説明

フライ用調理器具

【課題】従来の調理器具を用いた場合と比較して、外観および品質の良好なかき揚げを得ると共に、かき揚げの製造効率を向上させるかき揚げ用調理器具を提供すること。
【解決手段】連装型枠ユニット2と、底板ユニット3とを備えるかき揚げ用調理器具1であって、当該連装型枠ユニット2は、両端面が開口し、周壁に孔を有する円筒状型枠を複数有する連装型枠4と、当該連装型枠の後方向の端部に接続して立設する型枠支持体5とから構成され、当該底板ユニット3は、前記連装型枠ユニット2の開口部の底面の全面積を覆う多角形状の、かつ孔を有する底板10と、当該底板10の端部に接続して立設する底板支持体とから構成され、前記連装型枠ユニット2が、前記底板ユニット3の底板10上に載置され、少なくとも前方向に移動した際に前記底板ユニット3から分離可能な状態にある、かき揚げ用調理器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライ用調理器具、より詳しくはかき揚げ用調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者は、スーパーや商店等の調理場で調理加工した、出来立て感や手作り感のあるフライを好んで購入する傾向にある。フライの中でもかき揚げは人気のメニューのひとつである。
しかし、このかき揚げは、かき揚げ生地をおたま等の調理器具に入れて1つ1つ成形しながら油ちょうして作られているため、得られるかき揚げの外観(形状、揚げむら)や品質(重量)は、調理者の技能に負うところが多い。
【0003】
このため、消費者が訪れる時間帯にあわせて、短時間に大量生産が求められているスーパー等の調理場では、現実的に、形状が不揃いになりやすく、また揚げむらも生じやすくなり、製品のばらつきにより商品価値を損なうことが多い。そこで、得られるかき揚げの外観(形状、揚げむら)や品質(重量)などを安定化させるため、様々なかき揚げ用調理器具(特許文献1〜5)が提案されている。
しかしながら、これらかき揚げ用調理器具は、1つ1つしかかき揚げを製造することができないため、スーパー等の調理場では、更なる生産効率の向上が求められている。
【0004】
また、周壁に孔を有する型枠3連部とこれを支持する型枠支持部、および底面に孔を有する円形状底板3連部とこれを支持する底板支持部を備え、当該底板3連部の上に当該型枠3連部が載置され、両支持部を係止する係止部を有しているかき揚げ用調理器具であって、型枠3連部に収容した3つのかき揚げ生地を油浴に水平に放出するように型枠3連部を回動させることによって、外観の良好なかき揚げ3つを効率よく製造できることが提案されている(特許文献6)。
しかしながら、油ちょうの際にかき揚げの生地が膨張するので、一定時間油ちょうしてかき揚げ生地の周囲が固まると型枠からは回動だけでは放出し難く、また周囲が固まらないまま放出すると型枠の内壁や底板の上面に生地が付着することになるので完成時の外観が悪くなる。このようなことから、特許文献6に記載のかき揚げ用調理器具では、連続して多くの外観や品質のよいかき揚げを作りにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−178634号公報
【特許文献2】特開2001−245611号公報
【特許文献3】特開2005−204584号公報
【特許文献4】特開2004−329144号公報
【特許文献5】特開2004−267070号公報
【特許文献6】特開2008−206700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる問題点と実状に鑑み、従来の調理器具を用いた場合と比較して外観および品質の良好なかき揚げを得ると共に、かき揚げの製造効率を向上させるかき揚げ用調理器具を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、連装型枠ユニットと、底板ユニットとを備えるかき揚げ用調理器具であって、当該連装型枠ユニットは、両端面が開口し、周壁に孔を有する円筒状型枠を複数有する連装型枠と、当該連装型枠の後方向の端部に接続して立設する型枠支持体とから構成され、当該底板ユニットは、前記連装型枠ユニットの開口部の底面の全面積を覆う多角形状の、かつ孔を有する底板と、当該底板の端部に接続して立設する底板支持体とから構成され、前記連装型枠ユニットが、前記底板ユニットの底板上に載置され、少なくとも前方向に移動した際に前記底板ユニットから分離可能な状態にある、かき揚げ用調理器具を提供するものである。
【0008】
前記底板支持体が、後方向に傾斜する持手部を有するのが好適である。これにより、型枠支持体と底板支持体の間に作業者が手を入れやすくなる。
前記底板支持体の左右両側に、側部材を設けるのが好適である。また、前記底板の左右両側に、側部材を設けるのが好適である。これにより、前記連装型枠ユニットの左右方向の動きを抑制することが可能となる。
【0009】
本発明は、前記かき揚げ用調理器具を用いるかき揚げ製造方法であって、前記連装型枠ユニットの円筒状型枠が前記底板ユニットの底板の上に載置され、当該円筒状型枠と当該底板とで形成された内部にかき揚げ生地を収容する工程、前記内部にかき揚げ生地を収容した状態で、油浴に入れ、油ちょうする工程、前記底板ユニットを後方向に抜き取る工程、前記円筒状型枠内のかき揚げを当該型枠から押し出し、当該かき揚げを前記底板ユニットで回収する工程、を含むかき揚げ製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の調理器具を用いた場合と比較して外観および品質の良好なかき揚げが得られると共にかき揚げの製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の側面図である。
【図2】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の上面図である。
【図3】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の正面図である。
【図4】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の連装型枠ユニットの側面図である。
【図5】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の連装型枠ユニットの上面図である。
【図6】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の底板ユニットの側面図である。
【図7】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の底板ユニットの上面図である。
【図8】本発明に係わるかき揚げ用調理器具の底板ユニットの変形例の上面図である。
【図9】本発明に係わるかき揚げ用調理器具を用いたかき揚げの製造工程を示す図である。(a)円筒状型枠と底板とで形成された内部内にかき揚げ生地を収納した状態で、油ちょうしている図である。(b)底板ユニットを後方に引き抜き、連装型枠ユニット内のかき揚げ生地を油ちょうしている図である。(c)型枠から外したかき揚げを油ちょうし、これを底板ユニットで回収している図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0013】
図1の符号1は、本発明のかき揚げ用調理器具であって、図1〜図3に、本発明に係わるかき揚げ用調理器具の側面図、上面図および正面図を示す。
本発明に係わるかき揚げ用調理器具1は、連装型枠ユニット2および底板ユニット3から構成されているものである。
なお、図1〜3に示すように、矢印A方向を前方向、矢印B方向を後方向、また矢印C方向を右方向、矢印D方向を左方向ともいう。
【0014】
まず、前記連装型枠ユニット2について、図4および図5を参照して、以下に説明する。
前記連装型枠ユニット2は、円筒状型枠6を複数有する連装型枠4と、当該連装型枠4の後(B)方向の端部に接続して立設する型枠支持体5とから構成されている。
【0015】
前記連装型枠4は、複数の円筒状型枠6を備えている。当該円筒状型枠6は、この内部にかき揚げの生地を入れ、かき揚げ生地の形状を整える部分である。
前記円筒状型枠6は、上面および底面の両端面が開口し、それぞれの円筒状型枠6の周壁には複数の周壁孔7が設けられている。
上記各円筒状型枠6の開口部分の最大長径(例えば、直径)もしくは周壁部分の高さや円筒状型枠の形状は、所望するかき揚げの形状によって適宜変更すればよい。例えば、当該最大長径は8〜13cm程度であり、高さは2〜8cm程度であればよい。また、当該形状は、略円筒状や下方向に従って細くなるテーパー状などが挙げられる。これによって、略円筒状や略半円球など所望のかき揚げを得ることができる。
【0016】
上記各周壁孔7の孔径や個数、および形状については、かき揚げ生地を周壁内に入れ、かき揚げを成形することができれば、特に制限はない。
このとき、上記周壁孔7の孔径が下方向になるに従って大きくなるのが好ましい。また、周壁孔7の孔と孔との間隔が狭く、密になるのが好ましい。これにより、かき揚げ生地中の水分と油浴中の油とが交換されやすくなるので、かき揚げ生地中の水抜けがよく、またかき揚げ生地の芯にまで熱が達しやすい。このようなことから、作業効率を向上させることができ、また得られたかき揚げの外観が良好となる。更に、前記周壁にある周壁孔7は、下方向になるに従って孔径が大きくなると共に孔と孔との間が密になるものがより好適である。
また、上記周壁孔7の形状は、例えば、3〜8角形等の多角形、楕円形、円形等が挙げられる。
【0017】
また、水平面上において、上記各円筒状型枠6の周壁の外側が直接又は連結部材8を介して連結することによって、複数の円筒形状型枠6を備える前記連装型枠4を形成する。
このうち、当該連結部材8を介して連結するのが、好適である。これにより、それぞれの円筒状型枠の間に隙間が生じるので、油ちょうした際に、この隙間に油が入ることから、かき揚げ生地中の水抜けがよく、芯にまで熱が達しやすい。また、型枠に付着したかき揚げ生地を適宜除去する際に、この隙間によって洗浄が容易となる。よって、かき揚げ製造の作業効率を向上させることができ、また得られたかき揚げの外観も良好となる。
また、前記連装型枠4における円筒状型枠6の個数は、特に制限されない。当該円筒状型枠6の個数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜9、特に好ましくは4〜6とするのが好適である。
このときの円筒状型枠6の配置は、特に制限されない。例えば、後(B)方向から「4・3・3」、「3・3・3」、「4・3・2」、「3・3」、「3・2」、「3・2・1」、「2・2・2」、「2・2」や「2・1」などの順に円筒状型枠6が配置されるのが、底板10の平板上を有効に利用すると共に作業効率が向上するので好適である。このうち、5〜6個の円筒状型枠を「3・2」や「3・3」などと配置とするのが、作業効率が向上し、得られたかき揚げの外観が良好となるので、より好適である。
【0018】
前記型枠支持体5は、前記連装型枠4を支持する部材であり、前記連装型枠4の後方向の端部に結合して立設するものである。
上記型枠支持体5は、細長い板状、O字型棒状や逆U字型棒状などの部材を挙げることができ、このうちO字型棒状や逆U字型棒状の部材が、液体(油)の抵抗が少なく、油浴中での作業が容易であるので好適である。
さらに、上記型枠支持体5の上部付近に補強部材9を設けるのが、連装型枠ユニット全体の強度が増すため好適である。このような補強部材は、特に制限されず、板状や棒状等の形状であってもよいし、複数設けてもよい。
そして、上記型枠支持体5の下部が、前記連装型枠6の周壁の外周面に直接接して或いは補強部材(図示せず)を介して接続されているのが好適である。また、当該型枠支持体5は、前記連装型枠4の後方向かつ略中央付近に配置するのが好適である。
上記外周面に直接接してとは、例えば、円筒状型枠6が略円筒状の場合にはこの開口部の底面に対して略垂直になるように、或いは円筒状型枠6の外周壁が湾曲している場合にはそれに沿って、上記型枠支持体5が接続されていればよい。
また、補強部材を介してとは、複数の円筒状型枠6の後方向の外周面と結合するように補強部材(図示せず)を設け、この補強部材と前記型枠支持体5が接続されていればよい。
【0019】
前記底板ユニット3について、図6〜図8を参照して、以下に説明する。
前記底板ユニット3は、多角形状の板状の底板10と、当該底板10の後方向の端部に接続して立設する底板支持体11とから構成されている。
当該多角形状の板状の底板10は、上記各円筒状型枠6にかき揚げ生地を入れたときの底面(底板)となる部分であり、かつかき揚げをすくい取る部分でもある。
前記底板10の大きさや形状は、上記連装型枠4の開口部の底面の全てを覆うような大きさや形状であれば特に限定されない。例えば、前記連装型枠ユニット2の開口部の底面の全面積を覆う多角形状を挙げることができる。
ここで、多角形状とは、四角以上の角を有する形状であり、例えば、長方形状や2角の取れた状態(形状)が挙げられる。
当該2角の取れた状態(形状)とは、前(A)方向の2つの角が少なくとも欠けた状態をいい、より具体的には、台形或いは台形と長方形を組み合わせた形状、半円或いは半円と長方形を組み合わせた形状などが挙げられる。このうち、台形と長方形を組み合わせた形状であるのが、かき揚げをすくい取るうえで、好適である。
【0020】
また、前記底板10には、複数の底板孔12が設けられている(図7および図8参照)。当該各底板孔12の形状や数は、前記底板10でかき揚げ生地を保持できれば特に制限はない。
このとき、図8に示すように、上記底板孔12の孔径が後方向になるに従って大きくなるのが好ましい。また、底板孔12の孔と孔との間隔が狭く、密になるのが好ましい。これにより、かき揚げ生地中の水分と油浴中の油とが交換されやすくなるので、かき揚げ生地中の水抜けがよく、またかき揚げ生地の芯にまで熱が達しやすい。また、底板10の前方向を高くし傾斜を設けながらかき揚げを回収すると、かき揚げの油切れの良好なかき揚げを得ることも可能である。
また、上記底板孔12の形状は、例えば、3〜8角形等の多角形、楕円形、円形等が挙げられる。
【0021】
また、上記底板10(より具体的には長方形部分)の左右方向の両端(左右両側)に底板側部材13を設けるのが好適である。これにより、連装型枠ユニット2の左右の動きが規制されることから、かき揚げ用調理器具1の前方向を高くして後方向に傾けながら油ちょうすれば、作業中の底板ユニット10が左右にずれることなく作業がより好適に行えるので、作業効率が更に向上する。また、前記底板ユニット3をかき揚げの回収に用いる際に、かき揚げが左右から滑り落ちることなく、かき揚げを回収しやすい。尚、当該底板側部材13のCD方向に対する断面形状は、長方形や正方形などの四角形状、三角形状および丸形状などが挙げられるが、四角形状、特に高さの高い長方形状が、連装型枠ユニットのズレ防止とかき揚げ回収の作業効率向上の点から、好ましい。
【0022】
また、前方向の端部に突起部材14を設けるのが好適である。このAB方向に対する断面形状は、長方形や正方形などの四角形状、三角形状および丸形状などが挙げられる。これにより、底板ユニットに載せたかき揚げを油浴から取り出すときに前方向からの滑り落ちが低減できる。
【0023】
前記底板支持体11は、前記底板10を支持する部材であり、前記底板10の後方向の端部に結合して立設するものである。当該底板支持体11の部材は、上記型枠支持体5の場合と同様であればよい。
【0024】
上記底板支持体11の上部に、作業者がかき揚げ用調理器具1や底板ユニット3を手で持って作業を行う部分として、後方向に傾斜させた持ち手部15を設けるのが好適である。これにより、前記連装型枠ユニット2を上記底板ユニット3に載置し、前記型枠支持体5と底板支持体11とが接した際に、これら支持体の間に作業者の手が入る程度に空間を設けることが可能となる。このことにより、かき揚げ用調理器具1は片手でも操作可能であるが、両手でも行い易くなるので、作業効率が向上する。更に、上記底板支持体11の持ち手部15に補強部材16を設けるのが、底板ユニット全体の強度を増すため好適である。なお、補強部材16は、上述のような補強部材と同様に特に限定されず、板状や棒状等の形状であってもよいし、複数設けてもよい。
【0025】
また、上記底板支持体11の中部に、連装型枠ユニット2、具体的には型枠支持体5の左右の動きを規制するための支持体側部材17を設けるのが好適である。具体的には、当該支持体側部材17は、上記底板支持体11の中部付近であって、左右方向の両側(左右両側)に設けるのが好適である。
【0026】
そして、上記底板支持体11の下部が、前記底板10の略平面の後方向の端部に直接接続されて、或いは底板補強部材18を介して接続されているのが好適である。また、当該底板支持体11は、前記底板10の後方向かつ略中央付近に配置するのが好適である。
ここで、底板補強部材18としては、例えば、平板10の後方向部分を上方向に折り曲げて形成された部分或いは、平板10の後方向の端部に補強部材を溶接等で接合された部分などが挙げられる。この底板補強部材18は、底板ユニット全体の強度を増すと共にかき揚げを油浴から回収する際の受面になるので好適である。また、当該底板補強部材18には、上述のような複数の孔を設けるのが、かき揚げの回収を容易にすると共に油切れをよくする点で、望ましい。
【0027】
上述のような構成を採用することにより、前記連装型枠ユニット2が、前記底板ユニット3の底板上に載置することが可能である。このように載置することによって、かき揚げの型枠(型枠の容器)が複数形成されることとなるので、この型枠内に、かき揚げ生地を収容することが可能となる。
しかも、前記連装型枠ユニット2を載置した後、当該連装型枠ユニット2を、少なくとも前方向に移動させると、当該底板ユニット3から簡単に分離することも可能である。すなわち、油浴にてかき揚げ生地を油ちょうしている際に、前記連装型枠ユニット2を前方向に押し出す及び/又は前記底板ユニット3を後方向に引くことによって、前記連装型枠ユニット2と前記底板ユニット3とが簡単に分離することとなる。また、これらは上下方向に移動することによって簡単に分離することも可能である。よって、載置後の底板ユニット3は、前後方向および上下方向の動きを規制されることなく、動かすことが可能となる。
更に、左右方向に移動させることを規制するような構成を採用することによって、油浴に入れる際や油浴中に移動する際に、かき揚げ生地を入れた連装型枠ユニット2が底板ユニット3から左右にズレ落ちることが少なくなるので、作業効率が向上する。これにより、連続的にかき揚げを製造することも可能となるので、作業効率が向上する。
【0028】
図9を参照して、本発明に係わるかき揚げ用調理器具を用いたかき揚げの製造方法および調理方法を以下に説明する。ここで、かき揚げ生地とは、一般的なかき揚げ生地であり、具体的には、かき揚げの原材料である小麦粉(バッター液)及び野菜、肉・魚介類等の具材等を適宜混合したものである。
まず、前記連装型枠ユニット2を前記底板ユニット3に載置する。各円筒状型枠6を底板10に載せることで、底板10が各円筒状型枠6の底面となり、かき揚げ用容器が複数形成されることとなる。この形成された容器内部内にかき揚げ生地20を収容する。
尚、予め、かき揚げの生地を収容する前に、連装型枠4と底板10とを油浴などにて加温していてもよい。
【0029】
上述の如き内部にかき揚げ生地を収容した状態のかき揚げ用調理器器具1を、熱した油浴に入れ、沖方向に進め、内部のかき揚げ生地を油ちょうする。
かき揚げ生地20の表面、特に底面が固化した際に、底板ユニット3を下方向に動かし、次いで後方向に移動させる。更に、側面が固化した際に、円筒状型枠6の開口している上面から力を加え、かき揚げ21を円筒状型枠6から外す。このとき、連装型枠ユニット2を油浴から取り出す。
【0030】
かき揚げ21の油ちょうを終了する際、底板ユニット3を沖方向に進めながら複数のかき揚げ21をすくい取る。これによって、調理条件をほぼ同じにして全てのかき揚げをすくい取ることができる。
尚、連装型枠ユニット2の底面の面積よりも、やや広くした底板ユニット3を採用しているので、調理者が素人であっても、時間通りにかき揚げを全てすくい取ることが簡単にできる。
以上のことから、かき揚げ用調理器具1を用いれば、かき揚げの外観や品質を一定以上に維持すると共に、熟練の調理者でなくともかき揚げの作業効率も向上する。
【0031】
また、上述のように、底板ユニット3を連装型枠ユニット2から分離した後、油浴から取り出してもよい。この場合、別途用意しておいた連装型枠ユニット2を取り出した底板ユニット3の上に載置し、上述と同様な手順で再びかき揚げ生地を油ちょうすることも可能である。
これにより、連続的にかき揚げを油ちょうすることができる。また、このような連続性は、本発明のかき揚げ用調理器具が、調理中に簡単に前後方向に分離可能な状態であるような構成を採用することによって初めて可能となったことである。
【実施例】
【0032】
次に本発明を更に具体的に説明するために、実施例を掲げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
図1に示すような本発明のかき揚げ用調理器具を用いた。このとき、リング構造部分(内径90mm×高さ55mm)を5基連結したタイプのものを使用した。
野菜かき揚げ天ぷらを調理した。
野菜かき揚げ天ぷらの生地として、タマネギ4mmカット 650g、ニンジン2mm×2mm棒切り 250g、三つ葉 100gの比率で混合したものを使用した。調製した生地から15枚の野菜かき揚げ天ぷらを調理し、その品質を評価した。生地の調製は、上記混合野菜1,000gに昭和天ぷら職人(昭和産業株式会社製)300gを加え、よくまぶした後に、水300gを加えて、よく練りこんだ。
あらかじめ油槽の油浴(160℃)で温めておいた、かき揚げ用調理器具を油槽から引き上げた。
かき揚げ生地を、かき揚げ用調理器具に形成された各かき揚げ用容器内に収容した。
かき揚げ用容器内に収容したかき揚げ生地を、油槽の油浴中に投入した。
投入後15秒後、底板ユニットを引き抜き、油浴から取り出した。一方、かき揚げ生地を収容している連装型枠ユニットを油浴の沖の方へ送った。
更に30秒後、かき揚げ生地が収容されている連装型枠ユニットを持ち上げて、このかき揚げを下に押し出し、連装型枠ユニットを油浴から引き上げた。
更に2分後、油浴に浮かぶ、かき揚げを反転させた。
更に、2分30秒後、底板ユニットを再び油浴に投入し、全てのかき揚げを同時にすくいあげた。
得られたかき揚げは、形状および揚げむらといった外観は良好であり、また各重量もほぼ同じであり、品質がよかった。
このときの比較対象として、お玉を使ってかき揚げを5個製造したが、本発明のかき揚げ調理器具を用いた場合よりも、作業時間が非常にかかり、また得られたかき揚げの形状、揚げむら、各重量はまちまちであった。
よって、本発明のかき揚げ用調理器具を用いれば、作業効率が向上するのがもちろん、得られたかき揚げの外観もよく、品質の高いものを得ることが可能となることが確認できた。
【符号の説明】
【0034】
1 かき揚げ用調理器具:2 連装型枠ユニット:3 底板ユニット:4 連装型枠:5 型枠支持体:6 円筒状型枠:7,12 孔:10 底板:11 底板支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連装型枠ユニットと、底板ユニットとを備えるかき揚げ用調理器具であって、
当該連装型枠ユニットは、両端面が開口し、周壁に孔を有する円筒状型枠を複数有する連装型枠と、当該連装型枠の後方向の端部に接続して立設する型枠支持体とから構成され、
当該底板ユニットは、前記連装型枠ユニットの開口部の底面の全面積を覆う多角形状の、かつ孔を有する底板と、当該底板の端部に接続して立設する底板支持体とから構成され、
前記連装型枠ユニットが、前記底板ユニットの底板上に載置され、少なくとも前方向に移動した際に前記底板ユニットから分離可能な状態にある、かき揚げ用調理器具。
【請求項2】
前記底板支持体が、後方向に傾斜する持手部を有する、請求項1記載のかき揚げ用調理器具。
【請求項3】
前記底板支持体の左右の両側に、側部材を設ける、請求項1又は2記載のかき揚げ用調理器具。
【請求項4】
前記底板の左右の両側に、側部材を設ける、請求項1〜3のいずれか1項記載のかき揚げ用調理器具。
【請求項5】
前記連装型枠ユニットが、前記円筒状型枠と前記円筒状型枠との間に連結部材を設ける、請求項1〜4のいずれか1項記載のかき揚げ用調理器具。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のかき揚げ用調理器具を用いるかき揚げ製造方法であって、
前記連装型枠ユニットの円筒状型枠が前記底板ユニットの底板の上に載置され、当該円筒状型枠と底板とで形成された内部にかき揚げ生地を収容する工程、
前記内部にかき揚げ生地を収容した状態で、油浴に入れ、油ちょうする工程、
前記底板ユニットを後方向に抜き取る工程、
前記円筒状型枠内のかき揚げを当該型枠から押し出し、当該かき揚げを前記底板ユニットで回収する工程、を含むかき揚げ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−34736(P2012−34736A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175195(P2010−175195)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000187079)昭和産業株式会社 (64)
【Fターム(参考)】