説明

ブリーザホース構造

【課題】ホース先端に詰まりが生じた場合に対処可能なブリーザホース構造を提供する。
【解決手段】エンジン25のシリンダブロック内を適度な内圧に保つブリーザ27からブリーザホース28を引出し、このブリーザホース28の途中部に、ホース内圧の過剰な上昇により外部に対して開弁動作する圧力調整弁31を設ける。そして、ブリーザホース28の先端のガス出口47が土や泥により詰まることがあっても、圧力調整弁31が開弁動作し、ホース内のガスをブリーザホース28の途中部から放出し、シリンダブロック内圧が一定圧以上にならないように抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのシリンダブロック内を適度な内圧に保つブリーザに係わるブリーザホース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、エンジン11を示し、このエンジン11のシリンダブロック内の内圧は、燃焼室から漏出した燃焼ガス、すなわちブローバイガスにより、密閉しておくと高圧になるため、ブリーザ12によって、ブローバイガス中のオイル分を分離して外部に逃がすことで、シリンダブロック内を適度な内圧に保つようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、通常運転時にはシリンダブロック内のブローバイガスをブリーザ12から引出されたブリーザホース13により機体の外部に排出し、またエンジン運転停止後、エンジン11が冷えた際には、外気をシリンダブロック内に導入し、内圧が負圧になるのを防いでいる。
【0004】
作業機械では、ブリーザ12から引出されたブリーザホース13を下方へ配設して、エンジン11を搭載する機体の外にガスを逃がす構造になっている。油圧ショベルの場合は、稼動条件によりこのホース先端のガス出口14の付近まで土や泥がかかってくる場合があり、ホース先端のガス出口14に土や泥などの詰まりが生じるとブリーザ機能が損なわれるので、この詰まりが生じないように、従来は、ブリーザホース13の機体からの突き出し長さを細かく規定したり、図4に示されるように、ホース先端のガス出口14を機体のアンダーカバー15に設けられたパイプ16の中に挿入し、詰まり防止を図っている。
【特許文献1】特開2003−49626号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような工夫を施しても、油圧ショベルの稼働現場や条件によって、図5に示されるように、パイプ16やホース先端のガス出口14に土や泥17が詰まるおそれがある。このようなホース詰まりが生じた場合は、シリンダブロックの内圧が上昇し、エンジン11に装着されているレベルゲージが抜けたり、エンジンに装着されているオイルフィラーのキャップが飛んだりするおそれが生じる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ホース先端に詰まりが生じた場合に対処可能なブリーザホース構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、エンジンのシリンダブロック内を適度な内圧に保つブリーザから引出されたブリーザホースと、ブリーザホースの途中部に設けられホース内圧の過剰な上昇により外部に対して開弁動作する圧力調整弁とを具備したブリーザホース構造であり、そして、ブリーザホースの先端が土や泥により詰まることがあっても、圧力調整弁が開弁動作し、ホース内のガスをブリーザホースの途中部から放出し、シリンダブロック内圧が一定圧以上にならないように抑える。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のブリーザホース構造において、圧力調整弁の開弁動作を検知する開弁検知手段と、開弁検知手段からの開弁検知信号によりブリーザホースの詰まりを知らせる報知手段とを具備したものであり、そして、圧力調整弁が開弁動作したときは、その開弁動作を開弁検知手段が検知し、それを受けた報知手段が、ブリーザホースの詰まりをオペレータなどに知らせるので、オペレータなどは、ホース先端の詰まりを解消する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、ブリーザホースの先端が土や泥により詰まることがあっても、圧力調整弁が開弁動作し、ホース内のガスをブリーザホースの途中部から放出することで、シリンダブロック内圧が一定圧以上にならないように抑えることができ、エンジンに装着されている部品に悪影響が及ぶおそれを防止できる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、圧力調整弁が開弁動作したときは、その開弁動作を開弁検知手段が検知し、それを受けた報知手段が、ブリーザホースの詰まりをオペレータなどに知らせるので、オペレータなどは、ホース先端の詰まりを早期に解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を、図1乃至図3に示された一実施の形態を参照しながら説明する。
【0012】
図3は、作業機械としての油圧ショベルを示し、下部走行体21に上部旋回体22が旋回可能に設けられ、この上部旋回体22には、キャブ23および作業装置24が搭載されているとともに、エンジン25およびこのエンジン25により駆動される油圧ポンプなどの動力部26が搭載されている。
【0013】
エンジン25のシリンダヘッドカバーには、燃焼室から漏出したブローバイガスをこのガス中のオイル分を分離して外部に逃がすことでシリンダブロック内を適度な内圧に保つブリーザ27が設けられ、このブリーザ27から引出されたブリーザホース28は、下方へ向って配設され、ホース先端が、上部旋回体22のアンダーカバー29に設けられたパイプ30に挿入されている。
【0014】
図1および図2に示されるように、ブリーザホース28の途中部には、ホース内圧の過剰な上昇により外部に対して開弁動作する圧力調整弁31が設けられている。この圧力調整弁31の位置は、ブリーザホース28内のガスが排出されても悪影響を及ぼさない位置に設定する。
【0015】
この圧力調整弁31は、図2に示されるように、ブリーザホース28に嵌着された弁本体32に排気穴33が穿設され、この排気穴33の内側に圧縮コイルスプリング34を介してスプリング受け板35が配置され、このスプリング受け板35と、排気穴33の外側に開閉自在に配置された開閉弁体36とが、ロッド37により連結された一種のリリーフ弁である。
【0016】
この圧力調整弁31の開閉弁体36に対して、圧力調整弁31の開弁動作を検知する開弁検知手段としての開弁スイッチ41が、弁本体32に固定された取付板42により支持されている。この開弁スイッチ41は、圧力調整弁31の開閉弁体36により押圧された開弁検知片43により接点を作動するリミットスイッチである。
【0017】
開弁スイッチ41は、この開弁スイッチ41からの開弁検知信号によりブリーザホース28の詰まりを知らせる報知手段44に接続されている。この報知手段44は、作業機械に搭載されたコントローラ45、およびこのコントローラ45に接続されたキャブ23内のモニタ46が有するアラーム機能であるが、ブザー、ランプなどを用いても良い。モニタ46に圧力調整弁31の開弁状態を知らせるアラーム機能を追加することにより、オペレータにホース先端のガス出口47(図1)が詰まっている状況を知らせる機能を追加することが、最も望ましい。
【0018】
次に、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0019】
通常の運転では、この圧力調整弁31は作動せず、ブリーザ27からのガスはブリーザホース28の先端のガス出口47より直接外気に放出される。
【0020】
一方、作業機械が泥寧地で使用されたような場合は、ブリーザホース28のガス出口47が土や泥により詰まることがあり得る。このような場合は、ブリーザホース28の内圧が上昇し、圧縮コイルスプリング34で設定された圧力を超えると、圧力調整弁31の開閉弁体36の内面に作用する圧力により、圧縮コイルスプリング34に抗して開閉弁体36が開弁動作し、ブリーザホース28内のガスをブリーザホース28の途中部から外部へ放出する。
【0021】
これにより、ブリーザホース28に連通するシリンダブロック内圧が、圧縮コイルスプリング34で設定された一定圧以上にならないように抑えることができ、過度に上昇したシリンダブロック内圧により、エンジン25に装着されている部品に悪影響が及ぶおそれを防止できる。たとえば、エンジン25に装着されているレベルゲージが抜けたり、オイルフィラーのキャップが飛んだりする不具合の発生を防止できる。
【0022】
また、圧力調整弁31が開弁動作したときは、その開弁動作を開弁スイッチ41が検知し、それを受けたコントローラ45が、モニタ46に、圧力調整弁31の開弁状態を表示して、作業機械のオペレータにブリーザホース28のガス出口47が詰まっている状況を知らせるので、オペレータは、その表示を見て、アンダーカバー29のパイプ30内およびブリーザホース28のガス出口47を掃除して、ホース先端の詰まりを解消する。
【0023】
このようにして、自動的に開弁スイッチ41によりオペレタにホース詰まりを知らせ、ホース先端の掃除を促すことができるので、圧力調整弁31が開弁動作したままの状態を早期に解消できる。
【0024】
なお、上記実施の形態では、開弁検知手段として機械的な開弁スイッチ41を例示したが、開弁検知手段としては、圧力の変化を検出して開弁動作を検知する圧力スイッチを採用しても良い。
【0025】
また、本ブリーザホース構造は、油圧ショベルだけでなく、ブルドーザなどの他の作業機械に搭載されたエンジンのブリーザにも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るブリーザホース構造の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】同上ブリーザホース構造の圧力調整弁の一例を示す断面図である。
【図3】同上ブリーザホース構造を有する作業機械の一例を示す側面図である。
【図4】従来のブリーザホース構造を示す正面図である。
【図5】従来のブリーザホース構造の問題点を示すホース先端部分の断面図である。
【符号の説明】
【0027】
25 エンジン
27 ブリーザ
28 ブリーザホース
31 圧力調整弁
41 開弁検知手段としての開弁スイッチ
44 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのシリンダブロック内を適度な内圧に保つブリーザから引出されたブリーザホースと、
ブリーザホースの途中部に設けられホース内圧の過剰な上昇により外部に対して開弁動作する圧力調整弁と
を具備したことを特徴とするブリーザホース構造。
【請求項2】
圧力調整弁の開弁動作を検知する開弁検知手段と、
開弁検知手段からの開弁検知信号によりブリーザホースの詰まりを知らせる報知手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のブリーザホース構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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