フロアコンセント装置
【課題】 より取り扱いの容易なフロアコンセント装置を得る。
【解決手段】 固定部2に、ネジ13を挿通する第一および第二の貫通孔が連通された略だるま状の貫通穴12が形成され、当該固定部2が、第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジ13を用いて床側に固定されるフロアコンセント装置1において、ネジ13に保持されて、貫通穴12のネジ13の挿通されない部分を塞ぐ閉塞体14を設けた。
【解決手段】 固定部2に、ネジ13を挿通する第一および第二の貫通孔が連通された略だるま状の貫通穴12が形成され、当該固定部2が、第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジ13を用いて床側に固定されるフロアコンセント装置1において、ネジ13に保持されて、貫通穴12のネジ13の挿通されない部分を塞ぐ閉塞体14を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床に設置されるポップアップ型のフロアコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のフロアコンセント装置には、コンセントを備えた可動部がフロアプレートの開口部から床面上に突出した突出状態と、当該可動部が床面下に収納された収納状態と、を切り替えることができるように構成されたものがある。
【0003】
さらに、この種のフロアコンセント装置のうち、フロアプレートに、床上側に向けてテーパ状に拡開する長孔を設けるとともに、その長孔に嵌め込むブッシングの中心からずれた位置にネジ挿通孔を形成して、そのブッシングを長孔に嵌め込む姿勢によってネジ挿通孔の位置を変化させ、以て、ネジ固定位置が相互に異なる二つのネジ固定方式、すなわち、直接固定方式と、挟み込み方式との双方に対応できるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特公平7−75451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるフロアコンセント装置では、ブッシングが比較的小さい部品であるため、ネジの着脱作業時等に、ブッシングが不本意に転がったり、さらに床上や床下に落下したりして、取り扱いが面倒であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、より取り扱いの容易なフロアコンセント装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、開口部を有して床側に固定される固定部と、コネクタブロックを有し、当該コネクタブロックが上記開口部から床面上に突出して当該コネクタブロックにコネクタを接続可能な突出状態と、当該コネクタブロックが床面下に収納された収納状態と、が切り替え可能となるように上記固定部に支持される可動部と、を備え、上記固定部には、ネジを挿通する第一および第二の貫通孔が連通された貫通穴が形成され、当該固定部が、上記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジを用いて床側に固定されるフロアコンセント装置において、上記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有する閉塞体を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、上記被保持部は、ネジの頭部のネジ部との境界部またはネジ部に保持され、ネジの頭部と上記固定部とが直接的に当接するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記被保持部は、ネジに弾性的に嵌着されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、上記被保持部は、略Cリング状に形成されてネジの周囲を抱持することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、上記被保持部のCリングの切断部に臨む一対の端部に、テーパ状の面取りを施したことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明にあっては、上記テーパ状の面取りが、当該被保持部が装着されるネジの軸方向の一方側に向けて拡開するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明にあっては、上記フロアコンセント装置に用いられる閉塞体において、上記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、閉塞体をネジに保持させることができるため、当該閉塞体が不本意に転がったり、床上や床下に落下したりしにくくなり、取り扱いがより容易になるという利点がある。
【0014】
請求項2の発明によれば、少なくともネジの頭部の端部側と固定部との間に閉塞体が介在しないようにすることができ、その分、当該閉塞体を平面視でより小さくすることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、閉塞体をネジに比較的容易に保持させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、Cリングの切断部にネジを挿通させることで、被保持部がネジを抱持する状態を比較的容易に得ることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、テーパ状の面取りによって、Cリングの切断部にネジをより容易に挿通させることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、閉塞体を傾けてネジの軸方向に沿って動かすことで、Cリングの切断部にネジをより一層容易に挿通させることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、閉塞体をネジに保持させることで、当該閉塞体が不本意に転がったり、開口部から床下側に落下したりしにくくなり、取り扱いがより容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかるフロアコンセント装置の可動部が床面上に突出した突出状態を示す斜視図、図2は、フロアコンセント装置の可動部が床下に収納された収納状態を示す斜視図、図3は、フロアコンセント装置を直接固定方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図、図4は、フロアコンセント装置を挟み込み方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図、図5は、フロアコンセント装置によって挟み込み方式で固定される様子を示す縦断面図であって、(a)は固定前、(b)は固定後を示す図、図6は、フロアコンセント装置の固定部の平面図(床上側から見た図)、図7は、フロアコンセント装置の固定部に形成される貫通穴の斜視図、図8は、フロアコンセント装置の閉塞体を示す斜視図、図9は、閉塞体がネジに保持された状態を示す側面図、図10は、貫通穴に閉塞体のみが挿入された状態を示す斜視図、図11は、フロアコンセント装置を床下側から見た平面図、図12は、フロアコンセント装置の貫通穴に閉塞体およびネジを装着した状態を示す縦断面図である。
【0021】
フロアコンセント装置1は、床に対して固定される固定部2と、使用時に床面上に突出する可動部3とを備えている。可動部3は、固定部2にヒンジ部(図示せず)を介して回動可能に支持されるとともに、コイルスプリング(図示せず)等の付勢手段によって突出側に付勢されており、固定部2のフロアプレート4の表面に設けられた操作子7を動かして可動部3と固定部2とのロックを解除すると、当該付勢力によって、可動部3がフロアプレート4の開口部4aから突出するようになっている。可動部3と固定部2とは、突出状態でもロックされており、操作子7を動かしてこのロックを解除しない限り、可動部3を押し下げて収納状態に戻すことができないようになっている。
【0022】
固定部2は、床面上に載置されるフロアプレート4の他、フロアプレート4の下面に固定されるフレーム5と、フレーム5に支持されて、コネクタブロック9と床下配線(図示せず)との中継部として機能する端子台(図示せず)を覆う端子台カバー6と、を備える。なお、操作子7は、フロアプレート4に、当該フロアプレート4の表面に沿ってスライド可能に支持されている。
【0023】
一方、可動部3は、箱状の筐体部8と、当該筐体部8に嵌め込まれて固定されるコネクタブロック(例えばコンセントブロック)9と、筐体部8の上部に固定される天板部10と、を備える。コネクタブロック9は、可動部3が突出した状態で、床上に露出し、所定のコネクタ(電源プラグ等)を接続できるようになっている。
【0024】
フロアプレート4の中央部には、可動部3の天板部10を受け入れる凹部11が形成されており、この凹部11の底部に可動部3を挿通する開口部4aが形成されている。
【0025】
かかる固定部2および可動部3を含むフロアコンセント装置1は、フロアプレート4の上面に形成された貫通穴12に挿通させたネジ(例えば皿ネジ等)13により、床下側に固定される構成部品(ボックスカバー17A(図3),17B(図4))に固定される。なお、貫通穴12の上部にはネジ13の頭部を受け入れる座繰り部12c,12d(図7)が形成されている。
【0026】
この貫通穴12は、開口部4aの側部の凹部11の底面に形成されており、図2に示す収納状態では、ネジ13(および閉塞体14)が可動部3の天板部10によって被覆され、美観の向上を図ることができる上、ネジ13を外す等の不正なアクセスを抑制できるという利点がある。
【0027】
また、この貫通穴12は、ネジ13を挿通する同じ大きさの二つの貫通孔の一部同士を重ね合て平面視でだるま状に形成されており、ネジ13が配置されない側は、閉塞体14によって閉塞される。
【0028】
そして、図3に示すように、床下に固定される収納ボックス15の開口部を覆うように、雌ネジ孔付きのボックスカバー17Aが固定されているときには、ネジ13を外側に、かつ閉塞体14を内側にした状態で、閉塞体14を保持したネジ13を貫通穴12に挿入し、ネジ13をネジ孔22に螺結する。かかる部品の構成ならびに配置は、直接固定方式に対応するものである。
【0029】
一方、図4に示すように、床下に固定される収納ボックス15の開口部を覆うように、雌ネジ孔の無いボックスカバー17Bが載置されているときには、ネジ13を内側に、かつ閉塞体14を内側にした状態で、閉塞体14を保持したネジ13を貫通穴12に挿入する。かかる部品の構成ならびに配置は、ナット16aおよび挟み込みアーム16bを使用する挟み込み固定方式に対応するものである。
【0030】
具体的には、図5の(a)および(b)に示すように、ネジ13を締め付けることでナット16aを上方に押し上げ、このナット16aによって、フレーム5に回動可能に保持した挟み込みアーム16bを上側に傾動させ、以て、挟み込みアーム16bとボックスカバー17Bの上側に当接するフロアプレート4とでボックスカバー17Bを狭持する。なお、ネジ部13bは、挟み込みアーム16bの貫通孔を貫通し、当該貫通孔によってガイドされる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、二種類のボックスカバー17A,17Bに対し、フロアコンセント装置1、ネジ13、および閉塞体14を共用することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、これらボックスカバー17A,17Bは、いずれも、ネジ18によって、収納ボックス15に締結されている。ボックスカバー17A,17Bの中央部には略円形の開口部19A,19Bが形成されており、この開口部19A,19Bから、フロアプレート4の裏面側に配置あるいは収納される構成要素、すなわち可動部3や、固定部2のフレーム5や端子台カバー6等が、収納ボックス15内に挿入される。開口部19A,19Bは、ボックスカバー17A,17Bの中央部で上側に突出したボス部20A,20Bに形成されており、ボックスカバー17Aについては、開口部19Aの周縁部から内側に張り出す一対の対向するフランジ部21が形成され、このフランジ部21にネジ孔22が形成されている。
【0033】
ここで、貫通穴12、閉塞体14、およびそれらに関連するより詳細な構成について、図6〜図12を参照しながら説明する。
【0034】
図6および図7に示すように、貫通穴12は、同一形状の軸心位置が異なる二つの貫通孔12a,12bの一部を重ねるようにしてだるま状に形成されており、その上部には、皿ネジとしてのネジ13の頭部13a(の側面13c)を当接させるすり鉢状の座繰り部12c,12dが形成されている。
【0035】
この貫通穴12は、突出した可動部3のコネクタブロック9の両サイドに、開口部4aを挟んで対称に合計二個設けられている。各貫通穴12において、開口部4aに近い側の貫通孔12aおよび座繰り部12cは、直接固定方式において閉塞体14の閉塞部14bおよび基体部14g(図8)を受け入れるとともに、挟み込み固定方式においてネジ13および閉塞体14の被保持部14a(図8)を受け入れる。一方、開口部4aから遠い側の貫通孔12bおよび座繰り部12dは、直接固定方式においてネジ13および閉塞体14の被保持部14aを受け入れるとともに、挟み込み固定方式において閉塞体14の閉塞部14bおよび基体部14gを受け入れる。
【0036】
ここで、本実施形態では、図6に示すように、貫通孔12bを、貫通孔12aに対してコネクタブロック9の接続面側の反対側(すなわち図6では上側)にオフセットさせている。これにより、直接固定方式のときに、ボックスカバー17Aの開口部19Aの中心に対して、フロアコンセント装置1の中心をコネクタブロック9の接続面側にオフセットして配置することができる。こうすることで、端子台カバー6の設置スペースを拡張して、当該端子台カバー6内で配線を配索する空間をより広く確保することができる。
【0037】
一方、閉塞体14は、ネジ部13bに保持される被保持部14aと、二つの貫通孔12a,12bのうちいずれか一方を閉塞する閉塞部14bとを備える。この閉塞部14bは、座繰り部12c,12dの形状に合わせて上方に向けて拡がっており、その下部には、貫通孔12aまたは12b内に挿入される略円柱状の基体部14gが連設され、当該基体部14gの側壁から、略Cリング状(平面視で略C字状)の被保持部14aが突設されている。閉塞部14bの被保持部14a側はすり鉢状に抉られて、ネジ13の頭部13aの座繰り面14cが形成され、一方、基体部14gの被保持部14aと反対側は段差状に切り欠かれて、凹部14fが形成されている。
【0038】
この閉塞体14は、弾性を有する弾性体(例えば樹脂等)を所定形状に成形してなるものであり、略Cリング状に形成された被保持部14aは、図9に示すように、ネジ部13bの頭部13aとの境界部近傍の周囲を弾性力によって抱持している。このとき、被保持部14aの内周面に、環状あるいはネジに略適合する螺旋状の溝または突起を形成して、脱落を抑制するようにしてもよい。
【0039】
また、被保持部14aのCリングの切断部に臨む一対の端部14dには、テーパ状の面取り14eを施してある。本実施形態では、面取り14eは、ネジ部13bの軸端側に向けて拡開するテーパ状に形成されており、Cリングの切断部がネジ13の頭部13a側を向くように傾けて、当該面取り14eをネジ部13bの側面に押し当てることでCリングの切断部の間隔を拡げて、ネジ13に容易に装着できるようにしている。
【0040】
そして、図10に示すように、閉塞体14が貫通穴12内に挿入された状態では、閉塞部14bが座繰り部12c上に載置されて、貫通孔12aを塞ぐ一方、被保持部14aは、座繰り部12dより下の貫通孔12b内に挿入される。よって、ネジ13の頭部13aの側面13cは、固定部2に形成された座繰り部12dに直接当接することになる。なお、このとき、図10に示すように、閉塞部14bに形成された座繰り面14cが、固定部2の座繰り部12dにほぼ連なって、全体的にすり鉢状の座繰り形状が形成されていることが理解できよう。また、図10とは逆に、座繰り部12d側に閉塞部14bを配置した場合には、被保持部14aは貫通孔12a内に挿入され、ネジ13の頭部13aの側面13cは、座繰り部12cに直接当接することになる。
【0041】
また、図11および図12に示すように、本実施形態では、固定部2のフレーム5に形成された円形穴5aに、フロアプレート4から裏面側に伸びる略円筒状の突起4bが嵌挿され、フロアプレート4とフレーム5とが位置決めされている。この円筒状の突起4bの内側に、貫通孔12aが形成されている。よって、突起4bは、貫通孔12bの部分が切り欠かれ、平面視では略C字状に形成されている。ここで、閉塞体14の基体部14gは、突起4bの周壁と連なるようにして切り欠かれて凹部14fが形成されており、これにより、フロアコンセント装置1をボックスカバー17B上に載置したときに、ボックスカバー17Bの開口部19Bと閉塞体14とが干渉するのが抑制されている。
【0042】
以上の本実施形態によれば、閉塞体14をネジ13に保持させることができるため、当該閉塞体14が不本意に転がったり、床上に落下したり、開口部19A等から床下側に落下したりしにくくなり、取り扱いがより容易になるという利点がある。
【0043】
また、本実施形態によれば、少なくともネジ13の頭部13aと固定部2の座繰り部12dとの間に閉塞体14が介在しないようにすることができ、その分、当該閉塞体14を平面視でより小さくすることができる。
【0044】
かかる構成は、本実施形態のように天板部10によって貫通穴12を覆う構成の場合に、凹部11および天板部10をより小さくすることができて、特に有効である。
【0045】
また、上記従来技術のように、ブッシングを介してネジ止めする場合、ネジの締め付けに伴う高い押圧力に耐えうるブッシングの耐久性が要求され、例えば金属部材とする等、かかる観点による材質や形状の設定が要求されるが、本実施形態の場合には、ネジ13の頭部13aと固定部2(座繰り部12cまたは12d)とを直接当接させることで、閉塞体14には上記従来技術のような高い押圧力が作用しないようにすることができる。すなわち、換言すれば、本実施形態によれば、ネジ13の締め付けによって閉塞体14に作用する押圧力を従来より軽減することができ、その分、閉塞体14の耐久性を向上させることができる。
【0046】
そして、閉塞体14の材質として、樹脂やゴム等の弾性体を選択した場合、閉塞部14bによってネジ13を挿通させない側の貫通孔12aまたは12bにおけるシール性を高めることができるという利点がある。
【0047】
また、本実施形態によれば、閉塞体14をネジ13に弾性的に嵌着するようにしたため、当該閉塞体14がネジ13に保持された状態を、より容易に得ることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、被保持部14aを略Cリング状に形成したため、当該Cリングの切断部にネジ13を挿通させることができ、ネジ13が被保持部14aによって抱持された状態を、さらに容易に得ることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、被保持部14aのCリングの切断部に臨む一対の端部14dに、テーパ状の面取り14eを施したため、当該切断部にネジ13をより容易に挿通させることができ、ネジ13が被保持部14aによって抱持された状態を、より一層容易に得ることができる。
【0050】
また、本実施形態のように、テーパ状の面取り14eを、ネジ13の軸端側に向けて拡開させるようにした場合、閉塞体14を傾けてネジ13の軸方向に沿って動かすことで、Cリングの切断部にネジをより一層容易に挿通させることができ、ネジ13が被保持部14aによって抱持された状態を、さらに容易に得ることができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず種々の変形が可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態では、平面視で円形状のフロアコンセント装置の場合を例に挙げて説明したが、本発明は、略矩形状のフロアコンセント装置についても同様に実施可能であるし、また、可動部が回動するのではなく、上下動するタイプについても、同様に実施可能である。また、可動部は、電源コンセント用のコンセントブロックに替えて、あるいはコンセントブロックとともに、電話線やLANケーブル用のコネクタブロックを装備したものとしてもよい。また、皿ネジ以外のネジを用いることも可能である。
【0053】
また、上記実施形態では、被保持部がネジ部に保持される形態を例示したが、何らかの係合手段によって被保持部が頭部のネジ部側に保持されるようにしてもよいし、頭部とネジ部との境界部分に跨って保持されるようにしてもよい。また、グリスを塗布する等して、閉塞体がネジから脱落するのを抑制するようにしてもよい。
【0054】
また、Cリングの一対の被保持部同士が相互に当接するように形成してもよいし、被保持部を環状に形成してもよい。
【0055】
また、テーパ状の面取りは、ネジの頭部方向に向けて拡開させてもよいし、ネジの軸方向両端側に形成してもよいし、Cリングの径方向外側に向けて拡開する面取りを施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の可動部が床面上に突出した突出状態を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の可動部が床下に収納された収納状態を示す斜視図。
【図3】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置を直接固定方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図。
【図4】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置を挟み込み方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図。
【図5】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置が挟み込み方式で固定される様子を示す縦断面図であって、(a)は固定前、(b)は固定後を示す図。
【図6】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の固定部の平面図。
【図7】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の固定部に形成される貫通穴の斜視図。
【図8】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の閉塞体を示す斜視図。
【図9】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の閉塞体がネジに保持された状態を示す側面図。
【図10】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の固定部に形成される貫通穴に閉塞体のみが挿入された状態を示す斜視図。
【図11】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置を床下側から見た平面図。
【図12】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の貫通穴に閉塞体およびネジを装着した状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0057】
1 フロアコンセント装置
2 固定部
3 可動部
4a 開口部
9 コネクタブロック
12 貫通穴
12a,12b 貫通孔
13 ネジ
13a 頭部
13b ネジ部
14 閉塞体
14a 被保持部
14b 閉塞部
14d 端部
14e 面取り
【技術分野】
【0001】
本発明は、床に設置されるポップアップ型のフロアコンセント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のフロアコンセント装置には、コンセントを備えた可動部がフロアプレートの開口部から床面上に突出した突出状態と、当該可動部が床面下に収納された収納状態と、を切り替えることができるように構成されたものがある。
【0003】
さらに、この種のフロアコンセント装置のうち、フロアプレートに、床上側に向けてテーパ状に拡開する長孔を設けるとともに、その長孔に嵌め込むブッシングの中心からずれた位置にネジ挿通孔を形成して、そのブッシングを長孔に嵌め込む姿勢によってネジ挿通孔の位置を変化させ、以て、ネジ固定位置が相互に異なる二つのネジ固定方式、すなわち、直接固定方式と、挟み込み方式との双方に対応できるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特公平7−75451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるフロアコンセント装置では、ブッシングが比較的小さい部品であるため、ネジの着脱作業時等に、ブッシングが不本意に転がったり、さらに床上や床下に落下したりして、取り扱いが面倒であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、より取り扱いの容易なフロアコンセント装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、開口部を有して床側に固定される固定部と、コネクタブロックを有し、当該コネクタブロックが上記開口部から床面上に突出して当該コネクタブロックにコネクタを接続可能な突出状態と、当該コネクタブロックが床面下に収納された収納状態と、が切り替え可能となるように上記固定部に支持される可動部と、を備え、上記固定部には、ネジを挿通する第一および第二の貫通孔が連通された貫通穴が形成され、当該固定部が、上記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジを用いて床側に固定されるフロアコンセント装置において、上記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有する閉塞体を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、上記被保持部は、ネジの頭部のネジ部との境界部またはネジ部に保持され、ネジの頭部と上記固定部とが直接的に当接するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記被保持部は、ネジに弾性的に嵌着されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、上記被保持部は、略Cリング状に形成されてネジの周囲を抱持することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、上記被保持部のCリングの切断部に臨む一対の端部に、テーパ状の面取りを施したことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明にあっては、上記テーパ状の面取りが、当該被保持部が装着されるネジの軸方向の一方側に向けて拡開するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明にあっては、上記フロアコンセント装置に用いられる閉塞体において、上記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、閉塞体をネジに保持させることができるため、当該閉塞体が不本意に転がったり、床上や床下に落下したりしにくくなり、取り扱いがより容易になるという利点がある。
【0014】
請求項2の発明によれば、少なくともネジの頭部の端部側と固定部との間に閉塞体が介在しないようにすることができ、その分、当該閉塞体を平面視でより小さくすることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、閉塞体をネジに比較的容易に保持させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、Cリングの切断部にネジを挿通させることで、被保持部がネジを抱持する状態を比較的容易に得ることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、テーパ状の面取りによって、Cリングの切断部にネジをより容易に挿通させることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、閉塞体を傾けてネジの軸方向に沿って動かすことで、Cリングの切断部にネジをより一層容易に挿通させることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、閉塞体をネジに保持させることで、当該閉塞体が不本意に転がったり、開口部から床下側に落下したりしにくくなり、取り扱いがより容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかるフロアコンセント装置の可動部が床面上に突出した突出状態を示す斜視図、図2は、フロアコンセント装置の可動部が床下に収納された収納状態を示す斜視図、図3は、フロアコンセント装置を直接固定方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図、図4は、フロアコンセント装置を挟み込み方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図、図5は、フロアコンセント装置によって挟み込み方式で固定される様子を示す縦断面図であって、(a)は固定前、(b)は固定後を示す図、図6は、フロアコンセント装置の固定部の平面図(床上側から見た図)、図7は、フロアコンセント装置の固定部に形成される貫通穴の斜視図、図8は、フロアコンセント装置の閉塞体を示す斜視図、図9は、閉塞体がネジに保持された状態を示す側面図、図10は、貫通穴に閉塞体のみが挿入された状態を示す斜視図、図11は、フロアコンセント装置を床下側から見た平面図、図12は、フロアコンセント装置の貫通穴に閉塞体およびネジを装着した状態を示す縦断面図である。
【0021】
フロアコンセント装置1は、床に対して固定される固定部2と、使用時に床面上に突出する可動部3とを備えている。可動部3は、固定部2にヒンジ部(図示せず)を介して回動可能に支持されるとともに、コイルスプリング(図示せず)等の付勢手段によって突出側に付勢されており、固定部2のフロアプレート4の表面に設けられた操作子7を動かして可動部3と固定部2とのロックを解除すると、当該付勢力によって、可動部3がフロアプレート4の開口部4aから突出するようになっている。可動部3と固定部2とは、突出状態でもロックされており、操作子7を動かしてこのロックを解除しない限り、可動部3を押し下げて収納状態に戻すことができないようになっている。
【0022】
固定部2は、床面上に載置されるフロアプレート4の他、フロアプレート4の下面に固定されるフレーム5と、フレーム5に支持されて、コネクタブロック9と床下配線(図示せず)との中継部として機能する端子台(図示せず)を覆う端子台カバー6と、を備える。なお、操作子7は、フロアプレート4に、当該フロアプレート4の表面に沿ってスライド可能に支持されている。
【0023】
一方、可動部3は、箱状の筐体部8と、当該筐体部8に嵌め込まれて固定されるコネクタブロック(例えばコンセントブロック)9と、筐体部8の上部に固定される天板部10と、を備える。コネクタブロック9は、可動部3が突出した状態で、床上に露出し、所定のコネクタ(電源プラグ等)を接続できるようになっている。
【0024】
フロアプレート4の中央部には、可動部3の天板部10を受け入れる凹部11が形成されており、この凹部11の底部に可動部3を挿通する開口部4aが形成されている。
【0025】
かかる固定部2および可動部3を含むフロアコンセント装置1は、フロアプレート4の上面に形成された貫通穴12に挿通させたネジ(例えば皿ネジ等)13により、床下側に固定される構成部品(ボックスカバー17A(図3),17B(図4))に固定される。なお、貫通穴12の上部にはネジ13の頭部を受け入れる座繰り部12c,12d(図7)が形成されている。
【0026】
この貫通穴12は、開口部4aの側部の凹部11の底面に形成されており、図2に示す収納状態では、ネジ13(および閉塞体14)が可動部3の天板部10によって被覆され、美観の向上を図ることができる上、ネジ13を外す等の不正なアクセスを抑制できるという利点がある。
【0027】
また、この貫通穴12は、ネジ13を挿通する同じ大きさの二つの貫通孔の一部同士を重ね合て平面視でだるま状に形成されており、ネジ13が配置されない側は、閉塞体14によって閉塞される。
【0028】
そして、図3に示すように、床下に固定される収納ボックス15の開口部を覆うように、雌ネジ孔付きのボックスカバー17Aが固定されているときには、ネジ13を外側に、かつ閉塞体14を内側にした状態で、閉塞体14を保持したネジ13を貫通穴12に挿入し、ネジ13をネジ孔22に螺結する。かかる部品の構成ならびに配置は、直接固定方式に対応するものである。
【0029】
一方、図4に示すように、床下に固定される収納ボックス15の開口部を覆うように、雌ネジ孔の無いボックスカバー17Bが載置されているときには、ネジ13を内側に、かつ閉塞体14を内側にした状態で、閉塞体14を保持したネジ13を貫通穴12に挿入する。かかる部品の構成ならびに配置は、ナット16aおよび挟み込みアーム16bを使用する挟み込み固定方式に対応するものである。
【0030】
具体的には、図5の(a)および(b)に示すように、ネジ13を締め付けることでナット16aを上方に押し上げ、このナット16aによって、フレーム5に回動可能に保持した挟み込みアーム16bを上側に傾動させ、以て、挟み込みアーム16bとボックスカバー17Bの上側に当接するフロアプレート4とでボックスカバー17Bを狭持する。なお、ネジ部13bは、挟み込みアーム16bの貫通孔を貫通し、当該貫通孔によってガイドされる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、二種類のボックスカバー17A,17Bに対し、フロアコンセント装置1、ネジ13、および閉塞体14を共用することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、これらボックスカバー17A,17Bは、いずれも、ネジ18によって、収納ボックス15に締結されている。ボックスカバー17A,17Bの中央部には略円形の開口部19A,19Bが形成されており、この開口部19A,19Bから、フロアプレート4の裏面側に配置あるいは収納される構成要素、すなわち可動部3や、固定部2のフレーム5や端子台カバー6等が、収納ボックス15内に挿入される。開口部19A,19Bは、ボックスカバー17A,17Bの中央部で上側に突出したボス部20A,20Bに形成されており、ボックスカバー17Aについては、開口部19Aの周縁部から内側に張り出す一対の対向するフランジ部21が形成され、このフランジ部21にネジ孔22が形成されている。
【0033】
ここで、貫通穴12、閉塞体14、およびそれらに関連するより詳細な構成について、図6〜図12を参照しながら説明する。
【0034】
図6および図7に示すように、貫通穴12は、同一形状の軸心位置が異なる二つの貫通孔12a,12bの一部を重ねるようにしてだるま状に形成されており、その上部には、皿ネジとしてのネジ13の頭部13a(の側面13c)を当接させるすり鉢状の座繰り部12c,12dが形成されている。
【0035】
この貫通穴12は、突出した可動部3のコネクタブロック9の両サイドに、開口部4aを挟んで対称に合計二個設けられている。各貫通穴12において、開口部4aに近い側の貫通孔12aおよび座繰り部12cは、直接固定方式において閉塞体14の閉塞部14bおよび基体部14g(図8)を受け入れるとともに、挟み込み固定方式においてネジ13および閉塞体14の被保持部14a(図8)を受け入れる。一方、開口部4aから遠い側の貫通孔12bおよび座繰り部12dは、直接固定方式においてネジ13および閉塞体14の被保持部14aを受け入れるとともに、挟み込み固定方式において閉塞体14の閉塞部14bおよび基体部14gを受け入れる。
【0036】
ここで、本実施形態では、図6に示すように、貫通孔12bを、貫通孔12aに対してコネクタブロック9の接続面側の反対側(すなわち図6では上側)にオフセットさせている。これにより、直接固定方式のときに、ボックスカバー17Aの開口部19Aの中心に対して、フロアコンセント装置1の中心をコネクタブロック9の接続面側にオフセットして配置することができる。こうすることで、端子台カバー6の設置スペースを拡張して、当該端子台カバー6内で配線を配索する空間をより広く確保することができる。
【0037】
一方、閉塞体14は、ネジ部13bに保持される被保持部14aと、二つの貫通孔12a,12bのうちいずれか一方を閉塞する閉塞部14bとを備える。この閉塞部14bは、座繰り部12c,12dの形状に合わせて上方に向けて拡がっており、その下部には、貫通孔12aまたは12b内に挿入される略円柱状の基体部14gが連設され、当該基体部14gの側壁から、略Cリング状(平面視で略C字状)の被保持部14aが突設されている。閉塞部14bの被保持部14a側はすり鉢状に抉られて、ネジ13の頭部13aの座繰り面14cが形成され、一方、基体部14gの被保持部14aと反対側は段差状に切り欠かれて、凹部14fが形成されている。
【0038】
この閉塞体14は、弾性を有する弾性体(例えば樹脂等)を所定形状に成形してなるものであり、略Cリング状に形成された被保持部14aは、図9に示すように、ネジ部13bの頭部13aとの境界部近傍の周囲を弾性力によって抱持している。このとき、被保持部14aの内周面に、環状あるいはネジに略適合する螺旋状の溝または突起を形成して、脱落を抑制するようにしてもよい。
【0039】
また、被保持部14aのCリングの切断部に臨む一対の端部14dには、テーパ状の面取り14eを施してある。本実施形態では、面取り14eは、ネジ部13bの軸端側に向けて拡開するテーパ状に形成されており、Cリングの切断部がネジ13の頭部13a側を向くように傾けて、当該面取り14eをネジ部13bの側面に押し当てることでCリングの切断部の間隔を拡げて、ネジ13に容易に装着できるようにしている。
【0040】
そして、図10に示すように、閉塞体14が貫通穴12内に挿入された状態では、閉塞部14bが座繰り部12c上に載置されて、貫通孔12aを塞ぐ一方、被保持部14aは、座繰り部12dより下の貫通孔12b内に挿入される。よって、ネジ13の頭部13aの側面13cは、固定部2に形成された座繰り部12dに直接当接することになる。なお、このとき、図10に示すように、閉塞部14bに形成された座繰り面14cが、固定部2の座繰り部12dにほぼ連なって、全体的にすり鉢状の座繰り形状が形成されていることが理解できよう。また、図10とは逆に、座繰り部12d側に閉塞部14bを配置した場合には、被保持部14aは貫通孔12a内に挿入され、ネジ13の頭部13aの側面13cは、座繰り部12cに直接当接することになる。
【0041】
また、図11および図12に示すように、本実施形態では、固定部2のフレーム5に形成された円形穴5aに、フロアプレート4から裏面側に伸びる略円筒状の突起4bが嵌挿され、フロアプレート4とフレーム5とが位置決めされている。この円筒状の突起4bの内側に、貫通孔12aが形成されている。よって、突起4bは、貫通孔12bの部分が切り欠かれ、平面視では略C字状に形成されている。ここで、閉塞体14の基体部14gは、突起4bの周壁と連なるようにして切り欠かれて凹部14fが形成されており、これにより、フロアコンセント装置1をボックスカバー17B上に載置したときに、ボックスカバー17Bの開口部19Bと閉塞体14とが干渉するのが抑制されている。
【0042】
以上の本実施形態によれば、閉塞体14をネジ13に保持させることができるため、当該閉塞体14が不本意に転がったり、床上に落下したり、開口部19A等から床下側に落下したりしにくくなり、取り扱いがより容易になるという利点がある。
【0043】
また、本実施形態によれば、少なくともネジ13の頭部13aと固定部2の座繰り部12dとの間に閉塞体14が介在しないようにすることができ、その分、当該閉塞体14を平面視でより小さくすることができる。
【0044】
かかる構成は、本実施形態のように天板部10によって貫通穴12を覆う構成の場合に、凹部11および天板部10をより小さくすることができて、特に有効である。
【0045】
また、上記従来技術のように、ブッシングを介してネジ止めする場合、ネジの締め付けに伴う高い押圧力に耐えうるブッシングの耐久性が要求され、例えば金属部材とする等、かかる観点による材質や形状の設定が要求されるが、本実施形態の場合には、ネジ13の頭部13aと固定部2(座繰り部12cまたは12d)とを直接当接させることで、閉塞体14には上記従来技術のような高い押圧力が作用しないようにすることができる。すなわち、換言すれば、本実施形態によれば、ネジ13の締め付けによって閉塞体14に作用する押圧力を従来より軽減することができ、その分、閉塞体14の耐久性を向上させることができる。
【0046】
そして、閉塞体14の材質として、樹脂やゴム等の弾性体を選択した場合、閉塞部14bによってネジ13を挿通させない側の貫通孔12aまたは12bにおけるシール性を高めることができるという利点がある。
【0047】
また、本実施形態によれば、閉塞体14をネジ13に弾性的に嵌着するようにしたため、当該閉塞体14がネジ13に保持された状態を、より容易に得ることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、被保持部14aを略Cリング状に形成したため、当該Cリングの切断部にネジ13を挿通させることができ、ネジ13が被保持部14aによって抱持された状態を、さらに容易に得ることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、被保持部14aのCリングの切断部に臨む一対の端部14dに、テーパ状の面取り14eを施したため、当該切断部にネジ13をより容易に挿通させることができ、ネジ13が被保持部14aによって抱持された状態を、より一層容易に得ることができる。
【0050】
また、本実施形態のように、テーパ状の面取り14eを、ネジ13の軸端側に向けて拡開させるようにした場合、閉塞体14を傾けてネジ13の軸方向に沿って動かすことで、Cリングの切断部にネジをより一層容易に挿通させることができ、ネジ13が被保持部14aによって抱持された状態を、さらに容易に得ることができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず種々の変形が可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態では、平面視で円形状のフロアコンセント装置の場合を例に挙げて説明したが、本発明は、略矩形状のフロアコンセント装置についても同様に実施可能であるし、また、可動部が回動するのではなく、上下動するタイプについても、同様に実施可能である。また、可動部は、電源コンセント用のコンセントブロックに替えて、あるいはコンセントブロックとともに、電話線やLANケーブル用のコネクタブロックを装備したものとしてもよい。また、皿ネジ以外のネジを用いることも可能である。
【0053】
また、上記実施形態では、被保持部がネジ部に保持される形態を例示したが、何らかの係合手段によって被保持部が頭部のネジ部側に保持されるようにしてもよいし、頭部とネジ部との境界部分に跨って保持されるようにしてもよい。また、グリスを塗布する等して、閉塞体がネジから脱落するのを抑制するようにしてもよい。
【0054】
また、Cリングの一対の被保持部同士が相互に当接するように形成してもよいし、被保持部を環状に形成してもよい。
【0055】
また、テーパ状の面取りは、ネジの頭部方向に向けて拡開させてもよいし、ネジの軸方向両端側に形成してもよいし、Cリングの径方向外側に向けて拡開する面取りを施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の可動部が床面上に突出した突出状態を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の可動部が床下に収納された収納状態を示す斜視図。
【図3】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置を直接固定方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図。
【図4】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置を挟み込み方式によってネジ止めする対象としての床下側構成部品とともに示す分解斜視図。
【図5】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置が挟み込み方式で固定される様子を示す縦断面図であって、(a)は固定前、(b)は固定後を示す図。
【図6】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の固定部の平面図。
【図7】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の固定部に形成される貫通穴の斜視図。
【図8】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の閉塞体を示す斜視図。
【図9】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の閉塞体がネジに保持された状態を示す側面図。
【図10】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の固定部に形成される貫通穴に閉塞体のみが挿入された状態を示す斜視図。
【図11】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置を床下側から見た平面図。
【図12】本発明の実施形態にかかるフロアコンセント装置の貫通穴に閉塞体およびネジを装着した状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0057】
1 フロアコンセント装置
2 固定部
3 可動部
4a 開口部
9 コネクタブロック
12 貫通穴
12a,12b 貫通孔
13 ネジ
13a 頭部
13b ネジ部
14 閉塞体
14a 被保持部
14b 閉塞部
14d 端部
14e 面取り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有して床側に固定される固定部と、
コネクタブロックを有し、当該コネクタブロックが前記開口部から床面上に突出して当該コネクタブロックにコネクタを接続可能な突出状態と、当該コネクタブロックが床面下に収納された収納状態と、が切り替え可能となるように前記固定部に支持される可動部と、
を備え、
前記固定部には、ネジを挿通する第一および第二の貫通孔が連通された貫通穴が形成され、当該固定部が、前記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジを用いて床側に固定されるフロアコンセント装置において、
前記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有する閉塞体を設けたことを特徴とするフロアコンセント装置。
【請求項2】
前記被保持部は、ネジの頭部のネジ部との境界部またはネジ部に保持され、ネジの頭部と前記固定部とが直接的に当接するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフロアコンセント装置。
【請求項3】
前記被保持部は、ネジに弾性的に嵌着されることを特徴とする請求項1または2に記載のフロアコンセント装置。
【請求項4】
前記被保持部は、略Cリング状に形成されてネジの周囲を抱持することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のフロアコンセント装置。
【請求項5】
前記被保持部のCリングの切断部に臨む一対の端部に、テーパ状の面取りを施したことを特徴とする請求項4に記載のフロアコンセント装置。
【請求項6】
前記テーパ状の面取りが、当該被保持部が装着されるネジの軸方向の一方側に向けて拡開するものであることを特徴とする請求項5に記載のフロアコンセント装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一つに記載のフロアコンセント装置に用いられ、前記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有する閉塞体。
【請求項1】
開口部を有して床側に固定される固定部と、
コネクタブロックを有し、当該コネクタブロックが前記開口部から床面上に突出して当該コネクタブロックにコネクタを接続可能な突出状態と、当該コネクタブロックが床面下に収納された収納状態と、が切り替え可能となるように前記固定部に支持される可動部と、
を備え、
前記固定部には、ネジを挿通する第一および第二の貫通孔が連通された貫通穴が形成され、当該固定部が、前記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジを用いて床側に固定されるフロアコンセント装置において、
前記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有する閉塞体を設けたことを特徴とするフロアコンセント装置。
【請求項2】
前記被保持部は、ネジの頭部のネジ部との境界部またはネジ部に保持され、ネジの頭部と前記固定部とが直接的に当接するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のフロアコンセント装置。
【請求項3】
前記被保持部は、ネジに弾性的に嵌着されることを特徴とする請求項1または2に記載のフロアコンセント装置。
【請求項4】
前記被保持部は、略Cリング状に形成されてネジの周囲を抱持することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のフロアコンセント装置。
【請求項5】
前記被保持部のCリングの切断部に臨む一対の端部に、テーパ状の面取りを施したことを特徴とする請求項4に記載のフロアコンセント装置。
【請求項6】
前記テーパ状の面取りが、当該被保持部が装着されるネジの軸方向の一方側に向けて拡開するものであることを特徴とする請求項5に記載のフロアコンセント装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一つに記載のフロアコンセント装置に用いられ、前記第一および第二の貫通孔のうちいずれか一方に挿通されたネジの頭部またはネジ部に保持される被保持部と、当該被保持部から他方側に伸びて当該他方の貫通孔を塞ぐ閉塞部と、を有する閉塞体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−53830(P2007−53830A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235806(P2005−235806)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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