説明

フレキシブルプリント基板の実装方法及び、電気光学装置の製造方法

【課題】 基板の端子部を覆っている有機膜を剥離する工程を簡略化し、製造コストの低減化を実現する、フレキシブルプリント基板の実装方法及び、電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 基板20上に、半導体素子と、半導体素子と外部とに電気的に接続する第1の端子部35と、を形成し、第1の端子部35を覆うように有機膜37を形成する工程と、基板20に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板50の第2の端子部55を有機膜37上から第1の端子部35に向けて加圧し、第1の端子部35と導通させる。第2の端子部55と有機膜37との間に異方性導電ペースト61又は異方性導電フィルム60を介在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板の実装方法及び、電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気光学装置が開発されており、このような電気光学装置としては、液晶装置、有機EL装置、電気泳動装置等が知られている。例えば、液晶装置は、薄膜トランジスタが形成された基板を有してなる液晶パネル(パネル)と、この液晶パネルを駆動するためのICチップ等が実装されたフレキシブルプリント基板とが接続された構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、このような液晶装置などの電気光学装置において、パネルを構成する基板とフレキシブルプリント基板とを接続する際には、一般的には、フォトリソグラフィ法やエッチング法を用いて、基板の端子部を覆っている保護膜等の有機膜を剥離する。次に、基板の端子部と、これに接続されるフレキシブルプリント基板側の端子部との間に異方性導電フィルム又は異方性導電ペーストを介在させた状態でフレキシブルプリント基板を位置決めをする。
そして、フレキシブルプリント基板を加圧しつつ、異方性導電フィルム又は異方性導電ペーストを加熱することで、基板の端子部とフレキシブルプリント基板の端子部とを導通させることができる。
【特許文献1】特開2001−291738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようにフォトリソグラフィ法やエッチング法を用いて有機膜を剥離するには、真空装置等の大型装置が必要となり、製造コストが高くなってしまう。また、有機膜を剥離する工程が必要となるために、基板にフレキシブルプリント基板を接続する際の工程が多くなってしまうといった問題があった。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、基板の端子部を覆っている有機膜を剥離する工程を簡略化し、製造コストの低減化を実現する、フレキシブルプリント基板の実装方法及び、電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、有機膜有機膜有機膜半導体素子と、該半導体素子と外部とに電気的に接続する第1の端子部と、該第1の端子部を覆う有機膜を備える基板にフレキシブルプリント基板を実装する方法であって、前記フレキシブルプリント基板上の第2の端子部を前記有機膜上から前記第1の端子部に向けて加圧し、前記有機膜を突き破ることで前記第1の端子部と導通させる工程と、を有することを特徴とする。
これによれば、フォトリソグラフィ法やエッチング法を用いた有機膜剥離工程を行うことなく、基板へのフレキシブルプリント基板の実装を行うことができるので、工程を少なくして、製造コストの低減化を図ることができる。
【0007】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、半導体素子と、該半導体素子と外部とに電気的に接続する第1の端子部と、を形成し、該第1の端子部を覆うように有機膜を形成する工程と、前記基板に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板の前記第2の端子部を前記有機膜上から前記第1の端子部に向けて加圧し、該第1の端子部と導通させる工程と、を有することを特徴とする。
この電気光学装置の製造方法によれば、第1の端子部上の有機膜を剥離することなく、フレキシブルプリント基板と基板とを導通させることができるので、製造工程を少なくして、製造コストを削減することができる。
【0008】
また、前記第2の端子部と前記有機膜との間に異方性導電ペースト又は異方性導電フィルムを介在することを特徴とする。
これによれば、異方性導電フィルム、又は、異方性導電ペーストの中に介在する導電性微粒子が第1の端子部を覆っている有機膜に比べて固いため、フレキシブルプリント基板を加圧した際に、導電性微粒子が前記有機膜を押し開くようになる。よって、有機膜の剥離を行わなくても、導電性微粒子が有機膜を突き破って孔を開け、これにより導電性微粒子が第1の端子に接触するので、第1の端子部と第2の端子部とが導電性微粒子を介して導通できる。
【0009】
また、前記半導体素子が有機薄膜トランジスタからなってもよい。
これによれば、有機薄膜トランジスタは、チャネル領域となる半導体層が有機膜によって形成される。したがって、この半導体層を例えばスピンコート法で形成した場合、この半導体層は基板の第1の端子部を覆って形成される。そこで、本発明の実装方法を採用すれば、前記の第1の端子部上の半導体層についてもこれを剥離することなく、フレキシブルプリント基板の第2の端子部を第1の端子部に導通させることができる。よって、前述したように製造工程削減による製造コストの低減化を図ることができる。
【0010】
また、前記半導体側の基板が可撓性を有したものであることが好ましい。
このようにすれば、基板自体がフレキシブル性を備えたものとなり、したがって、この基板にフレキシブルプリント基板を実装した際にも全体としてフレキシブル性を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明のフレキシブルプリント基板の実装方法を用いて製造した電気光学装置の一実施形態を示す図であり、図1中符号1は電気泳動装置である。
電気泳動装置1は、電気泳動パネル100と、この電気泳動パネル100を駆動する駆動回路(図示せず)が形成されたフレキシブルプリント基板50(Flexible Printed Circuit、以下、FPCと略記する)とを備えたものである。
前記電気泳動パネル100は、電気泳動部200と矩形状の回路基板(基板)10とから形成されている。
ここで、FPC50は電気泳動パネル100に異方性導電フィルム60(Anisotoropic Conductive Film、以下、ACFと略記する)又は、異方性導電ペースト61(Anisotoropic Conductive Past、以下、ACPと略記する)を介して接続されたものとなっている。
【0012】
(回路基板)
図2、図3は、FPC50を接続するための前記回路基板10を示す図であり、図中においてFPC50は接続されていない。
ここで、図2は回路基板10の正面図、図3は回路基板10の要部断面図である。
図2に示すように、回路基板10は、矩形状のベース基板20上の略中央部に、複数の有機薄膜トランジスタ(半導体素子)10aと、ゲート線34aと、画素電極Dとを備え、ベース基板20の長辺方向に沿う外周部10bには、前記ゲート線34に接続されるゲート線接続部34bが形成配置されている。
そして、前記ゲート線接続部34bに接続されるゲート線引出線34c又はソース線引出線30cが接続される外部接続端子部35(第1の端子部)が配置された構成となっている。前記外部接続端子部35は、後述するように回路基板10とFPC50とを接続するための端子となっている。
【0013】
図3に示すように、回路基板10を構成するベース基板20は、透明性、非透過性に限定されることなく、各種材料によって構成されるものである。本実施形態では、特に可撓性に優れた所謂フレキシブル基板として、例えば、ポリカーボネイト等からなるプラスチック基板を用いている。よって、回路基板10は、可撓性を備えたものとなっている。
有機薄膜トランジスタ10aは、ベース基板20上に、ソース及びドレイン電極30と、半導体層31と、絶縁層32と、ゲート電極34と、保護膜40とを積層した構造となっており、所謂トップゲート構造のトランジスタとなっている。ここで、前記半導体層31と絶縁膜32と保護膜40とは有機材料から形成されたものとなっている。
また、有機薄膜トランジスタ10aに対応して、画素電極D(図2参照)が設けられており、前記画素電極Dはコンタクトホール(図示せず)を介してドレイン電極30に接続されている。また、画素電極Dはドレイン電極30を延長したものであってもよい。
【0014】
図2に示したように、ゲート線34aは、図中のX方向に延在する配線であり、ゲート電極34とゲート線接続部34bとを接続するものである。また、前記ゲート線34aは、液滴吐出法(以下、インクジェット法)によって形成された配線である。
ゲート線接続部34bは、ゲート線34aとゲート線引出線34cとを中継接続するための端子となっている。前記ゲート線引出線34cは、ゲート線接続部34bと外部接続端子部35とを接続する配線であって、高精細な線幅によって集積された配線である。
したがって、ゲート電極34(図3参照)は、ゲート線34aを介してゲート線接続部34bに接続されて、このゲート線接続部34bからゲート線引出線34cを介して前記外部接続端子部35に電気的に接続された構成となっている。
【0015】
前記外部接続端子部35の上には、半導体層31と絶縁膜32と保護膜40とが積層されて形成されている。ここで、外部接続端子部35は、半導体層31と絶縁膜32と保護膜40とからなる有機膜37に覆われた状態となっている。
このとき、前記半導体層31の厚みは10〜100nmの範囲が好ましい。また、半導体層37の上に形成されている絶縁膜32の厚みは、500〜2000nmの範囲が好ましい。有機膜37を構成する半導体層31と絶縁膜32と保護膜40とは、スピンコート法によって形成されている。また、前記半導体層31はインクジェット法で所望の位置にのみ形成するようにしてもよい。
【0016】
(電気泳動部)
図1に示したように、電気泳動部200は、回路基板10に対向するように設けられた対向基板65と、これら両基板10、65の間に設けられた電気泳動層70とから構成されている。
【0017】
前記電気泳動層70は、マイクロカプセル70aを複数備えた構成となっている。
前記マイクロカプセル70aは樹脂皮膜によって形成されており、マイクロカプセル70aの大きさは1画素の大きさと同程度とされ、表示領域全域を覆うように複数配置されている。また、マイクロカプセル70aは、実際には隣接するマイクロカプセル70a同士が密着するため、表示領域はマイクロカプセル70aによって隙間なく、覆われている。マイクロカプセル70aには、分散媒71、電気泳動粒子72等を有する電気泳動分散液73が封入されている。
【0018】
次に、分散媒71、電気泳動粒子72を有する電気泳動分散液73について説明する。
電気泳動分散液73は、染料によって染色された分散媒71中に電気泳動粒子72を分散させた構成となっている。
電気泳動粒子72は、無機酸化物又は無機水酸化物からなる直径0.01μm〜10μm程度の略球状の微粒子であり、上記分散媒71と異なる色相(白色及び黒色を含む)を有している。このように酸化物又は水酸化物からなる電気泳動粒子72には固有の表面等電点が存在し、分散媒71の水素イオン指数pHによってその表面電荷密度(帯電量)が変化するようになる。
【0019】
ここで、表面等電点とは、水溶液中における両性電解質の電荷の代数和がゼロとなる状態を水素イオン指数pHによって示したものである。例えば、分散媒71のpHが電気泳動粒子72の表面等電点に等しい場合には、粒子の実効電荷はゼロとなり、粒子は外部電界に対して無反応な状態となる。また、分散媒71のpHが粒子の表面等電点よりも低い場合には、粒子の表面は下式(1)によりプラスの電荷を帯びる。逆に、分散媒71のpHが粒子の表面等電点よりも高い場合には、粒子の表面は下式(2)によりマイナスの電荷を帯びる。
pH低:M−OH+H+(過剰)+OH−→M−OH2++OH− ・・・(1)
pH高:M−OH+H++OH−(過剰)→M−OH―+H+ ・・・(2)
【0020】
なお、分散媒71のpHと粒子の表面等電点との差を大きくしていった場合、反応式(1)又は(2)に従って粒子の帯電量は増加していくが、この差が所定値以上となると略飽和し、pHをそれ以上変化させても帯電量は変化しない。この差の値は、粒子の種類、大きさ、形状等によって異なるものの、概ね1以上であればどのような粒子においても帯電量は略飽和すると考えられる。
【0021】
前記電気泳動粒子72としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベンガラ、酸化アルミニウム、黒色低次酸化チタン、酸化クロム、ベーマイト、FeOOH、二酸化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化銅等が用いられている。
【0022】
また、このような電気泳動粒子72は、単独の微粒子としてだけでなく、各種表面改質を施した状態でも用いることが可能である。このような表面改質の方法としては、例えば、粒子表面をアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のポリマーでコーティング処理する方法や、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、弗素系等のカップリング剤でカップリング処理する方法や、アクリル系モノマー、スチレンモノマー、エポキシ系モノマー、イソシアネート系モノマー等とグラフト重合処理する方法等があり、これらの処理を単独又は二種類以上組み合わせて行うことができる。
【0023】
分散媒71には、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル等の非水系有機溶媒が用いられており、スピリトブラック、オイルイエロー、オイルブルー、オイルグリーン、バリファーストブルー、マクロレックスブルー、オイルブラウン、スーダンブラック、ファーストオレンジ等の染料によって染色されて、電気泳動粒子72と異なる色相を呈している。
【0024】
(FPC)
図1に示したFPC50は、ポリイミドからなる基板上に、回路基板10の有機薄膜トランジスタ10a等を駆動するためのICチップ等のドライバ回路を備えた基板である。すなわち、FPC50は、回路基板10のソース線に電力を供給し、また、図2に示したゲート線34aに駆動信号を供給することで有機薄膜トランジスタ10aを駆動するようになっている。
FPC50には、回路基板10の外部接続端子部35に接続される端子55(第2の端子部)が形成されている。
【0025】
(ACF及びACP)
図1に示したように、前記外部接続端子部35と前記端子55との間には、ACF60又はACP61が設けられている。
ACF60は、絶縁性の樹脂からなる接着シート中に導電性微粒子が分散され、厚み方向(接続方向)に導電性を有し、面方向(横方向)に絶縁性を有するシート状のものである。導電性微粒子は、例えば銀、金、銅、ニッケル等の金属や炭素等、導電性を有する物質から形成されている。
ACP61は、絶縁性の樹脂と、この樹脂中に分散させられた導電性微粒子とからなるペースト状のものである。
前記シート及び樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂等からなり、溶融した後に固化することで、回路基板10の外部接続端子部35とFPC50の端子55とを接着するようになっている。
また、ACF60及びACP61は、後述するように加圧されることによって加圧方向に導電性微粒子が連続することにより、この連続した導電性微粒子を介して、外部接続端子部35と端子55とを電気的に接続するようになっている。
本実施形態においては、ACF60を用いてFPC50を接続したが、ACF60の代わりにACP61を用いてFPC50を接続するようにしてもよい。
【0026】
次に、電気泳動パネル100にFPC50を実装する方法及び電気泳動装置1の製造方法について図4を用いて説明する。なお、図4においては、電気泳動部200を模式的に示している。
本実施形態においては、前記半導体層31の厚みを50nm、前記絶縁膜32厚みを1600nm、前記保護膜厚みを1000nmとした。
したがって、本実施形態においては、外部接続端子部35の上に2650nmの有機膜37が形成された電気泳動パネル100にFPC50を実装した。
【0027】
FPC50を実装する際には、前記端子55又は、前記外部接続端子部35上にACF60を仮接着したり、あるいはACP61を塗布する必要がある。
本実施形態においては、FPC50の端子55上にACF60を加熱及び加圧することで仮接着を行った。
仮接着の温度は、40℃〜60℃が好ましく、本実施形態では55℃にて仮接着を行った。また、接着する圧力は、20〜40Kg/cmが好ましく、本実施形態では、30Kg/cmで加圧することで仮接着を行った。また、加熱及び加圧する接着時間は、2〜10secが好ましく、本実施形態では、3secにて仮接着を行った。
なお、ACF60の仮接着の方法としては、加熱及び加圧の代わりに、接着テープ等で外部接続端子部35上にACF60を仮接着するようにしてもよい。
【0028】
図4(a)に示すように、FPC50に形成された端子55が、回路基板10に形成された外部接続端子部35の略直上となるように、FPC50の位置合わせを行う。
したがって、端子55と外部接続端子部35との間にはACF60が介在した状態となり、FPC50はACF60と有機膜37とを介して外部接続端子部35上に配置される。
【0029】
次に、図4(a)に示した矢印方向に、FPC50を前記外部接続端子部35に向けて加圧しつつ、ACF60を加熱して、FPC50を電気泳動パネル100に圧着する。
この圧着の条件としては、温度は130℃〜160℃が好ましく、本実施形態では155℃で行った。また、圧力は、20〜40Kg/cmが好ましく、本実施形態では、FPC50にACF60を仮接着した場合と同様に、30Kg/cmで加圧した。また、加熱及び加圧する圧着時間は、2〜10secが好ましく、本実施形態では、FPC50にACF60を仮接着した場合と同様に、3secにて圧着した。
【0030】
ここで前述したように、ACF60に含まれている導電性微粒子は、導電性を有する金属材料等から形成されているので、有機膜37に比べて硬い材料となっている。
よって、図4(b)に示すように、矢印方向に、ACF60を介してFPC50を加圧していくと、前記導電性微粒子が前記有機膜37を押し開くようにして孔を開ける。
したがって、最終的には、図4(c)に示すように、FPC50はACF60を介して端子55に接するようになる。
このとき、前記ACF60内の連続した導電性微粒子の一方が外部接続端子部35に接触するようになり、他方が端子55に接触するようになる。
よって、前記外部接続端子部35と前記端子55とは導電性微粒子を介して導通した状態となる。また、外部接続端子部35と端子55との間には、導電性微粒子によって押し開いてきた有機膜37とACF60中の樹脂とが混在した状態となる。
【0031】
すなわち、ACF60を加熱しているので、接着シートが溶融して固化することで、外部接続端子部35と前記端子55との間を接着して、導電性微粒子による導通状態を保持するようになる。
このようにして、FPC50が電気泳動パネル100上に実装されて、電気泳動装置1が製造される。
【0032】
このような電気泳動表示装置1の製造方法にあっては、FPC50の端子55と外部接続端子35との間に、ACP60が介在するので、FPC50の上から加圧することで、ACF60の中に介在する導電性微粒子が、外部接続端子部35を覆っている有機膜37を押し開くことで、孔を開けるようになる。
よって、有機膜37の剥離を行わずに、電気泳動パネル100の端子55と外部接続端子部35との間で導通を取ることができる。したがって、有機膜34を剥離するためのフォトリソグラフィやエッチングの工程を省くことができ、電気泳動装置1の製造工程を少なくして、電気泳動装置1の製造コストを削減できる。
【0033】
また、半導体素子として有機薄膜トランジスタ10aを用いたので、チャネル領域となる半導体層31が有機膜によって形成されている。よって、半導体層31を例えばスピンコート法で形成した場合、この半導体層31は電気泳動パネル100の外部接続端子部35を覆って形成されるが、本発明の実装方法を採用すれば、前記外部接続端子部35上の半導体層31についてもこれを剥離することなく、FPC50の端子55を前記外部接続端子部35に導通させることができる。よって、前述したように製造工程削減による製造コストの低減化を図ることができる。
【0034】
また、回路基板10がフレキシブル性を備えているので、これを備えた電気泳動パネル100自体がフレキシブル性を有するものとなり、したがって、FPC50を実装した際にも電気泳動装置1全体としてフレキシブル性を有することができる。
【0035】
このようなFPC50を実装方法にあっては、有機膜37を剥離することなくFPC50を実装できる工程を備えているので、電気泳動装置1の製造工程を少なくでき、また製造コストを削減できる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本実施形態においては、ベース基板20の材質としてポリカーボネイトを用いたが本発明はこれに限定されることはなく、ポリエチレンナフタレート(PEN)や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または、FPC51と同一材料のポリイミド等を用いてもよい。また、本実施形態では、トップゲート構造について説明したが、構造を限定するものではなく、ボトムゲート構造であってもよい。
また、本実施形態においては、ベース基板20上に形成された半導体層31が有機材料からなる有機薄膜トランジスタ10aの場合について説明したが、無機薄膜トランジスタが基板上に形成されている場合においても、例えば、駆動ICに接続される配線パッド部等の上が有機膜で覆われていれば本発明において導通をとることができる。
また、本実施形態においては、電気泳動パネル100にFPC50圧着して、電気泳動表示装置1を製造したが、回路基板10にFPC50を圧着した後に、電気泳動パネル100を設けることで電気泳動装置1を製造するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の製造方法によって得られた電気泳動装置。
【図2】回路基板の正面図。
【図3】回路基板の要部模式断面図。
【図4】(a)、(b)、(c)は、本発明の実装方法の模式的な工程説明図。
【符号の説明】
【0038】
1…電気泳動装置(電気光学装置)、10…回路基板(基板)、10a…有機薄膜トランジスタ(半導体素子)、20…ベース基板(基板)、35…外部接続端子部(第1の端子部)、37…有機膜、50…FPC(フレキシブルプリント基板)、55…端子(第2の端子部)、60…ACF(異方性導電フィルム)、61…ACP(異方性導電ペースト)、100…電気泳動パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、該半導体素子と外部とに電気的に接続する第1の端子部と、該第1の端子部を覆う有機膜を備える基板にフレキシブルプリント基板を実装する方法であって、
前記フレキシブルプリント基板上の第2の端子部を前記有機膜上から前記第1の端子部に向けて加圧し、前記有機膜を突き破ることで前記第1の端子部と導通させる工程と、を有することを特徴とするフレキシブルプリント基板の実装方法。
【請求項2】
基板上に、半導体素子と、該半導体素子と外部とに電気的に接続する第1の端子部と、を形成し、該第1の端子部を覆うように有機膜を形成する工程と、
前記基板に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板の前記第2の端子部を前記有機膜上から前記第1の端子部に向けて加圧し、該第1の端子部と導通させる工程と、を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記第2の端子部と前記有機膜との間に異方性導電ペースト又は異方性導電フィルムを介在することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記半導体素子が有機薄膜トランジスタであることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記基板が可撓性を有したものであることを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−41374(P2006−41374A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222060(P2004−222060)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】