説明

フレーム補強部材

【課題】車体フレームへの固定構造が従来に比べより強固となるようなフレーム補強部材の形状を提案する。
【解決手段】底面部及び該底面部両端部分を同じ側に曲折してなる側面部からなる断面コ字形状の車体フレームのサイドレール10内側に固定されるフレーム補強部材20において、底面部21及び該底面部両端部分を同じ側に曲折してなる側面部22を有すると共に、これら側面部22の先端部分を内側に曲折してなり、サイドレール10の底面部11に当接して固定される固定面部23を少なくとも部分的に有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームを部分的に補強する補強部材に関する。
【背景技術】
【0002】
底面部及び該底面部両端部分を同じ側に曲折してなる側面部からなるコ字形状の断面をもつ車体フレームについて部分的に補強を行うには、通常、図5示すようなフレーム補強部材を溶接している(たとえば特許文献1)。すなわち、フレーム1より若干小さくした同じくコ字形状の補強部材2をフレーム1の内側に挿入して四角形の閉断面を形成し、重なり合ったフレーム1の側面部1aと補強部材2の側面部2aとを溶接し固定してある。
【0003】
【特許文献1】特開平10−147255号公報
【0004】
しかし、このような補強構造の場合、矢印AやBで示すように、フレーム1又は補強部材2の底面部1b,2bに横からの力が加わったときに、溶接を剪断する方向に力が働くことになるので、フレーム1と補強部材2との溶接が剥がれ固定が弱くなってしまうという改善点が存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような背景に着目して、より強固な固定構造を得られるようなフレーム補強部材の形状を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、底面部及び該底面部両端部分を同じ側に曲折してなる側面部からなる断面コ字形状の車体フレームのサイドレール内側に固定されるフレーム補強部材において、底面部及び該底面部両端部分を同じ側に曲折してなる側面部を有すつと共に、これら側面部の先端部分を内側に曲折してなり、車体フレームの底面部に当接して固定される固定面部(言い換えれば断面略C字形状もしくは角パイプ形状)を少なくとも部分的に有することを特徴とする。
【0007】
このようなフレーム補強部材は、その固定面部を、スポット溶接やボルト及びナット等による所定のピッチで設けた固定手段を利用して車体フレームの底面部に固定するものとすることができる。その固定手段のピッチは非等間隔とし、特に、車両後方へ向かうほどピッチが密になる(間隔が狭くなる)ようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、側面部の先端部分を内側に曲折してなり車体フレームの底面部に当接する固定面部により固定する構造としたことにより、上述の背景技術のように、サイドレールに対し横からの力が加わった場合でも、固定剪断方向には力がかからないため、固定力がより強固である。
【0009】
また、固定面部は、ボルト及びナットによる固定手段にて固定するようにすると、組み立て作業が非常に容易である。
【0010】
さらに、固定手段のピッチを非等間隔、特に車両後方へ向かうにつれてピッチが密になるようにしておくと、ピッチが粗の側が比較的壊れやすいクラッシャブルゾーンとなって衝撃を吸収し且つピッチが密の側が比較的壊れにくいセイフティゾーンとなり得、耐衝撃性に優れるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に、断面コ字形状の車体フレームのサイドレール10に対し部分的に適用したフレーム補強部材20の例を示している。
【0012】
このフレーム補強部材20は、サイドレール10の前端部分を補強するものであり、図1の反対側から見た図2及び図3と断面図の図4から分かる通り、底面部21、底面部21の両端部分を同じ側に曲折してなる側面部22、そして側面部22の先端部分を内側に曲折してなる固定面部23からなる断面C字形状を有している。当該固定構造は長手方向に全体的に形成することももちろん可能であるが、本例の場合、補強部材20の前側部分は、サイドレール10の形状に合わせた異形断面をもっており、固定構造は後半部分に部分的に形成されている。
【0013】
固定面部23は、サイドレール10の底面部11に当接し、本例の固定手段としてのボルト及びナット24にて所定のピッチPで固定される。断面図の図4から分かる通り、矢印X及びYで示すように底面部11,21に対し横からの力が加えられた場合でも、固定面部23はサイドレール10の底面部11に固定されているため、固定を剪断する方向の力とはならない。したがって、従来構造に比べ格段に強固な固定構造となっている。
【0014】
ボルト及びナット24のピッチは、本例では等間隔に示してあるが、車両後方(矢印Z)へ向かうにつれてピッチが密になり、より多くのボルト及びナット24で固定される構造とすることにより、クラッシャブルゾーン(ピッチ粗)とセイフティゾーン(ピッチ密)とを形成することができ、安全性の面でより有利になる。
【0015】
また、本例の補強部材20はボルト及びナット24による後付方式なので、サイドレール10の内側にハーネス等を通す作業が比較的楽になるという利点も有している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のフレーム補強部材を車体フレームに固定した状態を示す斜視図。
【図2】図1の反対側から見た拡大斜視図。
【図3】本発明のフレーム補強部材の斜視図。
【図4】本発明のフレーム補強部材を車体フレームに固定した状態の断面図。
【図5】従来のフレーム補強部材を車体フレームに固定した状態の断面図。
【符号の説明】
【0017】
10 サイドレール(車体フレーム)
11 底面部
20 補強部材
21 底面部
22 側面部
23 底面部
24 固定手段(ボルト及びナット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び該底面部両端部分を同じ側に曲折してなる側面部からなる断面コ字形状の車体フレームのサイドレール内側に固定されるフレーム補強部材において、
底面部及び該底面部両端部分を同じ側に曲折してなる側面部を有すると共に、これら側面部の先端部分を内側に曲折してなり、前記車体フレームの底面部に当接して固定される固定面部を少なくとも部分的に有することを特徴とするフレーム補強部材。
【請求項2】
固定面部を、所定のピッチで設けた固定手段を利用して車体フレームの底面部に固定する請求項1記載のフレーム補強部材。
【請求項3】
固定手段のピッチが非等間隔である請求項2記載のフレーム補強部材。
【請求項4】
固定手段のピッチが車両後方へ向かうほど密になる請求項3記載のフレーム補強部材。
【請求項5】
固定手段がボルト及びナットである請求項2〜4のいずれか1項に記載のフレーム補強部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−69401(P2006−69401A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256360(P2004−256360)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(504334865)日産ライトトラック株式会社 (60)
【Fターム(参考)】