説明

フリッカ検出装置、点灯条件設定装置、表示パネル、電子機器及びフリッカ検出方法

【課題】既存のフリッカ低減技術は、システム規模が大型化し、製造コストも高い。
【解決手段】まず、入力画像全体の平均輝度レベル、輝度分布情報、1フレーム内の総発光時間長に基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定する。次に、入力画像から検出される輝度分布情報に基づいてブロック領域の配置を決定する。続いて、輝度分布情報と動き量に基づいて、配置が決定した各ブロック領域の面積を決定する。その後、第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の各ブロック領域の合計面積を集計する。この合計面積が第2の閾値以上の場合、その継続状態を発光時間として計測する。更に、フレームレート、発光時間、その計測対象になったブロック領域の合計面積に基づいてフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出し、発光モードを最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書で説明する発明は、フリッカによる画質低下を適応的に回避する技術に関する。なお発明は、フリッカ検出装置、点灯条件設定装置、表示パネル、電子機器及びフリッカ検出方法としての側面を有する。
【背景技術】
【0002】
昨今における液晶パネルの普及に伴い、フリッカと呼ばれる画面のちらつき現象の指摘は少なくなっている。主な要因は、ホールド型の駆動方式を採用する液晶パネルでは、応答特性が鈍くなるためである。ところが、この応答特性の鈍さは、液晶パネルの動画応答特性を低下させる要因にもなる。
【0003】
この反対に、動画応答特性が非常に高い表示デバイスとして、CRT(Cathode
Ray Tube)、FED(Field Emission Display)やOLED(Organic LED)デバイスがある。また、昨今ではハイフレームレート化により、動画応答性を改善した液晶パネルもある。これらの表示デバイスは、一般にインパルス型の駆動方式を採用する。このため、動画応答特性が優れている。その反面、これらの表示デバイスには、フリッカが知覚され易くなる副作用がある。
【特許文献1】特開2002−75038号公報
【特許文献2】特開2005−107181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、フリッカの少ない表示デバイスには動画応答性の低さが目立ち易い問題がある。一方、動画応答性に優れる表示デバイスにはフリッカが目立ち易い問題がある。このように、既存の駆動方式は特性の両立が難しい。
なお、一つの解決策として、駆動信号のフレームレートを高くする方法が考えられている。この方法は、ハイフレーム化により、フリッカの認識レベルの低下を図るものである。
【0005】
しかし、駆動信号のハイフレームレート化には、大規模なシステム集積回路や大容量メモリが必要とされる。このシステムの大規模化は、コスト上昇や物理的な部品配置の制約を伴い、結果としてデザインの自由度を低下させる問題がある。なお、フリッカの視認性については、フレーム周波数や表示内容も影響する。従って、単純なハイフレーム化だけでは、表示品質を改善することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、発明者らは、以下に示す駆動技術を提案する。
(A)フリッカ検出装置(処理方法)
発明者は、後述する(a)ブロック数決定部(処理)と、(b)ブロック位置決定部(処理)と、(c)ブロック面積決定部(処理)と、(d)発光時間計測部(処理)と、(e)フリッカ情報算出部(処理)とを有するフリッカ検出装置を提案する。また、一連の処理機能はハードウェア処理だけでなく、ソフトウェア処理としても実現されることが望ましい。
【0007】
(a)ブロック数決定部
ブロック数決定部は、入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定する処理機能部である。因みに、輝度分布情報は、例えば1画素又は複数画素単位で検出される輝度レベルの分布情報として与えられる。
【0008】
ここで、総点灯期間長とは、1フレーム期間のうち発光素子が点灯している期間長の総和をいう。すなわち、1フレーム期間のうち画像が実際に表示されている期間をいう。従って、点灯期間は、1フレーム期間内に1回の場合だけでなく、複数回の場合も含まれる。図1に、1フレーム期間内の点灯期間が1回の例を示す。図中、網掛けで示す部分が点灯期間である。
【0009】
この明細書では、個々の点灯期間の長さを点灯期間長という。図1の場合、点灯期間は1回であるので、その点灯期間長と総点灯期間長とは一致する。
因みに、図1(A)は、総点灯期間長が1フレーム期間の数%の例である。図1(B)は、総点灯期間長が1フレーム期間の25%の例である。図1(C)は、総点灯期間長が1フレーム期間の50%の例である。図1(C)は、総点灯期間長が1フレーム期間の75%の例である。
【0010】
1フレーム期間内の点灯期間が1個の場合、総点灯期間長が短いほど動画応答性が高まる。一方、総点灯期間長が長いほどフリッカが見え難くなる。ただし、1フレーム期間内の点灯期間が複数個の場合、総点灯期間長だけでなく、個々の点灯期間の長さや配置の仕方によって動画の応答特性やフリッカの視認性が変化する。
【0011】
また、総点灯期間長を制御すると、ピーク輝度レベルを制御することができる。図2に、総点灯期間長の長さとピーク輝度レベルとの関係を示す。図2に示すように、総点灯期間長が異なれば、信号電位が同じでも輝度レベルが変化する。この輝度レベルの変化は、階調情報に基づく輝度レベルの変化とは異なり、画面全体に一様に作用する変化である。
【0012】
(b)ブロック位置決定部
ブロック位置決定部は、入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、ブロック領域の配置を決定する処理機能部である。基本的に、ブロック位置決定部は、輝度レベルの高い画素が多く分布する領域に多くのブロック領域を配置する。
(c)ブロック面積決定部
ブロック面積決定部は、輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、ブロック位置決定部により決定された各ブロック領域の面積を決定する処理機能部である。
【0013】
(d)発光時間計測部
発光時間計測部は、第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する処理機能部である。第1及び第2の閾値は、いずれもフリッカが視認される場合の必要条件に基づいて設定される。
【0014】
(e)フリッカ情報算出部
フリッカ情報算出部は、入力画像のフレームレートと、前述した発光時間計測部で計測された発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出する処理機能部である。
【0015】
これら処理機能部の組み合わせにより、算出されるフリッカ情報には、入力画像の内容(輝度分布情報、総発光期間長、動き量、高輝度領域の面積、高輝度領域の継続発光時間)と表示形態の内容(フレームレート)が反映される。このため、フリッカの見え方を正確に検出(予測)することができる。
【0016】
(f)追加条件1
なお、前述したフリッカ検出技術におけるブロック数決定部は、平均輝度レベルが第3の閾値以上であり、かつ、総発光期間長が第4の閾値未満の場合にはブロック領域の数を1個に設定し、平均輝度レベルが第3の閾値未満、又は総発光期間長が第4の閾値以上の場合には、輝度分布情報に基づいて予め用意された初期値を増減することが望ましい。
【0017】
ここで、前者は、画面全体がフリッカの目立ちやすい画面の場合の動作であり、後者は、フリッカの目立ちやすい領域が画面内の一部に集中的に表れる場合の動作を意味している。この処理動作を採用することにより、後段処理で必要とされる演算量を最小化できる。
【0018】
(g)追加条件2
また、前述したフリッカ検出技術におけるブロック面積決定部は、輝度レベルが高いほどブロック領域の初期面積を減らすように演算する処理機能と、動き量が大きいほどブロック領域の初期面積を増やすように演算する処理機能とを有することが望ましい。この処理動作により、フリッカの目立ち易い領域に対応するブロック領域の面積は小さくなり、フリッカの目立ち難い領域に対応するブロック領域の面積は大きくなる。
【0019】
このように、後段の判定処理で使用するブロック領域の面積を小さくすることにより、該当領域がフリッカの目立ちやすい領域か否かの検出精度を高めることが可能になります。一方、動き量が大きい領域は、フリッカが目立つことがないので、ブロック領域の面積を大きくして演算量の削減を実現します。
【0020】
(h)追加条件3
また、前述したフリッカ検出技術におけるブロック位置決定部は、輝度分布の高い領域には予め用意された初期値よりも多い数のブロック領域を配置し、輝度分布の低い領域には予め用意された初期値又は初期値よりも少ない数のブロック領域を配置する機能を有することが望ましい。この処理機能とブロック面積の決定機能の組み合わせにより、高輝度領域には多くの小面積のブロック領域を配置することができる。このように、高輝度領域に多くのブロック領域を配置すれば、当該領域部分の判定精度を高めることができる。
【0021】
(B)点灯条件設定装置、表示パネル及び電子機器
前述したフリッカ検出装置に、後述する発光モード判定部と点灯期間設定部とを組み合わせて点灯条件設定装置を構成することが望ましい。
ここで、発光モード判定部は、算出されたフリッカ情報に基づいて、発光モードを判別する処理機能部である。
【0022】
また、点灯期間設定部は、1フレーム内の総発光時間長を満たすように、判別された発光モードについて規定された設定条件に従って、1フレーム期間内に配置される点灯期間の数、配置位置及び期間長を設定する処理機能部である。
この構成の採用により、入力画像に適した点灯条件を設定することができる。
【0023】
また、前述した点灯条件設定装置に、表示画素がマトリクス配置された画素アレイ部と、設定された期間長が得られるように駆動パルスを発生し、当該駆動パルスに基づいて画素アレイ部を駆動する駆動部とを組み合わせて表示パネルを実現することが望ましい。
もっとも、前述した点灯条件設定装置には、表示画素がマトリクス配置された画素アレイ部と、画素アレイ部のバックライトと、設定された期間長が得られるように駆動パルスを発生し、当該駆動パルスに基づいてバックライトを駆動する駆動部とを組み合わせることもできる。
【0024】
また、これら2種類の表示パネルのいずれか一方と、システム全体の動作を制御するシステム制御部と、システム制御部に対する操作入力を受け付ける操作入力部とを組み合わせて電子機器を実現することもできる。
【発明の効果】
【0025】
発明者の提案する処理技術の採用により、入力画像の内容を正確に反映したフリッカ情報(フリッカ成分の評価値)を算出することができる。このフリッカ情報を用いれば、入力画像を反映した発光モードを設定することができる。これにより、1フレーム期間内の総点灯期間長を満たしながら、1フレーム期間内に配置する点灯期間の数、配置位置及び期間長を最適化することができる。しかも、発明者の処理技術にはハイフレーム化処理を必要としないため、処理システムに必要とされる回路規模を小さくすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、明細書において提案する発明を、アクティブマトリクス駆動型の有機ELパネルに適用する場合について説明する。
なお、本明細書で特に図示又は記載されない部分には、当該技術分野の周知又は公知技術を適用する。
また以下に説明する形態例は、発明の一つの形態例であって、これらに限定されるものではない。
【0027】
(A)有機ELパネルの外観構造
この明細書では、画素アレイ部と駆動回路(例えば制御線駆動部、信号線駆動部、点灯条件設定部等)を同じ基板上に形成する表示パネルだけでなく、例えば特定用途向けICとして製造された駆動回路を画素アレイ部と同じ基板上に実装したものも含めて表示パネルと呼ぶ。
【0028】
図3に、有機ELパネルの外観例を示す。有機ELパネル1は、支持基板3に対向基板5を貼り合わせた構造を有している。
支持基板3は、ガラス、プラスチックその他の基材で構成される。対向基板5も、ガラス、プラスチックその他の透明部材を基材とする。対向基板5は、封止材料を挟んで支持基板3の表面を封止する部材である。
【0029】
なお、基板の透明性は光の射出側だけ確保されていれば良く、他方の基板側は不透性の基板でも良い。
この他、有機ELパネル1には、外部信号や駆動電源を入力するためのFPC(フレキシブルプリントサーキット)7が必要に応じて配置される。
【0030】
(B)形態例1
(B−1)システム構成
図4に、この形態例に係る有機ELパネル11のシステム構成例を示す。有機ELパネル11は、画素アレイ部13と、信号線駆動部15と、制御線駆動部17と、駆動パルス発生部19と、点灯条件設定部21とをガラス基板上に配置した構成を有している。
【0031】
なお、点灯条件設定部21は、輝度レベル検出部31、総発光期間長制御部33、フリッカ検出部35、発光モード判定部37、ユーザー設定部39及び点灯期間設定部41とで構成される。
因みに、画素アレイ部13以外の各機能ブロックは、画素アレイ部13と同じ製造プロセスを用いてガラス基板上に形成しても良いし、半導体集積回路として製造してガラス基板上に実装しても良い。
【0032】
(B−2)各デバイスの構成
以下、有機ELパネル11を構成する各デバイス(機能ブロック)の形態例を順番に説明する。
【0033】
(a)画素アレイ部
画素アレイ部13は、図5に示すように、発光領域の最小単位であるサブ画素51をM行×N列に配置したマトリクス構造を有している。ここでのサブ画素51は、例えばホワイトユニットを形成する3原色に対応するR画素、G画素、B画素に対応する。また、MとNは、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて定まる。
【0034】
図6に、アクティブマトリクス駆動に対応するサブ画素51の画素回路例を示す。なお、この種の画素回路には、実に様々な回路構成が提案されている。図6は、これらのうち最も単純な回路構成の一つを表している。
【0035】
図6の場合、画素回路は、サンプリング動作を制御する薄膜トランジスタ(以下、「サンプリングトランジスタ」という。)T1と、駆動電流の供給動作を制御する薄膜トランジスタ(以下、「駆動トランジスタ」という。)T2と、保持容量Csと、有機EL素子OLEDとで構成される。
【0036】
図6は、サンプリングトランジスタT1と駆動トランジスタT2が、共にNチャネルMOSトランジスタで構成される場合について表している。勿論、これらの薄膜トランジスタをPチャネルMOSトランジスタで構成することもできる。なお、サンプリングトランジスタT1は、ゲート電極に接続された書込制御線WSLにより動作状態が制御される。サンプリングトランジスタT1がオン状態のとき、入力画素データDinに対応する信号電位Vsig が信号線DTLを通じて保持容量Csに書き込まれる。保持容量Csは、書き込まれた信号電位Vsig を1フレーム期間保持する。
【0037】
保持容量Csは、駆動トランジスタT2のゲート電極とソース電極間に接続される容量性負荷であり、薄膜トランジスタと同じ構造を有している。保持容量Csに保持された信号電位Vsig が、駆動トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsを与える。この電圧に相当する信号電流Isig が、電流供給線としての点灯制御線LSLから引き込まれ、有機EL素子OLEDに供給される。
【0038】
なお、信号電流Isig が大きいほど、有機EL素子OLEDの発光輝度は高くなる。すなわち、信号電流Isig の大きさにより階調が表現される。この信号電流Isig の供給が続く限り、有機EL素子OLEDの所定輝度による発光状態が継続される。
【0039】
因みに、点灯制御線LSLは2種類の電位で駆動され、この2値駆動により発光期間中における信号電流Isig の供給と停止が制御される。具体的には、点灯制御線LSLが高電圧VDDに制御されている間(すなわち、点灯期間)、有機EL素子OLEDに信号電流Isig が流れ、有機EL素子OLEDが点灯状態に制御される。
【0040】
一方、点灯制御線LSLが低電圧VSS2(<VSS1)に制御されている間(すなわち、非点灯期間)、有機EL素子OLEDへの信号電流Isig の供給が停止され、有機EL素子OLEDが非点灯状態に制御される。このように、1フレーム期間内の点灯状態と非点灯状態は、点灯制御線LSLを通じて制御される。
【0041】
なお、信号電位Vsig の書き込み前に駆動トランジスタT2の特性バラツキの補正を実行する場合、点灯制御線LSLの低電圧VSS2は、閾値補正の準備動作時にも印加される。この低電圧VSS2の印加によって、薄膜トランジスタT2のゲート・ソース間電圧Vgsは閾値電圧Vth以上に広げられ、閾値電圧の補正動作が可能になる。
【0042】
(b)信号線駆動部及び制御線駆動部
信号線駆動部15は、水平同期タイミング及び垂直同期タイミングに従って、信号線DTLに各画素の階調情報に対応する信号電位Vsig を印加する回路デバイスである。
一方、制御線駆動部17は、水平同期タイミング及び垂直同期タイミングに従って、書込制御線WSL及び点灯制御線LSLに制御信号を印加する回路デバイスである。
【0043】
図5に示すように、制御線駆動部17は、書込制御線WSLを駆動する第1の信号線駆動部61と、点灯制御線LSLを駆動する第2の信号線駆動部63とで構成される。
第1の制御線駆動部61は、信号電位Vsig の書込タイミングやその他のタイミングに、サンプリングトランジスタT1をオン制御する回路デバイスである。
【0044】
因みに、書込タイミング以外のオン制御は、例えば駆動トランジスタT2の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量Csに書き込む補正動作時に実行される。
第2の制御線駆動部63は、閾値電圧の補正動作時、信号電位Vsig の書込動作時及び点灯期間に点灯制御線LSLを高電位VDDに制御する回路デバイスである。
【0045】
(c)駆動パルス発生部
駆動パルス発生部19は、点灯条件設定部21において設定された点灯条件(点灯期間の数、配置位置、各点灯期間の期間長)を満たすように、具体的な駆動パルス(点灯期間のスタートパルスST、エンドパルスET)を発生する回路デバイスである。なお、駆動パルス発生部19で発生された駆動パルスは、点灯制御線LSLを駆動する第2の制御線駆動部63に供給される。
【0046】
(d)点灯条件設定部
点灯条件設定部21は、入力画像の内容に応じて適応的に発光モード(すなわち、点灯条件)を設定する回路デバイスである。このように、形態例に係る点灯条件設定部21は、フレームレートの変換処理ではなく、発光モードの最適化を通じてフリッカの低減を実現する。
点灯条件設定部21は、輝度レベル検出部31、総発光期間長制御部33、フリッカ検出部35、発光モード判定部37、ユーザー設定部39及び点灯期間設定部41で構成される。
【0047】
(d−1)輝度レベル検出部
輝度レベル検出部31は、1フレーム画面を構成する全画素に対応する入力画像データDinの平均輝度レベルを算出する回路デバイスである。因みに、入力画像データDinは、R(赤)画素データ、G(緑)画素データ、B(青)画素データのデータ形式により与えられる。
輝度レベル算出部31は、平均輝度レベルの算出に際し、まず各画素に対応するR画素データ、G画素データ、B画素データを画素単位の輝度レベルに変換する。
【0048】
(d−2)総発光期間長制御部
総発光期間長制御部33は、算出された平均輝度レベルに基づいて該当フレーム画面の表示に使用する総発光期間長(ピーク輝度レベル)を設定する回路デバイスである。例えば平均輝度レベルの低いフレーム画面には、ピーク輝度レベルがダイナミックレンジの高値になるように総発光期間長を設定する。
【0049】
この種の画面には、夜空に星が点在するような画面が該当する。この種の画面でピーク輝度レベルを低く設定したのでは、星の輝きを表現できないためである。一方、例えば平均輝度レベルの高いフレーム画面には、ピーク輝度レベルがダイナミックレンジの中間値になるように総発光期間長を設定する。
設定された総発光期間長は点灯期間設定部41に供給される。
【0050】
(d−3)フリッカ検出部
フリッカ検出部35は、入力画像データDinの特徴成分の一つであるフリッカ成分を検出する回路デバイスである。
図7に、フリッカ検出部35の内部構成例を示す。フリッカ検出部35は、輝度レベル検出部71、総発光期間長制御部73、動き量検出部75、動き量フォーマット変換部77、ブロック制御部79、発光時間計測部81及びフリッカ情報算出部83で構成される。以下、各部の内容を説明する。
【0051】
(1)輝度レベル検出部
輝度レベル検出部71は、前述した輝度レベル検出部31と同じく、1フレーム画面を構成する全画素に対応する入力画像データDinの平均輝度レベルを算出する回路デバイスである。この処理機能は、輝度レベル検出部31と同じである。従って、輝度レベル検出部31と輝度レベル検出部71は共用することも可能である。
【0052】
図8に、輝度レベル検出部71の内部構成例を示す。例えば輝度レベル検出部71は、画素毎輝度レベル算出部91と画面全体平均輝度レベル算出部93で構成する。
画素毎輝度レベル算出部91は、入力画像データDinに基づいて各画素の輝度レベルS2を算出する回路デバイスである。この輝度レベルS2は、ブロック制御部79に供給される。
【0053】
画面全体平均輝度レベル算出部93は、画素毎に算出された輝度レベルS2に基づいて画面全体の平均輝度レベルS1を算出する回路デバイスである。この平均輝度レベルS1は、総発光期間長制御部73とブロック制御部79に供給される。
【0054】
(2)総発光期間長制御部
総発光期間長制御部73は、前述した総発光期間長制御部33と同じく、画面全体の平均輝度レベルS1に基づいて、1フレーム期間内の総発光期間長を制御する回路デバイスである。この処理機能も、総発光期間長制御部33と同じである。具体的には、平均輝度レベルS1が高いほど総発光期間長を短く制御し、反対に平均輝度レベルS1が低いほど総発光期間長を長く制御する。使用する総発光期間長S5は、ブロック制御部79に供給される。なお、総発光期間長制御部33と総発光期間長制御部73は共用することもできる。
【0055】
(3)動き量検出部
動き量検出部75は、入力画像データDinに基づいて画素毎の動き量を検出する回路デバイスである。
図9に、動き量検出部75の内部構成例を示す。動き量検出部75は、フレームメモリ101、動き検出部103、動画/静止画判定部105で構成する。
【0056】
この形態例の場合、フレームメモリ101は、2フレーム分のメモリ領域を有している。各メモリ領域は、垂直同期信号Vsyncによって書き込みと読み出しが入れ替わる。すなわち、一方のメモリ領域に入力画像データDinが書き込まれている最中に、他方のメモリ領域から前フレームの入力画像データDinが読み出される。
【0057】
動き検出部103は、画素数単位で動き量S4を検出する回路デバイスである。
動画/静止画判定部105は、検出された動き量S4に基づいて、入力画像が動画か静止画かを判定し、判定結果S5を出力する回路デバイスである。
動画/静止画判定部105は、基本的に動き量がゼロである画像を静止画像と判定する。ただし、動き量が非常に小さい画像も静止画像と判定する場合もある。ここでの判定閾値には、経験等を加味した設計上の値を使用する。
【0058】
なお、この形態例の場合には、2フレーム画像の比較により動き量を検出しているが、現在使用可能なその他の動き検出技術を使用することもできる。
例えばコムフィルタを用いる動き検出技術、MPEGデコーダで使用する動き検出技術、インタレース・プログレッシブ変換処理で使用する動き検出技術その他を使用することもできる。また、有機ELパネル11が搭載するこれら動き検出機能の検出結果を流用することもできる。図7では、この種の外部から与えられる動き量をDmoveで示している。
【0059】
参考までに、図10に、MPEGデコーダから与えられる動き量Dmoveのデータ例を示す。外部に配置する動き検出部では、単なる動き量だけでなく、その方向や輝度成分についても検出される。従って、図10に示すように、動き量Dmoveは、輝度成分111と、動きベクトルの方向113と、動きベクトルの大きさ115を一組として与えられる。
【0060】
(4)動き量フォーマット変換部
動き量フォーマット変換部77は、基本的に画素数で与えられる動き量S4又はDmoveを演算用の数値(この形態例では、「動き値」という。)にフォーマット変換する回路デバイスである。ここでの動き値は、ブロック制御部79でフリッカ判定用のブロック面積を調整するために使用するパラメータの一つである。通常、動きが大きい画面ではフリッカが目立ち難くなるため、動き量が大きいほど動き値には大きな値が割り当てられる。
【0061】
図11に、動き量と動き値との対応テーブル例を示す。図11の場合、動き量S4は、0、1、2、3、4、5以上の6段階である。図11の場合、動き量の大きさがゼロの画素(すなわち、静止画)には動き値
「1.0」を割り当てている。また図11の場合、動き量の大きさがゼロ以外の画素(すなわち、動画像)には、動き量の大きさに比例して動き値を増やすように割り当てている。なお、無制限に動き値を増やしてしまうと、本来の目的であるフリッカ判定に支障が生じかねない。そこで、図11の場合には、動き量が5以上の場合には、動き値の増加を
「1.5」に制限している。
【0062】
具体的には、動き量が1画素大きくなると、動き値を 「0.1」大きくする。この対応関係は、動き量の1画素分の増加が、基準面積(動き量がゼロの場合の面積)の10%分だけ大きく変化させるように作用する。
なお、前述したように、動き量が外部からDmoveとして与えられる場合には、動きベクトルの大きさを画素数に換算した上で動き値に変換することになる。勿論、図11は一例であり、動き量の段数や対応する変化幅も任意である。
【0063】
(5)ブロック制御部
ブロック制御部79は、フリッカ判定処理で使用するブロック領域の数、位置、面積を決定する回路デバイスである。
図12に、ブロック制御部79の内部構成例を示す。ブロック制御部79は、輝度分布検出部121、ブロック数決定部123、ブロック位置決定部125、ブロック面積決定部127、初期設定情報記憶部129で構成する。
【0064】
輝度分布検出部121は、画素毎に得られる輝度レベルS2に基づいて輝度レベルの高い領域を検出する回路デバイスである。輝度分布検出部121は、例えば判定閾値に輝度レベルの50%(最大階調値を 100%とする。)を使用し、各輝度レベルS2との比較結果を輝度分布情報S7として出力する。この形態例の場合、判定閾値より輝度レベルが高い画素は値「1」で表され、判定閾値より輝度レベルが低い画素は値「0」で表される。
【0065】
この形態例において、閾値に輝度レベルの50%を使用するのは、フリッカは明るい領域ほど見えやすくなるためである。勿論、この条件は一例であり、後述するように他の条件も揃わないとフリッカとして視認される訳ではない。
このように、輝度分布情報S7を予め求めることにより、後段の各処理部で必要となる演算量を削減することができる。
【0066】
判定結果は、輝度分布情報S7としてブロック数決定部123、ブロック位置決定部125及びブロック面積決定部127に供給される。因みに、高解像度の表示デバイスでは画素数が多くなる。従って、輝度分布情報S7はRAM等のメモリ上に保存し、後段の各処理部は当該メモリにアクセスする方法を採用しても良い。
【0067】
ブロック数決定部123は、フリッカ判定処理で使用するブロック数を決定する回路デバイスである。ここでの決定処理は、2段階に分けて実行される。
1段目の処理では、画面全体の平均輝度レベルS1と総発光期間長S5に基づいて、入力画像に含まれるフリッカ成分が画面内に「分散」しているか「集中」しているかを判定する処理が実行される。
【0068】
この形態例の場合、ブロック数決定部123は、以下の2つの条件を同時に満たすとき「分散型」であると判定し、その他のとき「集中型」であると判定する。
・画面全体の平均輝度レベルS1が50%以上(最大階調値を 100%とする。)
・総発光期間長S5が1フレーム期間の60%以下(1フレーム期間を 100%とする。)
【0069】
この判定基準は、フリッカが認識され易い画像に特徴的な4つの必要条件のうちの一部に対応する。因みに、4つの必要条件は、一般には以下の4つをいう。ただし、数値については個人差があるので、必ずしも以下の数値に限定されない。
・フレームレートが65Hz以下
・総発光時間長が短い(発光期間がインパルス的)
・動き量が少ない
・平均輝度レベルが50%以上の領域(全画面の10%以上の領域)が連続して数秒間出現する
【0070】
「分散型」と判定された場合、ブロック数決定部123は、ブロック数S8を「1」に設定する。一方、「集中型」と判定された場合、ブロック数決定部123は、ブロック数S8を2段目の処理を通じて決定する。
2段目の処理では、輝度レベルS2と、輝度分布情報S7と、事前に用意された判定ブロックの初期設定情報(個数、位置、面積)とに基づいて、入力画面に応じたブロック数を決定する処理が実行される。
【0071】
図13に、判定ブロックの初期設定例を示す。前述したように、フリッカ成分が認識されるには、全画面の10%以上の面積領域があることが条件となる。このため、初期設定時のブロック面積は、最大でも全画面の 5%〜10%の範囲に設定しておく。また、画面中央付近は画面周囲に比べてフリッカが目立ち易い。このため、初期設定時には、図13に示したように、中央付近のブロックを周辺領域の4分の1に設定している。図13では、通し番号の「6」〜「13」に対応するブロックが対応する。
【0072】
ここで、ブロック数決定部123は、集中型と判定された入力画像について、初期設定情報記憶部129に用意された各ブロック領域(図13)に対応する輝度分布情報S7を割り当て、該当ブロック領域の平均輝度レベルが階調輝度の50%以上か否かを判定する。この形態例の場合、各ブロック領域に対応する輝度分布情報S7のうち平均輝度レベルが階調輝度の50%を超えると判定された画素(値「1」)の数と、平均輝度レベルが階調輝度の50%未満と判定された画素(値「0」)の数とを比較し、いずれが多いかによって各ブロック領域の平均輝度レベルが50%以上か否かを判定する。
【0073】
例えばあるブロック領域の平均輝度レベルが階調輝度の50%未満であると判定された場合(値「0」の数>値「1」の数の場合)、ブロック数決定部123は、当該当ブロック領域を1個として計数するか、隣接する複数個のブロック領域を合わせて1個として計数する。例えば中央付近のように既に細分化されているブロックについては、隣接するブロック領域が同じ判定結果であることを条件として、全画面の10%を超えない範囲で1つのブロック領域として計数する。
【0074】
図14に、合体後のイメージ例を示す。図14は、図13におけるブロック「6」、「7」、「10」、「11」の平均輝度レベルがそれぞれ閾値以下である場合に、これら4つを1つのブロックとして扱う状態を表している。この場合、判定用のブロック領域の数は、初期状態の18個から15個に変更される。
【0075】
一方、あるブロック領域の平均輝度レベルが階調輝度の50%以上であると判定された場合(値「0」の数<値「1」の数の場合)、ブロック数決定部123は、当該ブロック領域の初期状態と位置(中央付近か周辺領域か)を考慮してブロック領域の細分化数を決定する。例えば周辺部に位置するブロックについては2つ以上に分割する。
【0076】
図15に、分割後のイメージ例を示す。図15は、図13におけるブロック「2」の平均輝度レベルが閾値以上である場合に、当該ブロックを4つのブロック領域に分割した状態を表している。この場合、判定用のブロック領域の数は、初期状態の18個から21個に変更される。
【0077】
このような処理を経て決定されたブロック数S8は、ブロック位置決定部125に与えられる。なお、ブロック領域の面積が小さいほど、フリッカの判定精度は高くなる。ただし、ブロック領域の数が多くなり過ぎると必要になる演算量も過大になるので適当な数に制限することが望ましい。
【0078】
ブロック位置決定部125は、輝度分布情報S7と、ブロック数S8と、事前に用意された判定ブロックの初期設定情報(位置)とに基づいて、各ブロックの位置情報S9を決定する処理を実行する。
因みに、ブロック領域の数が1個であった場合(「分散型」の場合)、画面全体が1ブロックになる。従って、ブロック位置決定部125は、ブロック領域の位置情報S9を個別に決定する必要がない。ここでは、事前に定められた1個の基準位置を位置情報S9として出力する。
【0079】
これに対し、ブロック領域が複数個決定された場合(「集中型」の場合)、ブロック位置決定部125は、輝度分布情報S7を参照し、輝度レベルの高い画素が多く集まる領域にブロック領域が多数割り当てられるように位置情報S9を決定する。
ただし、この時点では、ブロック数が決まっているだけで、各ブロックの面積は未定である。
【0080】
従って、初期設定情報を参考に、ブロックの始点座標(例えばブロックの右上座標)や中心座標等をXY座標で与える。例えば輝度レベルが低い領域については、初期設定情報で定められたブロック領域の位置情報をそのまま使用する。また例えば輝度レベルが高い領域については、ブロック数決定部123と同様、初期設定情報で定められたブロック領域を分割するように位置情報S9を決定する。
【0081】
ブロック面積決定部127は、動き値S6と輝度分布情報S7とに基づいて、対応するブロックの面積を決定する回路デバイスである。ブロック面積決定部127は、逐次算出されるブロック面積S10を発光時間計測部81に出力する。
なお、供給された位置情報S9の数が1個である場合(分散型の場合)には、画面全体が1つのブロック領域であるので面積は求めなくて良い。
一方、位置情報S9が複数個与えられる場合(集中型の場合)、ブロック面積決定部127は、位置情報S9に対応する各ブロックの面積を次式に基づいて算出する。
【0082】
ブロック面積=(全表示領域の10%の面積)×輝度レベル値×動き値 (式1)
ここでの輝度レベル値は、ブロック面積の調整用に使用するパラメータの一つである。輝度レベル値は、位置情報S9に基づいて位置決めされるブロック領域(全表示領域の10%の面積を有するブロック領域)内に位置する全画素の平均輝度レベルとして与えられる。
【0083】
なお、位置決めされるブロック領域の形状は正方形状でも良いし、画面のアスペクト比を保存する形状でも良い。この形態例の場合には、画面のアスペクト比と一致させる方法を採用する。
また、平均輝度レベルは、各ブロック領域内に位置する全画素の輝度レベルS2の平均値として算出される。
【0084】
図16に、輝度レベルと輝度レベル値との対応テーブル例を示す。一般に、輝度レベルが高いほどフリッカは知覚され易くなる。そこで、この形態例では、輝度レベルが高いブロック領域ほど面積を小さくなるように、小さい輝度レベル値を割り当てる。なお、高輝度領域に配置されるブロック領域の面積を小さくすることで、高輝度領域の面積の検出精度が高くなり、フリッカの検出精度が高くなる。
【0085】
図16の場合、輝度レベルは、50%〜55%,55%〜60%,60%〜65%,65%〜70%,70%〜75%,75%以上の6段階用意する。
図16の場合、輝度レベルが50%〜55%のブロックには輝度レベル値
「1.0」を割り当てる。また図16の場合、輝度レベルが1段階上がるごとに、輝度レベル値を減らすように割り当る。具体的には、輝度レベルの階級が1段階上がると、輝度レベル値を
「0.1」小さくする。この対応関係は、輝度レベルが1階級上がると、基準面積(輝度レベルが50%〜55%の場合の面積)の10%分だけ小さく変化させることを意味する。
【0086】
図17及び図18を用い、ブロック面積決定部127による処理結果の一例を示す。図17は、入力画像例である。なお、図17に示す入力画像は、動き量がゼロであり、かつ、画面右下隅に輝度が集中する場合を表している。
図18は、ブロック面積決定部127の出力例である。ブロック位置決定部125の段階で画面右下隅に多くのブロックが配置される上に、式1に基づく面積の計算によって画面右下隅に面積の小さいブロックが多く配置される。
初期設定情報記憶部129は、前述したように、フリッカ判定用のブロックの数、位置、面積の初期値を格納する記憶領域である。
【0087】
(6)発光時間計測部
発光時間計測部81は、一定以上の面積を有する高輝度領域を検出して、その発光時間を計測する回路デバイスである。フリッカは、単に明るい画像や動きの少ない画像があるだけでなく、一定面積と一定時間以上の連続発光がなければ視認されないためである。
【0088】
このため、発光時間計測部81は、以下の処理を実行する。まず、発光時間計測部81は、前段処理で設定されたブロック領域のうち平均輝度レベルが階調輝度の50%以上のブロック領域を検出する。次に、発光時間計測部81は、それらのうち互いに隣接又は重なり合うブロック領域同士を一つのブロック領域として結合し、結合後のブロック領域について面積を求める。
【0089】
更に、発光時間計測部81は、算出された面積が表示領域全体の10%以上になる結合ブロックが一つでも検出された場合、検出開始から未検出までの時間を計測する。なお、面積が表示領域の10%以上になるブロック領域の最大個数は10個である。この形態例の場合、これら10個の発光時間を同時に計測できるものとする。
【0090】
発光時間の計測対象になったブロック領域の面積と計測値は発光時間情報S11としてフリッカ情報算出部83に供給される。
なお、入力画像が分散型の場合(画面全体が平均的に明るく、総発光期間長が閾値以上の場合)、発光時間計測部81は、分散型との検出結果が得られている間中、その発光時間と平均輝度レベルを発光時間情報S11として出力する。
【0091】
(7)フリッカ情報算出部
フリッカ情報算出部83は、発光時間情報S11とフレームレートS12に基づいて、フリッカ情報を算出する回路デバイスである。なお、フリッカ情報算出部83におけるフリッカ情報の算出は、発光時間情報S11の時間長が非ゼロの場合に実行される。なお、発光時間情報S11の計測対象になった領域が複数ある場合、全ての領域についてフリッカ情報を算出しても良いが、フリッカが最も目立ち易い(すなわち、面積が最も大きい)領域についてのみフリッカ情報を算出しても良い。
【0092】
フリッカ情報算出部83は、次式に基づいてフリッカ情報を算出する。
フリッカ情報=フレームレート値×平均輝度レベル50%以上の面積値×発光時間値 (式2)
式2のうち、フレームレート値は、有機ELパネル11の表示駆動に使用するフレームレートS12の大きさを反映する判定用のパラメータである。平均輝度レベル50%以上の面積値は、発光時間情報S11の測定対象になった結合ブロック領域の面積の大きさを反映する判定用のパラメータである。発光時間値も、発光時間情報S11の計測時間を反映する判定用のパラメータである。
【0093】
図19〜図21に、各値を対応するパラメータに変換するための対応テーブル例を示す。
図19は、フレームレートとフレームレート値との対応テーブル例である。フレームレートが65Hz以上の場合、一般にフリッカは見えなくなる。このため、この範囲のフレームレートには、フレームレート値としてゼロが対応付けられる。なお、フレームレートが65Hzより小さくなると、フリッカが徐々に見えやすくなる。このため、フレームレート値は徐々に大きくなる。図19の場合、フレームレートが54Hz以下の場合、フレームレート値は最大値である「4」になる。
【0094】
図20は、高輝度領域の面積と面積値との対応テーブル例である。いうまでもなく、面積が全表示領域の10%以下の場合には、一般にフリッカは見えなくなる。このため、この範囲の面積には、面積値としてゼロが対応付けられる。なお、面積が10%より大きくなると、フリッカが徐々に見えやすくなる。このため、面積値は徐々に大きくなる。図20の場合、対応関係は面積の5%刻みで設定され、面積が50%以上の場合、面積値は最大値の「2」になる。
【0095】
図21は、検出された高輝度領域の発光時間と発光時間値との対応テーブル例である。いうまでもなく、高輝度領域であったとしても、その発光時間が短ければフリッカも見えなくなる。図21では、この限界値を1秒とし、1秒未満の発光時間には、発光時間値としてゼロを対応付けている。なお、発光時間が1秒より大きくなると、フリッカが徐々に見えやすくなる。このため、発光時間値は徐々に大きくなる。図21の場合、対応関係は 0.1秒刻みで設定され、発光時間が2秒以上の場合、発光時間値は最大値の「2」になる。
【0096】
以上の対応テーブルを使用して、フリッカ情報算出部83は、フリッカ情報S13を算出する。
なお、フリッカ情報S13は、フレームレートが高い場合、高輝度領域(平均輝度レベルが50%以上で、その面積が全画面の10%以上の領域)の面積が小さい場合、又は高輝度領域の連続発光時間が1秒未満の場合、値ゼロを採る。因みに、ブロック数の決定時には総発光時間長が反映され、高輝度領域の面積の決定時には動き量も反映される。従って、このフリッカ情報S13には、フリッカの判定に必要な全ての条件が反映されている。
【0097】
(d−4)発光モード判定部
発光モード判定部37は、検出されたフリッカ情報S13に基づいて、対象画像の表示に使用する発光モードを判定する回路デバイスである。
この形態例の場合、発光モード判定部37は、図22に示す対応関係に従って、検出されたフリッカ情報S13に対応する発光モードを判定する。勿論、フリッカ情報S13の値が小さいほどフリッカの強度は小さく、フリッカ情報S13の値が大きいほどフリッカの強度は大きくなる。
【0098】
従って、図22の場合には、フリッカの強度が小さい入力画像には発光モード5が適用され、強度が大きくなるのに従って発光モードが4→3→1→1へと変化する。
なお、各発光モードの違いは、1フレーム期間に配置する複数個の点灯期間の分散度合いの違いである。
【0099】
(d−5)ユーザー設定部
ユーザー設定部39は、ユーザーの好みを点灯期間の設定動作に反映させるために配置される回路デバイスである。すなわち、操作画面を通じて受け付けた表示画質に対するユーザーの好みを記憶領域に保持する回路デバイスである。
【0100】
表示画質に対するユーザーの好みとしては、例えば動画の表示品質を重視するかとか、静止画の表示品質を重視する等の情報の他、動画ボケとフリッカのいずれを重視するかと言った情報も含む。
【0101】
(d−6)点灯期間設定部
点灯期間設定部41は、入力画像に応じて設定されるピーク輝度レベルが得られるように、判別された発光モードについて規定された設定条件に従って、1フレーム期間内に配置される点灯期間の数、配置位置及び期間長が得られるように点灯期間の開始タイミングと終了タイミングを与える駆動パルスを具体的に設定する回路デバイスをいう。
【0102】
(B−3)制御動作例
以下では、点灯条件設定部21を用いた発光状態の制御動作例を説明する。ただし、以下の動作例では、表示画像のフレームレートが24Hz〜60Hzの範囲で与えられる場合を想定する。
【0103】
(a)発光モード1と判定された場合
発光モード1は、フリッカが非常に目立ち易い画像の入力時(フリッカ情報が14〜16の場合)に選択される。例えば、(1) フレームレートが65Hz以下であり、(2) 総発光時間長が短く、(3) 表示画像の動き量が少なく、(4) 平均輝度レベルが50%以上の領域(全画面の10%以上の領域)が連続して数秒間出現する場合である。
【0104】
図23に、フレームレートが50Hzの場合の駆動パルス波形を示す。なお、図23(A)は、一般的なインパルス駆動の場合(点灯期間が1フィールド期間に1個の場合)の駆動パルス波形である。因みに、図23(A)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形である。
これに対し、H
図23(B)及び(C)は、この形態例で採用する駆動パルス波形である。図23(B)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形であり、図23(C)は、総発光時間長が1フィールド期間の50%で与えられた場合の駆動パルス波形である。
【0105】
図23(B)及び(C)では、1フィールド期間に2個の点灯期間を配置し、各点灯期間に総発光期間長の半分の長さを割り当てる。なお、1回目の点灯期間の開始位置は1フィールド期間の 0%に固定され、2回目の点灯期間の開始位置は1フィールド期間の50%に固定される。
【0106】
この場合、総点灯期間長が短くなったとしても、2つ目の点灯期間の開始位置が1フィールド期間の50%に固定されるため、点灯期間の存在範囲を少なくとも50%以上確保できる。フリッカは、1フィールド期間内の点灯期間が短い場合に見えるので、輝度条件や面積条件を満たす場合でも、この駆動パルスを用いることでフリッカが視認されるのを防止又は低減することができる。
【0107】
(b)発光モード2と判定された場合
発光モード2は、フリッカが次に目立ち易い画像の入力時(フリッカ情報が12〜14の場合)に選択される。
図24に、フレームレートが50Hzの場合の駆動パルス波形を示す。やはり、図24(A)は、一般的なインパルス駆動の場合(点灯期間が1フィールド期間に1個の場合)の駆動パルス波形である。
【0108】
この場合も、図24(A)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形である。
これに対し、H
図24(B)及び(C)は、この形態例で採用する駆動パルス波形である。図24(B)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形であり、図24(C)は、総発光時間長が1フィールド期間の50%で与えられた場合の駆動パルス波形である。
【0109】
図24(B)及び(C)では、1フィールド期間に7個の点灯期間を配置し、各点灯期間に総発光期間長の7分の1の長さを割り当てている。また、点灯期間と点灯期間の間は、いずれも同じ長さになるように点灯期間を割り当てている。
この発光モード2の場合、1つ分の点灯期間の長さは発光モード1よりも小さくなるが、1つ目の点灯期間の開始位置(1フィールド期間の 0%)から7番目の点灯期間の終了位置までの間隔は、発光モード1よりも広くなる。
【0110】
(c)発光モード3と判定された場合
発光モード3は、フリッカが次に目立ち易い画像の入力時(フリッカ情報が10〜12の場合)に選択される。
図25に、フレームレートが50Hzの場合の駆動パルス波形を示す。やはり、図25(A)は、一般的なインパルス駆動の場合(点灯期間が1フィールド期間に1個の場合)の駆動パルス波形である。
【0111】
この場合も、図25(A)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形である。
これに対し、H
図25(B)、(C)、(D)は、この形態例で採用する駆動パルス波形である。図25(B)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形であり、図25(C)は、総発光時間長が1フィールド期間の50%で与えられた場合の駆動パルス波形である。また、図25(D)は、総発光時間長の最長値に対応する駆動パルス波形である。総発光時間長の最長値は、1フィールド期間の92.5%で与えられる。
【0112】
図25(B)及び(C)の場合も、1フィールド期間に7個の点灯期間を配置する。ただし、この発光モードの場合には、1番の点灯期間から順番に、1:1.25: 1.5: 2.5: 1.5:1.25:1の比を満たすように各点灯期間の期間長を設定する。なお、点灯期間と点灯期間の間は、いずれも同じ長さになるように点灯期間を割り当てている。
因みに、図25(D)に示すように、総発光期間長が1フィールド期間が92.5%に達すると、点灯期間は1個に収束する。
【0113】
この発光モード3の場合、7つの点灯期間のうち4番目の点灯期間の期間長が最長となり、その外側ほど期間長が短くなるように配置される。すなわち、点灯期間のうち4番目の位置に発光中心が知覚され易くする。
この結果、点灯期間の出現範囲を広げてフリッカを重視しながらも、輝度中心を特定の点灯期間の周辺に集中することができ動画ボケの低減効果も高めることができる。
【0114】
(d)発光モード4と判定された場合
発光モード4は、フリッカが次に目立ち易い画像の入力時(フリッカ情報が8〜10の場合)に選択される。
図26に、フレームレートが50Hzの場合の駆動パルス波形を示す。やはり、図26(A)は、一般的なインパルス駆動の場合(点灯期間が1フィールド期間に1個の場合)の駆動パルス波形である。
【0115】
この場合も、図26(A)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形である。
これに対し、H
図26(B)、(C)、(D)は、この形態例で採用する駆動パルス波形である。図26(B)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形であり、図26(C)は、総発光時間長が1フィールド期間の50%で与えられた場合の駆動パルス波形である。また、図26(D)は、総発光時間長の最長値に対応する駆動パルス波形である。図に示すように、この発光モードの場合、総発光期間長の最長値は、1フィールド期間の90%で与えられる。
【0116】
図26(B)及び(C)の場合も、1フィールド期間に7個の点灯期間を配置し、1番の点灯期間から順番に、1:1.25: 1.5: 2.5: 1.5:1.25:1の比を満たすように各点灯期間の期間長を設定する点において発光モード3と同じである。ただし、7番目の点灯期間の終了タイミングを発光モード3よりも小さい値(90%)に固定する。図26(D)は、総発光期間長が1フィールド期間の90%の場合の駆動パルスである。点灯期間長が1個に収束している。
この発光モード4も、基本的に発光モード3と同じであるが、入力画像のフリッカ情報が低いので、点灯期間の出現範囲が少しだけ狭くなっている。このように出現範囲が狭まる分、動画応答性が改善する。
【0117】
(e)発光モード5と判定された場合
発光モード5は、フリッカ成分が少ない画像の入力時(フリッカ情報が8以下の場合)に選択される。
図27に、フレームレートが50Hzの場合の駆動パルス波形を示す。やはり、図27(A)は、一般的なインパルス駆動の場合(点灯期間が1フィールド期間に1個の場合)の駆動パルス波形である。
【0118】
この場合も、図27(A)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形である。
これに対し、H
図27(B)、(C)、(D)は、この形態例で採用する駆動パルス波形である。図27(B)は、総発光時間長が1フィールド期間の25%で与えられた場合の駆動パルス波形であり、図27(C)は、総発光時間長が1フィールド期間の50%で与えられた場合の駆動パルス波形である。また、図27(D)は、総発光時間長の最長値に対応する駆動パルス波形である。図に示すように、この発光モードの場合、総発光時間長の最長値は、1フィールド期間の87.5%で与えられる。
【0119】
この発光モード5の場合も、1フィールド期間に7個の点灯期間を配置し、1番の点灯期間から順番に、1:1.25: 1.5: 2.5: 1.5:1.25:1の比を満たすように各点灯期間の期間長を設定する点において発光モード3及び4と同じである。ただし、7番目の点灯期間の終了タイミングを発光モード4よりも更に小さい値(87.5%)に固定する。図27(D)は、総発光期間長が1フィールド期間の87.5%に達した時点の駆動パルスである。点灯期間長が1個に収束している。
この発光モード5も、基本的に発光モード4と同じであるが、入力画像のフリッカ成分が更に少ないので、点灯期間の出現範囲が更に狭くなっている。従って、この出現範囲の圧縮分だけ、動画応答性が改善される。
【0120】
(B−4)効果
以上説明したように、この形態例の場合には、フレームレート変換処理を行うことなく、入力画像の表示内容(フリッカ成分を含む度合)に応じて、有機EL素子OLEDの点灯回数、点灯タイミング、点灯期間長の関係を制御する。
【0121】
このため、フレームレート変換技術を用いる場合に比して回路の小型化や低コスト化を実現することができる。
なお、形態例の場合、表示内容に応じて発光モードを切り替えるため、フリッカだけでなく、動画応答性とのバランスも確保できる。
【0122】
また、この形態例のように、点灯期間の数、配置、期間長の長さを自在に可変する駆動方式の採用により、個人差の大きい動画やフリッカの見え方に対するユーザーの好みの違いに対して柔軟に対応することができる。
【0123】
(C)他の形態例
(C−1)点灯期間の可変方法
前述した形態の場合には、発光モード2〜5の場合には、1フィールド期間内に7個の点灯期間を配置する場合について説明した。
しかし、配置する点灯期間の数は、3個以上であれば任意である。また、点灯期間と点灯期間の配置方法等についても任意である。
【0124】
(C−2)他の表示デバイス例
前述した点灯期間の設定方法は、有機ELパネル以外にも適用できる。例えば無機ELパネル、LEDを配列する表示パネル、その他のダイオード構造を有するEL素子を画面上に配列する自発光型の表示パネルにも適用できる。
【0125】
また、前述した点灯期間の設定方法は、EL素子をバックライト光源に使用する液晶ディスプレイパネルやその他の非自発光型の表示パネルにも適用することができる。
図28に、液晶パネル131のシステム構成例を示す。なお、図28は、図4との対応部分に同一符号を付して示す。
【0126】
図28に示す液晶パネル131は、ガラス基板上に画素アレイ部133と、信号線DTLを駆動する信号線駆動部135と、書込制御線WSLを駆動する制御線駆動部137と、駆動パルス発生部19と、点灯条件設定部21と、バックライト駆動部139とをガラス基板上に配置した構成を有している。この場合も、ガラス基板上には、一部の回路だけを搭載し、他の回路部分は他の基板やモジュール部品上に搭載しても良い。
【0127】
図29に、画素アレイ部133とその周辺回路との接続関係を示す。画素アレイ部133の周辺には、その駆動回路である信号線駆動部135と制御線駆動部137が配置される。
【0128】
画素アレイ部133は、サブ画素151をマトリクス状に配置した画素構造を有し、液晶シャッターとして機能する。この場合、サブ画素151は、階調情報に対応する信号電位Vsig に基づいて、バックライト光の透過量(遮断も含む)を制御する。
【0129】
図30に、サブ画素151の画素構造を示す。サブ画素151は、薄膜トランジスタ(以下「サンプリングトランジスタ」という。)T1と、信号電位Vsig を保持する液晶容量CLcとで構成される。ここで、液晶容量CLcは、画素電極153と対向電極155で液晶Lcを両側から挟んだ構造を有している。
【0130】
信号線駆動部135は、サンプリングトランジスタT1の一方の主電極が接続される信号線DTLに信号電位Vsig を印加する回路デバイスである。一方、制御線駆動部137は、サンプリングトランジスタT1のゲート電極に接続された書込制御線WSLを2値電位で駆動する回路デバイスである。
【0131】
バックライト駆動部139は、点灯条件設定部21から供給される駆動パルス(開始パルスST、終了パルスET)に基づいてLED141を駆動する回路デバイスである。このバックライト駆動部139は、点灯期間に駆動電流をLED141に供給し、非点灯期間には駆動電流のLED141への供給を停止するように動作する。ここでのバックライト駆動部139は、例えば電流供給線に対して直列に接続されたスイッチとして実現できる。
【0132】
(C−3)製品例(電子機器)
前述の説明では、形態例に係る点灯期間の設定機能を搭載した有機ELパネルを例に発明を説明した。しかし、この種の設定機能を搭載する有機ELパネルその他の表示パネルは、各種の電子機器に実装した商品形態でも流通される。以下、他の電子機器への実装例を示す。
【0133】
図31に、電子機器161の概念構成例を示す。電子機器161は、前述した点灯期間の設定機能を搭載した表示パネル163、システム制御部165及び操作入力部167で構成される。システム制御部165で実行される処理内容は、電子機器161の商品形態により異なる。また、操作入力部167は、システム制御部165に対する操作入力を受け付けるデバイスである。操作入力部167には、例えばスイッチ、ボタンその他の機械式インターフェース、グラフィックインターフェース等が用いられる。
【0134】
なお、電子機器161は、機器内で生成される又は外部から入力される画像や映像を表示する機能を搭載していれば、特定の分野の機器には限定されない。
図32に、その他の電子機器がテレビジョン受像機の場合の外観例を示す。テレビジョン受像機171の筐体正面には、フロントパネル173及びフィルターガラス175等で構成される表示画面177が配置される。表示画面177の部分が表示パネル163に対応する。
【0135】
また、この種の電子機器161には、例えばデジタルカメラが想定される。図33に、デジタルカメラ181の外観例を示す。図33(A)が正面側(被写体側)の外観例であり、図33(B)が背面側(撮影者側)の外観例である。
【0136】
デジタルカメラ181は、保護カバー183、撮像レンズ部185、表示画面187、コントロールスイッチ189及びシャッターボタン191で構成される。このうち、表示画面187の部分が表示パネル163に対応する
【0137】
また、この種の電子機器161には、例えばビデオカメラが想定される。図34に、ビデオカメラ201の外観例を示す。
ビデオカメラ201は、本体203の前方に被写体を撮像する撮像レンズ205、撮影のスタート/ストップスイッチ207及び表示画面209で構成される。このうち、表示画面209の部分が表示パネル163に対応する。
【0138】
また、この種の電子機器161には、例えば携帯端末装置が想定される。図35に、携帯端末装置としての携帯電話機211の外観例を示す。図35に示す携帯電話機211は折りたたみ式であり、図35(A)が筐体を開いた状態の外観例であり、図35(B)が筐体を折りたたんだ状態の外観例である。
【0139】
携帯電話機211は、上側筐体213、下側筐体215、連結部(この例ではヒンジ部)217、表示画面219、補助表示画面221、ピクチャーライト223及び撮像レンズ225で構成される。このうち、表示画面219及び補助表示画面221の部分が表示パネル163に対応する。
【0140】
また、この種の電子機器161には、例えばコンピュータが想定される。図36に、ノート型コンピュータ231の外観例を示す。
ノート型コンピュータ231は、下型筐体233、上側筐体235、キーボード237及び表示画面239で構成される。このうち、表示画面239の部分が表示パネル163に対応する。
【0141】
これらの他、電子機器161には、オーディオ再生装置、ゲーム機、電子ブック、電子辞書等が想定される。
【0142】
(C−4)その他
前述した形態例には、発明の趣旨の範囲内で様々な変形例が考えられる。また、本明細書の記載に基づいて創作される又は組み合わせられる各種の変形例及び応用例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】1フレーム期間と総点灯期間長との関係を示す図である。
【図2】総点灯期間長とピーク輝度レベルとの関係を説明する図である。
【図3】有機ELパネルの外観例を示す図である。
【図4】有機ELパネルのシステム構成例を示す図である。
【図5】画素アレイ部と周辺回路との接続関係を説明する図である。
【図6】サブ画素の回路構成例を示す図である。
【図7】フリッカ検出部の内部構成例を示す図である。
【図8】輝度レベル検出部の内部構成例を示す図である。
【図9】動き量検出部の内部構成例を示す図である。
【図10】外部装置から与えられる動き量のデータ例を示す図である。
【図11】動き量と動き値との対応テーブル例を示す図である。
【図12】ブロック制御部の内部構成例を示す図である。
【図13】判定ブロックの初期設定例を示す図である。
【図14】判定ブロックの合体後のイメージ例を示す図である。
【図15】判定ブロックの分割後のイメージ例を示す図である。
【図16】輝度レベルと輝度レベル値との対応テーブル例を示す図である。
【図17】入力画像例を示す図である。
【図18】ブロック面積決定部の出力例を示す図である
【図19】フレームレートとフレームレート値との対応テーブル例を示す図である。
【図20】高輝度領域の面積と面積値との対応テーブル例を示す図である。
【図21】高輝度領域の発光時間と発光時間値との対応テーブル例を示す図である。
【図22】算出されたフリッカ情報と発光モードとの対応例を示す図である。
【図23】発光モード1に対応する駆動パルス例を示す図である。
【図24】発光モード2に対応する駆動パルス例を示す図である。
【図25】発光モード3に対応する駆動パルス例を示す図である。
【図26】発光モード4に対応する駆動パルス例を示す図である。
【図27】発光モード5に対応する駆動パルス例を示す図である。
【図28】液晶パネルのシステム構成例を示す図である。
【図29】LEDとバックライト駆動部との接続関係を説明する図である。
【図30】画素回路と駆動部との接続関係を説明する図である。
【図31】電子機器の機能構成例を示す図である。
【図32】電子機器の商品例を示す図である。
【図33】電子機器の商品例を示す図である。
【図34】電子機器の商品例を示す図である。
【図35】電子機器の商品例を示す図である。
【図36】電子機器の商品例を示す図である。
【符号の説明】
【0144】
11 有機ELパネル
13 画素アレイ部
15 信号線駆動部
17 制御線駆動部
19 駆動パルス発生部
21 点灯条件設定部
35 フリッカ検出部
37 発光モード判定部
41 点灯期間設定部
131 液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定するブロック数決定部と、
入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、前記ブロック領域の配置を決定するブロック位置決定部と、
前記輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、前記ブロック位置決定部により決定された各ブロック領域の面積を決定するブロック面積決定部と、
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する発光時間計測部と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出するフリッカ情報算出部と
を有するフリッカ検出装置。
【請求項2】
前記ブロック数決定部は、
前記平均輝度レベルが第3の閾値以上であり、かつ、前記総発光期間長が第4の閾値未満の場合にはブロック領域の数を1個に設定し、
前記平均輝度レベルが前記第3の閾値未満、又は前記総発光期間長が第4の閾値以上の場合には、前記輝度分布情報に基づいて予め用意された初期値を増減する
請求項1に記載のフリッカ検出装置。
【請求項3】
前記ブロック面積決定部は、
輝度レベルが高いほどブロック領域の初期面積を減らすように演算する処理機能と、動き量が大きいほどブロック領域の初期面積を増やすように演算する処理機能とを有する
請求項2に記載のフリッカ検出装置。
【請求項4】
前記ブロック位置決定部は、
輝度分布の高い領域には予め用意された初期値よりも多い数のブロック領域を配置し、輝度分布の低い領域には予め用意された初期値又は初期値よりも少ない数のブロック領域を配置する
請求項3に記載のフリッカ検出装置。
【請求項5】
前記フリッカ情報算出部は、
前記合計面積が複数ある場合、それらのうちで最も大きい値を判定処理に使用する
請求項4に記載のフリッカ検出装置。
【請求項6】
入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定するブロック数決定部と、
入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、前記ブロック領域の配置を決定するブロック位置決定部と、
前記輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、前記ブロック位置決定部により決定された各ブロック領域の面積を決定するブロック面積決定部と、
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する発光時間計測部と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出するフリッカ情報算出部と、
算出された前記フリッカ情報に基づいて、発光モードを判別する発光モード判定部と、
1フレーム内の総発光時間長を満たすように、判別された発光モードについて規定された設定条件に従って、1フレーム期間内に配置される点灯期間の数、配置位置及び期間長を設定する点灯期間設定部と
を有する点灯条件設定装置。
【請求項7】
入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定するブロック数決定部と、
入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、前記ブロック領域の配置を決定するブロック位置決定部と、
前記輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、前記ブロック位置決定部により決定された各ブロック領域の面積を決定するブロック面積決定部と、
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の各ブロック領域の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する発光時間計測部と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出するフリッカ情報算出部と、
算出された前記フリッカ情報に基づいて、発光モードを判別する発光モード判定部と、
1フレーム内の総発光時間長を満たすように、判別された発光モードについて規定された設定条件に従って、1フレーム期間内に配置される点灯期間の数、配置位置及び期間長を設定する点灯期間設定部と、
表示画素がマトリクス配置された画素アレイ部と、
設定された期間長が得られるように駆動パルスを発生し、当該駆動パルスに基づいて前記画素アレイ部を駆動する駆動部と
を有する表示パネル。
【請求項8】
入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定するブロック数決定部と、
入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、前記ブロック領域の配置を決定するブロック位置決定部と、
前記輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、前記ブロック位置決定部により決定された各ブロック領域の面積を決定するブロック面積決定部と、
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の各ブロック領域の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する発光時間計測部と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出するフリッカ情報算出部と、
算出された前記フリッカ情報に基づいて、発光モードを判別する発光モード判定部と、
1フレーム内の総発光時間長を満たすように、判別された発光モードについて規定された設定条件に従って、1フレーム期間内に配置される点灯期間の数、配置位置及び期間長を設定する点灯期間設定部と、
表示画素がマトリクス配置された画素アレイ部と、
前記画素アレイ部のバックライトと、
設定された期間長が得られるように駆動パルスを発生し、当該駆動パルスに基づいて前記バックライトを駆動する駆動部と
を有する表示パネル。
【請求項9】
入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定するブロック数決定部と、
入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、前記ブロック領域の配置を決定するブロック位置決定部と、
前記輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、前記ブロック位置決定部により決定された各ブロック領域の面積を決定するブロック面積決定部と、
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の各ブロック領域の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する発光時間計測部と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出するフリッカ情報算出部と、
算出された前記フリッカ情報に基づいて、発光モードを判別する発光モード判定部と、
1フレーム内の総発光時間長を満たすように、判別された発光モードについて規定された設定条件に従って、1フレーム期間内に配置される点灯期間の数、配置位置及び期間長を設定する点灯期間設定部と、
表示画素がマトリクス配置された画素アレイ部と、
設定された期間長が得られるように駆動パルスを発生し、当該駆動パルスに基づいて前記画素アレイ部を駆動する駆動部と、
システム制御部と、
前記システム制御部に対する操作入力部と
を有する電子機器。
【請求項10】
入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定するブロック数決定部と、
入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、前記ブロック領域の配置を決定するブロック位置決定部と、
前記輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、前記ブロック位置決定部により決定された各ブロック領域の面積を決定するブロック面積決定部と、
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の各ブロック領域の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する発光時間計測部と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出するフリッカ情報算出部と、
算出された前記フリッカ情報に基づいて、発光モードを判別する発光モード判定部と、
1フレーム内の総発光時間長を満たすように、判別された発光モードについて規定された設定条件に従って、1フレーム期間内に配置される点灯期間の数、配置位置及び期間長を設定する点灯期間設定部と、
表示画素がマトリクス配置された画素アレイ部と、
前記画素アレイ部のバックライトと、
設定された期間長が得られるように駆動パルスを発生し、当該駆動パルスに基づいて前記バックライトを駆動する駆動部と、
システム制御部と、
前記システム制御部に対する操作入力部と
を有する電子機器。
【請求項11】
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の各ブロック領域の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する発光時間計測部と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出するフリッカ情報算出部と
を有するフリッカ検出装置。
【請求項12】
入力画像全体の平均輝度レベルと、入力画像について検出される輝度分布情報と、1フレーム内の総発光時間長とに基づいて、判定用のブロック領域の個数を決定する処理と、
入力画像について検出される輝度分布情報に基づいて、前記ブロック領域の配置を決定する処理と、
前記輝度分布情報と入力画像の動き量とに基づいて、前記処理により決定された各ブロック領域の面積を決定する処理と、
第1の閾値以上の平均輝度レベルを有するブロック領域のうち隣接するブロック領域同士の各ブロック領域の合計面積を集計し、当該合計面積が第2の閾値以上の場合には、当該検出状態が継続する発光時間を計測する処理と、
入力画像のフレームレートと、前記発光時間と、当該発光時間の計測対象になったブロック領域の合計面積とに基づいて、視認されるフリッカの度合いを与えるフリッカ情報を算出する処理と
を有するフリッカ検出方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図28】
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【図29】
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【図31】
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【図1】
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【図17】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図30】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2009−251069(P2009−251069A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95643(P2008−95643)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】