説明

フレキシブルな容量センサ

本発明は大量生産に適したフレキシブルで弾性の容量センサに関する。センサは誘電体層の第1の表面上の誘電体の導電層と、誘電体層の第2の表面上の導電層と、検出器に力が付加されたときにキャパシタンスの変化を検出するため2つの導電層に電気的に接続されているキャパシタンス計とを具備している。導電層は加えられた力の位置を決定するように構成される。センサは外部干渉の効果を減少するために遮蔽されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルな容量センサに関する。特に本発明は物理的にもその応用においてもフレキシブルであり、センサのキャパシタンスの変化に基づいて圧力の段階的な変化を感知する大量生産に適した容量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
ここで使用されるセンサという用語は、環境における変化に応答するセンサを指している。圧力センサは加えられた力または種々の物理的原理を使用した圧力に応答する。光学センサは力が加えられた状態で光学的特性を変化する。同様に、電気抵抗又は単なる抵抗のセンサは力が加えられた状態で変化する電気抵抗を有する。ピエゾ抵抗センサは圧力が加えられるときピエゾ抵抗材料の電気抵抗の変化を測定する。
【0003】
容量センサはキャパシタンスを変化する。これは加えられた力に応答でき、また人のような比較的大きなキャパシタンスを有するオブジェクトの接近に応答することができる。容量センサはキャパシタンスが変化するときに電気抵抗が測定される抵抗および容量性感知の組合せを使用することができる。
【0004】
容量センサは例えばタッチスクリーンおよびエレベータのボタンで知られ、使用されている。キャパシタンスの変化は典型的に2つの原理の1つに基づいている。第1の方法は大きい容量性オブジェクト、通常は指による人との直接的な電気的接触を通して、感知システムにより監視されるキャパシタンスの変化を含んでいる。ある場合には、このタイプのセンサはタッチセンサとの物理的な接触を必要とせずに、タッチセンサに対するオブジェクトの接近を検出するようにも機能できる。これらのシステムはしばしば人と感知システムとの間の直接的な接触を必要とするので、これらは例えば人が手袋を装着している場合には動作できない。さらに容量結合は加えられた圧力または接近度を量的に測定するのに良く適していないが、二進(オン/オフ)感知が可能である。
【0005】
第2の方法は、圧縮可能で弾性の誘電体により分離されている2つの導電平面を使用する。この複合体はそのキャパシタンスが2つの導電平面間の距離に部分的に依存するキャパシタを形成する。圧力による誘電体の圧縮は平面間のキャパシタンスを変化させ、それは感知システムにより検出されることができる。加えられた力または圧力による圧縮を較正することにより、このシステムはセンサと相互動作する力又は圧力を定量化するために使用されることができる。
【0006】
近年、電子装置に物理的なフレキシブル性を与えるいわゆる「スマート繊維」に対する関心が高まっている。それらは電子装置が別々の電子装置を有するのではなく既存の繊維に組み込まれることを可能にする。スマート繊維の1例は使用しないときには巻かれて丸められることができるコンピュータのキーボードである。
【0007】
フレキシブルなセンサはスマート繊維およびフレキシブル性を必要とするその他の応用で必要とされる。フレキシブルな光学圧力センサは例えばCohenによる米国特許第4,703,757号明細書およびReimer & Danischによる米国特許第5,917,180号明細書に記載されている。2以上の導電平面との電気的接触に基づいたフレキシブルセンサは英国のIver HeathのEleksen社から市販されている。ピエゾ抵抗の原理を使用するフレキシブルな圧力センサは英国のIlkelyのSoftswitch社から市販されている。人体のキャパシタンスに基づいているフレキシブルな容量センサはPost等による米国特許第6,210,771号明細書に記載されている。導電平面間の間隔の変化を使用するフレキシブルな容量センサはGoldman等による一連の米国特許明細書に記載されている。これらの特許文献はフレキシブルな導電および誘電体層の使用を教示しているが、位置の決定に使用されることのできるシステムを教示しておらず、(単一のセンサの複製の簡単なケースを越えた)多数のセンサを有するシステムについても教示していない。この明細書で参照されている全ての特許文献はここで十分に説明するようにそれらの全体が参考文献として特別に組み込まれている。
【0008】
したがって加えられた圧力又は力を計量することができる良好な空間解像度を有する大きい面積のフレキシブルな容量性圧力センサが必要とされている。ここでは加えられた圧力又は力の存在を検出し、加えられた圧力又は力の大きさと位置を決定することのできる多数のセンサを有するフレキシブルな容量性感知システムを構成する多数の方法を説明することによりこれらの問題を解決する。
【発明の開示】
【発明の要約】
【0009】
本発明は容量性タッチセンサの多くの欠点を克服する。本発明は廉価で、軽量で、フレキシブルな容量センサと効率的で廉価な製造方法を提供する。本発明は物理的にもその応用においてもフレキシブルであり、センサのキャパシタンスの変化に基づいて段階的に変化する圧力を感知する大量生産に適した容量センサである。
【0010】
本発明の1つの利点は、コンポーネント、即ちアクチブ層、誘電体層、基準層が大量生産プロセスにおいて本発明の容量センサを形成するために組み立てられることができることにある。被覆、接着、スクリーン印刷動作は容易に自動化されることができる。このような動作は非常に大きな容量センサアレイ又は大きい繊維を作ることを可能にし、そこから個々のセンサ又はセンサアレイが切断されることができる。
【0011】
本発明の別の重要な特徴は、電気接続をカスタム化する必要なく電気信号が本発明のセンサから与えられ又は測定されることができるように、迅速で容易にトレースと基準平面をキャパシタンス計(電気測定システム)に接続する貫通コネクタの使用との適合性である。
【0012】
本発明のさらに別の特徴は接触を感知するための抵抗ではなくキャパシタンスを使用することである。抵抗は典型的に2つの導電表面が接触することを必要とし、キャパシタンスは幾つかの実施形態では接触を必要とするだけでなく、本発明の幾つかの実施形態のセンサとの物理的接触さえも必要とせず、単なるユーザの指とボタンとの接近を必要とするだけである。キャパシタンスはまた単なる接触することではなく、接触圧力を測定するために使用されることもできる。
【0013】
本発明のさらに別の特徴は相互動作の位置を突き止める能力である。これは幾つかの使用法を有することができる。これは座席の占有位置を決定する等の相互動作のソースをさらに規定することができる。これはまた異なる機能をセンサの異なる領域へ割当てることを可能にし、それによって単一のセンサが例えば種々の機能を制御するタッチスクリーンを生成するために使用されることができる。
【0014】
これらおよび他の特徴および利点は以下の図面を伴った好ましい実施形態の詳細な説明を慎重に読むことにより電気回路および容量性回路の当業者に明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この明細書の一部に組み込まれそれを構成する添付図面は、本発明により、および前述の本発明の一般説明と後述する詳細な説明のセットを伴って、幾つかの例示的な構造と手順を示し、本発明の原理を説明する。
可能な限り、同一の素子は各図を通して同じ参照番号で示されている。
【0016】
フレキシブルな容量センサはセンサを圧縮するのに十分な力が加えられるときキャパシタンスの変化を受ける。点までの加えられた力の量はキャパシタンスの変化の程度に関連されている。別の実施形態では、抵抗はまたセンサ上のユーザの相互動作の位置を決定するために測定される。キャパシタンス計はキャパシタンスの変化が存在するか否かとその変化の程度を決定するために本発明のフレキシブルな容量センサを監視する。
【0017】
図面を参照すると、図1の(A)は第1の導電層101と、フレキシブルで弾性の誘電体層102と、第2の導電層108を通常含んでいる容量性圧力センサ10の1実施形態を示している。容量性圧力センサ10はまたセンサの片面又は両面上に保護層104を含むことができる。第1の導電層101と第2の導電層108は電気的にキャパシタンス計14に接続されている。
【0018】
本発明の1実施形態では、フレキシブルで弾性の誘電体層102は好ましくは8乃至250マイクロメートルの範囲であり、幾つかの応用では8乃至50マイクロメートルの範囲である250マイクロメートル以下の厚さを有する薄くてフレキシブルな弾性膜である。この薄膜は本質的に気泡を含まない。即ち薄膜は発泡体を含まない。薄膜はマサチュセッツ州のサウスディアフィールドのDeerfield Urethaneから市販されている7ミルの厚さのDuraflex PT9300膜のようなシリコーン膜であってもよい。圧縮はセンサのキャパシタンスが加えられる力により変化されることを可能にする。誘電性の薄膜は50乃至150バールの範囲の負荷が加えられるとき50%圧縮されることが好ましい。この範囲は許容可能な信号がキャパシタンス計により読取られることを可能にする。
【0019】
別の実施形態では、フレキシブルで弾性の誘電体層102は弾性で高い圧縮性の閉または開のセル発泡体である。幾つかの発泡された材料には;ポリウレタン発泡体、シリコーン、ゴムが含まれているが、それに限定されない。誘電性の発泡体は0.5乃至1.0バールの範囲の負荷が加えられたとき50%圧縮されることが好ましい。
【0020】
本発明の別の実施形態では、誘電体層はフレキシブルで弾性のスペーサ繊維である。この出願で規定されている「スペーサ繊維」は糸又はファイバを隔てることによりサポートされるギャップによって分離された上部および下部の接地層を有する繊維である。スペーサ繊維または構造中の他の繊維の層は織られ、編まれ、または不織の材料、タフトされた材料等であることができる。幾つかの実施形態では、スペーサ繊維は二重のニードルバーの編物、針縫いされた不織繊維または、幾つかのファイバが故意に垂直方向に配向されているハイロフト不織繊維である。織物は平坦であってもよく、またはパイルを示してもよい。幾つかの実施形態では、スペーサ繊維は1mm乃至10cmの範囲、好ましくは1mm乃至1cmの範囲の厚さを有することができる。このような織物材料はポリエステル、ナイロン、ウール、コットン、シルク、ポリプロピレン、レーヨン、ライオセル、ポリ(ラクチド)、アクリル等のような天然又は合成ファイバから形成され、このような天然および合成ファイバの混合又は組合せを含んだ織物材料を含むことができる。スペーサ繊維は好ましくは0.07乃至1.4バールの範囲の負荷が加えられたとき50%圧縮され、0.14バールの負荷が加えられたとき10乃至50%の範囲で圧縮される。これらの範囲は許容可能な信号がキャパシタンス計により読取られることを可能にする。
【0021】
(誘電体層102の片面からその反対側の面までの)フレキシブルで弾性の誘電体層102を横切る電気抵抗は好ましくは10オーム以上である。フレキシブルで弾性の誘電体層の誘電定数が大きい程、容量性圧力センサ10のキャパシタンスは大きくなる。これはセンサがより小さい信号、したがってより小さい与えられた力を弁別することを可能にし、システムの感度をより高めることができる。
【0022】
導電層101と108は、フレキシブルで弾性の誘電体層、本質的には導電膜又は繊維上の導電被覆、または膜または繊維上の導電性の被覆を使用して作られることができる。幾つかの構造では、導電層101と108は連続的であることが好ましい。他の構造では、導電層101と108は別々又はディスクリートな導電領域を含むことができる。
【0023】
導電層101と108はフレキシブルで弾性の誘電体層102、または任意の当業者に知られている方法で積層することによるフレキシブルで弾性の誘電体層102に与えられる別々の繊維又は膜へ導電被覆を与えることにより形成されることができる。好ましくは層間に接着剤が使用される。これらは反応性ウレタン接着剤または低融点の重合体材料を含むことができる。接着剤は接着剤の形態に応じて、例えばグラビア印刷、ナイフ塗布、パウダーの供給によりまたはウェブとして与えられることができる。
【0024】
1実施形態では、導電層101と108はフレキシブルで弾性の誘電体層または、フレキシブルで弾性の誘電体層102に接着される膜又は繊維に導電性の被覆をすることによって形成される。このことはセンサが薄くなり、軽くなることを可能にし、ポータブル応用では重要である。これはセンサを薄くし、重量を軽減するので可搬用として重要である。これはまたアセンブリを簡単にしまたは価格を減少する。導電インクはスクリーン印刷のブラッシング、ローラーによる適用、噴霧、浸塗り、マスキング、真空蒸着、真空付着又はインクを適用する任意の他の知られている手段により与えられることができる。導電層101と108は印刷可能な導電材料、好ましくは炭素ベースのインク、銀ベースのインク、または炭素ベースのインクと銀ベースのインクの組合せにより形成されることが好ましい。インクは典型的に樹脂又は接着剤と金、銀、銅、黒鉛の粉末、カーボンブラック、ニッケル又は他の金属或いは合金のブレンドにより形成される任意の導電インクであってもよい。アクリルバインダー中の黒鉛は導電層101と108のスクリーン印刷には十分に導電性で価格が効率的な材料である。
【0025】
別の実施形態では、導電層101と108は本質的に導電性の薄膜又は繊維により作られる。幾つかの本質的に導電性の膜および繊維は例えば金属被覆された繊維、本質的に導電性の重合体で被覆されている炭素を装填されたオレフィン膜繊維、フレキシブルで導電性の糸から構成された繊維、または銀被覆された糸を含んでいる。好ましくは、薄膜又は繊維は熱可塑性、熱硬化性、感圧性またはUV硬化可能な接着剤を使用してフレキシブルで弾性の誘電体層に接着される。導電層101と108は同じ導電材料から作られてもよく、または前述の材料の任意の組合せから作られることもできる。材料の組合せは所望ならば同じ層内で使用されることもできる。
【0026】
導電層101と108の抵抗がフレキシブルな容量性圧力センサ10とのユーザの相互動作の位置を決定するために使用されないならば、導電層101と108の電気抵抗は実用上低くてもよい。典型的には10,000オームよりも小さい。抵抗が位置を決定するために使用される場合には、導電層101と108の抵抗は典型的に非常に高いが、通常は1メガオームよりも小さい。
【0027】
図2、図3の(A)と(B)、図4の(A)と(B)、図5、6、7の容量センサのキャパシタンスの変化を監視するために、第1の電圧が第1の導電層101に与えられ、第2の電圧が第2の導電層108に与えられる。第1の導電層101および/または第2の導電層108に2以上の導電領域が存在する場合、各領域は別々の電圧(例えば第3、第4、第5等の電圧)を得る。2以上の領域が存在する場合、好ましくは電圧は逐次的にそれらの領域に与えられる。電圧が逐次的に与えられ、実質的に等しいことがより好ましい。好ましくは第1の導電層101に与えられる電圧は第2の導電層108に与えられる電圧とは少なくとも0.1ボルト、より好ましくは1ボルト異なっている。
【0028】
図1の(B)に示されているように、第2のフレキシブルで弾性の誘電体層106と、第3の導電層107のような付加的な層が容量センサに存在してもよい。第2のフレキシブルで弾性の誘電体層106は第1の誘電体層102と反対側の第2の導電層108にある。第3の導電層107は第2の導電層108と反対側で第2の誘電体層106に隣接している。第2の誘電体層106と第3の導電層107は第2の導電層108と第3の導電層107との間にキャパシタンスを生成して総キャパシタンスとセンサ10の感度を増加する。各導電層は1以上の導電素子を有することができる。
【0029】
第2のフレキシブルで弾性の誘電体層106と第3の導電層107に対して使用される材料は前述した誘電体層および導電層と同じ材料であり、同じ物理的特性を有することができる。キャパシタンス計14は各導電層101、108、107に接続されている。第1の電圧は第1の導電層101に与えられ、第2の電圧は第2の導電層108に与えられ、第3の電圧は存在するならば、第3の導電層107に与えられ、ここで第1と第2の電圧は少なくとも0.1ボルトの差を有し、第2と第3の電圧は少なくとも0.1ボルトの差を有する。好ましくは第1と第3の電圧は等しい。好ましくは第1と第3の電圧は基準電圧を形成し、容量センサ10の動作期間中一定に維持される。1実施形態では、基準電圧は接地電位またはセンサ環境の接地電位に等しく維持される。これは容量センサ10を外部干渉および電気放電から最良に隔離する役目を行う。
【0030】
第1と第3の導電層101と107はそれぞれ第2の導電層108と共に別々のキャパシタを形成する。好ましくは、各第1と第3の導電層101と107の第1と第3の電圧は等しく、それによって2つの別々のキャパシタンスが電気的に並列である。これは2つの別々のキャパシタをより大きいキャパシタンスの単一のキャパシタとして扱うことができるというメーター14の要求を簡単にする。より大きなキャパシタンスは典型的にセンサの感度も改良し、これは第2の導電層108の両側上に導電層を含む1つの利点である。第1の導電層101と第3の導電層107はまた干渉から容量センサ10を遮蔽する。
【0031】
センサ10はさらに感度を改良するためにさらに別のフレキシブルで弾性の誘電体層および別の導電層を付加することを含むことができる。このような層の数は通常、付加的な層が与える付加的な価格、複雑性、厚さまたはスチフネスにより限定される。
【0032】
圧縮可能な誘電体を用いて形成されているセンサ10の場合、センサのキャパシタンスはフレキシブルで弾性の誘電体層102の圧縮に反比例して変化する。検出器に加えられる力はフレキシブルで弾性の誘電体層102を圧縮し、したがって第1の導電層101と第2の導電層108との間のキャパシタンスを増加する。力が除去されるか又は単に軽減されるとき、第1の導電層101と第2の導電層108との間の分離距離は増加し、容量センサ10のキャパシタンスは減少する。誘電体が圧縮される領域は「アクチブ領域」と呼ばれる。
【0033】
フレキシブルで弾性の誘電体層102は好ましくはフレキシブルで弾性の層または薄膜である。本発明に関して「フレキシブル」は柔軟で、その最も薄い厚さで実質的に折り曲げられ平坦な構造に戻ることができるという意味に定義される。好ましくは、センサの各素子または層はフレキシブルである。「弾性」は、各多数の圧縮後に材料の一部又はその全体にわたってその最初の厚さに基本的に戻る材料を意味すると定義される。誘電体はこの明細書では電位差の存在下で、電流が流れることを可能にせず電界を支持する材料を意味している。「薄膜」または「発泡体」はその大きさにおいて基本的に2次元であり、即ち他の2次元の長さよりも非常に小さい1次元の長さを有するフレキシブルな材料と定義される。発泡体はそれらの内部のかなりの部分において空洞スペースを含んでおり、したがって高い圧縮性である。薄膜は空洞スペースをほとんど又は全くもたないものと定義されている。
【0034】
誘電体層102の弾性は反復される使用および耐久性にとって重要である。フレキシブル性はモールドされたダッシュボードの周辺、またはスマート繊維の一部としての衣類に適合するようにセンサがフレキシブル性を必要とする応用で使用されることができるために重要である。好ましくは、フレキシブルで弾性の誘電体層は20ミリメートル(mm)乃至5mmの範囲、より好ましくは10mm乃至4mmの範囲、さらに好ましくは5mm乃至1mmの範囲の曲率半径に屈曲されることができる。
【0035】
図2では、「グリッド」と以下呼ばれる各導電層が物理的および電気的に相互から隔離される(アクチブ素子または領域とも呼ばれる)多数の導電素子を含むことができる。第1の方向のアクチブ素子201は1つの導電層、例えば第1の導電層101の導電素子であり、第2の方向のアクチブ素子202は第2の導電層、例えば第2の導電層108の導電素子である。第1の方向のアクチブ素子201と第2の方向のアクチブ素子202は異なる方向にあり、したがって相互に交差している。各導電層上のアクチブ素子201と202は空間的および電気的に相互に分離されている。導電層101と108の平面におけるアクチブ素子201と202外の領域は導電性ではない。1つの導電層中の素子は他の導電層中の素子とオーバーラップするが、これらはフレキシブルで弾性の誘電体層102(図2に示されていない)により電気的に分離されている。素子201と202の間のオーバーラップの1領域は例えばアクチブ域210として示されている。付加的なアクチブ域は第1の方向の素子201が第2の方向の素子202とオーバーラップするときにはいつでも生じることができる。アクチブ域210はアクチブ素子201aとアクチブ素子202aとのオーバーラップにより規定される。各素子201と202は真っ直ぐまたは湾曲されることができ、メーター14に対して別々の電気接続を有する。
【0036】
図2では、第1の方向のアクチブ素子201は第2の方向のアクチブ素子202に対して垂直である。これが典型的であるが、実際にはオーバーラップ領域が存在し、所定の層中の素子が物理的および電気的に分離される限り、素子は任意の形態であることができる。好ましくは第1の方向のアクチブ素子201と第2の方向のアクチブ素子202は5度乃至175度との範囲の角度で相互に交差する。1実施形態では、第1の方向の素子は90度の角度で第2の方向の素子と交差する。
【0037】
メーター14は第1の方向のアクチブ素子201と第2の方向のアクチブ素子202に対して別々の接続を有する。電圧は各第1の方向のアクチブ素子201と各第2の方向のアクチブ素子202に逐次的に与えられることができる。力がアクチブ域に加えられるとき、アクチブ域の位置が決定されることができ、それによってメーター14への接続がキャパシタンスの変化と関連される。例えば力がアクチブ域210に加えられるならば、第1の方向のアクチブ素子201aと各第2の方向のアクチブ素子202a間のキャパシタンスは減少する。この減少はメーター14により検出されることができる。アクチブ域210に加えられる力は第1の方向のアクチブ素子201と各第2の方向のアクチブ素子202の任意の他の対間のキャパシタンスに影響しないので、それ故力は特別なアクチブ域210に関連されることができる。
【0038】
好ましくは、第1の方向のアクチブ素子201は大きな総アクチブ領域を設けるために、導電層101の少なくとも80%をカバーし、第2の方向のアクチブ素子202は他の導電層108の少なくとも80%をカバーする。典型的に、第1の方向のアクチブ素子201と各第2の方向のアクチブ素子202は5:1よりも大きい縦横比を有し、同じ導電層に位置される素子の物理的分離は少なくとも1ミリメートルであることが好ましい。
【0039】
図2のグリッドは図1の(B)に示され前述したように3つの導電層を使用して作られることができる。この場合、第1の導電層101は少なくとも第1および第2の導電素子を含んでいる第1の方向のアクチブ素子201を含み、第3の導電層107は少なくとも第4および第5の導電素子を含んでいる第2の方向のアクチブ素子202を含んでいる。第2の導電層108はグリッドの全てのアクチブ領域をオーバーラップする連続的な導電領域(第3の導電素子)である。キャパシタンスは第1の導電層101と第2の導電層108との間と、第3の導電層107と第2の導電層108との間で測定される。
【0040】
図3の(A)は「蛇行条帯」と呼ばれる構造を示している。この実施形態では、導電層は導電層上で屈曲する単一のアクチブ素子230として構成されている。図3の(A)の構造では、アクチブ素子230は並列の細長い条帯の前後の屈曲である。別の例が図3の(B)に示されており、ここではアクチブ素子230は螺旋の形態である。実際に、全ての所望のアクチブ領域をカバーする任意の形態が許容可能である。蛇行条帯が第1の導電層101上であることを仮定すると、第2の導電層108は連続的であり、アクチブ素子230と少なくともそれぞれの所望されたアクチブ域でオーバーラップする必要がある。各導電層の役目は反対にされることができる。即ち第1の導電層101が連続的であり、第2の導電層108が梯子または条帯の構造で形成されることができる。これはセンサ10を外部の電磁干渉から隔離するために有効であろう。
【0041】
蛇行条帯を使用した加えられた力の位置の決定は、加えられた力、例えばメーター14を通して接続231へ加えられた力235からの抵抗を決定することにより行われる。接続232は随意選択的に使用され加えられた力の位置を改良することができる。この場合、ユーザの相互動作点を決定するために例えば力235から接続231まで、および力235から接続232までの抵抗を使用する。
【0042】
図4の(A)で示され、以下「梯子」と呼ばれる別の実施形態は同じ導電層、例えば第1の導電層101に全て含まれる一連の交差しないアクチブ素子220からなる。アクチブ素子220は均等で並列であるとして示されている。しかしながら、この配列は概念においては最も簡単であるが、線は均等または平行である必要はなく、それらは電気的に相互に隔離されなければならない。他の導電層、例えば第2の導電層108は実質的に各素子220とオーバーラップするが、別々の領域を含む必要はなく、連続的であることができる。メーター14は各素子220に対して別々の接続を有し、第2の導電層108に対して別の接続を有する。
【0043】
説明の目的で、アクチブ素子220に沿った位置を「平行」位置として規定し、これに直交する位置を「垂直」位置と呼ぶ。電圧が各アクチブ素子220に逐次的に加えられることができ、各素子220と他の導電層との間のキャパシタンスは抵抗計14により監視されることができる。素子の1つ(アクチブ素子上に加えられた力の点に“X”225でマークされているアクチブ素子220a)に力を加えると、この素子と第2の導電層108との間のキャパシタンスが変化する。キャパシタンスの変化は力が加えられた特定の素子220aに関連されることができ、キャパシタンスの変化を生じる加えられた力の垂直位置についての情報を提供する。例えば力225の付加は第1のアクチブ素子220aのキャパシタンスを変化し、それは接続221または接続222を通してメーター14により検出されることができる。
【0044】
アクチブ素子220aに沿った相互動作225の平行位置を決定するために、(221としてアクチブ素子220aで示されている)第2の接続は各素子からメーター14に対しても行われることができる。接続221と222を使用して、抵抗は加えられた力225からアクチブ素子220aの各端部までの距離を決定するために使用されることができる。アクチブ素子220aの長さが知られているならば、これは加えられた力の平行位置の2つの測定を行い、値の不確実さを減少させる。垂直位置と組み合わせて、これは加えられた力の位置を明白にセンサ10の平面で決定する。
【0045】
本発明の別の実施形態では、ネスト(入れ子)にされた蛇行状態構造が図4の(B)に示されているように使用される。この構造では、導電層は第1の蛇行アクチブ素子230と第2の蛇行アクチブ素子236を含んでいる、メーター14への別々の接続が接続231と232において第1の蛇行アクチブ素子230と接続237と238において第2の蛇行アクチブ素子236に対して行われる。したがってネストにされた蛇行条帯は等価の梯子よりも少数の接続を有することができるが、等価の単一の蛇行状態よりも大きい感度を有する。図4の(B)は2つのネストされた蛇行アクチブ素子を示しており、所望な数が存在することができる。各ネストされた蛇行アクチブ素子は任意の形状でよく、これらが物理的および電気的に相互から分離されているだけでよく、他のネストされた蛇行アクチブ素子と同じ形状である必要はない。
【0046】
図4の(A)の梯子、図3の(A)の蛇行条帯、図4の(B)のネストされた蛇行条帯はそれぞれ図1の(B)で示され、前述したように3つの導電層を使用して作られることができる。この場合、第1の導電層101と第3の導電層107はアクチブ導電素子を含んでいる。第2の導電層108はアクチブ素子の全てのアクチブ領域をオーバーラップする連続的な導電領域である。キャパシタンスは第1の導電層101と第2の導電層108との間および第3の導電層107と第2の導電層108との間で測定される。導電層101のアクチブ導電素子は同一であることができ、導電層107のアクチブ導電素子と重ねあわされ、即ちこれらは完全にオーバーラップすることができ、この場合3つの層構造が前述したようにセンサ10の感度を増加させる。
【0047】
代わりに、この構造は反対にされることができる。第1の導電層101と第3の導電層107は第2の導電層108に含まれている全てのアクチブ導電素子とオーバーラップする連続的な導電域であることができる。
【0048】
加えられた力の位置を決定する別の方法は三角測量によるものである。三角測量を使用するセンサが図5に示されている。この構造では、第1および第2の導電層101と108の両者は相互にオーバーラップする大きい導電域を含んでいる。シートの少なくとも1つは少なくとも3つの広い間隔で隔てられたメーター14への接続240を有する。図5は(240a、240b、240c、240dとラベルを付されている)4つの接続240を有する特定の例を示している。各接続240(a-d)を使用して別々の測定が行われる。各測定では、メーター14は接続と加えられる力245との間の抵抗を決定するために使用される。その抵抗はその後比較され、加えられる力の位置の決定を可能にする。好ましくは、キャパシタンス計は少なくとも2つの方向で位置を決定し、センサの平面における与えられた力の位置を決定する。
【0049】
キャパシタンスの相対的変化に関連されるセンサ10の感度はアクチブ領域と総導電領域の比が増加するとき増加することに注意すべきである。導電領域は第1の導電層101または第2の導電層108の領域として規定され、それらには監視電圧が加えられる。キャパシタンスの変化はメーター14により監視されることができ、メーター14は実質的に無線等の電気装置の付勢のような所望の応答を開始できる。
【0050】
図6はさらにアクチブ領域である総導電領域の割合を増加することによって蛇行条帯の感度を増加させる方法を示している。これは素子の長さにわたって導電素子の幅を変化することにより実現される。ユーザの相互動作の領域が存在するアクチブ領域255は接続条帯256のような薄い導電条帯により接続されている大きい導電領域として作られることができる。パターン成形された導電被覆は特にこのような導電層を生成するのに有効である可能性がある。アクチブ領域は蛇行条帯250に沿って均一な間隔である必要はなく、これらが均一な大きさにされる必要もないことに注意する。メーター14への接続は端部251および252で行われる。蛇行条帯250は平行接続条帯256の屈曲体として示されているが、全ての所望のアクチブ領域をカバーする任意の形態が受け入れ可能であることが明白である。この原理はまた梯子構造でも使用されることができる。この1例が図7に示されている。梯子260のユーザの相互動作領域255は接続条帯266を経て端部261と262に接続されている。
【0051】
梯子と比較して蛇行条帯を使用することは簡潔性と感度との妥協である。蛇行条帯は簡単であり、メーター14に対して2つの接続しか必要ではなく、加えられる力を検出し位置を突き止めるために1または2の測定しか必要としない。梯子はセンサ10の類似の領域よりも大きな感度を提供する。梯子でのように導電層を多数の導電素子に分割することにより、任意の1つの導電素子の領域が減少される。これは加えられる力によりカバーされる導電素子の部分を増加し、前述したように感度を増加させる。
【0052】
フレキシブルで弾性の誘電体層102のエッジで、貫通コネクタ(図示せず)は導電層101と108との電気接触を行うために使用される。貫通コネクタの動作の原理は電子装置でよく知られている。絶縁体により被覆されている導体との電気接続を行うとき、貫通コネクタは導体内部への絶縁体を通して「噛む」ために使用される。貫通コネクタは歯を有し、これらは導電層101と108および存在するならば潜在的に第3の導電層107へ与えられる。導電層101、108および/または107に複数の導電領域を有する本発明の別の実施形態では、コネクタの別々の歯が各別々の領域に接触することができ、それによってメーター14は圧力が各領域又は多数の領域に加えられるときにキャパシタンスの変化を感知するために使用されることができる。貫通コネクタの使用は大量生産を簡単にする。
【0053】
貫通コネクタはメーター14と導電層101、107、108との間のコネクタを介してキャパシタンスメーター14への本発明のフレキシブルな容量センサ10の接続を可能にする。キャパシタンス計14はフレキシブルで弾性の誘電体層102を横切る電圧を測定し、その電圧を基準電圧と比較する。圧力が容量センサ10へ加えられる場合のように、誘電体層102を横切るキャパシタンスが変化するならば、誘電体層102を横切る電圧も変化する。発生される電圧出力信号はフレキシブルで弾性の誘電体層102を横切る基準電圧と公称上の電圧との間の変化する差に基づいている。容量センサ10に加えられる力が減少され、誘電体層102がその本来の大きさへ膨張すると、キャパシタンスは減少しプロセスは反対になる。
【0054】
この構成の検出器のキャパシタンスは種々の電気的な方法によって測定されることができ、そのうちの2つをここで説明する。電気測定は導電体層の抵抗が変化せず、個々の検出器のキャパシタンスだけが変化するという事実を使用する。したがって各事象の測定可能なRC時定数特性は検出器のキャパシタンスの変化だけによって変化する。1つの方法は電圧シフト方法であり、他の方法は周波数応答特性における位相シフトである。
【0055】
電圧シフト方法と呼ばれる第1の方法では、トレースに接続される直列抵抗を使用する。キャパシタンス計14は(1)センサ10の放電期間中にトレースおよび検出器の電圧の減少を得るための時間、(2)センサ10の放電の開始から設定時間期間中のトレースおよび検出器の電圧の減少、(3)センサ10の充電期間中のトレースおよび検出器の電圧の増加、または(4)センサ10の充電の開始から設定時間の期間中のトレースおよび検出器の電圧の増加のうちの1つを探す。これらの4つの数量の任意の1つはRC時定数の決定、したがって検出器のキャパシタンスの変化の測定を可能にする。
【0056】
位相シフト方法では、時間的に変化する電圧信号がアクチブ層に与えられる。接地への抵抗は基準層に接続されている。この抵抗は与えられた信号と遅延した信号との間の位相シフトをアクチブ層を通して測定するために使用される。遅延がアクチブ層のキャパシタンスの存在により生じるので、遅延の変化はキャパシタンスの変化を決定するために使用されることができる。元の信号と遅延信号の振幅はシステムの状態についてのより多くの情報を生成するために比較されることもできる。
【0057】
技術で知られているように、電圧信号の通常の形態はインパルス、正弦波、方形波を含んでいる。しばしば交流電圧信号は10kHzよりも大きい周波数を有する。
【0058】
加えられた力の位置を決定する方法は、加えられた力と、メーター14と導電層との間の接続との間の導電層の抵抗を決定することに依存することができる。電圧Vがキャパシタンス(この場合では2つの導電層101と108)を横切って与えられるとき、キャパシタを横切る電圧はゆっくりと変化する。その変化の速度は時定数RCにより決定され、Cはキャパシタンス、Rは回路の抵抗である。特に電圧はRC秒毎の係数eにより変化し、ここでeはオイラーの定数であり、約2.718である。
【0059】
導電層が有限の抵抗を有するならば、回路抵抗Rは加えられた力とメーター14への接続との間の導電層の部分からの抵抗を含んでいる。例えば図8の(A)のセンサの概略的な電子的表示を考慮する。導電層401と408はフレキシブルで弾性の誘電体層(図示せず)により分離される。加えられた力410は印加点でキャパシタンスCを変化させる。この変化は接続411、412、413、414を介してメーター14により検出される。
【0060】
導電層401では、加えられる力410と接続411の間の抵抗はR1である。同様に、加えられる力410と接続412の間の抵抗はR1である。導電層408では、加えられる力410と接続413の間の抵抗はR2であり、加えられる力410と接続414の間の抵抗はR2である。接続からメーター14への線は無視できる程度の抵抗のワイヤを表している。いずれの接続が使用されるかにしたがって、完全な回路は4つの異なる全回路抵抗、即ちR=(R1+R2)、R=(R1+R2)、R=(R1+R2)、またはR=(R1+R2)の1つを有することができる。これは4つの未知の抵抗R1、R1、R2、R2の4つの式のシステムであり、したがって特有に決定されることができる。導電層に沿った抵抗とその層に沿った距離との間の既知の関係、即ち決定された抵抗と加えられた力410から接続点までの距離との間の既知の関係を仮定すると、各抵抗は加えられた力410の位置の測定値を提供する。
【0061】
各導電層は加えられた力の位置410の2つの測定を行うことに注意する。したがって有限抵抗のただ1つの導電層が加えられた力の位置410を突き止めるためこの方法を使用するのに必要であり、第2の層は非常に低い(無視できる程度)抵抗を有することができる。両層に有限抵抗を設けることは位置の重複決定を増加する。図8の(A)のセンサの性質は図8の(B)の電気的な概略図を検査することによりさらに良好に理解されることができ、図8の(B)は導電層401が高い導電性であり、回路に対して無視できる程度の抵抗を与えることを仮定することにより簡単化されたセンサを示している。またメーター14は抵抗R2を測定するときのその状態を示すように拡張されている。特に接続414は接地に設定され、一方電圧Vは接続411に与えられる。
【0062】
典型的に、メーターは高い入力インピーダンスを有する。即ちRは回路中の他の抵抗よりも非常に大きい。その場合、標準的な回路解析は、接続413における電圧VがV=V/(1+1/(wR2))により印加された電圧Vに関連されることを示しており、ここでwは印加された電圧Vの周波数である。理想的には、加えられた力の位置410の変化に対して最大の感度を有するセンサ10では、電圧Vは抵抗値R2に対して最大の感度を有し、これは加えられた力の位置410に依存するVの式の唯一の量である。さらにこの式の解析により小さいwでは、VはR2の小さい値に対してR2に対する感度がなく、即ち導電層408の右側では感知性がない。同様に、高い周波数wとR2+R2の小さい値では、R2の小さいおよび大きい値を除いてVはR2に対する感度がなく、即ち感度は導電層408の中心では低い。それ故、導電層408のあらゆる所で良好な感度を確実にするために、電圧に適度に大きな周波数を与え、有限抵抗の材料から導電層408を構成することが好ましい。
【0063】
この解析は有限抵抗が1つだけの導電層の簡単化されたケースで行われたが、両導電層が有限抵抗を有する図8の(A)に示されているより一般的なケースに対する結論に達する。図1の(B)に示されているように、付加的な導電性およびフレキシブル性の弾性誘電体層を使用するならばこれも妥当である。
【0064】
有限抵抗の導電層は典型的に10−1,000,000オーム、好ましくは100−100,000オーム、より好ましくは1,000−10,000オームの接続点間で抵抗を有する。位置の決定のために抵抗を使用する方法は、梯子形、蛇行状態、三角測量又は他の構造を伴って実施されることができる。梯子形または蛇行状態でのように導電領域が条帯である場合には、右および左への抵抗はさらに例えば図3の(B)に示されているような既知の方法で条帯の幅を変更することにより区別されることができる。
【0065】
デジタル情報、減衰時定数又は位相シフトはネットワークの抵抗―容量特性の連続的な時間変化と、センサ10の状態を表す。より良好な信号対雑音比を実現するために、平均化および濾波は連続的なデータ流に適用されることができる。
【0066】
時定数方法および位相シフトは電磁干渉と漂遊容量の影響を受けやすい。したがって信号の雑音内容は真の状態を不明確にする可能性がある。サンプリングがマイクロ制御装置の設定可能な中断によって規定された間隔で行われる。サンプリング理論と高周波数事象のデジタル再構成を支配するナイキスト規準により示されたサンプリングを経て、半分未満のサンプリング周波数で発生する事象は適切に捕捉されることができる。個々のサンプリング時に、それぞれ数マイクロ秒程度の多数のサンプルがアナログデジタル変換器により誘起されたエラーと電磁効果を減少させるために共に平均される。サンプリングは規則的な時間間隔で行われるか、または雑音スペクトルがサンプリング間隔と良好に相関されないようにランダムな間隔で抽出するのが有効である。
【0067】
抽出されたデータはその後有限インパルス応答フィルタまたは無限インパルス応答フィルタのいずれかを通過される。これらのフィルタはさらに電力線のような電源からの抽出されたデータに対する雑音と干渉の影響を減少させる。この方法で、検出器のキャパシタンスの良好な評価は位相シフト又は時定数の良好な評価を通して決定されることができる。
【0068】
異なるフィルタを縦続接続することはデータの異なる解釈を許容する。例えば1組のフィルタはシステムに対する長期の変化(例えばフレキシブルで弾性の誘電体層102の弾性の漸進的損失)を除去又は無効にするために使用され、したがって安定なベースラインを与え、一方、他のフィルタは短期間の変化(即ちセンサ10を押すこと)を隔離する。異なるフィルタの選択は簡単なサンプリングおよびしきい値との比較よりも大きな改良を与える。
【0069】
容量センサ10は典型的に較正を必要とする。環境の変化、材料の変化、外部電磁界によるベースラインキャパシタンスが時間的に変動する傾向があるので、較正が必要とされる。特に発泡体から作られる誘電材料では、最小にされたクリープとヒステレシスを有する発泡体を使用していても、キャパシタンスはやはり時間と共に変化する。再度較正されることのできるセンサは常にそれができないセンサよりも頑丈であり、感度が高い。
【0070】
センサ10を較正するための3つの方法が存在する。第1の方法は製造時に較正設定をプログラムすることである。第2の方法はそのシステムが部分的にそれ自体を初期化する度に、即ちスタートアップ時にセンサ10を較正し、大きい時間スケールで幾らかの変化のエラーを効率的に減少することである。第3の方法では、センサ10は異質の電気雑音を濾波し偶然の接触またはその他の接触を無視することによって状態を変化するために連続的に較正される。キャパシタンスを感知し連続的な自己較正、雑音濾波、再構成を組み込むように設計された市販の電子モジュールが存在する。
【0071】
センサ10はカバー層と呼ばれる付加的な絶縁層104を含むことができる。これらの層は任意の重大な方法でセンサ10の電気的特性に影響しない。外部層の機能は視覚的、触覚的な審美性、保護を含むことができ、ユーザインターフェースとして作用する。ゼロ、1または多数のこのような層が存在してもよい。多数の層は以下説明するように異なる機能を与えるために異なる材料から作られることができる。好ましくはカバー層は繊維である。繊維には編み物、織物、不織物が含まれるがそれらに限定されない任意の既知の構造であってもよい。
【0072】
電気的に絶縁性の1又は複数の外部層104は被覆され、積層され、ステッチされまたはその他の方法でセンサの外部表面に設けられることができる。これらの層は任意の材料から任意の方法で構成されることができ、それによってセンサのフレキシブル性全体は依然として許容可能である。通常、これらの材料は本発明の容量センサの典型的な薄形の構造を維持する。カバー層104に可能な材料は、織物、皮又は他の皮、膜又は被覆を含んでいる。センサの上部および下部の一方又は両者に外部層104が存在することができる。絶縁層はそれぞれ多数の材料および層の複合物であってもよく、上部および下部の外部層は同じ組織である必要はない。
【0073】
装飾的なグラフィック又は情報、例えば容量センサ10またはディスプレイ或いは容量センサ10が与えられているか接続されている他の装置についての情報又は命令はセンサ上の最も外部の外部層104に印刷されることができる。典型的に容量センサ10の上部表面、ユーザに与えられた表面は各検出器の位置および機能を指示するためのグラフィックを含んでいる。装飾的および機能的の両特徴を与えるために材料が選択されることができる。審美性と共に、絶縁外部層104は接着または穿孔に対する抵抗、汚れに対する撥水性、こぼされた液体からの保護、赤外線劣化に対する耐性等のような保護機能を与えることができる。容量センサ10の下部層は装飾又は情報的なグラフィックが通常含まれない点を除いて上部層に類似の機能を行うために類似の材料で作られることができる。
【0074】
本発明の技術的範囲はその主要な設計特性を組込む全ての変形を含み、本発明の技術的範囲および限定は特許請求の範囲とそれらの等価物により決定されることが意図されている。それゆえ、ここで説明された本発明の概念は相互に交換可能であり、および/またはこれらは本発明のさらにその他の入れ替えで共に使用されることができ。その他の変形および置換が本発明の技術的範囲を逸脱せずに好ましい実施形態の前述の説明から当業者に明白であることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】導電性の基準層と、キャパシタンス計に接続されているアクチブ層と、フレキシブルな弾性の誘電体層とを有し、随意選択的な外部層も示されている容量センサの概略図と、付加的な誘電体層および基準層を有する容量センサの概略断面図。
【図2】導電素子がグリッド構造を形成する容量性圧力センサの1実施形態を示す図。
【図3】導電素子が蛇行条帯構造を形成する容量性圧力センサの1実施形態と、導電素子が螺旋構造を形成する容量性圧力センサの実施形態とを示す図。
【図4】導電素子が梯子構造を形成する容量性圧力センサの1実施形態と、導電素子がネストされた蛇行条帯構造を形成する容量性圧力センサの実施形態とを示す図。
【図5】導電素子が三角測量のための導電平面を形成する容量性圧力センサの1実施形態の図。
【図6】可変の幅を有する蛇行条帯の概略図。
【図7】素子が異なる幅の領域を有する梯子構造の概略図。
【図8】ユーザの相互動作の位置を決定するために使用されるフレキシブルなセンサの電気量を識別する概略図と、ユーザの相互動作の位置を決定するために使用されるフレキシブルなセンサとキャパシタンス計の電気量を識別する概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の表面を有するフレキシブルで弾性の誘電体層と、
少なくとも第1および第2の導電素子を具備し、第1の導電素子は第2の導電素子から電気的に隔離されている誘電体層の第1の表面上の第1の導電層と、
少なくとも第3および第4の導電素子を具備し、第3の導電素子は第4の導電素子から電気的に隔離されている誘電体層の第2の表面上の第2の導電層とを具備し、
第3の素子は少なくとも部分的に第1および第2の素子とオーバーラップし、第4の素子は少なくとも部分的に第1および第2の素子とオーバーラップし、第3の素子と第4の素子はフレキシブルで弾性の誘電体層により第1および第2の素子から電気的に分離されているフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項2】
さらに、各導電素子に電気的に接続されているキャパシタンス計を具備している請求項1記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項3】
導電素子は5:1よりも大きい縦横比を有する請求項1記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項4】
第3の導電素子は5乃至175度の間の角度で第1および第2の導電素子と交差している請求項1記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項5】
第4の導電素子は5乃至175度の間の角度で第1および第2の導電素子と交差している請求項4記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項6】
導電素子はグリッドを形成している請求項1記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項7】
感知グリッドはさらに誘電体と反対側の第1の導電層上に少なくとも1つの被覆層を具備している請求項1記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項8】
被覆層は繊維である請求項7記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項9】
各導電素子はそれぞれ1メガオーム以下の抵抗を有する請求項1記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項10】
誘電体層はスペーサ繊維を具備する請求項1記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項11】
第1および第2の表面を有するフレキシブルで弾性の誘電体層と、
少なくとも第1および第2の導電素子を具備し、第1の導電素子は第2の導電素子から電気的に隔離されている誘電体層の第1の表面上の第1の導電層と、
少なくとも第3の導電素子を具備する誘電体層の第2の表面上の第2の導電層と、
その第1の表面が前記第2の導電層に取付けられている第2の弾性の誘電体層と、
第2の弾性の誘電体層の第2の表面上に設けられ、少なくとも第4および第5の導電素子を具備し、第4の導電素子は電気的に第5の導電素子から隔離され、第1、第2、第4、第5の導電素子はグリッドを形成し、第3の導電素子は少なくとも第1および第2の導電素子が第4および第5の導電素子とオーバーラップする場所に位置されているフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項12】
さらに各導電素子に電気的に接続されているキャパシタンス計を具備している請求項11記載のフレキシブルな容量性感知グリッド。
【請求項13】
第1および第2の表面を有するフレキシブルで弾性の誘電体層と、
少なくとも第1の導電素子を具備する誘電体層の第1の表面上に設けられた第1の導電層と、
第1の導電素子が少なくとも部分的に第2の導電層とオーバーラップするように誘電体層の第2の表面上に設けられた第2の導電層と、
導電層と電気的に接続されているキャパシタンス計とを具備し、
前記キャパシタンス計は第1の導電層と第2の導電層との間のキャパシタンスの変化を測定し、キャパシタンス計は第1の導電層の第1の導電素子に沿ったユーザの相互動作点の位置を決定するように構成されているフレキシブルな容量センサ。
【請求項14】
キャパシタンス計は一方の方向の位置を決定する請求項13記載のフレキシブルな容量センサ。
【請求項15】
キャパシタンス計は少なくとも2つの方向の位置を決定する請求項13記載のフレキシブルな容量センサ。
【請求項16】
キャパシタンス計は第1の導電素子又は第2の導電層上の2以上の異なる位置へ電圧を別々に供給し、供給された各電圧からの信号の値からユーザの相互動作の位置を決定する請求項13記載のフレキシブルな容量センサ。
【請求項17】
第1の導電素子は蛇行形状を有している請求項13記載のフレキシブルな容量センサ。
【請求項18】
第1の導電素子は螺旋形状を有している請求項13記載のフレキシブルな容量センサ。
【請求項19】
第1の導電素子の幅はその素子の長さにわたって変化する請求項13記載のフレキシブルな容量センサ。
【請求項20】
センサはさらに第1の誘電体層と反対側の第1の導電層の第1の表面に対して取付けられている第2の弾性の誘電体層と、第2の弾性の誘電体層の第2の表面上に少なくとも第3の導電素子を具備する第3の導電層とを具備している請求項13記載のフレキシブルな容量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−526227(P2009−526227A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554292(P2008−554292)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/003069
【国際公開番号】WO2007/094993
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】