説明

フラノース誘導体

本発明は、フラノース誘導体を調製するためのプロセス、前記プロセスにおいて使用されるフラノース中間体、およびアトルバスタチンの製造における前記誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラノース誘導体を調製するためのプロセス、前記プロセスにおいて使用されるフラノース中間体、およびアトルバスタチンの製造における前記誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アトルバスタチンは、ヒトにおけるコレステロールの生合成において重要な酵素である3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−補酵素A(HMG−CoA)還元酵素の競合的阻害剤である。アトルバスタチンは、このため動脈硬化症および冠動脈性心疾患にとって公知のリスク因子である高脂質血症および高コレステロール血症などの障害の治療において非常に効果的な薬剤であることが証明されている。
【0003】
アトルバスタチンは、化学的には[R−(R,R)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−ヘプタン酸であり、商標名Lipitor(商標)でそのカルシウム塩として市販されている。
【0004】
アトルバスタチンを調製するための多数のプロセスおよび重要な中間体は、例えば特許文献1および特許文献2から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,273,995号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0252816号
【特許文献3】米国特許第5,003,080号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of American Chemical Society,(1977), 99, 182;Journal of Organic Chemistry, (1983), 48, 3566およびTetrahedron Letters, (1979), 26, 2433
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、アトルバスタチンの調製における、式(I):
【化1】

(式中、
およびRは、独立して水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルカノール、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキルまたはC3−8シクロアルケニルを表し、
およびRは、独立して水素、ハロゲン、任意に1つ以上(例えば、1〜3つ)のR基で置換されたC1−6アルキル、任意に1つ以上(例えば、1〜3つ)のR基で置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ハロC1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、−OR、−X−アリール、−X−ヘテロシクリル、−C(R)=O、−C(=Y)−O−Rを表し、
アリールは炭素環を表し、
ヘテロシクリルは任意に1つ以上(例えば、1〜3つ)のR置換基で置換された複素環を表し、
およびRは、独立して水素またはC1−6アルキル基を表し、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−COOR、−NO、−CONR、−NRCOORまたは−NR基を表し、
Xは、結合、または−CO−(CH−、−COO−、−(CH−、−NR−(CH−、−(CH−NR−、−CONR−、−NRCO−、−SONR−、−NRSO−、−NRCONR−、−NRCSNR−、−O−(CH−、−(CH−O−、S−、−SO−もしくは−(CH−SO−、−SO−O−もしくは−O−SO−から選択されるリンカーを表し、
YはOまたはS原子を表し、
mは0〜4の整数を表し、
pは1〜4の整数を表す)の化合物の使用が提供される。
【0008】
アトルバスタチンの製造における中間体としての本明細書に記載した化合物の使用は、多数の利点を提供する。例えば、本プロセスは単純で効率的かつ操作が容易であり、さらに優れた収率を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で1つの基もしくはその基の一部として使用する用語「C1−6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分枝状飽和炭化水素基を意味する。かかる基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルなどが含まれる。
【0010】
本明細書で使用する用語「C1−6アルコキシ」は、−O−C1−6アルキル基(式中、C1−6アルキルは、本明細書に規定したとおりである)を意味する。かかる基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシなどが含まれる。
【0011】
本明細書で使用する用語「C1−6アルカノール」は、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6アルキル基を意味する。かかる基の例にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシなどが含まれる。
【0012】
本明細書で使用する用語「C3−8シクロアルキル」は3〜8個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を意味する。かかる基の例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどが含まれる。
【0013】
本明細書で使用する用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0014】
本明細書で使用する用語「ハロC1−6アルキル」は、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書で規定したC1−6アルキル基を意味する。かかる基の例にはフルオロエチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルなどが含まれる。
【0015】
本明細書で使用する用語「ハロC1−6アルコキシ」は、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書で規定したC1−6アルコキシ基を意味する。かかる基の例には、ジフルオロメトキシまたはトリフルオロメトキシなどが含まれる。
【0016】
本明細書で使用する用語「アリール」は少なくとも1つの環が芳香族であるC6−12単環式または二環式炭化水素環を意味する。かかる基の例にはフェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフタレニルなどが含まれる。
【0017】
本明細書で使用する用語「ヘテロシクリル」は、酸素、窒素および硫黄から選択された1〜4個のヘテロ原子を含有する、5〜7員の単環式芳香族環、8〜10員の縮合二環式芳香族環、4〜7員の飽和もしくは部分飽和単環式環または8〜12員の飽和もしくは部分飽和縮合二環式環を意味する。
【0018】
かかる単環式芳香族環の例には、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジル、トリアジニル、テトラジニルなどが含まれる。
【0019】
かかる縮合芳香族環の例には、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、シノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなどが含まれる。
【0020】
かかる飽和もしくは部分飽和単環式環には、ピロリジニル、アゼチジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、オキサチオラニル、オキサチアニル、ジチアニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、ジアゼパニル、アゼパニルなどが含まれる。
【0021】
かかる飽和もしくは部分飽和二環式環の例には、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾピラニル、キヌクリジニル、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンザゼピン、テトラヒドロイソキノリニルなどが含まれる。
【0022】
式(I)の化合物が様々に異なる光学的配置で存在する可能性があることは理解されるであろう。例えば一実施形態において、式(I)の化合物は、以下の式(I)
【化2】

(式中、R、R、RおよびRは、式(I)の化合物について規定したとおりである)の化合物において示した立体化学的配置を有する。式(I)の化合物によって示される立体化学的配置は、アトルバスタチンの最適なジアステレオ異性体を調製するという利点を提供する。したがって、光学的に純粋なアトルバスタチンが調製できる。
【0023】
一実施形態において、RおよびRは独立して水素またはC1−6アルキルを表す。別の実施形態において、RおよびRはいずれもC1−6アルキル(例えば、メチル)を表す。さらに別の実施形態において、RおよびRはいずれもメチルを表す。
【0024】
一実施形態において、RおよびRはいずれも水素を表さない。
【0025】
一実施形態において、Rは、1つ以上(例えば、1〜3つ)のR基で任意に置換されたC1−6アルキル、1つ以上(例えば、1〜3つ)のR基で任意に置換されたC2−6アルケニル、−X−ヘテロシクリルまたは−C(R)=Oを表す。
【0026】
一実施形態において、Rは1つ以上のR基(例えば、−CH−CH−NH、−CH−CH−NHCOOCH、−CH−CH−CONH、−CH−CH−NO、−CH−CH−COO−CH−CH、−CH(OH)−CH−NOまたは−CH(OH)−CHOH)で任意に置換されたC1−6アルキル基を表す。
【0027】
一実施形態において、Rは1つ以上のR基(例えば、−CH=CH−COO−CH−CHまたは−CH=CH−NO)で任意に置換されたC2−6アルケニルを表す。
【0028】
一実施形態において、Rは1つ以上のC1−6アルキル基、例えば式(i):
【化3】

の基で任意に置換された−X−ヘテロシクリルを表す。
【0029】
一実施形態において、Rは−C(R)=O(例えば、−C(H)=O)を表す。
【0030】
一実施形態において、Rは水素、−OR、−X−ヘテロシクリルまたはC(=Y)−O−Rを表す。
【0031】
一実施形態において、Rは水素を表す。
【0032】
一実施形態において、Rは−OR(例えば、−OH)を表す。
【0033】
一実施形態において、Rは−X−ヘテロシクリル(例えば、−O−SO−イミダゾール)を表す。また別の実施形態において、Rは式(ii):
【化4】

の基を表す。
【0034】
一実施形態において、Rは−C(=Y)−O−R(例えば、−C(=S)−O−CH)を表す。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、式(II):
【化5】

(式中、R、Rは、式(I)の化合物について規定したとおりであり、nは1〜4の整数を表す)の化合物を調製するためのプロセスであって、
(a)式(III):
【化6】

(式中、R、Rおよびnは、式(II)の化合物について規定したとおりであり、Pは、カルボベンジルオキシ(cbz)、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(fmoc)、ベンジル、p−メトキシフェニルまたは酢酸塩(例えば、−COOCH)基などの適切な保護基を表す)の化合物を脱保護する工程、または
(b)式(IV):
【化7】

(式中、R、R、およびnは、式(II)の化合物について規定したとおりである)の化合物を水素化する工程を含むプロセスが提供される。
【0036】
工程(a)は、典型的には、例えば水酸化ナトリウムなどの適切な塩基の存在下での加水分解反応を含む。
【0037】
工程(b)は、典型的には、水素化反応、例えばラネーニッケルなどの適切な触媒の存在下での式(IV)の化合物と水素との反応を含む。
【0038】
一実施形態において、nは1〜3の整数を表す。別の実施形態において、nは2を表す。
【0039】
式(III)(式中、nは2を表し、Pは−COOCHを表す)の化合物は、下記のスキーム1:
【表1】

(式中、R、Rは、式(II)の化合物について上記で規定したとおりである)にしたがって調製できる。
【0040】
工程(i)は、典型的には、適切な溶媒の存在下でウィッティヒ試薬を用いて式(V)の化合物を縮合させ、式(VI)の化合物を得る、ウィッティヒ反応を含む。一実施形態において、ウィッティヒ試薬はトリエチルホスホノアセテートであり、溶媒は1,2−ジメトキシエタンである。
【0041】
工程(ii)は、適切な触媒の存在下で式(VI)の化合物と水素とを反応させ、式(VII)の化合物を得ることを含む。一実施形態において、触媒はラネーニッケルであり、溶媒はエタノールである。
【0042】
工程(iii)は、典型的には、式(VII)の化合物と例えばアンモニアなどの適切なアミンとを反応させ、式(VIII)の化合物を得ることを含む。
【0043】
工程(iv)は、典型的には、適切な溶媒(例えば、メタノール)の存在下で式(VIII)の化合物を例えば塩素または臭素(例えば、臭素)などの適切なハロゲン原子および適切な塩基(例えば、メトキシドナトリウム)と反応させ、その後加水分解を行い、式(III)の化合物を得る、ホフマン転位反応を含む。一実施形態において、ホフマン転位反応は、式(III)の化合物を得るため、追加的に酢酸塩、典型的には酢酸第二水銀を含んでもよい。
【0044】
式(IV)(式中、nは2を表す)の化合物は、下記のスキーム2:
【表2】

(式中、R、Rは、式(II)の化合物について上記で規定したとおりである)にしたがって調製できる。
【0045】
工程(i)は、典型的には、適切な溶媒(例えば、無水メタノール)中の適切な塩基(例えば、メトキシドナトリウム)の存在下で式(V)の化合物を適切なニトロアルカン(例えば、ニトロメタン)と反応させ、式(IX)の化合物を得るヘンリー(ニトロアルドール)反応を含む。一実施形態において、ニトロアルカンはニトロメタンであり、塩基はメトキシドナトリウムであり、溶媒は無水メタノールである。
【0046】
工程(ii)は、典型的には、脱離条件下で式(IX)の化合物を反応させ、式(X)の化合物を得ることを含む。一実施形態において、脱離条件は式(IX)の化合物を脱水剤と反応させ、式(X)の化合物を産生することを含む。典型的な脱水剤には、酸無水物およびジシクロヘキシルカルボジイミドが含まれる。別の実施形態において、式(IX)のニトロアルコールを無水物と、典型的には酢酸無水物と反応させ、ニトロエステルを形成する。このニトロエステルは、次に、弱塩基、例えば酢酸塩、例えば酢酸ナトリウムと反応させ、式(X)の化合物を形成することができる。
【0047】
工程(iii)は、典型的には、適切な溶媒中で式(X)の化合物を還元剤と反応させ、式(IV)の化合物を得ることを含む。一実施形態において、還元剤は水素化ホウ素ナトリウムであり、溶媒はメタノールである。
【0048】
式(V)の化合物は、下記のスキーム3:
【表3】

(式中、R、Rは、式(II)の化合物について上記で規定したとおりである)にしたがって調製できる。
【0049】
工程(i)は、典型的には、塩化スルフリルおよび適切な触媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で式(XI)の化合物とイミダゾールとを反応させ、式(XII)の化合物を産生することを含む。
【0050】
工程(ii)は、典型的には、適切な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)の存在下で式(XII)の化合物とチオ酢酸カリウムとを反応させ、式(XIII)の化合物を産生することを含む。
【0051】
工程(iii)は、典型的には、適切な溶媒(例えば、メタノール)の存在下で適切な触媒(例えば、ラネーニッケル)の存在下で水素化反応させ、式(XIV)の化合物を産生することを含む。
【0052】
工程(iv)は、典型的には、適切な酸(例えば、塩酸水溶液)の存在下で式(XIV)の化合物を反応させ、式(XV)の化合物を産生することを含む。
【0053】
工程(v)は、典型的には、適切な溶媒(例えば、エタノール)の存在下で式(XV)の化合物と酸化剤(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)とを反応させ、式(V)の化合物を産生する酸化反応を含む。
【0054】
式(XI)の化合物は公知である、または公知の方法によって(例えば、D−グルコースから)調製できる。
【0055】
本発明の別の態様によれば、
1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−O−(イミダゾール−1−スルホニル)−α−D−グルコフラノース(E1)、
【化8】

3−S−アセチル−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−チオ−α−D−アロフラノース(E2)、
【化9】

1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ペントジアルド−1,4−フラノース(E5)、
【化10】

エチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプト−5−エノエート−1,4−フラノース(E6)、
【化11】

エチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタノエート−1,4−フラノース(E7)、
【化12】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタミド−1,4−フラノース(E8)、
【化13】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−メトキシカルボニルアミド−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E9)、
【化14】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘクス−5−エノフラノース(E10)、
【化15】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E11)、および
【化16】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−アミノ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E12)
【化17】

から選択される化合物が提供される。
【0056】
本発明のさらに別の態様によれば、アトルバスタチンを調製するためのプロセスであって、以下の:
(a)式(II)
【化18】

の化合物を式(XVI):
【化19】

の化合物と反応させて式(XVII):
【化20】

の化合物を産生する工程と、
(b)上記に規定した式(XVII)の化合物を反応させ
式(XVIII):
【化21】

の化合物を産生する工程と
(c)上記に規定した式(XVIII)の化合物を反応させ、アトルバスタチンを産生する工程とを含むプロセスが提供される。
【0057】
工程(a)は、典型的には、適切な温度(例えば、室温)で適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフランおよびn−ヘプタン)および適切な物質(例えば、ピバル酸およびトルエン)中での反応を含む。
【0058】
工程(b)は、典型的には、トリフルオロ酢酸水溶液を用いた式(XVII)の化合物の処理を含む。
【0059】
工程(c)は、典型的には、1炭素ホモログ化を含むウィッティヒ反応を含む。そのような反応は当業者には容易に明らかであろうが、非特許文献1に記載されている。
【0060】
式(II)の化合物は本明細書に記載した方法にしたがって調製できる。
【0061】
式(XVI)の化合物は例えば特許文献3における式(XVII)の化合物から公知である。
【0062】
下記の非限定的な実施例によって本発明を以下で具体的に説明する。
【実施例1】
【0063】
1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−O−(イミダゾール−1−スルホニル)−α−D−グルコフラノース(E1)
【化22】

【0064】
無水ジクロロメタン(3,590mL)中の1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−グルコフラノース(250g、96mmol)の攪拌溶液に、0〜−5℃で0.5時間をかけてイミダゾール(440g、646mmol)を加えた。この反応混合液をこの温度で1時間にわたり攪拌し、それにジクロロメタン(20mL)中の塩化スルフリルの溶液(149mL)を滴下した。0〜−5℃で5時間後に、反応混合液を室温になるまでそのまま温め、薄層クロマトグラフィ(TLC)によって示されるように反応が完了するまでこの温度で攪拌し続けた。
【0065】
反応の完了後、沈降した塩を濾過し、濾液は水を用いて洗浄した(3×1,000mL)。次に有機層を、10%塩酸水溶液(10×1,000mL)、水(1×1,000mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×1,000mL)、水(1×1,000mL)および最後に食塩水(2×1,000mL)を用いて連続的に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮すると、固体として表題生成物(E1)が得られた(320g、収率95%)。
【実施例2】
【0066】
3−S−アセチル−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−チオ−α−D−アロフラノース(E2)
【化23】

【0067】
7.3g(63.93mmol)のチオ酢酸カリウムを、25mLのジメチルホルムアミド中の10.0g(25.64mmol)の1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−O−(イミダゾール−1−スルホニル)−α−D−グルコフラノース(E1に記載したように調製できる)の攪拌溶液へ加えた。この反応混合液を5時間にわたり75〜85℃で加熱した。
【0068】
TLCによって示されるように反応の完了後に、反応混合液は50mLの酢酸エチルおよび25mLの水を用いて希釈した。25gの木炭を加え、この反応液を0.5時間にわたり55〜60℃で維持し、濾過した。濾液は、水(10×25mL)および食塩水(2×25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮すると、主として表題化合物(E2;7.5g)が得られ、これをそれ以上精製せずに次の工程にかけた。
【実施例3】
【0069】
3−デオキシ−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−リボ−ヘキソフラノース(E3)
【化24】

【0070】
実施例2に記載した方法によって得られた、主として7.5gの3−S−アセチル−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−チオ−α−D−アロフラノース(E2に記載したように調製できる)を含有する粗反応混合液をメタノール中に溶解させ、100mLのメタノール中の新しく調製したラネーニッケル(ニッケル−アルミニウム合金から調製、60g)のスラリーへ加えた。この反応混合液を15時間にわたり室温で攪拌し、濾過した。濾液を減圧下で還元させると表題生成物(E3)(5g、88%)が得られ、これをそれ以上精製せずに次の工程にかけた。
【実施例4】
【0071】
3−デオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−リボ−ヘキソフラノース(E4)
【化25】

【0072】
200mLの塩酸水溶液(0.01N)中の5.0g(20.49mmol)の3−デオキシ−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−リボ−ヘキソフラノース(E3に記載したように調製できる)のスラリーを12時間にわたり室温で攪拌した。TLCによって示されるように反応の完了後、重炭酸ナトリウムを加えることによって反応混合液を中和し、100mLのn−ヘキサンを用いて抽出して非極性有機不純物を除去した。
【0073】
水性反応混合液を次に酢酸エチル(5×100mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、50℃の減圧下で濃縮すると、4gの表題化合物(E4)が得られた。
【実施例5】
【0074】
1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ペントジアルド−1,4−フラノース(E5)
【化26】

【0075】
64mL中の水の中の8.4g(39.2mmol)の過ヨウ素酸ナトリウムの溶液を、0〜10℃で64mLのエタノール中の8.0g(39.2mmol)の3−デオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−リボ−ヘキソフラノース(E4に記載したように調製できる)の低温溶液へ滴下した。この反応混合液を室温になるまでそのまま温め、1時間にわたり攪拌すると、TLCによって示されるように反応は完了した。沈降した塊を濾過し、濾液を75℃の減圧下で粘性シロップに濃縮した。それに100mLの酢酸エチルを加え、完全に溶液中に混ざるまで15分間にわたり室温で攪拌した。
【0076】
酢酸エチル溶液を食塩水(2×25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で還元させると表題生成物(E5)(6.5g、96%)が得られ、これをそれ以上精製せずに次の工程にかけた。
【実施例6】
【0077】
エチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプト−5−エノエート−1,4−フラノース(E6)
【化27】

【0078】
16.5mLの1,2−ジメトキシエタン中に溶解させた11g(49mmol)のトリエチルホスホノアセテートを0〜5℃の窒素雰囲気下で、16.5mLの1,2−ジメトキシエタン中の1.8g(75mmol)の水素化ナトリウムのスラリーへ加えた。この反応混合液を0〜5℃で攪拌した。6.5g(37.79mmol)の1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ペントジアルド−1,4−フラノース(E5に記載したように調製できる)を33mLの1,2−ジメトキシエタン中に溶解させ、0〜5℃の窒素雰囲気下で反応混合液へ滴下した。この反応混合液をそのまま温め、この温度で1時間にわたり攪拌すると、反応混合液のTLCは反応の完了を示した。
【0079】
この反応は、50mLの水を加えることによってクエンチした。15分後、150mLの酢酸エチルを加えた。有機層を水(1×50mL)、食塩水(1×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を75℃の減圧下で濃縮すると、粘性シロップとして表題化合物(E6)が得られた;収量(9g、94%)。
【実施例7】
【0080】
エチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタノエート−1,4−フラノース(E7)
【化28】

【0081】
45mLのエタノール中の新しく調製したラネーニッケル(18gのニッケル−アルミニウム合金によりおよそ9.0gのラネーニッケルが生じた)のスラリーを、45mLのエタノール中に溶解させた9g(37.19mmole)のエチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプト−5−エノエート−1,4−フラノース(E6に記載したように調製できる)に加えた。この反応混合液は、TLCによって示されるように水素化が完了するまで、室温の水素雰囲気中で攪拌した。
【0082】
この反応混合液を濾過し、ラネーニッケル残留物は18mLのエタノールを用いて洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮すると、表題化合物が得られた(E7;9.0g、99%)。
【実施例8】
【0083】
3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタミド−1,4−フラノース(E8)
【化29】

【0084】
90mLのアンモニア水溶液を9g(36.89mmole)のエチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタノエート−1,4−フラノース(E7に記載したように調製できる)に加え、この反応混合液を15時間にわたり室温で攪拌すると、反応はTLCによって示されるように完了した。
【0085】
この反応混合液を次に酢酸エチル(4×100mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、表題化合物が得られた(E8;6.8g、85.8%)。
【実施例9】
【0086】
3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−メトキシカルボニルアミド−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E9)
【化30】

【0087】
4.64g(60.5mmole)の臭素を、50mLのメタノール中の新しく調製したメトキシドナトリウム(2.1gのナトリウムから調製した)の低温溶液に−45℃で滴下した。この反応混合液を臭素の色が消失するまで−45℃で維持した。32.5mLのジオキサンおよび19.5mLのメタノール中の6.5g(30.23mmole)の3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタミド−1,4−フラノース(E8に記載したように調製できる)の溶液をこの反応混合液へ−45℃で滴下した。この反応混合液を次に室温になるまでそのまま温め、次に浴温度が55〜60℃に達するまで緩徐に加熱した。55〜60℃で1時間後、反応混合液を酢酸で中和し、50℃未満の減圧下で濃縮し、ジオキサンおよびメタノールを除去した。
【0088】
150mLの酢酸エチルを混合液に加え、水(1×50mL)で抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液(3×25mL)、水(3×50mL)、食塩水(1×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、ホフマン転位した表題化合物が得られた(E9;4.5g、61%)。
【実施例10】
【0089】
3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘクス−5−エノフラノース(E10)
【化31】

【0090】
2.1mLのニトロメタンを0〜5℃で無水メタノール中の2.1g(12.2mmole)の1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ペントジアルド−1,4−フラノース(E5に記載したように調製できる)の溶液に加えた。次に2.1g(38.87mmole)のメトキシドナトリウムを加え、この反応混合液を0〜50℃で0.5時間にわたり攪拌した。反応混合液は室温になるまでそのままにした。室温で2時間後、反応混合液を氷酢酸で中和し、減圧下で濃縮し、メタノールを除去した。
【0091】
酢酸エチル(60mL)を加え、水(1×30mL)および食塩水(1×30mL)で抽出した。次に有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3×30mL)、最後に食塩水(1×30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次に濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、以下の化合物:
【化32】

の2.4gの粗ジアステレオマー混合物が得られ、これをそれ以上精製せずに次の工程にかけた。
【0092】
3.4gの酢酸ナトリウムを室温で、上述したように調製した1.7g(7.3mmole)の粗ジアステレオマー混合物および10mLの酢酸無水物に加えた。この反応混合液を、浴温度が60℃に達するまで緩徐に加熱した。60℃で2.5〜3時間後、この反応混合液の温度を再び75〜80℃に上昇させた。この温度で0.5時間後、反応混合液を200mLの水の20gの炭酸水素ナトリウムの氷温溶液中へ注入し、1時間攪拌し、酢酸エチルで抽出した(3×15mL)。抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3×15mL)、水(3×15mL)、食塩水(1×15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、油としての1.4gの表題化合物(E10)が得られた。
【実施例11】
【0093】
3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E11)
【化33】

【0094】
0.75g(19.82mmole)の水素化ホウ素ナトリウムを、20mLのメタノール中の1.4g(6.51mmole)の3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘクス−5−エノフラノース(E10に記載したように調製できる)の攪拌溶液へ0〜5℃で加えた。0〜5℃で10分後、1mLの水を反応混合液に加えて反応をクエンチさせ、10%塩酸水溶液を用いて酸性化した。この混合液を減圧下で濃縮してメタノールを除去し、その後酢酸エチルを用いて抽出した(3×10mL)。
【0095】
抽出物は、5%塩酸水溶液(3×5mL)、水(1×5mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(1×5mL)、水(1×5mL)および食塩水(1×5mL)を用いて洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、0.6gの表題化合物(E11)が得られた。
【実施例12】
【0096】
3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−アミノ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E12)
【化34】

【0097】
手順A
アンモニア中の3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E11に記載したように調製できる)のスラリーを圧力下でラネーニッケル触媒上で水素化すると、表題化合物(E12)が得られた。
【0098】
手順B
35mLの水酸化ナトリウム(1N)を室温の3.5g(14.29mmole)の3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−メトキシカルボニルアミド−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E9に記載したように調製できる)に加え、次に浴温度が80〜85℃に達するまで緩徐に加熱した。80〜85℃で10時間の後、この反応混合液を室温まで冷却し、次に酢酸エチルを用いて抽出した(2×100mL、3×50mL)。合わせた酢酸エチルを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、表題化合物が得られた(E12;2.0g、74%)。
【実施例13】
【0099】
3,5−ジデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−[5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド]−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E13)
【化35】

【0100】
テトラヒドロフラン(5mL)中の3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−アミノ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E12に記載したように調製できる)(0.6g、3.21mmol)の溶液に室温で(±)4−フルオロ−α−[2−メチル−1−オキソプロピル]−γ−オキソ−N,β−ジフェニルベンゼンブタンアミド(特許文献3に記載の化合物XVII)(1.0g)、ピバル酸(0.32g、3.13mmol)、トルエン(5mL)およびn−ヘプタン(20mL)を加えた。
【0101】
この反応混合液を次に緩徐に加熱して、水を共沸除去しながら還流させた。TLC(薄層クロマトグラフィ)によって示されるように反応が完了した後(通常、24〜30時間の還流を要する)、反応混合液を室温になるまでそのまま冷まし、両方の層を分離するために、酢酸エチル(50mL)および水(25mL)を加えた。
【0102】
有機層を炭酸水素ナトリウム溶液(3×50mL)、水(3×50mL)、および最後に食塩水(1×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、表題化合物が得られた(E13)(1.5g)。
【実施例14】
【0103】
3,5−ジデオキシ−6−[5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド]−(αおよびβ)−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E14)
【化36】

【0104】
トリフルオロ酢酸(2mL)の水溶液(TFA:水、1.5mL:0.5mL)を0〜10℃で3,5−ジデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−[5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド]−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E13に記載したように調製できる)に加えた。TLC(薄層クロマトグラフィ)によって示されるように反応が完了すると(0〜10℃で4時間)、この反応混合液を冷水で希釈し、次に固体の炭酸水素ナトリウムで中和した。沈降した固体を濾過し、n−ヘキサンでスラリー化し、次に濾過した。残留物を酢酸エチル中に溶解させ、水(2×25mL)、および最後に食塩水(1×25mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮すると、表題化合物が得られた(E14)(0.4g)。
【実施例15】
【0105】
[R−(R,R)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−(フェニルカルバモイル)−1H−ピロール−1−ヘプタン酸(E15)
【化37】

【0106】
表題化合物(アトロバスタチン;E15)は、3,5−ジデオキシ−6−[5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド]−(αおよびβ)−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E14に記載したように調製できる)を、1炭素ホモログ化を含むウィッティヒ反応にかけることによって調製できる。そのような反応は当業者には容易に明らかであろうが、非特許文献1に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アトルバスタチンの調製における、式(I):
【化38】

(式中、
およびRは、独立して水素、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルカノール、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキルまたはC3−8シクロアルケニルを表し、
およびRは、独立して水素、ハロゲン、任意に1つ以上(例えば、1〜3つ)のR基で置換されたC1−6アルキル、任意に1つ以上(例えば、1〜3つ)のR基で置換されたC2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ハロC1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニル、−OR、−X−アリール、−X−ヘテロシクリル、−C(R)=O、−C(=Y)−O−Rを表し、
アリールは炭素環を表し、
ヘテロシクリルは任意に1つ以上(例えば、1〜3つ)のR置換基で置換された複素環を表し、
およびRは独立して水素またはC1−6アルキル基を表し、
はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−COOR、−NO、−CONR、−NRCOORまたは−NR基を表し、
Xは、結合、または−CO−(CH−、−COO−、−(CH−、−NR−(CH−、−(CH−NR−、−CONR−、−NRCO−、−SONR−、−NRSO−、−NRCONR−、−NRCSNR−、−O−(CH−、−(CH−O−、S−、−SO−もしくは−(CH−SO−、−SO−O−もしくは−O−SO−から選択されるリンカーを表し、
YはOまたはS原子を表し、
mは0〜4の整数を表し、
pは1〜4の整数を表す)の化合物の使用。
【請求項2】
式(I)の化合物は以下の式(I)
【化39】

(式中、R、R、RおよびRは、請求項1に記載したとおりである)の化合物であること、を特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
およびRは独立して水素またはC1−6アルキルを表すこと、を特徴とする請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
およびRはいずれもメチルを表すこと、を特徴とする請求項2に記載の使用。
【請求項5】
は1つ以上のR基で任意に置換されたC1−6アルキル、1つ以上のR基で任意に置換されたC2−6アルケニル、−X−ヘテロシクリルまたは−C(R)=Oを表すこと、
を特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
は、−CH−CH−NH、−CH−CH−NHCOOCH、−CH−CH−CONH、−CH−CH−NO、−CH−CH−、COO−CH−CH、−CH(OH)−CH−NO、−CH(OH)−CHOH、−CH=CH−COO−CH−CH、−CH=CH−NO、−C(H)=Oまたは式(i)
【化40】

の基を表すこと、を特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
は、水素、−OR、−X−ヘテロシクリルまたはC(=Y)−O−Rを表すこと、を特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
は、水素、−OH、−C(=S)−O−CHまたは式(ii):
【化41】

の基を表すこと、を特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
式(II):
【化42】

(式中、RおよびRは、請求項1に記載したとおりであり、nは1〜4の整数を表す)の化合物を調製するためのプロセスであって、以下の
(a)式(III):
【化43】

(式中、R、Rおよびnは、式(II)の化合物について規定したとおりであり、Pは、カルボベンジルオキシ(cbz)、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(fmoc)、ベンジル、p−メトキシフェニルまたは酢酸塩(例えば、−COOCH)基などの適切な保護基を表す)の化合物を脱保護する工程、または
(b)式(IV):
【化44】

(式中、R、R、およびnは、式(II)の化合物について規定したとおりである)の化合物を水素化する工程を含むこと、を特徴とする方法。
【請求項10】
1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−O−(イミダゾール−1−スルホニル)−α−D−グルコフラノース(E1)、
【化45】

3−S−アセチル−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−チオ−α−D−アロフラノース(E2)、
【化46】

1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ペントジアルド−1,4−フラノース(E5)、
【化47】

エチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプト−5−エノエート−1,4−フラノース(E6)、
【化48】

エチル3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタノエート−1,4−フラノース(E7)、
【化49】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロ−ヘプタミド−1,4−フラノース(E8)、
【化50】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−メトキシカルボニルアミド−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E9)、
【化51】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘクス−5−エノフラノース(E10)、
【化52】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−ニトロ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E11)、および
【化53】

3,5,6−トリデオキシ−1,2−O−イソプロピリデン−6−アミノ−α−D−エリスロ−ヘキソフラノース(E12)
【化54】

から選択されること、を特徴とする化合物。
【請求項11】
アトルバスタチンを調製するためのプロセスであって、以下の:
(a)式(II)
【化55】

の化合物を式(XVI):
【化56】

の化合物と反応させて式(XVII):
【化57】

の化合物を産生する工程と、
(b)上記に規定した式(XVII)の化合物を反応させ
式(XVIII):
【化58】

の化合物を産生する工程と、
(c)上記に規定した式(XVIII)の化合物を反応させ、アトルバスタチンを産生する工程とを含むこと、
を特徴とするプロセス。

【公表番号】特表2010−529181(P2010−529181A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511718(P2010−511718)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002008
【国際公開番号】WO2008/152386
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509342201)シービーズィー ケミカルズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】