説明

ブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造

【課題】構成部品を増やすことなく、特別なスペースを設けずにブレーキ装置のブリーザーの開口部からの油漏れを抑制する。
【解決手段】収容室18内には回転軸15,16に一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられたロータ24,25と、外周面に複数の突部35が設けられ、かつロータ24,25と隣接した状態で、ハウジング12に設けられた溝36に係合して軸方向に移動可能かつ回転不能に設けられたステータ26〜28が収容されている。ステータ26〜28は、ピストン部29の作用によりロータに圧接される制動位置に移動される。ハウジング12にはピストン部29の外周と対応する位置にブリーザー33が設けられ、ピストン部29と対向するステータ26には、ブリーザー33と対応する部分にリブ39が設けられ、リブ39が設けられた部分のステータ26と収容室18の内面との隙間Δ1が他の部分と収容室18の内面との隙間Δ2より狭くなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造に係り、詳しくは回転軸に一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられたロータを、ロータに圧接されてロータに制動力を加えるステータにより回転軸を制動するブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
回転軸と一体に回転する歯車、湿式ブレーキディスク等の回転体を、その一部が潤滑油に浸漬する状態で収容する収容室を有するハウジングでは、温度変化に伴う内圧の変化を抑制するため、ブリーザー構造が設けられる。このように潤滑油に浸漬された状態で回転体が回転すると、回転体の回転に伴って潤滑油が飛散する。そして、近くにブリーザーの開口部が存在すると、飛散した潤滑油がブリーザーの開口部に付着したり、開口部を通過する空気とともに外部に排出されたりして、潤滑油が短期間で不足する状態になる。
【0003】
回転軸と一体回転するロータに圧接されて、ロータに制動力を加えるステータ(ブレーキディスク)により回転軸を制動する湿式のブレーキ装置において、軸方向に移動するピストンでステータを制動位置に移動させる構成を採用した場合、ブリーザーは、回転しないピストンの外周と対応する位置に設けられる。しかし、ピストンはステータを挟んでロータと対応する位置に配置されるため、ロータが回転軸と共に高速回転した場合、飛散した潤滑油がロータとピストンとの間に存在するステータとハウジングとの隙間を通って、ピストンの外周と対応する位置へと移動する状態になる。そして、飛散した潤滑油の一部がブリーザーの開口部に付着したり、開口部を通過する空気とともに外部に排出されたりして、潤滑油が短期間で不足する状態になる。
【0004】
ブリーザーからの油漏れを防止する機構として、従来、自動車のトランスミッションのケーシングにシフトレールの軸端部をスライド自在に支持する袋状穴を設け、この袋状穴に自動車のトランスミッション内部の空気圧を調整するオイルブリーザーを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、ブリーザー開口部の直下に開閉弁を設け、必要時以外は開閉弁でブリーザー開口部を塞ぐことによって、オイルがブリーザー開口部に吹きかかったり、ブリーザー開口部から排出されたりするのを防止する構造もある。
【0006】
また、差動装置を備えた最終減速装置において、コストアップを抑え、差動装置の回転数が増加しても外部へのオイル持ち出しを防止することができるブリーザー構造が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2では、図4に示すように、ハウジング61の内周面に、差動装置62に向かって延びる複数個のオイル止めリブ61g,61h,61j,61kを設けて、差動装置62で掻き上げたオイルがブリーザー室63に向かうことを阻止するようにし、かつ隣り合うオイル止めリブ61g,61h,61j,61k同士の間隔を不揃いにしている。
【特許文献1】実開平5−76844号公報
【特許文献2】特開2001−74127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の構成では、袋状穴(空洞スペース)を設ける必要があるため、レイアウト上の制約がある場合は採用できないケースが多い。
また、開閉弁を設ける構成では、ブリーザー開口部の直下に、開閉弁を設けるための十分なスペースを必要とし、レイアウト上の制約がある場合は採用できない。その上、構成部品が多くなり、構造が複雑になるという問題もある。
【0008】
また、特許文献2の構成では、ハウジング61の内周面に、差動装置62に向かって延びる複数個のオイル止めリブ61g,61h,61j,61kを設けて、差動装置62で掻き上げたオイルがブリーザー室63に向かうことを阻止するようにしている。しかし、特許文献2の構成は、オイルの軸方向への流れを防ぐものではなく、軸方向への流れを阻止することは想定していない。
【0009】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は構成部品を増やすことなく、特別なスペースを設けずにブレーキ装置のブリーザーの開口部からの油漏れを抑制することができるブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ハウジングに設けられるとともに潤滑油が貯留された収容室内に、回転軸に一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられたロータと、前記ロータに隣接した状態で設けられ、かつ外周面に設けられた複数の突部が前記ハウジングの内面に設けられた溝に係合することにより軸方向に移動可能かつハウジングに対して回転不能に設けられ、前記ロータに圧接されてロータに制動力を加えるステータと、前記ステータを前記ロータに圧接させる制動位置に移動させるピストン部とが設けられたブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造である。そして、前記ハウジングには、前記収容室の前記ピストン部の外周と対応する位置にブリーザーが設けられ、前記ピストン部と対向する前記ステータには、前記ブリーザーと対応する部分にリブが設けられ、前記リブが設けられた部分のステータと前記収容室の内面との隙間が他の部分と前記収容室の内面との隙間より狭くなるように構成されている。
【0011】
この発明では、ロータに隣接した状態で設けられ、ピストン部の作用によりロータに圧接されてロータに制動力を加えるステータは、外周面に設けられた複数の突部がハウジングの内面に設けられた溝に係合することにより軸方向に移動可能かつハウジングに対して回転不能に設けられている。そして、ピストン部と対向するステータには、ブリーザーと対応する部分にリブが設けられ、リブが設けられた部分のステータと収容室の内面との隙間が他の部分と収容室の内面との隙間より狭くなるように構成されている。したがって、構成部品を増やすことなく、特別なスペースを設けずにブレーキ装置のブリーザーの開口部からの油漏れを抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記リブは、前記ステータの前記ブリーザーと対応する部分を挟む位置に設けられた2個の突部の間と前記ハウジングの内面との距離が短くなるように、その部分を膨出させた形状に形成されている。この発明では、ハウジングの形状を変更する必要が無く、ステータの一部の形状を変更するだけで、リブが設けられた部分のステータと収容室の内面との隙間が他の部分と収容室の内面との隙間より狭くなるようにすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記リブは、前記ステータの前記ブリーザーと対応する部分を挟む位置に設けられた2個の突部の間を埋めるように膨出させた形状に形成されており、前記ハウジングの内面は、前記2個の突部と対向する前記溝の間の部分が切り欠かれて2個の溝に代えて1個の大きな溝を有する形状に形成されている。この発明では、ハウジングの一部の形状も変更する必要があるが、隙間の合計面積をより小さくすることができ、ブリーザーの開口部からの油漏れをより抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、構成部品を増やすことなく、特別なスペースを設けずにブレーキ装置のブリーザーの開口部からの油漏れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を、左右の駆動輪駆動用の2つのモータを備えた駆動装置において、両モータの回転軸を同時に制動するようにしたブレーキ装置に具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
【0016】
図1(a)に示すように、駆動装置11のハウジング12には第1モータ13及び第2モータ14が、その回転軸15,16が同軸上に位置するように設けられている。ハウジング12は、ほぼ中央で2分割されるとともにボルト17により締結されている。ハウジング12のほぼ中央には収容室18が隔壁19により区画された状態で設けられている。両回転軸15,16は、第1端部が収容室18内に突出する状態で、軸受け20を介してハウジング12に回転可能に支持されている。回転軸15,16の第2端部には駆動輪の車軸に回転軸15,16の回転を伝達する図示しないギヤ機構のギヤが嵌合されている。収容室18内には潤滑油が貯留されている。潤滑油の貯留量は回転軸15,16のほぼ中心位置までになっている。
【0017】
隔壁19には回転軸15,16が挿通される孔が形成されるとともに、孔の周縁の収容室18側の面には環状凹部が形成されている。軸受け20は、外輪が前記環状凹部に係合した状態で、環状の支持部材21を介してボルト22により所定の位置に固定されている。支持部材21と回転軸15,16との間にはシール部材23が設けられている。
【0018】
収容室18内には、回転軸15,16に一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられたロータ24,25と、ロータ24,25に隣接した状態で設けられたステータ(ブレーキディスク)26,27,28と、ステータ26,27,28をロータ24,25に圧接させる制動位置に移動可能させるピストン部29とが収容されている。ロータ24,25及びステータ26,27,28は交互に配置された状態で、収容室18の第2モータ14側寄りに設けられている。
【0019】
ピストン部29は、特開2000−289588号公報に開示されたブレーキ装置のカムリングと固定リングとを備えた操作機構と同様に構成され、カムリング30及びカムリング30と対向して配設された固定リング31とを備え、両者の対向面に形成されたカム溝30a,31a間に鋼球32が挟持されている。カムリング30及びカムリング30は、外周面に所定間隔で複数の突部30b,31bが形成され、突部30b,31bがハウジング12の内周面と係合する状態に配置されている。そして、図示しない操作部によりカムリング30が所定方向に回動されると、カムリング30と固定リング31との間隔が拡がり、カムリング30がステータ26を収容室18の第2モータ14側寄りに押圧するようになっている。ハウジング12の上部には、収容室18のピストン部29の外周と対応する位置にブリーザー33が設けられている。
【0020】
第1モータ13の回転軸15は、固定リング31、カムリング30及びステータ26を貫通する状態で収容室18内へ突出し、その第1端部にロータ24がスプライン嵌合により回転軸15と一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられている。第2モータ14の回転軸16は、ステータ28を貫通する状態で収容室18内へ突出し、その第1端部にロータ25がスプライン嵌合により回転軸16と一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられている。
【0021】
図1(b)に示すように、ステータ26〜28は、ロータ24,25とほぼ同じ大きさの環状部34の外周面に設けられた複数の突部35がハウジング12の内面に設けられた溝36に係合することにより軸方向に移動可能かつハウジング12に対して回転不能に設けられている。この実施形態では突部35及び溝36は8個ずつ、等間隔で設けられている。なお、ステータ26〜28の環状部34にはロータ24,25と対向する位置に図示しない摩擦部材が貼付されている。
【0022】
両ロータ24,25に挟まれたステータ27の一つ置きに設けられた突部35には、図1(a)に示すように、スプリングピン37が突部35の両側に突出する状態で嵌合固定されている。スプリングピン37のロータ24側の突出部には、ステータ27と共同してロータ24を挟持することによりロータ24に制動力を加えるステータ26を、ロータ24から離間する側に付勢するリターンスプリング38が、スプリングピン37にガイドされる状態で配置されている。スプリングピン37のロータ25側の突出部には、ステータ27と共同してロータ25を挟持することによりロータ25に制動力を加えるステータ28を、ロータ25から離間する側に付勢するリターンスプリング38が、スプリングピン37にガイドされる状態で配置されている。
【0023】
図1(b)に示すように、ピストン部29と対向するステータ26には、ブリーザー33と対応する部分にリブ39が設けられ、リブ39が設けられた部分のステータ26と収容室18の内面との隙間Δ1が他の部分と収容室18の内面との隙間Δ2より狭くなるように構成されている。詳述すると、ハウジング12の内面は、収容室18のステータ26〜28の環状部34と対応する部分が、環状部34の外周面と所定の間隔、即ち隙間Δ2を有する形状に膨出形成されている。そして、ステータ26のブリーザー33と対応する部分を挟む2個の突部35の間にリブ39が形成されて、その部分と収容室18の内面との隙間Δ1が他の部分の隙間Δ2より狭くなるように構成されている。
【0024】
次に前記のように構成されたブレーキ装置の作用を説明する。駆動輪を駆動するため第1モータ13及び第2モータ14が駆動されると、回転軸15,16が回転されて、ロータ24,25が回転軸15,16と一体に回転される。ブレーキ装置の非作動状態においては、ピストン部29のカムリング30はステータ26を押圧しない待機位置に保持される。そして、ステータ26,28は、リターンスプリング38の作用により、ロータ24,25を押圧しない位置、即ち非制動位置に保持される。
【0025】
回転軸15,16を制動させる場合は、図示しない操作機構によりカムリング30が所定の方向(カム溝の浅い部分が鋼球32と接触する状態になる方向)に回動され、カムリング30が固定リング31から離れる方向、即ちカムリング30がステータ26をロータ24側に押圧する方向に移動される。そして、ロータ24がステータ26,27に押圧挟持され、ロータ25がステータ27,28に押圧挟持された状態になり、ロータ24,25にステータ26〜28の制動力が作用する状態となり、ロータ24,25を介して回転軸15,16が制動される。
【0026】
ロータ24,25が回転すると、収容室18内に貯留されている潤滑油が攪拌される。収容室18内の潤滑油は、ロータ24,25の回転速度が低い状態ではロータ24,25の外周にまとわり付いた状態でロータ24,25と連れ回りするだけであるが、ロータ24,25が高速回転になるにつれて、潤滑油の一部が跳ね上げられて飛散する。ブリーザー33がピストン部29の外周上方に存在するため、収容室18のロータ24,25が収容されている部分の上部にはピストン部29の上方に向かう気流が存在し、飛散した潤滑油の一部はその気流の作用によって、ブリーザー33の開口部に向かおうとする。ブリーザー33と対応する部分におけるステータ26の環状部34の外周面と収容室18の内面との隙間Δ1の大きさが、他の部分における環状部34の外周面と収容室18の内面との隙間Δ2と同じ場合は、飛散した潤滑油の一部が隙間Δ1からハウジング12のピストン部29と対応する位置へ移動する。そして、ブリーザー33の開口部周縁に付着したり、ブリーザー33から空気とともに外部に排出されたりして、潤滑油が短期間で不足する状態になる。しかし、この実施形態では、リブ39が設けられていることにより、ブリーザー33と対応する部分における隙間Δ1の大きさが、他の部分における隙間Δ2より小さく(狭く)形成されているため、飛散した潤滑油の一部が隙間Δ1からピストン部29と対応する位置へ移動し難くなる。
【0027】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ハウジング12に設けられ潤滑油が貯留された収容室18内に、回転軸15,16に一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられたロータ24,25と、ロータ24,25に隣接した状態で設けられたステータ26〜28と、ステータ26〜28をロータ24,25に圧接させる制動位置に移動させるピストン部29とが設けられている。ハウジング12には、収容室18のピストン部29の外周と対応する位置にブリーザー33が設けられ、ピストン部29と対向するステータ26には、ブリーザー33と対応する部分にリブ39が設けられている。リブ39が設けられた部分のステータ26と収容室18の内面との隙間Δ1が、他の部分と収容室18の内面との隙間Δ2より狭くなるように構成されている。したがって、構成部品を増やすことなく、特別なスペースを設けずにブレーキ装置のブリーザー33の開口部からの油漏れを抑制することができる。その結果、潤滑油が短期間で不足する状態になることが防止される。また、従来のブレーキ装置の構成部品であるステータ26の一部にリブ39を設けた構成のため、組み付け性を悪化させることなく、ブリーザー33からの油漏れ防止構造を実現することができる。
【0028】
(2)リブ39は、ステータ26のブリーザー33と対応する部分を挟む位置に設けられた2個の突部35の間とハウジング12内面(収容室18の内面)との距離が短くなるように、その部分を膨出させた形状に形成されている。したがって、ハウジング12の形状を変更する必要が無く、ステータ26の一部の形状を変更するだけで、リブ39が設けられた部分のステータ26と収容室18の内面との隙間Δ1が他の部分と収容室18の内面との隙間Δ2より狭くなるようにすることができる。
【0029】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ ハウジング12の形状を変更せずに、ステータ26のブリーザー33と対応する部分を挟む位置に設けられた2個の突部35の間にリブ39を設ける構成に代えて、ハウジング12及びステータ26の両方の形状を変更する構成としてもよい。例えば、図3に示すように、ステータ26のブリーザー33と対応する部分を挟む位置に設けられた2個の突部35の間を全て埋めるように膨出させた形状に形成されたリブ40を設け、ハウジング12の内面は、2個の突部35と対向する溝36の間の部分が切り欠かれて2個の溝36に代えて1個の大きな溝41を有する形状に形成する。即ち、溝41は、2個の溝36の底部を1個の円弧面で連結した形状に形成されている。この場合、ハウジング12の一部の形状(リブ40と対向する部分の形状)も変更する必要があるが、隙間Δ1の大きさが前記実施形態の場合と同じでも、隙間Δ1の長さが短くなるため、隙間Δ1の合計面積を小さくすることができ、ブリーザー33の開口部からの油漏れをより抑制することができる。また、隙間Δ1の大きさを小さくすることが前記実施形態の場合に比較して容易になる。
【0030】
○ ピストン部29は、カムリング30及び固定リング31の対向面に形成されたカム溝30a,31a内に存在する鋼球32の作用によりカムリング30が移動される構成に限らない。例えば、油圧の作用により軸方向に移動されるピストンを設け、そのピストンによりステータ26を押圧する構成にしてもよい。
【0031】
○ 2つの回転軸15,16に対して同時に制動を行うブレーキ装置に限らず、1つの回転軸に対して制動を行うブレーキ装置に適用してもよい。例えば、図1(a)において、第2モータ14及び第2モータ14に対応して設けられた部品を省略し、ハウジング12の第2モータ14側の部分をカバー部に変更する。
【0032】
○ ブリーザー33を設ける位置は、ハウジング12のピストン部29の外周と対応する位置で、貯留された潤滑油との間に空間が存在する箇所であればよく、貯留された潤滑油との距離が最大の位置に限らない。
【0033】
○ 回転軸はモータの回転軸に限らず、例えば、エンジンで駆動される回転軸や、モータで駆動される回転軸であってもよい。
○ 回転軸と一体回転可能に設けられるロータの数は、1本の回転軸につき1個に限らず、1本の回転軸の第1端部に複数個のロータが一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられ、各ロータと隣接するようにステータが設けられた構成としてもよい。
【0034】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記収容室には、2本の回転軸の端部が同軸上に対向する状態で突出する状態で配置され、前記ロータは各回転軸にそれぞれ少なくとも1個設けられ、前記ステータは、前記ロータを挟むように複数配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は(b)のA−A線における模式断面図、(b)は(a)のB−B線における模式断面図。
【図2】図1(a)の部分拡大図。
【図3】別の実施形態の部分模式断面図。
【図4】従来技術の断面図。
【符号の説明】
【0036】
Δ1,Δ2…隙間、12…ハウジング、15,16…回転軸、18…収容室、24,25…ロータ、26,27,28…ステータ、29…ピストン部、33…ブリーザー、35…突部、36,41…溝、39,40…リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに設けられるとともに潤滑油が貯留された収容室内に、回転軸に一体回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられたロータと、前記ロータに隣接した状態で設けられ、かつ外周面に設けられた複数の突部が前記ハウジングの内面に設けられた溝に係合することにより軸方向に移動可能かつハウジングに対して回転不能に設けられ、前記ロータに圧接されてロータに制動力を加えるステータと、前記ステータを前記ロータに圧接させる制動位置に移動させるピストン部とが設けられたブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造であって、
前記ハウジングには、前記収容室の前記ピストン部の外周と対応する位置にブリーザーが設けられ、前記ピストン部と対向する前記ステータには、前記ブリーザーと対応する部分にリブが設けられ、前記リブが設けられた部分のステータと前記収容室の内面との隙間が他の部分と前記収容室の内面との隙間より狭くなるように構成されていることを特徴とするブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造。
【請求項2】
前記リブは、前記ステータの前記ブリーザーと対応する部分を挟む位置に設けられた2個の突部の間と前記ハウジングの内面との距離が短くなるように、その部分を膨出させた形状に形成されている請求項1に記載のブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造。
【請求項3】
前記リブは、前記ステータの前記ブリーザーと対応する部分を挟む位置に設けられた2個の突部の間を埋めるように膨出させた形状に形成されており、前記ハウジングの内面には、前記2個の突部と対向する前記溝の間の部分が切り欠かれて2個の溝に代えて1個の大きな溝を有する形状に形成されている請求項1に記載のブレーキ装置におけるブリーザー油漏れ防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−190452(P2009−190452A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30532(P2008−30532)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】