説明

ブランクシートの補助分離装置

【課題】ブランクシートの分離を良好に行なうブランクシートの補助分離装置を提供する。
【解決手段】シートマガジン12に集積した先頭のブランクシート11は、その上下端部がローラ31とシャッター16で支持される。シートマガジン12の取出し口12aの上部側に、先頭のブランクシート11におけるローラ31の支持位置より下方の上端側を吸着する第1の吸着カップ18を備えた補助吸着手段17が配設される。第1の吸着カップ18は、先頭のブランクシート11に対して進退移動し、近接時に吸着したシート11の上端側は、吸着カップ18の離間移動により後続のブランクシート11の上端側から離間する。シートマガジン12からブランクシート11を取出すシート移送手段33は、シート11に対する補助吸着手段17の吸着位置より下方に離間した下端側を第2の吸着カップ34で吸着して取出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ラップアラウンド式ケーサにおいて、シートマガジンに集積されている先頭のブランクシートがその取出し口から取出される前に、該シートを後続のブランクシートから予め分離するブランクシートの補助分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているブランクシートの取出装置では、マガジンに集積されている先頭のブランクシートの下端側を副吸着機構で吸着して後続のブランクシートから離間させた後、主吸着機構により該先頭のブランクシートの下端寄りの部位を吸着してマガジンから取出すよう構成されている。
【特許文献1】実公平7−445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記従来の装置では、両吸着機構がブランクシートの同一端部側(下端側)を吸着するため、副吸着機構によるシート分離の離間量を大きくすると、主吸着機構が先頭のブランクシートに当接した際に該シートがマガジン側に逃げる量が多くなるため、主吸着機構によるシート吸着が不安定になり、この離間量をあまり大きくできず、副吸着機構による確実なシート分離がなされないおそれがある。
【0004】
すなわち本発明は、前述した従来の技術に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ブランクシートの分離を良好に行ない得るブランクシートの補助分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を克服し、所期の目的を好適に達成するため、本発明に係るブランクシートの補助分離装置は、
立てた姿勢でブランクシートが集積されたシートマガジンの取出し口から、シート移送手段により先頭のブランクシートを取出す前に、該ブランクシートを後続のブランクシートから予め分離するシート補助分離装置であって、
前記シート移送手段は、前記先頭のブランクシートの下端側を吸着して前記シートマガジンの取出し口から該シートを1枚づつ取出す吸着部を有し、
前記取出し口には、先頭のブランクシートの下端部を支持する下端部支持部材および上端部を支持する上端部支持部材が設けられ、
前記上端部支持部材の下方に、前記両支持部材で上下両端部が支持されて前記取出し口に臨む先頭のブランクシートの上端側を吸着する吸着部材を備え、該吸着部材を取出し口から外方に離間することで吸着した先頭のブランクシートを後続のブランクシートから離間して、両ブランクシートの間に隙間を設ける補助吸着手段を配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係るブランクシートの補助分離装置によれば、シートマガジンから取出される際にシート移送手段で下端側が吸着されるブランクシートの上端側を、補助吸着手段により予め吸着して後続のブランクシートから分離するよう構成したから、該補助吸着手段によるシート分離の離間量を大きくでき、シート間に形成される隙間に空気が入り易く、先頭のブランクシートの分離を良好に行ない得る。また、立てた姿勢で集積されるブランクシートの上端側は自由端となるので、吸着された先頭のブランクシートの上端側は移動し易く、後続のブランクシートとの間に隙間が良好に形成され、分離動作が良好となる。更に、先頭のブランクシートの下端部は後続のブランクシートから分離していない状態となるので、シート移送手段のブランクシートに対する吸着位置での先頭のブランクシートの後続のブランクシートに対する分離間隔が小さく、ブランクシートの高速取出しに際してもシート移送手段でのブランクシートの吸着保持を良好にでき、しかもシート移送手段がブランクシートに当たった際にも該シートを折損してしまうことがない。
【0007】
請求項2に係るブランクシートの補助分離装置によれば、補助吸着手段は取出されるブランクシートと当接しない位置に配置したから、該補助吸着手段はシート移送手段によりブランクシートが取出される前に行なわれる予備分離のための動作を行なうだけでよく、装置構成が簡単になり、高速動作が可能となる。
【0008】
請求項3に係るブランクシートの補助分離装置によれば、モータにより吸着部材をブランクシートに対して接離させるよう構成したので、シート移送手段との同期動作が容易であり、シート移送手段によるブランクシートの取出しと補助吸着手段による予備分離との対応が良好となる。
【0009】
請求項4に係るブランクシートの補助分離装置によれば、モータを不等速回転させることで、吸着部材が先頭のブランクシートを吸着する際の動作を遅くさせて、その吸着を良好にすることができる。また、シート移送手段が先頭のブランクシートを吸着する際の吸着部材の動作を遅くさせて、シート移送手段の吸着部による先頭のブランクシートの吸着を良好に行なわせ得る。
【0010】
請求項5に係るブランクシートの補助分離装置によれば、ブランクシートのサイズ変更に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明に係るブランクシートの補助分離装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、説明の便宜上、「左右」とはシートマガジン内におけるブランクシートの搬送方向と交差する方向を指称するものとする。
【実施例】
【0012】
図1に示す如く、実施例に係るブランクシートの補助分離装置が採用されたラップアラウンド式ケーサ10(以後、ケーサと称す)は、複数のブランクシート11を立てた姿勢で集積するシートマガジン12を備える。このシートマガジン12には、前記ブランクシート11が載置される2本の搬送軸13,13(一方のみ図示)を左右方向に離間して平行に備えるシート送り手段14が配設され、両搬送軸13,13は対応する駆動モータ15,15(一方のみ図示)により夫々一方向に連続回転駆動される。各搬送軸13は、水平面に対してシートマガジン12の取出し口12aに向けて下方傾斜するよう配置されると共に、該搬送軸13には、その回転により載置されているブランクシート11を取出し口12aに向けて推進させる向きの螺旋溝が形成されており、両搬送軸13,13の回転によりブランクシート群を搬送して、先頭のブランクシート11を取出し口12aまで送るよう構成されている。なお、ブランクシート11は、製函された際に内側となる面(以後、製函時の内側面と称す)がシート搬送方向の下流側(取出し口12a)を向く姿勢でシートマガジン12に集積され、後述するシート移送手段33でこの製函時の内側面が吸着保持されて取出し口12aから取出されるようになっている。
【0013】
前記各搬送軸13における取出し口12aに臨む先端部に、該取出し口12aから取出される先頭のブランクシート11と後続のブランクシート11とを分離するための下端部支持部材としてのシャッター16が、夫々一体的に回転するよう配設されている。各シャッター16は、搬送軸13より大径の円盤状に形成されて、該軸13より径方向に突出する部分で取出し口12aに臨む先頭のブランクシート11における下端辺の左右各角部(下端部)を夫々支持するよう構成される。なお、各シャッター16には、図示しない切欠き部が形成され、該切欠き部がブランクシート11の前記下端辺角部と対応する分離位置に到来したときには、該シート11の通過(取出し)を許容するよう構成される。なお、両シャッター16,16は、シート移送手段33によるブランクシート11の1枚の取出し動作と対応して1回転するよう設定される。
【0014】
前記シートマガジン12における取出し口12aの外方上部に、先頭のブランクシート11の上端側を、後続のブランクシート11から分離する補助吸着手段17が配設されている。この補助吸着手段17は、図2に示す如く、先頭のブランクシート11における前記製函時の内側面の上端側を吸着する吸着部材としての第1の吸着カップ18,18と、該吸着カップ18,18をブランクシート11に対して接離させる移動機構としての回転クランク機構19と、該クランク機構19を作動するサーボモータ等の可変速モータ(モータ)20とから基本的に構成される。すなわち、補助吸着手段17は、ケーサ10の機枠21に配設された基台22に、図3に示す如く、左右方向に延在する枢軸23が回転自在に軸支され、該枢軸23に、左右方向に離間して一対の作動部材24,24(一方のみ図示)が固定されて、該作動部材24,24は枢軸23を中心として揺動自在に構成されている。そして、各作動部材24の下端部に、取出し口12aに臨む先頭のブランクシート11における前記製函時の内側面を指向する第1の吸着カップ18が夫々配設され、該吸着カップ18は図示しない吸引手段に連通接続されている。
【0015】
また前記基台22には、前記可変速モータ20と、該モータ20により作動されると共に、一方の作動部材24に連結された前記回転クランク機構19とが配設される。回転クランク機構19は、図2および図3に示す如く、可変速モータ20にプーリやベルト等の伝達手段25を介して連繋されて所定方向に回転されるクランク円盤26と、該円盤26の偏心位置に一端が連結されると共に他端が前記作動部材24の下端近傍に連結された連杆27とから構成される。そして、可変速モータ20によりクランク円盤26を所定方向に回転することで、連杆27を介して一対の作動部材24,24が枢軸23を中心として揺動し、これにより一対の第1の吸着カップ18,18が先頭のブランクシート11の上端側に当接する前進位置と、前記シートマガジン12の外方に離間する後退位置との間を移動するよう構成される。なお、図示しないタイミグ設定手段からのタイミング信号に基づいて、第1の吸着カップ18,18に接続する吸引手段は、該吸着カップ18,18が後退位置から前進位置に移動する間にON作動されて前進位置での該吸着カップ18,18によるブランクシート11の吸着を可能とし、前進位置から後退位置付近に移動する間にOFF作動されて、後退位置付近での第1の吸着カップ18,18によるブランクシート11の吸着を解除するよう設定してある。
【0016】
前記補助吸着手段17には、第1の吸着カップ18,18の動作とシート移送手段33の動作とを同期させるための同期手段28が設けられている。これにより、前記可変速モータ20は、実施例ではシート移送手段33によるブランクシート11の1枚の取出しと同期して等速で回転される。そして、この間に第1の吸着カップ18,18が一往復し、該吸着カップ18,18が取出し口12aから最も後退した後退位置の付近(クランク円盤26は回転しているが第1の吸着カップ18の移動は少ない移動域)に臨んでいるときに、シート移送手段33が先頭のブランクシート11を吸着するよう設定される。
【0017】
前記基台22には、前記取出し口12aに向けて延出するブラケット29が配設され、該ブラケット29の延出端部に、左右方向に延在する支持棒30が配設される。この支持棒30の左右端部には、上端部支持部材としてのローラ31(一方のみ図示)が夫々回転自在に配設され、該ローラ31が、取出し口12aに臨む先頭のブランクシート11における前記補助吸着手段17の第1の吸着カップ18,18による吸着位置より上側の上端部を支持するよう構成される。そして、取出し口12aに臨む先頭のブランクシート11は、その下端部が前記シャッター16,16に支持されると共に、上端部がローラ31,31で支持される。前記ローラ31,31は、この支持状態において、先頭のブランクシート11が前記搬送軸13,13に対し略直交する姿勢で載置されるような位置に配置される。従って、シートマガジン12に集積されるブランクシート11の並ぶ方向(搬送軸13のシート搬送方向)は水平面に対して傾斜し、シートマガジン12内のブランクシート11の上端部は前傾した姿勢となる(図1参照)。
【0018】
なお、前記支持棒30における各ローラ31の配設位置近傍に、取出し口12a側に向けて延出するガイド32が夫々配設されており、該ガイド32によりブランクシート11の上端を案内するよう構成される(図2参照)。また前記基台22は、前記機枠21に対して上下方向に移動調節可能に配設され、図示しないネジ軸等の調節機構を手動あるいはモータ等の駆動手段により作動することで、前記第1の吸着カップ18,18によるブランクシート11の吸着位置を調節し得るよう構成されている。
【0019】
前記シートマガジン12における取出し口12aの外方で、前記補助吸着手段17より下方には、シートマガジン12からブランクシート11を1枚づつ取出して後述するケース搬送コンベヤ36に受渡すシート移送手段33が配設されている。このシート移送手段33は、図1に示す如く、複数の第2の吸着カップ(吸着部)34を備えて、図示しない回動機構により所要の動作が付与される取出部35を複数組(実施例では2組であるが3組以上であってもよい)有し、各取出部35によりシートマガジン12からブランクシート11を1枚づつ取出すよう構成される。各第2の吸着カップ34は図示しない吸引手段に接続されて、該吸引手段を適宜のタイミングでON−OFF制御することにより、各第2の吸着カップ34によるブランクシート11の吸着保持と吸着解除とを行なうよう設定してある。各取出部35は、シート取出し時には、前記シートマガジン12の取出し口12aに臨む先頭のブランクシート11における前記製函時の内側面の下端側に近接した後、取出し口12aから離間しつつ少しだけ上方へ移動し、その後に下方に移動する軌跡を辿るよう構成される。これにより、取出部35に吸着保持されてシートマガジン12から取出されるブランクシート11は、その下端辺が上方に持ち上げられて捲られるようにして後続のブランクシート11の下端部から離間して取出し口12aから取出された後、その製函時の内側面(第2の吸着カップ34による吸着面)が上を向くように姿勢を変化されて下方に移動されるようになっている。そして、先頭のブランクシート11の下端部が取出し口12aから取出される際には、前記左右の各シャッター16の切欠き部が下端辺の左右各角部に対応する分離位置に夫々到来して、シート取出しを許容するよう設定される。
【0020】
なお、前記シート移送手段33により下端側が吸着されて下方に取出されるブランクシート11の移動軌跡は、図1に示すように、前記補助吸着手段17と干渉しないように設定される。すなわち、シートマガジン12から取出されるブランクシート11の移動軌跡の外方に補助吸着手段17は配置され、シート移送手段33により取出されるブランクシート11と干渉しない位置に移動させる必要がないよう構成してある。
【0021】
前記シート移送手段33の下方には、前記シートマガジン12内でのシート搬送方向とは搬送方向が逆向きのケース搬送コンベヤ36が配設されると共に、該コンベヤ36とシートマガジン12との間に折曲げガイド37が配設されている。そして、シート移送手段33によりシートマガジン12から取出されたブランクシート11は、ケース搬送コンベヤ36に受渡される際に折曲げガイド37により二つに折られる。更に、ケース搬送コンベヤ36に受渡されたブランクシート11は、その搬送方向前側が直立するようにして折曲げられた状態で、該コンベヤ36に設けられて搬送方向の前後に離間する支持部材36a,36aにより挟持されて、上方に開口するコ字状に折曲され、その状態で下流側に搬送されるよう構成される。
【0022】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るブランクシートの補助分離装置の作用につき説明する。
【0023】
前記シートマガジン12に対し、前記搬送軸13,13に下端辺を載せるようにして複数のブランクシート11を立てた姿勢で集積し、取出し口12aに臨む先頭のブランクシート11の上端部を前記ローラ31,31で支持すると共に、その下端部を前記シャッター16,16で支持することで、当該ブランクシート群は、その上端部が前傾した状態となる。
【0024】
前記シート移送手段33によるシート取出しを開始すると、該移送手段33の取出部(第2の吸着カップ34)35が先頭のブランクシート11の下端側を吸着保持する前に、前記補助吸着手段17が作動する。すなわち、前記可変速モータ20により回転クランク機構19が作動され、後退位置に臨んでいる第1の吸着カップ18,18が前進位置まで前進し、先頭のブランクシート11における前記ローラ31,31で支持されている位置より下方の上端側に、該第1の吸着カップ18,18が当接してこれを吸着保持する。続いて第1の吸着カップ18,18が前進位置から後退位置まで後退(取出し口12aから外方に離間)することで、該第1の吸着カップ18,18に吸着保持されているブランクシート11の上端部は、後続のブランクシート11の上端部から離間する(図2の二点鎖線の状態)。このとき、先頭のブランクシート11の下端部は、前記シャッター16,16により支持されているから、このブランクシート11の下方部(下端側)においては後続のブランクシート11の下方部(下端側)からは大きく離間しない。なお、ブランクシート11は立った姿勢で集積されているから、第1の吸着カップ18により吸着される上端側は移動し易い自由端となっており、該吸着カップ18の後退により先頭のブランクシート11と後続のブランクシート11との間には隙間が良好に形成される。また、先頭のブランクシート11の上端部を支持している上端部支持部材としてローラ31を採用しているから、該シート11の上端部がローラ31と後続するブランクシート11との間から引抜かれる際の抵抗は少なく、良好に分離される。
【0025】
前記補助吸着手段17の第1の吸着カップ18,18が後退位置付近に臨んだときに、前記シート移送手段33の取出部35がシートマガジン12における先頭のブランクシート11の下端側に近接し、前記第2の吸着カップ34がブランクシート11に当接してこれを吸着保持すると共に、第1の吸着カップ18,18による吸着が解除される。このとき、シート移送手段33の第2の吸着カップ34によるブランクシート11に対する吸着位置は、前記補助吸着手段17の第1の吸着カップ18によるブランクシート11に対する吸着位置とは上下に大きく離間しており、ブランクシート11の下方部(下端側)に対応して配置された該第2の吸着カップ34による吸着位置での先頭のブランクシート11の後続のブランクシート11に対する分離間隔は前述のように小さくなっている。従って、第2の吸着カップ34が当接した際にブランクシート11が大きく撓むことはなく、良好な吸着が達成されると共に、該シート11の折損も防止される。更に、第1の吸着カップ18,18の進退移動は可変速モータ20により行なうから、シート移送手段33の動作との同期を図ることは容易であり、該シート移送手段33によるブランクシート11の取出しと補助吸着手段17によるブランクシート11の予備分離とを正確に対応させることができ、シート取出しを良好にし得る。
【0026】
なお、前記補助吸着手段17の可変速モータ20は、シート移送手段33の連続動作と対応して等速で連続回転されるが、該モータ20を、第1の吸着カップ18が先頭のブランクシート11を吸着する際の動作が遅くなるように不等速回転させることで、該吸着カップ18によるシート吸着を良好に行なわせ得る。また、シート移送手段33の第2の吸着カップ34が先頭のブランクシート11を吸着する際の第1の吸着カップ18の動作が遅くなるように可変速モータ20を不等速回転させることで、第2の吸着カップ34による先頭のブランクシート11の吸着を良好に行なわせることができる。なお、可変速モータ20は、ブランクシート11の取出しと対応して間欠回転させてもよい。
【0027】
前記先頭のブランクシート11の下端側を吸着保持した取出部35は、取出し口12aから離間しつつ上方に移動することで、先頭のブランクシート11の下端部は上方に捲られるように、後続のブランクシート11の下端部から離間される。このとき、シート移送手段33の動作に対応して回転されている前記シャッター16,16の切欠き部が、先頭のブランクシート11の下端辺角部と対応する分離位置に到来し、該ブランクシート11の取出しは許容される。なお、引続き回転するシャッター16,16により、後続のブランクシート11の下端辺角部が支持されて、先頭のブランクシート11は後続のブランクシート11から確実に分離される。
【0028】
前記シート移送手段33の取出部35は下方に移動し、これに伴ってシートマガジン12から取出されたブランクシート11が下方に移送される。このとき、先頭のブランクシート11の上端側は、前記補助吸着手段17により既に後続のブランクシート11の上端側から分離されているから、先頭のブランクシート11の取出しは円滑に行なわれる。また、シート移送手段33により取出されるブランクシート11の移動軌跡は補助吸着手段17と干渉しないから、シート取出しに際して該補助吸着手段17を該シート11と干渉しない位置まで移動させる必要はなく、装置構成を簡略化し得る。
【0029】
前記シート移送手段33の取出部35が所定位置に到来した際に第2の吸着カップ34によるブランクシート11の吸着を解除することで、該ブランクシート11は前記ケース搬送コンベヤ36に受渡される。このケース搬送コンベヤ36に受渡されたブランクシート11は、上方に開口するコ字状に折曲された状態で、下流側に搬送される。
【0030】
すなわち、実施例の補助分離装置では、シートマガジン12からブランクシート11を取出すシート移送手段33における第2の吸着カップ34のブランクシート11に対する吸着位置と、該ブランクシート11を予め後続のブランクシート11から分離する補助吸着手段17における第1の吸着カップ18のブランクシート11に対する吸着位置とを、上下の異なる端部側としたから、第2の吸着カップ34によるブランクシート11の折損を防止すると共に良好な吸着保持を可能とするもとで、該補助吸着手段17によるシート分離の離間量を大きくでき、シート間に形成される隙間に空気を入り易くして、先頭のブランクシート11の分離を良好に行なうことができる。
【0031】
なお、前記ブランクシート11のサイズが変更された場合は、前記機枠21に対して基台22を上下に移動調節して(図1参照)、補助吸着手段17における第1の吸着カップ18,18の高さ位置をシートサイズに合った位置に調節することで対応し得る。
【0032】
〔変更例〕
本願は、前述した実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1. 補助吸着手段17の駆動源は可変速モータ20に限定されるものでなく、その他のロータリーアクチュエータ、あるいはエアシリンダ等のリニアアクチュエータであってもよい。
2. 第1の吸着カップ18をブランクシート11に対して接離させる移動機構は、回転クランク機構19に限らず、カムとリンクとで構成される機構、その他の機構を適宜に採用し得る。なお、移動機構を用いることなく、リニアアクチュエータを第1の吸着カップ18に直結してブランクシート11に対して接離させることも可能である。
3. 補助吸着手段17の第1の吸着カップ18は、揺動(回動)するものの他、先頭のブランクシート11を吸着した後、直線的に離間するものであってもよい。例えば、シートマガジン12内に並んだブランクシートと略直行する方向に延びるレール等の案内部材に対してスライド可能に配設した取着部材に第1の吸着カップ18を配置し、この取着部材と回転クランク機構19とを連結し、可変速モータ20により回転クランク機構19を作動して第1の吸着カップ18をスライドさせるよう構成してもよい。なお、この場合に取着部材をスライドさせる移動機構やその駆動源としては、回転クランク機構19や可変速モータ20に限定されるものでなく、前記2.,1.に例示した各種の機構や手段を採用し得る。
4. 補助吸着手段17における第1の吸着カップ18の配設数は、2個に限定されるものでなく、対象となるシートマガジン12の左右方向の幅寸法に応じて適宜に設定することが可能である。
5. シートマガジン12の取出し口12aに配設される上端部支持部材はローラ31に限らず、取出し口12aに固定配置されるものであってもよい。また下端部支持部材に関しても、搬送軸13と一体的に回転するシャッター16に限らず、ブランクシート11が取出される際にブランクシート11と平行な方向に移動してブランクシート11の取出しを許容するシャッターや、取出し口12aに固定配置されるものを採用し得る。
6. シートマガジン12は、実施例のように、ブランクシート11の並ぶ方向が水平面に対して傾斜したものの他、ブランクシート11の並ぶ方向が水平のものであってもよい。
7. 図4に示す如く、補助吸着手段17における一対の第1の吸着カップ18,18の間に位置するよう、先頭のブランクシート11の上端部を支持する補助支持部材38を取出し口12aに固定配置してもよい。この構成は、腰の弱い薄いシートを対象とする場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例に係るブランクシートの補助分離装置を採用したケーサを示す概略構成図である。
【図2】実施例に係る補助吸着手段を示す概略側面図である。
【図3】実施例に係る補助吸着手段を示す要部概略正面図である。
【図4】変更例に係る補助支持部材と第1の吸着カップとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
11 ブランクシート,12 シートマガジン,16 シャッター(下端部支持部材)
17 補助吸着手段,18 第1の吸着カップ(吸着部材)
19 回転クランク機構(移動機構),20 可変速モータ(モータ)
31 ローラ(上端部支持部材),33 シート移送手段
34 第2の吸着カップ(吸着部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立てた姿勢でブランクシート(11)が集積されたシートマガジン(12)の取出し口(12a)から、シート移送手段(33)により先頭のブランクシート(11)を取出す前に、該ブランクシート(11)を後続のブランクシート(11)から予め分離するシート補助分離装置であって、
前記シート移送手段(33)は、前記先頭のブランクシート(11)の下端側を吸着して前記シートマガジン(12)の取出し口(12a)から該シート(11)を1枚づつ取出す吸着部(34)を有し、
前記取出し口(12a)には、先頭のブランクシート(11)の下端部を支持する下端部支持部材(16)および上端部を支持する上端部支持部材(31)が設けられ、
前記上端部支持部材(31)の下方に、前記両支持部材(16,31)で上下両端部が支持されて前記取出し口(12a)に臨む先頭のブランクシート(11)の上端側を吸着する吸着部材(18)を備え、該吸着部材(18)を取出し口(12a)から外方に離間することで吸着した先頭のブランクシート(11)を後続のブランクシート(11)から離間して、両ブランクシート(11,11)の間に隙間を設ける補助吸着手段(17)を配設した
ことを特徴とするブランクシートの補助分離装置。
【請求項2】
前記シート移送手段(33)により取出されるブランクシート(11)の移動軌跡と干渉しない位置に、前記補助吸着手段(17)が配置されている請求項1記載のブランクシートの補助分離装置。
【請求項3】
前記補助吸着手段(17)は、前記先頭のブランクシート(11)に対して前記吸着部材(18)を接離させる移動機構(19)と、該移動機構(19)を作動するモータ(20)とを備える請求項1または2記載のブランクシートの補助分離装置。
【請求項4】
前記モータは可変速モータ(20)である請求項3記載のブランクシートの補助分離装置。
【請求項5】
前記補助吸着手段(17)は、上下の位置調節が可能に構成されている請求項1〜4の何れかに記載のブランクシートの補助分離装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−8403(P2006−8403A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192239(P2004−192239)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】