説明

ブラシ毛素材およびブラシ

【課題】本発明は、異なる性質の素材からなるブラシ毛素材を各種貼り合わせて1本のブラシ毛素材とすることにより、ワークの硬さ、形状、研磨目的に合った研磨ができるブラシ毛素材およびブラシに関するものである。
【解決手段】本発明のブラシ毛素材は、合成樹脂素材と金属素材が一体化されて1本または2本以上を構成している。前記合成樹脂素材または金属素材は、ほぼ板状部材または棒状部材からなり、サンドイッチ状、または隣り合った部分をそれぞれが互いに貼り合わされて、板状あるいは棒状、または所望の形状に一体化される。前記貼り合わされて一体化されたブラシ毛素材は、前記合成樹脂素材と金属素材の特徴がそれぞれ組み合わされて、ワークあるいは前記ワークの形状、ワークの用途に合った所望の固さ、弾性、あるいは摩擦力を得ることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂素材と金属素材の両方の特性を兼ね備えたブラシ毛素材およびブラシに関するものである。本発明は、特に、異なる性質の素材からなるブラシ毛素材を一体化して1本のブラシ毛素材とすることにより、ワークの硬さ、形状、研磨目的に合った研磨ができるとともに、金属製ブラシ毛素材が破損した際にも、飛散することなく、安全なブラシ毛素材およびブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2003−164332号公報に記載されているブラシは、3本の金属線材の間に金属線を挟み、これらを撚ることにより作製されている。また、前記ブラシの撚り部分には、金属製の中空パイプが挿入され、外周をしぼり加工することで、嵌合固定されている。
【0003】
また、特開2002−254277号公報に記載されているブラシは、複数本のアルミナ長繊維からなる集合糸をバインダー樹脂に含浸させて硬化し、結束させる。前記複数本のアルミナ長繊維は、前記バインダー樹脂が付いて硬化していない自由端でバリ取り等の研磨を行うことができる。
【特許文献1】特開2003−164332号公報
【特許文献2】特開2002−254277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のブラシ毛素材は、強度を上げると、折れた際に、破損片が飛散して、事故が発生するおそれがある。また、研磨を必要とするワークは、硬さ、柔らかさ、形状等が無限にあり、これらに対応した特性のブラシが要望されている。しかし、従来のブラシ素材は、素材が固すぎるか、柔らかすぎるか、これらを組み合わせた中間のものかであり、目的に合った硬さと柔らかさを兼ね備えたブラシを得ることが困難であった。また、従来のブラシ毛素材は、ブラシ毛が広がって、先端部分がワークに当たらないような場合があるが、このような場合を防ぐために、前記先端部分が接着剤で互いに固定されている。前記先端部分における接着剤は、研磨による熱で異臭を発生することがあった。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、合成樹脂素材と金属素材とを一体化させることにより、合成樹脂素材と金属素材との良い所を合体したブラシ毛素材およびブラシを提供することを目的とする。本発明は、前記合成樹脂素材と金属素材とを合体することにより、破損した際の事故防止ができるとともに、強度、弾力を兼ね備え、かつ、摩擦熱による接着剤等の異臭が発生しないブラシ毛素材およびブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛素材は、少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、がそれぞれ互いに貼り合わされていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛素材は、金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が混入された少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、がそれぞれ互いに貼り合わされていることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛素材は、少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が1%から100%混入、またはコーティングされた少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、がそれぞれ互いに貼り合わされていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明のブラシ毛素材は、金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が混入された少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が1%から100%コーティングされた少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、がそれぞれ互いに貼り合わされていることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛素材は、第1発明から第4発明におけるブラシ毛素材の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛素材は、第1発明から第4発明におけるブラシ毛素材の内、異なる種類の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明のブラシ毛素材は、第5発明または第6発明に記載されたブラシ毛素材の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明のブラシ毛素材において、第1発明から第7発明におけるブラシ毛素材は、三角形、四角形、六角形、八角形、楕円形、十字状、クロバー状等多角形からなる線状または棒状にしたことを特徴とする。
【0014】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛素材において、第2発明から第8発明における研磨砥粒は、静電防止砥粒、香り砥粒、消臭砥粒の少なくとも一つが含まれていることを特徴とする。
【0015】
(第10発明)
第10発明のブラシ毛素材において、第1発明から第9発明におけるブラシ毛は、動植物のブラシ毛素材が少なくとも含まれていることを特徴とする。
【0016】
(第11発明)
第11発明のブラシにおいて、第1発明から第10発明に記載されているブラシ毛素材は、チャネルブラシ、植込みブラシ、溶着ブラシ等となり、これらがロールブラシ、ホィールブラシ、コイルブラシ、筒型ブラシ、捻じりブラシの少なくとも一つとなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、合成樹脂素材と金属素材とを一体化させることにより、前記合成樹脂素材と金属素材それぞれの特徴が組み合わされて、ワークあるいは前記ワークの形状、ワークの用途に合った所望の固さ、弾性、あるいは摩擦力を得ることができるようになった。
【0018】
本発明によれば、合成樹脂素材と金属素材が互いに貼り合わされているため、ワークの研磨中に金属素材が破損した際に、飛び散ることによって生じる事故を防止することができる。
【0019】
本発明によれば、合成樹脂素材および金属素材の貼り合わされた1本のブラシ毛素材は、金属素材の部分が研磨に適し、合成樹脂素材の部分が柔軟性を持たせ、コーティングにより、さらに、研磨性を向上させるとともに、強度、弾性をワークに合ったものとすることができる。
【0020】
本発明によれば、合成樹脂素材および金属素材に対して、研削粒および/または研磨砥粒の種類および/または量を任意に変えて混入、またはコーティング等により、幅の広い研磨特性のブラシ毛素材およびブラシを得ることができる。
【0021】
本発明によれば、前記ブラシ毛素材が各種組み合わされたものを、さらに、束ねることができる。また、前記束ねたブラシ毛素材をさらに束ねることもできる。本発明は、このように、ワークの性能に合った研磨が行えるブラシ毛素材およびブラシ毛を得ることができる。
【0022】
本発明によれば、合成樹脂素材および金属素材を一体化させる際に、接着剤を用いずに、熱溶着、あるいは、熱圧着としたため、研磨中の熱で、接着剤から異臭が発生し、作業員の目に刺激を与えることがなく、作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1発明)
第1発明のブラシ毛素材は、合成樹脂素材と金属素材が、たとえば、熱圧着または熱溶着によって、互いに貼り合わされて少なくとも1本を構成している。前記合成樹脂素材または金属素材は、ほぼ板状部材または棒状部材からなり、サンドイッチ状、または隣り合った部分をそれぞれが互いに貼り合わされて、板状あるいは棒状、または所望の形状にされる。前記貼り合わされたブラシ毛素材は、前記合成樹脂素材と金属素材の特徴がそれぞれ組み合わされて、ワークあるいは前記ワークの形状、ワークの用途に合った所望の固さ、弾性、あるいは摩擦力を得ることができるようになる。また、前記ブラシ毛素材からなるブラシは、貼り合わされた前記合成樹脂素材によって、ワークの研磨中に金属素材が破損された際に、飛び散るのを防止する。
【0024】
前記合成樹脂素材は、たとえば、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリマー、ポリエステル、ポリプラスティック、ピーク、芳香族ポリアミド系耐熱性繊維の少なくとも一つを含む。また、前記金属素材は、たとえば、鉄、銅、ピアノ線、ステンレス、チタン、アルミニウム等、これらの合金の少なくとも一つを含む。
【0025】
(第2発明)
第2発明のブラシ毛素材は、合成樹脂素材に金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が混入されている点で、第1発明と異なっている。前記ブラシ毛素材からなるブラシは、合成樹脂素材、金属の研削粒および/または研磨砥粒、あるいはこれらの混入割合、金属素材によって、数多くの組み合わせがあり、ワークあるいは前記ワークの形状、ワークの用途に合った所望の固さ、弾性、あるいは摩擦力を得ることができるようになるとともに、前記金属素材の破損も防止することができる。前記砥粒等が混入した合成樹脂素材は、合成樹脂チップに前記砥粒等、あるいはこれらのパウダーを混入させた後、所定の温度で溶解し、金型によって所定形状、またはダイスによって線状に成形される。
【0026】
前記金属の研削粒および/または研磨砥粒は、たとえば、ダイヤモンド、セラミック、ガラス、アルミナ、ジルコニア、シリコンカーバイト、エメリー、CBN、GC、ステンレス、砂、火山灰、希土類、炭、香り砥粒からなり、1種類または2種類以上が1%から50%程度、前記合成樹脂素材に混入される。特に、前記香り砥粒が入ったブラシ毛素材は、ワークを研磨する際に、摩擦による悪臭が発生しても、悪臭が打ち消される。
【0027】
(第3発明)
第3発明のブラシ毛素材は、金属素材に金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が任意の量だけ、周囲にコーティングされている点で、第1発明および第2発明と異なっている。すなわち、前記ブラシ毛素材は、第2発明が合成樹脂素材に金属の研削粒および/または研磨砥粒が混入されているのに対して、第3発明が金属素材に前記研磨砥粒等がコーティングされている点で異なっている。前記ブラシ毛素材は、前記金属素材の周囲に金属の研削砥粒等を電着、蒸着、メッキ等のコーティングを施す。前記コーティングする量(厚さ)は、任意にすることができるため、腰の強さを目的あるいは、形状に合わせることが容易にできるとともに、前記合成樹脂素材により弾力を持たせ、前記金属素材の破損を防止する。
【0028】
前記金属素材は、研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が周囲に1%から100%コーティングによって被覆される。前記1%から10%程度のコーティングは、どちらかといえば前記金属素材の周囲に付着している状態である。前記合成樹脂素材および金属素材の貼り合わされた1本のブラシ毛素材は、金属素材の部分が研磨に適し、合成樹脂素材の部分が柔軟性を持たせ、周囲にコーティングを施すことにより、さらに、研磨性、あるいは腰の強さを向上させるとともに、研磨強度をワークに合わせ易くなる。
【0029】
(第4発明)
第4発明の合成樹脂素材は、成形時のチップ材に金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上、あるいはこれらのパウダーが混入されて板状部材または棒状部材に成形されている。また、金属素材は、金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が1%から100%、コーティングされた板状部材または棒状部材となっている。前記合成樹脂素材および金属素材は、それぞれ互いに、熱圧着あるいは熱溶着によって貼り合わされて少なくとも1本のブラシ毛素材となっている。
【0030】
(第5発明)
第5発明のブラシ毛素材は、第1発明から第4発明におけるブラシ毛素材を複数本束ねて少なくとも1本にしている。前記ブラシ毛素材は、その周囲をカバーリングによって束ねられる。前記カバーリングは、紐あるいは網によって束ねられ、あるいは金属または合成樹脂製の筒体によって周囲が覆われている。前記ブラシ毛素材を束ねるカバーリング等は、紐、網、筒体に研磨砥粒、静電防止砥粒、香り砥粒、消臭砥粒、金属砥粒等を混入またはコーティングすることができる。
【0031】
(第6発明)
第6発明のブラシ毛素材は、第1発明から第4発明におけるブラシ毛素材の内、異なる種類の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングにより少なくとも1本にしている。前記第4発明および第5発明のブラシ毛素材は、ワークを研磨するのに必要な強度が得られるように、種類の選択、混入またはコーティング素材の選択、および本数を任意に決めることができる。
【0032】
(第7発明)
第7発明のブラシ毛素材は、第5発明のブラシ毛素材を、さらに、複数本を束ねて少なくとも1本としている。また、前記ブラシ毛素材は、第6発明のブラシ毛素材、すなわち、異なる種類のブラシ毛素材を複数本、束ねて少なくとも1本としている。前記ブラシ毛素材は、その周囲をカバーリングすることにより、少なくとも1本に束ねられる。前記ブラシ毛素材は、合成樹脂素材、金属素材、動植物等のブラシ毛素材によって作製されている。
【0033】
(第8発明)
第8発明のブラシ毛素材は、第1発明から第7発明における合成樹脂素材または金属素材の形状が三角形、四角形、六角形、八角形、楕円形、十字状、クロバー状等多角形からなる線状または棒状から構成されている。前記ブラシ毛素材の形状は、研磨するワークの種類、形状、用途、目的等によって随時変えることができる。
【0034】
(第9発明)
第9発明のブラシ毛素材は、第2発明から第8発明の研磨砥粒に、静電防止砥粒、香り砥粒、消臭砥粒の少なくとも一つを含ませたことにより、ワークに対するゴミ等の付着を防止するとともに、研磨中に発生する悪臭等を少なくすることができる。
【0035】
(第10発明)
第10発明のブラシ毛素材は、第1発明から第9発明のブラシ毛に動植物製のものが少なくとも含まれている。前記動植物製のブラシ毛は、ワークを研磨する際に、独特の柔らかさを与えることができる。
【0036】
(第11発明)
第11発明のブラシは、第1発明から第10発明におけるブラシ毛素材をチャネル部材に嵌められ、また、デッキ部材に埋め込まれ、形状を整えることにより、チャネルブラシ、植込みブラシ、溶着ブラシ等となる。前記各ブラシは、所望の形状にして、ロールブラシ、ホィールブラシ、コイルブラシ、筒型ブラシ、捻じりブラシの少なくとも一つとなり、ワークの研磨に最適な形状、強さ、弾力を得ることができる。
【実施例1】
【0037】
図1(イ)から(ヌ)は本発明の第1実施例であり、合成樹脂素材および金属素材を貼り合わせた1本のブラシ毛素材を説明するための斜視図である。図1(イ)に示されたブラシ毛素材は、金属素材11と合成樹脂素材12とが熱圧着あるいは熱溶着によって互いに貼り合わされて一体化され、1本の丸棒体になっている。図1(ロ)に示されたブラシ毛素材は、ほぼ板状の金属素材111の間、および他側に合成樹脂素材121がサンドイッチ状に貼り合わされて、1本の丸棒体になっている。
【0038】
図1(ハ)に示されたブラシ毛素材は、断面が1/4円からなる2本の金属素材112と、同じく断面が1/4円からなる研磨砥粒が内部に混入されている合成樹脂素材13と、同じく断面が1/4円からなるダイヤモンド砥粒が内部に混入されている合成樹脂素材14とからなり、前記2種類の合成樹脂素材13と合成樹脂素材14との間に、前記金属素材112が貼り合わされて1本の丸棒体になっている。前記合成樹脂素材13は、合成樹脂チップから所定の形状に成形する際に、ダイヤモンド砥粒、金属砥粒、岩石砥粒等、あるいはこれらのパウダーが混入される。
【0039】
図1(ニ)に示されたブラシ毛素材は、長方形または板状の金属素材113と合成樹脂素材123とが熱圧着あるいは熱溶着によって互いに貼り合わされて、1本の方形状棒体になっている。図1(ホ)に示されたブラシ毛素材は、ほぼ板状の金属素材113の間、および他側に合成樹脂素材123がサンドイッチ状に貼り合わされて、1本の方形状板体になっている。図1(ヘ)に示されたブラシ毛素材は、断面が1/4角材からなる2本の金属素材114と、同じく断面が1/4角材からなる合成樹脂素材124とが交互に貼り合わされて1本の方形状棒体になっている。
【0040】
図1(ト)に示されたブラシ毛素材は、断面が三角形の金属素材115と、同じく断面が三角形の合成樹脂素材125の一辺どうしが互いに貼り合わされて、1本の菱形状棒体になっている。図1(チ)に示されたブラシ毛素材は、断面が三角形の合成樹脂素材126および同じく断面が三角形の金属素材116の4本を互いに貼り合わされて方形状棒体になっている。図1(リ)に示されたブラシ毛素材は、断面が5角形からなる金属素材117と、ほぼ同じ断面からなる合成樹脂素材127の底部がそれぞれ貼り合わされて1本の断面多角形の棒体になっている。
【0041】
図1(ヌ)に示されたブラシ毛素材は、断面が台形からなる2本の金属素材118と、ほぼ同じ断面からなる合成樹脂素材128がそれぞれ貼り合わされて1本の断面多角形の棒体になっている。図1(イ)から(ヌ)に示された合成樹脂素材は、たとえば、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリマー、ポリエステル、ポリプラスティック、ピーク、芳香族ポリアミド系耐熱性繊維の少なくとも一つからなる。また、前記金属素材は、たとえば、鉄、銅、ピアノ線、ステンレス、チタン、アルミニウム等、これらの合金の少なくとも一つ、あるいは各種砥粒がある。さらに、前記合成樹脂素材と前記金属素材との貼り合わせは、たとえば、熱圧着あるいは、熱溶着により一体化されている。
【実施例2】
【0042】
図2(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例であり、合成樹脂素材に砥粒を混入した断面を説明するための図である。図2(イ)に示されたブラシ毛素材は、断面半円形の合成樹脂素材12と同じく断面半円形の金属素材11とを互いに貼り合わせて、一体化されたほぼ円形の棒体としたものである。図2(ロ)に示されたブラシ毛素材は、断面半円形の合成樹脂素材21の中に、砥粒、研削粒、香り砥粒等が混入されている。前記合成樹脂素材21に混入する砥粒等は、形状、材質を研磨の目的に合ったものを選択することができる。また、図2(ロ)から(ニ)に示すように、前記合成樹脂素材21から23に混入する物質等は、砥粒21、ダイヤモンド砥粒22、砥粒とダイヤモンド砥粒の混合23等、材質の種類および/またはその数を任意に選択することができる。
【実施例3】
【0043】
図3(イ)から(ヲ)は本発明の第3実施例であり、金属素材の周囲に砥粒を取り付けた状態の断面を説明するための図である。図3(イ)に示されているブラシ毛素材は、金属素材31の断面半周囲に砥粒32等が電着、溶着、メッキ、あるいは、蒸着等によって付着されている。また、前記金属素材31は、その表面に砥粒32等がメッキ等によって、コーティングされている。前記コーティングは、図示されていないが、金属素材31に均等な厚さで被覆することができる。前記ブラシ毛素材は、図2と同様に、金属素材31と合成樹脂素材12を互いに貼り合わせて、一体化された一本の棒体としている。図3(ロ)に示されたブラシ毛素材は、砥粒等が混入された合成樹脂素材21と、砥粒32等が付着されている金属素材31とを互いに貼り合わせて、一体化された一本の棒体としている。
【0044】
図3(ハ)および(ニ)に示されたブラシ毛素材は、ダイヤモンド砥粒および/または砥粒等が混入された合成樹脂素材22から23と、砥粒32等が付着されている金属素材31とを互いに貼り合わせて、一体化されて一本の棒体としている。図3(ホ)から(チ)に示されたブラシ毛素材は、合成樹脂素材12、ダイヤモンド砥粒および/または砥粒等が混入された合成樹脂素材21から23と、ダイヤモンド砥粒34等が付着されている金属素材33とを互いに貼り合わせて、一体化された一本の棒体としている。図3(リ)から(ヲ)に示されたブラシ毛素材は、合成樹脂素材12、ダイヤモンド砥粒および/または砥粒等が混入された合成樹脂素材21から23と、砥粒および/またはダイヤモンド砥粒36等が付着されている金属素材35とを互いに貼り合わせて、一体化された一本の棒体としている。
【0045】
図2および図3に示された例は、合成樹脂素材、金属素材、砥粒および/またはダイヤモンド砥粒等の混入または付着等の組み合わせを選択することにより、ワークの素材および固さ、弾力、形状、研磨目的等にあったブラシ毛素材とすることができる。
【実施例4】
【0046】
図4(イ)から(ハ)は複数本のブラシ毛素材を束ねて1本のブラシ毛素材にした斜視図および断面図である。図4(イ)に示されたブラシ毛素材は、図1(イ)に示された金属素材11と合成樹脂素材12が貼り合わされたブラシ毛素材が4本束ねられて1本となっている。前記ブラシ毛素材は、合成樹脂製あるいは金属製の紐状、あるいは網状のものでカバーリングされている。図4(ロ)および(ハ)に示されたブラシ毛素材は、図2および図3に示されたものを複数束ねて1本のブラシ毛素材とすることができる。
【実施例5】
【0047】
図5(イ)から(ニ)は複数本のブラシ毛素材をカバーリングして1本のブラシ毛素材にした斜視図である。図5(イ)に示されたブラシ毛素材は、合成樹脂等のパイプ状素材51に、図2および図3に示されたブラシ毛素材を挿入して1本にしている。図5(ロ)および(ハ)に示されたブラシ毛素材は、前記合成樹脂等のパイプ状素材52、53に、砥粒、ダイヤモンド砥粒等を混入している。図5(ニ)に示されたブラシ毛素材は、前記パイプ状素材51の内部に挿入されたブラシ毛素材の種類が異なっている。前記パイプ状素材は、金属製とすることもできる。また、前記合成樹脂性パイプは、合成樹脂を作製する際に砥粒あるいはダイヤモンド砥粒等、あるいはこれらのパウダーを混入することができる。さらに、前記金属製パイプ状素材は、砥粒あるいはダイヤモンド砥粒を電着、溶着、蒸着、メッキ等によって付着またはコーティングすることができる。
【実施例6】
【0048】
図6(イ)および(ロ)は複数本のブラシ毛素材をカバーリングしたものを、さらに、カバーリングして1本のブラシ毛素材にした斜視図および断面図である。図6(イ)に示されたブラシ毛素材は、図5に示された複数のブラシ毛素材51から53をカバーリング(金属および合成樹脂を含むパイプ状素材)によって束ねたものを、さらに、別のカバーリング61によって束ねたものである。図6(ロ)に示されたブラシ毛素材は、前記カバーリング62の内部に砥粒等が混入されている点で(イ)と異なっている。
【0049】
図7(イ)から(ヲ)は本発明における素材の形状を説明するためのものであり、合成樹脂素材または金属素材からなる。図7に示された素材は、1本または複数本を実施例のような断面形状にすることができる。図8は本発明のブラシ毛素材により作製されたチャネルブラシおよび植え込みブラシの例である。図8(イ)に示されたブラシは、ブラシ毛素材の中央に芯線82を置き半分にして、チャネル81内に嵌め込んだチャネルブラシである。図8(ロ)に示されたブラシは、デッキ84にブラシ毛素材85を埋め込んでいる。図8(ハ)に示されたブラシは、ブラシ毛素材87の中央部を接着剤88により固定して、チャネル86に嵌め込んでいる。
【0050】
図9(イ)から(チ)は本発明のブラシ毛素材からなるブラシを説明するための図である。図9(イ)はカップブラシ、(ロ)はチャネルブラシをディスクの周囲に取り付けたディスクブラシ、(ハ)はチャネルを曲げて円形にした円盤ブラシ、(ニ)はチャネルに取り付けたブラシ毛素材を内部に向けて曲げられて作製されたブラシ、(ホ)および(ヘ)はロールブラシ、(ト)は筒形ブラシ、(チ)は捩じりブラシである。これらのブラシは、本発明の実施例によるブラシ毛素材を基にして作製されている。
【0051】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。ブラシ毛および混入物質等の材質、大きさ、形状、密度等は、任意に選択することができる。特に、金属素材、合成樹脂素材、混入素材、付着素材は、本明細書に挙げた以外に公知または周知のものが使用できることはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(イ)から(ヌ)は本発明の第1実施例であり、合成樹脂素材および金属素材を貼り合わせた1本のブラシ毛素材を説明するための斜視図である。(実施例1)
【図2】(イ)から(ニ)は本発明の第2実施例であり、合成樹脂素材に砥粒を混入した断面を説明するための図である。(実施例2)
【図3】(イ)から(ヲ)は本発明の第3実施例であり、金属素材の周囲に砥粒を取り付けた状態の断面を説明するための図である。(実施例3)
【図4】(イ)から(ハ)は複数本のブラシ毛素材を束ねて1本のブラシ毛素材にした斜視図および断面図である。(実施例4)
【図5】(イ)から(ニ)は複数本のブラシ毛素材をカバーリングして1本のブラシ毛素材にした斜視図である。(実施例5)
【図6】(イ)および(ロ)は複数本のブラシ毛素材をカバーリングしたものを、さらに、カバーリングして1本のブラシ毛素材にした斜視図および断面図である。(実施例6)
【図7】(イ)から(ヲ)は本発明における素材の形状を説明するためのものであり、合成樹脂素材または金属素材からなる。
【図8】本発明のブラシ毛素材により作製されたチャネルブラシおよび植え込みブラシの例である。
【図9】(イ)から(チ)は本発明のブラシ毛素材からなるブラシを説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
11、111、112、113、114、115、116、117、118・・・金属素材
12、121、123、124、125、126、127、128・・・合成樹脂素材
13・・・研磨砥粒が内部に混入されている合成樹脂素材
14・・・ダイヤモンド砥粒が内部に混入されている合成樹脂素材
21、22、23・・・合成樹脂素材
31、33、35・・・金属素材
32・・・砥粒
34・・・ダイヤモンド砥粒
36・・・砥粒および/またはダイヤモンド砥粒
41、42・・・紐
51、52、53、61、62・・・カバーリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、
少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、
が一体化されていることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項2】
金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が混入された少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、
少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、
が一体化されていることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項3】
少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、
金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が1%から100%混入、またはコーティングされた少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、
が一体化されていることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項4】
金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が混入された少なくとも一つの合成樹脂素材からなる板状部材または棒状部材と、
金属の研削粒および/または研磨砥粒の1種類または2種類以上が1%から100%コーティングされた少なくとも一つの金属素材からなる板状部材または棒状部材と、
が一体化されていることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項5】
前記ブラシ毛素材の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項6】
前記ブラシ毛素材の内、異なる種類の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載されたブラシ毛素材の複数本を束ね、前記束ねられたブラシ毛素材の周囲をカバーリングすることを特徴とするブラシ毛素材。
【請求項8】
ブラシ毛素材は、三角形、四角形、六角形、八角形、楕円形、十字状、クロバー状等多角形からなる線状または棒状にしたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項9】
研磨砥粒は、静電防止砥粒、香り砥粒、消臭砥粒の少なくとも一つが含まれていることを特徴とする請求項2から請求項8に記載されたブラシ毛素材。
【請求項10】
前記ブラシ毛は、動植物のブラシ毛素材が少なくとも含まれていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載されたブラシ毛素材。
【請求項11】
前記ブラシ毛素材は、チャネルブラシ、植込みブラシ、溶着ブラシ等となり、これらがロールブラシ、ホィールブラシ、コイルブラシ、筒型ブラシ、捻じりブラシとなることを特徴とする請求項1から請求項10に記載されたブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−12125(P2008−12125A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187371(P2006−187371)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(398029234)
【出願人】(300038675)
【Fターム(参考)】