フレキシブルコンテナーの荷空け装置
【課題】フレキシブルコンテナーに収容された粉体の全量を自動的に吸引することの可能な荷空け装置を提供する。
【解決手段】荷空け装置10の昇降可能なノズルユニット24はノズル本体と摺動ノズルヘッドとを備え、摺動ノズルヘッドはフレキシブルコンテナー14の中袋が摺動ノズルヘッドの吸引口に接近し吸付くのを防止するための遮蔽部材72によって囲繞されている。摺動ノズルヘッドをして遮蔽部材72の下部開口を出入りさせながら、ノズルユニット24を漸進的に降下させ、フレキシブルコンテナー内の粉体の全量を吸引させる。
【解決手段】荷空け装置10の昇降可能なノズルユニット24はノズル本体と摺動ノズルヘッドとを備え、摺動ノズルヘッドはフレキシブルコンテナー14の中袋が摺動ノズルヘッドの吸引口に接近し吸付くのを防止するための遮蔽部材72によって囲繞されている。摺動ノズルヘッドをして遮蔽部材72の下部開口を出入りさせながら、ノズルユニット24を漸進的に降下させ、フレキシブルコンテナー内の粉体の全量を吸引させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナーの荷空け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を輸送するにあたりフレキシブル・コンテナーと呼ばれるバッグ型の大容量の容器が使用されている。フレキシブルコンテナーは、強靭な織布で形成された外袋を有し、外袋にはクレーンなどでフレキシブルコンテナーを吊り上げるためのベルトが縫い付けてある。外袋は通気性を有するので、外袋の内側にはポリエチレンやビニル樹脂のような非通気性・非透湿性のフィルムで形成された防水防湿用の中袋が設けてあり、粉体はこの中袋に収容される。
【0003】
フレキシブルコンテナーを荷空けして粉体を他の容器に移送するにあたっては、粉塵の発生を防止するため、吸引式空気輸送機(バキュームコンベヤ)を用いるのが望ましい。
吸引式空気輸送機を用いて人手によりフレキシブルコンテナーを荷空けする場合には、手持ち式の吸引ノズルが使用される。作業員は、吸引ノズルを吸引管を介して吸引式空気輸送機に接続し、開封したフレキシブルコンテナーの中袋に吸引ノズルの先端を差し込み、バキュームによって粉体をフレキシブルコンテナーから吸い出して移送先容器へと空気輸送する。
【0004】
吸引が進んでフレキシブルコンテナーの中身が少なくなると、合成樹脂フィルムからなる中袋が吸引ノズルに吸い付きやすくなるので、中袋の底に残った粉体を完全に吸引させるのが困難になる。吸引ノズルの先端には吸い付き防止ガードが設けてあるが、中袋がノズルに吸い付いた場合には、作業員は、吸引を停止し、中袋から吸引ノズルを引き離した上で、吸引を再開しなければならない。
【0005】
従来技術においては、フレキシブルコンテナーの荷空けを自動化する提案がなされている。
しかしながら、一旦、吸引の途中又は終期に中袋が吸引ノズルに吸い付くと、人手によらねば中袋を吸引ノズルから引き剥がすことができないので、やはり人手を必要としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フレキシブルコンテナーの荷空けを自動的に行なうことの可能な装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、フレキシブルコンテナー内の粉体の全量を自動的に吸引することの可能な荷空け装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、合成樹脂フィルムなどからなる防水防湿用の中袋が吸引ノズルに吸い付くことのない荷空け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フレキシブルコンテナーの荷空け装置を提供するもので、この装置は:吸引式空気輸送機の吸引輸送管に接続可能なノズル本体と、前記ノズル本体に対して気密かつ摺動可能に前記ノズル本体の下部に嵌合された摺動ノズルヘッドとを備え、フレキシブルコンテナー内の粉体を吸引するためのノズルユニットと; 前記ノズル本体に固定され、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの下端に設けた吸引口に吸着されるのを阻止するべく摺動ノズルヘッドの下端を囲繞する遮蔽部材であって、前記摺動ノズルヘッドの下端が出入り可能な下部開口を有するものと;前記ノズル本体を鉛直方向に昇降させるための第1の昇降手段と;前記摺動ノズルヘッドの下端を前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせるべく前記摺動ノズルヘッドをノズル本体に対して昇降させるための第2の昇降手段と;前記第1および第2の昇降手段を制御するための制御手段であって、粉体吸引時に、前記摺動ノズルヘッドの下端をして前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせながら、前記ノズル本体を漸進的に降下させる制御手段;とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
このように、本発明によれば、遮蔽部材が摺動ノズルヘッドの吸引口を囲繞しているので、フレキシブルコンテナーの中袋が吸引口に接近し吸い付くことが防止される。また、万一、中袋が吸い付いたとしても、摺動ノズルヘッドは遮蔽部材の下部開口から出入りするので、吸引口に吸い付いた中袋は摺動ノズルヘッドの退却運動に伴い吸引口から引き剥がされる。
従って、荷空けを自動化し、実質的に人手を介することなくフレキシブルコンテナー内の粉体を最後まで吸引させることができる。
【0009】
好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーの上縁に作用する吊り上げ手段を備え、吸引に伴いフレキシブルコンテナー内の残留粉体の量が減るにつれてフレキシブルコンテナーの上縁が該上縁に作用する張力の分力によって次第にすぼめられ、その結果、残留粉体がフレキシブルコンテナーの中央部に集められるようになっている。
【0010】
簡素な実施態様においては、吊り上げ手段は釣合い錘を備え、釣合い錘の重さに等しい吊り上げ力をフレキシブルコンテナーの吊り上げ用ベルトに作用させるようになっている。
このようにすれば、フレキシブルコンテナーを吊り上げるための動力が不要であり、荷空け装置を簡素化することができると共に製造コストを低減することができる。
【0011】
釣合い錘を複数の分銅で構成すれば、フレキシブルコンテナーの重さに合わせて釣合い錘の総重量を容易に調節可能にすることができる。
【0012】
好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、粉体の吸引を制御する遮断弁と、吸引式空気輸送機の吸引管内の圧力を検出する圧力センサーと、ノズルユニットの位置を検出する位置センサーとを備え;制御装置は、ノズルユニットが下限位置に近づき、かつ、吸引管内の圧力が高真空になったときに、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの吸引口に吸い付いているとみなし、粉体吸引を停止し、ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後で、吸引を再開する。
このようにすれば、ノズルヘッドに対するフレキシブルコンテナー中袋の吸い付きを確実に解消することができる。
【0013】
他の好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーを加振する振動装置を備え、制御装置は、ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず吸引管内の圧力が低真空になったときには、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホール又はブリッジが発生しているとみなし、ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーを加振する。
このようにすれば、フレキシブルコンテナー内の粉体に生じたラットホールやブリッジを崩壊させ、フレキシブルコンテナー内の粉体の全量を吸引させることができる。
【0014】
他のラットホール対策として、荷空け装置は、更に、吊り上げ手段の吊り上げ力を増加する手段を備え、制御装置は、ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず前記吸引管内の圧力が低真空になったときに、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホールが発生しているとみなし、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーの吊り上げ力を増強し、ラットホールやブリッジを崩壊させる。
【0015】
更に他の実施態様においては、ノズル本体および摺動ノズルヘッドは夫々二重管構造に形成されていて、ノズルユニットは摺動ノズルヘッドの吸引口に二次空気を供給するための制御可能な二次空気供給通路を有し、制御装置は、吸引管内の圧力が高真空になったときに、空気輸送機の吸引管が粉体で閉塞されたとみなし、粉体吸引を停止し、ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、二次空気供給通路を流れる二次空気を増量するようになっている。
この実施態様によれば、何等かの理由でノズルユニットが高濃度の粉体/空気混合物を吸い込むことにより吸引輸送管が粉体で閉塞した場合に、二次空気を増量させることにより閉塞を解消することができる。
【0016】
他の好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、漏斗状のコンテナー載置台を備えている。
この実施態様によれば、粉体の吸引が進行しフレキシブルコンテナー内の粉体が少なくなるにつれてフレキシブルコンテナーは漏斗状のコンテナー載置台の凹みに沿って底の方にずり落ち、粉体は自然にフレキシブルコンテナーの中央に集まるので、荷空け装置を簡素化することができ、製造コストを低減することができる。
【0017】
他の好ましい実施態様においては、荷空け装置の遮蔽部材の外側に微多孔性材料からなる空気透過性隔膜が設け、この隔膜と遮蔽部材との間には圧縮空気が供給される空気充満室が形成されている。
この実施態様によれば、空気透過性隔膜を通じてフレキシブルコンテナー内の粉体にエアレーションを行なうことにより粉体を流動化させることができるので、やはり流動性に乏しい粉体を容易に吸引させることができる。
本発明の他の特徴や利点は以下の実施例の記載に従い明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の荷空け装置と従来型の吸引式空気輸送機とを用いてフレキシブルコンテナー内の粉体を吸引して輸送先容器へと移送するところを示す斜視図である。
【図2】図1に示した荷空け装置の側面図である。
【図3】図1および図2に示したノズルユニットの拡大側面図で、ノズル本体から摺動ノズルヘッドを取外すと共にノズルユニット支持アームから摺動ノズルヘッド昇降用シリンダを取外したところを示す分解図である。
【図4】図4(a)は図1から図3に示したノズルユニットの摺動ノズルヘッドの上昇退却位置を示し、図4(b)は下降位置を示す。
【図5】図5(a)は図3の5a−5a矢視拡大断面図、図5(b)は図3の5b−5b矢視拡大断面図である。
【図6】図1に示した荷空け装置の制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図1に示した荷空け装置の制御の割り込みルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図1に示した荷空け装置の制御の更に他の2種の割り込みルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図1に示した荷空け装置の異なる作動位置を示す模式図である。
【図10】図1に示した荷空け装置のノズルユニットの異なる作動位置を示す模式図である。
【図11】図10に示した作動位置の続きを示す模式図である。
【図12】図1から図4に示した遮蔽部材の変化形を示す側面図で、図12(c)の右部は円A内部分を拡大して示す。
【図13】図1に示した荷空け装置の変化形を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の荷空け装置10と従来型の吸引式空気輸送機12とを用いてフレキシブルコンテナー14内の粉体16を吸引し、輸送先容器18へと移送するところを示し、図2は荷空け装置10の側面図である。
図1および図2を参照するに、荷空け装置10は機台20と直立した機枠22とを有し、機枠22には、ノズルユニット24を昇降させるための昇降装置26と、フレキシブルコンテナー14を吊り上げるための吊り上げ装置28が組み込まれている。
【0020】
図示した実施例では、ノズルユニット昇降装置26は、例えば、左右一対の案内レール30に昇降可能に案内されたスライダ32と、スライダ32を昇降させるためのシリンダ(エア又は油圧式)34およびシリンダ出力軸36と、スライダ32から前方に延長した水平アーム38と、水平アーム38から垂下した垂直アーム40とで構成することができ、ノズルユニット24は例えば上下一対のクランプ部材42(図2)を用いて垂直アーム40に着脱自在に固定することができる。シリンダ34は機枠22に取付けた制御装置44によって制御されることによりノズルユニット24を昇降させる。勿論、昇降用シリンダ34に代えてリードスクリュー機構その他の昇降手段を用いてもよい。
図示しないが、レール30に沿ってスライダ32の位置を検出する複数のリミットスイッチが設けてあり、制御装置44はそれらの出力に基づいてノズルユニット24の上下位置を検出するようになっている。
【0021】
図3から図5に示したように、ノズルユニット24は縦長のノズル本体46と、このノズル本体46に摺動可能に嵌合された摺動ノズルヘッド48とで構成されている。
図5に示したように、ノズル本体46および摺動ノズルヘッド48は、夫々、二重管構造に形成されている。
ノズル本体46は、図5(a)に示したように、内側管50と外側管52からなる。内側管50は図1に示したように吸引輸送管49を介して吸引式空気輸送機12の入口管51に接続される。
内側管50と外側管52との間には二次空気供給通路54が形成されており、この二次空気供給通路54の上端は外側管52の上端に固定された二次空気継手56によって閉鎖されている。
二次空気継手56にはホース継手58が装着してあり、このホース継手58には電磁流調弁60を備えた二次空気導入管路が接続されている。流調弁60は二次空気供給通路54に導入される二次空気の流量を調節するべく制御装置44によって制御される。
【0022】
図5(b)に示したように、摺動ノズルヘッド48も、内側管62と外側管64とからなる二重管構造を有し、内側管62と外側管64との間には二次空気供給通路66が形成されている。摺動ノズルヘッド48の内側管62および外側管64の外径は、夫々、ノズル本体46の内側管50および外側管52の内径よりも僅かに小さく設定してあり、図3および図4に示したようにノズル本体46の内側に摺動ノズルヘッド48が摺動可能に嵌合されるようになっている。
ノズル本体46と摺動ノズルヘッド48とは図示しないシールリングによって互いにシールされており、図4に示したようにズル本体46の下部に摺動ノズルヘッド48を嵌合したときには、ノズル本体46の内側管50の内部通路と摺動ノズルヘッド48の内側管62の内部通路とが互いに連通すると共に、ノズル本体46の二次空気供給通路54と摺動ノズルヘッド48の二次空気供給通路66とが互いに連通するようになっている。
【0023】
図5(b)から良く分かるように、摺動ノズルヘッド48の内側管62の下端は下方に開口しており、フレキシブルコンテナー14内の粉体と二次空気供給通路66から来た二次空気との混合物を吸引するための吸引口68として作用する。摺動ノズルヘッドヘッド48の内側管62の下端には略C字形に湾曲した2本の金属棒を直角に交叉させたスペーサ兼吸い付き防止ガード70が固定してあり、内側管62と外側管64とを相互に位置決めすると共に、フレキシブルコンテナー14の中袋が吸引口68に吸い付くのを防止するようになっている。
【0024】
図1から図4に示したように、ノズル本体46の下部には、フレキシブルコンテナー14の中袋(図示省略)が摺動ノズルヘッド48の吸引口68に吸い付くのを防止するべく摺動ノズルヘッド48を囲繞する中空の遮蔽部材72が固定してある。
この実施例では、遮蔽部材72は、ステンレス鋼板などで形成された円形の穴開き天板74と、円筒形の側板76と、逆円錐截頭形の底板78(参照番号は図3のみに付してある)とで形成されている。底板78の中央には円形の下部開口80が形成してあり、図4を参照しながら後述するように摺動ノズルヘッドヘッド48の出入りを可能にするようになっている。
遮蔽部材72がフレキシブルコンテナー14内の粉体に着底したことを検出するため、遮蔽部材72には静電容量センサーや近接センサーのような粉面センサー81(図1)が取り付けてあり、その出力信号は制御装置44に送られる。
【0025】
ノズル本体46に摺動可能に嵌合された摺動ノズルヘッド48は、図3および図4に示したようにノズルユニット昇降装置26の垂直アーム40の下端にボルト止めなどにより固定され制御装置44により制御される油圧シリンダ82などからなる摺動ノズルヘッド昇降装置によってノズル本体46に対して昇降せられる。
油圧シリンダ82の出力ロッド84にはL字形のブラケット86が固定してあり、摺動ノズルヘッド48はこのブラケット86にボルトなどにより固定してある。
従って、図3に矢印88で示したように油圧シリンダ82を伸縮させることによって摺動ノズルヘッド48を昇降させると、摺動ノズルヘッドの吸引口68は図4(b)に示したように遮蔽部材72の下部開口80から下方に突き出したり、図4(a)に示したように遮蔽部材72の内側に引込んだりするであろう。
【0026】
フレキシブルコンテナー14を吊り上げるための吊り上げ装置28は、最も簡素な実施態様においては、図1および図2に示したように、左右一対のワイヤー90(図2では2点鎖線で示す)と、各ワイヤー90の一端に取付けた吊り鉤92と、各ワイヤーの他端に連結した釣り合い錘96(図2に破線で示す)とで構成することができ、吊り鉤92をフレキシブルコンテナー14の吊り上げ用ベルト94に引っ掛け、釣り合い錘96の荷重によりベルト94に張力を作用させるようにしたものである。各ワイヤー90は機枠22から前方に延長した左右一対の水平アーム98に軸支した滑車100に通してある。
ベルト94に作用する張力を調節可能にするため、釣合い錘96は分離可能な複数の分銅で構成することができる。釣合い錘96の総重量が粉体を満載したフレキシブルコンテナーの総重量よりも小さくなるように分銅を設定しておけば、後述するように吸引に伴いフレキシブルコンテナー内の残留粉体の量が減るにつれてコンテナーの上縁が次第にすぼめられ、残留粉体がフレキシブルコンテナーの中央部に集められる。
図示しないが、機枠22には釣り合い錘96の上下位置を検出する複数のリミットスイッチを設けてあり、制御装置44はそれらの出力に基づいて釣り合い錘96、ひいては、吊り鉤92の上下位置を検出するようになっている。
釣り合い錘96に代えて、バネや、油空圧シリンダや、電動モータによりフレキシブルコンテナー14を吊り上げるようにしてもよい。また、フレキシブルコンテナーが吊り上げ用ベルト94を備えていない場合には、フレキシブルコンテナーの上縁の例えば4箇所にクランプ装置を用いてワイヤー90を連結することができる。
【0027】
次に、この荷空け装置10の使用および作動の態様を説明する。
ノズルユニット24のノズル本体46の内側管50の上端は図1に示したように吸引輸送管49を介して吸引式空気輸送機12の入口管51に接続されており、ブロワー102を作動させると発生した負圧ないし真空がノズルユニット24に作用してフレキシブルコンテナー内の粉体を空気輸送機12へと吸引し、空気輸送機12内で固気分離された粉体は輸送先ホッパー18へ投下される。吸引式空気輸送機12としては、例えば特開2004-189475号に記載されたダブルダンパー構造の連続吸引式空気輸送機を用いるのが好ましい。
吸引輸送管49には圧力センサー104が設けてあり、輸送管内の圧力(負圧)を検出して圧力信号を制御装置44に送る。ブロワー102によってノズルユニット24に作用する負圧は、制御装置44によって制御される電磁遮断弁106によりオン/オフ制御することができる。
【0028】
フレキシブルコンテナーの搬入と荷空け装置10の設定は人手により行なうことができる。作業員は、制御装置44を操作してノズルユニット24のノズル本体46および摺動ノズルヘッド48を予め上限位置に持ち来した上で、粉体を収容したフレキシブルコンテナー14を載せたパレット103をフォークリフトなどを用いてノズルユニット24の下方に搬入載置する。次いで作業員が吊り上げ装置28の吊り鉤92をフレキシブルコンテナー14の吊り上げ用ベルト94に引っ掛けると、釣り合い錘96とワイヤー90の作用によりベルト94には張力がかかる。しかし、釣合い錘96の総重量はフレキシブルコンテナーの総重量よりも小さく設定してあるので、フレキシブルコンテナー14はパレット103に載ったままにとどまる。
【0029】
図6から図11を併せて参照するに、図6は制御装置44による制御のメインルーチンを示す。図9(a)に示したようにコンテナー荷空けの準備が整い、作業員が制御装置44の荷空け開始ボタンを押すと(図6のステップS101)、ノズルユニット24は遮蔽部材72の下端がフレキシブルコンテナー14内の粉面に着底するまで降下(S102)せられる(図10(a、b))。遮蔽部材72がコンテナーの粉面に着底したことが粉面センサー81の出力に基づいて検出されると、制御装置44は、遮断弁106(図1)を開くことにより吸引を開始する(図6のステップS103)。
【0030】
次いで、制御装置44は、摺動ノズルヘッド48を微速で例えば3ピッチ前進(降下)させることにより下限位置に持ち来すように摺動ノズルヘッド昇降装置82を指令する(S104)。摺動ノズルヘッド48のこの前進運動により摺動ノズルヘッド48の吸引口68は遮蔽部材72の下部開口80から頭を出して粉体中に進入しながら粉体を吸引する(図10(c))。その際、図10(c)に矢印で示したように、吸引口68にはノズルユニットの二次空気供給通路54および66から二次空気が供給され、粉体と二次空気との混合物が空気輸送機12に吸引される。
次に、制御装置44は、摺動ノズルヘッド48を例えば3ピッチ後退させることにより上限位置に戻しながら、ノズル本体46を例えば1ピッチ降下させるように、ノズルユニット昇降装置26と摺動ノズルヘッド昇降装置82を指令する(S105)。その結果として、摺動ノズルヘッドの吸引口68が遮蔽部材72の内側に引っ込んだ状態で、遮蔽部材72は1ピッチ下降して、図10(d)に示した位置に持ち来される。
ノズル本体46が下限位置に達する(S106)までステップS104およびS105を繰り返すことにより、粉体の吸引とノズル本体46の降下が繰り返される(図11(e、f))。
【0031】
吸引に伴いフレキシブルコンテナー14内の残留粉体の量が少なくなるにつれて、ベルト94からフレキシブルコンテナー14の上縁に作用する斜め上向き張力(図9(b)に矢印108で示す)の水平方向内向き分力により、フレキシブルコンテナー14の上縁は図9(b)および図11(f、g)に示したようにすぼめられるので、吸引の進行に伴って残留粉体はこれらの図に示したようにフレキシブルコンテナー14の中央部に集められる。
摺動ノズルヘッド48の進退運動およびノズル本体46の前進運動並びに粉体の吸引が更に進むにつれて、ノズルユニット24および遮蔽部材72は図9(c)に示した下限位置に近づく。
【0032】
粉体の吸引が順調に進んだ結果、制御装置44がスライダ32および釣り合い錘96の位置を検出するリミットスイッチからの信号に基づいてノズル本体46および釣り合い錘96が図9(c)に示したように下限位置に達したことを検出し(S106)、かつ、圧力センサー104からの信号に基づいて輸送管49内の負圧が例えば連続して10秒間にわたってマイナス(−)1000mm水柱より高く(つまり、大気圧に近く)なったことを検出すると(S107)、フレキシブルコンテナー14内の粉体が尽きて空気のみが吸引されているとみなし、制御装置44は吸引を終了する(S108)。
【0033】
このように、本発明によれば、遮蔽部材72が摺動ノズルヘッド48の吸引口68を囲繞しているので、フレキシブルコンテナー14の中袋が吸引口68に接近するのが防止され、従って、吸い付くことが防止される。更に、万一、中袋が吸い付いたとしても、摺動ノズルヘッド48は遮蔽部材72の下部開口80から周期的に引っ込むので、吸引口68に吸い付いた中袋は摺動ノズルヘッド48の退却運動に伴い吸引口68から引き剥がされる。
従って、荷空けを自動化し、実質的に人手を介することなくフレキシブルコンテナー内の粉体を最後まで吸引させることができる。
【0034】
吸付き防止の徹底
前述したように、摺動ノズルヘッド48の下端を囲繞する遮蔽部材72を設け、かつ、摺動ノズルヘッド48を遮蔽部材72の下部開口80に対して出入りさせるようにしたとしても、中袋の吸い付きを一層確実に解消する措置を講じておくことが望ましい。
図7のフローチャートは、万一、フレキシブルコンテナーの中袋が摺動ノズルヘッド48の吸引口68に吸い付いた場合に、吸い付きを確実に解消するための割り込みルーチンを示す。
図7を参照するに、制御装置44はスライダ32の位置を検出するリミットスイッチの出力信号に基づいてノズル本体46が下限位置にあるか否かを監視しており(S201)、この割り込みルーチンはノズル本体46が下限位置に来ない限り図6のメインルーチンの“2”に復帰する。
ノズル本体46が下限位置に来たことを検出した場合には(S201)、輸送管49内の負圧が例えば連続して10秒間にわたってマイナス(−)5000mm水柱より高真空になっていないかチェックし(S202)、−5000mm水柱より高真空になっている場合には中袋が摺動ノズルヘッド48の吸引口68に吸い付いているとみなし、吸引を停止する(S203)。
次に、制御装置44は、ノズル本体46を数ピッチ上昇させると共に摺動ノズルヘッド48を上限位置まで退却させて(S204)、遮蔽部材72の下部開口80から摺動ノズルヘッド48を引っ込ませることにより、吸引口68に吸い付いた中袋を引き剥がす。その上で、吸引を再開する(S205)。
次いで、制御装置44は、輸送管内の負圧が例えば連続して10秒間にわたって−2000mm水柱より低い(より高真空)か否かチェックし(S206)、負圧が−2000mm水柱より低い場合には中袋がなお吸引口68に吸い付いているとみなし、ステップS203からS205を繰り返す。管内圧力が−2000mm水柱以上に回復した場合には、吸い付きが解消されたとみなし、図6のメインルーチンの“2”に復帰する。
このようにすれば、フレキシブルコンテナー内の残留粉体が少なくなった吸引終期において中袋の吸い付きが確実に解消されるので、人手を介することなくフレキシブルコンテナー内の粉体の全量を吸引させることができる。
【0035】
ラットホール対策
粉体が流動性に乏しい場合には、粉体を吸引しながらノズルユニット24を下降させると、フレキシブルコンテナー内の粉体にラットホールやブリッジが形成され、上寄りに位置する粉体が落下してフレキシブルコンテナーの中央に集まって来ないという事態が起こり得る。
その対策として、制御装置44は、図8(a)のフローチャートに示した割り込みルーチンにおいて、フレキシブルコンテナー内の粉体にラットホールが発生しているか否かをチェックする(ステップS301)。これは、例えば、輸送管49内の負圧が小さくて粉体が吸引されていない(即ち、専ら空気が吸引されている)ことを示しているにも拘わらず、釣り合い錘96が下限位置又は下限位置付近にないかどうかを判定することにより行なうことができる。
ラットホールが発生していると判定された場合には、制御装置44はノズル本体46と摺動ノズルヘッド48を上限位置まで戻した後(S302)、パレット103に連結された図示しない振動装置を作動させることによりパレット103上のコンテナーを加振して(S303)、ラットホールを崩壊させる。振動装置に代えて、図示しないモーターなどにより吊り上げ用ワイヤー90の吊り上げ力を一時的に増加させることによりラットホールを崩壊させてもよい。ラットホールを崩壊させたならば、図6のフローチャートの“2”に復帰し、吸引を続行する。
【0036】
吸気管閉塞対策
何等かの理由でノズルユニット24が高濃度の粉体/空気混合物を吸い込んだ場合には、吸引輸送管49が粉体で閉塞することがある。図8(b)のフローチャートは、そのような事態に対処するための割り込みルーチンを示す。このフローチャートを参照するに、輸送管49内の負圧が例えば連続して10秒間にわたって−5000mm水柱より低く(つまり、より高真空に)なったことを検出すると(S401)、制御装置44は輸送管49が粉体で閉塞しているとみなし、遮断弁106(図1)を閉じることにより吸引を停止する(S402)。次いで、制御装置44は、ノズルが粉体を吸引しないようにノズル本体46を数ピッチ上昇させると共に摺動ノズルヘッド48を上限位置まで退却させた上で(S403)、吸引を再開すると共に二次空気流調弁60(図5)の開度を大きくして二次空気を増量し(S404)、図6のフローチャートの“2”に復帰し、吸引を続行する。このように二次空気を増量させると、粉体/空気混合比が小さくなるので、輸送管49の閉塞が解消される。
【0037】
図12は、図1から図4に示した遮蔽部材72の変化形を示す。
図12(a)および図12(b)に示した実施例では遮蔽部材72は金属板に代えて多数の金属棒を溶接することにより籠形に形成されている。従って、粉体が流動性に乏しい場合に適している。
図12(c)に示した実施例では、遮蔽部材72の側板76および底板78(図3)の外側には微多孔性の空気透過性隔膜110が設けてあり、この微多孔性隔膜110と側板76および底板78との間には閉鎖された空気充満室112が形成されている。空気充満室112には圧縮空気導入管114が連通させてあり、コンプレッサのような圧縮空気源(図示せず)から圧縮空気が供給されるようになっている。この実施例は、空気透過性隔膜110を通じてフレキシブルコンテナー14内の粉体にエアレーションを行なうことにより粉体を流動化させることができるので、やはり流動性に乏しい粉体を吸引するのに適している。
【0038】
図13は、図1に示した荷空け装置の変化形を示す。この実施例では、荷空け装置10は漏斗状のコンテナー載置台120を備え、フレキシブルコンテナー14はこの漏斗状載置台120に載置されるようになっている。
従って、図13(a)、(b)、(c)に示したように、粉体の吸引が進行しコンテナー14内の粉体が少なくなるにつれてフレキシブルコンテナー14は漏斗状のコンテナー載置台120の漏斗状内面に沿って底の方にずり落ちるので、図1に示したコンテナー吊り上げ装置28を省略して簡単なベルト掛け支柱122を使用することができ、装置のコストを低減することができる。
【0039】
以上には本発明の特定の実施例を記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の修正や変更を施すことができる。例えば、摺動ノズルヘッドの前進後退運動は前述した例示に限定されない。遮蔽部材72の構成、材料、幾何学形状は適宜変更することができる。ノズルユニット昇降装置の駆動源としては、電動モータを使用することができる。コンテナー吊り上げには工場の天井の既存の走行式ホイスト装置を利用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10: 荷空け装置
12: 吸引式空気輸送機
14: フレキシブルコンテナー
16: 粉体
18: 輸送先容器
24: ノズルユニット
26: ノズルユニット昇降装置(第1昇降手段)
28: コンテナー吊り上げ装置
34: ノズルユニット昇降用シリンダ
40: 垂直アーム
44: 制御装置
46: ノズル本体
48: 摺動ノズルヘッド
49: 吸引輸送管
50: 内側管
52: 外側管
54: 二次空気供給通路
68: 摺動ノズルヘッドの吸引口
72: 遮蔽部材
80: 遮蔽部材の下部開口
82: 摺動ノズルヘッド昇降装置(第2昇降手段)
94: 吊り上げ用ベルト
96: 釣り合い錘
104: 圧力センサー
特許出願人 株式会社 ワイ・エム・エス
代理人 弁理士 伊藤 宏
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナーの荷空け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を輸送するにあたりフレキシブル・コンテナーと呼ばれるバッグ型の大容量の容器が使用されている。フレキシブルコンテナーは、強靭な織布で形成された外袋を有し、外袋にはクレーンなどでフレキシブルコンテナーを吊り上げるためのベルトが縫い付けてある。外袋は通気性を有するので、外袋の内側にはポリエチレンやビニル樹脂のような非通気性・非透湿性のフィルムで形成された防水防湿用の中袋が設けてあり、粉体はこの中袋に収容される。
【0003】
フレキシブルコンテナーを荷空けして粉体を他の容器に移送するにあたっては、粉塵の発生を防止するため、吸引式空気輸送機(バキュームコンベヤ)を用いるのが望ましい。
吸引式空気輸送機を用いて人手によりフレキシブルコンテナーを荷空けする場合には、手持ち式の吸引ノズルが使用される。作業員は、吸引ノズルを吸引管を介して吸引式空気輸送機に接続し、開封したフレキシブルコンテナーの中袋に吸引ノズルの先端を差し込み、バキュームによって粉体をフレキシブルコンテナーから吸い出して移送先容器へと空気輸送する。
【0004】
吸引が進んでフレキシブルコンテナーの中身が少なくなると、合成樹脂フィルムからなる中袋が吸引ノズルに吸い付きやすくなるので、中袋の底に残った粉体を完全に吸引させるのが困難になる。吸引ノズルの先端には吸い付き防止ガードが設けてあるが、中袋がノズルに吸い付いた場合には、作業員は、吸引を停止し、中袋から吸引ノズルを引き離した上で、吸引を再開しなければならない。
【0005】
従来技術においては、フレキシブルコンテナーの荷空けを自動化する提案がなされている。
しかしながら、一旦、吸引の途中又は終期に中袋が吸引ノズルに吸い付くと、人手によらねば中袋を吸引ノズルから引き剥がすことができないので、やはり人手を必要としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フレキシブルコンテナーの荷空けを自動的に行なうことの可能な装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、フレキシブルコンテナー内の粉体の全量を自動的に吸引することの可能な荷空け装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、合成樹脂フィルムなどからなる防水防湿用の中袋が吸引ノズルに吸い付くことのない荷空け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フレキシブルコンテナーの荷空け装置を提供するもので、この装置は:吸引式空気輸送機の吸引輸送管に接続可能なノズル本体と、前記ノズル本体に対して気密かつ摺動可能に前記ノズル本体の下部に嵌合された摺動ノズルヘッドとを備え、フレキシブルコンテナー内の粉体を吸引するためのノズルユニットと; 前記ノズル本体に固定され、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの下端に設けた吸引口に吸着されるのを阻止するべく摺動ノズルヘッドの下端を囲繞する遮蔽部材であって、前記摺動ノズルヘッドの下端が出入り可能な下部開口を有するものと;前記ノズル本体を鉛直方向に昇降させるための第1の昇降手段と;前記摺動ノズルヘッドの下端を前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせるべく前記摺動ノズルヘッドをノズル本体に対して昇降させるための第2の昇降手段と;前記第1および第2の昇降手段を制御するための制御手段であって、粉体吸引時に、前記摺動ノズルヘッドの下端をして前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせながら、前記ノズル本体を漸進的に降下させる制御手段;とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
このように、本発明によれば、遮蔽部材が摺動ノズルヘッドの吸引口を囲繞しているので、フレキシブルコンテナーの中袋が吸引口に接近し吸い付くことが防止される。また、万一、中袋が吸い付いたとしても、摺動ノズルヘッドは遮蔽部材の下部開口から出入りするので、吸引口に吸い付いた中袋は摺動ノズルヘッドの退却運動に伴い吸引口から引き剥がされる。
従って、荷空けを自動化し、実質的に人手を介することなくフレキシブルコンテナー内の粉体を最後まで吸引させることができる。
【0009】
好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーの上縁に作用する吊り上げ手段を備え、吸引に伴いフレキシブルコンテナー内の残留粉体の量が減るにつれてフレキシブルコンテナーの上縁が該上縁に作用する張力の分力によって次第にすぼめられ、その結果、残留粉体がフレキシブルコンテナーの中央部に集められるようになっている。
【0010】
簡素な実施態様においては、吊り上げ手段は釣合い錘を備え、釣合い錘の重さに等しい吊り上げ力をフレキシブルコンテナーの吊り上げ用ベルトに作用させるようになっている。
このようにすれば、フレキシブルコンテナーを吊り上げるための動力が不要であり、荷空け装置を簡素化することができると共に製造コストを低減することができる。
【0011】
釣合い錘を複数の分銅で構成すれば、フレキシブルコンテナーの重さに合わせて釣合い錘の総重量を容易に調節可能にすることができる。
【0012】
好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、粉体の吸引を制御する遮断弁と、吸引式空気輸送機の吸引管内の圧力を検出する圧力センサーと、ノズルユニットの位置を検出する位置センサーとを備え;制御装置は、ノズルユニットが下限位置に近づき、かつ、吸引管内の圧力が高真空になったときに、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの吸引口に吸い付いているとみなし、粉体吸引を停止し、ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後で、吸引を再開する。
このようにすれば、ノズルヘッドに対するフレキシブルコンテナー中袋の吸い付きを確実に解消することができる。
【0013】
他の好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーを加振する振動装置を備え、制御装置は、ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず吸引管内の圧力が低真空になったときには、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホール又はブリッジが発生しているとみなし、ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーを加振する。
このようにすれば、フレキシブルコンテナー内の粉体に生じたラットホールやブリッジを崩壊させ、フレキシブルコンテナー内の粉体の全量を吸引させることができる。
【0014】
他のラットホール対策として、荷空け装置は、更に、吊り上げ手段の吊り上げ力を増加する手段を備え、制御装置は、ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず前記吸引管内の圧力が低真空になったときに、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホールが発生しているとみなし、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーの吊り上げ力を増強し、ラットホールやブリッジを崩壊させる。
【0015】
更に他の実施態様においては、ノズル本体および摺動ノズルヘッドは夫々二重管構造に形成されていて、ノズルユニットは摺動ノズルヘッドの吸引口に二次空気を供給するための制御可能な二次空気供給通路を有し、制御装置は、吸引管内の圧力が高真空になったときに、空気輸送機の吸引管が粉体で閉塞されたとみなし、粉体吸引を停止し、ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、二次空気供給通路を流れる二次空気を増量するようになっている。
この実施態様によれば、何等かの理由でノズルユニットが高濃度の粉体/空気混合物を吸い込むことにより吸引輸送管が粉体で閉塞した場合に、二次空気を増量させることにより閉塞を解消することができる。
【0016】
他の好ましい実施態様においては、荷空け装置は、更に、漏斗状のコンテナー載置台を備えている。
この実施態様によれば、粉体の吸引が進行しフレキシブルコンテナー内の粉体が少なくなるにつれてフレキシブルコンテナーは漏斗状のコンテナー載置台の凹みに沿って底の方にずり落ち、粉体は自然にフレキシブルコンテナーの中央に集まるので、荷空け装置を簡素化することができ、製造コストを低減することができる。
【0017】
他の好ましい実施態様においては、荷空け装置の遮蔽部材の外側に微多孔性材料からなる空気透過性隔膜が設け、この隔膜と遮蔽部材との間には圧縮空気が供給される空気充満室が形成されている。
この実施態様によれば、空気透過性隔膜を通じてフレキシブルコンテナー内の粉体にエアレーションを行なうことにより粉体を流動化させることができるので、やはり流動性に乏しい粉体を容易に吸引させることができる。
本発明の他の特徴や利点は以下の実施例の記載に従い明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の荷空け装置と従来型の吸引式空気輸送機とを用いてフレキシブルコンテナー内の粉体を吸引して輸送先容器へと移送するところを示す斜視図である。
【図2】図1に示した荷空け装置の側面図である。
【図3】図1および図2に示したノズルユニットの拡大側面図で、ノズル本体から摺動ノズルヘッドを取外すと共にノズルユニット支持アームから摺動ノズルヘッド昇降用シリンダを取外したところを示す分解図である。
【図4】図4(a)は図1から図3に示したノズルユニットの摺動ノズルヘッドの上昇退却位置を示し、図4(b)は下降位置を示す。
【図5】図5(a)は図3の5a−5a矢視拡大断面図、図5(b)は図3の5b−5b矢視拡大断面図である。
【図6】図1に示した荷空け装置の制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図1に示した荷空け装置の制御の割り込みルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図1に示した荷空け装置の制御の更に他の2種の割り込みルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図1に示した荷空け装置の異なる作動位置を示す模式図である。
【図10】図1に示した荷空け装置のノズルユニットの異なる作動位置を示す模式図である。
【図11】図10に示した作動位置の続きを示す模式図である。
【図12】図1から図4に示した遮蔽部材の変化形を示す側面図で、図12(c)の右部は円A内部分を拡大して示す。
【図13】図1に示した荷空け装置の変化形を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の荷空け装置10と従来型の吸引式空気輸送機12とを用いてフレキシブルコンテナー14内の粉体16を吸引し、輸送先容器18へと移送するところを示し、図2は荷空け装置10の側面図である。
図1および図2を参照するに、荷空け装置10は機台20と直立した機枠22とを有し、機枠22には、ノズルユニット24を昇降させるための昇降装置26と、フレキシブルコンテナー14を吊り上げるための吊り上げ装置28が組み込まれている。
【0020】
図示した実施例では、ノズルユニット昇降装置26は、例えば、左右一対の案内レール30に昇降可能に案内されたスライダ32と、スライダ32を昇降させるためのシリンダ(エア又は油圧式)34およびシリンダ出力軸36と、スライダ32から前方に延長した水平アーム38と、水平アーム38から垂下した垂直アーム40とで構成することができ、ノズルユニット24は例えば上下一対のクランプ部材42(図2)を用いて垂直アーム40に着脱自在に固定することができる。シリンダ34は機枠22に取付けた制御装置44によって制御されることによりノズルユニット24を昇降させる。勿論、昇降用シリンダ34に代えてリードスクリュー機構その他の昇降手段を用いてもよい。
図示しないが、レール30に沿ってスライダ32の位置を検出する複数のリミットスイッチが設けてあり、制御装置44はそれらの出力に基づいてノズルユニット24の上下位置を検出するようになっている。
【0021】
図3から図5に示したように、ノズルユニット24は縦長のノズル本体46と、このノズル本体46に摺動可能に嵌合された摺動ノズルヘッド48とで構成されている。
図5に示したように、ノズル本体46および摺動ノズルヘッド48は、夫々、二重管構造に形成されている。
ノズル本体46は、図5(a)に示したように、内側管50と外側管52からなる。内側管50は図1に示したように吸引輸送管49を介して吸引式空気輸送機12の入口管51に接続される。
内側管50と外側管52との間には二次空気供給通路54が形成されており、この二次空気供給通路54の上端は外側管52の上端に固定された二次空気継手56によって閉鎖されている。
二次空気継手56にはホース継手58が装着してあり、このホース継手58には電磁流調弁60を備えた二次空気導入管路が接続されている。流調弁60は二次空気供給通路54に導入される二次空気の流量を調節するべく制御装置44によって制御される。
【0022】
図5(b)に示したように、摺動ノズルヘッド48も、内側管62と外側管64とからなる二重管構造を有し、内側管62と外側管64との間には二次空気供給通路66が形成されている。摺動ノズルヘッド48の内側管62および外側管64の外径は、夫々、ノズル本体46の内側管50および外側管52の内径よりも僅かに小さく設定してあり、図3および図4に示したようにノズル本体46の内側に摺動ノズルヘッド48が摺動可能に嵌合されるようになっている。
ノズル本体46と摺動ノズルヘッド48とは図示しないシールリングによって互いにシールされており、図4に示したようにズル本体46の下部に摺動ノズルヘッド48を嵌合したときには、ノズル本体46の内側管50の内部通路と摺動ノズルヘッド48の内側管62の内部通路とが互いに連通すると共に、ノズル本体46の二次空気供給通路54と摺動ノズルヘッド48の二次空気供給通路66とが互いに連通するようになっている。
【0023】
図5(b)から良く分かるように、摺動ノズルヘッド48の内側管62の下端は下方に開口しており、フレキシブルコンテナー14内の粉体と二次空気供給通路66から来た二次空気との混合物を吸引するための吸引口68として作用する。摺動ノズルヘッドヘッド48の内側管62の下端には略C字形に湾曲した2本の金属棒を直角に交叉させたスペーサ兼吸い付き防止ガード70が固定してあり、内側管62と外側管64とを相互に位置決めすると共に、フレキシブルコンテナー14の中袋が吸引口68に吸い付くのを防止するようになっている。
【0024】
図1から図4に示したように、ノズル本体46の下部には、フレキシブルコンテナー14の中袋(図示省略)が摺動ノズルヘッド48の吸引口68に吸い付くのを防止するべく摺動ノズルヘッド48を囲繞する中空の遮蔽部材72が固定してある。
この実施例では、遮蔽部材72は、ステンレス鋼板などで形成された円形の穴開き天板74と、円筒形の側板76と、逆円錐截頭形の底板78(参照番号は図3のみに付してある)とで形成されている。底板78の中央には円形の下部開口80が形成してあり、図4を参照しながら後述するように摺動ノズルヘッドヘッド48の出入りを可能にするようになっている。
遮蔽部材72がフレキシブルコンテナー14内の粉体に着底したことを検出するため、遮蔽部材72には静電容量センサーや近接センサーのような粉面センサー81(図1)が取り付けてあり、その出力信号は制御装置44に送られる。
【0025】
ノズル本体46に摺動可能に嵌合された摺動ノズルヘッド48は、図3および図4に示したようにノズルユニット昇降装置26の垂直アーム40の下端にボルト止めなどにより固定され制御装置44により制御される油圧シリンダ82などからなる摺動ノズルヘッド昇降装置によってノズル本体46に対して昇降せられる。
油圧シリンダ82の出力ロッド84にはL字形のブラケット86が固定してあり、摺動ノズルヘッド48はこのブラケット86にボルトなどにより固定してある。
従って、図3に矢印88で示したように油圧シリンダ82を伸縮させることによって摺動ノズルヘッド48を昇降させると、摺動ノズルヘッドの吸引口68は図4(b)に示したように遮蔽部材72の下部開口80から下方に突き出したり、図4(a)に示したように遮蔽部材72の内側に引込んだりするであろう。
【0026】
フレキシブルコンテナー14を吊り上げるための吊り上げ装置28は、最も簡素な実施態様においては、図1および図2に示したように、左右一対のワイヤー90(図2では2点鎖線で示す)と、各ワイヤー90の一端に取付けた吊り鉤92と、各ワイヤーの他端に連結した釣り合い錘96(図2に破線で示す)とで構成することができ、吊り鉤92をフレキシブルコンテナー14の吊り上げ用ベルト94に引っ掛け、釣り合い錘96の荷重によりベルト94に張力を作用させるようにしたものである。各ワイヤー90は機枠22から前方に延長した左右一対の水平アーム98に軸支した滑車100に通してある。
ベルト94に作用する張力を調節可能にするため、釣合い錘96は分離可能な複数の分銅で構成することができる。釣合い錘96の総重量が粉体を満載したフレキシブルコンテナーの総重量よりも小さくなるように分銅を設定しておけば、後述するように吸引に伴いフレキシブルコンテナー内の残留粉体の量が減るにつれてコンテナーの上縁が次第にすぼめられ、残留粉体がフレキシブルコンテナーの中央部に集められる。
図示しないが、機枠22には釣り合い錘96の上下位置を検出する複数のリミットスイッチを設けてあり、制御装置44はそれらの出力に基づいて釣り合い錘96、ひいては、吊り鉤92の上下位置を検出するようになっている。
釣り合い錘96に代えて、バネや、油空圧シリンダや、電動モータによりフレキシブルコンテナー14を吊り上げるようにしてもよい。また、フレキシブルコンテナーが吊り上げ用ベルト94を備えていない場合には、フレキシブルコンテナーの上縁の例えば4箇所にクランプ装置を用いてワイヤー90を連結することができる。
【0027】
次に、この荷空け装置10の使用および作動の態様を説明する。
ノズルユニット24のノズル本体46の内側管50の上端は図1に示したように吸引輸送管49を介して吸引式空気輸送機12の入口管51に接続されており、ブロワー102を作動させると発生した負圧ないし真空がノズルユニット24に作用してフレキシブルコンテナー内の粉体を空気輸送機12へと吸引し、空気輸送機12内で固気分離された粉体は輸送先ホッパー18へ投下される。吸引式空気輸送機12としては、例えば特開2004-189475号に記載されたダブルダンパー構造の連続吸引式空気輸送機を用いるのが好ましい。
吸引輸送管49には圧力センサー104が設けてあり、輸送管内の圧力(負圧)を検出して圧力信号を制御装置44に送る。ブロワー102によってノズルユニット24に作用する負圧は、制御装置44によって制御される電磁遮断弁106によりオン/オフ制御することができる。
【0028】
フレキシブルコンテナーの搬入と荷空け装置10の設定は人手により行なうことができる。作業員は、制御装置44を操作してノズルユニット24のノズル本体46および摺動ノズルヘッド48を予め上限位置に持ち来した上で、粉体を収容したフレキシブルコンテナー14を載せたパレット103をフォークリフトなどを用いてノズルユニット24の下方に搬入載置する。次いで作業員が吊り上げ装置28の吊り鉤92をフレキシブルコンテナー14の吊り上げ用ベルト94に引っ掛けると、釣り合い錘96とワイヤー90の作用によりベルト94には張力がかかる。しかし、釣合い錘96の総重量はフレキシブルコンテナーの総重量よりも小さく設定してあるので、フレキシブルコンテナー14はパレット103に載ったままにとどまる。
【0029】
図6から図11を併せて参照するに、図6は制御装置44による制御のメインルーチンを示す。図9(a)に示したようにコンテナー荷空けの準備が整い、作業員が制御装置44の荷空け開始ボタンを押すと(図6のステップS101)、ノズルユニット24は遮蔽部材72の下端がフレキシブルコンテナー14内の粉面に着底するまで降下(S102)せられる(図10(a、b))。遮蔽部材72がコンテナーの粉面に着底したことが粉面センサー81の出力に基づいて検出されると、制御装置44は、遮断弁106(図1)を開くことにより吸引を開始する(図6のステップS103)。
【0030】
次いで、制御装置44は、摺動ノズルヘッド48を微速で例えば3ピッチ前進(降下)させることにより下限位置に持ち来すように摺動ノズルヘッド昇降装置82を指令する(S104)。摺動ノズルヘッド48のこの前進運動により摺動ノズルヘッド48の吸引口68は遮蔽部材72の下部開口80から頭を出して粉体中に進入しながら粉体を吸引する(図10(c))。その際、図10(c)に矢印で示したように、吸引口68にはノズルユニットの二次空気供給通路54および66から二次空気が供給され、粉体と二次空気との混合物が空気輸送機12に吸引される。
次に、制御装置44は、摺動ノズルヘッド48を例えば3ピッチ後退させることにより上限位置に戻しながら、ノズル本体46を例えば1ピッチ降下させるように、ノズルユニット昇降装置26と摺動ノズルヘッド昇降装置82を指令する(S105)。その結果として、摺動ノズルヘッドの吸引口68が遮蔽部材72の内側に引っ込んだ状態で、遮蔽部材72は1ピッチ下降して、図10(d)に示した位置に持ち来される。
ノズル本体46が下限位置に達する(S106)までステップS104およびS105を繰り返すことにより、粉体の吸引とノズル本体46の降下が繰り返される(図11(e、f))。
【0031】
吸引に伴いフレキシブルコンテナー14内の残留粉体の量が少なくなるにつれて、ベルト94からフレキシブルコンテナー14の上縁に作用する斜め上向き張力(図9(b)に矢印108で示す)の水平方向内向き分力により、フレキシブルコンテナー14の上縁は図9(b)および図11(f、g)に示したようにすぼめられるので、吸引の進行に伴って残留粉体はこれらの図に示したようにフレキシブルコンテナー14の中央部に集められる。
摺動ノズルヘッド48の進退運動およびノズル本体46の前進運動並びに粉体の吸引が更に進むにつれて、ノズルユニット24および遮蔽部材72は図9(c)に示した下限位置に近づく。
【0032】
粉体の吸引が順調に進んだ結果、制御装置44がスライダ32および釣り合い錘96の位置を検出するリミットスイッチからの信号に基づいてノズル本体46および釣り合い錘96が図9(c)に示したように下限位置に達したことを検出し(S106)、かつ、圧力センサー104からの信号に基づいて輸送管49内の負圧が例えば連続して10秒間にわたってマイナス(−)1000mm水柱より高く(つまり、大気圧に近く)なったことを検出すると(S107)、フレキシブルコンテナー14内の粉体が尽きて空気のみが吸引されているとみなし、制御装置44は吸引を終了する(S108)。
【0033】
このように、本発明によれば、遮蔽部材72が摺動ノズルヘッド48の吸引口68を囲繞しているので、フレキシブルコンテナー14の中袋が吸引口68に接近するのが防止され、従って、吸い付くことが防止される。更に、万一、中袋が吸い付いたとしても、摺動ノズルヘッド48は遮蔽部材72の下部開口80から周期的に引っ込むので、吸引口68に吸い付いた中袋は摺動ノズルヘッド48の退却運動に伴い吸引口68から引き剥がされる。
従って、荷空けを自動化し、実質的に人手を介することなくフレキシブルコンテナー内の粉体を最後まで吸引させることができる。
【0034】
吸付き防止の徹底
前述したように、摺動ノズルヘッド48の下端を囲繞する遮蔽部材72を設け、かつ、摺動ノズルヘッド48を遮蔽部材72の下部開口80に対して出入りさせるようにしたとしても、中袋の吸い付きを一層確実に解消する措置を講じておくことが望ましい。
図7のフローチャートは、万一、フレキシブルコンテナーの中袋が摺動ノズルヘッド48の吸引口68に吸い付いた場合に、吸い付きを確実に解消するための割り込みルーチンを示す。
図7を参照するに、制御装置44はスライダ32の位置を検出するリミットスイッチの出力信号に基づいてノズル本体46が下限位置にあるか否かを監視しており(S201)、この割り込みルーチンはノズル本体46が下限位置に来ない限り図6のメインルーチンの“2”に復帰する。
ノズル本体46が下限位置に来たことを検出した場合には(S201)、輸送管49内の負圧が例えば連続して10秒間にわたってマイナス(−)5000mm水柱より高真空になっていないかチェックし(S202)、−5000mm水柱より高真空になっている場合には中袋が摺動ノズルヘッド48の吸引口68に吸い付いているとみなし、吸引を停止する(S203)。
次に、制御装置44は、ノズル本体46を数ピッチ上昇させると共に摺動ノズルヘッド48を上限位置まで退却させて(S204)、遮蔽部材72の下部開口80から摺動ノズルヘッド48を引っ込ませることにより、吸引口68に吸い付いた中袋を引き剥がす。その上で、吸引を再開する(S205)。
次いで、制御装置44は、輸送管内の負圧が例えば連続して10秒間にわたって−2000mm水柱より低い(より高真空)か否かチェックし(S206)、負圧が−2000mm水柱より低い場合には中袋がなお吸引口68に吸い付いているとみなし、ステップS203からS205を繰り返す。管内圧力が−2000mm水柱以上に回復した場合には、吸い付きが解消されたとみなし、図6のメインルーチンの“2”に復帰する。
このようにすれば、フレキシブルコンテナー内の残留粉体が少なくなった吸引終期において中袋の吸い付きが確実に解消されるので、人手を介することなくフレキシブルコンテナー内の粉体の全量を吸引させることができる。
【0035】
ラットホール対策
粉体が流動性に乏しい場合には、粉体を吸引しながらノズルユニット24を下降させると、フレキシブルコンテナー内の粉体にラットホールやブリッジが形成され、上寄りに位置する粉体が落下してフレキシブルコンテナーの中央に集まって来ないという事態が起こり得る。
その対策として、制御装置44は、図8(a)のフローチャートに示した割り込みルーチンにおいて、フレキシブルコンテナー内の粉体にラットホールが発生しているか否かをチェックする(ステップS301)。これは、例えば、輸送管49内の負圧が小さくて粉体が吸引されていない(即ち、専ら空気が吸引されている)ことを示しているにも拘わらず、釣り合い錘96が下限位置又は下限位置付近にないかどうかを判定することにより行なうことができる。
ラットホールが発生していると判定された場合には、制御装置44はノズル本体46と摺動ノズルヘッド48を上限位置まで戻した後(S302)、パレット103に連結された図示しない振動装置を作動させることによりパレット103上のコンテナーを加振して(S303)、ラットホールを崩壊させる。振動装置に代えて、図示しないモーターなどにより吊り上げ用ワイヤー90の吊り上げ力を一時的に増加させることによりラットホールを崩壊させてもよい。ラットホールを崩壊させたならば、図6のフローチャートの“2”に復帰し、吸引を続行する。
【0036】
吸気管閉塞対策
何等かの理由でノズルユニット24が高濃度の粉体/空気混合物を吸い込んだ場合には、吸引輸送管49が粉体で閉塞することがある。図8(b)のフローチャートは、そのような事態に対処するための割り込みルーチンを示す。このフローチャートを参照するに、輸送管49内の負圧が例えば連続して10秒間にわたって−5000mm水柱より低く(つまり、より高真空に)なったことを検出すると(S401)、制御装置44は輸送管49が粉体で閉塞しているとみなし、遮断弁106(図1)を閉じることにより吸引を停止する(S402)。次いで、制御装置44は、ノズルが粉体を吸引しないようにノズル本体46を数ピッチ上昇させると共に摺動ノズルヘッド48を上限位置まで退却させた上で(S403)、吸引を再開すると共に二次空気流調弁60(図5)の開度を大きくして二次空気を増量し(S404)、図6のフローチャートの“2”に復帰し、吸引を続行する。このように二次空気を増量させると、粉体/空気混合比が小さくなるので、輸送管49の閉塞が解消される。
【0037】
図12は、図1から図4に示した遮蔽部材72の変化形を示す。
図12(a)および図12(b)に示した実施例では遮蔽部材72は金属板に代えて多数の金属棒を溶接することにより籠形に形成されている。従って、粉体が流動性に乏しい場合に適している。
図12(c)に示した実施例では、遮蔽部材72の側板76および底板78(図3)の外側には微多孔性の空気透過性隔膜110が設けてあり、この微多孔性隔膜110と側板76および底板78との間には閉鎖された空気充満室112が形成されている。空気充満室112には圧縮空気導入管114が連通させてあり、コンプレッサのような圧縮空気源(図示せず)から圧縮空気が供給されるようになっている。この実施例は、空気透過性隔膜110を通じてフレキシブルコンテナー14内の粉体にエアレーションを行なうことにより粉体を流動化させることができるので、やはり流動性に乏しい粉体を吸引するのに適している。
【0038】
図13は、図1に示した荷空け装置の変化形を示す。この実施例では、荷空け装置10は漏斗状のコンテナー載置台120を備え、フレキシブルコンテナー14はこの漏斗状載置台120に載置されるようになっている。
従って、図13(a)、(b)、(c)に示したように、粉体の吸引が進行しコンテナー14内の粉体が少なくなるにつれてフレキシブルコンテナー14は漏斗状のコンテナー載置台120の漏斗状内面に沿って底の方にずり落ちるので、図1に示したコンテナー吊り上げ装置28を省略して簡単なベルト掛け支柱122を使用することができ、装置のコストを低減することができる。
【0039】
以上には本発明の特定の実施例を記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の修正や変更を施すことができる。例えば、摺動ノズルヘッドの前進後退運動は前述した例示に限定されない。遮蔽部材72の構成、材料、幾何学形状は適宜変更することができる。ノズルユニット昇降装置の駆動源としては、電動モータを使用することができる。コンテナー吊り上げには工場の天井の既存の走行式ホイスト装置を利用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10: 荷空け装置
12: 吸引式空気輸送機
14: フレキシブルコンテナー
16: 粉体
18: 輸送先容器
24: ノズルユニット
26: ノズルユニット昇降装置(第1昇降手段)
28: コンテナー吊り上げ装置
34: ノズルユニット昇降用シリンダ
40: 垂直アーム
44: 制御装置
46: ノズル本体
48: 摺動ノズルヘッド
49: 吸引輸送管
50: 内側管
52: 外側管
54: 二次空気供給通路
68: 摺動ノズルヘッドの吸引口
72: 遮蔽部材
80: 遮蔽部材の下部開口
82: 摺動ノズルヘッド昇降装置(第2昇降手段)
94: 吊り上げ用ベルト
96: 釣り合い錘
104: 圧力センサー
特許出願人 株式会社 ワイ・エム・エス
代理人 弁理士 伊藤 宏
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナーの荷空け装置であって:
吸引式空気輸送機の吸引輸送管に接続可能なノズル本体と、前記ノズル本体に対して気密かつ摺動可能に前記ノズル本体の下部に嵌合された摺動ノズルヘッドとを備え、フレキシブルコンテナー内の粉体を吸引するためのノズルユニットと;
前記ノズル本体に固定され、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの下端に設けた吸引口に吸着されるのを阻止するべく摺動ノズルヘッドの下端を囲繞する遮蔽部材であって、前記摺動ノズルヘッドの下端が出入り可能な下部開口を有するものと;
前記ノズル本体を鉛直方向に昇降させるための第1の昇降手段と;
前記摺動ノズルヘッドの下端を前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせるべく前記摺動ノズルヘッドをノズル本体に対して昇降させるための第2の昇降手段と;
前記第1および第2の昇降手段を制御するための制御手段であって、粉体吸引時に、前記摺動ノズルヘッドの下端をして前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせながら、前記ノズル本体を漸進的に降下させる制御手段;
とを備えていることを特徴とするフレキシブルコンテナーの荷空け装置。
【請求項2】
前記荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーの上縁に作用する吊り上げ手段を備え、フレキシブルコンテナー内の残留粉体の量が減るにつれてフレキシブルコンテナーの上縁が次第にすぼめられ、もって、残留粉体がフレキシブルコンテナーの中央部に集められるようになっていることを特徴とする請求項1に基づく荷空け装置。
【請求項3】
前記吊り上げ手段はフレキシブルコンテナーの吊り上げ用ベルトに作用することを特徴とする請求項2に基づく荷空け装置。
【請求項4】
前記吊り上げ手段は釣合い錘を備え、釣合い錘の重さに等しい吊り上げ力をフレキシブルコンテナーに作用させるようになっていることを特徴とする請求項2又は3に基づく荷空け装置。
【請求項5】
前記釣合い錘は複数の分銅からなり、重さ調節可能であることを特徴とする請求項4に基づく荷空け装置。
【請求項6】
前記荷空け装置は、更に、粉体の吸引を制御する遮断弁と、前記吸引式空気輸送機の吸引管内の圧力を検出する圧力センサーと、前記ノズルユニットの位置を検出する位置センサーとを備え、
前記制御装置は、前記ノズルユニットが下限位置に近づき、かつ、前記吸引管内の圧力が高真空になったときに、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの吸引口に吸い付いているとみなし、粉体吸引を停止し、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、吸引を再開することを特徴とする請求項1から5のいずれかに基づく荷空け装置。
【請求項7】
前記荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーを加振する振動装置を備え、
前記制御装置は、前記ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず前記吸引管内の圧力が低真空になったときに、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホールが発生しているとみなし、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーを加振することを特徴とする請求項6に基づく荷空け装置。
【請求項8】
前記荷空け装置は、更に、前記吊り上げ手段の吊り上げ力を増強する手段を備え、
前記制御装置は、前記ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず前記吸引管内の圧力が低真空になったときに、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホールが発生しているとみなし、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーの吊り上げ力を増すことを特徴とする請求項6に基づく荷空け装置。
【請求項9】
前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドは夫々二重管構造に形成されていて、前記ノズルユニットは摺動ノズルヘッドの吸引口に二次空気を供給するための制御可能な二次空気供給通路を有し、
前記制御装置は、前記吸引管内の圧力が高真空になったときに、空気輸送機の前記吸引管が粉体で閉塞されたとみなし、粉体吸引を停止し、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、二次空気供給通路を流れる二次空気を増量することを特徴とする請求項6から8のいずれかに基づく荷空け装置。
【請求項10】
前記荷空け装置は、更に、漏斗状のコンテナー載置台を備え、粉体の吸引に伴いフレキシブルコンテナー内の粉体が少なくなるにつれてフレキシブルコンテナーがコンテナー載置台の漏斗状凹みに沿って底の方にずり落ち、粉体がフレキシブルコンテナーの中央に集まるようになっていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに基づく荷空け装置。
【請求項11】
前記荷空け装置の遮蔽部材の外側に微多孔性材料からなる空気透過性隔膜を設け、この隔膜と遮蔽部材との間の空気充満室に圧縮空気を供給することによりフレキシブルコンテナー内の粉体を流動化ようにしたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに基づく荷空け装置。
【請求項1】
フレキシブルコンテナーの荷空け装置であって:
吸引式空気輸送機の吸引輸送管に接続可能なノズル本体と、前記ノズル本体に対して気密かつ摺動可能に前記ノズル本体の下部に嵌合された摺動ノズルヘッドとを備え、フレキシブルコンテナー内の粉体を吸引するためのノズルユニットと;
前記ノズル本体に固定され、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの下端に設けた吸引口に吸着されるのを阻止するべく摺動ノズルヘッドの下端を囲繞する遮蔽部材であって、前記摺動ノズルヘッドの下端が出入り可能な下部開口を有するものと;
前記ノズル本体を鉛直方向に昇降させるための第1の昇降手段と;
前記摺動ノズルヘッドの下端を前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせるべく前記摺動ノズルヘッドをノズル本体に対して昇降させるための第2の昇降手段と;
前記第1および第2の昇降手段を制御するための制御手段であって、粉体吸引時に、前記摺動ノズルヘッドの下端をして前記遮蔽部材の下部開口から出入りさせながら、前記ノズル本体を漸進的に降下させる制御手段;
とを備えていることを特徴とするフレキシブルコンテナーの荷空け装置。
【請求項2】
前記荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーの上縁に作用する吊り上げ手段を備え、フレキシブルコンテナー内の残留粉体の量が減るにつれてフレキシブルコンテナーの上縁が次第にすぼめられ、もって、残留粉体がフレキシブルコンテナーの中央部に集められるようになっていることを特徴とする請求項1に基づく荷空け装置。
【請求項3】
前記吊り上げ手段はフレキシブルコンテナーの吊り上げ用ベルトに作用することを特徴とする請求項2に基づく荷空け装置。
【請求項4】
前記吊り上げ手段は釣合い錘を備え、釣合い錘の重さに等しい吊り上げ力をフレキシブルコンテナーに作用させるようになっていることを特徴とする請求項2又は3に基づく荷空け装置。
【請求項5】
前記釣合い錘は複数の分銅からなり、重さ調節可能であることを特徴とする請求項4に基づく荷空け装置。
【請求項6】
前記荷空け装置は、更に、粉体の吸引を制御する遮断弁と、前記吸引式空気輸送機の吸引管内の圧力を検出する圧力センサーと、前記ノズルユニットの位置を検出する位置センサーとを備え、
前記制御装置は、前記ノズルユニットが下限位置に近づき、かつ、前記吸引管内の圧力が高真空になったときに、フレキシブルコンテナーの中袋が前記摺動ノズルヘッドの吸引口に吸い付いているとみなし、粉体吸引を停止し、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、吸引を再開することを特徴とする請求項1から5のいずれかに基づく荷空け装置。
【請求項7】
前記荷空け装置は、更に、フレキシブルコンテナーを加振する振動装置を備え、
前記制御装置は、前記ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず前記吸引管内の圧力が低真空になったときに、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホールが発生しているとみなし、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーを加振することを特徴とする請求項6に基づく荷空け装置。
【請求項8】
前記荷空け装置は、更に、前記吊り上げ手段の吊り上げ力を増強する手段を備え、
前記制御装置は、前記ノズルユニットが下がり切っていないにも拘わらず前記吸引管内の圧力が低真空になったときに、フレキシブルコンテナー内の粉体内にラットホールが発生しているとみなし、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、フレキシブルコンテナーの吊り上げ力を増すことを特徴とする請求項6に基づく荷空け装置。
【請求項9】
前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドは夫々二重管構造に形成されていて、前記ノズルユニットは摺動ノズルヘッドの吸引口に二次空気を供給するための制御可能な二次空気供給通路を有し、
前記制御装置は、前記吸引管内の圧力が高真空になったときに、空気輸送機の前記吸引管が粉体で閉塞されたとみなし、粉体吸引を停止し、前記ノズル本体および摺動ノズルヘッドを上昇させた後、二次空気供給通路を流れる二次空気を増量することを特徴とする請求項6から8のいずれかに基づく荷空け装置。
【請求項10】
前記荷空け装置は、更に、漏斗状のコンテナー載置台を備え、粉体の吸引に伴いフレキシブルコンテナー内の粉体が少なくなるにつれてフレキシブルコンテナーがコンテナー載置台の漏斗状凹みに沿って底の方にずり落ち、粉体がフレキシブルコンテナーの中央に集まるようになっていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに基づく荷空け装置。
【請求項11】
前記荷空け装置の遮蔽部材の外側に微多孔性材料からなる空気透過性隔膜を設け、この隔膜と遮蔽部材との間の空気充満室に圧縮空気を供給することによりフレキシブルコンテナー内の粉体を流動化ようにしたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに基づく荷空け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−188220(P2012−188220A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52862(P2011−52862)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(598040639)株式会社 ワイ・エム・エス (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(598040639)株式会社 ワイ・エム・エス (7)
【Fターム(参考)】
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