説明

ブレーキ制御装置

【課題】大幅な設計変更や放熱促進部品の追加を伴うことなく効率的な放熱構造を持つブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ制御装置20は、マスタシリンダユニット27と、制動要求に応じてブレーキフルードの流動状態を制御する複数の電磁制御弁206を含む液圧アクチュエータユニット40と、アクチュエータを駆動制御する電子部品を搭載する制御基板202と、を含む。制御基板202は、マスタシリンダユニット27のシリンダハウジング27aと液圧アクチュエータユニット40のユニットハウジング40aの間に挟装される。制御基板202は、そこで発生した熱を少なくともシリンダハウジング27aに伝導可能に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置、特にブレーキフルードの流動を制御する部品で発生する熱の放熱効率を向上するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンチロック制御やトラクション制御が可能な車両が知られている。アンチロック制御やトラクション制御は車両に搭載されたブレーキシステムのブレーキ液圧制御アクチュエータを制御することにより行う。ブレーキ液圧制御アクチュエータは、例えば運転者が操作するマスタシリンダから車輪に取り付けられたブレーキ本体、例えばディスクブレーキ装置やドラムブレーキ装置のホイールシリンダに至る液圧経路の一部に配置されたアクチュエータボディ内に設けられる。ブレーキ液圧制御アクチュエータは、ホイールシリンダへ流れ込むブレーキフルードの流入出を制御する電磁操作式の液圧制御弁で構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された車両用のブレーキ液圧制御アクチュエータは、アクチュエータボディの一側に取付けた電磁弁の電磁駆動部を被覆するカバー内に電子制御ユニットを配置している。カバーは金属製の枠体と樹脂製の蓋体とで構成されている。また、枠体には電子制御ユニット取付台部が設けられている。そして、電子制御ユニットの電子部品で発生した熱は、基板から枠体に熱伝導させて、そこから雰囲気中に放熱させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−58544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年ではいわゆるブレーキバイワイヤ方式によるブレーキ制御装置を搭載する車両が増える傾向にある。このブレーキバイワイヤ方式では、運転者のブレーキ操作を検出して、電子制御により運転者の要求する制動力を発生させる。また、このブレーキ制御装置では、回生ブレーキユニットで生成する回生制動力と、液圧ブレーキユニットで生成する液圧制動力を併用して車輪に要求制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することもできる。このようなブレーキバイワイヤ方式のブレーキ制御装置は、前述したようなアンチロック制御やトラクション制御時のみならず、制動力を制御する場合は常に電磁弁の開閉制御が行われる。その結果、電磁弁を駆動するコイルにおける発熱および電磁弁を制御する電子制御ユニットの電子部品、特に駆動ICにおける発熱量が増大してしまう傾向がある。そのため、効率的な放熱構造を形成したいという要望がある。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、大幅な設計変更や放熱促進部品の追加を伴うことなく効率的な放熱構造を持つブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、運転者の踏み込み操作によって動作するマスタシリンダユニットと、ブレーキ本体の上流に配置され、制動要求に応じてブレーキフルードの流動状態を制御する複数のアクチュエータを含む液圧アクチュエータユニットと、前記アクチュエータを駆動制御する電子部品を搭載する制御基板と、を含む。前記制御基板は、前記マスタシリンダユニットのシリンダハウジングと前記液圧アクチュエータユニットのユニットハウジングの間に挟装され、当該制御基板は、そこで発生した熱を少なくとも前記シリンダハウジングに伝導可能に接続されている。
【0008】
この態様によると、電子部品で発生した熱は熱容量の大きな金属等でできたマスタシリンダユニット側に伝導し放熱される。この場合、電子部品とシリンダハウジングは実質的に直接接合されてもよく、短い熱伝達経路で効率的な放熱が可能になる。また、制御基板を金属等で構成されるシリンダハウジングとユニットハウジングの間に挟装することで、シリンダハウジングとユニットハウジングとで形成する空間を放熱性の優れた制御基板の収納空間とすることができる。
【0009】
また、上記態様において、前記シリンダハウジングと前記ユニットハウジングとの間に伝熱部材が配置され、当該伝熱部材の内部に前記マスタシリンダユニットと前記液圧アクチュエータユニットとの間を流動するブレーキフルードの流路が形成されていてもよい。この場合、伝熱部材は独立した部品で構成され、シリンダハウジングおよびユニットハウジングに熱伝導可能に接続してもよい。また、伝熱部材はシリンダハウジングとユニットハウジングのいずれか一方に一体形成され、他方と熱伝導可能に接続してもよい。この態様によれば、マスタシリンダユニットと液圧アクチュエータユニットとの間に形成される流路の確保と共に、マスタシリンダユニットを含むシリンダハウジングの熱容量と液圧アクチュエータユニットを含むユニットハウジングの熱容量の両方を用いて電子部品および他の部分で発生した熱を放熱することができる。その結果、ブレーキ制御装置全体の放熱を効率よく実施できる。
【0010】
また、上記態様において、前記制御基板は、少なくともシリンダハウジング側が開放された樹脂ケースに収納され前記シリンダハウジングと前記ユニットハウジングの間に挟装されていてもよい。樹脂ケースの少なくともシリンダハウジング側が開放されていれば、制御基板で発生した熱はシリンダハウジングに伝導できる。この場合、制御基板を収納する空間を安価な樹脂ケースで形成可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のブレーキ制御装置によれば、大幅な設計変更や放熱促進部品の追加を伴うことなく効率的な放熱構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るブレーキ制御装置の液圧回路の構成概念を説明する構成概念図である。
【図2】本実施形態に係るブレーキ制御装置の放熱構造を説明する概念構成図である。
【図3】本実施形態に係るブレーキ制御装置の他の放熱構造を説明する概念構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置20の液圧回路の構成概念を説明する構成概念図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。本実施形態における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
【0015】
ブレーキ制御装置20は、図1に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータユニット40とを含む。
【0016】
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。本実施形態におけるマニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータユニット40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
【0017】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、および液圧アクチュエータユニット40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたディスクブレーキ装置のブレーキ本体であるホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータユニット40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
【0018】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータユニット40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
【0019】
マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
【0020】
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。なお、マスタシリンダ圧とレギュレータ圧とは厳密に同一圧にされる必要はなく、例えばレギュレータ圧のほうが若干高圧となるようにマスタシリンダユニット27を設計することも可能である。
【0021】
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。ポンプ36により、アキュムレータ圧は維持されるべき設定範囲(本明細書ではこれを許容範囲という場合もある)に保たれる。ブレーキECU70は、アキュムレータ圧センサ72の測定値に基づいて、アキュムレータ圧が許容範囲の下限を下回った場合にポンプ36をオンとしてアキュムレータ圧を加圧し、アキュムレータ圧が許容範囲の上限を超えた場合にポンプ36をオフとして加圧を終了する。
【0022】
また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
【0023】
上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータユニット40に接続される。
【0024】
液圧アクチュエータユニット40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロック(ユニットハウジングという場合もある)と、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックは、例えばアルミダイキャスト等で形成されている。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
【0025】
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0026】
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。
【0027】
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪用のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪用のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
【0028】
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0029】
また、液圧アクチュエータユニット40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
【0030】
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0031】
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0032】
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
【0033】
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0034】
液圧アクチュエータユニット40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
【0035】
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
【0036】
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。
【0037】
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
【0038】
ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータユニット40は、本実施形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータユニット40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。
【0039】
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
【0040】
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
【0041】
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
【0042】
上述のように構成されたブレーキ制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力の実効値は、ハイブリッドECUからブレーキ制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。
【0043】
なお、本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。ブレーキ回生協調制御を実行しているか否かにかかわらず、ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御する制御モードを以下では適宜「リニア制御モード」と称する。あるいは、ブレーキバイワイヤによる制御と呼ぶ場合もある。
【0044】
その結果、ブレーキ制御装置20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。本実施形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダユニット27からホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路に並列に設けられている。なお、本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。
【0045】
ブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を行う場合には、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。またブレーキECU70は、分離弁60を開状態とする。これにより各ホイールシリンダ圧が共通の液圧に制御される。
【0046】
また、ブレーキECU70は、リニア制御モードにおいてレギュレータカット弁65を開弁するレギュレータアシスト制御を実行してもよい。レギュレータカット弁65が開弁されることにより、液圧源としてアキュムレータ35にレギュレータ33を併用することができる。よって、目標液圧への制御液圧の応答性を高めることができる。ブレーキECU70は、レギュレータアシスト開始条件が成立したときにレギュレータアシスト制御を開始し、レギュレータアシスト終了条件が成立したときにレギュレータアシスト制御を終了する。
【0047】
レギュレータアシスト開始条件は例えば、レギュレータ圧がレギュレータアシスト可能圧を超えていること、及びレギュレータ圧勾配がレギュレータアシスト開始勾配値を超えていることを含む。レギュレータアシスト可能圧は例えば、レギュレータカット弁65を開弁したときにレギュレータ33からホイールシリンダ23へと十分な流量を得るためのしきい値として設定される。レギュレータアシスト開始勾配値は例えば、運転者の緊急制動の要求を示すしきい値として設定される。レギュレータアシスト可能圧及びレギュレータアシスト開始勾配値は実験的または経験的に適宜設定することができる。
【0048】
上述したようなブレーキ制御装置20の液圧回路において、放熱構造を考慮した具体的な構成を図2に示す。
【0049】
上述したように、電子制御式ブレーキシステムにおいては、安定した走行制御を実現するために運転者のブレーキペダル24の操作に拘わらず制動制御が実施される場合がある。この場合、液圧アクチュエータユニット40に含まれる複数の電磁制御弁のうちいずれかが駆動することにる。例えば、増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67、ABS保持弁51〜54やABS減圧弁56〜59のいずれかが駆動すると共に、分離弁60、マスタカット弁64、レギュレータカット弁65等も駆動する。この場合、各電磁制御弁のソレノイドのコイルには、ブレーキECU70からの指令にしたがい動作する駆動ICを介して所定の電流が供給されて弁の開閉が実行される。
【0050】
ところで、駆動ICは駆動に伴い発熱する発熱部品である。したがって、駆動ICの安定した動作を保証するための放熱構造が必要となる。通常、駆動IC等を実装する制御基板は、熱容量の大きな金属製の専用ハウジングに収納されたり、その専用ハウジングに放熱フィンなどの放熱促進部品を追加する等の対策を行っている。しかしながら、金属性の専用ハウジングの採用や放熱促進部品の追加は、コストの上昇やブレーキ制御装置の設計上の制約要素となり好ましくない。
【0051】
そこで、本実施形態では、図2に示すように、発熱部品である駆動IC200を含む制御基板202をマスタシリンダユニット27のシリンダハウジング27aと液圧アクチュエータユニット40のユニットハウジング40aの間に挟装している。そして、少なくとも制御基板202側で発生した熱をシリンダハウジング27a側へ伝導し放熱させる構造としている。本実施形態において、少なくともマスタシリンダユニット27に含まれるマスタシリンダ32、レギュレータ33は例えば鉄等の金属製の円筒形状であり、全体が鉄等の金属製のシリンダハウジング27aに収納されているものとする。また、マスタシリンダ32やレギュレータ33の外装部分をシリンダハウジング27aとしてもよい。本実施形態において、制御基板202は、絶縁性を有する伝熱体204を介してシリンダハウジング27aに固定されている。つまり、駆動IC200で発生した熱を伝熱体204を介して熱容量の大きなシリンダハウジング27a側に伝達することにより放熱を行っている。伝熱体204は例えばゴム製の伝熱シートとすることが可能で、駆動IC200で発生した熱を短い伝熱経路でシリンダハウジング27aに伝達して効率的な放熱を実現している。
【0052】
このように、伝熱体204を介して制御基板202をシリンダハウジング27aに接続する場合、例えば、シリンダハウジング27aの表面の少なくとも一部を平面化加工して伝熱体204との密着性を向上させるようにすることが望ましい。また、別の実施例では、伝熱体204の一面側の形状をシリンダハウジング27aの表面形状に対応した形状とし、他面側を制御基板202の接続部分の形状に対応した形状としてもよい。この場合、制御基板202がシリンダハウジング27aと制御基板202のインターフェース的役割を持つ。また、伝熱体204をゴム等の軟性材料で構成することで、マスタシリンダユニット27の駆動時の振動が制御基板202に伝達されることを抑制し、制御基板202に対する振動防止対策を併せて行うことが可能で、制御基板202の信頼性向上に寄与できる。
【0053】
一方、増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67、ABS保持弁51〜54やABS減圧弁56〜59等の電磁制御弁206は、コイルへの通電により弁体の開閉を行うため、駆動時にコイル部分で発熱する。本実施形態においては、前述したように制御基板202側での発熱は熱容量の大きなシリンダハウジング27a側で放熱する。一方、コイルで発生した熱は、電磁制御弁206が含まれるユニットハウジング40a側で放熱する。ユニットハウジング40aは、例えばアルミダイキャストで形成され十分な熱容量を有することができる。つまり、ブレーキ制御装置20における発熱源がそれぞれ独立した十分な熱容量の放熱体を持つことが可能となり、効率的な放熱に寄与できる。
【0054】
なお、図2に示すように、制御基板202をシリンダハウジング27aとユニットハウジング40aとの間に挟装する場合、当該制御基板202は少なくともシリンダハウジング27a側が開放された樹脂ケース208に収納することが望ましい。樹脂ケース208を介在させることで、制御基板202が電磁制御弁206等の他の部品と接触することを回避するための空間を容易に形成することができると共に、形成される空間によりコイル側の熱が駆動IC200側に伝達してしまうことを抑制できる。また、樹脂ケース208を用いることで、制御基板202から導出される配線の配索や外部と接続するコネクタ208a等も容易に一体形成することができる。なお、樹脂ケース208は、基本的には発熱部品である制御基板202や電磁制御弁206の側面を覆うのみで、表裏面側にはシリンダハウジング27aおよびユニットハウジング40aが存在している。したがって、シリンダハウジング27aやユニットハウジング40aが樹脂ケース208の蓋として機能すると共に、放熱機能の優れた収納空間を形成することになる。
【0055】
また、前述したように、本実施形態においては、制御基板202側で発生した熱はシリンダハウジング27aを介して効率的に放熱され、電磁制御弁206側で発生した熱はユニットハウジング40aを介して効率的に放熱される。したがって、樹脂ケース208を介しての放熱は特に必要なく、低コストの樹脂材料を用いたケースを採用できる。シリンダハウジング27aとユニットハウジング40aとの間に制御基板202を挟装することは、この点においても有利である。
【0056】
なお、マスタシリンダユニット27側と液圧アクチュエータユニット40側とを相互流動するブレーキフルードは、樹脂ケース208を跨いで両者を接続した流路管210の中を流れる。シリンダハウジング27aおよびユニットハウジング40aとが別構成の流路管210を介して接続されることで、シリンダハウジング27aおよびユニットハウジング40aの設計自由度の向上に寄与できる。
【0057】
図3は、図2の構成の変形例である。図3に示す放熱構造は、シリンダハウジング27aとユニットハウジング40aとの間の流路管210の構成が異なるのみで、基本的な放熱構成は図2の構成と同じである。したがって、図2と図3で同等の機能を果たす部材には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0058】
図3の例の場合、シリンダハウジング27aとユニットハウジング40aとの間に両者間で熱を伝達する伝熱部材212が配置されている。この伝熱部材212は、放熱性の優れた金属材料等で形成される。図3の場合、伝熱部材212はシリンダハウジング27aの一部として構成され、シリンダハウジング27aと同様に鉄等の材料により形成されている。伝熱部材212の内部には、マスタシリンダユニット27側と液圧アクチュエータユニット40側とを相互流動するブレーキフルードが流れる流路212aが形成されている。
【0059】
図3の構造の場合も、図2の構造と同様に、制御基板202側で発生した熱は、シリンダハウジング27a側に伝導して主としてシリンダハウジング27aを介して放熱される。また、電磁制御弁206のコイルで発生した熱はユニットハウジング40a側に伝道して主としてユニットハウジング40aを介して放熱される。それに加え、例えばユニットハウジング40aに伝導した熱の一部は、伝熱部材212を介してシリンダハウジング27a側に伝導し、シリンダハウジング27aを介して放熱させることも可能である。また、その逆も可能である。つまり、伝熱部材212は、シリンダハウジング27aの熱容量とユニットハウジング40aの熱容量の両方を用いて駆動IC200および電磁制御弁206のコイルで発生した熱を放熱することができる。その結果、ブレーキ制御装置全体の放熱を効率よく実施できる。
【0060】
なお、伝熱部材212をユニットハウジング40aの一部として形成することも可能である。その場合、伝熱部材212はユニットハウジング40aをアルミダイキャストで鋳造するときに併せて形成される。また、伝熱部材212は、シリンダハウジング27aおよびユニットハウジング40aとは別部品として形成してもよい。この場合、伝熱部材212は十分な熱伝導性や放熱性を有する材料であれば何れの材料で形成してもよい。なお、この場合、伝熱部材212とシリンダハウジング27aおよび伝熱部材212とユニットハウジング40aとの接続部分にはブレーキフルードの漏れを防止するシール構造が必要となる。一方、上述したように伝熱部材212をシリンダハウジング27aまたはユニットハウジング40aのいずれか一方に一体的に形成する場合には、一体形成した側のシール構造が不要になり構造のシンプル化や組立の容易化に寄与できる。
【0061】
なお、上述した実施形態では、ブレーキバイワイヤ方式にブレーキ回生協調制御を含むブレーキ制御装置に本実施形態の放熱構造を適用する例に説明した。別の実施形態では、ブレーキ回生協調制御を含まないブレーキバイワイヤ方式のブレーキ制御装置に本実施形態の放熱構造を適用してもよく、同様な効果を得ることができる。また、図1に示すブレーキ制御装置では、ディスクブレーキ装置を採用した構成を一例として、ブレーキ本体をディスクブレーキのホイールシリンダとする例を説明した。他の実施形態では、ドラムブレーキ装置を採用し、ドラムブレーキのホイールシリンダをブレーキ本体としてもよく、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
20 ブレーキ制御装置、 27a シリンダハウジング、 40 液圧アクチュエータユニット、 40a ユニットハウジング、 200 駆動IC、 202 制御基板、 208 樹脂ケース、 212 伝熱部材、 212a 流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の踏み込み操作によって動作するマスタシリンダユニットと、
ブレーキ本体の上流に配置され、制動要求に応じてブレーキフルードの流動状態を制御する複数のアクチュエータを含む液圧アクチュエータユニットと、
前記アクチュエータを駆動制御する電子部品を搭載する制御基板と、
を含み、
前記制御基板は、前記マスタシリンダユニットのシリンダハウジングと前記液圧アクチュエータユニットのユニットハウジングの間に挟装され、当該制御基板は、そこで発生した熱を少なくとも前記シリンダハウジングに伝導可能に接続されていることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記シリンダハウジングと前記ユニットハウジングとの間に伝熱部材が配置され、当該伝熱部材の内部に前記マスタシリンダユニットと前記液圧アクチュエータユニットとの間を流動するブレーキフルードの流路が形成されていることを特徴とする請求項1記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記制御基板は、少なくとも前記シリンダハウジング側が開放された樹脂ケースに収納され前記シリンダハウジングと前記ユニットハウジングの間に挟装されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−84145(P2011−84145A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237578(P2009−237578)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】