説明

フード跳ね上げ装置

【課題】作動時に、迅速かつ安定してフードパネルの後端を押し上げ可能なフード跳ね上げ装置を提供すること。
【解決手段】フード跳ね上げ装置Uは、アクチュエータ21の上昇するピストンロッド45の上端をフードパネル10の後端の下面側に当てて押し上げることにより、フードパネル10の後端を上昇させる構成である。ピストンロッド45が、上端側に、フードパネル10に設けられる受け部16に当接されて、受け部16とともにフードパネル10の後端を押し上げる押上部55を、備える。押上部55を受ける受け面16aが、ピストンロッド45の押し上げ方向に対して傾斜している。押上部44が、受け部16と当接した際に、塑性変形して、前後方向に沿った断面において受け面16aと平行とし、前後方向に延びて受け面16aと接触して摺動可能な押上面57bを、形成するように、構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者の車両との接触時において、後端を持ち上げたフードパネルによって歩行者を受け止めることが可能なフード跳ね上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フード跳ね上げ装置としては、作動時に上昇移動するピストンロッドを有したアクチュエータを、フードパネルの後端の下方に配置させ、フードパネルの後端を、このピストンロッドの上端に設けられる押上部により押し上げるようにして、上昇させる構成のものがあった(例えば、特許文献1及び2参照)。具体的には、従来のフード跳ね上げ装置では、フードパネルの後端の下面側に、ピストンロッドの押上部を受ける受け部を、配設させており、この受け部の下端側に位置して、押上部と接触する受け面は、ピストンロッドの押し上げ方向に対して傾斜するように、後上がりで傾斜している構成であった。そして、この種のフード跳ね上げ装置では、押上部は、受け面との接触後、受け面に対して前後方向に沿って相対移動しつつ、フードパネルの後端を押し上げる構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−29367公報
【特許文献2】特開2000−33850公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のフード跳ね上げ装置では、押上部の形状は、略半円球状若しくは略円板状とされており、前後方向に沿った断面において、受け面に対して点当たりで接触することから、押上部が、受け面との接触後、受け面に対して前後方向に沿った後方側に向かうように相対移動しつつ、フードパネルの後端を押し上げる際に、受け面を部分的に凹ませることととなり、押上部における受け面との接触部位が、この受け面に生じた凹みに対して引っ掛かって、円滑に移動できず、押上部を、迅速に上昇移動させがたい場合があった。そのため、従来のフード跳ね上げ装置では、安定してフードパネルの後端を押し上げる点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作動時に、迅速かつ安定してフードパネルの後端を押し上げ可能なフード跳ね上げ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフード跳ね上げ装置は、シリンダと、シリンダから上方へ突出するように配設されるピストンロッドと、を有したアクチュエータが、車両におけるフードパネルの後端の下方に配設され、
作動時、上昇するピストンロッドの上端をフードパネルの後端の下面側に当てて押し上げることにより、フードパネルの後端を上昇させ、上昇したフードパネルにより歩行者を受け止める構成とされて、
ピストンロッドが、上端側に、フードパネルの後端の下面側に設けられる受け部に当接されて、受け部とともにフードパネルの後端を押し上げる押上部を、備える構成とされ、
受け部の下端側に位置して、押上部を受ける受け面が、ピストンロッドの押し上げ方向に対して傾斜するように、後上がりに傾斜して構成されるフード跳ね上げ装置において、
押上部が、上昇移動時において受け部と当接した際に、塑性変形して、受け部の前後方向に沿った断面において受け面と平行とし、前後方向に延びて受け面と接触して摺動可能な押上面を、形成するように、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のフード跳ね上げ装置では、作動時に、アクチュエータのピストンロッドが上昇すれば、ピストンロッドの上端に設けられた押上部が、フードパネルの後端の下面側に設けられる受け部に当接されて、受け部とともにフードパネルの後端を押し上げることとなる。このとき、本発明のフード跳ね上げ装置では、受け部の下端側に位置して、押上部を受ける受け面が、ピストンロッドの押し上げ方向に対して傾斜するように、後上がりに傾斜して構成されるものの、押上部は、上昇移動時において受け部と当接した際に、塑性変形することとなり、この塑性変形時に、受け部の前後方向に沿った断面において受け面と平行とし、前後方向に延びて受け面と接触して摺動可能な押上面を、形成して、この押上面の部位で、受け面と接触し、受け面ごと、フードパネルの後端を上方へ押し上げることとなる。すなわち、本発明のフード跳ね上げ装置では、押上部と受け部とは、押上部が上昇移動して受け部と当接する際に、前後方向に沿った断面において、前後方向の幅寸法を有した広い領域で、相互に接触することから、受け面に、部分的に凹む凹部を形成し難く、受け面と押上面との接触後、押上部が、受け面に対して前後方向に沿った後方側に向かうように相対移動する際に、部分的に受け面に引っ掛かることなく、円滑に受け面に対してスライド移動しつつ、上昇移動することとなる。そのため、本発明のフード跳ね上げ装置では、作動時に、押上部を迅速に上昇移動させることができて、ピストンロッドによる押圧力を、円滑に、フードパネルの後端に作用させることができることから、フードパネルの後端を迅速かつ安定して上昇移動させることができる。
【0008】
したがって、本発明のフード跳ね上げ装置では、作動時に、迅速かつ安定してフードパネルの後端を押し上げることができる。
【0009】
また、本発明のフード跳ね上げ装置では、押上部を受け部の受け面に当接させた際に、押上部自体を塑性変形させることにより押上面を形成していることから、車両への搭載時に、押上部を有するアクチュエータの向きを考慮しなくともよい。例えば、フード跳ね上げ装置として、上端側の押上部に、予め、受け面に沿うような押上面を配設させた構成のアクチュエータを使用する場合、アクチュエータの車両への搭載時に、押上部の押上面を、受け面に確実に沿わせるように、アクチュエータを車両に取り付ける必要があって、高い取付精度が必要とされることから、車両への搭載作業時の作業工数が増大することとなる。これに対し、本発明のフード跳ね上げ装置では、押上部を受け部の受け面に当接させて塑性変形させることにより、押上面を形成していることから、アクチュエータ自体が、取付時に周方向に回転した状態で取り付けられたり、ピストンロッドがシリンダ内で回転して、押上部が周方向側でずれるような態様となっても、確実に押上面を形成して、押上面を受け面に接触させることができ、取付精度を考慮しなくともよく、車両への取り付けが容易である。
【0010】
また、フード跳ね上げ装置としては、押上部を、上端側にかけて縮径される略円錐台形状として、外周縁の上端側にかけて縮径するテーパ面を有する構成とし、
テーパ面を、前後方向に沿った断面において、受け面と平行とし、前後方向に延びて受け面と接触して摺動可能な領域を有する押上面として、構成したものを使用してもよい。
【0011】
このようなフード跳ね上げ装置においても、受け部の下端側に位置して、押上部を受ける受け面が、ピストンロッドの押し上げ方向に対して傾斜するように、後上がりに傾斜して構成されるものの、押上部は、上端側に形成されるテーパ面を、前後方向に沿った断面において受け面と平行とし、前後方向に延びて受け面と接触して摺動可能な有する押上面としていることから、押上部の上昇移動時に、押上部は、このような押上面の部位で、受け面と接触し、受け面ごと、フードパネルの後端を上方へ押し上げることとなる。すなわち、このような構成のフード跳ね上げ装置においても、押上部と受け部とは、押上部が上昇移動して受け部と当接する際に、前後方向に沿った断面において、前後方向の幅寸法を有した広い領域で、相互に接触することから、受け面に、部分的に凹む凹部を形成し難く、受け面と押上面との接触後、押上部が、受け面に対して前後方向に沿った後方側に向かうように相対移動する際に、部分的に受け面に引っ掛かることなく、円滑に受け面に対してスライド移動しつつ、上昇移動することとなる。そのため、作動時に、押上部を迅速に上昇移動させることができて、ピストンロッドによる押圧力を、円滑に、フードパネルの後端に作用させることができることから、フードパネルの後端を迅速かつ安定して上昇移動させることができる。
【0012】
したがって、上記構成のフード跳ね上げ装置においても、作動時に、迅速かつ安定してフードパネルの後端を押し上げることができる。
【0013】
また、上記構成のフード跳ね上げ装置においても、押上部は、上端側にかけて縮径される略円錐台形状として、外周縁の上端側にかけて縮径するテーパ面が、押上面を形成していることから、車両への搭載時に、押上部を有するアクチュエータの向きを考慮しなくともよく、アクチュエータ自体が、取付時に周方向に回転した状態で取り付けられたり、ピストンロッドがシリンダ内で回転して、押上部が周方向側でずれるような態様となっても、確実に押上面を受け面に接触させることができ、取付精度を考慮しなくともよく、車両への取り付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態であるフード跳ね上げ装置を搭載させた車両の斜視図である。
【図2】実施形態のフード跳ね上げ装置を搭載させた車両の部分拡大平面図である。
【図3】実施形態のフード跳ね上げ装置と車両のヒンジ部とを示す前後方向に沿った概略縦断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のフード跳ね上げ装置の作動時を示す概略断面図である。
【図5】実施形態のフード跳ね上げ装置に使用されるアクチュエータの概略縦断面図であり、作動前と作動完了時とを示す。
【図6】実施形態のフード跳ね上げ装置に使用されるアクチュエータにおけるシリンダの先端壁部の部位を示す部分拡大概略縦断面図である。
【図7】実施形態のフード跳ね上げ装置に使用されるアクチュエータにおいて、ロック機構の作動を順に説明する概略部分拡大縦断面図である。
【図8】実施形態のフード跳ね上げ装置の作動時において、ピストンロッドの上昇移動過程を示す概略部分拡大断面図である。
【図9】本発明の他の形態であるフード跳ね上げ装置を示す概略部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本明細書では、特に断らない限り、前後、上下、左右の方向は、それぞれ、直進走行時の車両Vの前後、上下、左右の方向と一致する。
【0016】
実施形態のフード跳ね上げ装置(以下「跳ね上げ装置」と省略する)Uは、図1,2に示すように、車両Vにおけるフードパネル10の後端10c側に、配設されるもので、作動時に、後述するアクチュエータ21のピストンロッド45を上昇させて、フードパネル10の後端10cを跳ね上げる構成とされている。実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ5には、図1に示すように、歩行者との衝突を検知若しくは予測可能なセンサ6が、配設されており、センサ6からの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサ6からの信号に基づいて車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、跳ね上げ装置Uのアクチュエータ21における駆動源としてのガス発生器42(図5参照)を作動させるように、構成されている。
【0017】
フードパネル10は、図1,2に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端10c近傍に配置されるヒンジ部11により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル10は、アルミニウム(アルミニウム合金)等からなる板金製として、図3に示すように、上面側のアウタパネル10aと、下面側に位置してアウタパネル10aより強度を向上させたインナパネル10bと、から構成されている。フードパネル10は、歩行者を受け止めた際に、歩行者の運動エネルギーを吸収できるように、塑性変形可能に構成されている。そして、実施形態では、車両Vと歩行者との衝突時に、アクチュエータ21が作動されて、図4に示すように、フードパネル10の後端10cが上方に押し上げられ、フードパネル10の後端10cと、エンジンルームERと、の間に、変形スペースDSを形成できることから、塑性変形時の塑性変形量を増大させることができる。さらには、実施形態の場合、フードパネル10の後端10cを上昇移動させたピストンロッド45における支持ロッド部53の軸部54が、歩行者の受け止め時に、フードパネル10の下降移動に沿って曲げ塑性変形されることとなる(図4の二点鎖線参照)。そのため、実施形態の場合、歩行者の運動エネルギーが大きくとも、フードパネル10自体の塑性変形と、支持ロッド部53における軸部54の曲げ塑性変形と、により、歩行者の運動エネルギーを多く吸収することができる。
【0018】
ヒンジ部11は、フードパネル10の後端10c側における左縁10dと右縁10eとに配設され(図1,2参照)、それぞれ、ボディ1側のフードリッジリインホース2に連結される取付フランジ2aに固定されるヒンジベース12と、フードパネル10側に固定されるヒンジアーム14と、を備えて構成されている(図2,3参照)。各ヒンジアーム14は、図3に示すように、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略半円弧状に湾曲させた形状として構成され、ヒンジベース12側の元部端14aが、支持軸13を利用して、ヒンジベース12に対して回動可能に連結されている。また、各ヒンジアーム14は、元部端14aから離れる先端14b側に、先端14bからフードパネル10の下面に沿うように延びる連結板部15を備える構成とされ、この連結板部15が、フードパネル10の後端10cにおける下面側に、溶接等を利用して結合されている。また、ヒンジアーム14の先端14b付近には、下縁を略円形状に切り欠くようにして構成される切欠凹部14cが、形成されており、この切欠凹部14cの周囲の部位が、アクチュエータ21の作動時におけるピストンロッド45の上昇移動時において、支持ロッド部53の頭部(押上部)55がフードパネル10の後端10cを押し上げた際に、塑性変形する塑性変形部14dとされて、フードパネル10の上昇を許容することとなる(図3,4参照)。
【0019】
各支持軸13は、それらの軸方向を、車両Vの左右方向に沿わせるように、配設されている。そして、フードパネル10を開く際には、図3の実線から二点鎖線で示すように、左右の支持軸13を回転中心として、各ヒンジアーム14の先端14b側とともに、フードパネル10の前端10f側(図1参照)を前開きで上昇させれば、フードパネル10を前開きで開くことができる。ちなみに、フードパネル10の後端10cの上昇時には、フードパネル10の前端10f側は、前端10fに配置されている通常閉塞用の図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構により、ボディ1側から外れることはない。
【0020】
フードパネル10の後方には、図2,3に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方の合成樹脂製のカウルルーバ7bと、からなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウィンドシールド3の下部3a側に連ならせるように、配設されている。また、フロントウィンドシールド3の左右には、図1,2に示すように、フロントピラー4,4が、配設されている。
【0021】
跳ね上げ装置Uは、図1〜3に示すように、フードパネル10における左右のヒンジ部11の近傍に配設されるもので、フードパネル10の後端10cの下方に配設されるアクチュエータ21と、各アクチュエータ21に対応してアクチュエータ21の上方のフードパネル10側に配設される受け部16と、から、構成されている。受け部16は、実施形態の場合、フードパネル10の後端10cの下面に配設されたヒンジアーム14の先端14b側に設けられた連結板部15から、構成されている。そして、この受け部16は、図3,4に示すように、下面側を受け面16aとして、この受け面16aに、ピストンロッド45の上昇移動時の支持ロッド53部の頭部55(押上部)を当接させる構成としている。実施形態の場合、受け部16は、平板状の連結板部15から構成されていることから、受け面16aは、フードパネル10におけるインナパネル10bの下面と略平行とされている。そして、この受け面16aは、ピストンロッド45の押し上げ方向(シリンダ22の軸方向と一致しており、上下方向と一致)に対して傾斜するように、後上がりに傾斜している。実施形態の場合、受け面16aは、水平方向に対する傾斜角度θを15°程度として、構成されている(図6の二点鎖線参照)。
【0022】
アクチュエータ21は、図2,3に示すように、フードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2bに対してボルト19止めされる断面略U字形状の取付ブラケット18により保持されて、フードパネル10の後端10c側における左縁10d及び右縁10eの下方となる各ヒンジ部11の下方に、配設されている(図1〜3参照)。各アクチュエータ21は、駆動源としてガス発生器42を使用しており、図4に示すように、シリンダ22と、シリンダ22内に作動用流体としての作動用ガスGを流入させるガス発生器42と、シリンダ22から上方へ突出するように配設されるピストンロッド45と、上昇移動後のピストンロッド45の下降移動を規制するロック機構Rと、を備えて構成されている。ロック機構Rは、実施形態の場合、係止リング50と、ピストンロッド45におけるピストン部46の外周側に設けられて係止リング50を収納する収納溝48と、シリンダ22の内周面に設けられて係止リング50の一部を進入させて係止する係止段部26と、を備えて構成されている。
【0023】
シリンダ22は、軸方向を上下方向に略沿わせて配置されるもので、図4に示すように、上端側の先端壁部31と下端側の元部端壁部38との間に、ピストンロッド45のピストン部46を摺動させる円筒状の本体部23を、配設させて構成されている。なお、シリンダ22は、本体部23を構成する鋼製のパイプ材29の上下にキャップ30,37を結合させて構成されており、先端壁部31は、パイプ材29の上端側外周面に設けられた雄ねじ29aに螺合して結合されたキャップ20に、配設され、元部端壁部38は、パイプ材29の下端側外周面に設けられた雄ねじ29bに螺合して結合されたキャップ37に、配設されている。
【0024】
本体部23は、ピストン部46の外形形状に対応して軸直交方向の断面形状を略円形の開口とした摺動孔24を、上下方向に貫通させており、アクチュエータ21の作動時、ピストン部46は、摺動孔24の内周面24aを摺動して、上昇移動することとなる。
【0025】
シリンダ22において、本体部23における先端壁部31近傍には、図6,7に示すように、ピストン部46を摺動させる本体部23の内周面(摺動孔24の内周面24a)より拡径して凹む係止段部26が、形成されている。この係止段部26は、ロック機構Rを構成するもので、ピストン部46の上昇移動後の係止リング50付近に配置されて、係止リング50の下降移動を規制する部位であり、係止規制面27と外周規制面28とを備えて構成されている。実施形態の場合、係止規制面27は、パイプ材29の上端面29cから構成されるもので、ロック機構Rを構成する係止リング50の下降移動を規制可能に、係止リング50の下面側に当接するように、構成されている(図7のB,C参照)。外周規制面28は、実施形態の場合、キャップ30における後述する収納凹部33の内周面33aから構成されるもので、係止規制面27の外周縁から本体部23の軸方向(ピストン部46の上昇移動方向)に沿うように延びて、係止リング50の下降移動の規制時に、拡径した係止リング50の外周面に当接するように、構成されている(図7のB,C参照)。
【0026】
シリンダ22における本体部23の上端側に配置されるキャップ30は、図6に示すように、シリンダ22の上端を塞ぐ先端壁部31と、先端壁部31の下端側(パイプ材29側)から下方に延びる略円筒状の周壁部35と、を、備えている。周壁部35の内周面には、パイプ材29に設けられた雄ねじ29aに螺合される雌ねじ35aが、形成されている。先端壁部31は、略円柱状とされるもので、中央に、支持ロッド部53の軸部54を挿通可能に上下方向に沿って貫通した挿通孔32を備えるとともに、下端側に、上昇移動後のピストン部46を収納させるための収納凹部33を、備えている。挿通孔32は、内径寸法D1を、支持ロッド部53における軸部54の外径寸法D2より僅かに大径として、軸部54との間に隙間を設けるように、構成されている(図6参照)。この挿通孔32における軸部54との間の隙間は、作動時に、ピストン部46とシリンダ22との間の空気を外部に放出させて、ピストン部46を円滑に上昇移動可能とし、かつ、ピストン部46の上昇移動後において、シリンダ22内に充満された作動用ガスGを、外部に放出させるために、形成されている。なお、挿通孔32の上端側には、図6に示すように、周縁をテーパ状に切り欠かれた凹部32aが、形成されている。この凹部32aは、支持ロッド部53における軸部54の上端外周側に嵌着されて、車両搭載状態における作動前の気密性を確保するためのOリング59を収納させるためのものである。
【0027】
収納凹部33は、上昇移動後に、係止リング50を係止規制面27に係止させて、下降移動を規制された状態のピストン部46を、内部に収納可能に構成されるもので、内周面33aの下端付近の部位が、拡径した係止リング50の外周面に当接する外周規制面28を、構成している。収納凹部33は、内径寸法を、摺動孔24の内径寸法より大きくして、拡径した係止リング50の外周面に当接可能な寸法に、設定されている。また、収納凹部33内における上面33b側には、作動前の支持ロッド部53(ピストンロッド45)の上下動を規制するためのCリング34が、上面33bと当接するようにして、配置されている(図6参照)。このCリング34は、支持ロッド部53の軸部54に形成される凹溝54aに係止されて、作動前の支持ロッド部53(ピストンロッド45)の上下方向への移動を防止しており、ガス発生器42の作動時において、ピストン部46が作動用ガスGによって強く押し上げられた際に、凹溝54aとの係止状態を解除されて、ピストン部46の上昇移動を許容するように、構成されている。
【0028】
シリンダ22における本体部23の下端側に配置されるキャップ37は、図5に示すように、本体部23の下端側を塞ぐように配設される略円板状の元部端壁部38と、元部端壁部38の外周縁から上方に延びる略円筒状の周壁部39と、を備えて構成されている。元部端壁部38には、ガス発生器42を挿通可能な挿通孔38aが、形成され、この挿通孔38aの周縁の部位と、周壁部39における下部側の部位と、を利用して、ガス発生器42が、元部端壁部38に取り付けられている。周壁部39は、上端側内周面に、パイプ材29に設けられた雄ねじ29bに螺合される雌ねじ39aを備え、キャップ37は、元部端壁部38にガス発生器42を取り付けた状態で、雌ねじ39aを雄ねじ29bに螺合させて、本体部23に取り付けられている。
【0029】
ガス発生器42としては、マイクロガスジェネレータが使用されており、ガス発生器42の下端側には、図示しない作動回路からの電気信号を入力させるリード線43が、結線されている(図5参照)。ガス発生器42は、図示しない作動回路からの電気信号を入力させると、内蔵されている所定のガス発生剤を燃焼させて燃焼ガスを発生させ、その燃焼ガスを作動用ガスGとして、シリンダ22内のピストン部46の底面46a側(下面側)へ供給することとなる。
【0030】
ピストンロッド45は、図5に示すように、シリンダ22内に配置されるピストン部46と、ピストン部46から上方に延びる支持ロッド部53と、を備えて構成されている。ピストン部46は、シリンダ22の本体部23における摺動孔24の内周面24aに対して摺動可能な外径寸法を有した略円柱状とされており、作動前の状態において、底面46a(下面)を、ガス発生器42の近傍に位置させるように、シリンダ22内に配置されている。ピストン部46における外周面46bには、図5,7に示すように、底面46a側に、Oリング51を嵌合させる嵌合溝47が形成され、嵌合溝47の上方に、係止リング50を収納可能な収納溝48が形成されている。収納溝48は、ロック機構Rを構成するものであり、係止リング50を収納した状態で、ピストン部46の上昇移動を可能にするとともに、ピストン部46の上昇移動後において、係止段部26における外周規制面28と当接するように拡径された係止リング50の係止規制面27との係止状態を維持可能とするように、構成されている(図7参照)。換言すれば、収納溝48は、ピストン部46の上昇移動後に、拡径された係止リング50の戻りを防止するように、構成されている。
【0031】
ロック機構Rを構成する係止リング50は、断面を円形としたばね鋼からなる線材を円環状(略C字形状)に曲げ加工して形成されるもので、作動前においては、縮径された状態で、ピストン部46に設けられた収納溝48に収納され、ピストン部46の上昇移動後に、係止段部26の外周規制面28と当接するように、復元されて、拡径される構成とされている。
【0032】
嵌合溝47に嵌合されるOリング51は、ゴム状弾性体からなるもので、外周面を、シリンダ22における摺動孔24の内周面24aに摺接させるように、構成されている。このOリング51は、ピストン部46とシリンダ22の本体部23との間の気密性を向上させて、ガス発生器42の作動時に、ピストン部46と本体部23との間から作動用ガスGが漏れることを防止するために配設されるもので、実施形態の場合、良好な耐熱性を有したシリコンゴムから、構成されている。
【0033】
支持ロッド部53は、ピストン部46から延びる軸部54と、軸部54の上端側に配置される押上部としての頭部55と、を備えている。軸部54は、シリンダ22の軸方向(上下方向)に沿って配設される丸棒状とされるもので、実施形態の場合、ピストン部46と一体的に構成されている。軸部54における上端近傍部位には、キャップ30に形成された収納凹部33内に配置されるCリング34を係止可能な凹溝54aが、形成されている(図6参照)。
【0034】
押上部としての頭部55は、実施形態の場合、軸部54と別体とされるもので、元部側に形成されて軸部54に取り付けられる取付部56と、取付部56の先端(上端)側から上方に突出するように形成されて上昇移動時に受け部16と当接して変形する変形予定部57と、から構成されている。実施形態の場合、頭部55は、軸方向を上下方向に沿わせた略六角柱状とされて軸部54の上端側に締結される取付部56と、取付部56の上端から突出して中空の略半球状とされる変形予定部57と、から構成されている。
【0035】
変形予定部57は、ピストンロッド45の上昇移動時に、受け部16と当接して塑性変形する構成とされており、詳細には、ピストンロッド45が上昇移動した際に、変形予定部57は、まず、図8のAに示すように、前上端側の部位57aを、受け部16の下端側に設けられた受け面16aに当接させることとなるが、このとき、この前上端側の部位57aが、受け面16aの当たる方向から押し潰されて、前上面57bを、受け面16aに沿わせるように、塑性変形されることとなる。換言すれば、頭部55(押上部)において、上昇移動時に、塑性変形された前上面57bが、受け面16aと接触する押上面とされることとなり、この前上面57bは、前後方向に沿った断面において、受け面16aと平行として、前後方向に延びて受け面16aと接触して摺動可能な領域を有することとなる(図6の二点鎖線及び図8のA括弧内参照)。その後、ピストンロッド45がさらに上昇移動すれば、ピストンロッド45の頭部(押上部)55は、前後方向に沿って後方移動するように、受け面16aに対して相対移動することとなり、また、このとき、前上面(押上面)57bを全面にわたって受け面16aに接触させるようにして、受け面16aに対してスライド移動することから、実施形態の場合、変形予定部57の塑性変形が、さらに促進されて、前上面57bの前方に、変形溜り部57cが、形成されることとなる(図8のB参照)。
【0036】
また、支持ロッド部53における軸部54と頭部55との境界部位には、Oリング59が、嵌着されている。このOリング59は、作動前に、キャップ30の先端壁部31に設けられた挿通孔32の上端側に形成される凹部32a内に、収納されている(図6参照)。このOリング59は、ゴム状弾性体からなるもので、車両搭載状態における作動前のシリンダ22内の気密性を確保するために、配設されている。具体的には、実施形態の場合、Oリング59は、クロロプレンゴム等の汎用のゴム材料から、形成されている。
【0037】
実施形態の跳ね上げ装置Uでは、センサ6からの信号により、図示しない作動回路が、車両Vと歩行者との衝突を検知若しくは予測した際に、アクチュエータ21におけるガス発生器42が作動されることとなり、図5のBに示すように、発生した作動用ガスGが、シリンダ22における本体部23内のピストン部46を押し上げ、ピストンロッド45の上端に配設される支持ロッド部53の頭部55(押上部)を、受け部16の受け面16aに当接させて、フードパネル10の後端10cを、下方のカウル7との間の隙間を広げるように上昇させることとなる。そして、ロック機構Rにより、ピストンロッド45が下降移動を規制された後、上昇移動したフードパネル10の後端10cが、図4に示すように、支持ロッド部53の頭部55により下面側を支持された状態で、上方から斜め後下方向に移動する歩行者を受け止めれば、歩行者の運動エネルギーFを受け止めて、フードパネル10の後端10cが塑性変形しつつ下降移動するとともに、このフードパネル10の下降移動に伴って、受け面16aに頭部55(押上部)の前上面57b(押上面)を接触させている支持ロッド部53の軸部54が、歩行者の運動エネルギーFを吸収しつつ、頭部55を後方に向けるように、曲げ塑性変形されることとなる(図4の二点鎖線参照)。
【0038】
そして、このとき、実施形態の跳ね上げ装置Uでは、受け部16の下端側に位置して、頭部55(押上部)を受ける受け面16aが、ピストンロッド45の押し上げ方向(上下方向)に対して傾斜するように、後上がりに傾斜して構成されるものの、頭部55は、上昇移動時において受け部16と当接した際に、塑性変形することとなり、この塑性変形時に、前後方向に沿った断面において、受け面16aと平行とし、前後方向に延びて受け面16aと接触して摺動可能な押上面(前上面)57bを形成して、この押上面(前上面)57bの部位で、受け面16aと接触し、受け面16a(受け部16)ごと、フードパネル10の後端10cを上方へ押し上げることとなる。すなわち、実施形態の跳ね上げ装置Uでは、頭部(押上部)55と受け部16とは、上昇移動時における当接初期に、前後方向に沿った断面において、前後方向の幅寸法を有した広い領域で、相互に接触することから、受け面16aに、部分的に凹む凹部を形成し難く、受け面16aと前上面(押上面)57bとの接触後、頭部55が、受け面16aに対して前後方向に沿った後方側に向かうように相対移動する際に、部分的に受け面16aに引っ掛かることなく、円滑に受け面16aに対してスライド移動しつつ、上昇移動することとなる。そのため、実施形態の跳ね上げ装置Uでは、作動時に、頭部55を迅速に上昇移動させることができて、ピストンロッド45による押圧力を、円滑に、フードパネル10の後端10cに作用させることができることから、フードパネル10の後端10cを迅速かつ安定して上昇移動させることができる。
【0039】
したがって、実施形態の跳ね上げ装置Uでは、作動時に、迅速かつ安定してフードパネル10の後端10cを押し上げることができる。
【0040】
また、実施形態の跳ね上げ装置Uでは、頭部55(押上部)を受け部16に当接させた際に、頭部55の変形予定部57を塑性変形させて、受け面16aに沿うような押上面(前上面)57bを形成していることから、車両への搭載時に、頭部55(押上部)を有するアクチュエータ21の向きを考慮しなくともよい。例えば、フード跳ね上げ装置として、上端側の押上部に、予め、受け面に沿うような押上面を配設させた構成のアクチュエータを使用する場合、アクチュエータの車両への搭載時に、押上部の押上面を、受け面に確実に沿わせるように、アクチュエータを車両に取り付ける必要があって、高い取付精度が必要とされることから、車両への搭載作業時の作業工数が増大することとなる。これに対し、実施形態のフード跳ね上げ装置Uでは、頭部55を受け部16の受け面16aに当接させて塑性変形させることにより、押上面(前上面)57bを形成していることから、アクチュエータ21自体が、取付時に周方向に回転した状態で取り付けられたり、ピストンロッド45がシリンダ22内で回転して、頭部55が周方向側でずれるような態様となっても、確実に押上面(前上面)57bを形成して、押上面(前上面)57bに接触させることができ、取付精度を考慮しなくともよく、車両への取り付けが容易である。特に、実施形態のフード跳ね上げ装置Uでは、アクチュエータ21のシリンダ22が円筒形とされ、ピストンロッド45のピストン部46が円形とされていることから、作動時に、ピストンロッド45がシリンダ22に対して回転しつつ、上昇移動する場合があるが、ピストンロッド45が回転しつつ上昇することとなっても、頭部55と受け面16aとの当接時に、確実に押上面57bを形成することができる。
【0041】
また、実施形態のフード跳ね上げ装置Uでは、頭部55の変形予定部57を塑性変形させる構成であることから、頭部55が受け部16と当接した際に、一層、受け面16a側を凹ませない構成とすることができる。また、実施形態の場合、受け面16aの上下方向に対する傾斜角度は、フードパネル10の後端10cの上昇移動に伴って若干大きくなるように変化することとなる。しかしながら、実施形態の跳ね上げ装置Uでは、頭部55は、上端側に設けられた変形予定部57を、受け面16aに当接させて塑性変形させつつ、上昇移動して、フードパネル10の後端10cを押し上げる構成であることから、受け面16aの傾斜角度が変化することとなっても、頭部55の前上面57b(押上面)は、常時、この受け面16aと前後方向に沿った広い領域の接触を維持されることとなる。そのため、頭部55(ピストンロッド45)の上昇移動完了、換言すれば、フードパネル10の後端10cの上昇移動完了まで、受け面16aと前上面57bとの前後方向に沿った広い領域での接触状態を維持できることから、フードパネル10の後端10cを一層安定して迅速に上昇移動させることができる。
【0042】
また、アクチュエータ21Aとして、図9に示すように、予め押上面を配設させた頭部62(押上部)を有するピストンロッドを備える構成のものを使用してもよい。アクチュエータ21Aでは、ピストンロッド45Aにおける頭部62以外は、上述のアクチュエータ21と同様の構成であり、同一の部材には同一の図符号の末尾に「A」を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
頭部62は、図9に示すように、上端側に、上端側(先端側)にかけて縮径されるような略円錐台状の当接部63を、有する構成とされている。この当接部63は、外周縁の上端側にかけて縮径するテーパ面63aを、上昇移動時に、フードパネル10に設けられる受け部16の受け面16aに接触して摺動可能な領域を有する押上面とするもので、このテーパ面63a(押上面)は、上昇移動時における受け部16との当接初期に、前後方向に沿った断面において、受け面16aと平行となるように、傾斜角度α(前後方向の断面における水平面に対する傾斜角度であって、左右方向側から見た状態の水平方向に対する傾斜角度と一致)を、上昇移動前の受け面16aの水平方向に対する傾斜角度βと略一致させるように、構成されている。実施形態の場合、傾斜角度α,βは、15°程度に設定されている。
【0044】
このような構成の頭部62を有したアクチュエータ21Aを使用した跳ね上げ装置においても、頭部(押上部)62と受け部16とは、上昇移動時における当接初期に、前後方向に沿った断面において、前後方向の幅寸法を有した広い領域で、相互に接触することから、受け面16aに、部分的に凹む凹部を形成し難く、受け面16aとテーパ面(押上面)63aとの接触後、頭部62が、受け面16aに対して前後方向に沿った後方側に向かうように相対移動する際に、部分的に受け面16aに引っ掛かることなく、円滑に受け面16aに対してスライド移動しつつ、上昇移動することとなる。そのため、作動時に、頭部62を迅速に上昇移動させることができて、ピストンロッド45Aによる押圧力を、円滑に、フードパネル10の後端10cに作用させることができることから、フードパネル10の後端10cを迅速かつ安定して上昇移動させることができる。
【0045】
また、上記構成のアクチュエータ21Aにおいても、頭部62が、略円錐台形状の当接部63を有し、この当接部36において外周縁の上端側にかけて縮径するテーパ面63aが、押上面を形成していることから、車両への搭載時に、アクチュエータ21Aの向きを考慮しなくともよく、アクチュエータ21A自体が、取付時に周方向に回転した状態で取り付けられたり、ピストンロッド45がシリンダ22内で回転して、頭部62が周方向側でずれるような態様となっても、確実にテーパ面63a(押上面)を受け面16aに接触させることができ、取付精度を考慮しなくともよく、車両への取り付けが容易である。このアクチュエータ21Aにおいても、シリンダ22が円筒形とされ、ピストンロッド45のピストン部46が円形とされていることから、作動時に、ピストンロッド45がシリンダ22に対して回転しつつ、上昇移動する場合があるが、ピストンロッド45が回転しつつ上昇することとなっても、テーパ面63a(押上面を受け面16aに対して接触させることができる。
【0046】
なお、実施形態のアクチュエータ21では、作動信号の入力時に着火させてガスを発生させるガス発生器42をシリンダ22の内部に配設させた場合を示したが、ピストンロッド45を移動させる駆動源は、これに限られるものではなく、例えば、水、油、空気等を作動用流体として、それらの水圧、油圧、エア圧等を利用してピストンロッド45を上昇移動させてもよい。
【0047】
さらにまた、ピストンロッドを上昇移動させる駆動源としては、ソレノイドの吸引力を利用したり、圧縮させたばねの付勢力(復元力)等を利用することができる。例えば、ソレノイドの吸引力を利用する場合には、可動鉄心をピストンロッドとしてシリンダ内に配設し、シリンダ内の可動鉄心の周囲に配置させた励磁コイルに通電させれば、ピストンロッドを上昇移動させることができる。また、ばねを利用する場合には、圧縮させたコイルばねの自由端側にピストンロッドを接続させるとともに、引き込み可能にソレノイド等から構成するストッパで、ピストンロッド若しくは圧縮コイルばねの先端を係止させておき、係止を解除させるようにストッパを引き込ませれば、ピストンロッドが圧縮コイルばねの復元する付勢力により、上昇移動することとなる。
【符号の説明】
【0048】
10…フードパネル、
10c…後端、
16…受け部、
16a…受け面、
21,21A…アクチュエータ、
22…シリンダ、
42…ガス発生器、
45,45A…ピストンロッド、
55…頭部(押上部)、
57…変形予定部、
57b…前上面(押上面)、
62…頭部(押上部)、
63…当接部、
63a…側面(押上面)、
U…フード跳ね上げ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、該シリンダから上方へ突出するように配設されるピストンロッドと、を有したアクチュエータが、車両におけるフードパネルの後端の下方に配設され、
作動時、上昇する前記ピストンロッドの上端を前記フードパネルの後端の下面側に当てて押し上げることにより、前記フードパネルの後端を上昇させ、上昇した前記フードパネルにより歩行者を受け止める構成とされて、
前記ピストンロッドが、上端側に、前記フードパネルの後端の下面側に設けられる受け部に当接されて、該受け部とともに前記フードパネルの後端を押し上げる押上部を、備える構成とされ、
前記受け部の下端側に位置して、前記押上部を受ける受け面が、前記ピストンロッドの押し上げ方向に対して傾斜するように、後上がりに傾斜して構成されるフード跳ね上げ装置において、
前記押上部が、上昇移動時において前記受け部と当接した際に、塑性変形して、前記受け部の前後方向に沿った断面において前記受け面と平行とし、前後方向に延びて前記受け面と接触して摺動可能な押上面を、形成するように、構成されていることを特徴とするフード跳ね上げ装置。
【請求項2】
シリンダと、該シリンダから上方へ突出するように配設されるピストンロッドと、を有したアクチュエータが、車両におけるフードパネルの後端の下方に配設され、
作動時、上昇する前記ピストンロッドの上端を前記フードパネルの後端の下面側に当てて押し上げることにより、前記フードパネルの後端を上昇させ、上昇した前記フードパネルにより歩行者を受け止める構成とされて、
前記ピストンロッドが、上端側に、前記フードパネルの後端の下面側に設けられる受け部に当接されて、該受け部とともに前記フードパネルの後端を押し上げる押上部を、備える構成とされ、
前記受け部の下端側に位置して、前記押上部を受ける受け面が、前記ピストンロッドの押し上げ方向に対して傾斜するように、後上がりに傾斜して構成されるフード跳ね上げ装置において、
前記押上部が、上端側にかけて縮径される略円錐台形状として、外周縁の上端側にかけて縮径するテーパ面を、有する構成とされ、
該テーパ面が、前後方向に沿った断面において、前記受け面と平行とし、前後方向に延びて前記受け面と接触して摺動可能な領域を有する押上面として、構成されていることを特徴とするフード跳ね上げ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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