説明

ブラシ装置

【課題】回転するブラシにより効率よく洗浄対象物を洗浄することができるようにする。
【解決手段】ブラシ装置10は内側筒状軸20、外側筒状軸30およびブラシ40を備えている。内側筒状軸20は回転しないように配設され、外側筒状軸30は内側筒状軸20を回転中心として回転可能に配設され、ブラシ40は外側筒状軸30の外面32に固定され、内側筒状軸20の内面21と外面22との間を貫通する孔23が形成され、外側筒状軸30の内面31と外面32との間を貫通する孔33が形成され、内側筒状軸20に空気が吹き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ装置に関し、特に回転ブラシを使用して効率よく洗浄対象物を洗浄するのに適したブラシ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転ブラシで洗浄対象物の汚れを取り除き、さらに空気を洗浄対象物に吹き付けて洗浄対象物を洗浄するクリーニング装置がある(例えば特許文献1参照)。この場合、回転ブラシと並べて空気を吹き出す孔が形成された回転筒が配置されている。
【特許文献1】実開平1−146915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来例では、回転ブラシと空気を吹き出す回転筒が別個に形成されているので、洗浄対象物の洗浄箇所を回転ブラシで擦りつつ、同時に空気を吹き付けることができないので、効率よく洗浄することができないという問題があった。
そこで、本願発明の課題は、回転するブラシにより効率よく洗浄対象物を洗浄することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、回転する筒状軸およびブラシを備え、前記筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が形成され、前記筒状軸の外面に前記ブラシが固定され、前記筒状軸内に空気が送り込まれることを特徴とするブラシ装置である。
請求項1記載の発明により、回転する筒状軸の外面に固定されたブラシにより洗浄対象物の洗浄箇所の汚れを取り除きつつ、同時に前記洗浄箇所に前記筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔から空気を吹き付けて洗浄することができる。
【0005】
さらに、請求項2記載の発明は、内側筒状軸、外側筒状軸およびブラシを備え、前記内側筒状軸は回転しないように配設され、前記外側筒状軸は前記内側筒状軸を回転中心として回転可能に配設され、前記内側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が形成され、前記外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が形成され、前記ブラシは前記外側筒状軸の外面に固定され、前記内側筒状軸に空気が吹き込まれることを特徴とするブラシ装置である。
請求項2記載の発明により、回転する外側筒状軸の外面に固定されたブラシにより洗浄対象物の洗浄箇所の汚れを取り除きつつ、同時に前記洗浄箇所に前記外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔から空気を吹き付けて洗浄することができる。その際、回転しない内側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔と回転する外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔との位置が一致する場合のみ、空気が前記両方の孔を通過して吹き出るので、空気が間欠的に吹き出ることになる。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項2に記載のブラシ装置であって、前記内側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が軸方向に長い長孔であり、前記外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が螺旋状であることを特徴とするブラシ装置である。
請求項3記載の発明により、前記内側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が軸方向に長い長孔であり、前記外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が螺旋状であるので、回転しない内側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔と回転する外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔との位置が一致する箇所が外側筒状軸の回転により軸方向に往復するように移動する。
【0007】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項2または3記載のブラシ装置であって、前記内側筒状軸と前記外側筒状軸とがベアリングで結合されていることを特徴とするブラシ装置である。
請求項4記載の発明により、前記内側筒状軸と前記外側筒状軸とがベアリングで結合されているので、前記外側筒状軸を円滑に回転させることができる。
【0008】
さらに、請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載のブラシ装置であって、回転する筒状軸の外面の周方向にそって、前記ブラシと前記孔とが交互に形成されていることを特徴とするブラシ装置である。
請求項5記載の発明により、回転する筒状軸の外面の周方向にそって、ブラシと前記孔とが交互に形成されているので、回転する筒状軸のブラシで洗浄対象物の洗浄箇所の汚れを取り除きつつ、空気を前記洗浄箇所に吹き付けて洗浄することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明に係わるブラシ装置によれば、効率よく洗浄対象物を洗浄することができる。
さらに、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果とともに、間欠的に空気を洗浄対象物に吹き付けるので、吹き付ける空気を効率よく使用することができる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果とともに、外側筒状軸の回転により空気が吹きでる位置を外側筒状軸の軸方向に往復するように移動させることができる。
さらに、請求項4記載の発明によれば、請求項2または3記載の発明の効果とともに、ブラシ装置の動作を円滑にすることができる。
さらに、請求項5記載の発明によれば、請求項1から4までに記載の発明の効果とともに、一層効率よく洗浄対象物を洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係わるブラシ装置の平面を示し、図2は図1のブラシ装置のA−A断面を示し、図3は図2のブラシ装置の内側筒状軸を示し、図4は図2のブラシ装置の外側筒状軸を示し、図5は前記外側筒状軸の取り付け構造の断面を示す。さらに、図6は洗浄対象物の一例を示し、図7は図1のブラシ装置を使用して図6の洗浄対象物の側壁および縦リブを洗浄する方法を示し、図8は図7のF−F断面の概略を示し、図9は図1のブラシ装置を使用して図6の洗浄対象物の側壁および横リブを洗浄する方法を示す。
【0011】
図1に示すように、ブラシ装置10は内側筒状軸20、外側筒状軸30およびブラシ40を備えている。
内側筒状軸20の開口した一端部20aに圧縮空気が吹き込まれる(矢印61は空気の流れる方向を示す。)。内側筒状軸20の他端部20bは閉じられている。また、内側筒状軸20は回転しないように配設されている。具体的には、内側筒状軸20の他端部20bはフレーム11に固定され、一端部20aも図示しないフレームに固定されている。
図2に示すように、内側筒状軸20の内面21と外面22との間を貫通する孔23が形成されている。図3に示すように、孔23は具体的には、4つの孔23a、23b、23c、23dからなっている。各孔23a、23b、23c、23dは軸方向に長い長孔であり、各孔23a、23b、23c、23dの長手方向は軸方向に一直線に配置されている。
【0012】
図1に示すように、外側筒状軸30は内側筒状軸20を回転中心として回転可能に配設されている。具体的には、図5に示すように、外側筒状軸30の内面31側に内側筒状軸20が挿入されている。そして、外側筒状軸30の内面31と内側筒状軸20の外面22との間は、外側筒状軸30の回転に支障がない程度にできるだけ狭く構成されている。
図1に示すように、モータ50が配設され、モータ50の回転軸に固定された第1のプーリー51の回転がベルト52により外側筒状体30に取り付けられた第2のプーリー53に伝えられ、モータ50の回転により外側筒状体30が回転するように構成されている。
なお、図5に示すように、内側筒状軸20と外側筒状軸30とがベアリング34で結合されている。なお、ベアリング34は第1のベアリング34aおよび第2のベアリング34bからなる。第1のベアリング34aは外側筒状軸30の一端部30aを支え、第2のベアリング34bは外側筒状軸30の他端部30bを支えている。
【0013】
図2に示すように、外側筒状軸30の内面31と外面32との間を貫通する孔33が形成されている。図2において、B視、C視、D視、E視の各方向は軸の外側筒状軸30の外面32を90度毎に区切る方向である。
そして、図4に示すように、外側筒状軸30の内面31と外面32との間を貫通する孔33が螺旋状である。具体的には、孔33は各孔33a、33b、33c、33d、33e、33fを備えている。(a)は図2のB視図であり、各孔33a、33b、33cは一つの螺旋状孔を3つに区分したように形成されている。また、(b)図2のC視図であり、各孔33d、33e、33fは一つの螺旋状孔を3つに区分したように形成されている。図2のC視およびD視の方向にも(a)および(b)と同様の孔が形成されている。
【0014】
図2に示すように、ブラシ40は外側筒状軸30の外面32に固定されている。
さらに、回転する外側筒状軸30の外面32の周方向にそって、ブラシ40と孔33とが交互に形成されている。具体的には、外側筒状軸30の外面32において、周方向に90度間隔で各孔33が形成され、4つの孔33の間に各ブラシ40が形成されている。なお、各ブラシ40は2つの部分40aに分かれている。4つのブラシ40の各部分40aの基部は取付具41により外側筒状軸30の外面32に固定されている。なお、ブラシ40の材質は静電気が発生しないものである。
【0015】
以上の構成のブラシ装置10は、以下の動作をする。
回転する外側筒状軸30の外面32に固定されたブラシ40により洗浄対象物70の洗浄箇所の汚れを取り除きつつ、同時に前記洗浄箇所に外側筒状軸30の内面31と外面32との間を貫通する孔33から空気を吹き付けて洗浄することができる。
【0016】
さらに、その際、回転しない内側筒状軸20の内面21と外面22との間を貫通する孔23と回転する外側筒状軸30の内面31と外面32との間を貫通する孔33との位置が一致する場合のみ空気が前記両方の孔23、33を通過して吹き出るので、空気が間欠的に吹き出ることになる。
このため、孔23、33から吹き出す空気をブラシ40で洗浄している局所に集中させることができる。これにより、空気で洗浄対象物70の洗浄箇所の汚れ吹き落とす効果を向上させることができるとともに、少ない空気量で効果を得ることができるので、省エネ効果もある。
【0017】
さらに、内側筒状軸20の内面21と外面22との間を貫通する孔23が軸方向に長い長孔であり、外側筒状軸30の内面31と外面32との間を貫通する孔33が螺旋状であるので、回転しない内側筒状軸20の孔23と回転する外側筒状軸30の孔33との位置が一致する箇所が外側筒状軸30の回転により軸方向に往復するように移動する。
【0018】
さらに、内側筒状軸20と外側筒状軸30とがベアリング34で結合されているので、外側筒状軸30を円滑に回転させることができる。
【0019】
さらに、回転する外側筒状軸30の外面32の周方向にそって、ブラシ40と孔33とが交互に形成されているので、回転する外側筒状軸30のブラシ40で洗浄対象物70の洗浄箇所の汚れを取り除きつつ、孔33から空気を前記洗浄箇所に吹き付けて洗浄することができる。なお、このようにすると、ブラシ40のみで洗浄対象物70の汚れを落とす場合よりも、ブラシ40を洗浄対象物70に擦りつける力を小さくすることができるので、ブラシ40のみで洗浄対象物70の汚れを洗浄する場合よりも、ブラシ40と洗浄対象物70との摩擦を少なくし、ブラシ40の磨耗を少なくすることができる。
【0020】
具体的には、図6に示すように、例えば洗浄対象物70はプラスチック製通い箱であり、その側壁71の外側に設けられた縦リブ72および横リブ73を洗浄する場合はつぎのようになる。
図7および図8に示すように、ブラシ装置10の外側筒状軸30を縦にして、外側筒状軸30を回転させて、回転するブラシ40および外側筒状軸30の孔33(図2参照)から吹き出す空気により縦リブ72を洗浄する。なお、矢印12は外側筒状軸30およびブラシ40の回転方向を示す。このようにすると、孔33から吹き出る空気で洗浄対象物70を上から下までなぞるようにしてゴミ埃等の汚れを吹き落とすことができる。
また、横リブ73を洗浄する場合には、図9(a)、(b)に示すようにブラシ装置10の外側筒状軸30を縦にして回転させて使用することができる。
【0021】
なお、上記実施の形態において、内側筒状軸20を省いて、外側筒状軸30の内部に空気を送り込むようにしてもよい。
また、モータ50の回転を各プーリー51、53とベルト52により外側筒状軸30に伝えているが、これに限定されず、各プーリー51、53とベルト52の代わりに歯車とチェーンを使用してもよい。
なお、除電バー81によりブラシ40の静電気を除去すると、洗浄が容易になる。また、吸塵パイプ82のスリット83から埃84を吸引するようにしてもよい。
また、ブラシ40の外周に図示しないパイプを設け、このパイプによりブラシ40に付着しているごみ・埃をブラシ40の反発力を利用して弾き落とし、吸塵パイプ82のスリット83から吸い取るようにしてもよい。
また、外側筒状軸30の孔33は外側筒状軸30の周方向に90度間隔で4つ形成されているが、これに限定されず、任意の数の孔33を外側筒状軸30の周方向に形成することができる。また、任意の数のブラシ40を外側筒状軸30の周方向に配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係わるブラシ装置の平面図である。
【図2】図1のブラシ装置のA−A断面図である。
【図3】図2のブラシ装置の内側筒状軸を示す部分図である。
【図4】図2のブラシ装置の外側筒状軸を示す部分図である。
【図5】前記外側筒状軸の取り付け構造を示す断面図である。
【図6】洗浄対象物の一例を示す斜視図である。
【図7】図1のブラシ装置を使用して図6の洗浄対象物の側壁および縦リブを洗浄する方法を示す説明図である。
【図8】図7のF−F断面の概略を示す断面図である。
【図9】図1のブラシ装置を使用して図6の洗浄対象物の側壁および横リブを洗浄する方法を示す説明図であり、(a)はその一例、(b)は他の例である。
【符号の説明】
【0023】
10 ブラシ装置
20 内側筒状軸
21 内面
22 外面
23 孔
30 外側筒状軸
31 内面
32 外面
33 孔
34 ベアリング
40 ブラシ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する筒状軸およびブラシを備え、
前記筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が形成され、
前記筒状軸の外面に前記ブラシが固定され、
前記筒状軸内に空気が送り込まれることを特徴とするブラシ装置。
【請求項2】
内側筒状軸、外側筒状軸およびブラシを備え、
前記内側筒状軸は回転しないように配設され、
前記外側筒状軸は前記内側筒状軸を回転中心として回転可能に配設され、
前記内側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が形成され、
前記外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が形成され、
前記ブラシは前記外側筒状軸の外面に固定され、
前記内側筒状軸に空気が吹き込まれることを特徴とするブラシ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のブラシ装置であって、
前記内側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が軸方向に長い長孔であり、
前記外側筒状軸の内面と外面との間を貫通する孔が螺旋状であることを特徴とするブラシ装置。
【請求項4】
請求項2または3記載のブラシ装置であって、
前記内側筒状軸と前記外側筒状軸とがベアリングで結合されていることを特徴とするブラシ装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載のブラシ装置であって、
回転する筒状軸の外面の周方向にそって、前記ブラシと前記孔とが交互に形成されていることを特徴とするブラシ装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−22875(P2009−22875A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188218(P2007−188218)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(593147586)株式会社サン・エンジニアリング (4)
【Fターム(参考)】