説明

フランジ付連結装置

【課題】フランジ付プレストレスト漏止連結装置を提供する。
【解決手段】フランジ付プレストレスト漏止連結装置は、フランジ(130、140)の第1接触表面と第2接触表面(131、141)の間に形成されて、ガスケットハウジング(170)とフランジ(130、140)の周囲との間に配設される締付要素(150)と関連して、密封ガスケット(160)を受けるガスケットハウジング(170)を備える。第1接触表面と第2接触表面(131、141)は少なくとも、密封ガスケット(160)と締付要素(150)の間に位置する第1軸受領域(Z1)と、締付要素(150)とフランジ(130、140)の周囲との間に位置する第2軸受領域(Z2)とを提示して、締付要素(150)が締められた後、第2軸受領域(Z2)に掛かる最低限度の力が、第1軸受領域(Z1)に掛かる最低限度の力よりも小さいがゼロにならないようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1接触表面を設ける第1フランジと、上記第1接触表面に面して位置する第2接触表面を設ける第2フランジと、上記第1接触表面と第2接触表面の間に形成されるガスケットハウジング内に配設される密封ガスケットと、第1フランジと第2フランジを一緒に締め付ける締付手段とを備える、フランジ付プレストレスト漏止連結装置であり、締付手段が、第1接触表面および第2接触表面の少なくとも一部分をフランジ同士の間で接触させるように、ガスケットハウジングと第1フランジおよび第2フランジの周囲との間に配設される、フランジ付プレストレスト漏止連結装置に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、極端な動作条件、特に高圧力下、振動の存在下、ならびに非常に高い温度範囲下ないしは反対に非常に低い温度範囲下の厳しい環境で使用される、漏止連結装置に関する。
【背景技術】
【0003】
大きな内部圧力を受ける部材、例えば宇宙分野で使用されるエンジンまたは配管などの部材を組み立てるのには、例えば図1から図3に示すような、対面連結をもたらすフランジ付漏止連結器を使用するのが一般的な方法である。
【0004】
図1は、ボルトなどの連結部材50を使用して一緒に組み立てられる、対面式のフランジ30および40が取り付けられた2つの配管要素10と20の間の連結の実施例を示す。
【0005】
図2は、配管要素10および20の内側に圧力が掛かる前の図1における初期状態の連結を示す、軸方向断面図である。このとき、ボルト50が締められた後、円柱状平坦フランジ30の平坦面31は、フランジ30に面して位置する円柱状平坦フランジ40の平坦面41に押し付けられる。フランジ40は、密封ガスケット60を受ける空所70を画定する段42を提示し、そのようにして密封ガスケット60は、フランジ30の面31とフランジ40の段42との間に閉じ込められて保持される。
【0006】
図3で分かるように、配管要素10と20の内側の流体の存在によって作り出される内部圧力Pとの動作により、フランジ30とフランジ40の面31’および41’、42’は、連結部内側の圧力場の作用下で変形する。これはガスケット60用のハウジング70を開ける。その結果、密封ガスケット60は膨張し、その性能の一部分を失う。
【0007】
漏れ防止を保持するためには、大きな有効弾性復元度を有する専用ガスケットを使用する必要があるが、それらは、例えば特許文献、欧州特許出願公開第0261350号明細書、欧州特許出願公開第0711938号明細書、または欧州特許出願公開第0851258号明細書に記載されるようなガスケットよりも、製造が複雑である。したがって、ハウジング70が開くという問題に対処するために特別設計されたこのような専用ガスケットは、無視することのできない生産コストを呈する。
【0008】
さらに、例えばロケットエンジンに適用しようとすると、「オン/オフ」サイクルが繰り返される動作の場合のハウジング70の開閉の繰り返しは、ガスケットの摩耗および疲労を生じる。対面式連結の相対柔軟度が、システムの耐用年数を制御するのを困難にしている。このような対面連結における過剰な柔軟度を軽減させるには、フランジの重量を増大させることが必要となり、それは特に宇宙という適用分野では不利である。
【0009】
図4および図5で示す実施形態のように、密封ガスケット60を含むガスケットハウジング70と、配管要素10、20に、または軸線1の周囲を画定する他の要素に関連付けられた環状フランジ30、40にプレストレスを掛ける連結手段50との間に位置する領域で、第2フランジ40の面41に面する第1フランジ30の面31にランド33を形成するという提案もなされている。
【0010】
このような状況では、連結手段50を締め、内部圧力を掛ける前に、空所E(図4)が、フランジ30、40の周囲に、ランド33の外側のフランジ30の表面31aとフランジ40の表面41との間で画定される。
【0011】
動作中、連結手段が締められた後、配管部10、20の内側の圧力場Pの存在下で、フランジ30の表面31a’とフランジ40の表面41’との間の空所は小さくなり、フランジ30のランド33が、フランジ40の表面41’と接触したままになるのを可能にする。それにもかかわらず、フランジ30、40の周囲では、表面31a’と表面41’の間の空所は、完全には閉鎖しない。汚染物がフランジ間の空所に進入する危険があることから、これは様々な欠点をもたらし、またこの空所は、時間の経過とともにクリープを起こし、それによってフランジの板に湾曲を生じるが、存在する隙間のためにそれらは連結要素50によって確実な形で保持されなくなる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0261350号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0711938号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0851258号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の欠点を救済し、また、極めて高レベルの弾性復元度を有するガスケットを使用することが必須とならない、汚染の危険、もしくは温度、圧力、振動、および化学的攻撃の厳しい条件下の動作中に連結が変更される危険を最小限度に抑え、同時に過剰なコストを掛けず、連結装置の重量を増大せずに実施するのに適した、フランジ付プレストレスト漏止連結装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、第1接触表面を設ける第1フランジと、上記第1接触表面に面して位置する第2接触表面を設ける第2フランジと、上記第1接触表面と第2接触表面の間に形成されたガスケットハウジング内に配設される密封ガスケットと、第1フランジと第2フランジを一緒に締め付ける締付手段とを備える、フランジ付プレストレスト漏止連結装置であり、締付手段が、フランジ同士の間で第1接触表面と第2接触表面の少なくとも一部分を接触させるように、ガスケットハウジングと第1フランジおよび第2フランジの周囲との間に配設される、フランジ付プレストレスト漏止連結装置であって、第1接触表面と第2接触表面は、締付手段が締め付けられた後に、第2軸受領域に掛かる最小限度の力が第1軸受領域に掛かる最小限度の力よりも小さいが、ゼロにはならないように、少なくとも密封ガスケットの近傍に位置する第1軸受領域と、締付手段と第1フランジおよび第2フランジの周囲との間に位置する第2軸受領域とを設けることと、密封ガスケットが、0.1ミリメートル(mm)未満の有効復元度を呈することと、第1接触表面と第2接触表面が、締付手段が締められた後、第2軸受領域に掛かる最小限度の力が、第1軸受領域に掛かる最小限度の力の1%から20%、好ましくは5%から20%、より好ましくは8%から12%を構成するように、第1軸受領域と第2軸受領域を画定することと、を特徴とする、装置によって達成される。
【0014】
したがって本発明の装置は、従来技術の装置ではガスケットが除荷(オフロード)されるという結果を引き起こす、フランジの変形を制御することを可能にする。
【0015】
ガスケットハウジングにおけるフランジの変形を最小限にすることによって、高レベルの有効復元度を備え、高い性能を呈するコスト高の専用ガスケットに頼るのを回避しながら、密封機能を達成するとことが可能である。
【0016】
フランジの組み立て中、圧力下に連結部が置かれるときに生成される場に対向して曲げ応力場が生成されるため、フランジの変形は、圧力下に置かれるとき、特にガスケットハウジングの位置で、最小限度に抑えられる。
【0017】
さらに、2つの軸受領域の存在が、汚染の危険と、連結が使用中に劣化する危険とを回避し、同時にフランジ付連結の剛性度を制御すること、また連結手段の疲労を軽減することに寄与し、それによって連結装置の重量に関連する追加の制約を受けずに、また過剰な加工コストが掛からずに確実性を高めることを可能にする。
【0018】
本発明の一態様では、締付手段が締められる前に、第2軸受領域の第1接触表面と第2接触表面の間の距離は、第1軸受領域の第1接触表面と第2接触表面の間の距離よりも大きい。
【0019】
第1の可能な実施形態では、第1接触表面と第2接触表面は、第1軸受領域と第2軸受領域の間の連続表面である。
【0020】
この実施形態は特に、フランジ付連結からの熱の除去を促進することが望まれる場合に好ましい。
【0021】
他の可能な実施形態では、第1接触表面と第2接触表面のうちの少なくとも1つが、第1軸受領域と第2軸受領域のうちの少なくとも1つにランドを画定する。
【0022】
この実施形態は、フランジおよび連結手段に掛かる力に対して高レベルの制御をもたらす。
【0023】
より詳しくは、この実施形態の連結装置は、第1フランジの第1接触表面が、第1軸受領域に形成される第1ランドと、第2軸受領域に形成される第2ランドとを有し、第2フランジの第2接触表面が、連続的な均一な表面を設けるようにできる。
【0024】
他の可能な実施形態では、第1フランジの第1接触表面は、第1軸受領域に形成される第1ランドを含み、第2フランジの第2接触表面は第2軸受領域に形成される第2ランドを設ける。
【0025】
第1軸受領域は、密封ガスケットと締付手段の間に有利に位置し、そのようにして特にガスケットを外側の環境から完全に保護することを可能にする。
【0026】
本発明の連結装置は特に、0.02mmから0.1mmの範囲にある有効復元度(Ru)を呈する密封ガスケットを含むように適合される。
【0027】
本発明の連結装置は、特に宇宙で、あるいは厳しくなり得る環境条件での加圧下で機器を使用する、化学産業、石油化学産業、または原子力産業などの産業分野で使用するために、配管に、または加圧下の流体を含む容器に適用することができる。
【0028】
本発明の他の特徴および利点が、添付の図面を参照してここに掲げる特定の実施形態についての以下の記述から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
最初に図10を参照するが、図10は、ガスケットに対する圧縮力が、図1から図5を参照して述べた種類の従来型フランジ付連結装置のガスケットの平坦化の関数としてどのように変化するかを、簡単な形で示す。
【0030】
点OとAの間のその部分の曲線Cは、ガスケットが平坦化されつつある段階の間のガスケットの圧縮を表すが、この平坦化は、フランジ同士が一緒に組み立てられ、連結要素同士が締め付けられるときに起こる。
【0031】
曲線Dは、除荷を表す直線であり、点AとBの間で、曲線Dはここでdと記す連結に対する除荷における変化、即ち組み立て中に得られるその最高限度の平坦化δからのガスケットの弛緩を表し、フランジ付連結によって相互連結される配管要素またはタンク要素の内側に動作圧力が掛かかるという影響のもとで起こることとして、ガスケットに掛かる力は、点Aの値Fから点Bのより低い値Fへと変遷する。
【0032】
連結が漏止であるためには、値Fは、ガスケットの有効復元度Ruに相当する、ここにFsealと記載する密封限界力よりも大きいままでなくてはならない。
【0033】
ガスケットの有効復元度Ruが除荷dよりも大きいままである場合、連結は引き続き漏止のままである。
【0034】
図2および図3で示すもののような、従来技術による対面式のフランジ付連結では、ガスケットの除荷は、0.10mmよりも大きな値に達する可能性があり、それによって0.10mmよりも大きな有効復元度を有する専用ガスケット、あるいはフランジ付連結を硬化してフランジ付連結をより重くする他のものを使用することが必要になり、それが様々な使用分野、特に宇宙分野で障害となる。
【0035】
続いて、本発明によるフランジ付プレストレス漏止連結装置の第1実施形態を、図6および図7を参照して説明する。
【0036】
この実施形態では、軸線101のまわりの回転体の形態の配管またはタンクセグメント110、120は、それぞれの環状フランジ130と140に連結される。フランジ130と140は、フランジを通過し、フランジ130、140にプレストレスを掛ける役目を果たす、ボルト、ねじ、ピンなどの連結要素150を有する。
【0037】
図6は、連結要素150が締められる前の連結装置を示す。
【0038】
軸線101に対して実質的に横断方向に延びる上フランジ130の底面131は、セットバック部分が全くない連続表面であることが分かる(連結要素150を通すための開口部は除く)。底フランジ140の上面141は、フランジ130の面131に面して位置し、これも同様に、連結要素150を通すための開口部と、ガスケット160用のハウジング170を形成するためのセットバック部分142とを除いて、軸線101に対して本質的に横断方向に延びる連続表面である。
【0039】
「底」および「上」という用語は、図面上のフランジの位置を参照して便宜上使用するものであり、フランジ付連結は、当然ながら垂直線に対して相対的に任意の位置を取り得ることに留意されたい。
【0040】
図6に示す初期位置で、表面131と141は、ガスケット160の近傍の第1領域Z1にわたって、例えば、フランジの直径が約200mm以下である場合、数ミリメートル程度、あるいはフランジの直径が約200mmよりも大きい場合、数センチメートル程度となるある距離にわたって、接触している。それとは対照的に、連結手段150とフランジ130および140の周囲との間に位置する領域Z2では、表面131と141は、10分の数ミリメートル程度、例えば0.2mmから0.5mmの範囲にある場合がある特定距離E分、相互に離隔している。
【0041】
連結要素150が締められた後(図7)、領域Z2でそれまで分かれていた表面131と141の間の空所が閉鎖され、相互に面して位置したフランジ130と140の面が、それら面全体にわたって接触する。内部圧力Pが配管要素110、120の内部に掛かるときも、表面131と141が領域Z1またはZ2で離れることはない。
【0042】
領域Z2内の距離Eは、締付手段150が締められた後も、軸受領域Z2に掛かる最小限度の力が、第1軸受領域Z1に掛かる最小限度の力よりも小さくなるが、ゼロではないように、即ち第1軸受領域Z1に掛かる最小限度の力の1%から20%、有利には5%から20%、好ましくは8%から12%を構成するように決定される。その結果、内部圧力場Pとの動作で、対面式連結で起こるはずの連結の隙間(ガスケット用ハウジングが開いてしまう)という現象は見られず、ガスケットが除荷されるという現象は、例えば0.06mm程度の値に軽減され、そのようにして、標準型ガスケット、例えば有効復元度が0.08mmから0.10mmの範囲にあるガスケットを使用できるようにする。
【0043】
締め付け力は以下のように分配することができる。圧力および外部荷重の関数として、第1軸受領域Z1に掛かる最低限度の締め付け力を知って、有限要素に基づく計算を使用して、2つの軸受領域Z1とZ2の高さの差異を最適化し、あるいは図6で示すような、フランジが円錐形である実施形態の表面131と141の間の角度を最適化する。これは、パラメータを第2軸受領域Z2に対する1%から20%の範囲の力を得るようにパラメータ化し、パラメータを変化させることによってなされる。
【0044】
このような状況下で、締め付けの後、フランジ130、140の対面表面131、141は接触し、汚染がフランジ同士の間で発生し得る空間は全く存在せず、熱がフランジを通って十分に消散する。さらに、内部圧力の影響下の動作で、領域Z1の接触圧力は領域Z2で外側直径に向かって移動するが、それにもかかわらず、領域Z1で接触面積は大きいままであり、分離が見られないか、またはごくわずかな分離しか見られず、したがってガスケットによって実現される密封の品質は影響を受けない。
【0045】
表面131、141の外形は、例えば有限要素を使用した計算によって、締め付け後、接触圧力が領域Z2で低いままとなり、ガスケットにより接近して位置する領域Z1では高くなるように画定される。
【0046】
続いて、本発明の他の実施形態を図8および図9を参照して述べる。
【0047】
図8および図9では、図6および図7の実施形態の要素と類似のものには、同じ参照符号を付しており、それらについて再度述べることはしない。
【0048】
図8および図9のフランジ付プレストレス漏止連結装置は、図6および図7の装置のフランジ140と同一のフランジ140を設ける。それとは対照的に、図8および図9の装置のフランジ130は、連続ではないが、(第1ランドを構成する)上フランジ130の表面131cが、底フランジ140の表面141と長さeにわたって接触する領域Z1に続くセットバック部分131aを含む底表面131を有し、セットバック部分131aの次には、第2ランドを構成する端部131bが続く。
【0049】
連結ボルト150(図8)を締める前の組み立て位置では、フランジ130の表面131cは、領域Z1で距離eにわたってフランジ140の表面141と接触するが、この距離は、例えばフランジの直径が約200mm以下である場合、数ミリメートルであり、フランジの直径が約200mmよりも大きい場合、1センチメートル以上である。また10分の数ミリメートル程度、例えばフランジ130の第1ランド131bとフランジ140の対面表面141との間の領域Z2で0.3mmから0.8mm程度の空間Eもある。
【0050】
締付手段150が締められた後(図9)、表面131cと141は領域Z1で接触したままであり、ランド131b自体は、フランジ130と140の周囲に開空間ができないように、フランジ140の表面141と接触する。
【0051】
図6および図7の実施形態のように、ボルト150が締められた後、軸受領域Z2に掛かる最小限度の力は、軸受領域Z1に掛かる最小限度の力よりも小さいが、ゼロではなく、軸受領域Z1に掛かる最小限度の力の1%から20%、有利には5%から20%、好ましくは8%から12%を構成する。
【0052】
動作中、圧力Pが配管セグメント110、120の内側に掛かるとき、連結の隙間は見られず、即ち類似の連結で見られるはずの種類の隙間は見られず、ランドのない対面式の隙間が見られる。さらに、上述の領域Z1とZ2のランド131cと131bを備えた実施形態は、外側ランド131bによって領域Z2に伝えられるスラストのせいで起こるフランジの回転を制限する機能も呈する。
【0053】
組み立てでは、接触圧力が、軸受領域Z1のガスケットの直径近くに局部集中されることが見られる。動作中、接触圧力が外側直径に向かって移動するが、接触は引き続きランド131bと131cの両方にとどまる。これは、接触圧力がガスケット近傍に保存されるのを可能にする。
【0054】
図8および図9に示すような2段ランド式連結装置は、図6および図7の装置よりもさらに、従来型の対面式連結に対してガスケットへの除荷を軽減するのを可能にし、そのようにして例えば0.05mm程度のより小さな有効復元度を有する、あるいは小さな直径のフランジ用に、それよりもさらに小さな、例えば0.02mmの有効復元度を呈するガスケットを使用するのを可能にする。一般に、0.1mm未満の有効復元度を呈するガスケットを使用することが可能である。
【0055】
2段ランド式フランジ付プリストレスト漏止連結装置は、組み立てと動作の間で準一定の極めて大きな剛性および変形を呈すると同時に、外部汚染に対して閉鎖された空間を画定する。
【0056】
2つのランド131c、131bに位置する2つの軸受領域Z1、Z2の2つの接触平面の存在は、接触圧力が、可能な限り十分に分配されることを可能にすると同時にあらゆる隙間を回避し、また、必要な機械加工が簡単で、第2ランド131bが安全な受面を形成することからボルトが過剰に締められることが可能であるため、設計および組み立てに大きな柔軟性を付与する。
【0057】
図8から分かるように、外側ランド131bの高さは、内側ランド131cよりも小さく、この高さの差異こそが、ガスケットの近傍で負荷が高レベルに維持されながら(領域Z1)、フランジの周囲では負荷がゼロに向かう(領域Z2)ようにプレストレスを調整し、力を配分することを可能にする。
【0058】
図11および図12は、図8および図9の連結装置の変形実施形態を示す。
【0059】
図11および図12の実施形態では、フランジ130と140の対面表面131と141は、引き続き2つのランドを画定するが、それらは同じ表面には作られない。
【0060】
図11および図12の実施形態では、フランジ130の接触表面131は、軸受領域Z1に形成される単一のランド131cを有して、組み立ての際、またボルト150が締められる前に、フランジ140の表面141と長さeにわたって接触することを可能にする(図11)。
【0061】
他方のフランジ140は、軸受領域Z2でフランジ130の表面131aに面して形成されるそれ自体のランド141bを有し、その際、ボルト150が締められる前にこの表面131aに対して空間Eを置く(図11)。
【0062】
ボルト150が締められた後、フランジ140の表面141のランド141bが、軸受領域Z2でフランジ130の表面131aに当接し、それによってフランジ130と140の間の空間をそれらの周囲で閉鎖することに寄与する(図12)。
【0063】
配管セグメント110と120が内部圧力P下に置かれると、ランド131cと141bは、図8および図9の実施形態のランド131cと131bと全く同じ役割を果たす。
【0064】
状況によっては、1つのフランジに対して1つのランドしか作らないことも、フランジ130、140を製作するのをより容易にすることができるが、機能的な観点からは、図11および図12の実施形態は、図8および図9のそれと完全に等価である。
【0065】
図11および図12に示す実施形態では、軸受領域Z1の長さeは、数ミリメートルまたは数センチメートル程度であってよく、一方、ランド141bと対面表面131aの間の空所Eは、ボルト150が締められる前は、一般的に0.05mm程度であってよい。ランド141bの高さも、図8および図9のランド131bのそれと同様に、ランド131cの高さが一般的に0.1mm程度であるように、一般的に0.05mm程度であることができる。
【0066】
図13から図15は、加圧下、例えば320バール程度の水素などの流体を含むための容器への本発明の適用を示す。
【0067】
この用途では、フランジ230は、ストッパまたは蓋210の周囲部分によって構成される。フランジ230は、タンク220の上部分によって構成されるフランジ240の上に載り、フランジ240は内部開口またはマンホール280を画定する。フランジ230と240は、環状フランジ230と240の周囲のまわりに分布されるピン250によって、一緒に連結される。
【0068】
ここに述べる実施例では、開口280は500mmの直径を提示し、開口280の近傍のガスケットハウジング270に配置されるガスケット260は、520mmの直径を呈する。
【0069】
ピン250は、900mmの直径を有する円に分布され、16本ある。各ピンそれぞれの張力は565キロニュートン(kN)である。
【0070】
使用されるO−リングガスケットは、9.4mmのトーラス直径を提示し、0.09mmの有効復元度を有する。ガスケットの平坦化力は580N/mmである。
【0071】
ピン250を締める前の図14と、ピン250を締めた後の図15とで見ることのできる構成は、図6および図7を参照して上述した構成と類似である。
【0072】
したがって、ストッパ210の部分230の底表面231は、ストッパ210がタンク220上に組み立てられ、ピン250を締める前に、対面式連結とは異なって、フランジ230の底表面231全体とフランジ240の上表面241との間に接触がないように機械加工され、これらの表面231と241は、ガスケット260の近傍に位置する軸受領域Z1で、分かれ、最初は例えば12mm程度の距離eにわたってしか接触しない。一方、領域Z2のピン250の外側の、フランジ230、240の周囲では、表面231と241の間で、例えば0.3mmから0.6mmの範囲にある空所Eが存在する(図14)。
【0073】
ピン250が締められた後、軸受領域Z2にはもはや空所Eは存在せず、連結は、密封マージンを増大させガスケット260の除荷を軽減するプレストレスによって、密封された形で閉鎖される。
【0074】
図17は、上述の実施例で、0.09mmの有効復元度Ruを呈するガスケット260に関して、このガスケットの除荷は、連結の円錐度によって、即ちピン250が締められる前の、軸受領域Z2の表面231と241の間の空所Eの値によって決まることを示す。
【0075】
曲線Gは、0.3mmから1mmの範囲にあるEの値が、0.025mmから0.035mmの範囲にある、即ちガスケットの有効復元度Ruよりも極めて小さな、除荷を得ることを可能にし、それによって、極めて大きな有効復元度をもたらすガスケットを使用する必要なく、十分な密封を保証することを示す。
【0076】
したがって、値Eが大きくなればなる程、除荷の値は小さくなることが分かる。それにもかかわらず、図16の曲線Fによって示すとおり、与圧中のピンの張力の変化を、円錐度(空所Eの値)の関数として考慮に入れる場合、ここに述べる実施例では、約0.3mmの開口(空所E)を有する円錐が、ピンの張力の変化を約1%の値まで抑えることを可能にし、一方この張力の変化は、0.6mm程度であるEの値に対して15%にもなることができるということが分かる。
【0077】
したがって、ここに述べる実施例では、Eに対して0.3mmの値を選択することが、ピンの張力の極めて小さな変化(0.7%)しか伴わないで、0.036mmの除荷(図17)を得ることを可能にする。
【0078】
0.036mmの除荷は、0.09mmであるガスケットの有効復元度に対して150%のマージンを表す。反対に、従来型の対面式連結(ゼロと等しい値を有する空所Eに相当する)は、与圧中にピン250の張力に52%の増加と、約0.21mmの除荷とをもたらすことになり、これは0.09mmの有効復元度を有するガスケットとは適合できない。従来型の対面式連結では、したがって、このような従来型対面式連結のガスケットの近傍に生じる大きな開口のために、約0.3mmよりも大きな有効復元度を呈する専用ガスケットを設計することが必要となる一方、上述した種類の本発明による連結では、ガスケットハウジング270の近傍に実質的には開口はなく、ストッパの変形が、フランジ230、240の近傍の瓶(bottle)の変形と合致する。
【0079】
最後に、フランジ付プレストレスト漏止連結装置では、フランジは有利に、締付部材150、250の他には全く付属品を加えずに一体的に作られ、そのようにしてフランジに振動に耐える卓越した能力を与えることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】従来技術によるフランジ付連結の実施例の斜視図である。
【図2】プレストレスをもたらすボルトを締める前の、従来技術による対面式フランジ付連結装置の実施例の軸方向断面図である。
【図3】プレストレスをもたらすボルトを締めた後の、従来技術による対面式フランジ付連結装置の実施例の軸方向断面図である。
【図4】プレストレスをもたらすボルトを締める前の、従来技術による単一のランドを有するタイプのフランジ付連結装置の実施例の軸方向半断面図である。
【図5】プレストレスをもたらすボルトを締めた後の、従来技術による単一のランドを有するタイプのフランジ付連結装置の実施例の軸方向半断面図である。
【図6】プレストレスをもたらすボルトを締める前の、本発明による連続表面を有するタイプのフランジ付プレストレスト漏止連結装置の第1実施例の軸方向半断面図である。
【図7】プレストレスをもたらすボルトを締めた後の、本発明による連続表面を有するタイプのフランジ付プレストレスト漏止連結装置の第1実施例の軸方向半断面図である。
【図8】プレストレスをもたらすボルトを締める前の、本発明による単一フランジに形成された2つのランドを有するタイプのフランジ付プレストレスト漏止連結装置の、第2実施例の軸方向半断面図である。
【図9】プレストレスをもたらすボルトを締めた後の、本発明による単一フランジに形成された2つのランドを有するタイプのフランジ付プレストレスト漏止連結装置の、第2実施例の軸方向半断面図である。
【図10】ガスケットの平坦化の関数としてのガスケットに対する圧縮力の変化を示す簡略化グラフである。
【図11】プレストレスをもたらすボルトを締める前の、本発明による2つの異なったフランジに形成された2つのランドを有するタイプのフランジ付プレストレスト漏止連結装置の、第3実施例の軸方向半断面図である。
【図12】プレストレスをもたらすボルトを締めた後の、本発明による2つの異なったフランジに形成された2つのランドを有するタイプのフランジ付プレストレスト漏止連結装置の、第3実施例の軸方向半断面図である。
【図13】本発明の漏止連結装置の、加圧下の流体のタンクへの適用を示す軸方向半断面図である。
【図14】プレストレスをもたらすピンを締める前の、図13のタンク用の漏止連結装置を示す詳細図である。
【図15】プレストレスをもたらすピンを締めた後の、図13のタンク用の漏止連結装置を示す詳細図である。
【図16】図14および図15の装置の、それが加圧下に置かれている間のピンの張力の変化を、漏れ止め連結装置のフランジの表面の円錐度の関数として示すグラフである。
【図17】図14および図15の漏止連結装置のフランジの表面の円錐度の関数として、ガスケットの除荷と有効復元度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0081】
10、20、110、120 配管要素
30、40、130、140、230、240 フランジ
31、31a’、41、41’、131、131a、141、231、241 フランジの表面
33、131b、131c、141b ランド
42 フランジの段
50、150、250 連結部材
60、160、260 密封ガスケット
70、170、270 ガスケットハウジング
101 軸線
131a、142 セットバック部分
210 ストッパ
220 タンク
250 ピン
280 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接触表面(131、231)を設ける第1フランジ(130、230)と、前記第1接触表面(131、231)に面して位置する第2接触表面(141、241)を設ける第2フランジ(140、240)と、前記第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)の間に形成されたガスケットハウジング(170、270)内に配設される密封ガスケット(160、260)と、第1フランジ(130、230)と第2フランジ(140、240)を一緒に締め付ける締付手段(150、250)とを備える、フランジ付プレストレスト漏止連結装置であり、締付手段が、フランジ同士の間で第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)の少なくとも一部分を接触させるように、ガスケットハウジング(170、270)と第1フランジ(130、230)および第2フランジ(140、240)の周囲との間に配設される、フランジ付プレストレスト漏止連結装置であって、この装置は、
第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)が、締付手段(150、250)が締め付けられた後に、第2軸受領域(Z2)に掛かる最小限度の力が第1軸受領域(Z1)に掛かる最小限度の力よりも小さいが、ゼロにはならないように、少なくとも密封ガスケット(160、260)の近傍に位置する第1軸受領域(Z1)と、締付手段(150、250)と第1フランジ(130、230)および第2フランジ(140、240)の周囲との間に位置する第2軸受領域(Z2)とを設けることと、
また第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)は、締付手段(150、250)が締められた後、第2軸受領域(Z2)に掛かる最小限度の力が、第1軸受領域(Z1)に掛かる最小限度の力の1%から20%を構成するように、第1軸受領域(Z1)と第2軸受領域(Z2)を画定することと、
また密封ガスケット(160、260)が、0.1mm未満の有効復元度(Ru)を呈することと、
を特徴とする、装置。
【請求項2】
第1軸受領域(Z1)が、密封ガスケット(160、260)と締付手段(150、250)との間に位置することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)が、締付手段(150、250)が締められた後、第2軸受領域(Z2)に掛かる最低限度の力が、第1軸受領域(Z1)に掛かる最低限度の力の5%から20%を構成するように、第1軸受領域(Z1)と第2軸受領域(Z2)を画定することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)が、締付手段(150、250)が締められた後、第2軸受領域(Z2)に掛かる最低限度の力が、第1軸受領域(Z1)に掛かる最低限度の力の8%から12%を構成するように、第1軸受領域(Z1)と第2軸受領域(Z2)を画定することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
締付手段(150、250)が締められる前に、第2軸受領域(Z2)の第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)の間の距離(E)が、第1軸受領域(Z1)の第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)の間の距離よりも大きいことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
第1接触表面(131、231)と第2接触表面(141、241)が、第1軸受領域(Z1)と第2軸受領域(Z2)の間で連続表面であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第1接触表面(131)と第2接触表面(141)のうち少なくとも一方が、第1軸受領域(Z1)と第2軸受領域(Z2)のうち少なくとも一方でランド(131c、131b、141b)を画定することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
第1フランジ(130)の第1接触表面(131)が、第1軸受領域(Z1)に形成される第1ランド(131c)と、第2軸受領域(Z2)に形成される第2ランド(131b)とを有し、第2フランジ(140)の第2接触表面(141)は、連続した均一表面を呈することを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第1フランジ(130)の第1接触表面(131)が、第1軸受領域(Z1)に形成される第1ランド(131c)を含み、第2フランジ(140)の第2接触表面(141)は、第2軸受領域(Z2)に形成される第2ランド(141b)を設けることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
締付手段(150、250)が、第1フランジ(130、230)と第2フランジ(140、240)に垂直に配設される1組のボルトを備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
密封ガスケット(160、260)が、0.02mmから0.1mmの範囲にある有効復元度(Ru)を呈することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
配管に、または圧力下の流体を含む容器に適用されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−100959(P2007−100959A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−272790(P2006−272790)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】