説明

フープ材供給装置

【課題】フープ材の引き出し/送り戻しの量や速さが大きくとも、フープ材の張力を好適に保持することのできるフープ材供給装置を提供すること。
【解決手段】フープ材供給装置10は、アンコイラ11から巻き出された銅線Lをチャックするチャック部42を銅線Lの引き出し方向に前進させ、同銅線Lの送り戻し方向に後退させる前進後退機構40を備える。このフープ材供給装置10はまた、アンコイラ11からチャック部42の最後退位置Aまでの区間に張り渡された銅線Lが巻き掛けられるとともに、同区間における銅線Lの掛け渡し長を伸長させる側及び短縮させる側に往復動可能に配設された可動プーリ31を備える。そして、こうしたフープ材供給装置10において、銅線Lと別部材のワイヤWRをさらに備え、このワイヤWRにより、可動プーリ31と、上記前進後退機構40の前進、後退に伴いチャック部42と一体に移動する支持柱46とを連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フープ材を巻き出し供給するフープ材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフープ材供給装置の一例として、ワークWに溶接される銅線Lを銅線コイルCから巻き出して供給するフープ材供給装置100を、図6に示す。同図6に例示するフープ材供給装置100は、床面Fに設置され、装着された銅線コイルCから銅線Lを巻き出し保持するアンコイラ101、その巻き出された銅線Lに張力を付与するテンショナプーリ102、銅線Lを案内する固定プーリ103、および前進後退機構104を備えて構成されている。
【0003】
アンコイラ101から巻き出された銅線Lは、テンショナプーリ102および固定プーリ103に巻き掛けられた後、前進後退機構104に送られる。テンショナプーリ102は、上下方向に自由に移動可能に支持されており、その自重により、アンコイラ101と前進後退機構104との間の銅線Lに張力を付与している。
【0004】
前進後退機構104は、エアシリンダやサーボモータ等の動力源によって、銅線Lの引き出し方向に前進および送り戻し方向に後退可能に配設された移動テーブル107を備えている。またその移動テーブル107上には、前進後退機構104に送られた銅線Lをチャックするチャック部105、銅線Lの先端をワークW側に送り出すフィーダ部106、および銅線Lを切断するカッタ部108とが、同移動テーブル107と一体となって往復動するように配設されている。
【0005】
次に、以上のように構成されたフープ材供給装置100の動作を説明する。
まず移動テーブル107がワークWから最も離間した位置、すなわち最後退位置に位置した状態で、フィーダ部106が、カッタ部108からワークW側に必要な長さだけ突き出すように銅線Lを送り出す。その後、移動テーブル107がワークWに近接する側、すなわち銅線Lの引き出し側に前進して、上記突き出された銅線Lの先端をワークWの溶接箇所に当接させる。そしてその状態で銅線LのワークWへの溶接を行った後、カッタ部108が銅線Lを切断する。これにより、ワークWには、必要な長さの銅線Lが溶接される。銅線Lの切断後、移動テーブル107は、ワークWから離間するように移動する。その後、上記手順を繰り返すことで、順次、ワークWに対する銅線Lの溶接が行われることになる。
【0006】
なお、銅線Lがフィーダ部106から送り出される毎に、アンコイラ101と前進後退機構104との間の銅線長が短くなり、テンショナプーリ102が上方に移動する。テンショナプーリ102がある位置まで上昇すると、スイッチ109がオンとなり、アンコイラ101が銅線Lを、一定の長さだけ巻き出して補充するようになっている。
【特許文献1】特開2000−289048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記フープ材供給装置100では、その移動テーブル107の前進に応じて、アンコイラ101から前進後退機構104までの区間からその前進量分の銅線Lが引き出され、また同移動テーブル107の後退に応じては、上記区間にその後退量分の銅線Lが送り戻されるようになる。このときの引き出し、送り戻しに伴う上記区間の銅線Lの張りや緩みは、テンショナプーリ102の上下動にて、ある程度は緩和されるようになっている。
【0008】
しかしながら、チャック部105の前進/後退の量や速度が大きいと、それに伴う銅線Lの張力の変化にテンショナプーリ102の動作が十分に追従できずに、銅線Lに過剰な張りや緩みが生じて、銅線Lの伸び変形、脱輪、絡みなどの不具合が発生するおそれがある。また移動テーブル107の前進に伴う銅線Lの引き出しの量や速度が大きいと、図6に二点鎖線にて示すように、テンショナプーリ102が跳ね上がってしまい、上記スイッチ109が不用意に作動して、アンコイラ101による銅線Lの巻き出しが不必要に行われてしまうこともある。
【0009】
なおフープ材供給装置としては、上記銅線Lのような線材以外にも、特許文献1等に見られるようにコイル状に巻かれた板材を巻き出して、次工程に引き出し供給する装置も知られている。またそうしたフープ材供給装置は、スリット加工やプレス加工等の、溶接加工以外の加工のためのフープ材の供給にも用いられる。いずれにせよ、上記問題は、そうしたフープ材供給装置に概ね共通している。すなわち、フープ材の張力を適宜に維持するテンショナがたとえ設けられていたとしても、チャック部の前進/後退によるフープ材の引き出し/送り戻しの量や速度が大きいと、それに伴う急激な張力変化にテンショナの動作が十分に追従することができず、フープ材に過剰な緩みや張りが発生してしまうおそれがある。
【0010】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであって、その解決しようとする課題は、チャック部によるフープ材の急激な引き出し/送り戻しが行われたとしても、フープ材の張力を好適に保持することのできるフープ材供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、フープ材を巻き出し保持するアンコイラと、その巻き出されたフープ材をチャックするチャック部と、そのチャック部を、前記フープ材の引き出し方向に前進させ、同フープ材の送り戻し方向に後退させる前進後退機構と、を備えるフープ材供給装置において、前記フープ材の張力に依らずに往復動して、前記アンコイラから前記チャック部の最後退位置までの区間における前記フープ材の掛け渡し長を伸縮させる伸縮機構と、前記チャック部の前進に応じて前記掛け渡し長を短縮させる側に前記伸縮機構を駆動し、前記チャック部の後退に応じて前記掛け渡し長を伸長させる側に前記伸縮機構を駆動する駆動機構と、を備えている。
【0012】
このように構成されたフープ材供給装置では、前進後退機構によってチャック部がフープ材の引き出し方向に前進すると、アンコイラからチャック部の最後退位置までの区間から、その前進量分のフープ材が引き出されるようになる。このときの駆動機構は、そうしたチャック部の前進に連動して伸縮機構を駆動して、フープ材の引き出された上記区間のフープ材の掛け渡し長さを短縮する。一方、前進後退機構によってチャック部がフープ材の送り戻し方向に後退すると、その後退量分のフープ材が上記区間に送り戻されることになる。このときの駆動機構は、それに連動して伸縮機構を駆動して、フープ材が送り戻された上記区間のフープ材の掛け渡し長を伸長させる。そのため、チャック部の前進、後退に伴う上記区間のフープ材の張力の増減が抑制されるようになる。
【0013】
このときの駆動機構による伸縮機構の駆動は、フープ材の張力に依らずに行われるようになっており、フープ材の張力によって動作するテンショナとは違い、フープ材の張力に左右されることなく、伸縮機構の駆動力をより自在に設定することができる。そのため、上記チャック部の前進後退に伴うフープ材の張力変化への追従が十分可能な大きい駆動力で、伸縮機構を動作させることが可能となる。したがってチャック部によるフープ材の急激な引き出し/送り戻しが行われたとしても、フープ材の張力を好適に保持することができる。
【0014】
ここで請求項2に記載のフープ材供給装置では、前記駆動機構は、前記チャック部の前進に応じてその前進量と同量だけ前記掛け渡し長を短縮させ、前記チャック部の後退に応じてその後退量と同量だけ前記掛け渡し長を伸長させるように前記伸縮機構を駆動することとしている。この場合、チャック部の前進による上記区間からのフープ材の引き出し量だけ同区間のフープ材の掛け渡し長が短縮され、チャック部の後退による上記区間へのフープ材の送り戻し量と同量だけ、同区間のフープ材の掛け渡し長が伸長されるため、フープ材の張力変化をより的確に抑えることができる。
【0015】
なお上記伸縮機構は、請求項3に記載のような、前記フープ材が巻き掛けられるとともに、前記フープ材の掛け渡し長を短縮させる側および伸長させる側に往復動可能に支持された可動プーリにより構成することができる。またそうした可動プーリを駆動する駆動機構は、請求項4に記載のような、前記可動プーリに巻き掛けられるとともに、一端が前記チャック部と一体に固定され、且つ他端が前記前進後退機構の支持基台に一体に固定されたワイヤを備えて構成することができる。この場合、チャック部が前進すると、ワイヤを通じて可動プーリが引っ張られることから、このときの可動プーリの動作をチャック部の動作と一体に行わせることができる。またチャック部が後退すると、ワイヤが緩むことから、フープ材の供給経路を伸長させる側に可動プーリを付勢する、何らかの付勢手段を設けておけば、このときの可動プーリの動作についても、チャック部の動作と一体に行わせることができる。このようにチャック部の往復動と可動プーリの往復動とが一体に行われるのであれば、別途の動力源の設置や、可動プーリの駆動制御を特に設けずともその具現が可能となる。ちなみに、上記のような付勢は、可動プーリの自重やばね等で行うことができる。
【0016】
一方、請求項5に記載の発明では、上記課題を解決するため、フープ材を巻き出し保持するアンコイラと、その巻き出されたフープ材をチャックするチャック部と、そのチャック部を、前記フープ材の引き出し方向に前進させ、同フープ材の送り戻し方向に後退させる前進後退機構と、を備えるフープ材供給装置において、前記アンコイラから前記チャック部の最後退位置までの区間に張り渡された前記フープ材が巻き掛けられるとともに、同区間における前記フープ材の掛け渡し長を伸長させる側および短縮させる側に往復動可能に配設された可動プーリと、前記チャック部の前進に応じて前記掛け渡し長を短縮させる側に前記可動プーリが駆動され、前記チャック部の後退に応じて前記掛け渡し長を伸長させる側に前記可動プーリが駆動されるように、該可動プーリと前記チャック部とを連結する、前記フープ材とは別の連結部材と、を備えている。
【0017】
このように構成されたフープ材供給装置では、チャック部が前進し、アンコイラからチャック部の最後退位置までの区間からフープ材を引き出すと、チャック部に連結部材を介して連結された可動プーリが連動して、同区間のフープ材の掛け渡し長を短縮する側に駆動される。またチャック部が後退して上記区間にフープ材を送り戻すと、チャック部に連結部材を介して連結された可動プーリが連動して、同区間のフープ材の掛け渡し長を伸長する側に駆動される。そのため、チャック部の前進、後退に伴う上記区間のフープ材の張力変化が低減されるようになる。
【0018】
このときの可動プーリの動作に係る駆動力は、フープ材とは別の連結部材を介してチャック部から伝達されるため、引き出し、送り戻しに伴うフープ材の張力変化に十分追従可能なだけの大きい駆動力で可動プーリを動作させることが可能となる。したがって上記構成によれば、フープ材の引き出し/送り戻しの量や速さが大きくとも、フープ材の張力を好適に保持することができる。またチャック部の往復動と可動プーリの往復動とが一体に行われるため、別途の動力源の設置や可動プーリの駆動制御を特に設けずとも、その具現が可能でもある。
【0019】
請求項6に記載の発明では、こうしたフープ材供給装置の可動プーリを、チャック部の前進に応じてその前進量だけ上記掛け渡し長を短縮させ、チャック部の後退に応じてその後退量だけ上記掛け渡し長を伸長させるように駆動するようにしている。この場合、チャック部の前進による上記区間からのフープ材の引き出し量だけ同区間のフープ材の掛け渡し長が短縮され、チャック部の後退による上記区間へのフープ材の送り戻し量と同量だけ、同区間のフープ材の掛け渡し長が伸長されるようになり、フープ材の張力変化をより的確に抑えることができるようになる。
【0020】
またそうしたフープ材供給装置の連結部材は、請求項7に記載のような、可動プーリに巻き掛けられるとともに、その一端が前記チャック部と一体に固定され、且つ他端が前進後退機構の支持基台に一体に固定されたワイヤにより構成することができる。この場合、チャック部が前進すると、ワイヤによって可動プーリが引っ張られて駆動されるようになる。また上記区間のフープ材の掛け渡し長を伸長させる側に可動プーリを付勢する、何らかの付勢手段を設けておけば、チャック部の後退により、ワイヤが緩むことで、その付勢手段の付勢力で、上記チャック部の前進時とは反対側に可動プーリが駆動されるようになる。
【0021】
ちなみに請求項8に記載のような、上記区間に張り渡されたフープ材に張力を付与するテンショナをさらに備えるフープ材供給装置に上記各構成を適用すれば、テンショナにより付与されたフープ材の張力を安定して保持することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明にかかるフープ材供給装置を、車両に搭載されるオルタネータのスリップリングの銅線溶接工程にあって、フープ状に銅線が巻回された銅線コイルから同銅線を所定量だけ巻戻して上記スリップリング(ワーク)側に供給するフープ材供給装置に適用した一実施の形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示されるように、本実施の形態にかかるフープ材供給装置10の供給対象とする銅線Lの巻かれた銅線コイルCは、床面Fに固定された支持台12に回転自在に支持されている。支持台12の側方には、銅線Lを案内する複数のプーリが設けられた基台Mが床面Fに固定された状態で配置されている。
【0024】
この銅線コイルCから銅線Lは、上方に向かって巻き出され、銅線コイルCの図中右側上方に配設された固定プーリ13に巻き掛けられる。この固定プーリ13は、基台Mに回転可能に軸支された状態で固定されている。固定プーリ13からは、銅線Lが重力方向下方に向かって導出され、同固定プーリ13の図中右側下方に設けられたフィーダ部14及び銅線保持部15を通過して、その更に下方に設けられたテンショナプーリ21へと送られる。
【0025】
フィーダ部14は、固定プーリ13から導出された銅線Lの保持(チャック)および解放(アンチャック)を選択的に行うとともに、上下方向に往復動可能に基台Mに配設されている。銅線保持部15は、フィーダ部14の下方に基台Mに固定された状態で配置され、フィーダ部14から送り出された銅線Lの保持および解放を選択的に行う。
【0026】
なお、本実施の形態では、これらフィーダ部14および銅線保持部15、並びに上記支持台12等によって、フープ材として銅線コイルCに巻かれた銅線Lを必要に応じて巻き出すとともに、過剰な巻き出しを抑止すべく銅線Lを保持するアンコイラ11が構成されている。そしてアンコイラ11は、その銅線保持部15が銅線Lを解放した状態でフィーダ部14が銅線Lを保持しつつ下方へ移動すること、及び銅線保持部15が銅線Lを保持した状態でフィーダ部14が銅線Lを解放しつつ上方へ移動すること、を所定回繰り返すことで、一定長さの銅線Lを銅線コイルCから巻き出す。そして一定長さの銅線Lを巻き出した後は、銅線保持部15が銅線Lを保持して、それ以上の銅線Lの巻き出しを規制する。
【0027】
一方、銅線保持部15の下方に設けられた上記テンショナプーリ21は、上下方向に往復動可能、且つ回転自在に基台Mに配設されており、その自重にて銅線Lに張力を付与するように構成されている。こうしたテンショナプーリ21の往復経路の上端近傍にはスイッチ16が設けられている。このスイッチ16は、テンショナプーリ21がある位置を越えて上昇したことを検出すると、上記アンコイラ11を作動させて一定長さの銅線Lを銅線コイルCから巻き出させる。
【0028】
このテンショナプーリ21から銅線Lは、上方に向かって導出され、同テンショナプーリ21の図中右側上方に設けられた固定プーリ22に巻き掛けられる。固定プーリ22は、回転自在に基台Mに軸支されている。
【0029】
またこの固定プーリ22から銅線Lは下方に向かって導出され、大小2つのプーリにて構成された可動プーリ31の大プーリ31aに巻き掛けられる。可動プーリ31は、固定プーリ22の図中右側下方において、基台Mに上下方向に往復動可能に配設されている。可動プーリ31の小プーリ31bは、大プーリ31aと同軸を有して回転自在、且つ上下方向に一体となって往復動可能に固定されている。こうした可動プーリ31の総重量は、上記テンショナプーリ21よりも十分重くされている。
【0030】
可動プーリ31の大プーリ31aから銅線Lは上方に向かって導出され、同可動プーリ31の図中右側上方に設けられた固定プーリ32に巻き掛けられる。この固定プーリ32は、回転自在に基台Mに固定されている。そして銅線Lは、この固定プーリ32から図中右方に向けて水平に導出される。
【0031】
以上ような態様で各種プーリ等の配設された基台Mの図中右側方には、支持基台Nが床面Fに固定された状態で配設されている。そしてその支持基台N上には、銅線Lの先端を、その溶接対象となるワークWに対して近接/離間すべく前進後退させる前進後退機構40と、ワークWが搬送されるベルトコンベアBとが配設されている。そしてベルトコンベアBの側方には、銅線LをワークWに溶接する溶接ヘッド51が配設されている。
【0032】
前進後退機構40は、移動テーブル41を備えており、その移動テーブル41は、エアシリンダやサーボモータ等の動力源によって、ワークWに近接、離間するように支持基台N上を水平に往復動可能に配設されている。移動テーブル41上には、チャック部42とフィーダ部45とが設けられている。チャック部42は、移動テーブル41上に一体となって往復動可能に固定されるとともに、上記固定プーリ32から導出された銅線Lの保持および解放を選択的に行う。またフィーダ部45は、チャック部42の図中右側に設けられてチャック部42を通過した銅線Lの保持および解放を選択的に行うとともに、ワークWに近接、離間するように移動テーブル41上を水平に往復動可能に配設されている。
【0033】
更にフィーダ部45のワークW側の側方における移動テーブル41上には、銅線Lを切断するカッター部43が設けられ、上記チャック部42およびフィーダ部45は、カッター部43のワークW側に、溶接に必要な長さの銅線Lを送り出す。すなわち、チャック部42が銅線Lを解放した状態でフィーダ部45が銅線Lを保持しつつワークW側へ移動すること、及びチャック部42が銅線Lを保持した状態でフィーダ部45が銅線Lを解放しつつ反ワークW側へ移動すること、を所定回繰り返すことで、必要長の銅線Lをカッター部43のワークW側に送り出す。そして必要長の送出が完了すると銅線Lは、チャック部42により保持される。なお、こうした銅線Lの送出に係る移動テーブル41上でのフィーダ部45の往復動のストロークは、支持基台N上での移動テーブル41の往復動のストロークに対して十分短くなっている。
【0034】
またフィーダ部45には、上端部にワイヤWRの基端部が固定された支持柱46が一体となって往復動可能に固定されている。このワイヤWRは、例えば鋼線などによって形成されており、その引張強度は、銅線Lよりも十分に高くされている。このワイヤWRは、支持柱46の上端から図中左方に水平に延伸されて、基台Mに回動自在に固定された固定プーリ34に巻き掛けられるとともに、その固定プーリ34から下方に向けて導出されて上記可動プーリ31の小プーリ31bに巻き掛けられる。そして、その小プーリ31bから再び上方に向かって導出されたワイヤWRの先端は、基台Mに固定されたワイヤ固定部33に固定されている。こうしたワイヤ固定部33は、ワイヤWRの基端が固定された支持柱46を移動テーブル41と共に往復動させる前進後退機構40の支持基台Nに、基台M及び床面Fを介して一体に固定されている。
【0035】
以上のように構成されたフープ材供給装置10では、前進後退機構40はその移動テーブル41の往復動を通じて、銅線Lの先端部が保持されたチャック部42を、ワークWに近接する方向、すなわち銅線Lの引き出し方向に前進させるとともに、ワークWから離間する方向、すなわち銅線Lの送り戻し方向に後退させる。
【0036】
このときの移動テーブル41の往復動に際しては、上記ワイヤWRの基端が固定された支持柱46も一体となって往復動するため、銅線Lと共にワイヤWRも引き出し、送り戻しされるようになる。このため、チャック部42がその往復動範囲の最後退位置Aから前進して、アンコイラ11からチャック部42の最後退位置Aまでの区間から銅線Lを引き出すと、それに連動してワイヤWRが可動プーリ31をその自重に抗して上方に引き上げる。一方、チャック部42が後退して上記区間に銅線Lを送り戻すと、それに連動してワイヤWRが緩み、可動プーリ31を自重により下方に移動させる。そしてその結果、アンコイラ11からチャック部42の最後退位置Aまでの区間における銅線Lの掛け渡し長は、チャック部42の前進に連動して短縮され、チャック部42の後退に連動して伸長されるようになる。こうした銅線Lの掛け渡し長さの伸縮に係る可動プーリ31の上下動は、銅線Lの張力に依ることなく、それとは別途に設けられたワイヤWRを通じた張力の伝達により行われる。
【0037】
なお、本実施の形態のフープ材供給装置10においては、上述のように、可動プーリ31の大プーリ31aへの巻き掛け前後の銅線Lと、同可動プーリ31の小プーリ31bへの巻き掛け前後のワイヤWRとが、それぞれ平行に張設されている。また、チャック部42の前進/後退に応じてワイヤWRは、銅線Lと同方向に同量だけ引き出し/送り戻しされるようになっている。このため、移動テーブル41の移動を通じたチャック部42の前進時には、その前進量と同量だけ掛け渡し長が短縮され、また移動テーブル41の移動を通じたチャック部42の後退時には、その後退量と同量だけ掛け渡し長が伸長されることとなる。
【0038】
こうした本実施の形態のフープ材供給装置10ではその可動プーリ31が、フープ材(銅線L)の張力に依らずに往復動して、アンコイラ11からチャック部42の最後退位置Aまでの区間におけるフープ材の掛け渡し長を伸縮させる上記伸縮機構に相当する構成となっている。またワイヤWRが、チャック部42の前進に応じて上記掛け渡し長を短縮させる側に伸縮機構である可動プーリ31を駆動し、チャック部42の後退に応じて上記掛け渡し長を伸長させる側に伸縮機構である可動プーリ31を駆動する駆動機構に相当している。更にワイヤWRは、可動プーリ31とチャック部42とを連結する、フープ材(銅線L)とは別の連結部材に相当する構成となってもいる。
【0039】
次に、溶接加工部50のベルトコンベアBにより搬送されたワーク(スリップリング)Wに対して所定長さの銅線Lを溶接加工する際のフープ材供給装置10の動作を、図2〜図4にしたがって説明する。
【0040】
まず、フープ材供給装置10は、アンコイラ11の銅線保持部15がワイヤWRを保持して銅線コイルCからの銅線Lの巻き出しを規制した状態で、移動テーブル41上のチャック部42およびフィーダ部45を作動して、溶接に必要な長さの銅線Lをカッター部43からワークW側に送り出す。
【0041】
具体的には、上述のように、チャック部42による銅線Lの保持を解放した状態で、同図2に二点鎖線にて示すように銅線Lを保持しつつフィーダ部45をワークW側に所定長Xだけ前進させる。これにより、銅線Lの先端は、カッター部43からワークW側に上記所定長Xだけ突き出される。このときの可動プーリ31は、フィーダ部45の移動に伴って支持柱46もワークW側に変位してワイヤWRがワークW側に引っ張られることから、同図2に二点鎖線にて示すように、フィーダ部45の前進量の半分の「X/2」だけ上方に移動する。
【0042】
その後、チャック部42にて銅線Lを保持するとともに、銅線Lの保持を解放した状態でフィーダ部45をワークW側から離間する方向に上記所定長Xだけ後退させる。これにより、上記銅線Lの先端の突き出しを維持したまま、フィーダ部45が元の位置に復元する。このときの可動プーリ31は、フィーダ部45と共に支持柱46もワークWから離間する方向に変位してワイヤWRが送り戻されることから、その自重によってその後退量の半分の「X/2」だけ下降して元の位置に復元する。一方、このときのアンコイラ11からチャック部42の最後退位置Aまでの区間に掛け渡された銅線Lの長さは、銅線コイルCからの銅線Lの巻き出しが規制されていることから、カッター部43から突き出された長さX分だけ短縮されている。そのため、上記可動プーリ31の下降に応じて、それと同量の「X/2」だけ、テンショナプーリ21が上方へと移動する。
【0043】
そして以上のようなフィーダ部45の前進後退を予め定められた回数nだけ繰り返すことで、溶接に必要な長さ「n・X」の銅線Lの先端がカッター部43のワークW側に突き出される。
【0044】
次に、図3に示すように、移動テーブル41を引き出し方向に距離Yだけ移動させて、上記突き出された銅線Lの先端をワークWの溶接箇所に当接させる。このとき、移動テーブル41の移動に伴っては、チャック部42も引き出し方向に距離Yだけ前進するため、上記掛け渡し長は同距離Yだけ短縮する。同時に、この移動テーブル41の移動に伴って支持柱46も引き出し方向に前進する。このため、ワイヤWRが引き出し方向に引っ張られることとなり、可動プーリ31が「Y/2」の量だけ上方に移動する。すなわち、上記掛け渡し長は、距離Yだけ短縮される。このように、可動プーリ31の上方への移動を通じてチャック部42の前進量と同量だけ掛け渡し長が短縮されるため、銅線Lに過剰な張力が付加されることはない。
【0045】
そしてその後、この銅線LとワークWとの溶接箇所に溶接ヘッド51を近接させワークWに銅線Lを溶接する。例えばスポット溶接によって銅線LとワークWとを溶接する場合には、銅線LとワークWとの溶接箇所を挟み込むように溶接機の両電極を対極させ、両電極間に電流を流すことによって銅線LとワークWとの溶接が行われる。その後、カッター部43によって銅線Lを切断する。これにより、ワークWには、先に突き出された長さ「n・X」の銅線Lが付加されることとなる。なお、この銅線Lが溶接されたワークWはベルトコンベアBによって次工程に搬送される。
【0046】
こうした銅線Lの切断後、図4に示すように、移動テーブル41を送り戻し方向に距離Yだけ後退させる。このとき、移動テーブル41の移動に伴ってチャック部42も送り戻し方向に距離Yだけ後退するため、上記掛け渡し長は同距離Yだけ伸長する。同時に、この移動テーブル41の移動に伴って支持柱46も送り戻し方向に後退する。このため、ワイヤWRが緩められることとなり、可動プーリ31がその自重によって「Y/2」の量だけ下方に移動する。すなわち、上記掛け渡し長は、距離Yだけ伸長される。すなわち、可動プーリ31の下方への移動を通じてチャック部42の後退量と同量だけ掛け渡し長が伸長される。よってこの場合も、銅線Lに過剰な張力が付加されることはない。また、このようにチャック部42の後退量と同量だけ掛け渡し長が伸長されるため、可動プーリ31の自重を増加させても、銅線Lに対する張力は一定に維持される。そのため、可動プーリ31の自重を増加させて、移動テーブル41が送り戻し方向に後退する際の可動プーリ31の下降速度の向上を図ることもできるようになる。これによって、銅線Lの引き出し、送り戻しに伴う同銅線Lの張力変化への追従性の向上を図ることができる。
【0047】
その後、上記手順を繰り返すことで、順次、ワークWに対する銅線Lの溶接が行われる。なお、カッター部43から銅線Lが送り出される毎にテンショナ部20のテンショナプーリ21が上昇していき、テンショナプーリ21がある位置まで上昇すると、スイッチ16がオンとなって、アンコイラ11のフィーダ部14及び銅線保持部15が作動して、銅線コイルCから銅線Lが、消費された長さ分、巻き出されて補充される。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態にかかるフープ材供給装置によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)アンコイラ11と前進後退機構40との間に、上下方向に往復動可能な可動プーリ31を設けるようにした。そして、ワイヤ固定部33により一端が固定されたワイヤWRをこの可動プーリ31の小プーリ31bに巻き掛けるとともに、同ワイヤWRの他端を前進後退機構40の支持柱46に固定するようにした。これにより、銅線Lの引き出しや送り戻しがなされたときには、それに連動して可動プーリ31が上方向、あるいは下方向に移動することとなる。また、可動プーリ31の大プーリ31aへの巻き掛け前後の銅線Lと同可動プーリ31の小プーリ31bへの巻き掛け前後のワイヤWRとを互いに平行に張設するとともに、固定プーリ32からチャック部42への導出部分の銅線Lと固定プーリ34から支持柱46への導出部分のワイヤWRとを、共に水平に張設するようにした。このため、アンコイラ11からチャック部42の最後退位置Aまでの区間における銅線Lの掛け渡し長は、チャック部42が前進したときにはその前進量と同量だけ短縮され、チャック部42が後退したときにはその後退量と同量だけ伸長される。したがって、チャック部42の前進、後退に伴う上記区間の銅線Lの張力の増減が的確に抑制されるようになる。
【0049】
(2)上記掛け渡し長を伸縮させる可動プーリ31を、銅線Lとは各別に設けられたワイヤWRを介して、チャック部42の前進後退に連動して駆動させるようにしている。このため、銅線Lの張力に左右されることなく、可動プーリ31の自重を自在に設定することができる。このため、引き出し、送り戻しに伴う銅線Lの張力変化に十分追従可能なだけ可動プーリ31の自重を増加させることも可能となる。よって、チャック部42による銅線Lの急激な引き出し/送り戻しが行われたとしても、銅線Lの張力をより好適に保持することができるようになる。
【0050】
(3)ワイヤWRの一端をワイヤ固定部33に固定するとともに、その他端を前進後退機構40の支持柱46に固定するようにし、このワイヤWRの伸縮を通じて可動プーリ31の駆動が前進後退機構40の前進、後退に連動して駆動されるようにした。このため、可動プーリ31を駆動させるためのモータ等を別途設置したり、可動プーリ31を上記前進後退機構40の移動に連動されるための駆動制御を行う必要がない。よって、フープ材供給装置10の信頼性も好適に維持されるようになる。
【0051】
(4)また、可動プーリ31の往復動によって引き出しや送り戻しに伴う銅線Lの張力変化が緩和されるため、引き出し、送り戻しの量や速さが大きくとも、テンショナプーリ21により付与された銅線Lの張力を安定して保持することができるようにもなる。
【0052】
なお、この発明にかかるフープ材供給装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施の形態では、アンコイラ11からチャック部42の最後退位置Aまでの区間からのチャック部42の前進/後退に応じた銅線Lの引き出し量/送り戻し量と同量だけ、可動プーリ31の変位により上記区間の銅線Lの掛け渡し長さを短縮/伸長させるようにしていた。こうした場合には、チャック部42による銅線Lの引き出し/送り戻しに伴う銅線Lの張力変化をほぼ完全に解消することが可能である。もっとも、チャック部42の前進/後退に伴う上記区間からの銅線Lの引き出し量/送り戻し量と、可動プーリ31の変位による上記区間の銅線Lの掛け渡し長さの短縮量/伸長量とが完全に一致していなくとも、上記銅線Lの張力変化をある程度低減することはできる。要は、チャック部42の前進/後退に伴う上記区間からの銅線Lの引き出し量/送り戻し量に対して、上記区間の銅線Lの掛け渡し長さの短縮量/伸長量が小さくなるように可動プーリ31が変位するのであれば、銅線Lの張力変化は本来よりも低減されることになる。
【0053】
・上記実施形態では、銅線Lの掛け渡し長を伸縮させる可動プーリ31を、重力方向上下に往復動可能に配設するようにしていたが、可動プーリ31をそれ以外の方向に往復動させるように構成することもできる。そうした場合にも、チャック部42の前進に応じたワイヤWRの引っ張りにより、上記銅線Lの掛け渡し長を短縮させる方向に、チャック部42の後退に応じたワイヤWRの緩みにより、上記銅線Lの掛け渡し長を伸長させる方向に、可動プーリ31がそれぞれ変位されるようにすればよい。このようにしても、引き出し、送り戻しに伴う銅線Lの張力変化を的確に緩和することができるようになる。なお、往復方向の設定によっては、自重のみでは、ワイヤWRの緩みに応じて可動プーリ31が変位されないようになることがある。そうした場合には、可動プーリ31を、ばねや油圧シリンダ等を用いて、上記掛け渡し長を伸長させる方向に付勢するようにすればよい。例えば図5に示されるフープ材供給装置では、アンコイラ61から巻き出された銅線Lは、テンショナプーリ21およびその側部上方に配設された固定プーリ22に巻き掛けられた後、その固定プーリ22から同図右方における水平方向に導出されて、その側方に配設された固定プーリ62に巻き掛けられている。そしてその固定プーリ62から同図左方における水平方向に導出された後、該固定プーリ62の図中左側の下方に配設された可動プーリ31の大プーリ31aに巻き掛けられている。この可動プーリ31は、基台Mに水平方向に往復動可能に配設されるとともに、ばね63によって図中左方に付勢されている。可動プーリ31から銅線Lは、前進後退機構40の移動テーブル41上に設けられたチャック部42に向けて、図中右方における水平方向に導出されている。一方、可動プーリ31の小プーリ31bには、移動テーブル41上に設けられた支持柱46に基端の固定されたワイヤWRが巻き掛けられている。このワイヤWRは、小プーリ31bから図中右方における水平方向に向かって導出された後、ワイヤ固定部33を介して基台Mに固定されている。こうした場合にも、チャック部42がその最後退位置Aから銅線引き出し方向へ前進すると、ワイヤWRによって可動プーリ31が図中右方向に変位して、アンコイラ61から上記最後退位置Aまでの区間における銅線Lの掛け渡し長を、上記チャック部42の前進に伴う上記区間からの銅線Lの送り出し長だけ短縮される。また、チャック部42が銅線送り戻し方向に後退すると、ワイヤWRが緩んで可動プーリ31がばね63の付勢力にて図中左方向に変位して、アンコイラ61から上記最後退位置Aまでの区間における銅線Lの掛け渡し長を、上記チャック部42の後退に伴う銅線Lの送り戻し長だけ伸長される。したがって、このような構成においても、引き出し、送り戻しに伴う銅線Lの張力変化を的確に緩和することができるようになる。
【0054】
・ワイヤWR以外の手段、例えば機械的リンケージなどを通じてチャック部42と可動プーリ31とを連結し、チャック部42の前進後退に連動して可動プーリ31を駆動するようにしてもよい。
【0055】
・可動プーリ31以外の手段により、アンコイラ11から上記最後退位置Aまでの区間における銅線Lの掛け渡し長を伸縮させるようにしてもよい。そうした場合にも、チャック部42の前進/後退に連動して、上記銅線Lの掛け渡し長を短縮/伸縮する伸縮機構が設けられているのであれば、引き出し、送り戻しに伴う銅線Lの張力変化を的確に緩和することは可能である。
【0056】
・上記実施の形態では、一端がワイヤ固定部33に固定されるとともに、他端が前進後退機構40の支持柱46に固定されたワイヤWRを用いて可動プーリ31を上下方向に往復動させている。可動プーリ31を往復動させる駆動源としてはこの他にも、例えばモータ等を用い、このモータの回転軸にワイヤWRを巻回するようにしてもよい。そして、チャック部42の前進、後退に応じてこのモータを駆動制御することによって、前進後退機構40のチャック部42の前進、後退に連動して可動プーリ31が移動するようにしてもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、テンショナ部20のテンショナプーリ21の自重によって銅線Lに張力を付与している。しかし、上述のように、可動プーリ31の往復動によって引き出し、送り戻しに伴う銅線Lの張力変化が的確に緩和されることから、銅線Lの緩みを可動プーリ31によって吸収できるのであれば、テンショナプーリ21を割愛した構成を採用するようにしてもよい。
【0058】
・本発明にかかるフープ材供給装置は、溶接工程においてフープ材を巻き出し供給する用途以外の用途、例えばスリット加工やプレス加工においてフープ材を巻き出し供給する用途に採用するようにしてもよい。また、フープ材として、銅線L以外の線状のフープ材、あるいは平板状のフープ材を供給するフープ材供給装置にも、本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明にかかるフープ材供給装置の一実施の形態についてその概略構成を示す模式図。
【図2】同実施の形態にかかるフープ材供給装置の概略構成を示す模式図。
【図3】同実施の形態にかかるフープ材供給装置の概略構成を示す模式図。
【図4】同実施の形態にかかるフープ材供給装置の概略構成を示す模式図。
【図5】本発明にかかるフープ材供給装置の他の実施の形態についてその概略構成を示す模式図。
【図6】従来のフープ材供給装置の概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0060】
10…フープ材供給装置、11、61…アンコイラ(12…支持台、14…フィーダ部、15…銅線保持部)、13、22、32、34、62…固定プーリ、16…スイッチ、21…テンショナプーリ、31…可動プーリ(伸縮機構:31a…大プーリ、31b…小プーリ)、33…ワイヤ固定部、40…前進後退機構、41…移動テーブル、42…チャック部、43…カッタ部、45…フィーダ部、46…支持柱、51…溶接ヘッド、WR…ワイヤ、L…銅線、W…ワーク、B…ベルトコンベア、C…銅線コイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フープ材を巻き出し保持するアンコイラと、その巻き出されたフープ材をチャックするチャック部と、そのチャック部を、前記フープ材の引き出し方向に前進させ、同フープ材の送り戻し方向に後退させる前進後退機構と、を備えるフープ材供給装置において、
前記フープ材の張力に依らずに往復動して、前記アンコイラから前記チャック部の最後退位置までの区間における前記フープ材の掛け渡し長を伸縮させる伸縮機構と、
前記チャック部の前進に応じて前記掛け渡し長を短縮させる側に前記伸縮機構を駆動し、前記チャック部の後退に応じて前記掛け渡し長を伸長させる側に前記伸縮機構を駆動する駆動機構と、
を備えたことを特徴とするフープ材供給装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記チャック部の前進に応じてその前進量と同量だけ前記掛け渡し長を短縮させ、前記チャック部の後退に応じてその後退量と同量だけ前記掛け渡し長を伸長させるように前記伸縮機構を駆動する
請求項1に記載のフープ材供給装置。
【請求項3】
前記伸縮機構は、前記フープ材が巻き掛けられるとともに、前記フープ材の掛け渡し長を短縮させる側および伸長させる側に往復動可能に支持された可動プーリにより構成される
請求項1または2に記載のフープ材供給装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記可動プーリに巻き掛けられるとともに、一端が前記チャック部と一体に固定され、且つ他端が前記前進後退機構の支持基台に一体に固定されたワイヤを備えて構成される
請求項3に記載のフープ材供給装置。
【請求項5】
フープ材を巻き出し保持するアンコイラと、その巻き出されたフープ材をチャックするチャック部と、そのチャック部を、前記フープ材の引き出し方向に前進させ、同フープ材の送り戻し方向に後退させる前進後退機構と、を備えるフープ材供給装置において、
前記アンコイラから前記チャック部の最後退位置までの区間に張り渡された前記フープ材が巻き掛けられるとともに、同区間における前記フープ材の掛け渡し長を伸長させる側および短縮させる側に往復動可能に配設された可動プーリと、
前記チャック部の前進に応じて前記掛け渡し長を短縮させる側に前記可動プーリが駆動され、前記チャック部の後退に応じて前記掛け渡し長を伸長させる側に前記可動プーリが駆動されるように、該可動プーリと前記チャック部とを連結する、前記フープ材とは別の連結部材と、
を備えることを特徴とするフープ材供給装置。
【請求項6】
前記可動プーリは、前記チャック部の前進に応じてその前進量だけ前記掛け渡し長を短縮させ、前記チャック部の後退に応じてその後退量だけ前記掛け渡し長を伸長させるように駆動される
請求項5に記載のフープ材供給装置。
【請求項7】
前記連結部材は、前記可動プーリに巻き掛けられるとともに、その一端が前記チャック部と一体に固定され、且つ他端が前記前進後退機構の支持基台に一体に固定されたワイヤにより構成される
請求項5または6に記載のフープ材供給装置。
【請求項8】
前記区間に張り渡された前記フープ材に張力を付与するテンショナをさらに備える
請求項1〜7のいずれか1項に記載のフープ材供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−84241(P2007−84241A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274042(P2005−274042)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】