説明

ブレーキ用ブリーダプラグ

【課題】 使用時の作業性を確保しつつ、未使用時のダメージを抑制可能であり、かつ、省スペース化を図ることができるブレーキ用ブリーダプラグの提供。
【解決手段】 ブリーダプラグ1は、ブレーキキャリパ100に螺入された際に油圧室101と外部との連通を阻止すると共に、ブレーキキャリパ100から緩められた際に油圧室101と連通する気体通路24,25をもった内側プラグ半部2と、内側プラグ半部2に対して軸方向に進退移動可能であると共に内側プラグ半部2と一体に回転可能であり、外部と連通する気体通路31を有する外側プラグ半部3と、内側プラグ半部2と外側プラグ半部3との間に介設されており、気体通路24と気体通路31とを連通させる伸縮自在なベローズ4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキキャリパの液圧室を介して作動液中の気体を外部に排出するためのブレーキ用ブリーダプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に適用される液圧式(油圧式)のディスクブレーキユニットでは、液圧系統中の作動液に気泡が生じてしまうと、ブレーキペダルのストロークが長くなってしまったり、ブレーキの操作感覚が悪化してしまったりする。このため、ディスクブレーキユニットを構成するブレーキキャリパには、作動液中の空気等を外部に排出するためのブリーダプラグが設けられている。この種のブリーダプラグは、一般に、気体通路および工具等によって保持され得るナット状の保持部(六角部)を有するニードル弁状に構成され、液圧室と連通するようにブレーキキャリパに形成されたねじ孔に螺合される(例えば、特許文献1および2参照。)。そして、作動液中の気体を外部に排出させる際には、保持部を保持して回転させることによりブリーダプラグをブレーキキャリパから緩め、ブリーダプラグの気体通路とブレーキャリパの液圧室とを連通させる。
【特許文献1】特開平8−121510号公報
【特許文献2】登録実用新案第2519818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、作動液中の気体を外部に排出させる際、すなわち、ブリーダプラグの使用時には、ブリーダプラグを工具等により保持する必要があることから、作業性を確保するために、ブリーダプラグの一部である上述の保持部がブレーキキャリパの表面から外部に突き出されている。しかしながら、このような構成のもとでは、車両走行時、すなわち、ブリーダプラグの未使用時の飛び石や寒冷時の着氷等との衝突によるブリーダプラグの緩みや損傷といったダメージを招いてしまうおそれもある。また、ブリーダプラグの保持部がブレーキキャリパの表面から外部に突き出る関係上、その分だけ、ブリーダプラグの配置に要するスペースが増加してしまう。
【0004】
そこで、本発明は、使用時の作業性を確保しつつ、未使用時のダメージを抑制可能であり、かつ、省スペース化を図ることができるブレーキ用ブリーダプラグの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるブレーキ用ブリーダプラグは、ブレーキキャリパの液圧室を介して作動液中の気体を外部に排出するためのブレーキ用ブリーダプラグにおいて、ブレーキキャリパと螺合可能であり、ブレーキキャリパに螺入された際に液圧室と外部との連通を阻止すると共に、ブレーキキャリパから緩められた際に液圧室と連通する気体通路を有する内側プラグ半部と、内側プラグ半部に対して軸方向に進退移動可能であると共に内側プラグ半部と一体に回転可能であり、外部と連通する気体通路を有する外側プラグ半部と、内側プラグ半部と外側プラグ半部との間に介設されており、内側プラグ半部の気体通路と外側プラグ半部の気体通路とを連通させる伸縮自在な連通部材とを備えることを特徴とする。
【0006】
このブレーキ用ブリーダプラグを用いて作動液中の気体を外部に排出する際には、外側プラグ半部を引っ張って内側プラグ半部から離間させた後、工具等により外側プラグ半部を保持して回転させ、内側プラグ半部をブレーキキャリパから緩める。これにより、ブレーキキャリパの液圧室は、内側プラグ半部の気体通路と連通するので、作動液中の気体を液圧室、内側プラグ半部の気体通路、伸縮部材および外側プラグ半部の気体通路を介して外部に排出することが可能となる。一方、作動液中の気体の排出が完了したならば、工具等により外側プラグ半部を保持して回転させ、内側プラグ半部をブレーキキャリパに螺入する。そして、内側プラグ半部をブレーキキャリパに所定量螺入することによって液圧室と外部との連通が断たれた段階で、外側プラグ半部を押し込んで内側プラグ半部に近接させる。
【0007】
このように、本発明によるブレーキ用ブリーダプラグは、液圧室と外部との連通を規制または許容する内側プラグ半部と、工具等により保持される外側プラグ半部とに二分されており、外側プラグ半部が内側プラグ半部に対して軸方向に進退移動可能となっている。従って、外側プラグ半部を引っ張って内側プラグ半部から離間させれば、外側プラグ半部の周囲に工具等のためのスペースを充分にとることが可能となり、外側プラグ半部を回転させる際、すなわち、ブリーダプラグの使用時の作業性を良好に確保することができる。また、ブレーキキャリパに外側プラグ半部を収容する凹部等を形成しておけば、ブリーダプラグの未使用時に外側プラグ半部を押し込んで内側プラグ半部に近接させることにより、外側プラグ半部がブレーキキャリパの表面から外側に突き出ないようにすることができる。これにより、車両走行時すなわちブリーダプラグの未使用時の飛び石や寒冷時の着氷等との衝突によるブリーダプラグの緩みや損傷といったダメージを良好に抑制することができる。更に、外側プラグ半部を内側プラグ半部に近接させれば、ブリーダプラグの全長を小さくすることができるので、その分だけ、ブリーダプラグを配置するスペースを縮小することが可能となる。この結果、このブリーダプラグによれば、使用時の作業性を確保しつつ、未使用時のダメージを抑制し、かつ、省スペース化を図ることが可能となる。
【0008】
また、本発明によるブレーキ用ブリーダプラグは、液圧室を介して作動液中の気体を外部に排出する際に、外側プラグ半部を内側プラグ半部から離間した位置に位置決めする位置決め手段を更に備えると好ましい。
【0009】
このような構成を採用すれば、外側プラグ半部を引っ張って内側プラグ半部から離間させ、外側プラグ半部を回転させて内側プラグ半部をブレーキキャリパから緩める際に、外側プラグ半部が内側プラグ半部に向けて押し込まれてしまうことを良好に抑制することができる。従って、かかる構成によれば、内側プラグ半部をブレーキキャリパから緩める際の作業性を極めて良好に確保することが可能となる。
【0010】
この場合、外側プラグ半部は、内側プラグ半部に向けて延びる複数のロッドを有し、内側プラグ半部には、ロッドごとに深孔と浅孔とが1個ずつ設けられていると好ましい。
【0011】
かかる構成のもとでは、各深孔が外側プラグ半部のロッドを概ね完全に収容し得るように形成され、各浅孔は、各深孔よりも浅く形成される。そして、ブリーダプラグの未使用時には、外側プラグ半部の各ロッドが対応する深孔内に挿入される。また、作動液中の気体を外部に排出する際には、外側プラグ半部が内側プラグ半部から離間させられると共に、外側プラグ半部の各ロッドが対応する浅孔内に挿入される。これにより、外側プラグ半部を回転させて内側プラグ半部をブレーキキャリパから緩める際に、外側プラグ半部の各ロッドは、対応する浅孔の底部によって支持されることから、外側プラグ半部が内側プラグ半部に向けて押し込まれてしまうことを良好に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上述のように、本発明によれば、使用時の作業性を確保しつつ、未使用時のダメージを抑制可能であり、かつ、省スペース化を図ることができるブレーキ用ブリーダプラグの実現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
【0015】
図1は、本発明によるブレーキ用ブリーダプラグの第1実施形態を示す部分断面図である。同図に示されるブリーダプラグ1は、自動車やオートバイといった車両の油圧式ディスクブレーキユニットを構成するブレーキキャリパ100に対して設けられ、ブレーキキャリパ100の油圧室(液圧室)101を介して油圧系統中の作動油(作動液)に含まれる空気等の気体を外部に排出するために用いられるものである。この場合、ブレーキキャリパ100には、ブリーダプラグ1を配置するためのねじ孔102が形成され、ねじ孔102は、ブリーダ孔103を介して油圧室101と連通している。更に、ブレーキキャリパ100には、ねじ孔102を囲むように所定寸法の凹部104が形成されている。
【0016】
ブリーダプラグ1は、図1に示されるように、ねじ孔102に螺入されてブレーキキャリパ100内に配置される内側プラグ半部2と、この内側プラグ半部2の外側に位置する外側プラグ半部3とを含む。内側プラグ半部2は、金属等により概ね円柱状に形成されており、その先端(図1における下端)に、概ね円錐台状のテーパ面21と端面22とを有する。また、内側プラグ半部2の外周面には、ねじ孔102に形成されている雌ねじ溝に対応した雄ねじ溝23が形成されている。更に、内側プラグ半部2には、軸方向に延びる気体通路24と、それぞれ気体通路24と連通すると共にテーパ面21において開口する複数の気体通路25とが形成されている。
【0017】
これにより、内側プラグ半部2をブレーキキャリパ100のねじ孔102に所定量螺入させれば、内側プラグ半部2の端面22によってブリーダ孔103が塞がれ、ブリーダ孔103および油圧室101と外部との連通が断たれることになる。また、ブレーキキャリパ100のねじ孔102から内側プラグ半部2をある程度緩めると、ねじ孔102の底部とテーパ面21との隙間を介して内側プラグ半部2の各気体通路25とブリーダ孔103とが連通することになる。
【0018】
外側プラグ半部3も金属等により形成されており、レンチ等の工具と係合可能な概ねナット状の外形、すなわち、概ね正六角形の断面形状を有する。また、外側プラグ半部3には、その概ね中心を軸方向に貫通して外部と連通する気体通路31が形成されている。更に、外側プラグ半部3の外面(図1における上面)には、気体通路31と連通する連結部32が設けられている。この連結部32には、ブリーダプラグ1の使用時に、所定の吸引装置からのホース(何れも図示省略)が接続され、車両の走行時、すなわち、ブリーダプラグ1の未使用時には、樹脂等からなるキャップ(図示省略)が被せられる。そして、外側プラグ半部3には、内側プラグ半部2に向けて軸方向に延びるロッド33が所定間隔をおいて複数(本実施形態では、例えば90°おきに4本)固定されている。なお、本実施形態では、ロッド33として円形の断面形状を有するものが採用されているが、ロッド33の断面形状はこれに限られるものではなく、ロッド33は、扁平な断面形状を有するものであってもよい。
【0019】
また、内側プラグ半部2には、軸方向に延びるロッド孔26が所定間隔をおいて複数(本実施形態では、例えば90°おきに4本)形成されている。各ロッド孔26の深さは、外側プラグ半部3の各ロッド33の全長よりも大きく、外側プラグ半部3の各ロッド33は、図1に示されるように、内側プラグ半部2の対応するロッド孔26に挿入される。これにより、外側プラグ半部3は、内側プラグ半部2に対して軸方向に進退移動可能となり、かつ、内側プラグ半部2と一体に回転可能となる。
【0020】
更に、内側プラグ半部2と外側プラグ半部3との間には、伸縮自在な例えば樹脂製のベローズ(連通部材)4が介設されている。ベローズ4は、内側プラグ半部2の図中上面と外側プラグ半部3の図中下面とに固定されており、内側プラグ半部2の気体通路24と外側プラグ半部3の気体通路31とを連通させる。本実施形態において、ベローズ4として、比較的高い剛性を有するものが採用され、外側プラグ半部3は、位置決め手段としてのベローズ4の剛性によって内側プラグ半部2に近接した位置または内側プラグ半部2から離間した位置に位置決めされることになる。
【0021】
上述のように構成されるブリーダプラグ1の未使用時には、外側プラグ半部3は、内側プラグ半部2に近接した状態に維持され、ブレーキキャリパ100に形成された凹部104内に収容される。そして、ブリーダプラグ1を用いて油圧系統中の作動油に含まれる空気等の気体を外部に排出する際には、外側プラグ半部3を引っ張って内側プラグ半部2から離間させ、凹部104の外側に突き出させる。この際、外側プラグ半部3は、ベローズ4の剛性によって内側プラグ半部2から離間した位置、すなわち、凹部104の外側に位置決めされる。この状態で、工具等により外側プラグ半部3を保持して所定方向に回転させると、外側プラグ半部3に加えられた回転トルクは、各ロッド33を介して内側プラグ半部2に伝えられ、その結果、内側プラグ半部2がブレーキキャリパ100のねじ孔102から緩められることになる。
【0022】
そして、内側プラグ半部2がある程度緩められると、ねじ孔102の底部とテーパ面21との隙間を介して内側プラグ半部2の各気体通路25とブリーダ孔103とが連通し、ブレーキキャリパ100の油圧室101は、内側プラグ半部2の気体通路25と連通することになる。これにより、ブリーダプラグ1の連結部32にホースを介して図示されない吸引装置を接続し、当該吸引装置を作動させれば、作動油中の気体を油圧室101、ブリーダ孔103、内側プラグ半部2の気体通路24,25、ベローズ4および外側プラグ半部3の気体通路31を介して外部に排出することが可能となる。
【0023】
一方、作動油中の気体の排出が完了したならば、工具等により外側プラグ半部3を保持して先程とは逆方向に回転させ、それにより、内側プラグ半部2をブレーキキャリパ100のねじ孔102に螺入する。内側プラグ半部2がブレーキキャリパ100のねじ孔102に所定量螺入されると、内側プラグ半部2の端面22によってブリーダ孔103が塞がれ、これにより、ブリーダ孔103および油圧室101と外部との連通が断たれる。そして、油圧室101と外部との連通が断たれた段階で、外側プラグ半部3を押し込んで内側プラグ半部2に近接させ、凹部104内に収容する。この際、外側プラグ半部3は、位置決め手段としてのベローズ4の剛性によって内側プラグ半部2に近接した位置、すなわち、凹部104内に位置決めされる。
【0024】
このように、ブリーダプラグ1は、ブレーキキャリパ100の油圧室101と外部との連通を規制または許容する内側プラグ半部2と、工具等により保持される外側プラグ半部3とに二分されており、外側プラグ半部3は、内側プラグ半部2に対して軸方向に進退移動可能となっている。従って、外側プラグ半部3を引っ張って内側プラグ半部2から離間させ、凹部104から外側に突き出させれば、外側プラグ半部3の周囲に工具等のためのスペースを充分にとることが可能となり、外側プラグ半部3(および内側プラグ半部2)を回転させる際、すなわち、ブリーダプラグ1の使用時の作業性を良好に確保することができる。
【0025】
また、ブレーキキャリパ100に外側プラグ半部3を収容する凹部104を形成しておくことにより、ブリーダプラグ1の未使用時に外側プラグ半部3を押し込んで内側プラグ半部2に近接させれば、外側プラグ半部3がブレーキキャリパ100の表面から外側に突き出ないようにすることができる。これにより、車両走行時すなわちブリーダプラグ1の未使用時の飛び石や寒冷時の着氷等との衝突によるブリーダプラグ1の緩みや損傷といったダメージを確実に抑制することができる。また、外側プラグ半部3を内側プラグ半部2に近接させれば、ブリーダプラグ1の全長すなわち軸方向長さを小さくすることができるので、その分だけ、ブリーダプラグ1を配置するスペースを縮小することが可能となる。この結果、ブリーダプラグ1によれば、使用時の作業性を確保しつつ、未使用時のダメージを抑制し、かつ、省スペース化を図ることが可能となる。
【0026】
〔第2実施形態〕
【0027】
以下、図2から図4を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る流体伝動装置について説明する。なお、上述の第1実施形態に関連して説明されたものと同一の要素には同一の参照符号が付され、重複する説明は省略される。
【0028】
図2に示されるブリーダプラグ1Aでは、内側プラグ半部2Aと外側プラグ半部3との間に、ベローズ4の代わりに、入れ子式伸縮部材(連通部材)5が配置されている。入れ子式伸縮部材5は、外側プラグ半部3の内面(図2における下面)に固定された外管51と、内側プラグ半部2Aの外面(図2における上面)に固定されて外管51の内部に入れ子式かつ回転自在に挿入された内管52と、外管51と内管52との間に配置されたシール材53とを含む。そして、このような入れ子式伸縮部材5によって、内側プラグ半部2Aの気体通路24と外側プラグ半部3の気体通路31とが連通される。
【0029】
また、本実施形態のブリーダプラグ1Aの内側プラグ半部2Aには、図3および図4に示されるように、外側プラグ半部3のロッド33ごとに深孔27と浅孔28とが1個ずつ設けられている。各深孔27は、外側プラグ半部3のロッド33を概ね完全に収容し得る深さを有する一方、各浅孔28の深さは、対応するロッド33がその底部に当接した際に、外側プラグ半部3がブレーキキャリパ100の凹部104から突き出るように定められている。そして、内側プラグ半部2Aには、一対の深孔27と浅孔28とを連続させるガイド溝29が形成されている。
【0030】
上述のように構成されるブリーダプラグ1Aの未使用時には、図4において実線で示されるように、外側プラグ半部3の各ロッド33が対応する深孔27内に挿入され、これにより、外側プラグ半部3は、内側プラグ半部2Aに近接して凹部104内に収容される。この際、外側プラグ半部3は、外管51と内管52との間の摩擦力によって内側プラグ半部2Aに近接した位置、すなわち、凹部104内に位置決めされる。これにより、車両走行時の飛び石や寒冷時の着氷等との衝突によるブリーダプラグ1の緩みや損傷といったダメージを確実に抑制すると共に、ブリーダプラグ1の全長すなわち軸方向長さを小さくして、その配置スペースを縮小することが可能となる。
【0031】
これに対して、ブリーダプラグ1Aを用いて油圧系統中の作動油に含まれる空気等の気体を外部に排出する際、すなわち、ブリーダプラグ1Aの使用時には、外側プラグ半部3を引っ張って内側プラグ半部2Aから離間させ、各ロッド33を深孔27からガイド溝29を介して浅孔28に挿入する。これにより、各ロッド33は対応する浅孔28の底部に当接し、外側プラグ半部3はブレーキキャリパ100の凹部104から外側に突き出ることになる。従って、外側プラグ半部3の周囲に工具等のためのスペースを充分にとることが可能となり、外側プラグ半部3(および内側プラグ半部2)を回転させる際、すなわち、ブリーダプラグ1Aの使用時の作業性を良好に確保することができる。
【0032】
そして、工具等により外側プラグ半部3を保持して所定方向に回転させると、外側プラグ半部3に加えられた回転トルクは、各ロッド33を介して内側プラグ半部2Aに伝えられ、その結果、内側プラグ半部2Aがブレーキキャリパ100のねじ孔102から緩められることになる。この際、外側プラグ半部3の各ロッド33は、対応する浅孔28の底部によって支持されることから、外側プラグ半部3が内側プラグ半部2Aに向けて押し込まれてしまうことを確実に抑制することができる。従って、本実施形態のブリーダプラグ1Aによれば、内側プラグ半部2Aをブレーキキャリパ100のねじ孔102から緩める際の作業性を極めて良好に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるブレーキ用ブリーダプラグの第1実施形態を示す部分断面図である。
【図2】本発明によるブレーキ用ブリーダプラグの第2実施形態を示す部分断面図である。
【図3】図2のブレーキ用ブリーダプラグに含まれる内側プラグ半部の上面図である。
【図4】図2のブレーキ用ブリーダプラグの要部拡大部分断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1,1A ブリーダプラグ、2,2A 内側プラグ半部、3 外側プラグ半部、4 ベローズ、5 入れ子式伸縮部材、21 テーパ面、22 端面、23 雄ねじ溝、24,25,31 気体通路、26 ロッド孔、27 深孔、28 浅孔、29 ガイド溝、32 連結部、33 ロッド、51 外管、52 内管、53 シール材、100 ブレーキキャリパ、101 油圧室、102 ねじ孔、103 ブリーダ孔、104 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキキャリパの液圧室を介して作動液中の気体を外部に排出するためのブレーキ用ブリーダプラグにおいて、
前記ブレーキキャリパと螺合可能であり、前記ブレーキキャリパに螺入された際に前記液圧室と外部との連通を阻止すると共に、前記ブレーキキャリパから緩められた際に前記液圧室と連通する気体通路を有する内側プラグ半部と、
前記内側プラグ半部に対して軸方向に進退移動可能であると共に前記内側プラグ半部と一体に回転可能であり、外部と連通する気体通路を有する外側プラグ半部と、
前記内側プラグ半部と前記外側プラグ半部との間に介設されており、前記内側プラグ半部の気体通路と前記外側プラグ半部の気体通路とを連通させる伸縮自在な連通部材とを備えることを特徴とするブレーキ用ブリーダプラグ。
【請求項2】
前記液圧室を介して作動液中の気体を外部に排出する際に、前記外側プラグ半部を前記内側プラグ半部から離間した位置に位置決めする位置決め手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ用ブリーダプラグ。
【請求項3】
前記外側プラグ半部は、前記内側プラグ半部に向けて延びる複数のロッドを有しており、前記内側プラグ半部には、前記ロッドごとに深孔と浅孔とが1個ずつ設けられていることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ用ブリーダプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−131159(P2006−131159A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324253(P2004−324253)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】