説明

ブルーベリー品種の識別方法

【課題】識別能の高いSSRマーカーによって多種のブルーベリー品種を精度よく、しかも迅速かつ簡便に識別する手段を提供すること。
【解決手段】被検試料より抽出したDNAを鋳型とし、ブルーベリー染色体上に存在する特定のSSRマーカーの1種又は複数種をPCRにより増幅し、増幅断片長を解析して、被検試料中のブルーベリー品種を識別する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルーベリー品種の識別方法に関する。より詳しくは、本発明は、単純配列反復(Simple Sequence Repeats:以下、「SSR」という)マーカーを用いるブルーベリー品種の識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物品種をDNAレベルで識別する方法の一つとして、SSRマーカーを用いる方法がある。SSRは、ゲノムDNA中のタンパク質をコードしていない非翻訳領域において見られる数塩基の単純反復配列(Simple Sequence Repeats)であり、その反復回数が近縁品種間で異なることが頻繁に見られることから、品種識別のためのDNAマーカーとして適している。従って、SSRマーカーを用いた植物品種の識別技術は、イネ、イグサ、ラッカセイ、ナシ類等の作物で利用されている。
【0003】
ブルーベリーについても、SSRマーカーに関する報告が幾つかある(非特許文献1〜4)。非特許文献1は、発現配列タグ(EST)及びハイブッシュブルーベリー(Vaccinium corymbosum L)の遺伝子ライブラリーから分離された30個のマイクロサテライト遺伝子座からSSRマーカーを見出し、これらのSSRマーカーの多型を11種の4倍体のブルーベリー品種で評価している。非特許文献2は、28個のSSRマーカーを用いて、野生種及び栽培種ハイブッシュブルーベリー69系統の遺伝子型を特定している。また、非特許文献3は、ハイブッシュブルーベリー22品種を用いてSSR遺伝子座を解析した結果、4つのSSRマーカーでは、4倍体のハイブッシュブルーベリーについて多数のアリルが観察されたことが報告されている。しかしながら、これらで用いられているSSRマーカーによれば、4倍体のハイブッシュブルーベリーブルー中の系統的関連性の解明や評価ができるにすぎない。さらに、非特許文献4は、非特許文献2と同じように、SSRマーカーによるブルーベリーの系統解析には成功しているが、実際に用いたSSRマーカーでは、多型は認められもののアリルが多すぎて品種間の識別は困難であったことが示唆されている。
【0004】
以上のように、SSRマーカーを用いてブルーベリー品種の識別を試みた例はあるものの、多品種のブルーベリーを個々に識別できたものではなく、実用に供するレベルとはいえない。一般に、野生種ブルーベリーに対立する栽培種ブルーベリーでは遺伝的差異の減少が観察されることから、識別はより困難となる。また、ブルーベリーは、2〜6倍体という高次倍数性を有し、プライマーにより増幅されたSSRマーカーの塩基数によって多数のピーク値がでるため、電気泳動法によるフラグメントの多型解析が複雑となることが予想される。従って、SSRマーカーを利用した高精度で実用的なブルーベリー品種識別技術の確立には至っていないのが現状である。
【0005】
【非特許文献1】P.S. Boches et al., Microsatellite markers for Vaccinium from EST and genomic libraries, Molecular Ecology Notes, 5: 657-660 (2005)
【非特許文献2】P.S. Boches et al., Genetic Diversity in the Highbush Blueberry Evaluated with Microsatellite Markers, J. Amer. Soc. Hort. Sci., 131(5): 674-686 (2006)
【非特許文献3】櫛川 聡ら、ブルーベリー(Vaccinium spp.)におけるSSRマーカーの開発、園芸学雑誌、75(別2)、第172頁(2006)
【非特許文献4】赤木 功ら、既知の遺伝子情報を利用したブルーベリーの系統分類、園芸学雑誌、75(別2)、第174頁 (2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、識別能の高いSSRマーカーによって多種のブルーベリー品種を精度よく、しかも迅速かつ簡便に識別する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、既存のデータベースに登録されたブルーベリーゲノム上のSSRと、新規に見出したSSRから、ブルーベリー品種識別に有効なSSRを選抜し、該SSRを増幅するプライマーを設計することに成功した。さらに、得られたSSRマーカーの増幅断片長の多型とブルーベリー品種を関連づけたデータベースを作成し、1種のマーカー、または複数種のマーカーを効率よく組み合わせることにより、数多くのブルーベリー主要品種を精度よく、しかも迅速かつ簡便に識別することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] 以下の(A)〜(K)の1種または複数種のプライマー対を用いて被検試料から抽出したDNAを鋳型としてPCRによりSSRマーカーを増幅し、増幅断片長を解析して、被検試料中のブルーベリー品種を識別することを特徴とする、ブルーベリー品種の識別方法。
(A)配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.01増幅用プライマー対
5'-gacatgtcttcagagttctcctc-3' (配列番号1)
5'-gcgtgagggcacaaagctct-3' (配列番号2)
【0009】
(B)配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号4に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.03増幅用プライマー対
5'-gagaagtagagtttagaagctctagaattca-3' (配列番号3)
5'-tctccaaccccagtaattaagccca-3' (配列番号4)
【0010】
(C)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.04増幅用プライマー対
5'-tttcattactgctatcgccactcct-3' (配列番号5)
5'-gtctgggataaatacaaacccagttaga-3' (配列番号6)
【0011】
(D)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.05増幅用プライマー対
5'-gtcatgaccagtaatcaaaccgcgt-3' (配列番号7)
5'-aactagctagtggaaacaaccgggtt-3' (配列番号8)
【0012】
(E)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.06増幅用プライマー対
5'-gtgtcagagggcacattcatg-3' (配列番号9)
5'-cggctcgtttgcagcctagt-3' (配列番号10)
【0013】
(F)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.09増幅用プライマー対
5'-ccttcctgcntgaagagaaaaattgca-3' (配列番号11)
5'-tgaaacccctgaaatcgtactctct-3' (配列番号12)
【0014】
(G)配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.17増幅用プライマー対
5'-gttgaaaagttcgttttggtccctcct-3' (配列番号13)
5'-ctccgctgtgttgcttttggattttaga-3' (配列番号14)
【0015】
(H)配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.19増幅用プライマー対
5'- ggtacaaaaccctcgaacagaatctca-3' (配列番号15)
5'- gtgtataacagaagactgctttgctgga-3' (配列番号16)
【0016】
(I)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.22増幅用プライマー対
5'-cacattcactcaccatgttgcaacg-3' (配列番号17)
5'-gtttgagatttgaccatgccttctgatgt-3' (配列番号18)
【0017】
(J)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.23増幅用プライマー対
5'-caacgcatttacaccatccggtaaga-3' (配列番号19)
5'-gttcaagtcaacacagaccccattct-3' (配列番号20)
【0018】
(K)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.24増幅用プライマー対
5'-caaagggatagctcaaagggtcttttca-3' (配列番号21)
5'-gaattttgcgttcgtccgcagatatga-3' (配列番号22)
【0019】
[2] 下記の工程を含む、[1]に記載のブルーベリー品種の識別方法。
(1) 標準試料のブルーベリー品種から抽出したDNAを鋳型とし、請求項1に記載の(A)〜(K)のプライマー対をそれぞれ用いてPCRにより各SSRマーカーを増幅する工程
(2) 工程(1)で増幅された各SSRマーカーの増幅断片長を電気泳動法により解析し、各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長を品種毎に決定する工程
(3) 標準試料のブルーベリー品種と工程(2)で決定された各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長を関連付けたデータセットからなるデータベースを構築する工程
(4) 被検試料から抽出したDNAを鋳型とし、請求項1に記載の(A)〜(K)のプライマー対の1種または複数種を用いてPCRにより対応するSSRマーカーを増幅し、得られた増幅断片長を、工程(3)で構築されたデータベースと照合して被検試料に含まれるブルーベリー品種を同定する工程
【0020】
[3] 標準試料のブルーベリー品種が下記のものである、[2]に記載のブルーベリー品種の識別方法。
「ウッダード」、「エッセル」、「オザークブルー」、「オースチン」、「ガーデンブルー」、「ガルフコースト」、「クーパー」、「グロリア」、「ケープファー」、「コビル」、「サウスムーン」、「サファイア」、「サミット」、「シャープブルー」、「ジョージアゲム」、「スパータン」、「スワニー」、「ダロウ」、「ティフブルー」、「デキシー」、「デューク」、「デライト」、「トロー」、「パールリバー」、「パウダーブルー」、「パトリオット」、「バルドウィン」、「ビロキシー」、「ブライトブルー」、「ブルークロップ」、「ブルーパール」、「ブルーベル」、「ブルーリッジ」、「フローダブルー」、「フロリダスター」、「ボニタブルー」、「ホームベル」、「マイヤーズ」、「マグノイア」、「リベイル」、「レッドパール」、「No.19」、「No.35」
【0021】
[4] 各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長が、最も強いシグナルを示す増幅断片長(最大増幅断片長)である、[2]に記載のブルーベリー品種の識別方法。
[5] 被検試料から抽出したDNAを鋳型とし、SSRマーカーVacc.01とSSRマーカーVacc.03を増幅し、SSRマーカーの最大増幅断片長が127〜128bpであり、かつ、SSRマーカーVacc.03の最大増幅断片長が134 bpもしくは137bpであることを指標として、当該被検試料中のブルーベリー品種が「No.35」であると判定する、[4]に記載のブルーベリーの品種識別法。
【0022】
[6] 電気泳動法が、キャピラリー電気泳動法である、[2]〜[5]のいずれかに記載のブルーベリー品種の識別方法。
[7] プライマー対のいずれか一方の5'末端に、キャピラリー電気泳動法による増幅断片長解析のための蛍光標識が付されている、[6]に記載のブルーベリー品種の識別方法。
【0023】
[8] 以下の(A)〜(K)のプライマー対を含むブルーベリー品種識別用プライマーセット。
(A)配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.01増幅用プライマー対
5'-gacatgtcttcagagttctcctc-3' (配列番号1)
5'-gcgtgagggcacaaagctct-3' (配列番号2)
【0024】
(B)配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号4に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.03増幅用プライマー対
5'-gagaagtagagtttagaagctctagaattca-3' (配列番号3)
5'-tctccaaccccagtaattaagccca-3' (配列番号4)
【0025】
(C)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.04増幅用プライマー対
5'-tttcattactgctatcgccactcct-3' (配列番号5)
5'-gtctgggataaatacaaacccagttaga-3' (配列番号6)
【0026】
(D)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.05増幅用プライマー対
5'-gtcatgaccagtaatcaaaccgcgt-3' (配列番号7)
5'-aactagctagtggaaacaaccgggtt-3' (配列番号8)
【0027】
(E)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.06増幅用プライマー対
5'-gtgtcagagggcacattcatg-3' (配列番号9)
5'-cggctcgtttgcagcctagt-3' (配列番号10)
【0028】
(F)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.09増幅用プライマー対
5'-ccttcctgcntgaagagaaaaattgca-3' (配列番号11)
5'-tgaaacccctgaaatcgtactctct-3' (配列番号12)
【0029】
(G)配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.17増幅用プライマー対
5'-gttgaaaagttcgttttggtccctcct-3' (配列番号13)
5'-ctccgctgtgttgcttttggattttaga-3' (配列番号14)
【0030】
(H)配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.19増幅用プライマー対
5'- ggtacaaaaccctcgaacagaatctca-3' (配列番号15)
5'- gtgtataacagaagactgctttgctgga-3' (配列番号16)
【0031】
(I)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.22増幅用プライマー対
5'-cacattcactcaccatgttgcaacg-3' (配列番号17)
5'-gtttgagatttgaccatgccttctgatgt-3' (配列番号18)
【0032】
(J)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.23増幅用プライマー対
5'-caacgcatttacaccatccggtaaga-3' (配列番号19)
5'-gttcaagtcaacacagaccccattct-3' (配列番号20)
【0033】
(K)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.24増幅用プライマー対
5'-caaagggatagctcaaagggtcttttca-3' (配列番号21)
5'-gaattttgcgttcgtccgcagatatga-3' (配列番号22)
【0034】
[9] 以下の(P1)〜(P5)のいずれかのSSRを増幅するプライマー対を含むブルーベリー品種識別用プライマーセット。
(P1) 配列番号23に示すSSRマーカーVacc.17の塩基配列の100位〜117位に存在するctリピートからなるSSR
(P2) 配列番号24に示すSSRマーカーVacc.19の塩基配列の71位〜88位に存在するcttリピートからなるSSR
(P3) 配列番号25に示すSSRマーカーVacc.22の塩基配列の179位〜206位に存在するctリピートからなるSSR
(P4) 配列番号26に示すSSRマーカーVacc.23の塩基配列の575位〜582位に存在するgaリピートからなるSSR、前記塩基配列の586位〜593位に存在するgaリピートからなるSSR、前記塩基配列の627位〜646位に存在するgaリピートからなるSSR
(P5) 配列番号27に示すSSRマーカーVacc.24の塩基配列の718位〜725位に存在するctリピートからなるSSR、前記塩基配列の745位〜760位に存在するctリピートからなるSSR
[10] [8]または[9]に記載のブルーベリー品種識別用プライマーセットを含むキット。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、SSRマーカーを用いるブルーベリー品種の識別方法及びそれに用いるプライマーセットが提供される。本発明のブルーベリー品種の識別方法によれば、近縁品種間でも高精度でブルーベリー品種を識別できる。また、ブルーベリー加工品を試料として用いてもブルーベリーの組織を用いた場合と同じレベルの識別精度が得られ、流通段階におけるブルーベリー品種の識別にも有効である。さらに、標準ブルーベリー品種とSSRマーカーの増幅断片長の多型のタイプを関連づけたデータベースの構築により、多品種の被検試料を網羅的かつ迅速に識別できる。従って、本発明のブルーベリー品種の識別手段は、優良新品種の保護、偽造発見、ブランド化のツールとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、被検試料より抽出したDNAを鋳型とし、ブルーベリー染色体上に存在する特定のSSRマーカーの1種又は複数種をPCRにより増幅し、増幅断片長を解析して、被検試料中のブルーベリー品種を識別することを特徴とする、ブルーベリー品種の識別方法に関する。
【0037】
本発明の方法に用いる上記特定のSSRマーカーとしては、以下のものが挙げられる。
(1) Vacc.01(NCBI:AY762683;Boches,P.S., Bassil,N.V. and Rowland,L.J., Mol. Ecol. Notes 5 (3), 657-660 (2005))
反復モチーフ:(GT)8+(GA)23
【0038】
(2) Vacc.03(NCBI:AY762682;Boches,P.S., Bassil,N.V. and Rowland,L.J., Mol. Ecol. Notes 5 (3), 657-660 (2005))
反復モチーフ:(CT)17
【0039】
(3) Vacc.04(NCBI:AY762684;Boches,P.S., Bassil,N.V. and Rowland,L.J., Mol. Ecol. Notes 5 (3), 657-660 (2005))
反復モチーフ:(CT)16+(CT)12
【0040】
(4) Vacc.05(NCBI:AY762681;Boches,P.S., Bassil,N.V. and Rowland,L.J., Mol. Ecol. Notes 5 (3), 657-660 (2005))
反復モチーフ:(GAA)15
【0041】
(5) Vacc.06(NCBI:AY762678;Boches,P.S., Bassil,N.V. and Rowland,L.J., Mol. Ecol. Notes 5 (3), 657-660 (2005))
反復モチーフ:(CT)14
【0042】
(6)Vacc.09(NCBI:AY762685;Boches,P.S., Bassil,N.V. and Rowland,L.J., Mol. Ecol. Notes 5 (3), 657-660 (2005))
反復モチーフ:(CT)22+(CA)11
【0043】
(7)Vacc.17
反復モチーフ:(CT)9
(8)Vacc.19
反復モチーフ:(CTT)6
(9)Vacc.22
反復モチーフ:(CT)14
【0044】
(10)Vacc.23
反復モチーフ:(GA)4+(GA)4+(GA)10
(11)Vacc.24
反復モチーフ:(CT)4+(CT)8
【0045】
上記SSRマーカーのうち、Vacc.01、Vacc.03、Vacc.04、Vacc.05、Vacc.06、Vacc.09の6種は、Vaccinium corymbosumを材料として得られたもので、P.S. Boches et al.により既に報告されている。また、その配列情報は上記に示されたデータベースの登録番号により入手可能である。また、Vacc.17(配列番号23、図1)、Vacc.19(配列番号24、図2)、Vacc.22(配列番号25、図3)、Vacc.23(配列番号26、図4)、Vacc.24(配列番号27、図5)の5種は、本発明者らが、Vaccinium spp.を材料とし、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法により新規に得たものである。
【0046】
本発明において「SSR」とは、特定の2〜10塩基、好ましくは2〜4塩基の単純な反復配列をいう。この反復数が品種もしくは系統によって異なるSSRが品種識別のためのDNAマーカーとなりうる。また、「SSR特異的配列」とは、SSRの両端に隣接し、プライマーを含んで当該SSRに特異的な配列をいう。また、「SSRマーカー」とは、「SSR」と「SSR特異的配列」を含み、DNAマーカーとして品種識別に利用可能な配列からなる部位をいう。遺伝子データベースGenBank等においても、SSRの配列はSSR特異的配列とともにSSRマーカーとして登録されている。
【0047】
上記のSSRマーカーを増幅するためのプライマーとしては、SSRの反復配列部分をはさんで両側(フォワード、リバース)に位置する塩基配列に相補的な10〜40bp、好ましくは20〜30bpの連続したオリゴヌクレオチドを用いることができる。プライマーは、SSR特異的配列に基づいて設定されることが好ましいが、プライマーの一部にSSRの反復配列が含まれていてもよい。すなわち、本発明において「DNAを増幅する」という場合には、上記のとおりSSR特異的配列に基づいて設定されたプライマーを用いて増幅を行うことを意味するので、得られる増幅産物にはSSR以外の配列をも含む。
【0048】
プライマー設計は、市販のソフトウェア(例えば、GENETYX;ソフトウェア開発株式会社)を用いて行うことが出来る。本発明者らが新規に設計し、前記の特定のSSRマーカーの増幅に好ましく使用できるプライマーの例は以下のとおりである。
(Vacc.01マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.01-F:GACATGTCTTCAGAGTTCTCCTC(配列番号1)
Vacc.01-R:GCGTGAGGGCACAAAGCTCT(配列番号2)
(Vacc.03マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.03-F:GAGAAGTAGAGTTTAGAAGCTCTAGAATTCA(配列番号3)
Vacc.03-R:TCTCCAACCCCAGTAATTAAGCCCA(配列番号4)
(Vacc.04マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.04-F:TTTCATTACTGCTATCGCCACTCCT(配列番号5)
Vacc.04-R:GTCTGGGATAAATACAAACCCAGTTAGA(配列番号6)
(Vacc.05マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.05-F:GTCATGACCAGTAATCAAACCGCGT(配列番号7)
Vacc.05-R:AACTAGCTAGTGGAAACAACCGGGT(配列番号8)
(Vacc.06マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.06-F:GTGTCAGAGGGCACATTCATG(配列番号9)
Vacc.06-R:CGGCTCGTTTGCAGCCTA(配列番号10)
(Vacc.09マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.09-F:CCTTCCTGCNTGAAGAGAAAAATTGCA(配列番号11)
Vacc.09-R:TGAAACCCCTGAAATCGTACTCTCT(配列番号12)
(Vacc.17マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.17-F:GTTGAAAAGTTCGTTTTGGTCCCTCCT(配列番号13)
Vacc.17-R:CTCCGCTGTGTTGCTTTTGGATTTTAGA(配列番号14)
(Vacc.19マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.19-F:GGTACAAAACCCTCGAACAGAATCTCA(配列番号15)
Vacc.19-R:GTGTATAACAGAAGACTGCTTTGCTGGA(配列番号16)
(Vacc.22マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.22-F:CACATTCACTCACCATGTTGCAACGT(配列番号17)
Vacc.22-R:GTTTGAGATTTGACCATGCCTTCTGATGT(配列番号18)
(Vacc.23マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.23-F:CAACGCATTTACACCATCCGGTAAGA(配列番号19)
Vacc.23-R:GTTCAAGTCAACACAGACCCCATTCT(配列番号20)
(Vacc.24マーカー増幅用プライマー対)
Vacc.24-F:CAAAGGGATAGCTCAAAGGGTCTTTTCA(配列番号21)
Vacc.24-R:GAATTTTGCGTTCGTCCGCAGATATGA(配列番号22)
【0049】
また、Vacc.17、Vacc.19、Vacc.22、Vacc.23、Vacc.24マーカー増幅用プライマー対は、上記のプライマー対に限定されず、以下の(P1)〜(P5)のいずれかのSSRを増幅するプライマー対であってもよい。
(P1) 配列番号23に示すSSRマーカーVacc.17の塩基配列の100位〜117位に存在するctリピート(ctctctctctctctctct:配列番号28)からなるSSR
(P2) 配列番号24に示すSSRマーカーVacc.19の塩基配列の71位〜88位に存在するcttリピート(cttcttcttcttcttctt:配列番号29)からなるSSR
(P3) 配列番号25に示すSSRマーカーVacc.22の塩基配列の179位〜206位に存在するctリピート(ctctctctctctctctctctctctctct:配列番号30)からなるSSR
(P4) 配列番号26に示すSSRマーカーVacc.23の塩基配列の575位〜582位に存在するgaリピート(gagagaga:配列番号31)からなるSSR、前記塩基配列の586位〜593位に存在するgaリピート(gagagaga:配列番号32)からなるSSR、前記塩基配列の627位〜646位に存在するgaリピート(gagagagagagagagagaga:塩基配列33)からなるSSR
(P5) 配列番号27に示すSSRマーカーVacc.24の塩基配列の718位〜725位に存在するctリピート(ctctctct:配列番号34)からなるSSR、前記塩基配列の745位〜760位に存在するctリピート(ctctctctctctctct:配列番号35)からなるSSR
【0050】
プライマーとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホトリエチル法、ホスホジエステル法等により、通常用いられるDNA自動合成装置を利用して合成することが可能である。また、当該オリゴヌクレオチドには検出を容易にするためその5’末端または3’末端に標識物質を有していてもよい。標識物質としては、蛍光色素、放射性同位元素、ジゴキシゲニンやビオチンなどの有機化合物のいずれであってもよいが、感度の点から蛍光色素が好ましい。
【0051】
本発明において「ブルーベリー」とは、ツツジ科(Ericaceae)、スノキ属(Vaccinium)、サイアノコカス節(又はブルーベリー節;Cyanococcus)に属するアメリカ原産の落葉性もしくは常緑性の低木または半高木果樹をいう。ブルーベリーはおよそ6種類からなるが、果樹園芸上重要なのは、ラビットアイブルーベリー(Rabbiteye blueberry, V. ashei Reade, V. virgatum Aiton)、北部ハイブッシュブルーベリー(Vaccinium corymbosum)、南部ハイブッシュブルーベリー(Vaccinium darrowii)の3種類である。従って、本発明の方法を用いて識別しうるブルーベリー品種は、主としてラビットアイブルーベリー、北部ハイブッシュブルーベリー、南部ハイブッシュブルーベリーに分類されるものであるが、ローブッシュブルーベリー(Vaccinium angustifolium)に分類されるものも包含される。具体的には以下のブルーベリー品種が例示できるが、これらに限定はされない。
【0052】
ラビットアイブルーベリーとしては、ウッダード、エッセル、オースチン、グロリア、デライト、パウダーブルー、バルドウィン、ブライトブルー、パールブルー、ブルーベル、ボニタブルー、ホームベル、レッドパールなどが挙げられる。
【0053】
北部ハイブッシュブルーベリーとしては、アーリーブルー、ウェイマウス、コリンズ、スパルタン(スパータン)、バークレイ、ブルージェイ、ブルーレイ、ハーバード、レイトブルー、ブルークロップ、コビル、ダロウ、ディウーク(デューク)、クロトーン、ブルータ、パトリオット、ブルーヘブン、ブルーゴールド、サンライズ、はやばや里、おおつぶ星、ブルーチップ、ミィエーダ、エチョータ、トロ(トロー)、カーラズ・チョイス、ブルークロップ、レガシー、シェイエーラ、ボーナス、ベンダー、チャンドラー、ネルソン、あまつぶ星、ジャージー、ルーベル、エリザベス、ダローネス、デキシー、レイトブルー、エリオネット、ケープファーなどが挙げられる。
【0054】
南部ハイブッシュブルーベリーとしては、例えば、オニール、フロリダスター、フロリダブルー、ケープファー、フロリダサファイア、フロリダブルー、クーパー、ミレニア、エメラルド、シャープブルー、ブッラデン、ビロキシー、ブルーリッジ、サウスムーン、ミスティ、ジョージアジム、ダップリン、エイボンブルー、マグノイア、サンシャインブルー、サミット、パールリバー、オーザクブルー、ガルフコースト、フロリダサファイア、ジョージアジム、フロリダスター、リベイル(登録商標)などが挙げられる。
【0055】
ローブッシュブルーベリーとしては、チグネクト、ブロンズウィック、ブロミドンなどが挙げられる。
【0056】
本発明における品種識別は、ブルーベリーに広く適用でき、これまでSSRマーカーでは困難であったラビットアイブルーベリーも識別可能である。その中でも、本発明者らによる新規育成系統「No.19」と「No.35」は、葉に高い抗酸化活性を有する優良品種であり、品種保護の観点から有用である。この2品種は葉中に機能性成分をホームベルより多く含み、例えばC型肝炎ウイルス産生抑制活性が期待できる(特開2007−119398)。
【0057】
ラビットアイブルーベリー(Vaccinium ashei)の新品種「No.19」は、国立大学法人
宮崎大学が開発したものであり、下記の特徴を有する。
(i)葉の加工食品としての利用のために育成された選抜系統である。
(ii)樹勢は中程度で、果実、葉生産性は低い。
(iii)3月下旬から4月上旬に開花し、7月下旬から8月上旬に成熟する。親品種であるエッセルと同時期である。果実は、中程度の大きさである。
(iv)挿し木によって容易に増殖することができる。
【0058】
また、ラビットアイブルーベリー(Vaccinium ashei)の新品種「No.35」は、国立大
学法人宮崎大学が開発した品種であり、下記の特徴を有する。
(i)葉の加工食品としての利用のために育成された新品種である。
(ii)樹勢が強く、葉としての生産性が高い。
(iii)3月下旬から4月上旬に開花し、7月下旬から8月上旬に成熟する。親品種であるホームベルと同時期である。果実は、やや小さく、ブルームをほとんどつけない。
(iv)挿し木によって容易に増殖することができる。
【0059】
「No.19」は、エッセルの放任受粉後代より選抜・育成された新品種であり、「No.35」は、ホームベルの放任受粉後代より選抜・育成された新品種である。「No.19」、「No.35」は、国立大学法人宮崎大学農学部自然共生フィールド科学教育研究センター(木花フィールド)によって品種が確定・保存されており、特許登録後においては、試験希望者に分譲の用意がある(〒889-2192 宮崎県宮崎市学園木花台西1-1)。
【0060】
また、本発明において、「ブルーベリー品種の識別」は、ブルーベリー品種がいずれの品種であるかを特定するのみならず、交配品種における親品種の判定及び交配種の確認、変異個体の判定を含む広い概念を示す。なお、本発明におけるブルーベリー品種には、品種登録または品種登録出願されたブルーベリー品種だけでなく、品種登録または品種登録出願されていないブルーベリー品種も包含される。また、あるブルーベリー品種に属するブルーベリーには、当該ブルーベリー品種の純系個体が包含されるが、それ以外にも当該ブルーベリー品種を原品種として作成した新たなブルーベリー系統であって原品種との間で示される特性の相違が少ない系統(例えば、当該ブルーベリー品種を親株とした子孫系統)なども包含される。
【0061】
前記の特定のSSRマーカーは、識別すべき品種、識別すべき品種の数、識別の目的によって、全てのSSRマーカーを用いずとも、そのうちの1種であっても、また複数種の組み合わせであってもよい。極近縁の品種間の識別には、複数種のSSRマーカーを組み合わせることによって、より的確に品種判別が可能になり好ましい。例えば、「No.19」の真偽の判定にはVacc.01およびVacc.17の2種を用いればよく、「No.35」の真偽の判定には、Vacc.01およびVacc.3、Vacc.1およびVacc.4などの2種を用いればよい。但し、識別すべき品種の対象地域において、作付けされている品種の種類によっては、いずれか1種のSSRマーカーを用いることで対応可能である。また、被検対象が未知の場合にその品種を何であるかを判定する場合は、Vacc.01、Vacc.03、Vacc.04およびVacc.09の4組をセットとして用いればよい。
【0062】
ブルーベリー主要品種の識別に用いるSSRマーカー、およびそれらの組み合わせは以下のとおりである。
ウッダード:Vacc.04−Vacc.09、Vacc.03−Vacc.09
エッセル:Vacc.03−Vacc.04、Vacc.03−Vacc.09
オーザクブルー:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09、Vacc.04−Vacc.09 ほか
オースチン:Vacc.01
ガーデンブルー:Vacc.01
ガルフコースト: Vacc.17
クーパー:Vacc.03−Vacc.04
グロリア:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09
ケープファー:Vacc.01−Vacc.09、Vacc.04−Vacc.03、Vacc.04−Vacc.09、Vacc.03−Vacc.09
コビル:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.04−Vacc.09
サウスムーン:Vacc.09
サファイア:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.03、Vacc.03−Vacc.04、Vacc.03−Vacc.09
サミット:Vacc.01−Vacc.09、Vacc.01−Vacc.03、Vacc.04−Vacc.09 ほか
シャープブルー:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09、Vacc.01−Vacc.03 ほか
ジョージアゲム:Vacc.01−Vacc.09、Vacc.04−Vacc.09、Vacc.04−Vacc.03
スパータン:Vacc.01−Vacc.03、Vacc.01−Vacc.09
スワニー:Vacc.01
ダロウ:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09、Vacc.04−Vacc.09、Vacc.03−Vacc.04
ティフブルー:Vacc.01
デキシー:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.03、Vacc.03−Vacc.04、Vacc.03−Vacc.09
デューク:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.03、Vacc.01−Vacc.09 ほか
デライト:Vacc.01−Vacc.03、Vacc.04−Vacc.09、Vacc.03−Vacc.09 ほか
トロー:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.03、Vacc.04−Vacc.09
パールリバー:Vacc.03−Vacc.09
パウダーブルー:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09
パトリオット:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09、Vacc.04−Vacc.09、Vacc.03−Vacc.04
バルドウィン:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09
ビロキシー:Vacc.04
ブライトブルー:Vacc.06−Vacc.09
ブルークロップ:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.04−Vacc.09、Vacc.03−Vacc.04
ブルーパール:Vacc.19
ブルーベル:Vacc.01
ブルーリッジ:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09、Vacc.01−Vacc.03
フローダブルー:Vacc.01
フロリダスター:Vacc.04−Vacc.22
ボニタブルー:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.04−Vacc.09
ホームベル:Vacc.01−Vacc.04
マイヤーズ:Vacc.04−Vacc.09
マグノイア:Vacc.01−Vacc.04
リベイル:Vacc.01−Vacc.03
レッドパール:Vacc.01−Vacc.04、Vacc.01−Vacc.09、Vacc.01−Vacc.03 ほか
No.19: Vacc.01−Vacc.17
No.35:Vacc.01−Vacc.3、Vacc.1−Vacc.4
【0063】
また、前記のSSRマーカー増幅用プライマー対は、それらの全種または複数種を含むプライマーセットとして提供できる。さらに、当該プライマーセットはキット化することもできる。本発明のキットは、上記プライマーセットを少なくとも含むものであればよく、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬(プライマーセットを除く)、反応の陽性コントロールとなるPCR増幅領域を含むDNA溶液、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、説明書などを含んでいてもよい。
【0064】
以下に、本発明のブルーベリー識別方法の具体的手順を説明する。まず、被検(または標準)試料となるブルーベリーからDNAを抽出する。DNA抽出には、葉、果実(果皮)、種子、根、茎、幼植物など植物体のいずれの部位を用いてもよいが、なかでも葉が好ましい。また、抽出されるDNAが激しく損傷していない限り分析は可能であるので、被検試料はブルーベリーの加工品等も対象とすることができる。加工品としては、例えば、ブルーベリー茶葉等の飲料や菓子等の調理品、ヨーグルトおよびジャムなどが挙げられる。
【0065】
被検試料に含まれるブルーベリーは、1種のブルーベリーに限定されず、2種以上のブルーベリー品種の混合物であってよい。但し、高次倍数性で複数の複対立遺伝子を有するブルーベリーの品種識別では、複数品種のDNAが混合したものでは、識別が困難になるものもあるので、より厳密な品種識別の場合には、混合物での処理は適しないこともある。
【0066】
DNAの抽出は、当業者に公知の方法、例えば通常の植物のゲノムDNA抽出方法によって行うことができる。具体的には、例えば、以下のような手順で行う。まず、ブルーベリーの葉などの組織を液体窒素中で磨砕する。該磨砕物に臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)溶液を添加してインキュベートした後、クロロホルム−イソアミルアルコールを加えてよく混和する。遠心分離により水層を分離・回収し、これにイソプロピルアルコールを加えてよく混和する。遠心分離により沈殿部を回収後、70%エタノールを加えてリンスし、再度遠心分離することでゲノムDNAを得ることができる。抽出には市販のキット(例えば、QIAGEN社の「DNeasy」等)を利用して行うこともできる。なお、DNA抽出量としては、次に行うSSRマーカーの解析が可能な量が抽出されていればよい。PCRに供する場合には、例えば、1反応あたり10 ng以上である。
【0067】
また、ブルーベリーの抽出物に含まれる多糖類、ポリフェノール類などはその後のPCR増幅の妨げとなるので、これらのPCR阻害物質をできる限り除去することが好ましい。特に葉から抽出を行う場合には、多量のポリフェノールが含まれていることが知られている。ポリフェノールの除去を行う場合は、それ自体公知の方法により行うことができるが、例えば、PVPP(ポリビニルポリピロリドン)を添加する方法等が挙げられる(特開2005-168308号公報)。
【0068】
次に、上記の操作で得られたDNAを鋳型とし、前述した特定のSSRの1種又は複数種を、対応するプライマーを用いてPCRにより増幅する。ここで、PCRとは、変性工程、プライマーのアニーリング工程及びDNAポリメラーゼによる伸長工程からなるDNA複製サイクルを繰り返して行う反応を利用して特定のDNAを増幅させる方法であり、これは当業者に公知の方法(例えば、Saikiら, Science, 230,1350-1354, 1985; 植物細胞工学別冊「植物のPCR実験プロトコル」、島本功、佐々木卓治監修、1995、秀潤社発行非特許文献6)に従って行うことができる。例えば、鋳型となるDNAに耐熱性DNAポリメラーゼ及び前記プライマーを添加し、約90〜96℃の変性、約40〜70℃のアニーリング、約70〜75℃の伸長の3工程を20〜60サイクル繰り返す。
【0069】
PCR後、得られた増幅産物の断片長を解析する。増幅断片長の解析は、キャピラリー式電気泳動法やゲル板式電気泳動法などの電気泳動法で行うことができるが、泳動時間が短く分離性能がよく、多検体を処理できる上でキャピラリー式電気泳動法が好ましい。
【0070】
キャピラリー式電気泳動法の実施は、例えば、Applied Biosystems(ABI)社製キャピラリー式電気泳動装置「3730 DNA Analyzer」及び解析ソフト「Gene Mapper」を組み合わせて用いることにより、電気泳動と増幅断片長の解析とを行うことができる。この場合、前記のPCRは、プライマー対のいずれか一方の5'末端を蛍光色素により予め標識させた蛍光標識プライマーを用いて行う。蛍光標識プライマーを用いることにより、得られる増幅産物に蛍光色素が導入され、電気泳動後、増幅断片長を蛍光に基づいて解析することが可能となる。
【0071】
被検試料中のブルーベリー品種の識別を行うに際して、本発明のブルーベリー品種の識別方法の好ましい実施態様は以下の工程を含む。
(1) 標準試料のブルーベリー品種から抽出したDNAを鋳型とし、前記Vacc.01、03、04、05、06、09、17、19、22、23、24の各SSRマーカー増幅用プライマー対をそれぞれ用いてPCRにより各SSRマーカーを増幅する工程
(2) 工程(1)で増幅された各SSRマーカーの増幅断片長を電気泳動法により解析し、各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長を品種毎に決定する工程
(3) 標準試料のブルーベリー品種と工程(2)で決定された各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長を関連付けたデータセットからなるデータベースを構築する工程
(4) 被検試料から抽出したDNAを鋳型とし、前記Vacc.01、03、04、05、06、09、17、19、22、23、24の各SSRマーカー増幅用プライマー対の1種または複数種を用いてPCRにより対応するSSRマーカーを増幅し、得られた増幅断片長を、工程(3)で構築されたデータベースと照合して被検試料に含まれるブルーベリー品種を同定する工程
【0072】
まず、工程(1)(2)のDNA抽出、PCR増幅、電気泳動は前述のとおり行う。識別指標となる増幅断片長は好適には最も強いシグナルを示す増幅断片長、例えば蛍光標識プライマーを用いてPCR増幅してキャピラリー電気泳動による解析で複数の増幅断片長が得られた場合は、好適にはその中で最も高いピーク値(最高蛍光強度)を示した増幅断片長(以下、最大増幅断片長ともいう)を採用する。
【0073】
次に、工程(3)では、標準試料となるブルーベリーの代表的品種と、その品種が有するVacc.01、03、04、05、06、09、17、19、22、23、24の各SSRマーカーの増幅断片長の多型のタイプを関連付けたデータベースを作成する(下記表1参照)。多型のタイプとは、増幅断片長の大きさに応じて分類した識別のためのタイプであって(下記表2参照)、例えば、4種の断片長がある場合は、A、B、C、Dと記号化してデータベースに表記しておくと、迅速かつ簡便に品種識別ができる上で好ましい。
【0074】
ここで、標準試料となるブルーベリー品種としては、次の43種のブルーベリーを挙げることができるが、これに限定されるものではない。データベースとしては、標準試料となるブルーベリー品種は多いほど、未知被検試料の同定精度は高くなる。
「ウッダード」、「エッセル」、「オザークブルー」、「オースチン」、「ガーデンブルー」、「ガルフコースト」、「クーパー」、「グロリア」、「ケープファー」、「コビル」、「サウスムーン」、「サファイア」、「サミット」、「シャープブルー」、「ジョージアゲム」、「スパータン」、「スワニー」、「ダロウ」、「ティフブルー」、「デキシー」、「デューク」、「デライト」、「トロー」、「パールリバー」、「パウダーブルー」、「パトリオット」、「バルドウィン」、「ビロキシー」、「ブライトブルー」、「ブルークロップ」、「ブルーパール」、「ブルーベル」、「ブルーリッジ」、「フローダブルー」、「フロリダスター」、「ボニタブルー」、「ホームベル」、「マイヤーズ」、「マグノイア」、「リベイル」、「レッドパール」、「No.19」、「No.35」
【0075】
表1に、標準試料43種と、各SSRマーカー(Vacc.01、03、04、05、06、09、17、19、22、23、24)の増幅断片長の多型のタイプとの対応表を示す。また、表2に、各SSRマーカーの増幅断片長の多型のタイプの分類を示す。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
次に、工程(4)では被検試料から抽出したDNAを、上記データベースに含まれるSSRマーカー増幅用プライマーの1種または複数種を用いて増幅させ、増幅断片長を解析して表2を参照して多型のタイプを決定する。最後に、その多型のタイプを表1の対応表と照合すれば、被検試料中のブルーベリー品種を同定することができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
(実施例1)SSRマーカーの探索
ブルーベリーの品種識別に有効なSSRマーカーを探索するために、ブルーベリーゲノム上に存在するSSRを増幅するプライマーを設計した。
(1)プライマーの設計
Web上のデータベース(NCBI, The National Center for Biotechnolgy Information; http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)および発明者らによるゲノム解析から得られたブルーベリーの塩基配列情報から5反復以上の反復配列をもつSSRを見いだし、これらのSSRを増幅するプライマーを設計した。プライマーはその塩基数が20 bp程度、Tm値が60 ℃程度となり、かつ、増幅される断片長が120〜150 bp程度となるように設計した。Reverseプライマーの5'末端には、キャピラリー電気泳動法による増幅断片長解析のための蛍光標識(FAMおよびHEX)を付加した。プライマーの合成はオペロンバイオテクノロジー社に外注した。
【0080】
上記の発明者らによるゲノム解析から得たSSRの塩基配列は、ブルーベリーの任意のDNA断片、例えば、ランダムプライマーによってPCR増幅し得られたDNA断片を、2%アガロースゲルを用いたゲル抽出法によって抽出・精製し、DNAシークエンサー(ABIPRISM 3100-Avant Genetic Analyzer,アプライドバイオシステムズ社製)による解析で配列決定したものである。
【0081】
なお、上記のランダムプライマーによるPCR増幅の条件は以下のとおりであった。反応液組成は、DNA抽出液2μL(20ng/μL)、10×緩衝液(100mM Tris-HCl,500mM KCl,15mM MgCl2,タカラバイオ社)2μL、2.5mM dNTPs 2μL(タカラバイオ社)、10μM プライマー 1μL(オペロンバイオテクノロジー社)、5uints/μL Taqポリメラーゼ(rTaq;タカラバイオ社)0.4μL、蒸留水12.6μLを含むように調製した。反応条件は、はじめに95℃で1分間の熱変性を行い、次いで94℃で1分(熱変性),35℃で2分(アニーリング),72℃で3分(伸長)を1サイクルとして計40サイクルで反応させ、最後に伸長反応を72℃で5分行った。
【0082】
(2)ブルーベリー試料のDNAの抽出
「ウッダード」、「エッセル」、「オザークブルー」、「オースチン」、「ガーデンブルー」、「ガルフコースト」、「クーパー」、「グロリア」、「ケープファー」、「コビル」、「サウスムーン」、「サファイア」、「サミット」、「シャープブルー」、「ジョージアゲム」、「スパータン」、「スワニー」、「ダロウ」、「ティフブルー」、「デキシー」、「デューク」、「デライト」、「トロー」、「パールリバー」、「パウダーブルー」、「パトリオット」、「バルドウィン」、「ビロキシー」、「ブライトブルー」、「ブルークロップ」、「ブルーパール」、「ブルーベル」、「ブルーリッジ」、「フローダブルー」、「フロリダスター」、「ボニタブルー」、「ホームベル」、「マイヤーズ」、「マグノイア」、「リベイル」、「レッドパール」、「No.19」、「No.35」の計43種を用いた。これら品種・系統の葉を国立大学法人宮崎大学農学部フィールドセンターより入手し、試料とした。試料はDNA抽出を行う直前まで-80℃で凍結保存した。
【0083】
DNA抽出・精製は市販のDNA抽出・精製キット(DNeasy Plant mini Kit;キアゲン社製)を用い、具体的な操作はキアゲン社の推奨するプロトコルに従ったが、植物細胞の溶解のステップにおいて2-メルカプトエタノールを10μL添加した。まず、凍結状態のブルーベリー葉1/2枚程度(0.1 g未満)を液体窒素で冷やしておいた乳鉢上でパウダー状になるまで粉砕し、当該粉砕サンプルにプロトコルに従って緩衡液とRNase A を添加し、65℃で10分間インキュベートした。次いで、緩衡液を加え、氷上で5 分間静置した後、遠心分離した。得られた上清をQIAshredder spin columnを用いて遠心分離し、溶出したろ液を緩衡液と混和した。この混和液をDNeasy spin culumnに加え遠心分離し、溶出液を除去した後、カラムに緩衡液を加え遠心分離することでリンスした。さらにもう1回緩衡液を加え、遠心分離を行い、DNAの吸着したメンブレンからエタノールを完全に取り除いた。このメンブレンに緩衡液を加え5分以上静置した後、遠心分離し、DNAを抽出した。さらにもう1回この操作を繰り返し、得られた溶出液をDNA試料とした。得られたDNA抽出液の濃度は約10 ng/μLであった。
【0084】
(3)PCR法によるSSRマーカーの増幅
上記(2)によって得られた各品種のDNAを鋳型として、上記(1)で設計したプライマーを用いてPCRを行い、SSRマーカーを増幅した。
【0085】
PCR反応は、DNAサーマルサイクラー(GeneAmp PCR System 9700;Perkin-Elmer社)を使用し、10μLの反応液量で行った。反応液組成は、DNA抽出液1μL(10ng/μL)、10×緩衝液(100mM Tris-HCl,500mM KCl,15 mM MgCl2,タカラバイオ社)1μL、2.5mM dNTPs 1μL(タカラバイオ社)、20μMプライマー、5 uints/μL Taqポリメラーゼ(rTaq;タカラバイオ社)0.1μL、蒸留水5.9μLを含むように調製した。反応条件は、はじめに95℃で1分間の熱変性を行い、次いで94℃で1分(熱変性),60℃で1分(アニーリング),72℃で2分(伸長)を1サイクルとして計10サイクル、94℃で1分(熱変性),58℃で1分(アニーリング),72℃で2分(伸長)を1サイクルとして計25サイクルで反応させ、最後に伸長反応を72℃で7分行った。PCR反応で得られた増幅産物を10〜100倍に希釈し、次のフラグメント解析に供した。
【0086】
(4)キャピラリー電気泳動法による増幅断片長の解析
増幅断片長の解析はDNAシーケンサー(ABI PRISM 3100-Avant Genetic Analyzer,アプライドバイオシステムズ社)を用いて行った。解析に用いる試料は、分子量マーカー(GeneScan 400HD ROX standard,アプライドバイオシステムズ社)を含むホルムアミド(Hi-Di Formamide,アプライドバイオシステムズ社)12.5μLに、上述の方法で得たSSR-PCR産物1μLを混和し、DNAサーマルサイクラー(GeneAmp PCR System 9700;Perkin-Elmer社)等を用いて95℃,5分間の熱変性後、直ちに氷中で10分間冷却して調製したものを用いた。DNAシークエンサーは、36 cmキャピラリー(3100-Avant Capillary Array, アプライドバイオシステムズ社)を装着、DNAシーケンサー専用ポリマー(3100 POP-4ポリマー,アプライドバイオシステムズ社)および専用バッファー(Genetic Analyzer Buffer with EDTA,アプライドバイオシステムズ社)を充填し、添付のマニュアルに記載されている手順に従って操作した。増幅断片長の解析は、DNAシークエンサーに付属のソフトウェア(GeneMapper,アプライドバイオシステムズ社)を用いて行った。
【0087】
上記の手法により得られた増幅断片長のパターンを図6〜8に例示した。設計したSSRマーカーは、2または3塩基の反復配列をモチーフとするため、2塩基の反復配列をもつマーカーの場合は約2 bpおき、3塩基の反復配列をもつマーカーの場合は約3 bpおきにスタッターと呼ばれるピークが現れた。図6は、Vacc.01マーカー(Vacc.01プライマーによる増幅断片)による「フローダブルー」の解析結果を示す。103,105,107,109と2 bpおきにスタッターが認められた。この場合、一連のピークのうち最も高いピークを示した増幅断片長を、その品種を特徴づける識別指標として採用した。図7は、Vacc.01マーカー(Vacc.01プライマーによる増幅断片)による「ブルークロップ」の解析結果を示す。105および118の2つの増幅断片長データが得られた。ブルーベリーは高次倍数性を有することから、このように複数の増幅断片長のデータが得られる場合があったが、この場合、複数の増幅断片長データの中で最も高いピークを示した増幅断片長(最大増幅断片長)を、その品種を特徴づける識別指標として採用した。図8は、Vacc.09マーカー(Vacc.09プライマーによる増幅断片)による「No.35」の解析結果を示す。110および111の1 bpおきの連続した増幅断片長パターンが示された。このように、ほぼ同じ高さのピークを示す増幅断片長が得られる場合は、それら両方を識別指標として採用した。
【0088】
上記(1)で設計したプライマーを用いて増幅した11種のマーカー(Vacc.01,Vacc.03,Vacc.04,Vacc.05,Vacc.06,Vacc.09,Vacc.17,Vacc.19,Vacc.22,Vacc.23およびVacc.24)の増幅断片長データをブルーベリー品種別に図9〜19に示す。11種のマーカーはいずれも品種間多型を示す増幅断片長データが得られ、品種識別マーカーとして有効であることが明らかとなった。
【0089】
前記の識別指標の採用基準に基づき、各マーカーの増幅断片長のパターンを解析した結果、Vacc.01マーカーでは99〜143 bp、Vacc.03マーカーでは120〜158 bp、Vacc.04マーカーでは80〜150 bp、Vacc.05マーカーでは77〜111 bp、Vacc.06マーカーでは83〜117 bp、Vacc.09マーカーでは74〜128 bp、Vacc.17マーカーでは120〜130 bp、Vacc.19マーカーでは130〜136 bp、Vacc.22マーカーでは113〜120 bp、Vacc.23マーカーでは118〜150 bp、Vacc.24マーカーでは121〜143 bpの間に品種特異的な増幅断片長データが得られた。ブルーベリー品種と各マーカーにおける品種特異的な増幅断片長(識別指標)との対応関係を下記表3にまとめた。
【0090】
【表3】


【0091】
表3に示されるように、11種のSSRマーカーを適切に組み合わせることで、供試した43品種(新規育成2系統を含む)すべてを識別できることが判明した。また、この対応表を基にすれば、供試43品種(新規育成2系統を含む)のいずれかに該当する品種不明のブルーベリーを特定するのに、Vacc.01,Vacc.03,Vacc.04およびVacc.09の4つのマーカーを用いればよいことが示唆された。
【0092】
(実施例2)本発明のブルーベリー品種識別方法による有効性の確認
本発明のブルーベリー品種識別方法の有効性を確認するために、宮崎県総合農業試験場で栽培されているブルーベリーの2品種(品種Aおよび品種B)の識別を試みた。これら2品種は、それぞれ「ウッダード」および「ホームベル」と推定されるものである。
【0093】
品種識別マーカーとして、Vacc.01,Vacc.03,Vacc.04およびVacc.09の4つのマーカーを用いた。上記実施例1と同様の手順でブルーベリー葉からDNAを抽出し、PCR法によるSSRマーカーの増幅を行い、キャピラリー電気泳動法によって増幅断片長を解析した。
【0094】
解析の結果、Vacc.01,Vacc.03,Vacc.04およびVacc.06マーカーによって、品種Aは103,140,83および91、品種Bは128,140,122および110の最大増幅断片長が得られた(表4)。
【0095】
【表4】

【0096】
識別マーカーと各品種の増幅断片長の対応表(表3)を参照すると、品種Aの最大増幅断片長はウッダード、品種Bの最大増幅断片長はホームベルと一致することから、品種Aをウッダード、品種Bをホームベルと判定した。これはあらかじめ推定されていた品種と一致する結果であった。
【0097】
(実施例3)ブルーベリー果皮および種子から抽出したDNAによる品種識別
原則として、同一個体であれば植物体の部位に関わらず塩基配列は普遍的であるため、本発明のブルーベリー品種識別方法は、葉に限らず果実についても適応可能であるものと考えられる。そこで、国立大学法人宮崎大学農学部フィールドセンターで収穫されたブルーベリー「ウッダード」および「ホームベル」の果実を対象として本識別方法の有効性を確認した。
【0098】
ブルーベリー果実からナイフおよびピンセットを用いて果皮および種子を採取した。ブルーベリー果実はやわらかいため、採取作業がしやすいように直前に-20℃に凍結して行った。果肉には糖類をはじめとするPCR増幅を阻害する夾雑物が含まれることが予想されるため、これらの混入を減らすように配慮した。供試量は、果皮は果実1粒から得られる果皮の1/4量程度、種子は果実1粒から得られる種子のほぼ全量を1サンプルとして用いた。
【0099】
採取した果皮および種皮は、70%エタノール水溶液中に30分から1時間程度浸したのち、液体窒素で冷やしておいた乳鉢上でパウダー状になるまで粉砕し、以下、実施例1と同様の手順でDNAを抽出した。品種識別マーカーとして、Vacc.01,Vacc.03,Vacc.04およびVacc.09の4つのマーカーを用いた。PCR法によるSSRマーカーの増幅、キャピラリー電気泳動法による増幅断片長の解析は実施例1と同様の手順で行った。
【0100】
解析の結果、Vacc.01,Vacc.03,Vacc.04およびVacc.09マーカーによって、「ウッダード」の果皮は103,140,84および92、種子は103,140,84および92、「ホームベル」の果皮は128,140,122および111、種子は128,140,122および111の最大増幅断片長が得られた(表5)。
【0101】
【表5】

【0102】
これらブルーベリー果皮および種子から得られた最大増幅断片長は、いずれも、ブルーベリー葉から得られた最大増幅断片長とほぼ一致するものであった。このことから、ブルーベリー葉からだけでなく果実などの部位から抽出されたDNAにおいても本識別方法が問題なく適用できることが示された。
【0103】
(実施例4)ブルーベリー茶葉から抽出したDNAによる品種識別
本発明のブルーベリー品種識別方法は、DNAレベルで高精度の識別が可能であるため、ブルーベリー加工品の品種識別にも有効に利用できるものと考えられる。そこで、ブルーベリー茶として加工されたブルーベリー葉の加工品(ブルーベリー茶葉)を対象対象として本識別方法の有効性を確認した。
【0104】
宮崎県地域結集型共同研究事業において試作した「ホームベル」の葉を原料としたブルーベリー茶葉を入手し、供試材料として用いた。ブルーベリー茶葉約5 mgを液体窒素で冷やしておいた乳鉢上でパウダー状になるまで粉砕し、以下、実施例1と同様の手順でDNAを抽出した。品種識別マーカーとして、Vacc.01,Vacc.03,Vacc.04およびVacc.09の4つのマーカーを用い、実施例1と同様の手順でPCR法によるSSRマーカーの増幅、キャピラリー電気泳動法による増幅断片長の解析を行った。
【0105】
解析の結果、「ホームベル」の葉を加工したブルーベリー茶葉から得られた最大増幅断片長は、実施例1で示された「ホームベル」の葉から得られた最大増幅断片長とほぼ一致するものであった(表6)。
【0106】
【表6】

【0107】
このことから、ブルーベリー茶などのブルーベリー加工品から抽出されたDNAから、その加工品の原料となったブルーベリー品種の識別も可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、食品及び農業分野において、ブルーベリーの品種識別方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】SSRマーカーVacc.17の配列を示す(下線はプライマー、太字は反復配列)。
【図2】SSRマーカーVacc.19の配列を示す(下線はプライマー、太字は反復配列)。
【図3】SSRマーカーVacc.22の配列を示す(下線はプライマー、太字は反復配列)。
【図4】SSRマーカーVacc.23の配列を示す(下線はプライマー、太字は反復配列)。
【図5】SSRマーカーVacc.24の配列を示す(下線はプライマー、太字は反復配列)。
【図6】Vacc.01マーカー(Vacc.01プライマーによる増幅断片)による「フローダブルー」の解析結果を示す。最も高いピーク(最大増幅断片長)を示す「109」を「フローダブルー」の識別指標として採用した。
【図7】Vacc.01マーカー(Vacc.01プライマーによる増幅断片)による「ブルークロップ」の解析結果を示す。得られた105および118の2つの増幅断片長データのうち、高いほうのピーク(最大増幅断片長)を示す「105」を「ブルークロップ」の識別指標として採用した。
【図8】Vacc.09マーカー(Vacc.09プライマーによる増幅断片)による「No.35」の解析結果を示す。110および111の1 bpおきの連続した増幅断片長パターンが示されている。この場合、「110」および「111」の2つの増幅断片長を「No.35」の識別指標として採用した。
【図9】Vacc.01 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:ホームベル、B:シャープブルー、C:ブルーベル、D:ウッダード)。
【図10】Vacc.03 プライマーによる増幅断片の解析結果の一例を示す(A:サファイア、B:ホームベル、C:ガルフコースト、D:デライト)。
【図11】Vacc.04 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:フロリダスター、B:エッセル、C:デキシー、D:フローダブルー)。
【図12】Vacc.05 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:ブルークロップ、B:エッセル、C:フローダブルー、D:No.19)。
【図13】Vacc.06 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:マイヤーズ、B:No.35、C:フローダブルー、D:パウダーブルー)。
【図14】Vacc.09 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:フローダブルー、B:フロリダスター、C:デライト、D:ブルーリッジ)。
【図15】Vacc.17 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:ブルークロップ、B:シャープブルー、C:レッドパール、D:ウッダード)。
【図16】Vacc.19 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:No.35、B:デキシー、C:ブルーパール)。
【図17】Vacc.22 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:トロー、B:オニール、C:バルドウィン)。
【図18】Vacc.23 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:ブルーリッジ、B:No.35、C:ケープファー、D:バルドウィン)。
【図19】Vacc.24 プライマーによる増幅断片長の解析結果の一例を示す(A:ボニタブルー、B:スパータン、C:ブルーリッジ、D:エッセル)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)〜(K)の1種または複数種のプライマー対を用いて被検試料から抽出したDNAを鋳型としてPCRによりSSRマーカーを増幅し、増幅断片長を解析して、被検試料中のブルーベリー品種を識別することを特徴とする、ブルーベリー品種の識別方法。
(A)配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.01増幅用プライマー対
5'-gacatgtcttcagagttctcctc-3' (配列番号1)
5'-gcgtgagggcacaaagctct-3' (配列番号2)
(B)配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号4に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.03増幅用プライマー対
5'-gagaagtagagtttagaagctctagaattca-3' (配列番号3)
5'-tctccaaccccagtaattaagccca-3' (配列番号4)
(C)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.04増幅用プライマー対
5'-tttcattactgctatcgccactcct-3' (配列番号5)
5'-gtctgggataaatacaaacccagttaga-3' (配列番号6)
(D)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.05増幅用プライマー対
5'-gtcatgaccagtaatcaaaccgcgt-3' (配列番号7)
5'-aactagctagtggaaacaaccgggtt-3' (配列番号8)
(E)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.06増幅用プライマー対
5'-gtgtcagagggcacattcatg-3' (配列番号9)
5'-cggctcgtttgcagcctagt-3' (配列番号10)
(F)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.09増幅用プライマー対
5'-ccttcctgcntgaagagaaaaattgca-3' (配列番号11)
5'-tgaaacccctgaaatcgtactctct-3' (配列番号12)
(G)配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.17増幅用プライマー対
5'-gttgaaaagttcgttttggtccctcct-3' (配列番号13)
5'-ctccgctgtgttgcttttggattttaga-3' (配列番号14)
(H)配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.19増幅用プライマー対
5'- ggtacaaaaccctcgaacagaatctca-3' (配列番号15)
5'- gtgtataacagaagactgctttgctgga-3' (配列番号16)
(I)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.22増幅用プライマー対
5'-cacattcactcaccatgttgcaacg-3' (配列番号17)
5'-gtttgagatttgaccatgccttctgatgt-3' (配列番号18)
(J)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.23増幅用プライマー対
5'-caacgcatttacaccatccggtaaga-3' (配列番号19)
5'-gttcaagtcaacacagaccccattct-3' (配列番号20)
(K)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.24増幅用プライマー対
5'-caaagggatagctcaaagggtcttttca-3' (配列番号21)
5'-gaattttgcgttcgtccgcagatatga-3' (配列番号22)
【請求項2】
下記の工程を含む、請求項1に記載のブルーベリー品種の識別方法。
(1) 標準試料のブルーベリー品種から抽出したDNAを鋳型とし、請求項1に記載の(A)〜(K)のプライマー対をそれぞれ用いてPCRにより各SSRマーカーを増幅する工程
(2) 工程(1)で増幅された各SSRマーカーの増幅断片長を電気泳動法により解析し、各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長を品種毎に決定する工程
(3) 標準試料のブルーベリー品種と工程(2)で決定された各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長を関連付けたデータセットからなるデータベースを構築する工程
(4) 被検試料から抽出したDNAを鋳型とし、請求項1に記載の(A)〜(K)のプライマー対の1種または複数種を用いてPCRにより対応するSSRマーカーを増幅し、得られた増幅断片長を、工程(3)で構築されたデータベースと照合して被検試料に含まれるブルーベリー品種を同定する工程
【請求項3】
標準試料のブルーベリー品種が下記のものである、請求項2に記載のブルーベリー品種の識別方法。
「ウッダード」、「エッセル」、「オザークブルー」、「オースチン」、「ガーデンブルー」、「ガルフコースト」、「クーパー」、「グロリア」、「ケープファー」、「コビル」、「サウスムーン」、「サファイア」、「サミット」、「シャープブルー」、「ジョージアゲム」、「スパータン」、「スワニー」、「ダロウ」、「ティフブルー」、「デキシー」、「デューク」、「デライト」、「トロー」、「パールリバー」、「パウダーブルー」、「パトリオット」、「バルドウィン」、「ビロキシー」、「ブライトブルー」、「ブルークロップ」、「ブルーパール」、「ブルーベル」、「ブルーリッジ」、「フローダブルー」、「フロリダスター」、「ボニタブルー」、「ホームベル」、「マイヤーズ」、「マグノイア」、「リベイル」、「レッドパール」、「No.19」、「No.35」
【請求項4】
各SSRマーカーにおいて識別指標となる増幅断片長が、最も強いシグナルを示す増幅断片長(最大増幅断片長)である、請求項2に記載のブルーベリー品種の識別方法。
【請求項5】
被検試料から抽出したDNAを鋳型とし、SSRマーカーVacc.01とSSRマーカーVacc.03を増幅し、SSRマーカーVacc.01の最大増幅断片長が127〜128bpであり、かつ、SSRマーカーVacc.03の最大増幅断片長が134 bpもしくは137bpであることを指標として、当該被検試料中のブルーベリー品種が「No.35」であると判定する、請求項4に記載のブルーベリーの品種識別法。
【請求項6】
電気泳動法が、キャピラリー電気泳動法である、請求項2〜5のいずれかに記載のブルーベリー品種の識別方法。
【請求項7】
プライマー対のいずれか一方の5'末端に、キャピラリー電気泳動法による増幅断片長解析のための蛍光標識が付されている、請求項6に記載のブルーベリー品種の識別方法。
【請求項8】
以下の(A)〜(K)のプライマー対を含むブルーベリー品種識別用プライマーセット。
(A)配列番号1に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号2に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.01増幅用プライマー対
5'-gacatgtcttcagagttctcctc-3' (配列番号1)
5'-gcgtgagggcacaaagctct-3' (配列番号2)
(B)配列番号3に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号4に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.03増幅用プライマー対
5'-gagaagtagagtttagaagctctagaattca-3' (配列番号3)
5'-tctccaaccccagtaattaagccca-3' (配列番号4)
(C)配列番号5に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号6に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.04増幅用プライマー対
5'-tttcattactgctatcgccactcct-3' (配列番号5)
5'-gtctgggataaatacaaacccagttaga-3' (配列番号6)
(D)配列番号7に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号8に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.05増幅用プライマー対
5'-gtcatgaccagtaatcaaaccgcgt-3' (配列番号7)
5'-aactagctagtggaaacaaccgggtt-3' (配列番号8)
(E)配列番号9に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号10に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.06増幅用プライマー対
5'-gtgtcagagggcacattcatg-3' (配列番号9)
5'-cggctcgtttgcagcctagt-3' (配列番号10)
(F)配列番号11に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号12に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.09増幅用プライマー対
5'-ccttcctgcntgaagagaaaaattgca-3' (配列番号11)
5'-tgaaacccctgaaatcgtactctct-3' (配列番号12)
(G)配列番号13に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号14に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.17増幅用プライマー対
5'-gttgaaaagttcgttttggtccctcct-3' (配列番号13)
5'-ctccgctgtgttgcttttggattttaga-3' (配列番号14)
(H)配列番号15に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号16に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.19増幅用プライマー対
5'- ggtacaaaaccctcgaacagaatctca-3' (配列番号15)
5'- gtgtataacagaagactgctttgctgga-3' (配列番号16)
(I)配列番号17に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号18に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.22増幅用プライマー対
5'-cacattcactcaccatgttgcaacg-3' (配列番号17)
5'-gtttgagatttgaccatgccttctgatgt-3' (配列番号18)
(J)配列番号19に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号20に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.23増幅用プライマー対
5'-caacgcatttacaccatccggtaaga-3' (配列番号19)
5'-gttcaagtcaacacagaccccattct-3' (配列番号20)
(K)配列番号21に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号22に示す塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーからなるSSRマーカーVacc.24増幅用プライマー対
5'-caaagggatagctcaaagggtcttttca-3' (配列番号21)
5'-gaattttgcgttcgtccgcagatatga-3' (配列番号22)
【請求項9】
以下の(P1)〜(P5)のいずれかのSSRを増幅するプライマー対を含むブルーベリー品種識別用プライマーセット。
(P1) 配列番号23に示すSSRマーカーVacc.17の塩基配列の100位〜117位に存在するctリピートからなるSSR
(P2) 配列番号24に示すSSRマーカーVacc.19の塩基配列の71位〜88位に存在するcttリピートからなるSSR
(P3) 配列番号25に示すSSRマーカーVacc.22の塩基配列の179位〜206位に存在するctリピートからなるSSR
(P4) 配列番号26に示すSSRマーカーVacc.23の塩基配列の575位〜582位に存在するgaリピートからなるSSR、前記塩基配列の586位〜593位に存在するgaリピートからなるSSR、前記塩基配列の627位〜646位に存在するgaリピートからなるSSR
(P5) 配列番号27に示すSSRマーカーVacc.24の塩基配列の718位〜725位に存在するctリピートからなるSSR、前記塩基配列の745位〜760位に存在するctリピートからなるSSR
【請求項10】
請求項8または9に記載のブルーベリー品種識別用プライマーセットを含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−94070(P2010−94070A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267262(P2008−267262)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人科学技術振興機構、地域結集型共同研究事業の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(306024609)財団法人宮崎県産業支援財団 (23)
【出願人】(391011700)宮崎県 (63)
【出願人】(504224153)国立大学法人 宮崎大学 (239)
【Fターム(参考)】