説明

ブラシレスモータ

【課題】ステータを冷却することができるブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ブラシレスモータ1は、モータハウジング(2,3)と、略円環形状に形成されモータハウジング(2,3)内に取り付けられたステータ6と、ステータ6の内側に回転自在に配置されたロータ10とを備えている。ロータ10は、略円盤形状に形成されたロータ本体11とロータ本体11の外周面に取り付けられたマグネット12とを有し、ロータ本体11には、ロータ10の回転によりステータ6に送風する送風手段11b1が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラシレスモータに関し、特に、ステータを冷却することができるブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ブラシレスモータは、モータハウジングと、略円環形状に形成されモータハウジング内に取り付けられたステータと、ステータの内側に回転自在に配置されたロータとを備える。ステータは、薄板の鋼板が積層され形成されたステータコアと、ステータコアに巻装されたステータコイルとを備える。また、ロータは、略円盤形状の形成されたロータ本体と、ロータ本体の外周面に取り付けられたマグネットとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−95137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、モータの作動時においてステータが高温になるという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ステータを冷却することができるブラシレスモータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載されたブラシレスモータは、モータハウジングと、略円環形状に形成されモータハウジング内に取り付けられたステータと、略円盤形状に形成されたロータ本体とロータ本体の外周面に取り付けられたマグネットとを有し、ステータの内側に回転自在に配置されたロータと、を備えるブラシレスモータにおいて、ロータ本体には、ロータの回転によりステータに送風する送風手段が設けられていることを特徴とする。そして、このように構成することで、モータを作動させロータが回転したときに、ロータ本体に設けられた送風手段によりステータに送風することができ、この送風によりステータを冷却することができる。
【0007】
また、請求項2に記載されたブラシレスモータは、請求項1に記載されたブラシレスモータにおいて、ロータ本体は、モータハウジングに軸受を介して支持される円環形状の基部材と、基部材の外側に配置されるとともに外周面に前記マグネットが取り付けられる円環形状の円環部材と、基部材と円環部材とを連係する連係部材とを備え、連係部材に送風手段が形成されていることを特徴とする。そして、このように構成することで、モータを作動させロータが回転したときに、ロータ本体の連係部材に形成された送風手段によりステータの送風することができ、その送風によりステータを冷却することができる。
【0008】
また、請求項3に記載されたブラシレスモータは、請求項2に記載されたブラシレスモータにおいて、連係部材は、基部材から円環部材に向けて略放射状に形成された複数の連結棒より構成され、連結棒は、円環部材の一方の端面よりも軸方向上側に張り出した棒状の送風部を備えていることを特徴とする。
【0009】
そして、このように連係部材を基部材から円環部材に向けて略放射状に延出して形成された複数の連結棒により構成されることにより、連係部材の軽量化を図ることできる。また、連結棒は、円環部材の一端の端面よりも軸方向上側に張り出した棒状の送風部を備えており、モータを作動させロータが回転したときに、ロータの円環部材に風が遮られることなく、送風部により形成された風をステータに吹き付ける(送風)ことができ、その送風によりステータを冷却することができる。
【0010】
また、請求項4に記載されたブラシレスモータは、請求項3に記載されたブラシレスモータにおいて、モータハウジングには、ハウジング内に空気を吸入する第1挿通孔がステータよりも径方向内側に形成されているとともに、ハウジング外に空気を排出する第2挿通孔がステータよりも径方向外側に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載されたブラシレスモータにおいて、ステータが内部に取り付けられているモータハウジングには、ハウジング内に空気を吸入する第1挿通孔が形成されるとともに、ハウジング外に空気を排出する第2挿通孔が形成されている。そして、第1挿通孔はステータよりも径方向内側に形成され、第2挿通孔は径方向外側に形成されている。
【0012】
そのため、モータが作動し、送風部(送風手段)によりステータに向けた空気の流れが形成されるとき、モータ内よりも低温の外気が第1挿通孔からモータ内に流入されるとともに、流入した空気が送風部(送風手段)によりステータに吹き付けられ、ステータを冷却するとともに、ステータに吹き付けられ温度の上昇した空気は第2挿通孔からモータ外に排出される。このように、外気をモータ内に吸入するとともにステータを冷却した後の空気をモータ外に排出することにより、ステータをより効果的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のブラシレスモータは、モータを作動させロータが回転したときに、ロータ本体に設けられた送風手段によりステータに送風することができる。このため、本発明のブラシレスモータは、この送風によりステータを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態におけるブラシレスモータの斜視図である。
【図2】図1において、断面A−Aにて示すブラシレスモータの断面図である。
【図3】本発明の実施形態のブラシレスモータに備えられたロータの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態のブラシレスモータにおいて空気の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の実施形態におけるブラシレスモータを図1、図2および図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態のブラシレスモータの斜視図であり、図2は、図1にて断面A−Aにて示すブラシレスモータの断面図である。図3は、本実施形態のブラシレスモータに備えられたロータの斜視図である。
【0016】
図1および図2に示されるように、ブラシレスモータ1は、有底円筒形状の第1モータハウジング2と、第1モータハウジング2の開口を塞ぐ円盤形状の第2モータハウジング3と、略円環形状に形成されるとともに第2モータハウジング3内に取り付けられたステータ6と、ステータ6の内側に回転自在に配置されたロータ10と、を備えている。また、ステータ6と第1ハウジング2との間には、ステータ6に制御電流を供給する基板8が設けられている。ここで、ロータ10は、第2モータハウジング3に取り付けらえた軸受7により回転自在に軸支されている。
【0017】
ステータ6は、薄板の鋼板を積層して形成されたステータコア6aと、インシュレータ6bを介してステータコア6aに巻装されたステータコイル6cと、を備えている。
【0018】
図3に示すように、ロータ10は、略円盤形状に形成されたロータ本体11と、ロータ本体11の外周面に取り付けられた円環形状のマグネット12と、を備えている。そして、ロータ本体11は、第2モータハウジング3に軸受7を介して支持される円環形状の基部材11aと、基部材11aの外側に配置されるとともに外周面にマグネット12が取り付けられている円環形状の円環部材11cと、基部材11aと円環部材11cとを連係する連係部材を構成する複数の連結棒11bと、を備えている。
【0019】
連結棒11bは、棒形状にて基部材11aから円環部材11cに向けて放射状に等ピッチに形成されている。そして、連結棒11bは、基部材11a側に形成されている送風手段としての棒状の送風部11b1と、送風部11b1と円環部材11cとを繋ぐ棒状の連係部11b2とにより構成されている。そして、送風部11b1は、円環部材11cの一方の端面11c1よりも軸方向上側に張り出して形成されているとともに、連係部11b2は、円環部材11cより軸方向上側に張り出した送風部11b1と円環部材11cとを繋いでいる。
【0020】
また、図1および図2に示されるように、第1モータハウジング2の底部2aにはステータ6よりも径方向内側にハウジング(2,3)内に空気を吸入する複数の第1挿通孔4が形成されている。また、第1モータハウジング2の側部2bの内周面と第2モータハウジング3の側部3aの外摺面との間、すなわち、第1および第2モータハウジング(2,3)の勘合部には、数か所の隙間が形成されている。そして、この隙間によりステータ6の径方向外側にハウジング(2,3)外に空気を排出する第2挿通孔5が形成されている。
【0021】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0022】
次に、本実施形態のブラシレスモータ1が有する効果について、図4に基づき説明する。
【0023】
連結棒11bは、円環部材11cの一方の端面11c1よりも軸方向上側に張り出した棒状の送風部(送風手段)11b1を備えている。この送風部11b1により、モータ1が作動しロータ10が回転したときに、ロータ10の径方向外側に配置されたステータ6に送風することができ、この送風によりステータ6を冷却することができる。
【0024】
さらに、上記のように送風部11b1は円環部材11cの一方の端面11c1よりも軸方向上側に張り出しているため、送風部11b1により形成された風はロータ10の円環部材11cに遮られることなく、ステータ6に効果的に吹き付けることができる。
【0025】
また、ロータ10の基部材11aと円環部材11cは、棒状の連結棒11bにより連係されているため、ロータ10の軽量化が図られる。
【0026】
さらに、ステータ6が内部に取り付けられているハウジング(2,3)において、第1モータハウハウジング2には、ハウジング(2,3)内に空気を吸入する第1挿通孔4が形成されている。そして、第1および第2モータハウジング(2,3)の勘合部には、ハウジング(2,3)外に空気を排出する第2挿通孔4が形成されている。ここで、第1挿通孔4はステータ6よりも径方向内側に形成され、第2挿通孔5は径方向外側に形成されている。
【0027】
そのため、モータ1が作動し、送風部11b1(送風手段)によりステータ6に向けた空気の流れが形成されるとき、モータ1内よりも低温の外気が第1挿通孔4からモータ1内に流入されるとともに、流入した空気が送風部(送風手段)11b1によりステータ6に吹き付けられ、ステータ6を冷却するとともに、ステータ6に吹き付けられ温度の上昇した空気は第2挿通孔5からモータ1外に排出される。このように、外気をモータ1内に吸入するとともにステータ6を冷却した後の空気をモータ1外に排出することにより、ステータ6をより効果的に冷却することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ブラシレスモータ
2 第1モータハウジング(モータハウジング)
2a 底部
2b 側部
3 第2モータハウジング(モータハウジング)
3a 側部
4 第1挿通孔
5 第2挿通孔
6 ステータ
7 軸受
10 ロータ
11 ロータ本体
11a 基部材
11b 連係部材(連結棒)
11b1 送風部(送風手段)
11b2 連係部
11c 円環部材
11c1 一方の端面
12 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータハウジングと、略円環形状に形成され前記モータハウジング内に取り付けられたステータと、略円盤形状に形成されたロータ本体と前記ロータ本体の外周面に取り付けられたマグネットとを有し、前記ステータの内側に回転自在に配置されたロータと、を備えるブラシレスモータにおいて、
前記ロータ本体には、前記ロータの回転により前記ステータに送風する送風手段が設けられていることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
請求項1に記載されたブラシレスモータにおいて、
前記ロータ本体は、前記モータハウジングに軸受を介して支持される円環形状の基部材と、前記基部材の外側に配置されるとともに外周面に前記マグネットが取り付けられる円環形状の円環部材と、前記基部材と前記円環部材とを連係する連係部材とを備え、
前記連係部材に前記送風手段が形成されていることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項3】
請求項2に記載されたブラシレスモータにおいて、
前記連係部材は、前記基部材から前記円環部材に向けて略放射状に形成された複数の連結棒より構成され、
前記連結棒は、前記円環部材の一方の端面よりも軸方向上側に張り出した棒状の送風部を備えていることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項4】
請求項3に記載されたブラシレスモータにおいて、
前記モータハウジングには、前記ハウジング内に空気を吸入する第1挿通孔が前記ステータよりも径方向内側に形成されているとともに、前記ハウジング外に空気を排出する第2挿通孔が前記ステータよりも径方向外側に形成されていることを特徴とするブラシレスモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate