説明

フレキシブルプリント回路基板及びその実装構造並びに携帯端末

【課題】実装スペースの確保と電気的接続の安定性とを両立し、組立不良の発生を抑えるフレキシブルプリント回路基板及びその実装構造並びに携帯端末を提供する。
【解決手段】フレキシブルプリント回路基板4は、本体部の周縁から突出して設けられたヘッド部82と、ヘッド部82と本体部とを連結するネック部81とを有し、ヘッド部82の先端部には、ヘッド部82を本体部側へ折り返した際にネック部82と係合する一対の爪9が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の内部に実装するフレキシブルプリント回路基板に関し、特に、実装スペースの確保と、電気的接続の安定性とを両立し、かつ組立不良を低減可能なフレキシブルプリント回路基板及びその実装構造並びに携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末(例えば、移動体通信機能を備えた携帯電話端末)の小型化・高機能化が進んでおり、内部の基板に高密度の実装を行うことが求められている。
【0003】
このため、筐体内のスペースを有効に活用するために、屈曲性のあるフレキシブルプリント回路(Flexible Print Circuit:FPC)基板が採用されている。
【0004】
図5に、携帯端末に搭載されるフレキシブルプリント回路基板の一例を示す。
フレキシブルプリント回路基板の大まかな外形は、それが搭載される筐体とほぼ同じである。図5(a)に示すように、フレキシブルプリント回路基板の一部を切り欠くことで電子部品(レシーバ)との接続用のランド部が形成されている。携帯端末へ実装する際には、図5(b)に示すように、ランド部は根元の部分で2回折り曲げられ、他の部分とは異なる高さに配置される。折り曲げる前にランド部があった場所にはレシーバ5が設置されランド部と電気的に接続される。
【0005】
この構造においては、ランド部以外の部分が実装スペースとなるため、ランド部の面積と実装スペースの面積とはトレードオフの関係にある。よって、部品との電気的な接続の安定性を高めると高密度実装の妨げとなり、高密度実装を実現するために実装スペースの面積を大きくすると、電気的な接続の安定性が低下してしまう。
【0006】
上記問題に関連する技術として、特許文献1に開示される「携帯電子機器」がある。特許文献1に開示される発明は、フレキシブルプリント回路基板にその周縁から突出するように取付部を設け、その取付部を折り曲げることにより取付部に実装した部品を筐体内に収容可能とするものである。すなわち、フレキシブルプリント回路基板の概略外形から突出するように取付部を設けることにより、取付部の面積とそれ以外の部分の面積とがトレードオフの関係ではなくなるため、実装スペースの確保と、電気的接続の安定性とを両立させることが可能である。
【特許文献1】特開2008−211440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される発明は、取付部が折れ曲がる方向に関して何の規制もしていないため、取付部が斜めに折れ曲がってしまう可能性がある。取付部が斜めに折れ曲がってしまうと、実装した部品が所定の位置に配置されないこととなる。
よって、実装した部品が所定の位置とは異なる位置に配置されると、電気的な接続が正しく行われないなどの組立不良の原因となりうる。
【0008】
このように、実装スペースの確保と電気的接続の安定性とを両立し、組立不良の発生を抑えたフレキシブルプリント回路基板やその実装構造は提供されていなかった。
【0009】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、実装スペースの確保と電気的接続の安定性とを両立し、組立不良の発生を抑えるフレキシブルプリント回路基板及びその実装構造並びに携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、本体部の周縁から突出して設けられたヘッド部と、ヘッド部と本体部とを連結するネック部とを有し、ヘッド部の先端部には、該ヘッド部を本体部側へ折り返した際にネック部と係合する係合部が形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント回路基板を提供するものである。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、上記本発明の第1の態様に係るフレキシブルプリント回路基板を用いたフレキシブルプリント回路基板の実装構造であって、ヘッド部を本体部側へ折り返して係合させ、ヘッド部を折り曲げて、ヘッド部と本体部とを異なる高さに配置することを特徴とするフレキシブルプリント回路基板の実装構造を提供するものである。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、上記本発明の第2の態様に係るフレキシブルプリント回路基板の実装構造を適用した携帯端末であって、本体部のネック部の両脇に位置する部分同士の間に電子部品を配置し、折り返したヘッド部を電子部品と電気的に接続したことを特徴とする携帯端末を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、実装スペースの確保と電気的接続の安定性とを両立し、組立不良の発生を抑えるフレキシブルプリント回路基板及びその実装構造並びに携帯端末を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適な実施の形態について説明する。図1に、本実施形態に係るフレキシブルプリント回路基板の実装構造を適用した携帯端末の構成を示す。携帯端末1は、フロントケース2とリアケース3とをねじ6で結合して筐体が形成される。筐体の内部には、フレキシブルプリント回路基板4とレシーバ5とが収容される。
【0015】
図2に、フレキシブルプリント回路基板4の要部の詳細な構成を示す。フレキシブルプリント回路基板4は、レシーバ5との電気的な接続のためのランド部8と電子部品等の実装スペースである部品実装部7とを有する。図示するように、ランド部8と部品実装部7とは面の高さが異なっている。ランド部8の端部には一対の爪9が形成されている。
【0016】
図3(a)に、本実施形態に係る携帯端末に適用するフレキシブルプリント回路基板の構成を示す。ランド部8は、ネック部81及びヘッド部82からなる略T字状であり、フレキシブルプリント回路基板4の概略外形よりも突出して形成されている。ヘッド部82には、ネック部81と略同一間隔で一対の爪9が形成されている。ネック部81の所定の位置には、幅方向に向かい合うように凹部が形成されており、この位置で曲がりやすくなっている。
【0017】
図3(b)に、本実施形態に係るフレキシブルプリント回路基板の実装構造の構成を示す。これは、携帯端末1の筐体に組み込む際、又は組み込み後のフレキシブルプリント回路基板4の状態を示している。ヘッド部81がネック部82側へ折り返され、ランド部8はフレキシブルプリント回路基板4の概略外形内に収まっている。ネック部81は、一対の爪9によって挟まれて保持され、ヘッド部81の位置決めがなされている。
【0018】
上記のように、ランド部8と部品実装部7とは携帯端末1の厚さ方向に異なる高さに位置するため、折り返したヘッド部82の一部が部品実装部7と重なるように配置することが可能である。よって、ヘッド部8の面積を大きく確保し、レシーバ5とランド部8との電気的な接続の確実性を高めることができる。
【0019】
また、上記のように、ランド部8はフレキシブルプリント回路基板4の概略外形から突出して形成されていたため、ランド部8の面積と部品実装部7の面積とはトレードオフの関係にはなっていない。従って、ランド部8の面積を大きく確保した場合でも、レシーバ5と部品実装部7との間隔を小さくし、実装スペースを大きく確保できる。
【0020】
さらに、ランド部8は、一対の爪9がネック部81を挟むことによって自律的に所定の位置に位置決めされているため、レシーバ5とランド部8との電気的な接続を安定して確保できる。また、ランド部8が所定の位置に位置決めされることにより、組立性や製造容易性も高くなる。
【0021】
このように、本実施形態によれば、実装スペースの確保と電気的接続の安定性とを両立し、組立不良の発生を抑えることが可能である。
【0022】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記実施形態においては、一対の爪でネック部を挟み込む構成を例としたが、図4に示すようにヘッド部の先端に片持ち梁状の支持部を形成し、これを用いてヘッド部の動きを規制しても良い。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好適な実施の形態に係る携帯端末の構成を示す図である。
【図2】本発明の好適な実施の形態に係るフレキシブルプリント回路基板の要部の構成を示す図である。
【図3】携帯端末に搭載されるフレキシブルプリント回路基板の一例を示す図である。
【図4】本発明の好適な実施の形態に係る携帯端末に適用するフレキシブルプリント回路基板の構成を示す図である。
【図5】本発明の好適な実施の形態に係る携帯端末に適用するフレキシブルプリント回路基板の別の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 携帯端末
2 フロントケース
3 リアケース
4 フレキシブルプリント回路基板
5 レシーバ
6 ねじ
7 部品実装部
8 ランド部
9 爪
81 ネック部
82 ヘッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の周縁から突出して設けられたヘッド部と、
前記ヘッド部と前記本体部とを連結するネック部とを有し、
前記ヘッド部の先端部には、該ヘッド部を前記本体部側へ折り返した際に前記ネック部と係合する係合部が形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント回路基板。
【請求項2】
前記係合部は、前記ヘッド部を折り返した際に前記ネック部を挟む一対の爪状の突起であることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント回路基板。
【請求項3】
前記係合部は、前記ヘッド部の先端に片持ち梁状に形成された突起であることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント回路基板。
【請求項4】
前記ネック部には、その幅方向に向かい合うように少なくとも1対の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のフレキシブルプリント回路基板。
【請求項5】
前記ヘッド部の幅は、前記本体部の前記ネック部の両脇に位置する部分同士との間隔よりも広いことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のフレキシブルプリント回路基板。
【請求項6】
前記ヘッド部には、電子部品との電気的な接続用のランドが、前記本体側に折り返した際に前記ネック部に隠蔽されないように形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のフレキシブルプリント回路基板。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のフレキシブルプリント回路基板を用いたフレキシブルプリント回路基板の実装構造であって、
前記ヘッド部を前記本体部側へ折り返して係合させ、
前記ヘッド部を折り曲げて、前記ヘッド部と前記本体部とを異なる高さに配置することを特徴とするフレキシブルプリント回路基板の実装構造。
【請求項8】
請求項7記載のフレキシブルプリント回路基板の実装構造を適用した携帯端末であって、
前記本体部の前記ネック部の両脇に位置する部分同士の間に電子部品を配置し、
前記折り返したヘッド部を前記電子部品と電気的に接続したことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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