説明

ブロックコポリマー、粘着剤、シルセスキオキサンワックス及び/又は樹脂を含有する化粧品組成物

【課題】良好な色の耐久力、良好な輝きの耐久力、及び良好な耐移り性を提供する化粧品組成物が必要とされている。
【解決手段】a)ブロックコポリマー、b)粘着剤、c)アルキルシルセスキオキサン及び/又はアルキルシルセスキオキサン樹脂、d)液体脂肪相、並びにe)任意に着色剤を含有する組成物をケラチン基質に提供することを含む、ケラチン基質のメークアップ方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年1月12日に出願の米国仮特許出願第60/880,276号、及び2007年1月12日に出願の米国仮特許出願第60/880,283号の優先権の利益を享受する。本発明は、ケラチン基質のメークアップ方法及び化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者のケラチン表面をメークアップするために使用する化粧品組成物は、殆ど又は全く移らない色を与えることが可能であることを必要とされる。それらは、さらに良好な耐久力も提供する必要がある。唇用の化粧品組成物の場合は、多数の消費者が良好な耐久力を伴った色及び輝きを求めている。従来、消費者は、耐久力と輝きとの間で選択しなければならなかった。良好な耐久力及び耐移り性を有する唇用組成物は、揮発性溶媒を一般的に必要とし、殆ど又は全く輝きを示さないが、輝きを有する口紅は、乏しい耐久力及び耐移り性を一般的に示す。そのため、良好な色の耐久力、良好な輝きの耐久力、及び良好な耐移り性を提供する化粧品組成物が必要とされている。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/880,276号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/880,283号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第一の態様は、a)ブロックコポリマー、b)粘着剤、c)アルキルシルセスキオキサンワックス及び/又はアルキルシルセスキオキサン樹脂、d)液体脂肪相、並びにe)任意に着色剤を含有する組成物をケラチン基質に適用することを含む、ケラチン基質のメークアップ方法に関する。
【0004】
本発明の第二の態様は、a)ブロックコポリマー、b)粘着剤、c)アルキルシルセスキオキサンワックス及び/又はアルキルシルセスキオキサン樹脂、d)液体脂肪相、及びe)任意に着色剤を含む化粧品組成物に関する。
【0005】
驚くべきことに、上述の化粧品組成物の使用が、輝度を維持しながら、改善された耐移り性および色の耐久力を提供することを発見した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施例以外において又は他に示さない限り、成分の量及び/又は反応条件を表わす全ての数字は、用語「約」によって全て修飾されていると理解されるべきである。
【0007】
ブロックコポリマー
本発明のブロックコポリマーは、少なくとも1つの「硬質」のセグメントと少なくとも1つの「軟質」のセグメントとの存在によって特徴付けられる。それらの組成物の性質は別として、本発明のブロックコポリマーの硬質セグメント及び軟質セグメントは、それらの各々のガラス転移温度「T」の観点から規定される。とりわけ、硬質セグメントは50℃以上のTを有するが、軟質セグメントは20℃以下のTを有する。硬質ブロックのガラス転移温度Tは、50℃から150℃;60℃から125℃;70℃から120℃;80℃から110℃の範囲であって良い。ブロックコポリマーの軟質セグメントについてのガラス転移温度Tは、20℃から−150℃;0℃から−135℃;−10℃から−125℃;−25℃から−100℃の範囲であって良い。更に詳細な説明は、参照によってその全体を本明細書に取り込む米国特許第5,294,438号及び第6,403,070号において認められる。
【0008】
本発明に使用して良いブロックコポリマーの一種は、熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーの硬質セグメントは、典型的には、各種の量でビニルモノマーを含む。適切なビニルモノマーの例は、スチレン、メタクリレート、アクリレート、ビニルエステル、ビニルエーテル、及びビニルアセテートなどを含むが、それらに限らない。
【0009】
熱可塑性エラストマーの軟質セグメントは、オレフィンポリマー及び/又は飽和、不飽和、若しくはそれらの組み合わせであって良いコポリマーを含む。適切なオレフィンコポリマーは、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブチレンコポリマー、プロピレン/ブチレンコポリマー、ポリブチレン、ポリイソプレン、水素化ブタン及びイソプレンのポリマー、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0010】
本発明に有用な熱可塑性エラストマーは、ブロックコポリマー、例えば、ジブロック、トリブロック、マルチブロックのブロックコポリマー、ラジカル及び星型ブロックコポリマー、並びにそれらの混合物及び配合物である。ジブロック熱可塑性エラストマーは、通常、A−Bタイプ又は順番に硬質セグメント(A)に続いて軟質セグメント(B)であるものとして規定される。トリブロックは、通常、A−B−Aタイプコポリマー又は1つの硬質セグメント、1つの軟質セグメント、及び1つの硬質セグメントの比であるものとして規定される。マルチ-ブロック又はラジカルブロック又は星型ブロックの熱可塑性エラストマーは、通常は、硬質及び軟質セグメントの任意の組合せを含むが、そのエラストマーは硬質及び軟質の双方の特徴を有する。
【0011】
いくつかの実施態様では、本発明の熱可塑性エラストマーは、Kraton(クレイトン)TMゴムのクラス(Shell Chemical Company(シェルケミカル社))又は類似の熱可塑性エラストマーから選択され得る。KratonTMゴムは、ポリマー鎖がジブロック、トリブロック、マルチブロック、又はラジカル又は星型ブロック構造、又はそれらの多くの混合体を含む熱可塑性エラストマーである。KratonTMトリブロックゴムはゴム(軟質)セグメントの各末端にポリスチレン(硬質)セグメントを有するが、KratonTMジブロックゴムはゴム(軟質)セグメントに結合したポリスチレン(硬質)セグメントを有する。KratonTMラジカル又は星型構造は、ゴムセグメントの各末端にポリスチレンセグメントが結合したゴムからなる4点又は他の複数点の星型でありうる。各KratonTMゴムの構造は、分離したポリスチレン及びゴムのドメインを形成する。
【0012】
KratonTMゴムの各分子は、スチレンモノマー単位とゴムモノマー及び/又はコモノマー単位のブロックセグメントを含むと言われている。KratonTMトリブロックコポリマーの最も一般的な構造は、直線状A-B-Aブロック型で、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン、又はスチレン−エチレンブチレン−スチレンである。KratonTMジブロックは、好ましくはABブロック型、例えばスチレン−エチレンプロピレン、スチレン−エチレンブチレン、スチレン−ブタジエン、又はスチレン−イソプレンである。KratonTMゴム構造は当該分野でよく知られており、類似した構造を有する任意のブロックコポリマーエラストマーが、本発明の実施の範囲内である。他のブロックコポリマーは、商品名Septon(セプトン)(Kurary, Co., Ltd(クラリー社)から販売されているSEEPSとして知られているエラストマーを表す)として販売されており、また商品名Vector(ベクター)TMとしてExxon Dow(エクソン・ダウ)社から販売されているものがある。
【0013】
本発明で有用な他の熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブチレン/エチレン−スチレンのコポリマー(トリブロック)、エチレン/プロピレン−スチレンのコポリマー(ラジカル又は星型ブロック)、又は2つの混合物もしくは配合物を含むブロックコポリマーエラストマーが含まれる。(あるメーカーでは、ブロックコポリマーを、水素化ブロックコポリマー、例えば水素化スチレン−ブチレン/エチレン−スチレンのコポリマー(トリ−ブロック)と呼ぶ)。
【0014】
ブロック(コ)ポリマーの量並びにそれらの構造(ジブロック、トリブロックなど)は、脆いものから、柔らかい/流動性のもの、固いものまでの範囲であって良いゲル化形態を含む熱可塑性エラストマーの性質に影響を与える。例えば、軟質のゲルは、比較的多量の軟質のセグメントを含有し、硬質のゲルは比較的多量の硬質のセグメントを含有する。全体的な組成物の性質は、2つ以上のその様なブロックコポリマーを含むこと、例えば、コポリマーの混合物を含むことによって影響を受けてもよい。例えば、トリブロックコポリマーの存在は、形成される皮膜の完全性を促進する。前記ゲルは、上述のような添加される他の化粧品として許容される成分に依存して透明、半透明、又は不透明であっても良い。
【0015】
前記ブロックコポリマーのスチレン含有量は、ブロックコポリマーの質量に基づいて30質量%未満、好ましくは25質量%未満、更に好ましくは20質量%未満である。30質量%を超えるスチレン含有量のブロックコポリマーが従来の担体系において硬化又はゲル化する傾向があるからである。しかしながら、30質量%を超えるスチレン含有量のブロックコポリマーを使用する場合には、化粧品組成物中でスチレン含有エラストマーの硬化/ゲル化を調節するために効果的な量において、スチレンブロックを溶解し得る共溶媒又は機能性成分を利用する必要もある可能性がある。
【0016】
本発明に使用するための特に好ましいブロックコポリマーは、Kraton G1675Mの名称でShell Chemical Company社から市販されているスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのジブロック及びトリブロックコポリマーの組み合わせである。しかしながら、少なくとも1つの軟質セグメント及び少なくとも1つの硬質セグメントを有するブロックコポリマーの任意の熱可塑性エラストマーは、本発明の精神を逸脱すること無く使用してよい。
【0017】
前記ブロックコポリマーは、一般的には、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく20質量%までの範囲の量で化粧品組成物に存在する。
【0018】
粘着剤
物質をブロックコポリマーに添加すると結果として得られた組成物が粘着性を有する場合に、その物質は粘着剤と記載される。一般的には、粘着剤は、それらの化学的性質の観点から4つの異なる群:炭化水素樹脂、テルペン、アモルファス(すなわち、非結晶)ロジン、ロジンエステル、及びそれらの誘導体、並びに純粋なモノマー樹脂に分類され得る。これら粘着剤は、ブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントとの適合性によって特徴付けられる。用語「適合性」は、ブロックコポリマーと粘着剤とを混合する際に、ブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントと粘着剤との組み合わせが、DMA、DSC、又は中性子光散乱法によって測定され得る単一のガラス転移温度Tを有するポリマー配合物を形成する。
【0019】
ブロックコポリマー及び粘着剤の適合性は、溶解度パラメーターの観点から規定されても良い。ハンセン溶解度スペースによる溶解度パラメーターδは、
δ=(d+d+d1/2
[式中、
− dは、分子衝突の間に誘導される双極子の形成に由来するロンドン分散力を表わす、
− dは、永久双極子の間のデバイ相互作用力を表わす、
− dは、特異的な相互作用力(水素結合、酸/塩基、又はドナー/アクセプタータイプなど)を表わす]
という関係によって、参照によってその全体を本明細書に組み込む「Polymer Handbook」3rd edition,Chapter VII, pages 519−559のEric A. Grulkeによる「Solubility Parameter Values」に規定されている。ハンセンによる三次元溶解度スペースにおける溶媒の規定は、参照によってその全体を本願明細書に組み込むC.M.Hansen:「The three−dimensional solubility parameters」J.Paint Technol.,39,105(1967)に挙げられている。
【0020】
本発明に使用する少なくとも1つの粘着剤は、δに相当する溶解度パラメーターを有するであろう。そして、前記ブロックコポリマーは、溶解度パラメーターがδ±2、好ましくはδ±1.7、より好ましくはδ±1.5、より好ましくはδ±1.3、より好ましくはδ±1.0、より好ましくはδ±0.7、より好ましくはδ±0.5、より好ましくはδ±0.3である少なくとも1つのセグメントを有するであろう。
【0021】
適切な粘着剤の例は、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族修飾脂肪族炭化水素樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ガムロジン、ガムロジンエステル、ウッドロジン、ウッドロジンエステル、トールオイルロジン、トールオイルロジンエステル、ポリテルペン、芳香族修飾ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族修飾水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂、水素化テルペン、及び修飾テルペン、水素化ロジン酸、水素化ロジンエステル、ポリイソプレン、部分的又は完全に水素化されたポリイソプレン、ポリブテンジエン、部分的又は完全に水素化されたポリブテンジエンなどを含むが、それらに限らない。参照する例の幾つかによって実証されているように、粘着剤は、完全又は部分的に水素化されて良い。粘着剤は非極性であっても良い(非極性は、粘着剤が極性基を有するモノマーを実質的に含まないことを意味する。好ましくは極性基は存在しないが、存在する場合は、好ましくは約5質量%まで、好ましくは約2質量%まで、さらに好ましくは約0.5質量%までの量で存在する。)。
【0022】
ある実施態様では、粘着剤は、80から150℃の軟化点(ASTM E−28によって測定されるような環球軟化点)、好ましくは100から130℃の軟化点を有して良い。他の実施態様では、粘着剤は液体であって良く、約−70から70℃の間の環球軟化点を有して良い。
【0023】
ある実施態様では、粘着剤は、水素化炭化水素樹脂、例えば水素化スチレン/メチルスチレン/インデンコポリマー、例えば、スチレン/メチルスチレン/インデンコポリマー(Regalite(登録商標)という商品名でEastman Chemical社から市販されているR1090、R1100、R7100、S1100、及びS5100を含む)である。他の実施態様では、脂肪族又は芳香族の炭化水素系粘着樹脂、例えばHercules社製の「Piccotac(登録商標)」及び「Hercotac(登録商標)」又はExxon(登録商標)社製の「Escorez(登録商標)」という名称で市販されている樹脂が使用されても良い。粘着剤の混合物が、本発明の精神を逸脱すること無く利用されても良いことが理解されるべきである。
【0024】
本発明において使用するために特に好ましい粘着剤は、例えば、水素化スチレン/メチルスチレン/インデンコポリマー、Regalite(登録商標)R1100という商品名でEastman社から市販されているものである。
【0025】
粘着剤は、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく40質量%までの範囲の量で本発明の化粧品組成物に存在する。
【0026】
アルキルシルセスキオキサンワックス
本発明の化粧品組成物は、アルキルシルセスキオキサンワックスも含有する。本発明において使用するためのアルキルシルセスキオキサンワックスは、参照によってその全体を本明細書に取り込むWO2005/100444に開示されている。この特定種の樹脂ワックスは、修飾されてポリマー内に少なくとも2つの異なる炭化水素基を含有するアルキルシルセスキオキサン樹脂に由来する。第一の炭化水素基は、1から8の炭素原子を有し、第2の炭化水素基は、9から40の炭素原子を有する。
【0027】
アルキルシルセスキオキサンワックスは、(RSiO1/2(RSiO3/2[xとyとは0.05から0.95という値を有し、Rは1から8の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基、又はアミノ基であり、Rは、9から40の炭素原子を有する一価の炭化水素であり、Rは1から8の炭素原子を有する一価の炭化水素基又はアリール基である]という式を有する少なくとも40モル%のシロキシ単位を含む。本明細書で使用するx及びyは、シルセスキオキサンワックス中に存在する(RSiO1/2)と(RSiO3/2)シロキシ単位の互いに対するモル分率を表わす。かくして、(RSiO1/2)と(RSiO3/2)シロキシ単位の各々の分率は、独立に0.05から0.95まで変化して良い。好ましくは、Rはメチルであり、RはC30からC45のアルキルであり、Rはプロピルである。
【0028】
典型的には、xの値は0.05から0.95であり、代替的に0.2から0.8であり、yの値は0.05から0.95であり、代替的に0.2から0.8である。しかしながら、(RSiO1/2)と(RSiO3/2)シロキシ単位の組み合わせは、全体で、アルキルシルセスキオキサンワックスに存在する全てのシロキシ単位の少なくとも40モル%、代替的に60モル%、あるいは90モル%で存在する必要がある。アルキルシルセスキオキサンワックスは、室温で液体、軟質固体、又は固体物質であって良い。
【0029】
アルキルシルセスキオキサンワックスの分子量は制限されないが、典型的には、数平均分子量(M)は、750から10,000、例えば1,000から5,000の範囲である。
【0030】
アルキルシルセスキオキサンワックスは、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく30質量%までの範囲の量で本発明の化粧品組成物に存在する。
【0031】
アルキルシルセスキオキサン樹脂
ある場合には、本発明の組成物は、上記のアルキルシルセスキオキサンワックスと共に又はそれの代わりにアルキルシルセスキオキサン樹脂を含有しても良い。アルキルシルセスキオキサン樹脂は、一般式RSiO(4−n)/2[式中、Rは水素原子及びC−C10アルキル基から独立に選択される]の平均シロキサン単位を有するシルセスキオキサンホモポリマー及び/又はコポリマーであって、Rの80モル%超がC−C10アルキル基であり、nが1.0から1.4の値であり、コポリマーの60モル%超がRSiO3/2単位を含むシルセスキオキサンホモポリマー及び/又はコポリマーである。
【0032】
好ましくは、使用するシルセスキオキサン樹脂は、RがC−C10、好ましくはC−Cアルキル基であり、さらに好ましくはプロピル基のものである。本発明における使用に適切なアルキルシルセスキオキサン樹脂の一例は、Dow Corning(登録商標)670FluidとしてDow−Corning社から市販されているプロピルシルセスキオキサン樹脂である。
【0033】
アルキルシルセスキオキサン樹脂は、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく50質量%までの範囲の量で存在して良い。
【0034】
液体脂肪相
本発明の化粧品組成物は、液体脂肪層を含む。前記液体脂肪層は、揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油、不揮発性シリコーン油、不揮発性炭化水素油、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの油を含有して良い。
【0035】
適切な揮発性シリコーン油は、室温で6cst以下の粘度を有し、2から7のケイ素原子を有する直鎖又は環式のシリコーン油を含む。これらのシリコーンは、任意に、1から10の炭素原子を有するアルコキシ基又はアルキル基で任意に置換されている。使用しても良い揮発性シリコーン油の例は、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物を含むが、それらに限らない。好ましくは、揮発性シリコーン油は、少なくとも40℃の引火点を有する。
【0036】
適切な揮発性炭化水素油は、8から16の炭素原子を有するもの及びそれらの混合物、並びに分枝鎖のCからC16アルカン、例えばCからC16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えば、Isopar又はPermethylという商品名で市販されている油、CからC16の分枝鎖のエステル、例えば、イソヘキシル又はイソデシルネオペンタノエート、及びそれらの混合物を含むが、それらに限らない。好ましくは、揮発性炭化水素油は少なくとも40℃の引火点を有する。
【0037】
使用して良い適切な不揮発性シリコーン油は、室温で液体の直鎖のポリジメチルシロキサン(PDMS);シリコーン鎖の末端に及び/又はペンダント基として、アルキル、アルコキシ、又はフェニル基(これらの基は2から24の炭素原子を含有する)を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、テトラメチルヘキサフェニルトリシロキサンを含むが、それらに限らない。
【0038】
本発明の組成物において使用し得る適切な不揮発性炭化水素油は、
− グリセロールの脂肪酸エステル(脂肪酸は各種の鎖長を有して良く、これらの鎖は直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和である)からなるトリグリセリドを大量に含む炭化水素系植物油;これらの油は、特に、コムギ胚芽油、コーン油、ヒマワリ油、カリテバター、ヒマシ油、甘扁桃油、マカダミア油、アプリコット油、ダイズ油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、クロフサスグリ種子油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、オリーブ油、ライムギ油、ベニバナ油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、又はジャコウバラ油;あるいはカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社によって市販されているもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812、及び818という名称で市販されているもの;
− RCOOR[式中、Rは、7から19の炭素原子を含む1から40の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖の高級脂肪酸残基を表わし、Rは、3から20の炭素原子を含む1から40の炭素原子を含有する分枝鎖の炭化水素系の鎖を表わし、R+R≧10である]という式の合成油又はエステル、例えば、ピュアセリン油(セトステアリルオクタノエート)、イソノニルイソノナノエート、C12からC15アルキルベンゾエート、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、及びアルコール若しくはポリアルコールのオクタノエート、デカノエート、又はリシノレート;ヒドロキシル化エステル、例えば、イソステアリルラクテート又はジイソステアリルマレート;並びにペンタエリスリトールエステル;
− 10から40の炭素原子を含有する合成エーテル;
− CからC26の脂肪アルコール、例えば、オレイルアルコール;並びに
− それらの混合物
のような極性を有する油を含むが、それらに限らない。前記液体脂肪層は、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく80質量%までの量で本発明の組成物に存在する。
【0039】
着色剤
本発明の化粧品組成物は、色素又は顔料のような少なくとも1つの化粧品として許容される着色剤も含有して良い。適切な顔料の例は、無機顔料、有機顔料、レーキ、真珠光沢顔料、虹色の材料、又は任意に変化する顔料、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。顔料は、無機又は有機の白色又は着色された粒子を意味すると理解されるべきである。前記顔料は、任意に本発明の範囲内の表面処理をされて良いが、シリコーン、パーフルオロ化合物、レシチン、及びアミノ酸のような処理に限らない。
【0040】
本発明において有用な無機顔料の代表例は、CI 77,891という参照番号でColor Indexにコードされているルチル又はアナターゼ型の二酸化チタン、CI77,499、77,492、及び77,491という参照番号でコードされている黒色、黄色、赤色、及び茶色の酸化鉄;マンガネーゼバイオレット(CI 77,742);ウルトラマリンブルー(CI 77,007);酸化クロム(CI 77,288);クロム水和物(CI 77,289);及びフェリックブルー(CI 77,510)、並びにそれらの混合物からなる群から選択されるものを含む。
【0041】
本発明において有用な有機顔料及びレーキの代表例は、D&C Red No.19(CI 45,170)、D&C Red No.9(CI 15,585)、D&C Red No.21(CI 45,380)、D&C Orange No.4(CI 15,510)、D&C Orange No.5(CI 45,370)、D&C Red No.27(CI 45,410)、D&C Red No.13(CI 15,630)、D&C Red No.7(CI 15,850)、D&C Red No.6(CI 15,850)、D&C Yellow No.5(CI 19,140)、D&C Red No.36(CI 12,085)、D&C Orange No.10(CI 45,425)、D&C Yellow No.6(CI 15,985)、D&C Red No.30(CI 73,360)、D&C Red NO.3(CI 45,430)、及びコチニールカルミン系の染料又はレーキ(CI 75,570)、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0042】
本発明において有用な真珠光沢顔料の代表例は、酸化チタン被覆マイカ、二酸化チタン被覆マイカ、ビスマスオキシクロリド、チタンオキシクロリドのような白色真珠光沢顔料、酸化鉄を有するマイカチタン、フェリックブルー及び酸化クロムなどを有するマイカチタン、上述のタイプの有機顔料を有するマイカチタン、並びにビスマスオキシクロリドに基づくもの、並びにそれらの混合物のような着色真珠光沢顔料からなる群から選択されるものを含む。
【0043】
本発明の組成物に使用する着色剤の的確な量及び種類は、化粧品組成物の色、強度、及び使用に依存し、結果として、化粧品の調製の分野の当業者によって決定されるであろう。
【0044】
ワックス
ある実施態様では、ワックスを用いて本発明に係る化粧品組成物を調製することが望ましい可能性がある。適切なワックスは、化粧品又は皮膚科において通常使用されるものである。その例は、ミツロウ、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ウリキュリワックス(ouricury wax)、日本ロウ、コルクファイバーワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス、ミクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、モンタンワックス、オゾケライト、及び水素化ホホバ油のような水素化油のような天然期限のものを含むが、それらに限らない。適切な合成ワックスの例は、エチレンの重合に由来するポリエチレンワックス、Fishcer−Tropsch合成によって得られるワックス、40℃で、例えば55℃より高温で固体の脂肪酸エステル及びグリセリド、40℃で、例えば55℃より高温で固体であるアルキル及びアルコキシ−ポリ(ジ)メチルシロキサン及び/又はポリ(ジ)メチル−シロキサンエステルのようなシリコーンワックスを含むが、それらに限らない。
【0045】
前記ワックスは、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく40質量%までの量で本発明の組成物に存在して良い。
【0046】
乳化剤
本発明の組成物は、乳化剤として有用な少なくとも1つの化合物を含有して良い。本発明によって使用されて良い適切な乳化剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、及び双性イオン性の乳化剤を含むが、それらに限らない。本発明に係る適切な乳化剤は、アシルラクテート、アルキルホスフェート、カルボン酸コポリマー、グルコースのエステル及びエーテル、グリセリンのエステル、プロピレングリコールのエステル、無水ソルビタンのエステル、ソルビトールのエステル、エトキシル化エーテル、エトキシル化アルコール、脂肪酸アミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪エーテルホスフェート、セッケン、アルコキシル化ポリジメチルシロキサン、及びそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0047】
乳化剤として適切な追加の化合物は、乳化架橋シロキサンエラストマー、例えば、KSG−210(登録商標)として市販されているジメチコン/PEG−10/15クロスポリマー、KSG 710(登録商標)として市販されているジメチコン/ポリグリセリン−3クロスポリマー、KSG−31(登録商標)として市販されているラウリルPEG−15ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、DC 9011(登録商標)として市販されているPEG−12ジメチコンクロスポリマーを含むが、それらに限らない。1つの実施態様では、乳化剤として有用な化合物がジメチコン/PEG−10/15クロスポリマーである。本発明によって使用され得る他の適切な乳化剤の例は、例えば、参照によってその全体を本明細書に組み込むMcCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American Edition(2003),Allured Publishing Corporationにおいて確認することができる。
【0048】
乳化剤は、本発明の組成物の全質量に基づいて0質量%より大きく10質量%までの範囲の量で本発明の化粧品組成物に存在して良い。
【0049】
非乳化シリコーンエラストマー
本発明の組成物は、非乳化シリコーンエラストマーを含有して良い。
【0050】
用語「非乳化」は、ポリオキシアルキレン又はポリグリセロール化された単位のような親水性鎖を含有しないシリコーンエラストマーを規定する。
【0051】
非乳化シリコーンエラストマーは、好ましくは、ケイ素に結合した少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合したエチレン性不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサンとの、特に白金触媒の存在下における架橋付加反応;あるいはヒドロキシル末端基を含有するジオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した少なくとも1つの水素原子を含有するジオルガノポリシロキサンとの間の、特に有機スズ化合物の存在下における脱水素化架橋カップリング反応;あるいはヒドロキシル末端基を含有するジオルガノポリシロキサンと、加水分解可能なオルガノポリシランとの架橋カップリング反応;あるいは、特にオルガノペルオキシド触媒の存在下におけるオルガノポリシロキサンの熱架橋;あるいはガンマ線、紫外線、又は電子線の様な高エネルギー放射によるオルガノポリシロキサンの架橋によって得られて良いエラストマーの架橋オルガノポリシロキサンである。
【0052】
エラストマーの架橋オルガノポリシロキサンは、少なくとも1つの炭化水素系油及び/又は1つのシリコーン油に含まれたエラストマーのオルガノポリシロキサンからなるゲルの形態で運ばれて良い。エラストマーの架橋オルガノポリシロキサンは粉末形態であっても良い。
【0053】
本発明の組成物に使用するために適切な非乳化シリコーンエラストマーは、Dow Corning社製の「DC 9040(登録商標)」、「DC 9041(登録商標)」、「DC 9509(登録商標)」、「DC 9505(登録商標)」、及び「DC 9506(登録商標)」、Shin−Etsu社製のKSG−6(登録商標)、KSG−8(登録商標)、KSG−10(登録商標)、KSG−14(登録商標)、KSG−15(登録商標)、及びKSG−16(登録商標);GE Silicones社製のSFE−168(登録商標)及びSFE−839(登録商標);Grant Industries社製のGransil SR−SYC(登録商標)を含むが、それらに限らない。
【0054】
非乳化シリコーンエラストマーは、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂で、例えば参照によってその全体を本明細書に組み込む米国特許第5,538,793号において記載されているように被覆されたエラストマーの架橋オルガノポリシロキサン粉末の形態であっても良い。その様なエラストマーは、Shin−Etsu社によって「KSP−100(登録商標)」、「KSP−101(登録商標)」、「KSP−102(登録商標)」、「KSP−103(登録商標)」、「KSP−104(登録商標)」、及び「KSP−105(登録商標)」という名称で市販されている。
【0055】
粉末の形態の他のエラストマーの架橋オルガノポリシロキサンは、Shin−Etsu社によって「KSP−200(登録商標)」という名称で特に市販されているフルオロアルキル基で官能化されたハイブリッドシリコーン粉末;Shin−Etsu社によって「KSP−300(登録商標)」という名称で特に市販されているフェニル基で官能化されたハイブリッドシリコーン粉末を含む。
【0056】
粉末の形態の更なるエラストマーの架橋オルガノポリシロキサンは、極微小の粒子で被覆された硬化シリコーン粉末を含む。これらの粒子は、参照によってその全体を本明細書に取り込むUS5,492,945、US5,756,568,及びUS5,945,471に記載されている。極微小な粒子で被覆された適切な硬化シリコーンパウダーは、Dow Corning社製のDC9701(登録商標)を含むが、それらに限らない。
【0057】
シリコーンエラストマーは、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく約95質量%までの範囲の量で本発明の化粧品組成物に存在して良い。
【0058】
ゲル化剤
本発明の組成物は、油相ゲル化剤で任意にゲル化されても良い。ゲル化剤は、液体脂肪相の粘度を増大し、前記脂肪相に導入された際に固体又は流動可能な組成物を生じさせる。前記ゲル化剤は、ワックス状ではないという意味でワックスを含まない。少なくとも1つのゲル化剤は、ポリマー形態のゲル化剤及び鉱物形態のゲル化剤から選択されて良い。前記ゲル化剤は、化学的な架橋によるゲル化剤及び物理的な架橋によるゲル化剤から選択されて良い。
【0059】
変性粘土がゲル化剤として使用されて良く、例えば、C10からC22の脂肪酸のアンモニウムクロリドを使用して変性したヘクトライト、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドを使用して変性したヘクトライト(クオタニウム−18ベントナイトとして知られてもいる)、例えば、Rheox社によってBentone 34(登録商標)という名称で製造又は販売されている製品、Southern Clay社によって製造又は販売されているClaytone XL(登録商標)、Claytone 34(登録商標)、及びClaytone 40(登録商標)、Southern Clay社によってClaytone HT(登録商標)、ClaytoneGR(登録商標)、及びClaytone PS(登録商標)という名称で製造又は販売されているクオタニウム−18ベンズアルコニウムベントナイトという名称で知られている変性粘土、Southern Clay社によってClaytone APA(登録商標)及びClaytone AF(登録商標)という名称で製造又は販売されている製品、及びRheox社によって製造又は販売されているBaragel 24(登録商標)のようなステアラルコニウムベントナイトとして既知のステアリルジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性した粘土を含むが、それらに限らない。
【0060】
本発明で使用して良い他の鉱物ゲル化剤は、シリカ、例えばヒュームドシリカを含む。ヒュームドシリカは、ナノメートルからマイクロメートル、例えば5nmから200nmの範囲の粒径を有して良い。
【0061】
ヒュームドシリカは、水素−酸素炎における揮発性ケイ素化合物の高温加水分解によって微細に分割されたシリカを生じさせて得られて良い。このプロセスが、表面に多数のシラノール基を有する親水性シリカを得ることを可能にする。その様な親水性シリカは、Degussa社によって「Aerosil 130(登録商標)」、「Aerosil 200(登録商標)」、「Aerosil 255(登録商標)」、「Aerosil 300(登録商標)」、及び「Aerosil 380(登録商標)」、並びにCabot社によって「CAB−O−SIL HS−5(登録商標)」、「CAB−O−SIL EH−5(登録商標)」、「CAB−O−SIL LM−130(登録商標)」、「CAB−O−SIL MS−55(登録商標)」、及び「CAB−O−SIL M−5(登録商標)」という名称で製造又は販売されている。
【0062】
かくして、化学反応によって親水性シリカの表面を化学的に変性させ、シラノール基の数の減少を生じさせることが可能である。シラノール基は、例えば疎水性基によって置き換わられて良く、次いで疎水性シリカを与える。前記疎水性基は、特にヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することによって得られるトリメチルシロキシ基であって良い。かくして処理されたシリカは、CTFA辞典(6版、1995年)によれば「シリカシリレート」として知られている。それらは、例えば、Degussa社によって「Aerosil R812(登録商標)」、及びCabot社によって「CAB−O−SIL TS−530(登録商標)」という名称で製造又は販売されており;ジメチルシリルオキシル又はポリジメチルシロキサン基が、ポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理する事によって特に得られる。かくして処理されたシリカは、CTFA辞典(6版、1995年)によれば「シリカジメチルシリレート」として知られている。それらは、例えばDegussa社によって「Aerosil R972(登録商標)」及び「Aerosil R974(登録商標)」、並びにCabot社によって「CAB−OSIL TS−610(登録商標)」及び「CAB−O−SIL TS−720(登録商標)」という名称で製造又は販売されており;基はシランアルコキシド又はシロキサンとヒュームドシリカとの反応に由来する。これらの処理されたシリカは、例えば、Degussa社によって「Aerosil R805(登録商標)」という名称で製造又は販売されている。
【0063】
本発明によれば、疎水性シリカ、例えばヒュームドシリカは、親油性ゲル化剤として使用されて良い。ヒュームドシリカの使用は、不透明粒子、例えば、ワックス、フィラー、及び顔料(真珠母)の非存在下で浸出しない特にスティックの形態の、半透明又は透明な組成物を得ることを可能にする。
【0064】
少なくとも1つの親油性ゲル化剤は、組成物の浸出を制限することが可能であり、安定性を増大することが可能であって、同時に組成物の輝きを維持する。これは、化粧品及び皮膚科において従来使用されていたようなワックスでは不可能である。
【0065】
少なくとも1つのゲル化剤は、もし使用する場合には、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく20質量%までの量で本発明の組成物に典型的に存在するであろう。
【0066】
揮発性溶媒
極性揮発性溶媒の使用が望ましい場合が存在する。その様な溶媒は、アルコール、揮発性エステル、及び揮発性エーテルを含むが、それらに限らない。一般的には、それは、約25度未満の引火点を有するであろう。
【0067】
添加剤/補助剤
本発明の組成物は、少なくとも1つの化粧品又は皮膚科において許容される添加剤、例えば、増粘剤、皮膜形成剤、可塑剤、抗酸化剤、必須油、保存剤、芳香剤、フィラー、ペースト状脂肪物質、ワックス状脂肪物質、中和剤、及びポリマー、並びに化粧品としての活性剤及び/又は皮膚科学的な活性剤、例えば、軟化剤、モイスチャーライザー、ビタミン、必須脂肪酸、及び医薬を更に含んで良い。
【0068】
可塑剤の使用は本発明の組成物に必須ではないが、望ましい可能性がある。可塑剤は、高分子化合物に添加されて、ポリマー分子の内部修飾により、加工を容易にし、且つ、最終製品の柔軟性及び耐久性を増大する有機化合物である。適切な可塑剤の例は、油、セルロースエステル、フタレートエステル、アジペートエステル、セバケートエステル、トリクレシルホスフェート、ヒマシ油、グリコールエーテル、ベンジルアルコール、トリエチルシトレート、及びプロピレンカーボネートを含むが、それらに限らない。
【0069】
保存剤の代表例は、アルキルパラヒドロキシベンゾエートであって、そのアルキル基は、1、2、3、4、5、又は6の炭素原子を有し、好ましくは1から4の炭素原子を有し、例えば、メチルパラヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)、エチルパラヒドロキシベンゾエート(エチルパラベン)、プロピルパラヒドロキシベンゾエート(プロピルパラベン)、ブチルパラヒドロキシベンゾエート(ブチルパラベン)、及びイソブチルパラヒドロキシベンゾエート(イソブチルパラベン)を含む。保存剤の混合物が当然使用されて良く、例えば、Nipa社によってNipastatという名称で市販されているメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、及びブチルパラベンの混合物、並びにNipa社によってPhenonipという名称で市販されているフェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、及びブチルパラベンの混合物が使用されて良い。これらの保存剤は、組成物の質量に基づいて、約0.01から約10質量%、好ましくは0.5から約5質量%、更に好ましくは約0.8から約3質量%の範囲の量で存在して良い。
【0070】
本発明の組成物において使用して良いフィラーは、例えば、シリカパウダー;タルク;ポリアミド粒子及び特にAtochem社によってOrgasolという名称で市販されているもの;ポリエチレンパウダー;アクリルコポリマーに基づくミクロスフェア、例えば、Dow Corning社によってPolytrapという名称で市販されているエチレングリコールジメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマーに基づくもの;発泡粉末、例えば、中空のミクロスフェア及び特にKemanord Plast社によってExpancel(登録商標)という名称で市販されているか又はMatsumoto社によってMicropearl F(登録商標)80 EDという名称で市販されているミクロスフェア;天然の有機物質の粉末、例えば、架橋又は非架橋のコーンデンプン、コムギデンプン、又はコメデンプン、例えば、National Starch社によってDry−Flo(登録商標)という名称で市販されているオクテニルスクシネート無水物で架橋したデンプン粉末;シリコーン樹脂マイクロビーズ、例えば、Toshiba Silicone社によってTospearl(登録商標)という名称で市販されているもの;粘土(ベントン、ラポナイト、サポナイトなど)、並びにそれらの混合物を含む。これらのフィラーは、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく50質量%までの範囲の量で存在して良い。
【0071】
本発明の組成物は、安全且つ効果的な量の少なくとも1つの活性成分又は製薬学的に許容されるそれらの塩を更に含んで良い。本明細書で使用する用語「安全且つ効果的な量」は、信頼できる医学的判断の範囲内のリスク比に対する正当な利益において、処理すべき状態を修正するか又は所望の皮膚に対する利益を提供するのと同時に、深刻な副作用を避けるために十分な量を意味する。活性成分の安全且つ効果的な量は、特定の活性剤、皮膚を浸透する活性剤の機能、使用者の年齢、健康、及び皮膚の状態、並びに他の因子によって変化するであろう。典型的には、前記活性成分は、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく20質量%までの範囲の量で存在して良い。
【0072】
本発明において有用な活性成分は、それらの治療上の利益又は想定される作用態様によって分類され得る。しかしながら、本発明において有用な活性成分は、2つ以上の作用態様を介して作用するか又は2つ以上の治療上の利益を提供し得る場合がある。したがって、ここで言う分類は便宜上作成され、活性剤を特定の適用に限ることを意味するものではない。また、これらの活性剤の製薬学的に許容される塩が、本発明において有用である。以下の活性剤は、本発明において有用である。
【0073】
本発明の化粧品組成物は、有害な紫外線照射を事実上吸収する化学的な吸収剤であるサンスクリーン剤も含有して良い。化学的な吸収剤は、それらが保護する照射のタイプに依存して、UV−A又はUV−B吸収剤のいずれかに分類されることがよく知られている。UV−A吸収剤は、一般的には、320nmから400nmの領域の紫外スペクトルにおける照射を吸収する。UV−A吸収剤は、アントラニレート、ベンゾフェノン、及びジベンゾイルメタンを含む。UV−B吸収剤は、一般的には、280nmから320nmの領域の紫外スペクトルにおける照射を吸収する。UV−B吸収剤は、p−アミノ安息香酸誘導体、ショウノウ誘導体、シンナメート、及びサリチレートを含む。
【0074】
本発明において有用なサンスクリーン剤は、典型的には、化学的な吸収剤を含むが、物理的な遮断剤も含んで良い。本発明の組成物に配合されて良い例示的なサンスクリーン剤は、化学的な吸収剤、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニレート、ベンゾフェノン、ショウノウ誘導体、桂皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン(例えば、Parsol(登録商標)1789としても既知のアボベンゾン)、ジフェニルアクリレート誘導体、サリチル酸誘導体、トリアジン誘導体、ベンズイミダゾール化合物、ビスベンゾアゾリル誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、サンスクリーンポリマー、及びシリコーン、又はそれらの混合物である。また、本発明の組成物に配合されて良いサンスクリーン剤の例は、酸化セリウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、赤色ペトロラタム、シリコーン処理二酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、及び/又は酸化ジルコニウム、あるいはそれらの混合物である。
【0075】
適切なサンスクリーン剤の例は、アミノ安息香酸、アミルジメチルPABA、シノキセート、ジエタノールアミンp−メトキシシンナメート、ジガロイルトリオレート、ジオキシベンゾン、2−エトキシエチル、p−メトキシシンナメート、エチル4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモメンチルサリチレート、ホモサレート、3−イミダゾール−4−イルアクリル酸、及びエチルエステル、メチルアントラニレート、オクチルジメチルPABA、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸及び塩、赤色ペトロラタム、スリソベンゾン、二酸化チタン、トリエタノールアミンサリチレート、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルスルフェート、及びそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0076】
本発明の組成物は、液体、半固体、例えばゲル、又は固体の形態であって良い。前記化粧品組成物は、リップグロス又は口紅のように唇をメークアップするために使用してよく、又はアイシャドウのようにまぶたをメークアップするために使用されてよい。
【0077】
本発明の組成物は無水物であるか、又は水性エマルション、例えば、水中油型(O/W)、油中水型(W/O)、又は多層エマルション(W/O/W、O/W/Oなど)の形態の非無水物、又は水と適合性がある物質、例えば、ジオール、アルコール、グリコール、多価アルコール、及びそれらの誘導体で水を置換した非水性エマルションであって良い。無水物は、組成物が、(ラテックスなどのような組成物の他の成分によって提供され得る水以外に)追加の水を含有しないことを意味する。
【0078】
本発明は、以下の制限されない実施例の観点から更に説明する。他に示さない限り、全ての部及び割合は、質量%に基づくものである。
【実施例】
【0079】
【表1】

【0080】
調製方法
相Aの油は、プロペラミキサーで媒体を攪拌しながら、10分間100℃で事前に加熱する。
【0081】
B相(KRATON(登録商標)G1675 M)を相Aに100℃で添加した。
【0082】
B相が完全にA相に溶解されるまで、B相及びA相を30分間高速で混合した。
【0083】
次いで、溶液が均質になるまで95℃で混合しながら、C相(Regalite(登録商標)R1100)を(A+B)相にゆっくりと添加した。
【0084】
D相の成分を混合しながら添加した。
【0085】
別のビーカーにおいて、顔料が完全に油で濡れて顔料混合物を形成するまで、E層の成分を手作業で混合した。
【0086】
次いで、前記顔料混合物を三本ローラーミルに移して、色が均質になるまでミルにかけて顔料混合物の粉末を形成した。
【0087】
次いで、ミルにかけた顔料混合物を(A+B+C+D)相を含有するビーカーに移して、約5分間平均的な速度で混合した。
【0088】
次いで、マイカ及びプロピルシルセスキオキサンワックス(及びポリエチレンワックス)を、ビーカーにゆっくりと添加して、高速で10分間混合した。
【0089】
次いで混合速度を低減して、結果として得られた流動物を個々の鋳型に90℃で移した。
【0090】
次いで、前記鋳型に含有されたサンプルを、0から2℃の冷蔵庫で約30分間冷却した。
【0091】
次いで、前記鋳型を包装して、室温に保持した。
【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
上記の実施例は、実施例1及び2と類似の手法で調製した。
【0095】
輝きを測定するためのプロトコル
上述の化粧品の輝きを測定するために、測定の実施に使用する光の強度を初めに測定し、次いで唇の表面の反射を測定した。これは、光源の前に垂直の配向を有する第一の偏光子、及びビデオカメラの前に垂直な配向を有する第二の偏光子を有することによって実施した。まず、ビデオカメラは、グロスから口紅へと進む任意の光から生ずる垂直の光と共に表面の反射を記録した。
【0096】
次いで、表面の下に伝わる任意の垂直な光の強度を記録するためカメラの前の偏光子を90°回転した(ビデオレート)。次いで、表面下に伝わった光の水平方向の強度を測定した。第2に、水平方向の測定は、所望の表面のシグナル(グロス)に対する任意の表面下の寄与のための補正であった。次いで、第1の数値から第2の数値を引いて、輝度を算出した。
【0097】
耐久力測定のためのプロトコル
唇用の組成物を回答者の口紅に適用した。参照によってその全体を本明細書に取り込むUS20030067545に開示しているような装置で拡散光の照射の前及び直後に唇の写真を撮り、画像をL*明度に関して分析した。L*明度は、色の暗さ又は強度を示す。次いで、回答者に、サンドイッチ、サラダ、及び温かい飲料からなる食事をとるように依頼した。食事後に上記の装置を使用して回答者の唇を撮影して、画像をL*明度について分析した。耐久力は、%耐久力として記録し、どの程度組成物が唇上に残存しているか示す。
【0098】
耐移り性のためのプロトコル
本明細書で使用する「耐移り性」は、例えば飲食時に、他の物質、例えば、ガラス、被服、又は皮膚と接触することによって容易に除去されない組成物によって示される量を示す。耐移り性は、その様な評価に関して当該技術分野で既知の任意の方法によって評価して良い。例えば、組成物の耐移り性は、「キス」試験によって評価しても良い。「キス」試験は、ヒトの唇に組成物を適用した後に物質、例えば、一枚の紙に、適用後の一定時間経過後、例えば適用の2分後に「キス」することを含む。同様に、組成物の耐移り性は、任意の他の物質に対する着用者から移った(例えば、適用の一定時間経過後に個人の首から襟に移った)製品の量によって評価して良い。次いで、物質(例えば、襟又は紙)に移った組成物の量を評価し比較する。例えば、大半の製品が着用者、例えば、唇及び首などに残存する場合には、組成物は耐移り性である可能性がある。さらに、移った量を、他の組成物、例えば市販の組成物において移った量と比較して良い。
【0099】
上記載は本発明の好ましい実施態様を説明するものであり、特許請求の範囲に記載の本発明の精神及び範囲を逸脱すること無く、変形例が作製されてよいことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ブロックコポリマー;
(b)粘着剤;
(c)アルキルシルセスキオキサンワックス及び/又はアルキルシルセスキオキサン樹脂;
(d)液体脂肪相;及び
(e)任意に着色剤
を含む組成物をケラチン基質に適用する工程を含む、ケラチン基質のメークアップ方法。
【請求項2】
前記ブロックコポリマーが、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく約20質量%までの量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブロックコポリマーが、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのジブロック及びトリブロックコポリマーの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粘着剤が、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく約40質量%までの量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記粘着剤が、水素化スチレン/メチルスチレン/インデンコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルキルシルセスキオキサンワックスが、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく30質量%までの量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アルキルシルセスキオキサンワックスが、C30−C45プロピルシルセスキオキサンワックスである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキルシルセスキオキサン樹脂が、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく50質量%までの量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキルシルセスキオキサン樹脂が、プロピルシルセスキオキサン樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記液体脂肪相が、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく80質量%までの量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記着色剤が、ケラチン基質に適用する際に色を与えるために効果的な量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、1(c)とは異なるワックスを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が口紅である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物がアイシャドウである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
(a)ブロックコポリマー;
(b)粘着剤;
(c)アルキルシルセスキオキサンワックス及び/又はアルキルシルセスキオキサン樹脂;
(d)液体脂肪相;及び
(e)任意に着色剤
を含む、組成物。
【請求項16】
前記ブロックコポリマーが、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく約20質量%までの量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ブロックコポリマーが、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのジブロック及びトリブロックコポリマーの組み合わせである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記粘着剤が、組成物の質量に基づいて0質量%から約40質量%までの量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記粘着剤が、水素化スチレン/メチルスチレン/インデンコポリマーである、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記アルキルシルセスキオキサンワックスが、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく30質量%までの量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
前記アルキルシルセスキオキサンワックスが、C30−C45プロピルシルセスキオキサンワックスである、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
前記アルキルシルセスキオキサン樹脂が、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく50質量%までの量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項23】
前記アルキルシルセスキオキサン樹脂がプロピルシルセスキオキサン樹脂である、請求項15に記載の組成物。
【請求項24】
前記液体脂肪層が、組成物の質量に基づいて0質量%より大きく80質量%までの量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項25】
前記着色剤が、ケラチン基質に適用する際に色を与えるために効果的な量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、1(c)とは異なるワックスを更に含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が口紅である、請求項15に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物がアイシャドウである、請求項15に記載の組成物。

【公開番号】特開2008−189663(P2008−189663A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−4943(P2008−4943)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】