フレキシブルディスクドライブ
【課題】 部品点数および組立て工数を増やすことなく下側磁気ヘッドを保護すること。
【解決手段】 フレキシブルディスク(40)の挿入に伴ってシャッタ(43)の角部(43b)に係合するディスクシャッタアーム(26A)を持ち、回動することによりシャッタを開く方向に駆動するシャッタ駆動機構は、フレキシブルディスクを保持するディスクホルダ(22A)上に回動自在に取り付けられている。ディスクシャッタアームの先端近傍にアームと一体に形成された樹脂製のストッパ(262A−3)は、フレキシブルディスクの挿入・排出時に下側磁気ヘッド(14b)との衝突を回避するように、フレキシブルディスクをその裏面から支える。ストッパ(262A−3)は、その先端に上方へ突出した突起部(262A−3a)を持ち、フレキシブルディスク(40)を線接触で支える。
【解決手段】 フレキシブルディスク(40)の挿入に伴ってシャッタ(43)の角部(43b)に係合するディスクシャッタアーム(26A)を持ち、回動することによりシャッタを開く方向に駆動するシャッタ駆動機構は、フレキシブルディスクを保持するディスクホルダ(22A)上に回動自在に取り付けられている。ディスクシャッタアームの先端近傍にアームと一体に形成された樹脂製のストッパ(262A−3)は、フレキシブルディスクの挿入・排出時に下側磁気ヘッド(14b)との衝突を回避するように、フレキシブルディスクをその裏面から支える。ストッパ(262A−3)は、その先端に上方へ突出した突起部(262A−3a)を持ち、フレキシブルディスク(40)を線接触で支える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルディスクへの情報の記録、及び情報の読み取りに用いられる薄型のフレキシブルディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、フレキシブルディスクドライブ(以下、「FDD」とも略称する)は、それに挿入されたフレキシブルディスク(以下、「FD」とも略称する)の円板状磁気記録媒体に対してデータの記録再生を行うための装置である。そして、このようなフレキシブルディスクドライブは、ラップトップ・パーソナルコンピュータやノート型パーソナルコンピュータ等の携帯型電子機器に搭載される。
【0003】
この種のフレキシブルディスクドライブは、フレキシブルディスクの磁気記録媒体に対してデータの読出し/書込みを行う磁気ヘッドと、この磁気ヘッドをフレキシブルディスクに対して所定の半径方向に沿って移動可能に先端で支持するキャリッジアセンブリと、このキャリッジアセンブリを上記所定の半径方向に沿って移動させるステッピングモータと、フレキシブルディスクを保持しつつ磁気記録媒体を回転駆動するダイレクトドライブ(DD)モータとを有している。尚、DDモータとしては、一般にスピンドルモータが使用される。
【0004】
近年、上記携帯型電子機器の薄型化に伴って、それに内蔵或いは搭載されるフレキシブルディスクドライブの薄型化も進められている。このフレキシブルディスクドライブに対する薄型化と共に、さらに、奥行き方向の寸法に対しても縮小化することが望まれている。このようなフレキシブルディスクドライブに薄型化及び小型化(縮小化)を達成するためには、フレキシブルディスクドライブを構成する部品に対して種々の規制(制約)が課せられることになる。換言すれば、省スペース(薄型化)で拘束が多くなるので、設計的マージンが少なくなる方向(傾向)にある。
【0005】
薄型フレキシブルディスクドライブにおいては、一般に、イジェクトシャッタアームとイジェクトレバーとを別部品として構成しているが、イジェクトレバーの誤動作を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下、図1乃至図3を参照して、特許文献1に開示されている先行技術における薄型フレキシブルディスクドライブについて説明する。図示の薄型フレキシブルディスクドライブは、後述する3.5インチ型フレキシブルディスクを駆動するための3.5インチ型フレキシブルディスクドライブである。図1はフレキシブルディスクが挿入されていない状態を示す平面図である。図2はフレキシブルディスクが挿入途中の状態を示す平面図である。図3はフレキシブルディスクが完全に収容された状態を示す平面図である。なお、図1乃至図3のいずれも、図示しない上カバーを取り外した状態を示している。
【0007】
フレキシブルディスク40は、図1乃至図3の矢印Aに示す方向からフレキシブルディスクドライブ中に挿入される。挿入されたフレキシブルディスク40は、ディスクテーブル11上に、その回転軸11aとフレキシブルディスク40の中心軸とが一致した状態で保持される。ディスクテーブル11は、メインフレーム13に取付けられたモータフレーム(図示せず)の表面上で回転自在に支持されている。従って、ディスクテーブル11の回転軸11aの軸方向(紙面と垂直な方向)は、メインフレーム13の厚み方向と平行に成っている。
【0008】
さらに、ディスクテーブル11は、モータフレーム上に設けられたスピンドルモータ35によって回転駆動され、これによってフレキシブルディスク40の磁気記録媒体が回転する。また、メインフレーム13およびモータフレームの表面には、多数の電子部品が搭載されたメイン基板30が取り付けられている。
【0009】
フレキシブルディスクドライブは、フレキシブルディスク40内の磁気記録媒体に対してデータの読出し/書込みを行うための上下一対の磁気ヘッド14(上側磁気ヘッドのみを図示する)を備えている。磁気ヘッド14は、フレキシブルディスクドライブの背面側に設けられたキャリッジアセンブリ15にその先端で支持されている。すなわち、キャリッジアセンブリ15は、上側磁気ヘッド14を支持する上側キャリッジと、下側磁気ヘッドを支持する下側キャリッジとを有する。キャリッジアセンブリ15は、メインフレーム13の表面上で後述するようにメインフレーム13から離隔して配置されており、磁気ヘッド14をその先端でフレキシブルディスクに対して所定の半径方向(図1乃至図3の矢印Bで示す方向)に沿って移動可能に支持している。
【0010】
また、メインフレーム13の後壁131には、ステッピングモータ16が固定されている。ステッピングモータ16はキャリッジアセンブリ15を所定の半径方向Bに沿ってリニアに駆動する。詳細に説明すると、ステッピングモータ16は所定の半径方向Bと平行に延在する回転軸(駆動軸)161を有し、この回転軸161には雄ネジが切られている。回転軸161の先端は、メインフレーム13の表面に取付けられた台座部132に空けられた穴を貫通している。とにかく、ステッピングモータ16の回転軸161は所定の半径方向Bと平行に延在するように規制され、かつその先端は回転可能に保持される。
【0011】
一方、キャリッジアセンブリ15は、下側キャリッジから回転軸161まで延在したアーム151を有している。このアーム151の先端は、回転軸161の雄ネジの谷の部分に係合する。従って、ステッピングモータ16の回転軸161が回転すると、このアーム151の先端が回転軸161の雄ネジの谷部分に沿って動かされ、これによってキャリッジアセンブリ15自体が所定の半径方向Bに沿って移動する。とにかく、ステッピングモータ16はキャリッジアセンブリ15を所定の半径方向Bに沿ってリニアに移動させるための駆動手段として働く。
【0012】
ステッピングモータ16の回転軸161はキャリッジアセンブリ15の一方の側に設けられているので、キャリッジアセンブリ15の一方の側は、この回転軸161によってメインフレーム113から離隔した状態で、移動可能に支持される。
【0013】
しかしながら、この回転軸161による支持だけでは、キャリッジアセンブリ15全体をメインフレ−ム13の表面から離隔して配置することはできない。そのため、ガイドバー(図示せず)によって、キャリッジアセンブリ15の他方の側でキャリッジアセンブリ15を支持しながら案内する。すなわち、ガイドバーはキャリッジアセンブリ15を間に挟んで、ステッピングモータ16の回転軸161とは逆側に設けられている。ガイドバーは、所定の半径方向Bに対して平行に延在し、メインフレーム13の表面上で一端および他端が固定され、キャリッジアセンブリ15を所定の半径方向Bに沿って案内する。これによって、キャリッジアセンブリ15全体がメインフレーム13の表面から離隔して配置される。
【0014】
なお、キャリッジアセンブリ15からこのガイドバー側へフレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)(図示せず)が延在しており、このFPCはメインフレーム13の表面上に取り付けられた基板30に電気的に接続される。
【0015】
キャリッジアセンブリ15の下側キャリッジは、キャリッジアセンブリ15をガイドバーに沿って摺動可能に支持する支持枠としても働く。下側キャリッジはガイドバー側へ突出した突出部(図示せず)を有し、この突出部中にガイドバーが摺動可能に嵌入されている。
【0016】
さらに、フレキシブルディスククドライブは、イジェクトプレート21とディスクホルダ22とを有する。メインフレーム13、イジェクトプレート21、及びディスクホルダ22は、金属板に打抜き加工、プレス加工、曲げ加工等を施すことにより形成される。イジェクトプレート21は、フレキシブルディスク40の挿入方向Aおよびその逆方向(すなわち、前後方向)に沿って摺動自在なように、メインフレーム13上に備えられている。
【0017】
図4を参照して、ディスクホルダ22について説明する。ディスクホルダ22は、イジェクトプレート21の下に配置されている。ディスクホルダ22は、主表面220と、この主表面220の両側端で互いに対向した一対の側板221とを有する。両側板221の各々には、一対のピン222および223が設けられている。このピン222および223は、イジェクトプレート21の側板(図示せず)に形成された案内溝(図示せず)内に挿通される。
【0018】
また、ディスクホルダ22は、その挿入方向Aの奥側中央部に、かつキャリッジアンセンブリ15の上側キャリッジと対応する位置に、所定の半径方向Bに延在した略矩形状の開口部224が設けられている。この開口部224を囲むように、その周囲にディスクホルダ22の主表面220から上方に盛り上がった、略U字形状の盛り上がり縁225が形成されている。
【0019】
一方、キャリッジアンセンブリ15は、側方に延びる一対の側方アーム153(図1乃至図3参照)を備え、この側方アーム153は盛り上がり縁225の上に位置する。後述するように、フレキシブルディスク40がディスクホルダ22からイジェクトされた状態では、この側方アーム153が盛り上がり縁225と係合し、これによって上下一対の磁気ヘッド14が互いに離される。さらに、ディスクホルダ22は、その挿入方向Aの奥側で開口部224から右よりに、後述するディスクシャッタアーム26のレバー部の回動を許すような形状の開口部226も有している。
【0020】
図1乃至図3に示されるように、メインフレーム13の上面は、サブフレーム23で覆われている。サブフレーム23はイジェクトベースとも呼ばれる。このサブフレーム23はその四隅でネジ231によってメインフレーム13に固定されている。このサブフレーム23とイジェクトプレート21との間には、イジェクトバネ24が架設されている。メインフレーム13上には、ヘッドアセンブリ15の近傍に、イジェクトレバー25が回動自在に設けられている。
【0021】
図5にイジェクトレバー25の構造を示す。図5において、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。メインフレーム13には、その表面上の右側前方の所定箇所から上方に延びるロッド状ピン(図示せず)が立設している。イジェクトレバー25は、ロッド状ピンが嵌め込まれる筒状部250と、この筒状部250から径方向に延在するアーム部(レバー部)251と、このアーム部251に設けた上方に延在する突起部252と、アーム部251の自由端側から周方向に延びる円弧状の係止部253とを有している。イジェクトレバー25には、筒状部250の周りにイジェクトレバーバネ(図示せず)が装着され、このイジェクトレバーバネは、イジェクトレバー25を図面上、反時計回りに付勢している。
【0022】
イジェクトレバー25の突起部252は、後述するフレキシブルディスク40の前縁と係合して、イジェクトプレート121の前後方向の摺動動作を制御する。
【0023】
イジェクトレバー25は、更に、アーム部251と平行にスピンドルモータの側へ延在する舌部254を有する。舌部254の先端部254aは盛り上がっている。この先端部254aは、フレキシブルディスク40が本フレキシブルディスクドライブに挿入される際に、ディスクカートリッジ40が下側磁気ヘッドに衝突するのを回避するためのものである。
【0024】
また、イジェクトレバー25の突起部252は、さらに上方に突出した突起252aを持ち、これは、後述するディスクシャッタアーム26のフック部261aと係合する。
【0025】
イジェクトレバー25は、さらに、ストッパ部255を有する。このストッパ部255は、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ内に完全に収容されたときに、後述するディスクシャッタアーム26と係合して、ディスクシャッタアーム26が初期位置に復帰するのを防止するためものである。
【0026】
図4に戻って、ディスクホルダ22の右上角部には、ディスクシャッタアーム26がアームピン260の回りに回動自在に取付けられている。ディスクシャッタアーム26は、右上角部から径方向に延在するアーム部(レバー部)261と、このアーム部261の先端部に設けた下方に延在するアームブッシュ262とを有している。
【0027】
アーム部261は、上記イジェクトレバー25の突起252aと係合するフック部261aを持つ。図4に示されるように、アームブッシュ262は、ディスクホルダ22の開口部226に遊嵌されている。また、このアームブッシュ262の先端部262aは、後述するフレキシブルディスク40のシャッタの右側上端縁と係合して、シャッタの開閉を制御する。アームブッシュ262は、さらに、突出部262bを持ち、この突出部262bは、フレキシブルディスク40がディスクドライブ中に完全に収容されたときに、前述したイジェクトレバー25のストッパ部255と係合する。
【0028】
図4に示されるように、ディスクシャッタアーム26は、シャッタアームバネ263によって反時計回りに付勢されている。すなわち、シャッタアームバネ263は、ディスクシャッタアーム26のアーム部261とディスクホルダ22との間に架設されている。ディスクホルダ22の盛り上がり縁225には、フレキシブルディスク40が挿入されるときに上側磁気ヘッド14に当らないように上側磁気ヘッド14を保護するために上側磁気ヘッドガード32が取付けられている。
【0029】
また、ディスクホルダ22の主表面220の右側には、逆方向挿入防止用バネ34が取付けられている。ディスクホルダ22とディスクシャッタアーム26とアームピン260と上側磁気ヘッドガード32と逆方向挿入防止用バネ34とディスクシャッタアーム26との組合せは、ディスクホルダアセンブリを構成する。
【0030】
図1乃至図3に戻って、メインフレーム13の前端部には、フロントパネル27が取り付けられている。フロントパネル27は、フレキシブルディスク40を出し入れする開口(図示せず)と、この開口を開閉する扉(図示せず)とを備えている。このフロントパネル27には、イジェクトボタン28が前後方向移動可能に突設されている。イジェクトボタン28は、イジェクトプレート21の前端で前方に突き出ている突起部(図示せず)に嵌め込まれている。
【0031】
図6を参照して、図1乃至図3に示されたフレキシブルディスクドライブ(FDD)によって駆動されるフレキシブルディスク(FD)40について説明する。図示のフレキシブルディスク40は、円板状の磁気記録媒体41と、この磁気記録媒体41を覆うシェル42と、矢印C方向に摺動可能なシャッタ43とを有する。
【0032】
シャッタ43にはシャッタ窓43aが空けられている。シャッタ43は矢印C方向とは逆方向に図示しないバネ部材によって付勢されている。シェル42は、上記フレキシブルディスクドライブの磁気ヘッド14での磁気記録媒体41のアクセスを可能とする開口部42aを有する。この開口部42aは、フレキシブルディスク40がフレキシブルディスクドライブ内に挿入されていない状態では、図6に示すように、シャッタ43で覆われている。フレキシブルディスク40がフレキシブルディスクドライブ内に挿入されるとき、シャッタ43の右側縁上端43bにディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の先端部262aが係合して、シャッタ43を矢印C方向へ摺動する。
【0033】
シェル42は、右上角部に、逆方向(表裏及び挿入方向を逆にして挿入)防止用の面取り部42bが形成されている。また、シェル42には、その挿入方向A後端の左側角部に書込み保護用穴44が穿設されている。
【0034】
この技術分野で周知のように、フレキシブルディスクドライブによって駆動されるフレキシブルディスク40において、磁気ヘッド14でアクセスされる磁気記録媒体41の表面上には、データを記録するための通路としての複数本のトラック(図示せず)が半径方向に沿って同心円状に形成されている。フレキシブルディスク40のトラック本数は片面80本であり、最外周トラック(最端トラック)TR00から最内周トラックTR79まである。
【0035】
上述した構成によれば、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されていないときに、イジェクトレバー25の回動動作を規制するように、図1に示されるように、ディスクシャッタアーム26のフック部261aは、イジェクトレバー25の突起252aと係合している。これにより、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入されない限り、イジェクトレバー25が所定の回転角度以上回動しないようにすることができる。換言すれば、薄型フレキシブルディスクドライブに衝撃が加わっても、イジェクトレバー25の誤動作を防止することができる。
【0036】
次に、図1乃至図6を参照して、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入するときの動作と、薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入されているフレキシブルディスク40をイジェクトするときの動作について説明する。最初に、フレキシブルディスク40を挿入するときの動作について説明し、後でフレキシブルディスク40をイジェクトするときの動作について説明する。
【0037】
フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入する前では、イジェクトレバー25およびディスクシャッタアーム26は図1に示した状態の位置にある。すなわち、イジェクトレバー25の突起252aがディスクシャッタアーム26のフック部261aに係合している。この状態では、イジェクトプレート21のストッパ部(図示せず)がイジェクトレバー25の係止部253と係合している。
【0038】
また、この状態では、ディスクホルダ22のピン222及び223が、イジェクトプレート21の案内溝(図示せず)内の上側にあり、ディスクホルダ22は上昇した位置にある。この位置は、フレキシブルディスク40を受け入れ可能な位置である。さらに、この状態では、キャリッジアセンブリ15の側方アーム153がディスクホルダ22の盛り上がり縁225に係合しており、上側磁気ヘッド14は下側磁気ヘッドから離された上方の位置にある。
【0039】
この状態において、ユーザがフレキシブルディスク40を持って、その前縁をフロントパネル27の扉に当てながら、正常な状態で挿入方向Aに沿って、図2に示されるように、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入していく。すると、図2に示されるように、フレキシブルディスク40のシャッタ43の右側上端縁43bがディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の先端部262aと係合する。この時点(地点)から、ディスクシャッタアーム26に装着されたシャッタアームバネ263の付勢力に抗して、さらにフレキシブルディスク40を押し進めると、イジェクトシャッタアーム26のアームブッシュ262は、開口部226内を、図4の矢印Dで示す時計回りに回動する。これに伴って、フレキシブルディスク40のシャッタ43は、バネ部材の付勢力に抗して摺動する。したがって、シャッタ43により開口部42aを徐々に開けようとする。
【0040】
そして、イジェクトシャッタアーム26によりフレキシブルディスク40のシャッタ43が十分に開いて、ほぼフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に完全に収容する直前に、フレキシブルディスク40の前縁がイジェクトレバー25の突起部252と係合する。このときには、ディスクシャッタアーム26のフック部261aによるイジェクトレバー25の突起252aに対する係合が解かれているので、イジェクトレバー25は時計回りに回動可能な状態となっている。
【0041】
さらにフレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ中へ押し進めると、イジェクトレバー25がそれに装着されたイジェクトレバーバネに抗して、時計回りに回動し、イジェクトレバー25の係止部253とイジェクトプレート21のストッパ部との係合が解かれる。これにより、イジェクトプレート21が前方(挿入方向Aと逆方向)へ少しだけ摺動する。これは、イジェクトプレート21がイジェクトバネ24によって前方向へ付勢されているからである。
【0042】
一方、イジェクトプレート21が前方へ摺動することにより、ディスクホルダ22が下降する。これは、ディスクホルダ22の側壁221に形成されたピン222および223がイジェクトプレート21の側壁に形成された案内溝内に挿通しているからである。
【0043】
これにより、キャリッジアセンブリ15の側方アーム153とディスクホルダ22の盛り上がり縁225との係合が解かれ、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジも下方へ落ちる。その結果、フレキシブルディスク40の磁気記録媒体41は、キャリッジアセンブリ15の先端部に設けられた上下一対の磁気ヘッド14で挟持される。またこのとき、イジェクトレバー25のストッパ部255にディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の突出部262bが係合するので、ディスクシャッタアーム26が元の位置に復帰するのが阻止される。尚、イジェクトプレート21が前方へ少しだけ摺動するので、イジェクトボタン28もフロントパネル27から前方へ少しだけ突出する。この状態が図3に示されている。
【0044】
この後は、周知の方法により、磁気ヘッド14によってフレキシブルディスク40内の磁気記録媒体41に対してデータの読み/書きを行うことができる。
【0045】
次に、ディスクホルダ22内に収容されているフレキシブルディスク40をイジェクトする場合の動作について説明する。この場合、ユーザはイジェクトボタン28を挿入方向Aに後方へ押し込む。これにより、イジェクトプレート21はメインフレーム13上を挿入方向Aに後方へ摺動してく。これとともに、ディスクホルダ22のピン222および223がイジェクトプレート21の案内溝に沿って移動することにより、ディスクホルダ22が上昇する。これにより、キャリッジアセンブリ15の一対の側方アーム153とディスクホルダ22の盛り上がり部225とが係合し、ヘッドアセンブリ15の先端部に支持された上下一対の磁気ヘッド14がフレキシブルディスク40内の磁気記録媒体41から離れる。イジェクトボタン28を挿入方向Aに更に後方へ押し込むと、ディスクホルダ22は所定の規定された上方位置に置かれると共に、イジェクトレバーバネの付勢力によって、イジェクトレバー25が、反時計回りに回動する。
【0046】
と同時に、イジェクトレバー25のストッパ部255とディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の突出部262bとの係合が解かれる。ディスクシャッタアーム26は、シャッタアームバネ263の付勢力によって、図4の矢印Dと逆方向に反時計回りに回動する。これにより、ディスクホルダ22内に収容されているフレキシブルディスク40が挿入方向Aと逆方向へ押し出され、フレキシブルディス40は、薄型フレキシブルディスクドライブからイジェクトされる。この状態では、イジェクトレバー25の係止部253がイジェクトプレート21のストッパ部と係合するので、イジェクトプレート21がフロントパネル27側へ移動するのを阻止している。
【0047】
上述したように、従来のフレキシブルディスクドライブでは、フレキシブルディスク40の挿入・排出時に、フレキシブルディスク40が下側磁気ヘッドと衝突するのを回避するために、それ専用の部品(イジェクトレバー25に設けられた先端部254a)を設けて、下側磁気ヘッドを保護(すなわち、下側磁気ヘッドが引っ掛かったり破損するのを防止)している。尚、このような下側磁気ヘッドを保護する手段は上側磁気ヘッドガードと呼ばれる。
【0048】
また、奥行き方向の寸法縮小化を実現したフレキシブルディスクドライブも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に開示されているフレキシブルディスクドライブに於いては、ステッピングモータと送りネジとの組立て体を、フレキシブルディスクの挿入口とは反対側のメインフレームの奥部であって該メインフレームの左右の側縁の一方に隣接させて配置する。送りネジはメインフレームの左右の側縁の一方に平行に延在している。キャリッジアセンブリはメインフレームの主面に平行であって、送りネジに対して直角方向に延在している。
【0049】
一方、フレキシブルディスクのシャッタに対してアームが確実に係合するようにしてシャッタの開閉動作を確実に行うことができるようにした「磁気ディスクのシャッタ駆動機構」も知られている(例えば、特許文献3参照)。また、フレキシブルディスクドライブの底面に設けたロアヘッドカードを単一の板バネにより形成して、部品テンスを削減し、コスト削減と装置の薄型化を図った「磁気ヘッドの保護装置」が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0050】
さらに、フレキシブルディスクドライブの挿入口を下方へ傾斜させてイジェクト操作した場合などに、フレキシブルディスクが急激に排出させれてスライドシャッタが磁気ヘッドに衝突し、磁気ヘッドに損傷を与える事故を防止するようにしたフレキシブルディスクドライブも知られている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5に開示されたフレキシブルディスクドライブでは、シャッタ開閉レバーの先端部にフックを設けている。このフックは、フレキシブルディスクのスライドシャッタの溝部内に挿入されるように形成されている。フレキシブルディスクをイジェクトする際は、シャッタ開閉レバーが所定の位置に戻るまでフックがスライドシャッタに係合しており、フレキシブルディスクは、シャッタ開閉レバーから離反しない。従って、シャッタ開閉レバーの戻る速度より早くフレキシブルディスクが排出方向へ移動することがなく、磁気ヘッドの近傍でスライドシャッタが閉じてシャッタ窓の縁部が磁気ヘッドに側方から衝突することが防止できる。
【0051】
【特許文献1】特開2001−216704号公報
【特許文献2】特開平8−203221号公報
【特許文献3】実用新案第2598686号公報
【特許文献4】実開平6−38055号公報
【特許文献5】実開平5−55344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0052】
上述したように、先行技術における薄型フレキシブルディスクドライブでは、下側磁気ヘッドを保護するために専用の上側磁気ヘッドガード(ロアヘッドガード)が必要である。その為、部品点数が増えると共に、組立て工数も増えるという問題がある。尚、特許文献5では、フレキシブルディスクを排出するときに磁気ヘッドを保護するものであって、フレキシブルディスクを挿入する際に磁気ヘッドを保護することについては何ら開示していない。
【0053】
それ故に、本発明の技術的課題は、部品点数を増やすことなく下側磁気ヘッドを保護することができる、フレキシブルディスクドライブを提供することにある。
【0054】
本発明の他の技術的課題は、組立て工数を増やすことなく下側磁気ヘッドを保護することができる、フレキシブルディスクドライブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0055】
本発明によれば、上側磁気ヘッド(14a)及び下側磁気ヘッド(14b)と対向する部分にスライド可能なシャッタ(43)を備えたフレキシブルディスク(40)が挿入されるフレキシブルディスクドライブであって、前記フレキシブルディスクの挿入に伴って前記シャッタの角部(43b)に係合するアーム(26A)を持ち、回動することにより前記シャッタを開く方向に駆動するシャッタ駆動機構を備えたフレキシブルディスクドライブにおいて、前記シャッタ駆動機構は前記フレキシブルディスクを保持するディスクホルダ(22A)上に回動自在に取り付けられており、前記アームの先端近傍に前記アームと一体に形成されたストッパ(262A−3)であって、前記フレキシブルディスクの挿入・排出時に前記下側磁気ヘッド(14b)との衝突を回避するように、前記フレキシブルディスクをその裏面から支える前記ストッパを備えたことを特徴とするフレキシブルディスクドライブが得られる。
【0056】
上記フレキシブルディスクドライブにおいて、前記ストッパ(262A−3)が樹脂製であることが好ましい。また、前記ストッパ(262A−3)は、その先端に上方へ突出した突起部(262A−3a)を持ち、前記フレキシブルディスク(40)を線接触で支えることが望ましい。さらに、前記アーム(26A)は、前記フレキシブルディスクを前記フレキシブルディスクドライブからイジェクトするためのイジェクトレバーとしても働くものであって良い。
【0057】
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0058】
本発明では、シャッタ駆動機構のアームの先端近傍にストッパを一体に形成し、このストッパによってフレキシブルディスクをその裏面から支えることにより、フレキシブルディスクの挿入・排出時に下側磁気ヘッドとの衝突を回避しているので、従来のような専用のヘッド保護構造部品を設ける必要がない。これにより、部品点数を削減できると共に、組立て工数も削減できる。また、ストッパを樹脂製とすることにより、フレキシブルディスクのシャッタに対して摺動しても、シャッタに傷をつけることがない。さらに、ストッパの先端に上方へ突出した突起部を設けることにより、フレキシブルディスクを面接触ではなく線接触で支えることができる。それにより、フレキシブルディスクとストッパとの間の負荷(摩擦)を小さくして、フレキシブルディスクをスムーズに動かすことが可能となる。また、アームをイジェクトレバーとしても動作させることにより、更に部品点数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0060】
図7は本発明の実施の形態による薄型フレキシブルディスクドライブのメインフレーム13Aを示す。図示のメインフレーム13Aは、図1乃至図3に示した従来の薄型フレキシブルディスクドライブのメインフレーム13とは異なり、奥行方向の寸法が縮小されている。
【0061】
メインフレーム13Aは幅寸法、奥行寸法と共に、フレキシブルディスク40(図6)の幅寸法、奥行寸法に比べてやや大きめ(但し、+10mm以内)にされる。フレキシブルディスク40は、矢印Aで示す方向からフレキシブルディスクドライブ本体に挿入される。ステッピングモータ16は、メインフレーム13Aの両側の側壁のうち左側の側壁に隣接して位置に、後部壁131の一部を利用して固定されている。
【0062】
ステッピングモータ16は所定の半径方向Bと平行に延在する回転軸(駆動軸)161を有し、この回転軸161には雄ネジが切られている。回転軸161の先端はメインフレーム13Aに切り起こしにより形成された支持部132aにより回転可能に支持されている。この回転軸161には、磁気ヘッド(後述する)を搭載したキャリッジアセンブリ15の一部が係合している。その結果、回転軸161の回転運動によってキャリッジアセンブリ15がフレキシブルディスク40の所定の半径方向Bに沿って移動する。メインフレーム13Aにはまた、切り起こしにより形成された2つの支持部133a(図7では1つのみ図示する)によりガイドバー17が回転軸161と平行に延在するように固定されている。
【0063】
図7に加えて図8をも参照して、キャリッジアセンブリ15と回転軸161とガイドバー17との関係について説明する。
【0064】
キャリッジアセンブリ15は、上側キャリッジ15Uと、下側キャリッジ15Lとを備える。上側キャリッジ15U、下側キャリッジ15Lの一方の先端部の一方の先端部にはそれぞれ、上側磁気ヘッド14a、下側磁気ヘッド14bが取り付けられている。上側キャリッジ15Uは図中、上方に開くことができる。フレキシブルディスク40は、上側キャリッジ15Uが開いている状態の時に、上側キャリッジ15Uと下側キャリッジ15Lとの間に挿入される。挿入後、各磁気ヘッド14a、14bは、フレキシブルディスク40の磁気記録媒体41に近接するように、閉じた状態になる。
【0065】
上側キャリッジ15Uは板状のアームによって構成されている。他方、下側キャリッジ15Lは、下側磁気ヘッド14bを支持する平面板15L−1と、下側磁気ヘッド14bと反対側の端部に設けられた突出部15L−2とを備える。この突出部15L−2は、上側キャリッジ15Uに金属製の連結板15U−1を介して連結された突出部15U−2と組み合わされている。突出部15U−2は、下側キャリッジ15L−1と共に固定されている。上側キャリッジ15Uは、図8の右方向に突出したバネ取付部15U−3を備えている。バネ取付部15U−3からは、棒状のバネ支持部15U−4が図の前方に突き出ている。バネ支持部15U−4には上側キャリッジ15Uを図中下方に付勢するためのバネ15U−5が取り付けられている。
【0066】
連結板15U−1は、2本のネジで突出部15U−2の上面に取り付けられた押さえ板15U−6で固定されている。15U−7は、押さえ板15U−6を位置決めするためのピンである。
【0067】
上側キャリッジ15Uは、フレキシブルディスク40の挿入前は後述するディスクホルダにより上方に開くようにされている。フレキシブルディスク40が挿入されると、ディスクホルダは下動し、その結果、上側キャリッジ15Uはバネ15U−5により下方に閉じて上側磁気ヘッド14aがフレキシブルディスク440の磁気記録媒体41に近接する。フレキシブルディスク40がイジェクトされると、上側キャリッジ15Uは上動するディスクホルダにより上方に開かれた状態に維持される。
【0068】
上側キャリッジ15Uの突出部15U−2と下側キャリッジ15Lの突出部15L−2との間には空間ができるようにされており、この空間に回転軸161が挿通されている。しかも、この空間には、回転軸161の谷の部分に係合された金属部材(図示せず)が設けられている。このように、キャリッジアセンブリ15は、回転軸161の回転によってその軸方向に移動する。
【0069】
また、下側キャリッジ15Lの中間部には、回転軸161と平行に肉厚部15L−3が設けられている。この肉厚部15L−3に設けられた貫通穴にガイドバー17が摺動自在に挿通されている。これによって、ガイドバー17はキャリッジアセンブリ15の移動を案内する。尚、肉厚部15L−3の突出部分がメインフレーム13Aに接触してキャリッジアセンブリ15の移動を妨げないように、肉厚部15l−3の移動範囲に対応するメインフレーム13Aには打ち抜き穴134a(図7)が形成されている。これはまた、肉厚部15L−3の突出部分によってフレキシブルディスクドライブの上下方向(厚さ方向)の寸法が大きくなることを防いでいる。
【0070】
尚、図7から明らかなように、ディスクテーブル11の中心は、フレキシブルディスクドライブの奥行方向に関する中心線から図中右方向にずれている。このようにして、メインフレーム13Aの左側の側縁とフレキシブルディスク40の左側の側縁との間にできる僅かなスペースを利用して、ステッピングモータ16の回転軸161を配置している。
【0071】
図9及び図10は、図7に図示したメインフレーム13Aと組み合わされる、イジェクトベース23Aとイジェクトプレート21Aとディスクホルダ22Aとを組み付けた組付け体を示す図である。図9は組付け体の平面図、図10は組付け体の底面図である。
【0072】
メインフレーム13A、イジェクトプレート21A、ディスクホルダ22A、及びイジェクトベース23Aは、金属板に打抜き加工、プレス加工、曲げ加工等を施すことにより形成される。
【0073】
イジェクトプレート21Aは、メインフレーム13Aの上方であって、イジェクトベース23Aの内側に組み付けられる。イジェクトプレート21Aは、フレキシブルディスク40の挿入方向Aおよびその逆方向(すなわち、前後方向)に沿って摺動自在なように、メインフレーム13A上に備えられる。ディスクホルダ22Aは、メインフレーム13Aの上方であって、イジェクトプレート21Aの内側に組み付けされる。イジェクトベース23Aは、メインフレーム13Aの両側の側板の上端に取り付けられる。この取付けは、メインフレーム13Aの側板の上端に折曲加工等によりねじ止め部135(図7)を形成することにより、このねじ止め部135にイジェクトベース23Aをねじ止めして行う。
【0074】
図10から明らかなように、ディスクホルダ22Aとイジェクトプレート21Aとの間にイジェクトバネ24が架設されている。ディスクシャッタアーム26Aはディスクホルダ22Aに回動自在に取り付けられている。このディスクシャッタアーム26Aは、従来のディスクシャッタアーム26とは異なり、イジェクトレバーとしても動作すると共に、更に、後述するようにヘッド保護構造としても動作する。したがって、ディスクシャッタアーム26Aは、ここでは、イジェクトアームとも呼ばれる。
【0075】
このディスクシャッタアーム(イジェクトアーム)26Aは、シャッタアームバネ263によって反時計回りに付勢されている(但し、図10は底面図なので、図10においては、シャッタアームバネ263は時計回りに付勢されている)。シャッタアームバネ263は、ディスクシャッタアーム26Aとディスクホルダ22Aとの間に架設されている。ディスクシャッタアーム26Aについては、後で図面を参照して詳述する。ディスクシャッタアーム26Aとシャッタアームバネ263との組合せは、回動することによりフレキシブルディスク40のシャッタ43を開く方向に駆動するシャッタ駆動機構として働く。
【0076】
尚、本実施の形態に係る薄型フレキシブルディスクドライブにおいては、スライド機構(図示せず)がイジェクトプレート21Aおよびイジェクトベース23Aの両側の側板に設けられ、イジェクトバネ24がディスクホルダ22Aとイジェクトプレート21Aとの間に架設されているので、図11に示されるように、イジェクトベース23Aは、キャリッジアセンブリ15の移動範囲を除いて、イジェクトプレート21Aを覆う上カバーとしても使用される。
【0077】
次に、図12を参照して、ディスクホルダ22Aについて説明する。図12において、(A)はディスクホルダ22Aの平面図、(B)はディスクホルダ22Aの左側面図、(C)はディスクホルダ22Aの右側面図、(D)はディスクホルダ22Aの底面図である。
【0078】
ディスクホルダ22Aは、主表面220と、この主表面の両端側で互いに対向した一対の側板221とを有する。この側板221の先端は直角に内方へ折曲加工されている。両側板221の各々には、一対のピン222および223が設けられている。このピン222および223は、イジェクトプレート21の側板に形成された案内溝(図示せず)内に挿通される。更に、両側板221の各々には、イジェクトベース23Aのピン規制溝(図示せず)に挿通する1つのピン228が設けられている。
【0079】
また、ディスクホルダ22Aは、その挿入方向Aの奥側中央左よりに、所定の半径方向Bに延在した略矩形状の開口部224Aが設けられている。この開口部224Aとディスクホルダ22Aの左側縁との間には、ディスクホルダ22Aから上方に盛り上がった、矢印B方向に延在する盛り上がり部225Aが形成されている。
【0080】
フレキシブルディスク40がディスクホルダ22Aからイジェクトされた状態では、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uが盛り上がり部225Aと係合し、これによって上下一対の磁気ヘッド14a、14b同士が互いに離される。さらに、ディスクホルダ22Aは、その挿入方向Aの奥側で開口部224Aから右よりに、後述するイジェクトレバー(ディスクシャッタアーム)26Aのレバーブッシュ262Aの回動を許すような約1/4リング形状の開口部226Aも有している。尚、ディスクホルダ22Aの右上角部227Aに、図10に示されるように、後述するイジェクトレバー(ディスクシャッタアーム)26Aが回動自在に取り付けられる。
【0081】
図13に示されるように、イジェクトレバー26Aは、ディスクホルダ22Aの右上角部227Aから径方向に延在するアーム部(レバー部)261Aと、このアーム部261Aの先端部に取り付けられるレバーブッシュ262Aとを有する。
【0082】
図14にアーム部261Aの構成を示し、図15にレバーブッシュ262Aの構成を示す。図14において、(A)はアーム部261Aの正面図、(B)はアーム部261Aの正面図、(C)はアーム部261Aの左側面図である。図15において、(A)はレバーブッシュ262Aの平面図、(B)はレバーブッシュ262Aの正面図である。
【0083】
図14に示されるように、アーム部261Aは、イジェクトベース23Aの挿入方向Aの奥側端部で直角に下方に折り曲げられたストッパ部23A−1と係合する係止部261A−1を持つ。この係止部261A−1は、アーム部261Aの回動軸261A−0から所定半径上で円周方向へ延在する円弧縁261A−1aと、回転軸261A−0に向かって半径方向に延在する半径縁261A−1bとを持つ。アーム部261Aは、更に、その先端で直角に下方に折り曲げられた舌片部261A−2を持つ。この舌片部261A−2は、後述するレバーブッシュ262Aの開口部に挿入される。
【0084】
図15を参照して、レバーブッシュ262Aは樹脂製で構成されている。レバーブッシュ262Aは、図15(A)に示されるように、上記アーム部261Aの舌片部261A−2が挿入される開口部262A−1を持つ。レバーブッシュ262Aは、また、フレキシブルディスク40のシャッタ43の右側上端縁43bと係合する係合片262A−2を持つ。
【0085】
レバーブッシュ262Aは、更に、フレキシブルディスク40が本薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されるときに、そのフレキシブルディスク40の先端部(前縁)を受けるメディア受け部(ストッパ)262A−3を有する。すなわち、このストッパ262A−3は、フレキシブルディスク40の挿入・排出時に下側磁気ヘッド14bとの衝突を回避するように、フレキシブルディスク40をその裏面から支えるものである。また、ストッパ262A−3は、その先端に上方へ突出した突起部262A−3aを持つ。この突起部262A−3aは、フレキシブルディスク40を面接触でなく線接触で支えるためのものである。
【0086】
図16にアーム部261Aとレバーブッシュ262Aとを組み付けた状態のイジェクトレバー26Aを示す。図16は、本薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されるフレキシブルディスク40と、キャリッジアセンブリ15の下側キャリッジ15Lの先端部に取り付けられる下側磁気ヘッド14bとの位置関係をも図示している。フレキシブルディスク40が本薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入されると、そのフレキシブルディスク40はレバーブッシュ262Aのストッパ262A−3によってその裏面で受け止められるので、フレキシブルディスク40の裏面は常に下側磁気ヘッド24bの先端よりも上方に維持される。それにより、フレキシブルディスク40の挿入・排出時に、フレキシブルディスク40が下側磁気ヘッド14bに引っ掛かったり、下側磁気ヘッド14bと衝突するのを防止することができるので、下側磁気ヘッド14bを保護することができる。換言すれば、イジェクトレバー26Aのレバーブッシュ262Aは、フレキシブルディスク40の挿抜に連動して、常に下側磁気ヘッド14bを保護することができる。その結果、従来のような専用のロアヘッドガードを設ける必要がないので、構成が簡素化され、コストを削減することができる。
【0087】
次に、図10に加えて図17および図18をも参照して、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入するときの動作と、薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入されているフレキシブルディスク40をイジェクト(排出)するときの動作について説明する。最初に、フレキシブルディスク40を挿入するときの動作について説明し、その後で、フレキシブルディスク40をイジェクトする場合の動作について説明する。
【0088】
図17はフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入途中の状態における、組付け体とフレキシブルディスク40との配置関係を示す底面図である。図18はフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ内に完全に収容された状態における、組付け体とフレキシブルディスク40との配置関係を示す底面図である。
【0089】
図10に示されるように、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入する前では、イジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の内壁にイジェクトレバー26Aの係止部261A−1の円弧縁161A−1aが係合している。このとき、ディスクホルダ22Aは上昇した位置にあり、フレキシブルディスク40を受け入れ可能な状態にある。さらに、この状態では、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uがディスクホルダ22Aの盛り上がり部225Aに係合しており、上側磁気ヘッド14aは下側磁気ヘッド14bから離された上方の位置にある。
【0090】
この状態において、図17に示されるように、ユーザがフレキシブルディスク40を持って、その前縁をフロントパネル(図示せず)の扉に当てながら、正常な状態で矢印Aに示す挿入方向に沿って、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入していく。そのとき、フレキシブルディスク40の前縁部は、イジェクトレバー26Aのストッパ262A−3によってその裏面で受け止められる。その直後、フレキシブルディスク40のシャッタ43の右側上端縁43b(図17は底面図なので、図17では左側上端縁である)がイジェクトレバー26Aの係合片262A−2と係合する。
【0091】
この時点(地点)から、イジェクトレバー26Aに装着されたシャッタアームバネ263に付勢力に抗して、さらにフレキシブルディスク40を押し進めると、イジェクトレバー26Aは、開口部226A内を、図17の矢印Dで示す時計回り(図17は底面図なので、図17では反時計回り)に回転する。これに伴って、フレキシブルディスク40のシャッタ43は、バネ部材の付勢力に抗して、図6の矢印Cで示す方向に摺動する。したがって、シャッタ43の摺動により開口部42aを徐々に開けようとする。
【0092】
そして、図18に示されるように、イジェクトレバー26Aによりフレキシブルディスク40のシャッタ43が十分に開いて、ほぼフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に完全に収容される直前に、イジェクトレバー26Aの係止部261A−1の円弧縁261−1aとイジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の内壁との係合が解かれる。これにより、イジェクトプレート21Aが前方(挿入方向Aと逆方向)へ少しだけ摺動する。これは、イジェクトプレート21Aがイジェクトバネ24によって前方へ常に付勢されているからである。
【0093】
一方、イジェクトプレート21Aが前方へ摺動することにより、ディスクホルダ22Aが下降する。これは、ディスクホルダ22Aの側板221に形成されたピン222および223がイジェクトプレート21Aの側板に形成された案内溝内に挿通しているからである。
【0094】
これにより、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uとディスクホルダ22Aの盛り上がり部225Aとの係合が解かれ、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uは下方へ落ちる。その結果、フレキシブルディスク40の磁気記録媒体41はキャリッジアセンブリ15の先端部に取り付けられた上下一対の磁気ヘッド14a,14bで挟持される。またこのとき、図18に示されるように、イジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の側縁にイジェクトレバー26Aの係止部261A−1の半径縁261A−1bが係合するので、イジェクトレバー26Aが元の位置に復帰するのが阻止される。尚、イジェクトプレート21Aが前方へ少しだけ摺動するので、イジェクトボタン(図示せず)もフロントパネル(図示せず)から前方へ少しだけ突出する。
【0095】
この後は、周知の方法により、磁気ヘッド14a、14bによってフレキシブルディスク40の磁気記録媒体41に対してデータの読み/書きを行うことができる。
【0096】
次に、ディスクホルダ22A内に収容されているフレキシブルディスク40をイジェクトする場合の動作について説明する。
【0097】
この場合、ユーザは、イジェクトボタンを挿入方向Aに後方へ押し込む。これにより、イジェクトプレート21Aはイジェクトベース23A上を挿入方向Aに後方へ摺動していく。これと共に、ディスクホルダ22Aのピン222および223がイジェクトプレート21Aの案内溝に沿って移動することにより、ディスクホルダ22Aが上昇する。これにより、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uとディスクホルダ22Aの盛り上がり部225Aとが係合し、キャリッジアセンブリ15の先端部に支持された上下一対の磁気ヘッド14a、14bがフレキシブルディスク40の磁気記録媒体41から離れる。イジェクトボタンを挿入方向Aに更に後方へ押し込むと、ディスクホルダ22Aは所定の規定された上方位置に置かれる。
【0098】
と同時に、イジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の側縁とイジェクトレバー26Aの係止部261A−1の半径縁261A−1bとの間の係合が解かれ、イジェクトレバー26Aは、シャッタアームバネ263の付勢力によって、図17の矢印Dと逆方向の反時計回り(但し、図17は底面図なので、図17では時計回り)に回転する。これにより、ディスクホルダ22A内に収容されているフレキシブルディスク40が挿入方向Aと逆方向へ押し出され、フレキシブルディスク40は薄型フレキシブルディスクドライブからイジェクト(排出)される。この状態では、図17に示されるように、イジェクトレバー26Aの係止部261A−1の円弧縁261A−1aがイジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の内壁と係合するので、イジェクトプレート21Aがフロントパネル側へ移動することが阻止される。
【0099】
本発明では、図17および図18を参照して説明したように、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入途中から完全に収容される間、常にフレキシブルディスク40の前縁がイジェクトレバー26Aに一体に設けられたストッパ262A−3によって裏面側から受け止められる。従って、上述したように、フレキシブルディスク40の挿抜に連動して常に下側磁気ヘッド14bを保護することができる。
【0100】
また、レバーブッシュ262Aは樹脂製なので、このレバーブッシュ262Aがフレキシブルディスク40のシャッタ43上を摺動する際にも、シャッタ43を傷つけることはない。また、ストッパ262A−3によってフレキシブルディスク40の前縁を受け止める際、フレキシブルディスク40はストッパ262A−3の突起部262A−3a上で支えられる。すなわち、この突起部262A−3aによって、フレキシブルディスク40は面接触でなく線接触で支えられる。その結果、フレキシブルディスク40とストッパ262Aとの間の負荷(摩擦)を小さくすることができ、フレキシブルディスク40をスムーズに動かすことができる。
【0101】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更・変形が可能なのは勿論である。例えば、上述した実施の形態では、ステッピングモータの回転軸(送りネジ)をメインフレームの左右の側縁の一方に延在させ、キャリッジアセンブリを回転軸に対して直角方向へ延在させて奥行方向の寸法縮小化を図った薄型フレキシブルディスクドライブに適用した場合について述べているが、キャリッジアセンブリをステッピングモータの回転軸に対して平行に延在させた薄型フレキシブルディスクドライブにも同様に適用可能なのはいうまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】先行技術における薄型フレキシブルディスクドライブの構成を示す平面図である。
【図2】図1の薄型フレキシブルディスクドライブにおいてフレキシブルディスクが挿入された途中の状態を示す平面図である。
【図3】図1の薄型フレキシブルディスクドライブにおいてフレキシブルディスクが完全に収容された状態を示す平面図である。
【図4】図1の薄型フレキシブルディスクドライブに使用されるディスクホルダアセンブリの構成を示す平面図である。
【図5】図1の薄型フレキシブルディスクドライブに使用されるイジェクトレバーの構造を示す図で、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。
【図6】図1の薄型フレキシブルディスクドライブで駆動されるフレキシブルディスクを示す平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る薄型フレキシブルディスクドライブの要部を示す平面図である。
【図8】図7に示した薄型フレキシブルディスクドライブに用いられるキャリッジアセンブリを示す斜視図である。
【図9】図7に図示したメインフレームと組み合わされる、イジェクトベースとイジェクトプレートとディスクホルダとを組み付けた組付け体を示す平面図である。
【図10】図9の組付け体の底面図である。
【図11】図7に図示したメインフレームに図9に図示した組付け体を組み合わせた状態を示す平面図である。
【図12】図7に示した薄型フレキシブルディスクドライブに用いられるディスクホルダを示す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は底面図である。
【図13】図7に示した薄型フレキシブルディスクドライブに用いられるイジェクトレバーを、フレキシブルディスクが挿入された状態で示す平面図である。
【図14】図13に示したイジェクトレバーを構成するアーム部を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図である。
【図15】図13に示したイジェクトレバーを構成するレバーブッシュを示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図16】図14に示したアーム部と図15に示したレバーブッシュとを組み付けた状態のイジェクトレバーを、図7に示す薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されるフレキシブルディスクと、キャリッジアセンブリの下側キャリッジの先端部に取り付けられる下側磁気ヘッドとの位置関係と共に示した左側面図である。
【図17】フレキシブルディスクが図7に示す薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入途中の状態における、組付け体とフレキシブルディスクとの配置関係を示す底面図である。
【図18】フレキシブルディスクが図7に示す薄型フレキシブルディスクドライブ内に完全に収容された状態における、組付け体とフレキシブルディスクとの配置関係を示す底面図である。
【符号の説明】
【0103】
14a 上側磁気ヘッド
14b 下側磁気ヘッド
22A ディスクホルダ
26A ディスクシャッタアーム(イジェクトアーム)
262A−3 ストッパ
262A−3a 突起部
40 フレキシブルディスク
43 シャッタ
43b シャッタの角部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルディスクへの情報の記録、及び情報の読み取りに用いられる薄型のフレキシブルディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、フレキシブルディスクドライブ(以下、「FDD」とも略称する)は、それに挿入されたフレキシブルディスク(以下、「FD」とも略称する)の円板状磁気記録媒体に対してデータの記録再生を行うための装置である。そして、このようなフレキシブルディスクドライブは、ラップトップ・パーソナルコンピュータやノート型パーソナルコンピュータ等の携帯型電子機器に搭載される。
【0003】
この種のフレキシブルディスクドライブは、フレキシブルディスクの磁気記録媒体に対してデータの読出し/書込みを行う磁気ヘッドと、この磁気ヘッドをフレキシブルディスクに対して所定の半径方向に沿って移動可能に先端で支持するキャリッジアセンブリと、このキャリッジアセンブリを上記所定の半径方向に沿って移動させるステッピングモータと、フレキシブルディスクを保持しつつ磁気記録媒体を回転駆動するダイレクトドライブ(DD)モータとを有している。尚、DDモータとしては、一般にスピンドルモータが使用される。
【0004】
近年、上記携帯型電子機器の薄型化に伴って、それに内蔵或いは搭載されるフレキシブルディスクドライブの薄型化も進められている。このフレキシブルディスクドライブに対する薄型化と共に、さらに、奥行き方向の寸法に対しても縮小化することが望まれている。このようなフレキシブルディスクドライブに薄型化及び小型化(縮小化)を達成するためには、フレキシブルディスクドライブを構成する部品に対して種々の規制(制約)が課せられることになる。換言すれば、省スペース(薄型化)で拘束が多くなるので、設計的マージンが少なくなる方向(傾向)にある。
【0005】
薄型フレキシブルディスクドライブにおいては、一般に、イジェクトシャッタアームとイジェクトレバーとを別部品として構成しているが、イジェクトレバーの誤動作を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下、図1乃至図3を参照して、特許文献1に開示されている先行技術における薄型フレキシブルディスクドライブについて説明する。図示の薄型フレキシブルディスクドライブは、後述する3.5インチ型フレキシブルディスクを駆動するための3.5インチ型フレキシブルディスクドライブである。図1はフレキシブルディスクが挿入されていない状態を示す平面図である。図2はフレキシブルディスクが挿入途中の状態を示す平面図である。図3はフレキシブルディスクが完全に収容された状態を示す平面図である。なお、図1乃至図3のいずれも、図示しない上カバーを取り外した状態を示している。
【0007】
フレキシブルディスク40は、図1乃至図3の矢印Aに示す方向からフレキシブルディスクドライブ中に挿入される。挿入されたフレキシブルディスク40は、ディスクテーブル11上に、その回転軸11aとフレキシブルディスク40の中心軸とが一致した状態で保持される。ディスクテーブル11は、メインフレーム13に取付けられたモータフレーム(図示せず)の表面上で回転自在に支持されている。従って、ディスクテーブル11の回転軸11aの軸方向(紙面と垂直な方向)は、メインフレーム13の厚み方向と平行に成っている。
【0008】
さらに、ディスクテーブル11は、モータフレーム上に設けられたスピンドルモータ35によって回転駆動され、これによってフレキシブルディスク40の磁気記録媒体が回転する。また、メインフレーム13およびモータフレームの表面には、多数の電子部品が搭載されたメイン基板30が取り付けられている。
【0009】
フレキシブルディスクドライブは、フレキシブルディスク40内の磁気記録媒体に対してデータの読出し/書込みを行うための上下一対の磁気ヘッド14(上側磁気ヘッドのみを図示する)を備えている。磁気ヘッド14は、フレキシブルディスクドライブの背面側に設けられたキャリッジアセンブリ15にその先端で支持されている。すなわち、キャリッジアセンブリ15は、上側磁気ヘッド14を支持する上側キャリッジと、下側磁気ヘッドを支持する下側キャリッジとを有する。キャリッジアセンブリ15は、メインフレーム13の表面上で後述するようにメインフレーム13から離隔して配置されており、磁気ヘッド14をその先端でフレキシブルディスクに対して所定の半径方向(図1乃至図3の矢印Bで示す方向)に沿って移動可能に支持している。
【0010】
また、メインフレーム13の後壁131には、ステッピングモータ16が固定されている。ステッピングモータ16はキャリッジアセンブリ15を所定の半径方向Bに沿ってリニアに駆動する。詳細に説明すると、ステッピングモータ16は所定の半径方向Bと平行に延在する回転軸(駆動軸)161を有し、この回転軸161には雄ネジが切られている。回転軸161の先端は、メインフレーム13の表面に取付けられた台座部132に空けられた穴を貫通している。とにかく、ステッピングモータ16の回転軸161は所定の半径方向Bと平行に延在するように規制され、かつその先端は回転可能に保持される。
【0011】
一方、キャリッジアセンブリ15は、下側キャリッジから回転軸161まで延在したアーム151を有している。このアーム151の先端は、回転軸161の雄ネジの谷の部分に係合する。従って、ステッピングモータ16の回転軸161が回転すると、このアーム151の先端が回転軸161の雄ネジの谷部分に沿って動かされ、これによってキャリッジアセンブリ15自体が所定の半径方向Bに沿って移動する。とにかく、ステッピングモータ16はキャリッジアセンブリ15を所定の半径方向Bに沿ってリニアに移動させるための駆動手段として働く。
【0012】
ステッピングモータ16の回転軸161はキャリッジアセンブリ15の一方の側に設けられているので、キャリッジアセンブリ15の一方の側は、この回転軸161によってメインフレーム113から離隔した状態で、移動可能に支持される。
【0013】
しかしながら、この回転軸161による支持だけでは、キャリッジアセンブリ15全体をメインフレ−ム13の表面から離隔して配置することはできない。そのため、ガイドバー(図示せず)によって、キャリッジアセンブリ15の他方の側でキャリッジアセンブリ15を支持しながら案内する。すなわち、ガイドバーはキャリッジアセンブリ15を間に挟んで、ステッピングモータ16の回転軸161とは逆側に設けられている。ガイドバーは、所定の半径方向Bに対して平行に延在し、メインフレーム13の表面上で一端および他端が固定され、キャリッジアセンブリ15を所定の半径方向Bに沿って案内する。これによって、キャリッジアセンブリ15全体がメインフレーム13の表面から離隔して配置される。
【0014】
なお、キャリッジアセンブリ15からこのガイドバー側へフレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)(図示せず)が延在しており、このFPCはメインフレーム13の表面上に取り付けられた基板30に電気的に接続される。
【0015】
キャリッジアセンブリ15の下側キャリッジは、キャリッジアセンブリ15をガイドバーに沿って摺動可能に支持する支持枠としても働く。下側キャリッジはガイドバー側へ突出した突出部(図示せず)を有し、この突出部中にガイドバーが摺動可能に嵌入されている。
【0016】
さらに、フレキシブルディスククドライブは、イジェクトプレート21とディスクホルダ22とを有する。メインフレーム13、イジェクトプレート21、及びディスクホルダ22は、金属板に打抜き加工、プレス加工、曲げ加工等を施すことにより形成される。イジェクトプレート21は、フレキシブルディスク40の挿入方向Aおよびその逆方向(すなわち、前後方向)に沿って摺動自在なように、メインフレーム13上に備えられている。
【0017】
図4を参照して、ディスクホルダ22について説明する。ディスクホルダ22は、イジェクトプレート21の下に配置されている。ディスクホルダ22は、主表面220と、この主表面220の両側端で互いに対向した一対の側板221とを有する。両側板221の各々には、一対のピン222および223が設けられている。このピン222および223は、イジェクトプレート21の側板(図示せず)に形成された案内溝(図示せず)内に挿通される。
【0018】
また、ディスクホルダ22は、その挿入方向Aの奥側中央部に、かつキャリッジアンセンブリ15の上側キャリッジと対応する位置に、所定の半径方向Bに延在した略矩形状の開口部224が設けられている。この開口部224を囲むように、その周囲にディスクホルダ22の主表面220から上方に盛り上がった、略U字形状の盛り上がり縁225が形成されている。
【0019】
一方、キャリッジアンセンブリ15は、側方に延びる一対の側方アーム153(図1乃至図3参照)を備え、この側方アーム153は盛り上がり縁225の上に位置する。後述するように、フレキシブルディスク40がディスクホルダ22からイジェクトされた状態では、この側方アーム153が盛り上がり縁225と係合し、これによって上下一対の磁気ヘッド14が互いに離される。さらに、ディスクホルダ22は、その挿入方向Aの奥側で開口部224から右よりに、後述するディスクシャッタアーム26のレバー部の回動を許すような形状の開口部226も有している。
【0020】
図1乃至図3に示されるように、メインフレーム13の上面は、サブフレーム23で覆われている。サブフレーム23はイジェクトベースとも呼ばれる。このサブフレーム23はその四隅でネジ231によってメインフレーム13に固定されている。このサブフレーム23とイジェクトプレート21との間には、イジェクトバネ24が架設されている。メインフレーム13上には、ヘッドアセンブリ15の近傍に、イジェクトレバー25が回動自在に設けられている。
【0021】
図5にイジェクトレバー25の構造を示す。図5において、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。メインフレーム13には、その表面上の右側前方の所定箇所から上方に延びるロッド状ピン(図示せず)が立設している。イジェクトレバー25は、ロッド状ピンが嵌め込まれる筒状部250と、この筒状部250から径方向に延在するアーム部(レバー部)251と、このアーム部251に設けた上方に延在する突起部252と、アーム部251の自由端側から周方向に延びる円弧状の係止部253とを有している。イジェクトレバー25には、筒状部250の周りにイジェクトレバーバネ(図示せず)が装着され、このイジェクトレバーバネは、イジェクトレバー25を図面上、反時計回りに付勢している。
【0022】
イジェクトレバー25の突起部252は、後述するフレキシブルディスク40の前縁と係合して、イジェクトプレート121の前後方向の摺動動作を制御する。
【0023】
イジェクトレバー25は、更に、アーム部251と平行にスピンドルモータの側へ延在する舌部254を有する。舌部254の先端部254aは盛り上がっている。この先端部254aは、フレキシブルディスク40が本フレキシブルディスクドライブに挿入される際に、ディスクカートリッジ40が下側磁気ヘッドに衝突するのを回避するためのものである。
【0024】
また、イジェクトレバー25の突起部252は、さらに上方に突出した突起252aを持ち、これは、後述するディスクシャッタアーム26のフック部261aと係合する。
【0025】
イジェクトレバー25は、さらに、ストッパ部255を有する。このストッパ部255は、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ内に完全に収容されたときに、後述するディスクシャッタアーム26と係合して、ディスクシャッタアーム26が初期位置に復帰するのを防止するためものである。
【0026】
図4に戻って、ディスクホルダ22の右上角部には、ディスクシャッタアーム26がアームピン260の回りに回動自在に取付けられている。ディスクシャッタアーム26は、右上角部から径方向に延在するアーム部(レバー部)261と、このアーム部261の先端部に設けた下方に延在するアームブッシュ262とを有している。
【0027】
アーム部261は、上記イジェクトレバー25の突起252aと係合するフック部261aを持つ。図4に示されるように、アームブッシュ262は、ディスクホルダ22の開口部226に遊嵌されている。また、このアームブッシュ262の先端部262aは、後述するフレキシブルディスク40のシャッタの右側上端縁と係合して、シャッタの開閉を制御する。アームブッシュ262は、さらに、突出部262bを持ち、この突出部262bは、フレキシブルディスク40がディスクドライブ中に完全に収容されたときに、前述したイジェクトレバー25のストッパ部255と係合する。
【0028】
図4に示されるように、ディスクシャッタアーム26は、シャッタアームバネ263によって反時計回りに付勢されている。すなわち、シャッタアームバネ263は、ディスクシャッタアーム26のアーム部261とディスクホルダ22との間に架設されている。ディスクホルダ22の盛り上がり縁225には、フレキシブルディスク40が挿入されるときに上側磁気ヘッド14に当らないように上側磁気ヘッド14を保護するために上側磁気ヘッドガード32が取付けられている。
【0029】
また、ディスクホルダ22の主表面220の右側には、逆方向挿入防止用バネ34が取付けられている。ディスクホルダ22とディスクシャッタアーム26とアームピン260と上側磁気ヘッドガード32と逆方向挿入防止用バネ34とディスクシャッタアーム26との組合せは、ディスクホルダアセンブリを構成する。
【0030】
図1乃至図3に戻って、メインフレーム13の前端部には、フロントパネル27が取り付けられている。フロントパネル27は、フレキシブルディスク40を出し入れする開口(図示せず)と、この開口を開閉する扉(図示せず)とを備えている。このフロントパネル27には、イジェクトボタン28が前後方向移動可能に突設されている。イジェクトボタン28は、イジェクトプレート21の前端で前方に突き出ている突起部(図示せず)に嵌め込まれている。
【0031】
図6を参照して、図1乃至図3に示されたフレキシブルディスクドライブ(FDD)によって駆動されるフレキシブルディスク(FD)40について説明する。図示のフレキシブルディスク40は、円板状の磁気記録媒体41と、この磁気記録媒体41を覆うシェル42と、矢印C方向に摺動可能なシャッタ43とを有する。
【0032】
シャッタ43にはシャッタ窓43aが空けられている。シャッタ43は矢印C方向とは逆方向に図示しないバネ部材によって付勢されている。シェル42は、上記フレキシブルディスクドライブの磁気ヘッド14での磁気記録媒体41のアクセスを可能とする開口部42aを有する。この開口部42aは、フレキシブルディスク40がフレキシブルディスクドライブ内に挿入されていない状態では、図6に示すように、シャッタ43で覆われている。フレキシブルディスク40がフレキシブルディスクドライブ内に挿入されるとき、シャッタ43の右側縁上端43bにディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の先端部262aが係合して、シャッタ43を矢印C方向へ摺動する。
【0033】
シェル42は、右上角部に、逆方向(表裏及び挿入方向を逆にして挿入)防止用の面取り部42bが形成されている。また、シェル42には、その挿入方向A後端の左側角部に書込み保護用穴44が穿設されている。
【0034】
この技術分野で周知のように、フレキシブルディスクドライブによって駆動されるフレキシブルディスク40において、磁気ヘッド14でアクセスされる磁気記録媒体41の表面上には、データを記録するための通路としての複数本のトラック(図示せず)が半径方向に沿って同心円状に形成されている。フレキシブルディスク40のトラック本数は片面80本であり、最外周トラック(最端トラック)TR00から最内周トラックTR79まである。
【0035】
上述した構成によれば、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されていないときに、イジェクトレバー25の回動動作を規制するように、図1に示されるように、ディスクシャッタアーム26のフック部261aは、イジェクトレバー25の突起252aと係合している。これにより、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入されない限り、イジェクトレバー25が所定の回転角度以上回動しないようにすることができる。換言すれば、薄型フレキシブルディスクドライブに衝撃が加わっても、イジェクトレバー25の誤動作を防止することができる。
【0036】
次に、図1乃至図6を参照して、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入するときの動作と、薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入されているフレキシブルディスク40をイジェクトするときの動作について説明する。最初に、フレキシブルディスク40を挿入するときの動作について説明し、後でフレキシブルディスク40をイジェクトするときの動作について説明する。
【0037】
フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入する前では、イジェクトレバー25およびディスクシャッタアーム26は図1に示した状態の位置にある。すなわち、イジェクトレバー25の突起252aがディスクシャッタアーム26のフック部261aに係合している。この状態では、イジェクトプレート21のストッパ部(図示せず)がイジェクトレバー25の係止部253と係合している。
【0038】
また、この状態では、ディスクホルダ22のピン222及び223が、イジェクトプレート21の案内溝(図示せず)内の上側にあり、ディスクホルダ22は上昇した位置にある。この位置は、フレキシブルディスク40を受け入れ可能な位置である。さらに、この状態では、キャリッジアセンブリ15の側方アーム153がディスクホルダ22の盛り上がり縁225に係合しており、上側磁気ヘッド14は下側磁気ヘッドから離された上方の位置にある。
【0039】
この状態において、ユーザがフレキシブルディスク40を持って、その前縁をフロントパネル27の扉に当てながら、正常な状態で挿入方向Aに沿って、図2に示されるように、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入していく。すると、図2に示されるように、フレキシブルディスク40のシャッタ43の右側上端縁43bがディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の先端部262aと係合する。この時点(地点)から、ディスクシャッタアーム26に装着されたシャッタアームバネ263の付勢力に抗して、さらにフレキシブルディスク40を押し進めると、イジェクトシャッタアーム26のアームブッシュ262は、開口部226内を、図4の矢印Dで示す時計回りに回動する。これに伴って、フレキシブルディスク40のシャッタ43は、バネ部材の付勢力に抗して摺動する。したがって、シャッタ43により開口部42aを徐々に開けようとする。
【0040】
そして、イジェクトシャッタアーム26によりフレキシブルディスク40のシャッタ43が十分に開いて、ほぼフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に完全に収容する直前に、フレキシブルディスク40の前縁がイジェクトレバー25の突起部252と係合する。このときには、ディスクシャッタアーム26のフック部261aによるイジェクトレバー25の突起252aに対する係合が解かれているので、イジェクトレバー25は時計回りに回動可能な状態となっている。
【0041】
さらにフレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ中へ押し進めると、イジェクトレバー25がそれに装着されたイジェクトレバーバネに抗して、時計回りに回動し、イジェクトレバー25の係止部253とイジェクトプレート21のストッパ部との係合が解かれる。これにより、イジェクトプレート21が前方(挿入方向Aと逆方向)へ少しだけ摺動する。これは、イジェクトプレート21がイジェクトバネ24によって前方向へ付勢されているからである。
【0042】
一方、イジェクトプレート21が前方へ摺動することにより、ディスクホルダ22が下降する。これは、ディスクホルダ22の側壁221に形成されたピン222および223がイジェクトプレート21の側壁に形成された案内溝内に挿通しているからである。
【0043】
これにより、キャリッジアセンブリ15の側方アーム153とディスクホルダ22の盛り上がり縁225との係合が解かれ、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジも下方へ落ちる。その結果、フレキシブルディスク40の磁気記録媒体41は、キャリッジアセンブリ15の先端部に設けられた上下一対の磁気ヘッド14で挟持される。またこのとき、イジェクトレバー25のストッパ部255にディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の突出部262bが係合するので、ディスクシャッタアーム26が元の位置に復帰するのが阻止される。尚、イジェクトプレート21が前方へ少しだけ摺動するので、イジェクトボタン28もフロントパネル27から前方へ少しだけ突出する。この状態が図3に示されている。
【0044】
この後は、周知の方法により、磁気ヘッド14によってフレキシブルディスク40内の磁気記録媒体41に対してデータの読み/書きを行うことができる。
【0045】
次に、ディスクホルダ22内に収容されているフレキシブルディスク40をイジェクトする場合の動作について説明する。この場合、ユーザはイジェクトボタン28を挿入方向Aに後方へ押し込む。これにより、イジェクトプレート21はメインフレーム13上を挿入方向Aに後方へ摺動してく。これとともに、ディスクホルダ22のピン222および223がイジェクトプレート21の案内溝に沿って移動することにより、ディスクホルダ22が上昇する。これにより、キャリッジアセンブリ15の一対の側方アーム153とディスクホルダ22の盛り上がり部225とが係合し、ヘッドアセンブリ15の先端部に支持された上下一対の磁気ヘッド14がフレキシブルディスク40内の磁気記録媒体41から離れる。イジェクトボタン28を挿入方向Aに更に後方へ押し込むと、ディスクホルダ22は所定の規定された上方位置に置かれると共に、イジェクトレバーバネの付勢力によって、イジェクトレバー25が、反時計回りに回動する。
【0046】
と同時に、イジェクトレバー25のストッパ部255とディスクシャッタアーム26のアームブッシュ262の突出部262bとの係合が解かれる。ディスクシャッタアーム26は、シャッタアームバネ263の付勢力によって、図4の矢印Dと逆方向に反時計回りに回動する。これにより、ディスクホルダ22内に収容されているフレキシブルディスク40が挿入方向Aと逆方向へ押し出され、フレキシブルディス40は、薄型フレキシブルディスクドライブからイジェクトされる。この状態では、イジェクトレバー25の係止部253がイジェクトプレート21のストッパ部と係合するので、イジェクトプレート21がフロントパネル27側へ移動するのを阻止している。
【0047】
上述したように、従来のフレキシブルディスクドライブでは、フレキシブルディスク40の挿入・排出時に、フレキシブルディスク40が下側磁気ヘッドと衝突するのを回避するために、それ専用の部品(イジェクトレバー25に設けられた先端部254a)を設けて、下側磁気ヘッドを保護(すなわち、下側磁気ヘッドが引っ掛かったり破損するのを防止)している。尚、このような下側磁気ヘッドを保護する手段は上側磁気ヘッドガードと呼ばれる。
【0048】
また、奥行き方向の寸法縮小化を実現したフレキシブルディスクドライブも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に開示されているフレキシブルディスクドライブに於いては、ステッピングモータと送りネジとの組立て体を、フレキシブルディスクの挿入口とは反対側のメインフレームの奥部であって該メインフレームの左右の側縁の一方に隣接させて配置する。送りネジはメインフレームの左右の側縁の一方に平行に延在している。キャリッジアセンブリはメインフレームの主面に平行であって、送りネジに対して直角方向に延在している。
【0049】
一方、フレキシブルディスクのシャッタに対してアームが確実に係合するようにしてシャッタの開閉動作を確実に行うことができるようにした「磁気ディスクのシャッタ駆動機構」も知られている(例えば、特許文献3参照)。また、フレキシブルディスクドライブの底面に設けたロアヘッドカードを単一の板バネにより形成して、部品テンスを削減し、コスト削減と装置の薄型化を図った「磁気ヘッドの保護装置」が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0050】
さらに、フレキシブルディスクドライブの挿入口を下方へ傾斜させてイジェクト操作した場合などに、フレキシブルディスクが急激に排出させれてスライドシャッタが磁気ヘッドに衝突し、磁気ヘッドに損傷を与える事故を防止するようにしたフレキシブルディスクドライブも知られている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5に開示されたフレキシブルディスクドライブでは、シャッタ開閉レバーの先端部にフックを設けている。このフックは、フレキシブルディスクのスライドシャッタの溝部内に挿入されるように形成されている。フレキシブルディスクをイジェクトする際は、シャッタ開閉レバーが所定の位置に戻るまでフックがスライドシャッタに係合しており、フレキシブルディスクは、シャッタ開閉レバーから離反しない。従って、シャッタ開閉レバーの戻る速度より早くフレキシブルディスクが排出方向へ移動することがなく、磁気ヘッドの近傍でスライドシャッタが閉じてシャッタ窓の縁部が磁気ヘッドに側方から衝突することが防止できる。
【0051】
【特許文献1】特開2001−216704号公報
【特許文献2】特開平8−203221号公報
【特許文献3】実用新案第2598686号公報
【特許文献4】実開平6−38055号公報
【特許文献5】実開平5−55344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0052】
上述したように、先行技術における薄型フレキシブルディスクドライブでは、下側磁気ヘッドを保護するために専用の上側磁気ヘッドガード(ロアヘッドガード)が必要である。その為、部品点数が増えると共に、組立て工数も増えるという問題がある。尚、特許文献5では、フレキシブルディスクを排出するときに磁気ヘッドを保護するものであって、フレキシブルディスクを挿入する際に磁気ヘッドを保護することについては何ら開示していない。
【0053】
それ故に、本発明の技術的課題は、部品点数を増やすことなく下側磁気ヘッドを保護することができる、フレキシブルディスクドライブを提供することにある。
【0054】
本発明の他の技術的課題は、組立て工数を増やすことなく下側磁気ヘッドを保護することができる、フレキシブルディスクドライブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0055】
本発明によれば、上側磁気ヘッド(14a)及び下側磁気ヘッド(14b)と対向する部分にスライド可能なシャッタ(43)を備えたフレキシブルディスク(40)が挿入されるフレキシブルディスクドライブであって、前記フレキシブルディスクの挿入に伴って前記シャッタの角部(43b)に係合するアーム(26A)を持ち、回動することにより前記シャッタを開く方向に駆動するシャッタ駆動機構を備えたフレキシブルディスクドライブにおいて、前記シャッタ駆動機構は前記フレキシブルディスクを保持するディスクホルダ(22A)上に回動自在に取り付けられており、前記アームの先端近傍に前記アームと一体に形成されたストッパ(262A−3)であって、前記フレキシブルディスクの挿入・排出時に前記下側磁気ヘッド(14b)との衝突を回避するように、前記フレキシブルディスクをその裏面から支える前記ストッパを備えたことを特徴とするフレキシブルディスクドライブが得られる。
【0056】
上記フレキシブルディスクドライブにおいて、前記ストッパ(262A−3)が樹脂製であることが好ましい。また、前記ストッパ(262A−3)は、その先端に上方へ突出した突起部(262A−3a)を持ち、前記フレキシブルディスク(40)を線接触で支えることが望ましい。さらに、前記アーム(26A)は、前記フレキシブルディスクを前記フレキシブルディスクドライブからイジェクトするためのイジェクトレバーとしても働くものであって良い。
【0057】
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0058】
本発明では、シャッタ駆動機構のアームの先端近傍にストッパを一体に形成し、このストッパによってフレキシブルディスクをその裏面から支えることにより、フレキシブルディスクの挿入・排出時に下側磁気ヘッドとの衝突を回避しているので、従来のような専用のヘッド保護構造部品を設ける必要がない。これにより、部品点数を削減できると共に、組立て工数も削減できる。また、ストッパを樹脂製とすることにより、フレキシブルディスクのシャッタに対して摺動しても、シャッタに傷をつけることがない。さらに、ストッパの先端に上方へ突出した突起部を設けることにより、フレキシブルディスクを面接触ではなく線接触で支えることができる。それにより、フレキシブルディスクとストッパとの間の負荷(摩擦)を小さくして、フレキシブルディスクをスムーズに動かすことが可能となる。また、アームをイジェクトレバーとしても動作させることにより、更に部品点数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0060】
図7は本発明の実施の形態による薄型フレキシブルディスクドライブのメインフレーム13Aを示す。図示のメインフレーム13Aは、図1乃至図3に示した従来の薄型フレキシブルディスクドライブのメインフレーム13とは異なり、奥行方向の寸法が縮小されている。
【0061】
メインフレーム13Aは幅寸法、奥行寸法と共に、フレキシブルディスク40(図6)の幅寸法、奥行寸法に比べてやや大きめ(但し、+10mm以内)にされる。フレキシブルディスク40は、矢印Aで示す方向からフレキシブルディスクドライブ本体に挿入される。ステッピングモータ16は、メインフレーム13Aの両側の側壁のうち左側の側壁に隣接して位置に、後部壁131の一部を利用して固定されている。
【0062】
ステッピングモータ16は所定の半径方向Bと平行に延在する回転軸(駆動軸)161を有し、この回転軸161には雄ネジが切られている。回転軸161の先端はメインフレーム13Aに切り起こしにより形成された支持部132aにより回転可能に支持されている。この回転軸161には、磁気ヘッド(後述する)を搭載したキャリッジアセンブリ15の一部が係合している。その結果、回転軸161の回転運動によってキャリッジアセンブリ15がフレキシブルディスク40の所定の半径方向Bに沿って移動する。メインフレーム13Aにはまた、切り起こしにより形成された2つの支持部133a(図7では1つのみ図示する)によりガイドバー17が回転軸161と平行に延在するように固定されている。
【0063】
図7に加えて図8をも参照して、キャリッジアセンブリ15と回転軸161とガイドバー17との関係について説明する。
【0064】
キャリッジアセンブリ15は、上側キャリッジ15Uと、下側キャリッジ15Lとを備える。上側キャリッジ15U、下側キャリッジ15Lの一方の先端部の一方の先端部にはそれぞれ、上側磁気ヘッド14a、下側磁気ヘッド14bが取り付けられている。上側キャリッジ15Uは図中、上方に開くことができる。フレキシブルディスク40は、上側キャリッジ15Uが開いている状態の時に、上側キャリッジ15Uと下側キャリッジ15Lとの間に挿入される。挿入後、各磁気ヘッド14a、14bは、フレキシブルディスク40の磁気記録媒体41に近接するように、閉じた状態になる。
【0065】
上側キャリッジ15Uは板状のアームによって構成されている。他方、下側キャリッジ15Lは、下側磁気ヘッド14bを支持する平面板15L−1と、下側磁気ヘッド14bと反対側の端部に設けられた突出部15L−2とを備える。この突出部15L−2は、上側キャリッジ15Uに金属製の連結板15U−1を介して連結された突出部15U−2と組み合わされている。突出部15U−2は、下側キャリッジ15L−1と共に固定されている。上側キャリッジ15Uは、図8の右方向に突出したバネ取付部15U−3を備えている。バネ取付部15U−3からは、棒状のバネ支持部15U−4が図の前方に突き出ている。バネ支持部15U−4には上側キャリッジ15Uを図中下方に付勢するためのバネ15U−5が取り付けられている。
【0066】
連結板15U−1は、2本のネジで突出部15U−2の上面に取り付けられた押さえ板15U−6で固定されている。15U−7は、押さえ板15U−6を位置決めするためのピンである。
【0067】
上側キャリッジ15Uは、フレキシブルディスク40の挿入前は後述するディスクホルダにより上方に開くようにされている。フレキシブルディスク40が挿入されると、ディスクホルダは下動し、その結果、上側キャリッジ15Uはバネ15U−5により下方に閉じて上側磁気ヘッド14aがフレキシブルディスク440の磁気記録媒体41に近接する。フレキシブルディスク40がイジェクトされると、上側キャリッジ15Uは上動するディスクホルダにより上方に開かれた状態に維持される。
【0068】
上側キャリッジ15Uの突出部15U−2と下側キャリッジ15Lの突出部15L−2との間には空間ができるようにされており、この空間に回転軸161が挿通されている。しかも、この空間には、回転軸161の谷の部分に係合された金属部材(図示せず)が設けられている。このように、キャリッジアセンブリ15は、回転軸161の回転によってその軸方向に移動する。
【0069】
また、下側キャリッジ15Lの中間部には、回転軸161と平行に肉厚部15L−3が設けられている。この肉厚部15L−3に設けられた貫通穴にガイドバー17が摺動自在に挿通されている。これによって、ガイドバー17はキャリッジアセンブリ15の移動を案内する。尚、肉厚部15L−3の突出部分がメインフレーム13Aに接触してキャリッジアセンブリ15の移動を妨げないように、肉厚部15l−3の移動範囲に対応するメインフレーム13Aには打ち抜き穴134a(図7)が形成されている。これはまた、肉厚部15L−3の突出部分によってフレキシブルディスクドライブの上下方向(厚さ方向)の寸法が大きくなることを防いでいる。
【0070】
尚、図7から明らかなように、ディスクテーブル11の中心は、フレキシブルディスクドライブの奥行方向に関する中心線から図中右方向にずれている。このようにして、メインフレーム13Aの左側の側縁とフレキシブルディスク40の左側の側縁との間にできる僅かなスペースを利用して、ステッピングモータ16の回転軸161を配置している。
【0071】
図9及び図10は、図7に図示したメインフレーム13Aと組み合わされる、イジェクトベース23Aとイジェクトプレート21Aとディスクホルダ22Aとを組み付けた組付け体を示す図である。図9は組付け体の平面図、図10は組付け体の底面図である。
【0072】
メインフレーム13A、イジェクトプレート21A、ディスクホルダ22A、及びイジェクトベース23Aは、金属板に打抜き加工、プレス加工、曲げ加工等を施すことにより形成される。
【0073】
イジェクトプレート21Aは、メインフレーム13Aの上方であって、イジェクトベース23Aの内側に組み付けられる。イジェクトプレート21Aは、フレキシブルディスク40の挿入方向Aおよびその逆方向(すなわち、前後方向)に沿って摺動自在なように、メインフレーム13A上に備えられる。ディスクホルダ22Aは、メインフレーム13Aの上方であって、イジェクトプレート21Aの内側に組み付けされる。イジェクトベース23Aは、メインフレーム13Aの両側の側板の上端に取り付けられる。この取付けは、メインフレーム13Aの側板の上端に折曲加工等によりねじ止め部135(図7)を形成することにより、このねじ止め部135にイジェクトベース23Aをねじ止めして行う。
【0074】
図10から明らかなように、ディスクホルダ22Aとイジェクトプレート21Aとの間にイジェクトバネ24が架設されている。ディスクシャッタアーム26Aはディスクホルダ22Aに回動自在に取り付けられている。このディスクシャッタアーム26Aは、従来のディスクシャッタアーム26とは異なり、イジェクトレバーとしても動作すると共に、更に、後述するようにヘッド保護構造としても動作する。したがって、ディスクシャッタアーム26Aは、ここでは、イジェクトアームとも呼ばれる。
【0075】
このディスクシャッタアーム(イジェクトアーム)26Aは、シャッタアームバネ263によって反時計回りに付勢されている(但し、図10は底面図なので、図10においては、シャッタアームバネ263は時計回りに付勢されている)。シャッタアームバネ263は、ディスクシャッタアーム26Aとディスクホルダ22Aとの間に架設されている。ディスクシャッタアーム26Aについては、後で図面を参照して詳述する。ディスクシャッタアーム26Aとシャッタアームバネ263との組合せは、回動することによりフレキシブルディスク40のシャッタ43を開く方向に駆動するシャッタ駆動機構として働く。
【0076】
尚、本実施の形態に係る薄型フレキシブルディスクドライブにおいては、スライド機構(図示せず)がイジェクトプレート21Aおよびイジェクトベース23Aの両側の側板に設けられ、イジェクトバネ24がディスクホルダ22Aとイジェクトプレート21Aとの間に架設されているので、図11に示されるように、イジェクトベース23Aは、キャリッジアセンブリ15の移動範囲を除いて、イジェクトプレート21Aを覆う上カバーとしても使用される。
【0077】
次に、図12を参照して、ディスクホルダ22Aについて説明する。図12において、(A)はディスクホルダ22Aの平面図、(B)はディスクホルダ22Aの左側面図、(C)はディスクホルダ22Aの右側面図、(D)はディスクホルダ22Aの底面図である。
【0078】
ディスクホルダ22Aは、主表面220と、この主表面の両端側で互いに対向した一対の側板221とを有する。この側板221の先端は直角に内方へ折曲加工されている。両側板221の各々には、一対のピン222および223が設けられている。このピン222および223は、イジェクトプレート21の側板に形成された案内溝(図示せず)内に挿通される。更に、両側板221の各々には、イジェクトベース23Aのピン規制溝(図示せず)に挿通する1つのピン228が設けられている。
【0079】
また、ディスクホルダ22Aは、その挿入方向Aの奥側中央左よりに、所定の半径方向Bに延在した略矩形状の開口部224Aが設けられている。この開口部224Aとディスクホルダ22Aの左側縁との間には、ディスクホルダ22Aから上方に盛り上がった、矢印B方向に延在する盛り上がり部225Aが形成されている。
【0080】
フレキシブルディスク40がディスクホルダ22Aからイジェクトされた状態では、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uが盛り上がり部225Aと係合し、これによって上下一対の磁気ヘッド14a、14b同士が互いに離される。さらに、ディスクホルダ22Aは、その挿入方向Aの奥側で開口部224Aから右よりに、後述するイジェクトレバー(ディスクシャッタアーム)26Aのレバーブッシュ262Aの回動を許すような約1/4リング形状の開口部226Aも有している。尚、ディスクホルダ22Aの右上角部227Aに、図10に示されるように、後述するイジェクトレバー(ディスクシャッタアーム)26Aが回動自在に取り付けられる。
【0081】
図13に示されるように、イジェクトレバー26Aは、ディスクホルダ22Aの右上角部227Aから径方向に延在するアーム部(レバー部)261Aと、このアーム部261Aの先端部に取り付けられるレバーブッシュ262Aとを有する。
【0082】
図14にアーム部261Aの構成を示し、図15にレバーブッシュ262Aの構成を示す。図14において、(A)はアーム部261Aの正面図、(B)はアーム部261Aの正面図、(C)はアーム部261Aの左側面図である。図15において、(A)はレバーブッシュ262Aの平面図、(B)はレバーブッシュ262Aの正面図である。
【0083】
図14に示されるように、アーム部261Aは、イジェクトベース23Aの挿入方向Aの奥側端部で直角に下方に折り曲げられたストッパ部23A−1と係合する係止部261A−1を持つ。この係止部261A−1は、アーム部261Aの回動軸261A−0から所定半径上で円周方向へ延在する円弧縁261A−1aと、回転軸261A−0に向かって半径方向に延在する半径縁261A−1bとを持つ。アーム部261Aは、更に、その先端で直角に下方に折り曲げられた舌片部261A−2を持つ。この舌片部261A−2は、後述するレバーブッシュ262Aの開口部に挿入される。
【0084】
図15を参照して、レバーブッシュ262Aは樹脂製で構成されている。レバーブッシュ262Aは、図15(A)に示されるように、上記アーム部261Aの舌片部261A−2が挿入される開口部262A−1を持つ。レバーブッシュ262Aは、また、フレキシブルディスク40のシャッタ43の右側上端縁43bと係合する係合片262A−2を持つ。
【0085】
レバーブッシュ262Aは、更に、フレキシブルディスク40が本薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されるときに、そのフレキシブルディスク40の先端部(前縁)を受けるメディア受け部(ストッパ)262A−3を有する。すなわち、このストッパ262A−3は、フレキシブルディスク40の挿入・排出時に下側磁気ヘッド14bとの衝突を回避するように、フレキシブルディスク40をその裏面から支えるものである。また、ストッパ262A−3は、その先端に上方へ突出した突起部262A−3aを持つ。この突起部262A−3aは、フレキシブルディスク40を面接触でなく線接触で支えるためのものである。
【0086】
図16にアーム部261Aとレバーブッシュ262Aとを組み付けた状態のイジェクトレバー26Aを示す。図16は、本薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されるフレキシブルディスク40と、キャリッジアセンブリ15の下側キャリッジ15Lの先端部に取り付けられる下側磁気ヘッド14bとの位置関係をも図示している。フレキシブルディスク40が本薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入されると、そのフレキシブルディスク40はレバーブッシュ262Aのストッパ262A−3によってその裏面で受け止められるので、フレキシブルディスク40の裏面は常に下側磁気ヘッド24bの先端よりも上方に維持される。それにより、フレキシブルディスク40の挿入・排出時に、フレキシブルディスク40が下側磁気ヘッド14bに引っ掛かったり、下側磁気ヘッド14bと衝突するのを防止することができるので、下側磁気ヘッド14bを保護することができる。換言すれば、イジェクトレバー26Aのレバーブッシュ262Aは、フレキシブルディスク40の挿抜に連動して、常に下側磁気ヘッド14bを保護することができる。その結果、従来のような専用のロアヘッドガードを設ける必要がないので、構成が簡素化され、コストを削減することができる。
【0087】
次に、図10に加えて図17および図18をも参照して、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入するときの動作と、薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入されているフレキシブルディスク40をイジェクト(排出)するときの動作について説明する。最初に、フレキシブルディスク40を挿入するときの動作について説明し、その後で、フレキシブルディスク40をイジェクトする場合の動作について説明する。
【0088】
図17はフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入途中の状態における、組付け体とフレキシブルディスク40との配置関係を示す底面図である。図18はフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ内に完全に収容された状態における、組付け体とフレキシブルディスク40との配置関係を示す底面図である。
【0089】
図10に示されるように、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入する前では、イジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の内壁にイジェクトレバー26Aの係止部261A−1の円弧縁161A−1aが係合している。このとき、ディスクホルダ22Aは上昇した位置にあり、フレキシブルディスク40を受け入れ可能な状態にある。さらに、この状態では、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uがディスクホルダ22Aの盛り上がり部225Aに係合しており、上側磁気ヘッド14aは下側磁気ヘッド14bから離された上方の位置にある。
【0090】
この状態において、図17に示されるように、ユーザがフレキシブルディスク40を持って、その前縁をフロントパネル(図示せず)の扉に当てながら、正常な状態で矢印Aに示す挿入方向に沿って、フレキシブルディスク40を薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入していく。そのとき、フレキシブルディスク40の前縁部は、イジェクトレバー26Aのストッパ262A−3によってその裏面で受け止められる。その直後、フレキシブルディスク40のシャッタ43の右側上端縁43b(図17は底面図なので、図17では左側上端縁である)がイジェクトレバー26Aの係合片262A−2と係合する。
【0091】
この時点(地点)から、イジェクトレバー26Aに装着されたシャッタアームバネ263に付勢力に抗して、さらにフレキシブルディスク40を押し進めると、イジェクトレバー26Aは、開口部226A内を、図17の矢印Dで示す時計回り(図17は底面図なので、図17では反時計回り)に回転する。これに伴って、フレキシブルディスク40のシャッタ43は、バネ部材の付勢力に抗して、図6の矢印Cで示す方向に摺動する。したがって、シャッタ43の摺動により開口部42aを徐々に開けようとする。
【0092】
そして、図18に示されるように、イジェクトレバー26Aによりフレキシブルディスク40のシャッタ43が十分に開いて、ほぼフレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に完全に収容される直前に、イジェクトレバー26Aの係止部261A−1の円弧縁261−1aとイジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の内壁との係合が解かれる。これにより、イジェクトプレート21Aが前方(挿入方向Aと逆方向)へ少しだけ摺動する。これは、イジェクトプレート21Aがイジェクトバネ24によって前方へ常に付勢されているからである。
【0093】
一方、イジェクトプレート21Aが前方へ摺動することにより、ディスクホルダ22Aが下降する。これは、ディスクホルダ22Aの側板221に形成されたピン222および223がイジェクトプレート21Aの側板に形成された案内溝内に挿通しているからである。
【0094】
これにより、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uとディスクホルダ22Aの盛り上がり部225Aとの係合が解かれ、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uは下方へ落ちる。その結果、フレキシブルディスク40の磁気記録媒体41はキャリッジアセンブリ15の先端部に取り付けられた上下一対の磁気ヘッド14a,14bで挟持される。またこのとき、図18に示されるように、イジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の側縁にイジェクトレバー26Aの係止部261A−1の半径縁261A−1bが係合するので、イジェクトレバー26Aが元の位置に復帰するのが阻止される。尚、イジェクトプレート21Aが前方へ少しだけ摺動するので、イジェクトボタン(図示せず)もフロントパネル(図示せず)から前方へ少しだけ突出する。
【0095】
この後は、周知の方法により、磁気ヘッド14a、14bによってフレキシブルディスク40の磁気記録媒体41に対してデータの読み/書きを行うことができる。
【0096】
次に、ディスクホルダ22A内に収容されているフレキシブルディスク40をイジェクトする場合の動作について説明する。
【0097】
この場合、ユーザは、イジェクトボタンを挿入方向Aに後方へ押し込む。これにより、イジェクトプレート21Aはイジェクトベース23A上を挿入方向Aに後方へ摺動していく。これと共に、ディスクホルダ22Aのピン222および223がイジェクトプレート21Aの案内溝に沿って移動することにより、ディスクホルダ22Aが上昇する。これにより、キャリッジアセンブリ15の上側キャリッジ15Uとディスクホルダ22Aの盛り上がり部225Aとが係合し、キャリッジアセンブリ15の先端部に支持された上下一対の磁気ヘッド14a、14bがフレキシブルディスク40の磁気記録媒体41から離れる。イジェクトボタンを挿入方向Aに更に後方へ押し込むと、ディスクホルダ22Aは所定の規定された上方位置に置かれる。
【0098】
と同時に、イジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の側縁とイジェクトレバー26Aの係止部261A−1の半径縁261A−1bとの間の係合が解かれ、イジェクトレバー26Aは、シャッタアームバネ263の付勢力によって、図17の矢印Dと逆方向の反時計回り(但し、図17は底面図なので、図17では時計回り)に回転する。これにより、ディスクホルダ22A内に収容されているフレキシブルディスク40が挿入方向Aと逆方向へ押し出され、フレキシブルディスク40は薄型フレキシブルディスクドライブからイジェクト(排出)される。この状態では、図17に示されるように、イジェクトレバー26Aの係止部261A−1の円弧縁261A−1aがイジェクトベース23Aのストッパ部23A−1の内壁と係合するので、イジェクトプレート21Aがフロントパネル側へ移動することが阻止される。
【0099】
本発明では、図17および図18を参照して説明したように、フレキシブルディスク40が薄型フレキシブルディスクドライブ中に挿入途中から完全に収容される間、常にフレキシブルディスク40の前縁がイジェクトレバー26Aに一体に設けられたストッパ262A−3によって裏面側から受け止められる。従って、上述したように、フレキシブルディスク40の挿抜に連動して常に下側磁気ヘッド14bを保護することができる。
【0100】
また、レバーブッシュ262Aは樹脂製なので、このレバーブッシュ262Aがフレキシブルディスク40のシャッタ43上を摺動する際にも、シャッタ43を傷つけることはない。また、ストッパ262A−3によってフレキシブルディスク40の前縁を受け止める際、フレキシブルディスク40はストッパ262A−3の突起部262A−3a上で支えられる。すなわち、この突起部262A−3aによって、フレキシブルディスク40は面接触でなく線接触で支えられる。その結果、フレキシブルディスク40とストッパ262Aとの間の負荷(摩擦)を小さくすることができ、フレキシブルディスク40をスムーズに動かすことができる。
【0101】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更・変形が可能なのは勿論である。例えば、上述した実施の形態では、ステッピングモータの回転軸(送りネジ)をメインフレームの左右の側縁の一方に延在させ、キャリッジアセンブリを回転軸に対して直角方向へ延在させて奥行方向の寸法縮小化を図った薄型フレキシブルディスクドライブに適用した場合について述べているが、キャリッジアセンブリをステッピングモータの回転軸に対して平行に延在させた薄型フレキシブルディスクドライブにも同様に適用可能なのはいうまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】先行技術における薄型フレキシブルディスクドライブの構成を示す平面図である。
【図2】図1の薄型フレキシブルディスクドライブにおいてフレキシブルディスクが挿入された途中の状態を示す平面図である。
【図3】図1の薄型フレキシブルディスクドライブにおいてフレキシブルディスクが完全に収容された状態を示す平面図である。
【図4】図1の薄型フレキシブルディスクドライブに使用されるディスクホルダアセンブリの構成を示す平面図である。
【図5】図1の薄型フレキシブルディスクドライブに使用されるイジェクトレバーの構造を示す図で、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は背面図である。
【図6】図1の薄型フレキシブルディスクドライブで駆動されるフレキシブルディスクを示す平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る薄型フレキシブルディスクドライブの要部を示す平面図である。
【図8】図7に示した薄型フレキシブルディスクドライブに用いられるキャリッジアセンブリを示す斜視図である。
【図9】図7に図示したメインフレームと組み合わされる、イジェクトベースとイジェクトプレートとディスクホルダとを組み付けた組付け体を示す平面図である。
【図10】図9の組付け体の底面図である。
【図11】図7に図示したメインフレームに図9に図示した組付け体を組み合わせた状態を示す平面図である。
【図12】図7に示した薄型フレキシブルディスクドライブに用いられるディスクホルダを示す図で、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は底面図である。
【図13】図7に示した薄型フレキシブルディスクドライブに用いられるイジェクトレバーを、フレキシブルディスクが挿入された状態で示す平面図である。
【図14】図13に示したイジェクトレバーを構成するアーム部を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は左側面図である。
【図15】図13に示したイジェクトレバーを構成するレバーブッシュを示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図16】図14に示したアーム部と図15に示したレバーブッシュとを組み付けた状態のイジェクトレバーを、図7に示す薄型フレキシブルディスクドライブに挿入されるフレキシブルディスクと、キャリッジアセンブリの下側キャリッジの先端部に取り付けられる下側磁気ヘッドとの位置関係と共に示した左側面図である。
【図17】フレキシブルディスクが図7に示す薄型フレキシブルディスクドライブ内に挿入途中の状態における、組付け体とフレキシブルディスクとの配置関係を示す底面図である。
【図18】フレキシブルディスクが図7に示す薄型フレキシブルディスクドライブ内に完全に収容された状態における、組付け体とフレキシブルディスクとの配置関係を示す底面図である。
【符号の説明】
【0103】
14a 上側磁気ヘッド
14b 下側磁気ヘッド
22A ディスクホルダ
26A ディスクシャッタアーム(イジェクトアーム)
262A−3 ストッパ
262A−3a 突起部
40 フレキシブルディスク
43 シャッタ
43b シャッタの角部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側磁気ヘッド及び下側磁気ヘッドと対向する部分にスライド可能なシャッタを備えたフレキシブルディスクが挿入されるフレキシブルディスクドライブであって、前記フレキシブルディスクの挿入に伴って前記シャッタの角部に係合するアームを持ち、回動することにより前記シャッタを開く方向に駆動するシャッタ駆動機構を備えたフレキシブルディスクドライブにおいて、
前記シャッタ駆動機構は前記フレキシブルディスクを保持するディスクホルダ上に回動自在に取り付けられており、
前記アームの先端近傍に前記アームと一体に形成されたストッパであって、前記フレキシブルディスクの挿入・排出時に前記下側磁気ヘッドとの衝突を回避するように、前記フレキシブルディスクをその裏面から支える前記ストッパを備えたことを特徴とするフレキシブルディスクドライブ。
【請求項2】
前記ストッパが樹脂製である、請求項1に記載のフレキシブルディスクドライブ。
【請求項3】
前記ストッパは、その先端に上方へ突出した突起部を持ち、前記フレキシブルディスクを線接触で支えることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルディスクドライブ。
【請求項4】
前記アームが前記フレキシブルディスクを前記フレキシブルディスクドライブからイジェクトするためのイジェクトレバーとしても働く、請求項1に記載のフレキシブルディスクドライブ。
【請求項1】
上側磁気ヘッド及び下側磁気ヘッドと対向する部分にスライド可能なシャッタを備えたフレキシブルディスクが挿入されるフレキシブルディスクドライブであって、前記フレキシブルディスクの挿入に伴って前記シャッタの角部に係合するアームを持ち、回動することにより前記シャッタを開く方向に駆動するシャッタ駆動機構を備えたフレキシブルディスクドライブにおいて、
前記シャッタ駆動機構は前記フレキシブルディスクを保持するディスクホルダ上に回動自在に取り付けられており、
前記アームの先端近傍に前記アームと一体に形成されたストッパであって、前記フレキシブルディスクの挿入・排出時に前記下側磁気ヘッドとの衝突を回避するように、前記フレキシブルディスクをその裏面から支える前記ストッパを備えたことを特徴とするフレキシブルディスクドライブ。
【請求項2】
前記ストッパが樹脂製である、請求項1に記載のフレキシブルディスクドライブ。
【請求項3】
前記ストッパは、その先端に上方へ突出した突起部を持ち、前記フレキシブルディスクを線接触で支えることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルディスクドライブ。
【請求項4】
前記アームが前記フレキシブルディスクを前記フレキシブルディスクドライブからイジェクトするためのイジェクトレバーとしても働く、請求項1に記載のフレキシブルディスクドライブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−40434(P2006−40434A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220257(P2004−220257)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
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