フレキシブルプリント基板、フレキシブルプリント基板の製造方法及びフレキシブルプリント基板のインダクタ
【課題】フレキシブルプリント基板に対し回路形成により作製されたインダクタにおいて、巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、容量を大きくすることができるフレキシブルプリント基板の製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製されたインダクタ2と、このインダクタ2の上下に積層された高透磁率層3,4とを有し、高透磁率層3,4によりインダクタ2の容量が増加されている。
【解決手段】フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製されたインダクタ2と、このインダクタ2の上下に積層された高透磁率層3,4とを有し、高透磁率層3,4によりインダクタ2の容量が増加されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路形成によりインダクタが作製されたフレキシブルプリント基板に関し、また、このようなフレキシブルプリント基板の製造方法及びこのようなフレキシブルプリント基板におけるインダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フレキシブルプリント基板に対し、回路形成によりスパイラル状のインダクタを作製することが記載されている。
【0003】
このようなインダクタにおいては、容量を大きくするためには、巻数を増やしたり、内径を大きくすることが行われている。
【0004】
また、特許文献2には、多層プリント基板において、回路形成により作製されたインダクタを多層化することが記載されている。すなわち、この多層プリント基板においては、基板の多層化のみならず、インダクタ自体を多層化している。
【0005】
【特許文献1】特開2005−340573公報
【特許文献2】特許第3255151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような従来のフレキシブルプリント基板において、回路形成により作製されたスパイラル状のインダクタにおいては、巻き数を増やして容量を大きくしようとすると、占有面積が増大してしまうという問題がある。
【0007】
また、多層化することによっても容量を増大させることができるが、この場合には、層間接続が増えてしまい、ランドやスルーホールによる寄生容量により、共振点が低周波側にシフトしてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、フレキシブルプリント基板に対し回路形成により作製されたインダクタにおいて、巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、容量を大きくすることができるフレキシブルプリント基板の製造方法を提供し、また、このようなフレキシブルプリント基板及びフレキシブルプリント基板のインダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明は、以下の構成のいずれか一つを有するものである。
【0010】
〔構成1〕
本発明に係るフレキシブルプリント基板は、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製されたインダクタと、このインダクタの上下に積層された高透磁率層とを有し、高透磁率層によりインダクタの容量が増加されていることを特徴とするものである。
【0011】
〔構成2〕
本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法は、フレキシブルプリント基板に対し回路形成によりインダクタを作製し、このインダクタの上下に高透磁率層を積層させ、高透磁率層によりインダクタの容量を増加させることを特徴とするものである。
【0012】
〔構成3〕
本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタは、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製され、上下に高透磁率層が積層されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
構成1を有する本発明に係るフレキシブルプリント基板においては、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製されたインダクタと、このインダクタの上下に積層された高透磁率層とを有し、高透磁率層によりインダクタの容量が増加されているので、インダクタの巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、インダクタの容量を大きくすることができる。
【0014】
構成2を有する本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法においては、フレキシブルプリント基板に対し回路形成によりインダクタを作製し、このインダクタの上下に高透磁率層を積層させ、高透磁率層によりインダクタの容量を増加させるので、インダクタの巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、インダクタの容量を大きくすることができる。
【0015】
構成3を有する本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタにおいては、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製され、上下に高透磁率層が積層されているので、巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、容量を大きくすることができる。
【0016】
すなわち、本発明は、フレキシブルプリント基板に対し回路形成により作製されたインダクタにおいて、巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、容量を大きくすることができるフレキシブルプリント基板の製造方法を提供し、また、このようなフレキシブルプリント基板及びフレキシブルプリント基板のインダクタを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るフレキシブルプリント基板の構成を示す斜視図である。
【0019】
本発明に係るフレキシブルプリント基板は、図1に示すように、絶縁体層1を有し、この絶縁体層の上下面には、上側導体層及び下側導体層が形成されている。各導体層は、例えば、銅箔(Cu)層により形成されている。
【0020】
上側導体層及び下側導体層には、回路形成により、それぞれスパイラル状のインダクタパターン2が形成されている。そして、これら各インダクタパターン2は、スルーホール5によって導通されている。
【0021】
そして、上側導体層のインダクタパターン2の上面及び下側導体層のインダクタパターン2の下面には、高透磁率材料からなる上層3及び下層4が形成されている。なお、これら上層3及び下層4は、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0022】
このフレキシブルプリント基板においては、上層3及び下層4が形成されていることにより、インダクタパターン2は、形状及び大きさを変更することなく、上層3及び下層4が形成されていない状態に比較して、容量(リアクタンス)が増大されている。
【0023】
このフレキシブルプリント基板を製造するには、まず、絶縁体層1の両面に上側導体層及び下側導体層を形成する。各導体層は、例えば、銅箔(Cu)層により形成する。
【0024】
次に、上側導体層及び下側導体層をスルーホール5によって導通させる。そして、エッチング処理等による回路形成により、それぞれスパイラル状のインダクタパターン2を上側導体層及び下側導体層に形成する。
【0025】
そして、上側導体層のインダクタパターン2の上面及び下側導体層のインダクタパターン2の下面に、高透磁率材料からなる上層3及び下層4を形成する。
【実施例】
【0026】
以下の〔表1〕に示すように、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4のフレキシブルプリント基板を作製し、上層3の透磁率及び下層4の透磁率とインダクタパターン2の容量との関係を調べた。
【0027】
【表1】
【0028】
〔表1〕に示すように、実施例1では、上層の透磁率が1.0、下層4の透磁率が1.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、2.12nHであった。実施例2では、上層の透磁率が20.0、下層4の透磁率が1.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、4.89nHであった。実施例3では、上層の透磁率が1.0、下層4の透磁率が20.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、2.88nHであった。実施例4では、上層の透磁率が20.0、下層4の透磁率が20.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、17.5nHであった。
【0029】
図2は、本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタの特性を示すグラフである。
【0030】
また、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4のフレキシブルプリント基板におけるインダクタパターン2の容量特性を調べたところ、図2に示すように、上層3の透磁率及び下層4の透磁率を高くすることにより、各周波数において、インダクタパターン2の容量が増大していることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るフレキシブルプリント基板の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0032】
1 絶縁体層
2 インダクタパターン
3 上層
4 下層
5 スルーホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路形成によりインダクタが作製されたフレキシブルプリント基板に関し、また、このようなフレキシブルプリント基板の製造方法及びこのようなフレキシブルプリント基板におけるインダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フレキシブルプリント基板に対し、回路形成によりスパイラル状のインダクタを作製することが記載されている。
【0003】
このようなインダクタにおいては、容量を大きくするためには、巻数を増やしたり、内径を大きくすることが行われている。
【0004】
また、特許文献2には、多層プリント基板において、回路形成により作製されたインダクタを多層化することが記載されている。すなわち、この多層プリント基板においては、基板の多層化のみならず、インダクタ自体を多層化している。
【0005】
【特許文献1】特開2005−340573公報
【特許文献2】特許第3255151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような従来のフレキシブルプリント基板において、回路形成により作製されたスパイラル状のインダクタにおいては、巻き数を増やして容量を大きくしようとすると、占有面積が増大してしまうという問題がある。
【0007】
また、多層化することによっても容量を増大させることができるが、この場合には、層間接続が増えてしまい、ランドやスルーホールによる寄生容量により、共振点が低周波側にシフトしてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、フレキシブルプリント基板に対し回路形成により作製されたインダクタにおいて、巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、容量を大きくすることができるフレキシブルプリント基板の製造方法を提供し、また、このようなフレキシブルプリント基板及びフレキシブルプリント基板のインダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明は、以下の構成のいずれか一つを有するものである。
【0010】
〔構成1〕
本発明に係るフレキシブルプリント基板は、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製されたインダクタと、このインダクタの上下に積層された高透磁率層とを有し、高透磁率層によりインダクタの容量が増加されていることを特徴とするものである。
【0011】
〔構成2〕
本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法は、フレキシブルプリント基板に対し回路形成によりインダクタを作製し、このインダクタの上下に高透磁率層を積層させ、高透磁率層によりインダクタの容量を増加させることを特徴とするものである。
【0012】
〔構成3〕
本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタは、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製され、上下に高透磁率層が積層されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
構成1を有する本発明に係るフレキシブルプリント基板においては、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製されたインダクタと、このインダクタの上下に積層された高透磁率層とを有し、高透磁率層によりインダクタの容量が増加されているので、インダクタの巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、インダクタの容量を大きくすることができる。
【0014】
構成2を有する本発明に係るフレキシブルプリント基板の製造方法においては、フレキシブルプリント基板に対し回路形成によりインダクタを作製し、このインダクタの上下に高透磁率層を積層させ、高透磁率層によりインダクタの容量を増加させるので、インダクタの巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、インダクタの容量を大きくすることができる。
【0015】
構成3を有する本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタにおいては、フレキシブルプリント基板に対し回路形成で作製され、上下に高透磁率層が積層されているので、巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、容量を大きくすることができる。
【0016】
すなわち、本発明は、フレキシブルプリント基板に対し回路形成により作製されたインダクタにおいて、巻き数を増やすことなく、また、多層化することなく、容量を大きくすることができるフレキシブルプリント基板の製造方法を提供し、また、このようなフレキシブルプリント基板及びフレキシブルプリント基板のインダクタを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るフレキシブルプリント基板の構成を示す斜視図である。
【0019】
本発明に係るフレキシブルプリント基板は、図1に示すように、絶縁体層1を有し、この絶縁体層の上下面には、上側導体層及び下側導体層が形成されている。各導体層は、例えば、銅箔(Cu)層により形成されている。
【0020】
上側導体層及び下側導体層には、回路形成により、それぞれスパイラル状のインダクタパターン2が形成されている。そして、これら各インダクタパターン2は、スルーホール5によって導通されている。
【0021】
そして、上側導体層のインダクタパターン2の上面及び下側導体層のインダクタパターン2の下面には、高透磁率材料からなる上層3及び下層4が形成されている。なお、これら上層3及び下層4は、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0022】
このフレキシブルプリント基板においては、上層3及び下層4が形成されていることにより、インダクタパターン2は、形状及び大きさを変更することなく、上層3及び下層4が形成されていない状態に比較して、容量(リアクタンス)が増大されている。
【0023】
このフレキシブルプリント基板を製造するには、まず、絶縁体層1の両面に上側導体層及び下側導体層を形成する。各導体層は、例えば、銅箔(Cu)層により形成する。
【0024】
次に、上側導体層及び下側導体層をスルーホール5によって導通させる。そして、エッチング処理等による回路形成により、それぞれスパイラル状のインダクタパターン2を上側導体層及び下側導体層に形成する。
【0025】
そして、上側導体層のインダクタパターン2の上面及び下側導体層のインダクタパターン2の下面に、高透磁率材料からなる上層3及び下層4を形成する。
【実施例】
【0026】
以下の〔表1〕に示すように、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4のフレキシブルプリント基板を作製し、上層3の透磁率及び下層4の透磁率とインダクタパターン2の容量との関係を調べた。
【0027】
【表1】
【0028】
〔表1〕に示すように、実施例1では、上層の透磁率が1.0、下層4の透磁率が1.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、2.12nHであった。実施例2では、上層の透磁率が20.0、下層4の透磁率が1.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、4.89nHであった。実施例3では、上層の透磁率が1.0、下層4の透磁率が20.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、2.88nHであった。実施例4では、上層の透磁率が20.0、下層4の透磁率が20.0で、インダクタパターン2の容量は、100MHzにおいて、17.5nHであった。
【0029】
図2は、本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタの特性を示すグラフである。
【0030】
また、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4のフレキシブルプリント基板におけるインダクタパターン2の容量特性を調べたところ、図2に示すように、上層3の透磁率及び下層4の透磁率を高くすることにより、各周波数において、インダクタパターン2の容量が増大していることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るフレキシブルプリント基板の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るフレキシブルプリント基板のインダクタの特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0032】
1 絶縁体層
2 インダクタパターン
3 上層
4 下層
5 スルーホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント基板に対し、回路形成で作製されたインダクタと、
前記インダクタの上下に積層された高透磁率層と
を有し、
前記高透磁率層により、前記インダクタの容量が増加されている
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
フレキシブルプリント基板に対し、回路形成によりインダクタを作製し、
前記インダクタの上下に高透磁率層を積層させ、
前記高透磁率層により、前記インダクタの容量を増加させる
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項3】
フレキシブルプリント基板に対し、回路形成で作製され、上下に高透磁率層が積層されている
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板のインダクタ。
【請求項1】
フレキシブルプリント基板に対し、回路形成で作製されたインダクタと、
前記インダクタの上下に積層された高透磁率層と
を有し、
前記高透磁率層により、前記インダクタの容量が増加されている
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
フレキシブルプリント基板に対し、回路形成によりインダクタを作製し、
前記インダクタの上下に高透磁率層を積層させ、
前記高透磁率層により、前記インダクタの容量を増加させる
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項3】
フレキシブルプリント基板に対し、回路形成で作製され、上下に高透磁率層が積層されている
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板のインダクタ。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2009−49084(P2009−49084A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211914(P2007−211914)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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