.4のpH値まで、約5.6のpH値まで、約5.8のpH値まで、約6.0のpH値まで、約6.2のpH値まで、約6.4のpH値まで、約6.6のpH値まで、約6.8のpH値まで、約7.0のpH値まで、約7.2のpH値まで、約7.4のpH値まで、約7.6のpH値まで、約7.8のpH値まで、約8.0のpH値まで、約8.2のpH値まで、約8.4のpH値まで、約8.6のpH値まで、約8.8のpH値まで、約9.0のpH値まで、約9.2のpH値まで、約9.4のpH値まで、約9.6のpH値まで、約9.8のpH値まで、または約10.0のpH値まで、不溶性である。例示する腸内物質としては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・フタル酸エステル(HPMCP)、ポリビニル・アセテート・フタル酸エステル(PVAP)、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・アセテート・コハク酸エステル(HPMCAS)、セルロース・アセテート・トリメリット酸エステル、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース・コハク酸エステル、セルロース・アセテート・コハク酸エステル、セルロース・アセテート・ヘキサヒドロフタル酸エステル、セルロース・プロピオン酸・フタル酸エステル、セルロース・アセテート・マレイン酸エステル、セルロース・アセテート・酪酸エステル、セルロース・アセテート・プロピオン酸エステル、メチルメタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、アクリル酸メチル、メチルメタアクリル酸エステルそしてメタクリル酸の共重合体、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合体(Gantrez ESシリーズ)、エチル・メチルアクリル酸エステル−メチルメタクリル酸エステル−クロロトリメチルアンモニウム・エチル・アクリル酸エステル・共重合体、ゼインなどの天然樹脂、セラックとコーパル・コロフォリウム、そしていくつかの市販の腸分散系(例を挙げると、Eudragit L30D55, Eudragit FS30D, Eudragit L100, Eudragit S100, Kollicoat EMM30D, Estacryl 30D, Coateric, そして Aquateric)を挙げる。上記の物質それぞれの溶解度は、いずれも公知であり、インビトロで速やかに判定される。上記のものは、実行可能な物質のリストであるが、本開示の利益とともに当業者は、それが包括的でないこと、そして本発明の目的に合うであろう腸溶性物質は他にもあるということを受け入れることであろう。
【0056】
有利に、本発明はまた、たとえば減量を必要とする消費者の使用のためのキットを提供する。このキットには、上記などの適切な投薬形態そして炎症をとりなしたり、減少させたりそして防いだりするためのその投薬形態を使って本方法を記述してある取扱説明書が含まれる。その取扱説明書は、当業者により公知の投薬形態に準じた投薬方法で投薬する消費者または医療関係者を導くものである。そのキットは、単品または複数品として有利に梱包され、販売されている。このキットの見本は、いわゆるブリスター包装である。そのブリスター包装とは、包装会社では広く知られたものであり、そして医薬品の投薬形態の剤型(錠剤、カプセル剤など)として広範囲に使われている。ブリスター包装は一般的には、好ましくは透明のプラスチック材の薄膜で覆われた比較的硬い材質のシートから構成される。梱包工程中の動きのないときは、プラスチックの薄膜で覆われている。梱包中に凹地工程は、プラスチック薄膜に作成される。その凹地は包まれる錠剤またはカプセル剤のサイズそして形状になっている。次に、その錠剤またはカプセル剤は、凹地に置かれ、そして比較的硬い材質のシートは、凹地を形成した方向と反対の薄膜の表面にプラスチックの薄膜をあわせて密封する。その結果、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックの薄膜とシートの間の凹地に密封されるのである。好ましくは、シートの強さは、錠剤またはカプセル剤を手で凹地の上を強く押すことでブリスター包装から取り出せる程度であり、それによって開口部が凹地の位置のシートに形成される。錠剤またはカプセル剤は、それから、前述の開口部を介して取り出すことができる。
【0057】
キットに記憶補助、たとえば錠剤またはカプセル剤の隣りに数字の形で提供するのは望ましいかもしれない。それによって、その数字は、服用するべく特定された錠剤またはカプセル剤の投薬形態の数日間と一致する。そのような記憶補助の別の例としては、たとえば次のように、「第一週、月曜日、火曜日、…など、…、第二週、月曜日、火曜日、…」などをカード上に印刷されたカレンダーである。記憶補助の他の変形も、容易に明らかとなるであろう。「一日の服用量」は、所定の日にとるべき一個の錠剤またはカプセル剤もしくはいくつかの丸薬またはカプセル剤であるはずである。また、一つ目の化合物は、一日に一個の錠剤またはカプセル剤、一方二つ目の化合物は、一日に数個の錠剤またはカプセル剤からなるときがあるかもしれない。その逆の場合も同じ。だからこの記憶補助は、これに対応しなければならない。
【0058】
本明細書で考えられることは、第二の活発な医薬品またはその活発な医薬品を投与することを含めた方法と組成物である。たとえば、太り過ぎまたは肥満であることに加えて、対象者または患者が太り過ぎ関連または肥満関連の並存疾患、すなわち太り過ぎまたは肥満であることと関連して、太り過ぎまたは肥満であることによって悪化して、または太り過ぎまたは肥満であることを累積させて病気そして不都合な健康状態に陥ることがあるはずである。本明細書で考えられることは、これらの太り過ぎまたは肥満関連状態を治療するために以前から公表されている少なくとも一つのほかの医薬品と組み合わせて化合物を開示することである。
【0059】
たとえば、2型糖尿病は、肥満と関係があるとされている。2型糖尿病の特定の合併症、たとえば身体面で障害が起きたりそして若年死したりすること、は、減量を維持すれば、防いだり、改善したり、または排除したりすることができるのである(Astrup, A. Pub Health Nutr (2001) 4:499−5 15)。2型糖尿病を治療するために投与される医薬品は、スルホニル尿素(たとえば、クロルプロパミド、グリピジド(Glipizide)、グリブリド、グリメピリド(Glimepiride))、メグリチニド(meglitinide)(たとえばレパグリニド(Repaglinide)、そしてナテグリニド(Nateglinide))、ビグアニド(たとえば、メトホルミン(Metformin))、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン(Rosiglitazone)、トログリタゾン(Troglitazone)、そしてピオグリタゾン(Pioglitazone))、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤(たとえば、シタグリプチン(Sitagliptin)、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、そしてサクサグリプチン(Saxagliptin))、グルカゴン様ペプチド模倣剤(たとえば、エクセナチド(Exenatide)およびリラグルチド(Liraglutide))、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(たとえば、アカルボース(Acarbose)およびミグリトール(Miglitol))が挙げられる。
【0060】
心臓異常とその状態、たとえば高血圧症、異常脂質血症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、心臓発作、静脈血栓塞栓症そして肺高血圧症、は、太り過ぎまたは肥満と関連している。たとえば高血圧症は、その高血圧症がもたらす、腎臓に影響されて過剰な脂肪組織がある物質を分泌することから、肥満に結びつくのである。さらに、肥満によってインスリン生産量が、ほとんどの場合、高くなり(過剰な脂肪組織のために)、そしてこの過剰なインスリンがまた血圧を上げるのである。この高血圧症の大きな治療選択肢は、減量である。高血圧症を治療するために投与される医薬品は、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、ループ利尿薬(たとえばブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、ラシックス(Lasix)、そしてトルセミド(Torsemide))、カリウム保持性利尿薬(たとえば塩酸アミロリド、ベンザミル(benzamil)、スピロノラクトンそしてトリアムテレン)、末梢医薬(たとえばレセルピン)、中心アルファ作動薬(たとえば塩酸クロニジン、酢酸グアナベンズ、塩酸グアンファシン、そしてメチルドーパ)、アルファ遮断薬(たとえばメシル酸ドキサゾシン、塩酸プラゾシン、そして塩酸テラゾシン)、ベータ遮断薬(たとえばアセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ナドロール(Nadolol)、硫酸ペンブトロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロール、そしてマレイン酸チモロール)、混合アルファ−ベータ遮断薬(たとえばカルベジロールそして塩酸ラベタロール)、直接血管拡張薬(たとえば塩酸ヒドララジンそしてミノキシジル)、カルシウム拮抗薬(たとえば塩酸ジルチアゼムそして塩酸ベラパミル)、ジヒドロピリジン系(たとえばベシル酸アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピンそしてニソルジピン)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(たとえば塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、ホシノプリル(fosinopril)ナトリウム、リシノプリル、モエキシプリル(Moexipril)、塩酸キナプリル、ラミプリル(Ramipril)、そしてトランドラプリル(Trandolapril))、アンジオテンシンII受容体遮断薬(たとえばロサルタンカリウム、バルサルタン(Valsartan)そしてイルベサルタン(Irbesartan))、レニン阻害薬(たとえばアリスキレン(Aliskiren))、そしてそれらの混合物、を挙げる。これらの化合物は、この技術に精通したもの(当業者)による投与計画および用量によって投与される。
【0061】
Carr et al. (the Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism (2004) Vol.89, No. 6 2601−2607)は、太り過ぎまたは肥満と異常脂質血症との間の関連について議論している。異常脂質血症は、通常はスタチンで治療している。HMG−CoA還元酵素阻害剤であるスタチンは、対象者においてコレステロールの産生を減らしていく、及び/又はそのコレステロールの堆積物が動脈内で剥がれ落ちてくる。スタチンは、以下のものを含む:メバスタチン(mevastatin)、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン(velostatin)、ジヒドロコンパクチン(dihydrocompactin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ダルバスタチン(dalvastatin)、カルバスタチン(carvastatin)、クリルバスタチン(crilvastatin)、ベバスタチン(bevastatin)、セフバスタチン(cefvastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)そしてグレンバスタチン(glenvastatin)。Eckel(Circulation (1997) 96:3248−3250)は、太り過ぎまたは肥満と虚血性心疾患との間の関連について議論している。虚血性心疾患を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:スタチン、硝酸エステル(たとえば硝酸イソソルビドそして一硝酸イソソルビド)、ベータ遮断薬、そしてカルシウム・チャンネル拮抗薬。これらの化合物は、この技術に精通したもの(当業者)による投与計画および用量によって投与される。
【0062】
Wong et al. (Nature Clinical Practice Cardiovascular Medicine (2007) 4:436− 443)は、太り過ぎまたは肥満と心筋症との間の関連について議論している。心筋症を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:変力薬(たとえばジゴキシン)、利尿薬(たとえばフロセミド)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬(たとえばソトロール(Sotolol)、アミオダロンそしてジソピラミド)、そしてベータ遮断薬。これらの化合物は、この技術に精通したもの(当業者)による投与計画および用量によって投与される。Yusef et al. (Lancet (2005) 366(9497): 1640−1649)は、太り過ぎまたは肥満と心筋梗塞との間の関連について議論している。心筋梗塞を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、直接血管拡張薬、ベータ遮断薬、抗不整脈薬そして血栓溶解薬(たとえばアルテプラーゼ、レタプラーゼ(Retaplase)、テネクテプラーゼ(Tenecteplase)、アニストレプラーゼ(Anistreplase)、そしてウロキナーゼ(Urokinase))。これらの化合物は、この技術に精通したもの(当業者)による投与計画および用量によって投与される。
【0063】
Suk et al. (Stroke (2003) 34: 1586− 1592)は、太り過ぎまたは肥満と心臓発作との間の関連について議論している。心臓発作を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:抗血小板薬(たとえばアスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、そしてチクロピジン)、抗血液凝固剤(たとえばヘパリン)、そして血栓溶解薬。Stein et al. (The American Journal of Medicine (2005) 18(9): 978−980)は、太り過ぎまたは肥満と静脈血栓塞栓症との間の関連について議論している。静脈血栓塞栓症を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:抗血小板薬、抗血液凝固剤、そして血栓溶解薬。Sztrymf et al. (Rev Pneumol Clin (2002) 58(II): 104−10)は、太り過ぎまたは肥満と肺高血圧症との間の関連について議論している。肺高血圧症を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:変力薬、抗血液凝固剤、利尿薬、カリウム(たとえばK−dur)、血管拡張薬(たとえばニフェジピンそしてジルチアゼム)、ボセンタン(Bosentan)、エポプロステノール(Epoprostenol)、シルデナフィル。肥満低換気症候群、ぜんそく、そして閉塞性睡眠時無呼吸などの呼吸器疾患そしてその状態は、太り過ぎまたは肥満になることと関連している。Elamin (Chest (2004) 125: 1972−1974)は、太り過ぎまたは肥満とぜんそくとの間の関連について議論している。ぜんそくを治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:気管支拡張薬、抗炎症薬、ロイコトリエン阻害薬、そして抗Ige剤(anti−Ige agent)。特にぜんそく薬は、以下のものを含む:ザフィルルカスト(Zafirlukast)、フルニソリド(Flunisolide)、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、テルブタリン、フルチカゾン、フォルモテロール、ベクロメタゾン、サルメテロール、テオフィリン、そしてゾペネックス(Xopenex)。
【0064】
Kessler et al. (Eur Respir J (1996) 9:787−794)は、太り過ぎまたは肥満と閉塞性睡眠時無呼吸との間の関連について議論している。閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:モダフィニルそしてアンフェタミン。
【0065】
非アルコール性脂肪肝疾患などの肝疾患とその状態は、太り過ぎまたは肥満と関連している。Tolman et al. (Ther Clin Risk Manag (2007) 6: 1153−1163)は、太り過ぎまたは肥満と非アルコール性脂肪肝疾患との間の関連について議論している。非アルコール性脂肪肝疾患を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:酸化防止薬(たとえばビタミンEそしてビタミンC)、インスリン抵抗性改善薬(たとえばメトホルミン、ピオグリタゾン(Pioglitazone)、ロシグリタゾン(Rosiglitazone)そしてベタイン)、肝臓保護薬、そして高脂血症治療薬。
【0066】
背痛そして体重を支える関節の骨関節症などの骨障害とその状態は、太り過ぎまたは肥満と関連しており、van Saase (J Rheumatol (1988) 15(7): 1152− 1158)は、太り過ぎまたは肥満と体重を支える関節の骨関節症との間の関連について議論している。体重を支える関節の骨関節症を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:アセトアミノフェン、非ステロイド抗炎症薬(たとえばイブプロフェン、エトドラク、オキサプロジン(Oxaprozin)、ナプロキセン、ジクロフェナク、そしてナブメトン(Nabumetone))、COX−2阻害剤(たとえばセレコクシブ)、ステロイド、追加(たとえばグルコサミンとコンドロイチン硫酸)、そして人工関節液。
【0067】
プラダーウィリ症候群そして多嚢胞性卵巣症候群などの代謝疾患とその状態は、太り過ぎまたは肥満と関連している。Cassidy (Journal of Medical Genetics (1997) 34:917−923)は、太り過ぎまたは肥満とプラダーウィリ症候群との間の関連について議論している。プラダーウィリ症候群を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:ヒト成長ホルモン(HGH)、ソマトロピン、そして減量治療薬(たとえばオルリスタット(Orlistat)、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン(Ionamin)、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン(benzphetermine)、そしてトパマックス(Topamax))。
【0068】
Hoeger (Obstetrics and Gynecology Clinics of North America (2001) 28(1):85− 97)は、太り過ぎまたは肥満と多嚢胞性卵巣症候群との間の関連について議論している。多嚢胞性卵巣症候群を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:インスリン抵抗性改善薬、合成エストロゲンとプロゲステロンの混合、スピロノラクトン、エフロルニチン、そしてクロミフェン。性機能障害、勃起障害、不妊症、産科合併症、そして胎児異常などの繁殖障害とその状態は、太り過ぎまたは肥満と関連している。Larsen et al. (Int J Obes (Lond) (2007) 8: 1189−1198)は、太り過ぎまたは肥満と性機能障害との間の関連について議論している。Chung et al. (Eur Urol (1999) 36(l):68−70)は、太り過ぎまたは肥満と勃起障害との間の関連について議論している。勃起障害を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:ホスホジエステラーゼ阻害薬(たとえばタダラフィル(Tadalafil)、クエン酸シルディナフィル、そしてバルデナフィル)、プロスタグランジンE類似体(たとえばアルプロスタジル)、アルカロイド(たとえばヨヒンビン)、そしてテストステロン。Pasquali et al. (Hum Reprod (1997) 1:82−87)は、太り過ぎまたは肥満と不妊症との間の関連について議論している。不妊症を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:クロミフェン、クエン酸クロミフェン、ブロモクリプチン、性腺刺激ホルモン−放出ホルモン(GnRH)、GnRH作動薬、GnRH拮抗薬、タモキシフェン/ノルバデックス(nolvadex)、ゴナドトロピン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、ヒト閉経(Menopausal)ゴナドトロピン(HmG)、プロゲステロン、組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)、尿性卵胞性刺激ホルモン、ヘパリン、ホリトロピンアルファ、そしてホリトロピンベータ。
【0069】
Weiss et al. (American Journal of Obstetrics and Gynecology (2004) 190(4): 1091−1097)は、太り過ぎまたは肥満と産科合併症との間の関連について議論している。産科合併症を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:塩酸ブピバカイン、ジノプロストン(Dinoprostone) PGE2、メペリジンHCl、Ferro−folic−500/iberet−folic−500、メペリジン、メチルエルゴノビン(Methylergonovine)マレイン酸エステル、ロピバカイン(Ropivacaine)HCl、ナルブフィンHCl、オキシモルホンHCl、オキシトシン、ジノプロストン(Dinoprostone)、リトドリン、臭化水素酸スコポラミン、クエン酸スフェンタニル(Sufentanil citrate)、そして分娩促進薬。
【0070】
体重関連うつ病そして不安神経症などの精神疾患とその状態は、太り過ぎまたは肥満と関連している。Dixson et al. (Arch Intern Med (2003) 163:2058−2065)は、太り過ぎまたは肥満とうつ病との間の関連について議論している。うつ病を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:セロトニンの再取り込み阻害薬(たとえばフルオキセチン、エスシタロプラム(Escitalopram)、シタロプラム、パロキセチン、セルトラリン、そしてベンラファクシン)、三環系抗うつ薬(たとえばアミトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、塩酸ドスレピン、ドクサピン、イミプラミン、イプリンドール(Iprindole)、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリン、そしてトリミプラミン)、モノアミン酸化酵素阻害薬(たとえばイソカルボキサジド、モクロベミド(Moclobemide)、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリン、ラサギリン(Rasagiline)、ニアラミド、イプロニアジド、イプロクロジド(Iproclozide)、トロキサトン(Toloxatone)、リネゾリド(Linezolid)、Dienolide kavapyrone desmethoxyyangonin、そしてデキストロアンフェタミン)、精神刺激薬(たとえばアンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、そしてアレコリン)、抗精神病薬(たとえばブチロフェノン、フェノチアジン、チオキサンテン、クロザピン、オランザピン(Olanzapine)、リスペリドン、クエチアピン(Quetiapine)、ジプラシドン(Ziprasidone)、アミスルプリド(Amisulpride)、パリペリドン(Paliperidone)、シンビアックス(Symbyax)、テトラベナジン、そしてカンナビジオール)、そして気分安定剤(たとえば炭酸リチウム、バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム(Divalproex sodium)、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、オキスカルバゼピン(Oxcarbazepine)、そしてトピラマート(Topiramate))。
【0071】
Simon et al. (Archives of General Psychiatry (2006) 63(7):824−830)は、太り過ぎまたは肥満と不安神経症との間の関連について議論している。不安神経症を治療するために投与する医薬品は以下のものを含む:セロトニンの再取り込み阻害薬、気分安定剤、ベンゾジアゼピン(たとえばアルプラゾラム、クロナゼパム、ジアゼパム、そしてロラゼパム)、三環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害薬、そしてベータ遮断薬。
【0072】
本発明の別の局面は、対象者に減量をもたらすために効果的に開示された化合物をある程度の用量で投与することを含めて対象者の体重の減少に手助けし、維持させる方法を提供するのであり、そして対象者の減量を維持するための減量のためのいろいろな医薬品を、治療的な観点から異なった量を投与するのである。減量薬には、以下の医薬品が含まれる:セロトニンそしてノルアドレナリンの再摂取阻害剤、ノルアドレナリンの再摂取阻害剤、選択的セロトニン再摂取阻害剤、そして腸リパーゼ阻害剤。特別な減量薬には、オルリスタット(orlistat)、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン(ionamin)、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン(benzphetermine)、ブロモクリプチン、ロルカセリン(lorcaserin)、トピラマート(topiramate)、またはグレリン作用を阻害することによって摂取した食料を調節する働きをする薬剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(acyltransferase) 1(DGATl)活性を活性化する薬剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ1(SCD1)活性を阻害する薬剤、神経ペプチドY受容体1機能を阻害する薬剤、神経ペプチドY受容体2または4機能を活性化する薬剤、またはナトリウム−グルコース共輸送体1または2を阻害する薬剤がある。これらの化合物は、この技術に精通したもの(当業者)による投与計画および用量によって投与される。
【実施例】
【0073】
ここに記載した化合物は、ここに含まれる教示及びこの分野において公知の合成方法に基づき、多数の方法により製造することができる。
【0074】
実施例1
化合物AをMetAP2酵素アッセイで試験した。表1は、種々の濃度における阻害結果を示す。
【表1】

細胞ベースのアッセイにおいて、MetAP2の阻害は10nM未満であった。
【0075】
実施例2
体重減少試験を肥満マウスで行った。この試験で用いたマウスは、遺伝的に肥満であったのではなく、試験前及び試験中に、高脂肪食餌により肥満を誘導した。試験前及び試験中、60%脂肪食餌で維持した12週齢のC57BL/6NTacマウスを1群8匹の7群に分けた。マウスの平均体重は、試験開始時に約47gであった。
脱イオン水中10%ゲルシア(gelucire)中の化合物Aをマウスに1.0mg/kg投与した。マウスは、1日1回、7日間投与を受けた。1週間の体重減少は11.9%であった。
【0076】
実施例3
18〜20週齢のC57BL/6マウスを用いた3つの試験を行った。試験Aは、45% kcal脂肪食餌を14週間与えた18〜20週齢のC57BL/6マウスを含む7日間スクリーンであり、水中10%ゲルシア(Gelucire)、又は1日当たり1mg/kgの投与量に相当する量の化合物Aを該担体中に含むもののいずれかを7日間投与した。図1は1mg/kgの投与量における体重減少効果を示す。
【0077】
試験Bは、60% kcal食餌を14週間与えた20週齢のC57BL/6マウスを含む10日間の試験であり、10% DMSO又は該担体中に3 mg/kgの投与量に相当する量の化合物Aを含むもののいずれかを10日間投与した。図2は、化合物Aを3 mg/kgで7日間経口投与した効果を示す。
【0078】
試験Cは、60% kcal食餌を14週間与えた20週齢のC57BL/6マウスを含む10日間の試験であり、10% DMSO又は該担体中に1 mg/kg又は3 mg/kgの経口投与量に相当する量の化合物6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイル フマギロール(ジメチル類似体)を含むもののいずれかを10日間投与した。
【0079】
表2は、各試験の第7日における結果を示し(A、B、Cは、上付きで示す)、化合物Aは、経口投与において、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイル フマギロールと比較して3倍以上の効力を示す。
【表2】

【0080】
実施例4
60% kcal食餌を14週間与えた20週齢のC57BL/6マウスを含む10日間の試験であり、10% DMSO又は該担体中に3 mg/kgの投与量に相当する量の化合物(ii)(上記)、化合物(i)(フマギロール)、及び化合物Aのいずれかを10日間投与した。図3は、各化合物による、担体と比較した体重減少を示す。
【0081】
試験終了時にマウスから睾丸を回収し、ホモジナイズし、エンドプロテイナーゼGlu−Cで消化した。マウスチオレドキシン(標的酵素MetAP2の選択的基質)のN末端ペプチドを、LC−MS/MSで完全長ペプチドアミノ酸1−6(配列番号1:MVKLIE)について分析した。ある組織中の検出の程度は、その組織中でのMetAP2阻害を示す(J Proteome Res. 2008; 7:4807参照)。図4は、配列番号1の濃度(ng/mL)を示し、化合物Aは、睾丸組織中で、他の試験化合物と体重減少効力が同程度であるにもかかわらず、他の試験化合物ほどには利用されない(従って、より少ない睾丸関連副作用を有し得る)ことを示す。
参照による組み入れ
【0082】
下に列挙するものを含む、ここに記載した全ての刊行物及び特許は、その全体が、あたかも各刊行物又は特許が具体的に個々に、参照により組み入れられたかのように全ての目的のために、参照によりここに組み入れられる。矛盾が生じる場合には、ここに記載したあらゆる定義を包含する本願が優先する。
均等物
【0083】
本発明の特定の実施形態を考察したが、上記明細書は例示的であり限定的ではない。本発明の多くの変形が、この明細書を参照することにより当業者にとって明らかになるであろう。本発明の全範囲は、均等物及びこのような変形を伴う本明細書の全範囲と共に特許請求の範囲を参照することにより決定されるべきである。
【0084】
他に断りがない限り、明細書及び特許請求の範囲で用いられる、成分及び反応条件等の量を表す全ての数字は、全ての例において、「約」という語で修飾されたものと解釈される。従って、逆のことが記載されていない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において記載される数字パラメーターは、本発明により得ることが求められる所望の性質に依存して変化し得る近似である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】


で表される化合物又はその薬剤的に許容できる塩若しくは立体異性体。
【請求項2】
請求項1記載の化合物の有効量を、必要とする患者に投与することを含む、肥満を治療及び/又は制御する方法。
【請求項3】
請求項1記載の化合物の有効量を、体重減少を必要とする患者に投与することを含む、患者における体重減少の誘導方法。
【請求項4】
前記患者がヒトである請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
前記患者の投与前のボディマス指数が約25kg/m以上である請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、経口、静脈内又は皮下投与される請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1記載の化合物と、薬剤的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物が単位用量に製剤されている請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記患者内におけるチオレドキシン産生を増加し対象における抗肥満プロセスの多臓器刺激を誘導するのに有効な細胞内MetAP2の阻害を確立するのに十分な量の前記化合物を投与することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記患者内における血管新生を低減するのに不十分な量の前記化合物を投与することを含む請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−516484(P2013−516484A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548152(P2012−548152)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020520
【国際公開番号】WO2011/085201
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512092243)ザフゲン,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】