説明

フルオロキノロンを用いて炎症を調節するための組成物と方法

炎症を調節する組成物は、一般式(I)〜(VIII)いずれか1つのフルオロキノロンを含んでいる。炎症を調節する方法は、そのような組成物を、それを必要とする対象に投与する操作を含んでいる。この組成物と方法は、眼球または眼科の炎症を調節するのに適しており、炎症には、ブドウ膜炎、春季カタル、コンタクト・レンズに関係する角膜浸潤物に伴う炎症が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロキノロンを用いて炎症を調節するための組成物と方法に関する。本発明は特に、フルオロキノロンを用いて眼球または眼科の炎症を調節するための組成物と方法に関する。それに加え、本発明は、フルオロキノロンを用いて、眼球または眼科の感染症およびそれらにより生じる炎症を治療、または制御、または軽減、または改善するための組成物と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
身体と環境のインターフェイスは広いため、環境中の有毒な病原体が侵入する潜在的な機会が多くある。目の外側組織はこのインターフェイスの一部を構成しているため、目とその周囲の組織も有毒な微生物の影響を受けやすい。有毒な微生物が侵入して無制限に増殖すると、さまざまなタイプの眼科感染症(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、トラコーマ)が起こるため、治療されない場合には、視力の深刻な障害が起こる可能性がある。眼科感染症を起こす一般的なタイプの微生物は、ウイルス、細菌、真菌である。これら微生物は目の表面に直接侵入したり、外傷や外科手術を通じて眼球の中に侵入したり、全身性疾患の結果として血流またはリンパ系を通じて目の中に運ばれたりする可能性がある。微生物は目の構造のあらゆる部分(例えば結膜、角膜、ブドウ膜、硝子体、網膜、視神経)を攻撃する可能性がある。眼球または眼科の感染症によって目の中や目の周囲に激しい痛み、組織の膨張、組織の充血が起こり、視野がぼやけたり視力が低下したりする可能性がある。
【0003】
外来性病原体の侵入が始まった直後に身体に元からあるカスケードが活性化される。白血球(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ)が炎症部位に引き付けられ、貪食を通じてその外来性病原体を排除しようとする。白血球および感染組織のいくつかの細胞は病原体によって活性化され、炎症促進サイトカイン(例えばIL-1β、IL-3、IL-5、IL-6、IL-8、TNF-α(腫瘍壊死因子-α)、GM-CSF(顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子)、MCP-1(単球走化性タンパク質-1))が合成されて放出される。放出されたこれらサイトカインはさらに多くの免疫細胞を炎症部位に引き付け、免疫系の応答を増幅させて宿主を外来性病原体から防御する。例えばIL-8とMCP-1は、それぞれ好中球と単球にとっての強力な走化性物質であるとともに好中球と単球の活性化物質であるのに対し、GM-CSFはこれらの細胞の生存期間を長くして他の炎症促進アゴニストに対する応答を増加させる。TNF-αは両方のタイプの細胞を活性化させ、その細胞からIL-8とMCP-1をさらに放出させることができる。IL-1とTNF-αはTリンパ球とBリンパ球にとっての強力な走化性物質であり、Tリンパ球とBリンパ球は、活性化されると、外来性病原体に対する抗体を産生する。
【0004】
炎症応答は病原体を感染部位から排除するのに極めて重要だが、炎症応答が長引いたり過剰だったりすると周囲の組織がダメージを受ける可能性がある。例えば炎症によって感染部位の血管が拡張し、その部位への血流が増加する。その結果、膨張した血管は漏出性になる。炎症が長引くと、漏出性血管は、周囲の組織に深刻な浮腫を引き起こすため、周囲の組織の適切な機能が損なわれる可能性がある(例えばV.W.M. van Hinsbergh、Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology、第17巻、1018ページ、1997年を参照のこと)。それに加え、外傷部位にマクロファージが継続して優勢に存在していると、これらの細胞による毒素(例えば反応性酸素種)とマトリックス分解酵素(例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ)の産生が続く。これらは、病原体と宿主の組織の両方にダメージを与える。したがって長引く炎症や過剰な炎症を制御し、身体への予期しないダメージを制限し、身体の回復プロセスを促進せねばならない。
【0005】
グルココルチコイド(この明細書では“コルチコステロイド”とも呼ぶ)は、広い範囲の炎症性疾患(急性の炎症を含む)に対する最も有効な臨床的治療手段の1つである。しかしステロイド薬には、患者の全体的な健康を脅かす副作用が存在する可能性がある。
【0006】
ある種のグルココルチコイドは、このクラスの他の化合物よりも眼内圧(“IOP”)を上昇させる可能性が大きいことが知られている。例えば非常に強力な目の抗炎症剤であるプレドニゾロンは、目に対する抗炎症活性が中程度のフルオロメトロンよりもIOPを上昇させる傾向が大きいことが知られている。グルココルチコイドを目で局所的に用いることに伴うIOP上昇のリスクは時間経過とともに大きくなることも知られている。言い換えるならば、このような薬剤の常習的な(すなわち長期にわたる)使用により、IOPが著しく上昇するリスクが増大する。目の前部の外面の物理的外傷や感染症に伴う急性の目の炎症は数週間程度の短期の治療を必要とするのに対し、目の後部の感染症や炎症は、一般に数ヶ月以上という長期にわたる治療と必要とする。コルチコステロイドをこのように長期にわたって使用すると、IOP上昇のリスクが顕著に増大する。それに加え、コルチコステロイドを使用すると、用量と期間に依存して白内障が形成されるリスクが増大することも知られている。白内障が発生すると、コルチコステロイド療法を中断しても進行していく可能性がある。
【0007】
グルココルチコイドを長期にわたって投与すると、腸でのカルシウム吸収が抑制されて骨の形成が阻害されることにより、薬によって誘発される骨粗鬆症になる可能性もある。グルココルチコイドの長期投与による好ましくない他の副作用として、その薬が身体の代謝プロセスに影響することが原因の高血圧、高血糖症、高脂血症(トリグリセリドのレベル上昇)、高コレステロール血症(コレステロールのレベル上昇)などがある。
【0008】
したがって、炎症を調節する医薬化合物、医薬組成物、方法を提供することが、相変わらず必要とされている。感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善する医薬化合物、医薬組成物、方法を提供することも望ましい。特に、眼球または眼科の炎症を調節するそのような化合物、組成物、方法を提供することも大変望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般に、本発明により、フルオロキノロンを用いて炎症を調節するための組成物と方法が提供される。
【0010】
1つの特徴では、本発明により、新規なフルオロキノロンを用いて眼球または眼科の炎症を調節するための組成物と方法が提供される。
【0011】
別の特徴では、そのような炎症は、前部ブドウ膜炎または春季カタルである。
【0012】
別の特徴では、本発明により、一般式(I)のフルオロキノロン:
【化1】

またはその塩を含む組成物、および一般式(I)のフルオロキノロンまたはその塩を用いて眼球または眼科の炎症を調節するための方法が提供される。ただし一般式(I)において、R1の選択は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されていないC5〜C24アリール基、置換されたC5〜C24アリール基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリール基、置換されたC5〜C24ヘテロアリール基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされ;R2の選択は、水素、置換されていないアミノ基、1個または2個の低級アルキル基で置換されたアミノ基からなるグループの中からなされ;R3の選択は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されていない低級アルコキシ基、置換された低級アルコキシ基、置換されていないC5〜C24アリール基、置換されたC5〜C24アリール基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリール基、置換されたC5〜C24ヘテロアリール基、置換されていないC5〜C24アリールオキシ基、置換されたC5〜C24アリールオキシ基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換されたC5〜C24ヘテロアリールオキシ基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされ;Xの選択は、ハロゲン原子からなるグループの中からなされ;Yの選択は、CH2、O、S、SO、SO2、NR4(ただしR4は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基からなるグループの中から選択される)からなるグループの中からなされ;Zの選択は、酸素と2個の水素原子からなるグループの中からなされる。
【0013】
別の特徴では、本発明により、一般式(I)のフルオロキノロンまたはその塩を用いて対象における眼球または眼科の感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善するための組成物と方法が提供される。
【0014】
さらに別の特徴では、そのような炎症は、細菌、ウイルス、真菌、原生動物のいずれかによって起こる。
【0015】
さらに別の特徴では、そのような眼科の感染症は、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、トラコーマ、ならびにこれらの組み合わせからなるグループの中から選択される。
【0016】
さらに別の特徴では、本発明により、対象において炎症を調節する方法が提供される。この方法は、その炎症を調節するのに有効な量の一般式(I)のフルオロキノロンまたはその塩をその対象に投与する操作を含んでいる。
【0017】
さらに別の特徴では、本発明により、対象において眼球または眼科の炎症を調節する方法が提供される。この方法は、その炎症を調節するのに有効な量の一般式(I)のフルオロキノロンまたはその塩をその対象に局所的に、またはその対象の眼内に投与する操作を含んでいる。
【0018】
本発明の他の特徴と利点は、以下の詳細な説明と請求項から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1:THP-1単球において、LPSで刺激したGM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物(“BOL-303224-A”)が及ぼす効果を示している。
【図2】図1(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したGM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物(“BOL-303224-A”)が及ぼす効果を示している。
【図3】図1(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したGM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物(“BOL-303224-A”)が及ぼす効果を示している。
【図4】図1(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したGM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物(“BOL-303224-A”)が及ぼす効果を示している。
【図5】図1(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したGM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物(“BOL-303224-A”)が及ぼす効果を示している。
【図6】図1(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したGM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物(“BOL-303224-A”)が及ぼす効果を示している。
【図7】図2:THP-1単球において、LPSで刺激したG-CSF、IL-1α、IL-1ra、IL-6、VEGFの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物が及ぼす効果を示している。
【図8】図2(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したG-CSF、IL-1α、IL-1ra、IL-6、VEGFの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物が及ぼす効果を示している。
【図9】図2(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したG-CSF、IL-1α、IL-1ra、IL-6、VEGFの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物が及ぼす効果を示している。
【図10】図2(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したG-CSF、IL-1α、IL-1ra、IL-6、VEGFの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物が及ぼす効果を示している。
【図11】図2(続き):THP-1単球において、LPSで刺激したG-CSF、IL-1α、IL-1ra、IL-6、VEGFの産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物が及ぼす効果を示している。
【図12】図3:THP-1単球において、LPSで刺激したIL-12p40の産生にモキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物が及ぼす効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この明細書では、“低級アルキル”または“低級アルキル基”という用語は、C1〜C15の直鎖または分岐鎖の1価の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。この基は置換されていなくても、置換されていてもよい。この基は、一部または全体をハロゲン原子(F、Cl、Br、I)で置換することができる。低級アルキル基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)などがある。アルキル基は“Alk”と略記することができる。低級アルキル基は1〜10個の炭素原子を含んでいることが好ましい。より好ましいのは、低級アルキル基が1〜5個の炭素原子を含んでいることである。
【0021】
この明細書では、“低級アルコキシ”または“低級アルコキシ基”という用語は、C1〜C15の直鎖または分岐鎖の1価の飽和脂肪族アルコキシ基を意味する。この基は置換されていなくても、置換されていてもよい。この基は、一部または全体をハロゲン原子(F、Cl、Br、I)で置換することができる。低級アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、n-ペントキシ、t-ブトキシなどがある。低級アルコキシ基は1〜10個の炭素原子を含んでいることが好ましい。より好ましいのは、低級アルコキシ基が1〜5個の炭素原子を含んでいることである。
【0022】
この明細書では、“シクロアルキル”または“シクロアルキル基”という用語は、炭素原子と水素原子だけからなる3〜15員で単環または多環の1価の安定な飽和脂肪族基を意味する。この基は、縮合または架橋した1つ以上の環を含んでいてもよく、その環は、3〜7員の単環基であることが好ましい。シクロアルキル環の別の例として、7〜10員の二環基がある。特に断わらない限り、シクロアルキル環は、安定な構造を生じさせる、適切な任意の炭素原子に結合することができ、置換される場合には、安定な構造を生じさせる、適切な任意の炭素原子の位置での置換が可能である。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニル、アダマンチル、テトラヒドロナフチル(テトラリン)、1-デカリニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロオクチルなどがある。
【0023】
この明細書では、“アリール”または“アリール基”という用語は、1価または2価の芳香族炭素環基を意味する。いくつかの実施態様では、アリール基は5〜24個の炭素原子を持ち、単環(例えばフェニルまたはフェニレン)、縮合した多数の環(例えばナフチルやアントラニル)、架橋した多数の環(例えばビフェニル)を有する。特に断わらない限り、アリール環は、安定な構造を生じさせる、適切な任意の炭素原子に結合することができ、置換される場合には、安定な構造を生じさせる、適切な任意の炭素原子の位置での置換が可能である。アリール基の例として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インダニル、インデニル、ビフェニルなどがある。アリール基は“Ar”と略記することができる。アリール基は、5〜14個の炭素原子を含んでいることが好ましい。より好ましいのは、アリール基が5〜10個の炭素原子を含んでいることである。
【0024】
この明細書では、“ヘテロアリール”または“ヘテロアリール基”という用語は、単環または多環の1価または2価の安定な芳香族基を意味する。この基は、縮合または架橋した1つ以上の環を含んでいてもよい。いくつかの実施態様では、ヘテロアリール基は5〜24員であり、5〜7員の単環基、または7〜10員の二環基であることが好ましい。ヘテロアリール基は、環の中に、窒素、酸素、イオウの中から独立に選択された1〜4個のヘテロ原子を含むことができる。その場合、どのイオウ・ヘテロ原子も、場合によっては酸化されていてもよく、どの窒素ヘテロ原子も、場合によっては酸化されるか四級化されていてもよい。特に断わらない限り、ヘテロアリール環は、安定な構造を生じさせる、適切な任意のヘテロ原子または炭素原子に結合することができ、置換される場合には、安定な構造を生じさせる、適切な任意のヘテロ原子または炭素原子の位置での置換が可能である。ヘテロアリールの例として、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、アザインドリジニル、インドリル、アザインドリル、ジアザインドリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロアザインドリル、イソインドリル、アザイソインドリル、ベンゾフラニル、フラノピリジニル、フラノピリミジニル、フラノピラジニル、フラノピリダジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロフラノピリジニル、ジヒドロフラノピリミジニル、ベンゾチエニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、チエノピラジニル、チエノピリダジニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロチエノピリジニル、ジヒドロチエノピリミジニル、インダゾリル、アザインダゾリル、ジアザインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリミジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、オキサゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、ベンゾイソオキサゾリル、プリニル、クロマニル、アザクロマニル、キノリジニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、シンノリニル、アザシンノリニル、フタラジニル、アザフタラジニル、キナゾリニル、アザキナゾリニル、キノキサリニル、アザキノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロナフチリジニル、テトラヒドロナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどがある。
【0025】
グルココルチコイド(“GC”)は、アレルギー性と慢性の炎症疾患の治療、または感染症の結果として起こる炎症の治療に使用される最も強力な薬の1つである。しかし上に説明したように、GCを用いて長期の治療を行なうと、数多くの好ましくない副作用(例えば糖尿病、骨粗鬆症、高血圧、緑内障、白内障)が生じることがしばしばある。これらの副作用は、他の生理学的な症状と同様、これらの疾患にとって重要な遺伝子が異常に発現した結果である。過去10年間の研究から、GCに応答する遺伝子の発現に対するGCを媒介とした作用の分子的な基礎に関する重要な見通しが得られた。GCは、細胞質GC受容体(“GR”)に結合することによってゲノム効果のほとんどを及ぼす。GCがGRに結合すると、GC-GR複合体が細胞核に移動することが誘導され、そこで正の調節モード(トランス活性化)または負の調節モード(トランス抑制)によって遺伝子の転写が変化する。GCを用いた治療の好ましい効果と望ましくない効果の両方は、これら2つのメカニズムの発現レベルが分化していない結果である、言い換えるならばこれらは同じレベルの有効さで進行するという証拠が増えている。慢性の炎症性疾患におけるGCの作用の最も重要な側面を確認することはまだできていないが、GCがサイトカインの合成を抑制する効果が特に重要であるらしい証拠が存在している。GCは、トランス抑制メカニズムを通じ、炎症性疾患に関係するいくつかのサイトカイン(例えばIL-1β(インターロイキン-1β)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-11、TNF-α(腫瘍壊死因子α)、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子))や、炎症細胞を炎症部位に引き付けるケモカイン(例えばIL-8、RANTES、MCP-1(単球走化性タンパク質-1)、MCP-3、MCP-4、MIP-1α(マクロファージ-炎症性タンパク質1α)、エオタキシン)の転写を抑制する。P.J. Barnes、Clin. Sci.、第94巻、557〜572ページ、1998年。その一方で、NF-κB炎症促進転写因子に対して抑制作用を有するタンパク質であるIκBキナーゼの合成がGCによって増大するという説得力のある証拠が存在している。この炎症促進転写因子は、多くの炎症性タンパク質(例えばサイトカイン、炎症性酵素、接着分子、炎症性受容体)をコードしている遺伝子の発現を調節する。S. Wissink他、Mol. Endocrinol、第12巻、第3号、354〜363ページ、1998年;P.J. BarnesとM. Karin、New Engl. J. Med.、第336巻、1066〜1077ページ、1997年。したがってさまざまな遺伝子を対象としたGCのトランス抑制およびトランス活性化の両方の機能が、炎症抑制の好ましい効果を生じさせる。その一方で、ステロイドによって誘導される糖尿病と緑内障は、GCがこれらの疾患にとって重要な遺伝子にトランス活性化作用を及ぼすことによって発生するように見える。H. Schaecke他、Pharmacol. Ther.、第96巻、23〜43ページ、2002年。したがってGCによるいくつかの遺伝子のトランス活性化で好ましい効果が得られる一方で、同じGCによる別の遺伝子のトランス活性化で望ましくない副作用が発生する可能性がある。したがって、GC療法の副作用なしに炎症を調節するための医薬化合物、医薬組成物、方法を提供できることが非常に望ましい。
【0026】
一般に、本発明により、フルオロキノロンを用いて炎症を調節するための組成物と方法が提供される。
【0027】
1つの特徴では、本発明により、新規なフルオロキノロンを用いて眼球または眼科の炎症を調節するための組成物と方法が提供される。
【0028】
別の特徴では、そのような炎症は、前部ブドウ膜炎または春季カタルである。
【0029】
さらに別の特徴では、そのような炎症は、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、汎ブドウ膜炎、続発性ブドウ膜炎のいずれかである。
【0030】
さらに別の特徴では、そのような炎症は、急性前部ブドウ膜炎である。
【0031】
別の特徴では、本発明により、一般式(I)のフルオロキノロン:
【化2】

またはその塩を含む組成物、および一般式(I)のフルオロキノロンまたはその塩を用いて眼球または眼科の炎症を調節するための方法が提供される。ただし一般式(I)において、R1の選択は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されていないC5〜C24アリール基、置換されたC5〜C24アリール基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリール基、置換されたC5〜C24ヘテロアリール基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされ;R2の選択は、水素、置換されていないアミノ基、1個または2個の低級アルキル基で置換されたアミノ基からなるグループの中からなされ;R3の選択は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されていない低級アルコキシ基、置換された低級アルコキシ基、置換されていないC5〜C24アリール基、置換されたC5〜C24アリール基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリール基、置換されたC5〜C24ヘテロアリール基、置換されていないC5〜C24アリールオキシ基、置換されたC5〜C24アリールオキシ基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換されたC5〜C24ヘテロアリールオキシ基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされ;Xの選択は、ハロゲン原子からなるグループの中からなされ;Yの選択は、CH2、O、S、SO、SO2、NR4(ただしR4は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基からなるグループの中から選択される)からなるグループの中からなされ;Zの選択は、酸素と2個の水素原子からなるグループの中からなされる。
【0032】
さらに別の特徴では、炎症を調節する本発明の組成物は、一般式(II)のフルオロキノロン:
【化3】

またはその塩のファミリーのメンバーを含んでいる。ただし一般式(II)において、R1、R3、X、Y、Zは上に示したのと同じ意味である。炎症を調節する本発明の方法では、このようなフルオロキノロンを用いる。
【0033】
さらに別の特徴では、本発明により、一般式(I)または(II)のフルオロキノロンまたはその塩を含む組成物、および一般式(I)または(II)のフルオロキノロンまたはその塩を用いて対象の眼球または眼科の感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善するための方法が提供される。
【0034】
1つの特徴では、R1の選択は、水素、置換されたC1〜C5(またはC1〜C3)アルキル基、置換されていないC1〜C5(またはC1〜C3)アルキル基、C3〜C10(またはC3〜C5)シクロアルキル基、置換されたC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)アリール基、置換されていないC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)アリール基、置換されたC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)ヘテロアリール基、置換されていないC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)ヘテロアリール基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされる。一実施態様では、R1の選択は、置換されたC1〜C5(またはC1〜C3)アルキル基と、置換されていないC1〜C5(またはC1〜C3)アルキル基からなるグループの中からなされる。
【0035】
別の特徴では、R2の選択は、置換されていないアミノ基と、1個または2個のC1〜C5(またはC1〜C3)アルキル基で置換されたアミノ基からなるグループの中からなされる。
【0036】
さらに別の特徴では、R3の選択は、水素、置換されたC1〜C5(またはC1〜C3)アルキル基、置換されていないC1〜C5(またはC1〜C3)アルキル基、C3〜C10(またはC3〜C5)シクロアルキル基、置換されたC1〜C5(またはC1〜C3)アルコキシ基、置換されていないC1〜C5(またはC1〜C3)アルコキシ基、置換されたC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)アリール基、置換されていないC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)アリール基、置換されたC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)ヘテロアリール基、置換されていないC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)ヘテロアリール基、置換されたC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)アリールオキシ基、置換されていないC5〜C14(またはC6〜C14、またはC5〜C10、またはC6〜C10)アリールオキシ基からなるグループの中からなされる。一実施態様では、R3の選択は、C3〜C10(またはC3〜C5)シクロアルキル基からなるグループの中からなされる。
【0037】
さらに別の特徴では、Xの選択は、Cl、F、Brからなるグループの中からなされる。一実施態様では、XはClである。別の一実施態様では、XはFである。
【0038】
さらに別の特徴では、YはCH2である。さらに別の特徴では、Zは2個の水素原子を含んでいる。
【0039】
さらに別の特徴では、YはNHであり、ZはOであり、XはClである。
【0040】
別の特徴では、本発明の組成物は、薬理学的に許容可能な基剤をさらに含んでいる。
【0041】
一般式(I)の化合物のファミリーのメンバーをいくつか表1に示してあるが、これですべてではない。このファミリーのうちで表1に掲載していない他の化合物も、特定の状況では適切である。
【0042】
【表1】

【0043】
一実施態様では、本発明の組成物に含まれ本発明の方法で用いられるフルオロキノロンカルボン酸は、一般式(III)を有する。
【0044】
【化4】

【0045】
別の一実施態様では、本発明の組成物に含まれ本発明の方法で用いられるフルオロキノロンカルボン酸は、一般式(IV)、(V)、(VI)のいずれかを有する。
【0046】
【化5】

【化6】

【化7】

【0047】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物に含まれ本発明の方法で用いられるフルオロキノロンカルボン酸は、一般式(VII)または(VIII)を有する。
【0048】
【化8】

【化9】

【0049】
さらに別の特徴では、本発明の組成物は、一般式(I)、(II)、(III)の化合物のうちの1つの鏡像異性体を含んでおり、本発明の方法では、そのような1つ以上の化合物を用いる。
【0050】
さらに別の特徴では、本発明の組成物は、一般式(I)、(II)、(III)の化合物のうちの1つの鏡像異性体の混合物を含んでおり、本発明の方法では、そのような混合物を用いる。
【0051】
この明細書に開示したフルオロキノロンは、アメリカ合衆国特許第5,447,926号と第5,385,900号(その内容は参照することによりこの明細書に組み込まれているものとする)に開示されている方法によって製造できる。
【0052】
さらに別の特徴では、本発明により、対象の炎症を調節する方法が提供される。この方法は、炎症を調節するのに有効な量の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)いずれかのフルオロキノロン、またはその塩を対象に投与する操作を含んでいる。
【0053】
さらに別の特徴では、本発明により、対象の感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善する方法が提供される。この方法は、そのような感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善するのに有効な量の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)いずれかのフルオロキノロン、またはその塩を対象に投与する操作を含んでいる。
【0054】
さらに別の特徴では、そのような感染症は、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、またはこれらの組み合わせによって起こる。
【0055】
さらに別の特徴では、そのような感染症は、眼球または眼科の感染症である。
【0056】
さらに別の特徴では、そのような眼球または眼科の感染症は、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、トラコーマ、ならびにこれらの組み合わせからなるグループの中から選択される。一実施態様では、そのような感染症は、前部眼瞼炎、後部眼瞼炎、単純ヘルペス性角膜炎、帯状ヘルペス性角膜炎、細菌性角膜炎、真菌性角膜炎(例えばフザリウム性角膜炎)、アカントアメーバ性角膜炎、サイトメガロウイルス性網膜炎、トキソプラズマ性網膜炎、帯状ヘルペス性結膜炎、細菌性結膜炎、房水と硝子体液の細菌感染、眼内炎、汎眼球炎、トラコーマ、ならびにこれらの組み合わせからなるグループの中から選択される。
【0057】
さらに別の特徴では、本発明により、角膜浸潤物に関係する炎症応答を調節する組成物と方法が提供される。その組成物は、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)のフルオロキノロンのうちの1つを含んでおり、その方法でそのような組成物を使用する。“角膜浸潤物”という用語は、ストレッサー(例えば毒素、眼球刺激物や、眼球の環境にとって異質な他の物質)に応答して角膜に入る免疫系の炎症細胞を意味する。角膜浸潤物は、一般に多形核白血球(好中球)から構成されるが、リンパ球とマクロファージも含んでいてよい。浸潤する細胞は、局所的な組織の損傷と、環境からの抗原と毒素(微生物からの成分も含む)によって誘導された走化性因子とに応答し、四肢の血管系から、または涙膜から移動することができる。一実施態様では、角膜浸潤物は、コンタクト・レンズに関係する角膜浸潤物(“CLACI”)である。コンタクト・レンズの使用に関係する多くの機械的刺激、低酸素刺激、毒性刺激、炎症性刺激のうちの任意の1つまたは組み合わせによって炎症促進応答が誘導され、その応答は炎症細胞の角膜への浸潤につながる。1つの特徴では、角膜浸潤物は、眼球表面に微生物が存在することと関係している可能性がある。これら微生物は組織の損傷(感染症)を直接には引き起こさないかもしれないが、細胞成分(例えば内毒素、細胞壁の材料、核酸など)の放出による自然免疫応答を誘発する可能性がある。M.W. Robboy他、Eye & Contact Lens、第29巻、第3号、146ページ、2003年。
【0058】
さらに別の特徴では、本発明により、対象の炎症や感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善、または緩和するための組成物と方法であって、その組成物と方法を用いると、同じ状態(その炎症または感染症とその炎症性後遺症)の治療、または制御、または軽減、または改善に用いる少なくとも1種類の従来のグルココルチコイドを含む組成物と比べて、少なくとも1種類の好ましくない副作用の程度がより低い、組成物と方法が提供される。
【0059】
1つの特徴では、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用の程度は、in vivoまたはin vitroで明らかにされる。例えばその少なくとも1つの好ましくない副作用の程度は、in vitroで細胞を培養し、その副作用に関係するバイオマーカーのレベルを測定することによって明らかになる。そのようなバイオマーカーとして、その好ましくない副作用が生じる生化学的カスケードに関係するか、そのカスケードの生成物であるタンパク質(例えば酵素)、脂質、糖類、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。代表的なin vitro試験法はあとで詳しく説明する。
【0060】
さらに別の特徴では、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用は、緑内障、白内障、高血圧、高血糖症、高脂血症(トリグリセリドのレベル上昇)、高コレステロール血症(コレステロールのレベル上昇)からなるグループの中から選択される。
【0061】
別の一実施態様では、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用の程度は、本発明の組成物を対象に最初に投与してその組成物が対象の中に存在するようになってから約1日後に明らかになる。別の一実施態様では、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用の程度は、本発明の組成物をその対象に最初に投与してその組成物がその対象の中に存在するようになってから約14日後に明らかになる。さらに別の一実施態様では、上記の少なくとも1つの好ましくない副作用の程度は、本発明の組成物をその対象に最初に投与してその組成物がその対象の中に存在するようになってから約30日後に明らかになる。あるいは上記の少なくとも1つの好ましくない副作用の程度は、本発明の化合物または組成物をその対象に最初に投与してその化合物または組成物がその対象の中に存在するようになってから約2、3、4、5、6ヶ月後に明らかになる。
【0062】
別の特徴では、同じ状態の治療、または制御、または軽減、または改善に用いられる従来の少なくとも1種類のグルココルチコイドを、その状態に対して本発明の組成物と同じ好ましい効果がほぼ同じ時間が経過した後に生じるのに十分な用量と頻度でその対象に投与する。
【0063】
さらに別の特徴では、上記の従来の少なくとも1種類のグルココルチコイドの選択は、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタルネート、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、これらの生理学的に許容可能な塩、これらの組み合わせ、これらの混合物からなるグループの中からなされる。一実施態様では、上記の従来の少なくとも1種類のグルココルチコイドの選択は、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メドリゾン、トリアムシノロン、エタボン酸ロテプレドノール、これらの生理学的に許容可能な塩、これらの組み合わせ、これらの混合物からなるグループの中からなされる。別の一実施態様では、上記の従来の少なくとも1種類のグルココルチコイドは、眼科用として許容できる。
【0064】
ヒトTHP-1単球において、LPSで誘導したサイトカインの発現が一般式(IV)の化合物とモキシフロキサシンによって抑制されることのテスト
【0065】
実験法
ヒトTHP-1単球(ATCC TIB 202)をアメリカ基準培養コレクション(マナサス、ヴァージニア州)から購入し、CO2が5%の湿潤なインキュベータの中で、37℃のRPMI 1640培地(インヴィトロジェン社、カールスバッド、カリフォルニア州)の中に維持した。培地には、10%ウシ胎仔血清(“FBS”、インヴィトロジェン社、カールスバッド、カリフォルニア州)と、100U/mLのペニシリン(インヴィトロジェン社、カールスバッド、カリフォルニア州)と、100μg/mLのストレプトマイシン(インヴィトロジェン社、カールスバッド、カリフォルニア州)を補充した。THP-1細胞は、透析した血清を10%含むRPMI 1640培地の中であらかじめ24時間にわたって培養した。透析した血清を2%含むRPMI 1640培地(ハイクローン社(ロガ、ユタ州)から購入した)の中で細胞を24ウエルのプレートに入れ、ビヒクル(DMSO、ジメチルスルホキシド)、10μg/mLのLPS(シグマ-アルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)、0.1、1、10、30μg/mLいずれかのモキシフロキサシン(ニューランド・ラボラトリーズ社、ハイデラバード、インド国)、0.1、1、10、30μg/mLいずれかの一般式(IV)の化合物(ボシュ&ロム社、ロチェスター、ニューヨーク州)、10μg/mLのLPS + 0.1、1、10、30μg/mLいずれかのモキシフロキサシン、10g/mLのLPS + 0.1、1、10、30μg/mLいずれかの一般式(IV)の化合物で18時間にわたって処理した。それぞれの処理を行なったものを3つ用意した。
【0066】
マルチプレックス・ルミネックス
マルチプレックス・ビーズ技術を利用してサンプルを分析した。この技術では、イムノアッセイのための固体支持体としてマイクロスフェアを利用しており、各サンプルからのすべてのサイトカインを分析することができる(D.A. Vignali、J. Immunol. Methods、第243巻、243〜255ページ、2000年)。製造者の指示に従って16種類のサイトカインを測定した。簡単に述べると、50μlの培地サンプルを、抗体でコーティングした捕獲用ビーズとともに4℃にて一晩にわたってインキュベートした。洗浄したビーズを、ビオチンで標識した抗ヒト・サイトカイン抗体とともに室温にて2時間にわたってさらにインキュベートした後、ストレプトアビジン-フィコエリトリンとともに30分間にわたってインキュベートした。ルミネックス200(登録商標)(ルミネックス社、オースチン、テキサス州)とビードヴュー・ソフトウエア v1.0(アップステート・セル・シグナリング・ソリューションズ社、テメキュラ、カリフォルニア州)を用いてサンプルを分析した。組み換えヒト・サイトカインの濃度について知られている標準曲線を利用し、蛍光単位(蛍光強度の中央値)をサイトカインの濃度(単位はpg/mL)に変換した。標準曲線の線形部分だけを使用してサイトカインの濃度を定量化し、蛍光の読み取り値が標準曲線の線形範囲を超えている場合には、濃度が曲線の線形部分に確実に入るように適切に希釈した。
【0067】
細胞代謝機能
細胞代謝能力は、アラマーブルー・アッセイ(J. O'Brien他、FEBS J.、第267巻、5421〜5426ページ、2000年)によって調べた。簡単に述べると、培地を除去した後、CO2が5%の湿潤なインキュベータの中で、細胞を1:10に希釈したアラマーブルー溶液(バイオソース社、カマリロ、カリフォルニア州)とともに37℃にて3時間にわたってインキュベートした。530〜560nmの励起および590nmの発光によりプレートを蛍光的に読み取った。相対的蛍光単位(“RFU”)を用いて細胞の生存率を明らかにした。
【0068】
データの分析と統計
すべてのサイトカインの濃度(pg/mL)を平均値±標準偏差で表わした。対照であるビヒクルまたはLPS処理物を基準として用い、ダンネット事後比較検定と一元配置ANOVAを利用して処理の効果をグループ間で比較する統計的分析を行なった。すべてのアッセイについて、p≦0.05が統計的に有意な基準であることをあらかじめ決めておいた。
【0069】
結果
アラマーブルー・アッセイによる測定では、どの処理でも、細胞代謝活性に対する統計的に有意な効果は生じなかった(データは示さない)。培地中のこれらさまざまな処理群からのサイトカインのレベルを調べる研究から得られた結果をすべて表2にまとめてある。アッセイにおいて16種類のサイトカインのうち14種類がかなりのレベルで培地中THP-1単球から検出でき、EGFとIL-7以外のすべてのサイトカインが影響された。THP-1単球を10μg/mLのLPSに18時間にわたって曝露すると、検出できた14種類のサイトカインのうち13種類で有意な増加が起こった。THP-1単球培地中のVEGFの量も増加したが、その増加は統計的に有意なレベルには達しなかった。
【0070】
【表2】

【0071】
モキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物の両方とも、THP-1単球においてLPSによって誘導されるサイトカインの産生を有意に抑制した。モキシフロキサシンに関しては、有意な抑制効果が、IL-12p40では1μg/mLにおいて、IL-1raとIL-6では10μg/mLにおいて、G-CSF、GM-CSF、Il-1α、IL-1β、IL-8、IP-10、MIP-1αでは30μg/mLにおいて観察された(表2)。一般式(IV)の化合物に関しては、有意な抑制効果が、Il-1αでは0.1μg/mLにおいて、G-CSF、IL-1ra、IL-6では1μg/mLにおいて、GM-CSF、IL-12p40、IL-1β、IL-1ra、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αでは30μg/mLにおいて観察された(表2)。モキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物のどちらも、LPSで刺激したRANTESとフラクタルカインの産生を変化させることはなかった。
【0072】
この研究で検出されたサイトカインは、4つの異なる応答グループに分割できた。第1のグループには、これらのフルオロキノロンが有意な効果を持たなかったサイトカイン(RANTESとフラクタルカイン)が含まれる。サイトカインの第2のグループには、GM-CSF、IL-1β、IL-8、IP-10、MCP-1、MIP-1αが含まれる。これらのサイトカインについては、モキシフロキサシンと一般式(IV)の化合物(図ではBOL-303224-Aと表記)の両方が、LPSで刺激した後に同等な効果を示した(図1)。サイトカインの第3のグループに含まれるG-CSF、IL-1α、IL-1ra、IL-6、VEGFは、一般式(IV)の化合物がモキシフロキサシンよりも大きな力価を示したものである(図2)。最後に、サイトカインの第4のグループは、モキシフロキサシンが一般式(IV)の化合物よりも大きな力価を示したものであり、IL-12p40だけからなる(図3)。
【0073】
一般式(IV)の化合物では、非常に低い濃度で有意なサイトカイン抑制効果が観察された。例えば一般式(IV)の化合物の有意な抑制効果が、IL-1αでは100ng/mL、G-CSF、IL-1ra、IL-6では1000ng/mLという低い値で見られた。これらの濃度は、局所投与後に予測される眼球での濃度よりも非常に低い(K.W. Ward他、J. Ocul. Pharmacol. Ther.、第23巻、243〜256ページ、2007年)。したがってこのサイトカイン抑制プロファイルから生じる臨床上の利益を得ることができる。
【0074】
この明細書に開示したフルオロキノロン化合物は、炎症の調節、または感染症とその炎症性後遺症の治療、または軽減、または改善を目的として、局所投与、経口投与、皮下投与、全身投与用の医薬組成物にすることができる。このような組成物は、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)いずれかのフルオロキノロン化合物、またはその塩と、製剤の当業者が決定できる投与用の薬理学的に許容可能な基剤とを含んでいる。例えば従来から知られているさまざまな薬理学的に許容可能な基剤を用い、溶液、エマルジョン、懸濁液、分散液、軟膏、ゲル、カプセル、錠剤にすることができる。一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)いずれかのフルオロキノロン化合物、またはその塩は、耳、または目、または上部気道の一部に微生物によって起こる感染症の治療、軽減、改善、予防に特に適している。このようなフルオロキノロンまたはその塩は、溶液、軟膏、懸濁液、分散液、ゲルにされる。
【0075】
一実施態様では、本発明の局所用組成物は、水溶液または懸濁液を含んでいる。一般に、精製水または脱イオン水が用いられる。組成物のpHは、生理学的に許容可能なpH調節用の任意の酸、塩基、緩衝液を添加して約3〜約8.5(または約4〜約7.5、または約4〜約6.5、約5〜約6.5)の範囲に調節する。酸の例として、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸などがあり、塩基の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トロメタミン、THAM(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)などがある。塩および緩衝液として、クエン酸塩/デキストロース、炭酸水素ナトリウム、塩化アンモニウム、上記の酸と塩基の混合物などがある。pH緩衝液を組成物に導入して安定なpHを維持し、ユーザーによる製品の許容度を改善する。いくつかの実施態様では、pHは約4〜約7.5の範囲である。さまざまなpHの生物学的緩衝液を例えばシグマ-アルドリッチ社から入手できる。本発明の組成物の粘度範囲は、約5〜約100,000(または約10〜約50,000、または約10〜約20,000、または約10〜約10,000、または約10〜約1,000、または約100〜約10,000、または約100〜約20,000、または約100〜約50,000、または約500〜約10,000、または約500〜約20,000)センチポアズ(“cp”)またはmPa・sであってよい。
【0076】
別の一実施態様では、本発明の局所用組成物は、軟膏、エマルジョンまたはクリーム(例えば水中油型エマルジョン)、ゲルのいずれかを含んでいる。
【0077】
軟膏は、一般に(1)油性のベース、すなわち固定油または炭化水素からなるもの(例えば白色ワセリンまたは鉱物油)、または(2)吸収性のベース、すなわち水を吸収できる1種類または複数種類の無水物質からなるもの(例えば無水ラノリン)を用いて調製される。通常は、油性であれ吸収性であれ、ベースを形成した後、望む濃度になるような量の活性成分(化合物)を添加する。
【0078】
クリームは、油/水エマルジョンである。クリームは、一般に、固定油、炭化水素など(蝋、ワセリン、鉱物油など)を含む油相(内部相)と、水と任意の水溶性物質(例えば添加された塩)を含む水相(連続相)とからなる。これら2つの相は、乳化剤(例えば界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、親水性コロイド(アラビアゴム・コロイド状粘土、ビーガム(Veegum)など)を用いて安定化させる。エマルジョンが形成されると、所望の濃度となる量の活性成分(化合物)を通常は添加する。
【0079】
ゲルは、油性ベース、水、エマルジョン-懸濁液ベースの中から選択したベースを含んでいる。このベースにゲル化剤を添加する。するとゲル化剤はベースの中でマトリックスを形成し、ベースの粘度が大きくなる。ゲル化剤の例は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸ポリマーなどである。通常は、ゲル化剤を添加する前に、所望の濃度で製剤に活性成分(化合物)を添加する。
【0080】
本発明の組成物に組み込まれるこの明細書に開示したフルオロキノロン化合物の量は重要でない。濃度は、所望の治療部位に所望量の化合物を送達することになる量で、病気の組織領域にその製剤を容易に塗布できて所望の治療効果を提供するのに十分な範囲でなければならない。本発明のいくつかの実施態様では、組成物は、約0.0001重量%〜10重量%(または約0.001重量%〜約5重量%、または約0.01重量%〜約5重量%、または約0.01重量%〜約2重量%、または約0.01重量%〜約1重量%、または約0.01重量%〜約0.7重量%、または約0.01重量%〜約0.5重量%)の濃度のフルオロキノロンを含んでいる。
【0081】
さらに、本発明の局所用組成物は、保存剤、界面活性剤、アジュバント(追加の薬を含む)、酸化防止剤、張性調節剤、粘度調整剤などのうちの1種類以上を含むことができる。
【0082】
製品を一回用量の容器または多数回用量の容器に入れたときにその製品が微生物によって汚染されることを保存剤を用いて抑制できる。保存剤としては、第四級アンモニウム誘導体(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンジルアンモニウム、臭化セチルメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、塩化ベンゼトニウム、有機水銀化合物(チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀)、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ベータフェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノールなどと、これらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、選択した保存剤が何であるかに応じ、有効な濃度(一般には約0.005重量%〜約5重量%)で使用される。使用する保存剤の量は、溶液が物理的に安定である、すなわち沈殿物が形成されず、抗菌が有効であるのに十分でなければならない。
【0083】
本発明の組成物の諸成分(一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)のフルオロキノロンを含む)の溶解度は、組成物中の界面活性剤や他の適切な共溶媒によって、または溶解度増大剤(例えばシクロデキストリン(α-、β-、γ-シクロデキストリンのヒドロキシプロピル誘導体、ヒドロキシエチル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体、マルトトリオシル誘導体など))によって大きくすることができる。一実施態様では、組成物は、0.1%〜20%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、または1%〜15%(または2%〜10%)のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含んでいる。共溶媒としては、ポリソルベート(例えばポリソルベート20、60、80)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(例えばPluronic(登録商標)F68、F84、F127、P103)、シクロデキストリン、脂肪酸トリグリセリド、グリセロール、ポリエチレングリコール、他の溶解剤(例えばオクトキシノール40、チロキサポール)、当業者に知られている他の物質や、これらの混合物が挙げられる。使用する溶解度増大剤の量は、組成物中のフルオロキノロンの量に依存することになるが、使用する溶解度増大剤が増えるとフルオロキノロンの量も多くなる。一般に、溶解度増大剤は、成分に応じて0.01重量%〜20重量%(または0.1重量%〜5重量%、または0.1重量%〜2重量%)のレベルで用いられる。
【0084】
本発明の組成物の粘度を単純な水溶液の粘度よりも大きくする粘度増大剤を使用することは、標的とする組織による活性化合物の吸収を増やすため、またはその場所での保持時間を長くするために望ましい可能性がある。そのような粘度増大剤として、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースや、当業者に知られている他の物質が挙げられる。これらの物質は、一般に、0.01重量%〜10重量%(または0.1重量%〜5重量%、または0.1重量%〜2重量%)のレベルで用いられる。
【0085】
適切な界面活性剤として、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。他の界面活性剤は、ポリソルベート(例えばポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリソルベート60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、ポリソルベート20(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)であり、一般にはその商品名であるトゥイーン(登録商標)80、トゥイーン(登録商標)60、トゥイーン(登録商標)20で知られている)、ポロキサマー(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロック・ポリマーであり、一般にはその商品名であるPluronic(登録商標)(例えばPluronic(登録商標)F127、Pluronic(登録商標)F108)で知られている)、ポロキサミン(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロック・ポリマーがエチレンジアミンに結合したものであり、一般にはその商品名であるTetronic(登録商標)(例えばTetronic(登録商標)1508、Tetronic(登録商標)908など)で知られている)、他の非イオン性界面活性剤(例えばBrij(登録商標)、Myrj(登録商標))、炭素鎖が約12個以上の炭素原子(例えば約12〜約24個の炭素原子)である長鎖脂肪アルコール(すなわちオレイルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ドコソヘキサノイルアルコールなど)などが挙げられる。界面活性剤は、局所用製剤を狭い通路の表面に広げるのに役立つ。
【0086】
1つの特徴では、本発明の組成物に少なくとも1種類の別の抗炎症剤を含めると望ましい場合がある。好ましい抗炎症剤として、よく知られた非ステロイド系抗炎症薬(“NSAID”)が挙げられる。
【0087】
NSAIDの例は、アミノアリールカルボン酸誘導体(例えばエンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルメート、テロフェナメート、トルフェナム酸)、アリール酢酸誘導体(例えばアセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシン、ゾメピラク)、アリール酪酸誘導体(例えばブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシン)、アリールカルボン酸(例えばクリダナク、ケトロラク、チノリジン)、アリールプロピオン酸誘導体(例えばアルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ベルモプロフェン、ブクロキシン酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロレン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェン、ザルトプロフェン)、ピラゾール(例えばジフェナミゾール、エピリゾール)、ピラゾロン(例えばアパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スクシブゾン、チアゾリノブタゾン)、サリチル酸誘導体(例えばアセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサレート、フェンドサル、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リシン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、サリチル酸1-ナフチル、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサレート、スルファサラジン)、チアジンカルボキサミド(例えばアンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、テノキシカム)、ε-アセトアミドカプロン酸、S-(5'-アデノシル)-L-メチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザク、ベンジダミン、α-ビサボロール、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロカゾン、スーパーオキシドジスムターゼ、テニダップ、ジロートン、これらの生理学的に許容可能な塩、これらの組み合わせ、これらの混合物であるが、これだけに限られるわけではない。一実施態様では、NSAIDは、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラクのいずれかである。
【0088】
他の非ステロイド系抗炎症薬として、シクロオキシゲナーゼのタイプII選択的阻害剤(例えばセレコキシブ、エトドラク);PAF(血小板活性化因子)アンタゴニスト(例えばアパファント、ベパファント、ミノパファント、ヌパファント、モジパファント);PDE(ホスホジエステラーゼ)IV阻害剤(例えばアリフロ、トルバフィリン、ロリプラム、フィラミナスト、ピクラミラスト、シパムフィリン、ロフルミラスト);サイトカイン産生の阻害剤(例えばNK-κB転写因子の阻害剤);当業者に知られている他の抗炎症剤などが挙げられる。一実施態様では、非ステロイド系抗炎症薬はセレコキシブである。
【0089】
本発明の組成物に含まれる抗炎症剤の濃度は、選択した薬剤と、治療する炎症のタイプによって異なるであろう。濃度は、本発明の組成物を標的組織に塗布した後に、その標的組織における炎症を軽減、または治療、または予防するのに十分な濃度になろう。そのような濃度は、一般に、約0.0001重量%〜約3重量%(または約0.01重量%〜約2重量%、または約0.05重量%〜約1重量%、または約0.01重量%〜約0.5重量%)の範囲である。
【0090】
本発明の組成物と、感染症とその炎症性後遺症を治療、または軽減、または改善、または予防するためのこのような組成物を調製する方法の例をさらに詳しく説明するため、以下の実施例を提示する。
【0091】
例1:溶液
【0092】
【表3】

【0093】
撹拌機構を取り付けた滅菌ステンレス鋼製ジャケット付き容器の中で、50〜60℃の範囲の温度にて、(上の表に示した)適量のPluronic(登録商標)F127をリン酸塩緩衝液に添加する。得られる緩衝溶液を61〜75℃に加熱する。3〜10分間にわたってこの緩衝溶液を混合しながら、約66℃で適量のBAKを添加する。混合を続けながら、75℃の温度で容器の内容物に3〜5分間かけて一般式(IV)の化合物を適量添加する。次に、75℃にてさらに5分間混合を続けながら、この混合物にEDTAとNaClを添加する。得られた混合物を25〜30℃に冷却する。最終組成物を適切な容器に包装する。
【0094】
例2:溶液
例1と同様の手順を利用してこの溶液を製造する。
【0095】
【表4】

【0096】
例3:溶液
例1と同様の手順を利用して以下の組成を持つ溶液を製造する。
【0097】
【表5】

【0098】
例4:溶液
例1と同様の手順を利用して以下の組成を持つ溶液を製造する。
【0099】
【表6】

【0100】
例5:懸濁液
例1と同様の手順を利用して以下の組成を持つ懸濁液を製造する。
【0101】
【表7】

【0102】
例6:エマルジョン
変更した例1の手順を利用し、以下の表に示した組成を持つエマルジョンを製造する。
【0103】
攪拌機構を取り付けた第1の滅菌ステンレス鋼製ジャケット付き容器の中で、50〜60℃の範囲の温度にて、以下の表に示した割合に対応する量のポリソルベート60(トゥイーン(登録商標)60)を水に添加する。得られた水溶液を61℃〜75℃に加熱する。3〜10分間にわたってこの水溶液を混合しながら、約66℃でベンジルアルコール(保存剤)を添加する。混合を続けながら、75℃の温度にて、撹拌装置を取り付けた第2の滅菌容器の中で、3〜5分間かけて適量の一般式(IV)の化合物およびエタボン酸ロテプレドノールをミグリオール油に添加する。この油混合物にモノステアリン酸ソルビタンとセチルステアリルアルコールを添加する。得られた油混合物を62℃〜75℃の範囲の温度に加熱する。次にこの油混合物を強く撹拌しながら、66℃の温度で3〜5分間かけて第1の容器内の水溶液に添加する。この混合物に硫酸ナトリウムと硫酸および/または水酸化ナトリウムを添加してpHを5.5に調節する。得られた組成物を35℃〜45℃に冷却し、高剪断乳化装置で混合することによって、またはホモジナイザーを通過させることによって均一化する。この組成物をさらに25℃〜30℃に冷却する。最終組成物を適切な容器に包装する。
【0104】
【表8】

【0105】
一般に、エマルジョンで用いる油は非刺激性の軟化油である。その代表例として、鉱物油、植物油、組成がわかっている改質植物油などがある。油のさらに特別な例は、ピーナツ油、ゴマ油、綿実油、中鎖(C6〜C12)トリグリセリド(例えばハルズ・アメリカ社から入手できるミグリオール中性油810、812、818、829、840など)からなるグループの中から選択することができる。用いられる典型的な乳化剤は、モノステアリン酸ソルビタンとポリソルベートからなるグループの中から選択することができる。乳化剤は非イオン性であることが好ましい。乳化剤は、組成物の1.5〜6.5重量%の量を使用でき、組成物の3〜5重量%が好ましい。エマルジョンの疎水相は組成物の15〜25重量%の量が可能であり、組成物の18〜22重量%が好ましい。
【0106】
例7:エマルジョン
例6と同様の手順を利用して以下の組成を持つエマルジョンを製造する。
【0107】
【表9】

【0108】
例8:軟膏
例1と同様の手順を利用して以下の組成を持つ軟膏を製造する。
【0109】
【表10】

【0110】
例9:軟膏
例1と同様の手順を利用して以下の組成を持つ軟膏を製造する。
【0111】
【表11】

【0112】
例10:錠剤
以下の表に示した諸成分をブレンダー(例えばリボン・ブレンダー)の中で混合する。粉末混合の当業者によく知られている他のタイプのブレンダーも利用できる。この混合物を、医薬用錠剤の製造に適した条件で錠剤プレスに供給する。
【0113】
【表12】

【0114】
本発明の一実施態様により、耳、目、呼吸器系の感染症を治療、軽減、改善する方法が提供され、そのような感染症は問題となる組織の炎症を伴うものである。1つの特徴では、この方法は、感染症の徴候がある対象または感染症のリスクが示された対象の目、外耳道、鼻腔、喉の奥に本発明の組成物を1滴または複数滴投与する操作を含んでいる。本発明の組成物をスプレーの形態にし、そのような対象の耳または鼻腔に投与することもできる。
【0115】
グルココルチコイドと本発明のフルオロキノロンの副作用の比較
グルココルチコイド療法で最も頻繁に見られる望ましくない作用の1つは、ステロイド性糖尿病である。この望ましくない状態になる理由は、糖新生と、タンパク質の分解によって生じる遊離アミノ酸の代謝(グルココルチコイドの異化作用)とに関与する肝酵素の転写が誘導されて肝臓における糖新生が促進されることにある。肝臓での異化代謝にとってカギとなる1つの酵素は、チロシンアミノトランスフェラーゼ(“TAT”)である。この酵素の活性は、処理したラット肝細胞の細胞培養物から測光法によって測定できる。したがって、この酵素の活性を測定することにより、グルココルチコイドによる糖新生をこの明細書に開示したフルオロキノロンの糖新生と比較することができる。例えば1つの手順では、細胞をテスト物質(フルオロキノロンまたはグルココルチコイド)で24時間にわたって処理した後、TAT活性を測定する。次に、選択したフルオロキノロンとグルココルチコイドのTAT活性を比較する。TATの代わりに他の肝酵素(例えばホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グルコース-6-ホスファターゼ、フルクトース-2,6-ビホスファターゼ)を使用することができる。あるいはモデル動物の血糖値を直接測定し、選択された状態に関してグルココルチコイドで治療した個々の対象と、同じ状態に関してフルオロキノロンで治療した個々の対象を比較することができる。
【0116】
グルココルチコイド療法の望ましくない別の結果は、GCによって誘導される白内障である。ある化合物または組成物が白内障を引き起こす可能性は、その化合物または組成物が、レンズ細胞(例えば哺乳動物のレンズ上皮細胞)の膜を通過するカリウム・イオン流に及ぼす効果をin vitroで定量化することによって明らかにすることができる。そのようなイオン流は、例えば電気生理学的方法または(例えば蛍光染料を用いる)イオン流イメージング法によって測定できる。ある化合物または組成物が白内障を引き起こす可能性を調べるためのin vitro法の一例が、アメリカ合衆国特許公開2004/0219512に開示されている(その内容は参照することによりこの明細書に組み込まれているものとする)。
【0117】
グルココルチコイド療法の望ましくないさらに別の結果は、高血圧である。同じようにマッチングさせた対象を炎症性の状態に関してグルココルチコイドと本発明のフルオロキノロンで治療し、血圧を直接測定して比較することができる。
【0118】
グルココルチコイド療法の望ましくないさらに別の結果は、眼内圧(IOP)の上昇である。同じようにマッチングさせた対象を炎症性の状態に関してグルココルチコイドと本発明のフルオロキノロンで治療し、IOPを直接測定して比較することができる。
【0119】
本発明の特別な実施態様を説明してきたが、当業者には、添付の請求項に規定された本発明の精神と範囲を逸脱することなく、その実施態様に対して多くの等価物、変更、置換、バリエーションが可能であることがわかるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の炎症を調節する方法であって、その方法が、有効な量の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)いずれかのフルオロキノロン:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

またはその塩を含む組成物をその対象に投与する操作を含む方法(ただし、
R1の選択は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されていないC5〜C24アリール基、置換されたC5〜C24アリール基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリール基、置換されたC5〜C24ヘテロアリール基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされ;
R2の選択は、水素、置換されていないアミノ基、1個または2個の低級アルキル基で置換されたアミノ基からなるグループの中からなされ;
R3の選択は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基、置換されていない低級アルコキシ基、置換された低級アルコキシ基、置換されていないC5〜C24アリール基、置換されたC5〜C24アリール基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリール基、置換されたC5〜C24ヘテロアリール基、置換されていないC5〜C24アリールオキシ基、置換されたC5〜C24アリールオキシ基、置換されていないC5〜C24ヘテロアリールオキシ基、置換されたC5〜C24ヘテロアリールオキシ基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされ;
Xの選択は、ハロゲン原子からなるグループの中からなされ;
Yの選択は、CH2、O、S、SO、SO2、NR4(ただしR4は、水素、置換されていない低級アルキル基、置換された低級アルキル基、シクロアルキル基からなるグループの中から選択される)からなるグループの中からなされ;
Zの選択は、酸素と2個の水素原子からなるグループの中からなされる)。
【請求項2】
上記炎症が、ブドウ膜炎、春季カタル、コンタクト・レンズに関係する角膜浸潤物に伴う炎症からなるグループの中から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記炎症に感染症の後遺症が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記感染症に眼球または眼科の感染症が含まれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R1の選択が、水素、置換されたC1〜C5アルキル基、置換されていないC1〜C5アルキル基、C3〜C10シクロアルキル基、置換されたC5〜C14アリール基、置換されていないC5〜C14アリール基、置換されたC5〜C14ヘテロアリール基、置換されていないC5〜C14ヘテロアリール基、生体内で加水分解されうる基からなるグループの中からなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
R2の選択が、置換されていないアミノ基と、1個または2個のC1〜C5アルキル基で置換されたアミノ基からなるグループの中からなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
R3の選択が、水素、置換されたC1〜C5アルキル基、置換されていないC1〜C5アルキル基、C3〜C10シクロアルキル基、置換されたC1〜C5アルコキシ基、置換されていないC1〜C5アルコキシ基、置換されたC5〜C14アリール基、置換されていないC5〜C14アリール基、置換されたC5〜C14ヘテロアリール基、置換されていないC5〜C14ヘテロアリール基、置換されたC5〜C14アリールオキシ基、置換されていないC5〜C14アリールオキシ基からなるグループの中からなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
R3の選択が、C3〜C10シクロアルキル基からなるグループの中からなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
Xの選択が、Cl、F、Brからなるグループの中からなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
XがClである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
XがFである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
YがCH2である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
Zが2個の水素原子を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
YがNHであり、ZがOであり、XがClである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
上記組成物を対象に局所投与、または経口投与、または皮下投与、または全身投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記組成物が、溶液、エマルジョン、分散液、懸濁液、軟膏、ゲルのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
上記フルオロキノロンまたはその塩が上記組成物の約0.0001重量%〜約10重量%の量存在している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記組成物がさらに、基剤を含むとともに、保存剤、界面活性剤、アジュバント、酸化防止剤、張性調節剤、粘度調整剤、溶解度増大剤、およびこれらの組み合わせからなるグループの中から選択した物質を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記組成物が、非ステロイド系抗炎症薬をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
対象の炎症を調節する方法であって、この方法が、有効な量の一般式(IV)のフルオロキノロン:
【化9】

またはその塩を含む組成物をその対象に投与する操作を含む方法。
【請求項21】
上記炎症に眼球または眼科の炎症が含まれる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記投与に、局所投与または眼内投与が含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記炎症が感染症の後遺症を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
対象における眼球または眼科の感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善する方法であって、この方法が、有効な量の一般式(IV)のフルオロキノロン:
【化10】

またはその塩を含む組成物をその対象に投与する操作を含む方法。
【請求項25】
対象の炎症を調節する方法であって、この方法が、有効な量の一般式(VI)のフルオロキノロン:
【化11】

またはその塩を含む組成物をその対象に投与する操作を含む方法。
【請求項26】
対象における眼球または眼科の感染症とその炎症性後遺症を治療、または制御、または軽減、または改善する方法であって、この方法が、有効な量の一般式(VI)のフルオロキノロン:
【化12】

またはその塩を含む組成物をその対象に投与する操作を含む方法。
【請求項27】
対象の炎症を調節するための薬を調製するための、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)いずれかのフルオロキノロンの使用。
【請求項28】
一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)いずれかのフルオロキノロンを含んでいて、そのフルオロキノロンが炎症を調節するのに有効な量存在している医薬組成物。
【請求項29】
上記炎症に感染症の後遺症が含まれる、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
上記感染症に眼球または眼科の感染症が含まれる、請求項29に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−529133(P2010−529133A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511245(P2010−511245)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/064336
【国際公開番号】WO2008/154136
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】