説明

フルカラー表示有機ELディスプレイ装置及びその製造方法

【課題】フルカラー有機ELディスプレイの発光効率向上とその製造方法。
【解決手段】
カラーフィルタ30上に下部電極41を設け、下部電極上に単色光を発生する第一有機発光ユニット431及び単独又は組合わせて複合色を発光する第四有機発光ユニット437をそれぞれ設ける。第一有機発光ユニットは、単色光に応じたカラーフィルタの第一レジスト351の上方に位置し、第四有機発光ユニットはそれぞれが三原色に対応するカラーフィルタの第二レジスト353と第三レジスト355上方に位置して、それぞれ三原色を透過してフルカラー表示する。
第一有機発光ユニットは三原色の単色の発光であるからフィルター透過効率は高く、輝度に応じてその面積を低減して他の2色の発光領域、フィルター領域のサイズを大きくでき、また、これらの発光ユニット及びフィルター形成のための工程を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置およびその製造方法に関し、特に効果的に色光の透過率を向上させ、彩度を増加させ、発光電力消費を減少させ使用寿命を延長させることができ、また製造工程を簡略化でき、蒸着時の位置合わせの精度問題を解決して生産歩留まりを向上させることができるフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのディスプレイにおいて、どのようにフルカラー表示を達成するかが、ディスプレイの成否の鍵となっている。有機ELディスプレイ装置(OLED)に関しては、フルカラー機能を達成する方法は以下の2種がよく見られる。
1.赤(R)、緑(G)、青(B)三原色を発光できる有機EL部材を独立して配置し、この三種の異なる色光を適当な比率で混合して組み合わせることによってフルカラー表示の効果を出す。しかし、この種の有機ELディスプレイ装置は、製作時に異なる色光を発生できる有機発光層を別々に蒸着しなければならず、製造プロセスが繁雑なうえ、蒸着やマスクの位置合わせの精度が非常に難しく、製品歩留まりが低下しやすく、従ってコストが高くなる。
2.少なくとも一つの白色光を発生できる有機EL部材を設置し、該白色光源をバックライトとし、技術的に成熟しているカラーフィルタを組み合わせて、カラーィルタの使用で白色光源の光色をフィルタリングすることによって、フルカラー表示の効果を出す。
【0003】
一般的に、カラーフィルタを利用して色彩のフィルタリングを行う有機ELディスプレイ装置は、図1に示すように、カラーフィルタ10は主に透明基板11上にブラックマトリクス13を設置し、ブラックマトリクス13の一部とブラックマトリクス13を設置していない基板11表面上にカラーフィルタ層(またはカラーレジスト)15を設け、カラーレジストR、G、Bなど複数個の色フィルタリング機能を具えたカラーレジストを含む。また、ブラックマトリクス13とカラーフィルタ層15上方にオーバーコート層17またはバリア層19の設置を選択することができ、後続工程に役立つようにする。
【0004】
また、有機ELユニット20の下部電極21はバリア層19またはオーバーコート層17の表面上に直接設置し、下部電極21の一部の表面上に有機発光ユニット23と対向電極25を順に設け、下部電極21と対向電極25の動作電流を導通させて、有機発光ユニット23に白色光Lを発光させる。白色光Lはカラーフィルタ層15を透過するとフィルタリングされて、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)三原色L1、L2、L3になり、これによってOLEDディスプレイ装置200のフルカラー表示を達成している。
【0005】
カラーフィルタ10を使用することによって、有機発光ユニット23設置に必要な蒸着やマスクの回数を減少でき、位置合わせの精度の難しさを削減できるが、白色光Lのスペクトルの範囲が広いため、白色光Lはカラーフィルタ15の透過率が悪くなりOLEDディスプレイ装置200の発光輝度と彩度に影響してしまう。
【特許文献1】特開2003−123971号公報
【特許文献2】特開200−56732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の公知技術の問題を解決し、製造工程のステップと困難さを効果的に低減して製品歩留まりを向上できるようにし、色光の透過率と彩度を向上させることを課題とする。
【0007】
本発明は、フルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置を提供し、少ない回数の蒸着またはマスク位置合わせによって、フルカラー表示を達成でき、製造工程を簡略化できるほか、それに従って蒸着時の位置合わせの精度上の困難を低減できることにより、製品歩留まりを効果的に向上させる。
【0008】
本発明はまた、フルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置を提供し、各色光のカラーフィルタ透過率を向上させ、彩度を増加できるようにする。
【0009】
本発明は更に、フルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置の製造方法を提供し、製造プロセスを簡略化するとともに位置合わせの精度上の困難を低減し、また有機発光ユニットの色光透過率を向上させ、彩度を増加し、発光電力消費を減少させて使用寿命を延長させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明はフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置を提供し、その構造は以下のとおりである。カラーフィルタを具え、透明基板の表面上に第一カラーレジスト、第二カラーレジスト、第三カラーレジストを設け、その表面上にオーバーコート層を設ける。少なくとも一つの下部電極を、カラーフィルタの一部の表面上に設置する。少なくとも一つの第一有機発光ユニットを、第一カラーレジストの垂直延長位置の下部電極の表面上に設置し、第一色光を発生することができる。少なくとも一つの第四有機発光ユニットを具え、主に第四有機発光層を含み、且つ第四有機発光層は第二有機発光層と第三有機発光層を積層する方法で形成し、また、第四有機発光層は第二カラーレジストと第三カラーレジストの垂直延長位置の下部電極の表面上に設置する。ここで第四有機発光ユニットは第一色光と相互に補色関係にある第四色光を発生することができる。及び、少なくとも一つの対向電極を、第一有機発光ユニットと第四有機発光ユニットの表面上に設置する。
【0011】
また、上述の課題を解決するために、本発明はフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置の製造方法を提供し、以下のステップからなる。少なくとも一つの下部電極をカラーフィルタの一部の表面上に形成し、正孔注入層と成功輸送層を完成する。続いて第一マスクをカラーフィルタの第二カラーレジストと第三カラーレジストの垂直延長位置に配置する。第一蒸着被膜源で第一カラーレジストの垂直延長位置の正孔輸送層の表面上に蒸着して第一有機発光ユニットの第一有機発光層を形成する。第一有機発光ユニットは第一色光を発生できる。第二マスクを第一有機発光ユニットの垂直延長位置に配置し、第二蒸着被膜源で第二カラーレジストと第三カラーレジストの垂直延長位置の正孔輸送層の表面上に蒸着して第二有機発光層を形成する。第三蒸着被膜源で第二有機発光層の表面上に第三有機発光層を形成する。第二有機発光層と第三有機発光層は積層する方法で設置し、第四有機発光ユニットの第四有機発光層を形成し、第四有機発光ユニットが発生する色光は第一色光と相互に補色関係にある第四色光である。及び、第一有機発光ユニットと第四有機発光ユニットの表面上に電子輸送層と電子注入層を形成し、更に少なくとも一つの対向電極を具える。
【発明の効果】
【0012】
光透過率を効果的に向上し、彩度を増加し、発光消費電力を減少して使用寿命を延長できる。また製造工程を簡略化でき、蒸着時の位置合わせ精度の問題を解決し、歩留まりを向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図2に示すように、本発明のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置の好適な実施例において、有機EL(OLED)ディスプレイ装置400は、カラーフィルタ30の表面上に少なくとも一つの有機EL(OLED)部材40を設ける。カラーフィルタ30は、透明基板31の一部表面上に少なくとも一つのブラックマトリクス33を設け、ブラックマトリクス33の一部とブラックマトリクス33を設けていない透明基板31の表面上にフィルタリング機能を具えたカラーフィルタ35を設け、第一カラーレジスト(Rなど)351、第二カラーレジスト(Gなど)353及び第三カラーレジスト(Bなど)355を形成する。また、ブラックマトリクス33とカラーフィルタ層35上方を少なくとも一つのオーバーコートバリアユニットで覆い、オーバーコート層37及び/またはバリア層39を形成する。
【0014】
カラーフィルタ30のバリア層39(またはオーバーコート層37)の表面上の一部エリアに少なくとも一つのOLED素子40を設置し、OLED素子40の下部電極41とバリア層39(またはオーバーコート層37)を密着させる。また、下部電極41の一部表面上に順に有機発光部材43及び対向電極を形成させる。有機発光ユニット43は少なくとも第一有機発光ユニット431及び少なくとも一つの第四有機発光ユニット437を含み、第一有機発光ユニット431内部に少なくとも一つの第一有機発光層を含み、第四有機発光ユニット437内部に同様に少なくとも一つの第四有機発光層を含む。第四有機発光ユニット437は、複数層の有機発光層または複数層の有機発光ユニットを積層させて形成する。例えば、第二有機発光層433及び第三有機発光層435からなる。ここで、第一有機発光層431は一部の下部電極41の表面上に形成し、第四有機発光ユニット437は、第一有機発光ユニット431を設けていない下部電極41の表面上に設ける。下部電極41と対向電極45の間に動作電流を供給すると、第一有機発光ユニット431は第一色光L1を発生し、第四有機発光ユニット437は第二有機発光層433と第三有機発光層435が発生する色光が混合して形成する第四色光L4を発生する。第一色光L1と第四色光L4は相互に補色とすることができる。
【0015】
第一有機発光ユニット431は、カラーフィルタ30の第一カラーレジスト351の垂直延長位置に設置し、第四有機発光ユニット437はカラーフィルタ30の第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の垂直延長位置に設置する。これによって、第一有機発光ユニット431が発生する第一色光L1は第一カラーレジスト351を透過して同様の光色である第一色光L1を発生し、第四有機発光ユニット437が発生する第四色光L4は第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355を通過して、それぞれ対応する第二色光L2と第三色光L3を発生し、第一色光L1、第二色光L2、第三色光L3の混合組合せで、フルカラー表示の効果を達成する。
【0016】
例えば、第一有機発光ユニット431が発生する第一色光L1を青色光とし、第二有機発光層433と第三有機発光層435をそれぞれ緑色光と赤色光を発生する有機発光層とし、ここで第四有機発光ユニット437の第四有機発光層は第二有機発光層433と第三有機発光層435を積層する構成とする。よって、第四有機発光層437が発生する第四色光L4は緑色光と赤色光が合成して形成され、オレンジ色光となる。更に、第一カラーレジスト351、第二カラーレジスト353、第三カラーレジスト355をそれぞれ青色レジスト(351)、緑色レジスト(353)、赤色レジスト(355)とする。よって、第一色光L1(青色光)は第一カラーレジスト(青色レジスト)351を透過した後も第一色光L1(青色光)の光色を維持し、第四色光L4(オレンジ色光)は第二カラーレジスト(緑色レジスト)353と第三カラーレジスト(赤色レジスト)355を通過するとそれぞれフィルタリングされて第二色光L2(緑色光)と第三色光L3(赤色光)となり、第一色光(青色光)L1、第二色光(緑色光)L2、第三色光(赤色光)L3を適当な比率で混合すると、OLEDディスプレイ装置400のフルカラー表示が達成できる。
【0017】
カラーフィルタ層35、有機発光ユニット43、有機発光ユニット43内部の第一有機発光層、第二有機発光層433と第三有機発光層435の形成面積は変更することができ、OLEDディスプレイ装置400の製造工程の進行の利便性を図ることができる。また、第一カラーレジスト351上に設けた有機発光ユニットが各カラーレジスト351、353、355上に対応して設置した有機発光ユニットのうちで発光効率が最高の有機発光ユニットであるとき、例えば、緑色光を発生する有機発光ユニットである場合、第一カラーレジスト351の垂直延長位置に設置した第一有機発光ユニット431の設置面積は第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の垂直延長位置に設置した第四有機発光ユニット437の設置面積より大きくない(小さいかまたは等しい)ようにし、これにより、第四有機発光ユニット437形成時に位置合わせと蒸着の誤差の許容範囲が比較的大きくなり、OLEDディスプレイ装置400の有機発光ユニット43の蒸着と位置合わせステップの実施に役立つ。もちろん、カラーフィルタ30の形成ステップを実施するときにも、第一カラーレジスト351の設置面積は第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の設置面積より小さいかまたは等しくすることができる。
【0018】
また、本発明のもう一つの実施例において、第一有機発光ユニット431が発生する第一色光L1は赤色光とすることができ、第四有機発光ユニット437が発生する第四色光L4はティア光またはシアン光とし、第一カラーレジスト351、第二カラーレジスト353、第三カラーレジスト355はそれぞれ赤色レジスト、緑色レジスト、青色レジストまたは赤色レジスト、青色レジスト、緑色レジストとすることができ、同様にOLEDディスプレイ装置400のフルカラー表示が達成できる。
【0019】
また、第一有機発光ユニット431が発生する第一色光L1は緑色光とすることができ、第四有機発光ユニット437が発生する第四色光L4を赤色光と青色光の混合、例えば紫色光またはマゼンタ光とし、第一カラーレジスト351、第二カラーレジスト353、第三カラーレジスト355はそれぞれ緑色レジスト、赤色レジスト、青色レジストまたは、緑色レジスト、青色レジスト、赤色レジストとすることができる。
【0020】
カラーフィルタ層35は、特定のスペクトル範囲内の光だけを透過させる装置であるため、この特性により光色フィルタリングの目的を達成する。例えば、第一カラーレジスト351はスペクトル400nm〜500nmの間の光だけを透過させ、公知の構造のように、白色光Lのバックライトが第一カラーレジスト351を通過すると、第一カラーレジスト351がスペクトル範囲400nm〜500nm以外の色光をフィルタリングして、第一カラーレジスト351を通過した色光のスペクトル範囲は400nm〜500nmの間になり、肉眼で感じる青色光となり、光色フィルタリングを達成している。しかし、フィルタリングと同時に、スペクトル400nm〜500nm以外の色光は第一カラーレジスト351に遮断されてしまうため、第一カラーレジスト351は白色光Lにとって透過率が悪い(およそ25%)こととなり、従って白色光Lが第一カラーレジスト351を通過した後の光度が低下してしまう。
【0021】
逆に、もし第一色光L1のスペクトル範囲が第一カラーレジスト351が透過を許容するスペクトル範囲以内であれば、第一カラーレジスト351は第一色光L1にとって透過率は非常に高いものとなる。例えば、第一色光L1のスペクトルが420nm〜470nm(青色光)であり、且つ第一カラーレジスト351の透過許容スペクトルが400nm〜500nm(青色レジスト)である場合、大部分の第一色光L1は完全に第一カラーレジスト351を透過することができ、実際の応用時の透過率は80%以上に達するため、公知の白色光LをバックライトとするOLEDディスプレイ装置(200)に比べ、本発明の光透過率と光度は良好である。
【0022】
第四色光L4は、第二有機発光層433と第三有機発光層435が発生する色光を合成して形成する色光である。例えば、第四有機発光ユニット437を第二有機発光層433と第三有機発光層435から構成して、且つ第二有機発光層433と第三有機発光層435はそれぞれ第二色光L2(緑色光)と第三色光L3(赤色光)を発生して、適当な比率で第二色光L2(緑色光)と第三色光L3(赤色光)を混合して、第四色光L4をオレンジ色光とすることができる。第四色光に対応する第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355は、それぞれ緑色レジストと赤色レジストとし、第四色光L4(オレンジ色光)は第二カラーレジスト(緑色レジスト)353と第三カラーレジスト(赤色レジスト)355を通過すると、第四色光L4(オレンジ色光)をフィルタリングして赤色光と緑色光となり、それぞれ第二色光L2(緑色光)と第三色光L3(赤色光)となる。
【0023】
第四色光L4は、緑色光と赤色光を合成して形成し、一般には緑色光のスペクトル分布は500nm〜560nmであり、赤色光のスペクトル分布は650nm〜760nmである。言い換えれば、第四色光L4は2つのピークを具えた光であり、そのピークは、500nm〜560nm及び650nm〜760nmの範囲に分かれて分布している。第四色光L4が第二カラーレジスト(緑色レジスト)353を通過すると、大部分の赤色光(650nm〜760nm)を遮断して大部分の緑色光(500nm〜560nm)の透過を許容する。第四色光L4が第三カラーレジスト(赤色レジスト)355を通過すると、大部分の緑色光(500nm〜560nm)を遮断して大部分の赤色光(650nm〜760nm)の透過を許容する。よって、第四色光L4に含まれる赤色光と緑色光の比率が半分ずつのとき、第四色光L4は第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355に対して良好な光透過率を備え、例えば40%以上となる。
【0024】
また、本発明のもう一つの実施例において、第四有機発光ユニット437が発生する第四色光L4は白色光であってもよく、同様に第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355を通過して第二色光L2と第三色光L3を発生することができる。
【0025】
本発明の上述の実施例において、第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437の構成は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、有機発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)及び上述の各部材の組合せを選択して有することができる。
【0026】
また、本発明の上述の実施例において、第四有機発光ユニット437の第四有機発光層は第二有機発光層433と第三有機発光層435を積層して設置してなり、第二有機発光層433と第三有機発光層435がそれぞれ発生する第二色光L2と第三色光L3の合成で、第四色光L4を発生する。しかし、本発明のもう一つの実施例においては、第四有機発光ユニット437の第四有機発光層は、第四色光L4を直接発生する有機発光材料で構成することもできる。
【0027】
図3A、図3B、図3C、図4に示すように、本発明の好適な実施例の製造工程各ステップにおける断面略図では、本発明のOLEDディスプレイ装置の製造ステップは主にOLEDディスプレイ装置の下部電極41の形成が完成した後、実際の必要に応じて正孔注入層及び/または正孔輸送層を蒸着するか否か選択でき、その後蒸着によって下部電極41または正孔輸送層の表面上に少なくとも一つの第一有機発光ユニット431及び少なくとも一つの第四有機発光ユニット437を形成する。ここで、第四有機発光ユニット437は積層して形成した第二有機発光層433と第三有機発光層435を含む。
【0028】
まず、第一マスク491を使用して下部電極41の一部を遮蔽し、第一マスク491に遮蔽されていない下部電極41の表面上に対し、第一蒸着被膜源471で第一有機発光ユニット431の第一有機発光層の蒸着を行う。例えば、第一マスク491を第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の垂直延長位置を直に覆うようにして、第一蒸着被膜源471で蒸着プロセスを行い、このとき第一蒸着被膜源471は第一カラーレジスト351の垂直延長位置にある下部電極41表面上にだけ蒸着され、第一カラーレジスト351の垂直延長位置に第一有機発光ユニット431の第一有機発光層を形成する。また、第一蒸着被膜源471は、単純な第一色光L1を発生できる各種の第一有機発光材料461を選択できる。例えば、青色光を発光するTPAN、DPAN、DPVBi、PPD、Balq、DSAなどの誘導体である。
【0029】
第一有機発光ユニット431の第一有機発光層の形成が完了した後、第二マスク493を第一有機発光ユニット431の垂直延長位置に配置し、同様に第二蒸着被膜源473で蒸着を行う。このとき、図3Bに示すように、第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の垂直延長位置に第二有機発光層433が形成される。その後、第三蒸着被膜源475で蒸着を行い、第二有機発光層433の表面上に第三有機発光層435を形成し、第二有機発光層433と第三有機発光層435は積層する方法で第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の垂直延長位置に設置され、図3Cに示すように第四有機発光ユニット437を形成する。
【0030】
また、第二有機発光層433と第三有機発光層435はそれぞれ第二色光L2と第三色光L3、例えば緑色光と赤色光を発生できるため、第二蒸着被膜源473は単純な第二色光L2を発生できる大に有機発光材料463を選択できる。例えば、緑色光を発光する有機発光材料であるAlq、DPT,Alq3、C6などの誘導体である。第三蒸着被膜源475は単純な第三色光L3を発生する第三有機発光材料465を選択できる。例えば赤色光を発光する有機発光材料であるDCM−2、DCJTなどの誘導体である。
【0031】
また、第四有機発光ユニット437は、第四色光L4を発生できる有機発光材料であってもよく、例えばオレンジ色光源または白色光源とすることができる。第四有機発光ユニット437の第四有機発光層の形成には、第四蒸着被膜源477に直接オレンジ色有機発光材料または白色有機発光材料を採用できる。例えば、DPPである。または混合方式で第二有機発光材料473と第三有機発光材料475を混合する。例えば緑色光有機発光材料のAlq、DPT、Alq3、C6などの誘導体及び赤色光有機発光材料のDCM−2、DCJTなどの誘導体で、第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の垂直延長位置の下部電極41の一部表面上に図4に示すように蒸着する。
【0032】
また、第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437を形成する蒸着ステップの前に、予めOLED素子40の前工程を行ってもよい。例えば、下部電極41の表面上に正孔注入層と正孔輸送層を設置する。更に、第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437の形成を完了してから、続いてOLED素子40の後続工程を行ってもよい。例えば第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437の上方に、電子輸送層、電子注入層、対向電極45を順に形成する。
【0033】
有機発光ユニット43の構造は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層からなり、有機発光ユニット43を形成するとき、下部電極41の一部表面上に上述の有機発光ユニット43の構造を順に形成する。例えば、カラーレジスト35の垂直延長位置の下部電極41の表面上に、蒸着法により正孔注入層、正孔輸送層を順に形成し、第一カラーレジスト351の垂直延長位置の正孔輸送層の表面上に第一有機発光ユニット431を蒸着して形成する。第二カラーレジスト353と第三カラーレジスト355の垂直延長位置の正孔輸送層表面上には、第四有機発光ユニット437を蒸着して形成する。ここで、第四有機発光ユニット437は積層して形成された第二有機発光層433と第三有機発光層435であり、一部の下部電極41の表面上に第二有機発光層433と第三有機発光層435の順に設けるか、または先に第三有機発光層435を蒸着してから第二有機発光層433を蒸着し、その後第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437の表面上に、蒸着する方法で電子輸送層と電子注入層を順に形成し、これにより有機発光ユニット43の設置を完成する。
【0034】
もちろん、本発明のもう一つの実施例においては、先に第四有機発光ユニット437の設置を完成してから、第一有機発光ユニット431の設置を行ってもよい。また、第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437の設置が完了した後、引き続きOLEDディスプレイ装置400の後続工程を行うことができる。例えば、第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437の上方に対向電極45を設置する。
【0035】
上述の製造プロセスによれば、有機発光層43の蒸着位置合わせの回数は、公知の赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色のOLEDデバイスを独立に隣接して形成した形態のOLED装置を形成するのに比較して、確実に蒸着プロセスと位置合わせ回数を削減できる上、同様にフルカラー表示を達成できる。また、蒸着位置合わせ回数の減少と蒸着面積の増加によって、蒸着位置合わせの精度要求を下げることができ、OLEDディスプレイ装置400の歩留まりを向上することができる。
【0036】
続いて、図5に示すように、本発明のもう一つの実施例の断面略図では、本発明のフルカラー表示に使用できる有機EL(OLED)ディスプレイ装置500は、カラーフィルタ50の表面上に少なくとも一つの有機EL(OLED)素子40を設け、ここでカラーフィルタ50のカラーフィルタ層55は少なくとも一つの第二カラーレジスト553(例えば緑色レジスト)と少なくとも一つの第三カラーレジスト(例えば赤色レジスト)を含むだけであり、上述の実施例で設置した第一カラーレジスト(351)の位置はフォトレジストを設置せず、そのまま開口部54を形成する。
【0037】
OLED素子40の第一有機発光ユニット431が発生する第一色光L1は、カラーフィルタ50の開口部54の開口部から直接基板51を通過してカラーフィルタ50外部へ出る。第四有機発光ユニット437が発生する第四色光L4は、それぞれ第二カラーレジスト553と第三カラーレジスト555を通過して、フィルタリングされて第二色光L2(例えば緑色光)と第三色光L3(例えば赤色光)となり、これによりOLEDディスプレイ装置500のフルカラー表示を達成する。第一色光L1は開口部54から直接カラーフィルタ50を通過するため、第一色光L1の透過率と彩度を向上できるだけでなく、カラーフィルタ50の製造ステップと生産コストを削減できる。
【0038】
最後に、図6に示すように、本発明のもう一つの実施例の断面略図において、本発明のフルカラー表示に使用できる有機EL(OLED)ディスプレイ装置600は、主に基板61の表面上に少なくとも一つのOLED素子40を設置し、OLED素子40内部に少なくとも一つの第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437を含む。ここで第四有機発光ユニット437は、積層して形成した第二有機発光層433と第三有機発光層435で構成する。また、OLED素子40の上部にカラーフィルタ30を設け、更にカラーフィルタ30の第一カラーレジスト351と第二カラーレジスト353、第三カラーレジスト355はそれぞれ第一有機発光ユニット431と第四有機発光ユニット437の垂直延長位置に設置し、これにより第一色光L1と第四色光L4をフィルタリングして、OLEDディスプレイ装置600の上面発光(Top Emission)を達成する。
【0039】
実際の応用においては、カラーフィルタ30は封止カバー(未表示)に直接設けてもよい。更に、OLEDディスプレイ装置600を上面発光させたい場合、OLEDディスプレイ装置内部の一部構成を変更する必要がある。例えば、OLED素子40の対向電極45に透明導電特性を具えた材質を選択して製造し、これにより第一有機発光ユニット431が発生する第一色光L1と第四有機発光ユニット437が発生する第四色光L4は対向電極45を透過することができる。
【0040】
また、基板61またはカラーフィルタ(30)の一部表面上に少なくとも一つの薄膜トランジスタ(TFT、未表示)を設置してもよく、その後基板61またはカラーフィルタ(30)表面上に設置した薄膜トランジスタに対応する位置にOLED素子40を設置し、これにより、OLEDディスプレイ装置600/400はアクティブマトリクスOLEDディスプレイ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】公知の有機ELディスプレイ装置の断面略図である。
【図2】本発明の有機ELディスプレイ装置の好適な実施例の断面略図である。
【図3A】本発明の好適な実施例の製造工程ステップの断面略図である。
【図3B】本発明の好適な実施例の製造工程の別のステップの断面略図である。
【図3C】本発明の好適な実施例の製造工程のもう一つのステップの断面略図である。
【図4】本発明のもう一つの実施例の製造工程ステップの断面略図である。
【図5】本発明のもう一つの実施例の断面略図である。
【図6】本発明のもう一つの実施例の断面略図である。
【符号の説明】
【0042】
10 カラーフィルタ
11 基板
13 ブラックマトリクス
15 カラーフィルタ層
17 オーバーコート層
19 バリア層
20 有機ELユニット
21 下部電極
200 OLEDディスプレイ装置
23 有機発光ユニット
25 対向電極
30 カラーフィルタ
31 透明基板
33 ブラックマトリクス
35 カラーレジスト
351 第一カラーレジスト
353 第二カラーレジスト
355 第三カラーレジスト
37 オーバーコート層
39 バリア層
40 OLED素子
41 下部電極
400 OLEDディスプレイ装置
43 有機発光ユニット
431 第一有機発光ユニット
433 第二有機発光層
435 第三有機発光層
437 第四有機発光ユニット
45 対向電極
461 第一有機発光材料
463 第二有機発光材料
465 第三有機発光材料
467 第四有機発光材料
471 第一蒸着被膜源
473 第二蒸着被膜源
475 第三蒸着被膜源
477 第四蒸着被膜源
491 第一マスク
493 第二マスク
50 カラーフィルタ
500 OLEDディスプレイ装置
51 透明基板
54 開口部
55 カラーレジスト
553 第二カラーレジスト
555 第三カラーレジスト
600 OLEDディスプレイ装置
61 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルカラー表示有機ELディスプレイ装置において、
透明基板の表面上のカラーフィルターを三原色に対応する色別に第一カラーレジスト、第二カラーレジスト及び第三カラーレジストにより構成し、
少なくとも一つの下部電極を、該カラーフィルタの一部の表面上に設け、
三原色の一となる第一色光を発生する第一有機発光層からなる、少なくとも一つの第一有機発光ユニットを該第一カラーレジストの上方の下部電極の表面上に設け、
三原色の二以上を含む第四色光を発生する第二有機発光層及び第三有機発光層を積層した第四有機発光層からなる、少なくとも一つの第四有機発光ユニットを、
該第二カラーレジスト及び第三カラーレジスト上方の下部電極の表面上に設け、
少なくとも一つの対向電極を、該第一有機発光ユニット及び該第四有機発光ユニットの表面上に設けたことを特徴とするフルカラー表示有機ELディスプレイ装置。
【請求項2】
該第一カラーレジスト上に設けた有機発光ユニットは単色光発光とすることにより発光効率及びフィルター透過効率を向上して、
第一有機発光ユニットの設置面積を縮小し、第二カラーレジスト及び第三カラーレジスト上方の第四有機発光ユニットの面積を超えないようにしたことを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項3】
該第一カラーレジストの面積は、第二カラーレジスト及び第三カラーレジストのうちの一つの面積を超えないようにたことを特徴とする請求項2記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項4】
該カラーフィルタの第一カラーレジストはフィルターを設けない透光部としたことを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項5】
該第一有機発光ユニット及び第四有機発光ユニット内部は、少なくとも一つの正孔注入層、少なくとも一つの正孔輸送層、少なくとも一つの有機発光層、少なくとも一つの電子輸送層、少なくとも一つの電子注入層及びその組合せのうちの一つからなることを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項6】
該第四有機発光層は、第二有機発光材料及び第三有機発光材料を混合して構成したことを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項7】
該カラーフィルタは、少なくとも一つのオーバーコート層、少なくとも一つのバリア層及びその組合せのうちの一つを有することを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項8】
該第四色光は、第二有機発光層及び第三有機発光層が発生する色光を相互に混合して形成することを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項9】
該カラーフィルタは、少なくとも一つの薄膜トランジスタを含むことを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項10】
該第一色光及び第四色光は相互に補色光であることを特徴とする請求項1記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置。
【請求項11】
フルカラー表示有機ELディスプレイ装置の製造方法において、
少なくとも一つの下部電極を第一カラーレジスト、第二カラーレジスト及び第三カラーレジストからなるカラーフィルタの一部の表面上に形成し、
第一マスクによりカラーフィルタの第二カラーレジスト及び第三カラーレジストをマスクして、 第一カラーレジスト上の下部電極上に第一有機発光ユニットの第一有機発光層を蒸着形成して、第一色光を発生する第一有機発光ユニットを形成し、
更に、第二マスクにより該第一有機発光ユニットをマスクして、第二カラーレジスト及び第三カラーレジスト上に第二有機発光層を形成し、
該第二有機発光層上に第三有機発光層を形成して積層し、
該第二有機発光層及び第三有機発光層により第四色光を発生する第四有機発光ユニットの第四有機発光層を形成し、
これら第一有機発光ユニット及び第四有機発光ユニット上に少なくとも一つの対向電極を形成する、
ことを特徴とするフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置の製造方法。
【請求項12】
先に該第二有機発光層及び該第三有機発光層の蒸着プロセスを行ってから、該第一有機発光層の蒸着プロセスを行うことを特長とする請求項11記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置の製造方法。
【請求項13】
該第四有機発光層は、第二有機発光材料及び第三有機発光材料を共に含む第四蒸着被膜源を混合して蒸着することを特長とする請求項11記載のフルカラー表示に使用できる有機ELディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−12613(P2007−12613A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175478(P2006−175478)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(505189578)悠景科技股▲ふん▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】