ブロー成形品の穿孔方法とブロー成形用金型
【課題】ブロー成形用金型内でブロー成形品に良好に孔を形成することのできる穿孔方法を提供する。
【解決手段】ブロー成形用金型10を閉じて軟化状態のパリソンP1をブロー成形用金型で挟むと共に、中実部71を孔形成用刃部41で孔形成用刃部の受け部51に押し付けて、一方の型11の孔形成用刃部41と他方の型31の孔形成用刃部の受け部51間で中実部71に薄肉部74を形成し、次にパリソンP1内にエアーを吹き込んでパリソンP1を賦形し、パリソンP1の冷却硬化後、孔形成用刃部41を前進させると共に孔形成用刃部の受け部51を後退させることにより、孔形成用刃部41と孔形成用刃部の受け部51間の薄肉部で破断させて中実部71に貫通孔を形成する。
【解決手段】ブロー成形用金型10を閉じて軟化状態のパリソンP1をブロー成形用金型で挟むと共に、中実部71を孔形成用刃部41で孔形成用刃部の受け部51に押し付けて、一方の型11の孔形成用刃部41と他方の型31の孔形成用刃部の受け部51間で中実部71に薄肉部74を形成し、次にパリソンP1内にエアーを吹き込んでパリソンP1を賦形し、パリソンP1の冷却硬化後、孔形成用刃部41を前進させると共に孔形成用刃部の受け部51を後退させることにより、孔形成用刃部41と孔形成用刃部の受け部51間の薄肉部で破断させて中実部71に貫通孔を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形品の外面に突出形成された中実部にブロー成形用金型内で貫通孔を開ける穿孔方法とその穿孔方法に用いるブロー成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形は、押出機のダイスヘッドからチューブ状に押し出した熱可塑性合成樹脂からなる軟化状態のパリソンをブロー成形用金型で挟み、前記パリソン内にエアーを吹き込んでパリソンをブロー成形用金型のキャビティ面形状に賦形し、冷却硬化後に成形品を脱型するブロー成形品の製造方法であり、ダクトやタンク等、種々の中空製品の製造方法として多用されている。
【0003】
前記ブロー成形品には、例えば、図9に示すダクト用のブロー成形品70のように、ブラケットやフランジなどと称される中実部71が外面72に突出形成されて、前記中実部71に取り付けなどに用いられる貫通孔73が形成されたものがある。前記中実部71は、前記パリソンの管壁が互いに密着して内部に中空部分を有しないように形成された部分を言う。
【0004】
従来、ブロー成形品の中実部に貫通孔を形成する穿孔方法としては、図10に示すように、ブロー成形用金型80における一方の型81に、孔形成用の雄刃85をシリンダ装置等の駆動装置86で他方の型83に向けて前進可能に設け、他方の型83には前記雄刃85が挿入可能な孔状の雌刃87を設けた構成とし、軟化状態のパリソンを前記ブロー成形用金型80で挟んでパリソン内にエアーを吹き込み、パリソンを賦形した後に冷却硬化させてブロー成形品90を形成し、その後、図11に示すように前記雄刃85を前進させて前記雄刃85と雌刃87によりブロー成形品90の中実部91を打ち抜いて貫通孔93を形成する方法がある。符号91aは中実部91から打ち抜れた部分である。
【0005】
しかし、前記雄刃85と雌刃87を用いて貫通孔93を打ち抜く方法は、前記雄刃85の外面と前記雌刃87の内面との間のクリアランス(隙間)を片側0.1mm以下、すなわち図11に示すように雄刃85の外径aと雌刃87の内径bを、a≦b≦a+0.2mmにする必要があり、ブロー成形用金型における孔形成部に高精度が要求され、型費用が嵩む問題がある。さらに、ブロー成形を繰り返す間に、前記雄刃85の外面と前記雌刃87の内面間のクリアランス精度が低下すると、良好に貫通孔を打ち抜くことができなくなって、貫通孔の周囲にバリを生じるようになり、後工程でバリ除去の作業が必要になるとと共に、ブロー成形用金型のメンテナンスが必要となる。
【0006】
【特許文献1】実開昭60−83721号公報
【特許文献2】特開2002−178394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、ブロー成形用金型内でブロー成形品に貫通孔を形成する際に貫通孔周囲にバリを生じにくくでき、またブロー成形用金型については孔形成部を高精度な構造にする必要が無く、ブロー成形用金型の製作が容易になると共にブロー成形用金型のメンテナンスも不要あるいは簡略にすることができるブロー成形品の穿孔方法とブロー成形用金型の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型で軟化状態のパリソンを挟み、前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形することにより中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品をブロー成形する際に、前記ブロー成形用金型内で前記中実部に貫通孔を開けるブロー成形品の穿孔方法において、前記ブロー成形用金型の前記貫通孔を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を前記他方の型内へ後退可能に備え、前記ブロー成形用金型を閉じて前記軟化状態のパリソンを前記ブロー成形用金型で挟むと共に、前記中実部を前記孔形成用刃部で前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成し、次に前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形し、前記パリソンの冷却硬化後、前記孔形成用刃部を前進させると共に前記孔形成用刃部の受け部を後退させることにより、前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間の前記薄肉部を破断させて前記中実部に前記貫通孔を形成し、前記ブロー成形用金型を開いてブロー成形品を脱型することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品を形成するための少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型において、前記中実部を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を備え、ブロー成形時の閉型により前記中実部を前記孔形成用刃部が前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成するように構成し、前記孔形成用刃部の受け部は、前記他方の型の内方へ後退可能に設けられると共に、前記中実部に薄肉部を形成する前記閉型時には前記孔形成用刃部の受け部の後退を阻止し、一方、前記薄肉部の形成後には後退を可能にする後退阻止手段を設けて、前記薄肉部の形成後における後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が後退するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、前記孔形成用刃部は駆動装置により前進可能とされ、前記孔形成用刃部の受け部はバネ部材により前記一方の型へ向けて付勢され、前記後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が前記孔形成用刃部で押されると、前記バネ部材の弾性力に抗して前記孔形成用刃部の受け部が後退することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明におけるブロー成形品の穿孔方法によれば、ブロー成形用金型を閉じて軟化状態のパリソンをブロー成形用金型で挟むと共に、ブロー成形用金型に挟まれた軟化状態の中実部を一方の型の孔形成用刃部で他方の型の孔形成用刃部の受け部に押し付けて孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部間で中実部に薄肉部を形成し、次にパリソン内にエアーを吹き込んでパリソンを賦形し、パリソンの冷却硬化後に、前記薄肉部を孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部間に挟んだ状態で孔形成用刃部を前進させると共に受け部を後退させることにより、薄肉部で破断させて中実部に貫通孔を形成しているため、従来、雄刃と雌刃間のクリアランスの精度低下により切断時に生じていた貫通孔周囲のバリを生じにくくできる。
【0012】
さらに、請求項1の発明におけるブロー成形品の穿孔方法によれば、従来の雄刃と雌刃による打ち抜きによる貫通孔の形成とは異なり、孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部に高精度が必要とされず、ブロー成形用金型の製作が容易になると共に、ブロー成形の繰り返しによっても孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部による薄肉部の破断不良を生じにくく、ブロー成形用金型のメンテナンスも不要あるいは簡略にすることができる。
【0013】
一方、請求項2および請求項3の発明におけるブロー成形用金型によれば、従来の雄刃と雌刃により打ち抜きを行う構造とは異なり、孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部に高精度が必要とされず、ブロー成形用金型の製作が容易になると共に、ブロー成形の繰り返しによっても孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部による薄肉部の破断不良を生じにくく、ブロー成形用金型のメンテナンスも不要あるいは簡略になり、請求項1の発明におけるブロー成形品の穿孔を良好に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るブロー成形用金型の正面図、図2は図1の2−2断面図、図3はブロー成形用金型の閉型時の断面図、図4は図3の一部を拡大して示す部分断面図、図5は図4の孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部における拡大断面図、図6はエアー吹き込み後を示すブロー成形用金型の部分断面図、図7は薄肉部の破断後を示すブロー成形用金型の部分断面図、図8は脱型時を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【0015】
図1及び図2に示す本発明の一実施例に係るブロー成形用金型10は、図9に示したダクト用のブロー成形品70をブロー成形するのに用いられ、ブロー成形時にブロー成形品70の外面72にフランジあるいはブラケットと称される中実部71を突出形成すると共に、前記中実部71に貫通孔73を形成することができるものである。
【0016】
前記ブロー成形用金型10は、水平方向に開閉する2つの型11,31からなり、前記2つの型11,31の何れか一方が可動型、他方が固定型とされる。前記2つの型11,31内には、成形品の外面を賦形するためのキャビティ面12,32が形成されている。前記キャビティ面12,32は、2つの型11,31のパーティング面(分割面)14,34に形成されている部分が、前記中実部71のためのキャビティ面13,33を構成している。
【0017】
前記2つの型11,31の前記中実部71を形成する部分における前記貫通孔73を形成する部分では、一方の型11に孔形成用刃部41が他方の型31へ向けて前進可能に設けられ、他方の型31には前記孔形成用刃部41と対向する位置に孔形成用刃部の受け部51が設けられている。
【0018】
前記孔形成用刃部41は前記貫通孔73の内周形状と一致する外周形状の筒形状部分42を先端側に備えている。前記筒形状部分42は、軟化状態のパリソンの樹脂内へ押し込みやすいように先端の厚みが薄くなっている。前記孔形成用刃部41は、エアーシリンダ装置等からなる駆動装置45によって前記他方の型31へ向けて前進可能にされ、本実施例では最も後方位置において、前記孔形成用刃部41の先端43が前記一方の型11の前記中実部71のためのキャビティ面13から所定量突出した状態にあって、前記ブロー成形用金型10を閉型した際(すなわち2つの型11,31を閉じた際)に、前記孔形成用刃部41の先端43と前記孔形成用刃部の受け部51との間隔が0.1〜0.3mmとなるようにされている。なお、前記型11には前記孔形成用刃部41の配置および駆動装置45の作動用に孔17が形成されている。
【0019】
前記孔形成用刃部の受け部51は、前記孔形成用刃部41の直径(外径)よりも大きい(本実施例では2〜5mm大きい)直径の円盤状からなり、前記他方の型31における中実部用のキャビティ面33から垂直に型内方へ形成された受け部スライド孔35に、前記中実部用のキャビティ面33から型内方へ後退可能に設けられる。前記受け部スライド孔35は、前記中実部用キャビティ面33から所定距離位置まで前記孔形成用刃部の受け部51をスライド可能とする大径孔部36で構成され、前記大径孔部36よりも奥の部分が前記孔形成用刃部の受け部51よりも径が小さい小径孔部37とされている。前記大径孔部36には前記孔形成用刃部の受け部51を一方の型11へ向けて付勢するバネ部材38が設けられている。
【0020】
前記孔形成用刃部の受け部51の背面側には軸部52が形成され、前記大径孔部36および小径孔部37に挿入されている。前記軸部52は前記小径孔部37をスライド可能な径とされ、また、前記受け部スライド孔35の長さとの関係において、前記孔形成用刃部の受け部51が前記中実部用キャビティ面33から後退するのを妨げない長さとされる。前記軸部52には、直交方向に後退阻止孔54が貫通形成され、また、前記受け部スライド孔35の小径孔部37と直交する方向にエアーシリンダ装置等からなる係止用駆動装置56が設けられ、前記係止用駆動装置56の作動により前進後退する棒状の係止部材57が係止用駆動装置56の先端側に設けられている。前記係止部材57は、前記軸部52の後退阻止孔54へ挿入可能な径からなって、前記孔形成用刃部の受け部51の表面が前記中実部用キャビティ面33と面一の状態時に前記軸部52の後退阻止孔54に挿入されることにより、前記孔形成用刃部の受け部51の後退を阻止し、一方、前記軸部52の後退阻止孔54から前記係止部材57が抜かれることにより前記孔形成用刃部の受け部51の後退を可能とする。前記軸部52の後退阻止孔54と前記係止用駆動装置56と係止部材57とは後退阻止手段60を構成する。
【0021】
前記ブロー成形用金型10を用いるブロー成形および穿孔について説明する。図1に示すように、押出機のダイスヘッド61からチューブ状に押し出した軟化状態のパリソンP1を前記ブロー成形用金型10の型11,31間に配置し、図2〜図4に示すように閉型して前記軟化状態のパリソンP1を型11,31で挟む。
【0022】
前記閉型に際し、本実施例では前記孔形成用刃部41は最も後方位置にされ、前記型11における前記中実部71のためのキャビティ面13から前記孔形成用刃部41が所定量突出している。また、前記孔形成用刃部の受け部51は表面51aが前記型31の中実部形成用のキャビティ面33と面一となる位置にされ、その状態で前記軸部52の後退阻止孔54に前記係止部材57が挿入されて前記孔形成用刃部の受け部51の後退が阻止されている。
【0023】
前記閉型によって、前記中実部用キャビティ面13,33の部分では軟化状態のパリソンP1の管壁が密着し、中実部71が形成される。形成された中実部71は軟化状態にある。また、前記閉型時、前記一方の型11の前記中実部71のためのキャビティ面13から突出している前記孔形成用刃部41の先端側が前記中実部71を前記孔形成用刃部の受け部51に押し付け、図5に示すように前記孔形成用刃部41と前記孔形成用刃部の受け部51間で前記中実部71に薄肉部74を形成する。前記薄肉部74は、前記閉型時における前記孔形成用刃部41と前記孔形成用刃部の受け部51間の間隔が0.1〜0.3mmに設定されているため、厚み0.1〜0.3mmのフィルム状となる。前記薄肉部74は強度の低い脆弱部に相当する。
【0024】
次に図示しないブローピンからエアーを前記軟化状態のパリソンP1内に吹き込んでパリソンP1を膨らませ、図6に示すようにキャビティ面12,32にパリソンP1を密着させてキャビティ面形状に賦形する。
【0025】
前記賦形されたパリソンP1を自然冷却等により冷却硬化させてブロー成形品70を形成した後、前記係止用駆動装置56を作動させて前記軸部52の後退阻止孔54から前記係止部材57を抜き取り、前記孔形成用刃部の受け部51の後退を可能とする。その状態で、図7に示すように、前記駆動装置45の作動により前記孔形成用刃部41を前進させる。前記孔形成用刃部41の前進により、前記孔形成用刃部の受け部51は前記薄肉部74を介して前記孔形成用刃部41で押されるため、前記孔形成用刃部41の前進に応じて前記バネ部材38に抗し後退する。前記孔形成用刃部41の前進および前記孔形成用刃部の受け部51の後退により、前記孔形成用刃部41と前記孔形成用刃部の受け部51間で前記薄肉部74が破断し、破断後の部分に貫通孔73が形成される。符号76は前記薄肉部74で破断して前記中実部71から除去された部分である。
【0026】
その後、図8に示すように、前記ブロー成形用金型10を開いてブロー成形品70を脱型する。このようにして得られたブロー成形品70は、図9に示すように外面に突出形成された中実部71に貫通孔73が形成されている。なお、前記ブロー成形品70の脱型を容易にするため、脱型時には前記孔形成用刃部41を閉型前の位置まで後退させておくのが好ましい。また、前記孔形成用刃部41および孔形成用刃部の受け部51は、閉型前の位置に戻し、前記軸部52の後退阻止孔54に前記係止部材57を挿入して次のブロー成形に備えられる。
【0027】
なお、本発明は、ダクト用のブロー成形品に限定するものではなく、フランジやブラケット等と称される中実部が中空部の外面に突出して形成された種々のブロー成形品に適用可能である。また、孔形状についても、丸孔に限らず長孔、異形孔等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例に係るブロー成形用金型の正面図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【図3】ブロー成形用金型の閉型時の断面図である。
【図4】図3の一部を拡大して示す部分断面図である。
【図5】図4の孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部における拡大断面図である。
【図6】エアー吹き込み後を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【図7】薄肉部の破断後を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【図8】脱型時を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【図9】ダクト用ブロー成形品の斜視図である。
【図10】従来のブロー成形用金型の部分断面図である。
【図11】図10のブロー成形用金型における孔形成部分を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 ブロー成形用金型
11 一方の型
31 他方の型
38 バネ部材
41 孔形成用刃部
45 駆動装置
51 孔形成用刃部の受け部
60 後退阻止手段
71 中実部
73 貫通孔
74 薄肉部
P1 パリソン
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形品の外面に突出形成された中実部にブロー成形用金型内で貫通孔を開ける穿孔方法とその穿孔方法に用いるブロー成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形は、押出機のダイスヘッドからチューブ状に押し出した熱可塑性合成樹脂からなる軟化状態のパリソンをブロー成形用金型で挟み、前記パリソン内にエアーを吹き込んでパリソンをブロー成形用金型のキャビティ面形状に賦形し、冷却硬化後に成形品を脱型するブロー成形品の製造方法であり、ダクトやタンク等、種々の中空製品の製造方法として多用されている。
【0003】
前記ブロー成形品には、例えば、図9に示すダクト用のブロー成形品70のように、ブラケットやフランジなどと称される中実部71が外面72に突出形成されて、前記中実部71に取り付けなどに用いられる貫通孔73が形成されたものがある。前記中実部71は、前記パリソンの管壁が互いに密着して内部に中空部分を有しないように形成された部分を言う。
【0004】
従来、ブロー成形品の中実部に貫通孔を形成する穿孔方法としては、図10に示すように、ブロー成形用金型80における一方の型81に、孔形成用の雄刃85をシリンダ装置等の駆動装置86で他方の型83に向けて前進可能に設け、他方の型83には前記雄刃85が挿入可能な孔状の雌刃87を設けた構成とし、軟化状態のパリソンを前記ブロー成形用金型80で挟んでパリソン内にエアーを吹き込み、パリソンを賦形した後に冷却硬化させてブロー成形品90を形成し、その後、図11に示すように前記雄刃85を前進させて前記雄刃85と雌刃87によりブロー成形品90の中実部91を打ち抜いて貫通孔93を形成する方法がある。符号91aは中実部91から打ち抜れた部分である。
【0005】
しかし、前記雄刃85と雌刃87を用いて貫通孔93を打ち抜く方法は、前記雄刃85の外面と前記雌刃87の内面との間のクリアランス(隙間)を片側0.1mm以下、すなわち図11に示すように雄刃85の外径aと雌刃87の内径bを、a≦b≦a+0.2mmにする必要があり、ブロー成形用金型における孔形成部に高精度が要求され、型費用が嵩む問題がある。さらに、ブロー成形を繰り返す間に、前記雄刃85の外面と前記雌刃87の内面間のクリアランス精度が低下すると、良好に貫通孔を打ち抜くことができなくなって、貫通孔の周囲にバリを生じるようになり、後工程でバリ除去の作業が必要になるとと共に、ブロー成形用金型のメンテナンスが必要となる。
【0006】
【特許文献1】実開昭60−83721号公報
【特許文献2】特開2002−178394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、ブロー成形用金型内でブロー成形品に貫通孔を形成する際に貫通孔周囲にバリを生じにくくでき、またブロー成形用金型については孔形成部を高精度な構造にする必要が無く、ブロー成形用金型の製作が容易になると共にブロー成形用金型のメンテナンスも不要あるいは簡略にすることができるブロー成形品の穿孔方法とブロー成形用金型の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型で軟化状態のパリソンを挟み、前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形することにより中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品をブロー成形する際に、前記ブロー成形用金型内で前記中実部に貫通孔を開けるブロー成形品の穿孔方法において、前記ブロー成形用金型の前記貫通孔を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を前記他方の型内へ後退可能に備え、前記ブロー成形用金型を閉じて前記軟化状態のパリソンを前記ブロー成形用金型で挟むと共に、前記中実部を前記孔形成用刃部で前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成し、次に前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形し、前記パリソンの冷却硬化後、前記孔形成用刃部を前進させると共に前記孔形成用刃部の受け部を後退させることにより、前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間の前記薄肉部を破断させて前記中実部に前記貫通孔を形成し、前記ブロー成形用金型を開いてブロー成形品を脱型することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品を形成するための少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型において、前記中実部を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を備え、ブロー成形時の閉型により前記中実部を前記孔形成用刃部が前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成するように構成し、前記孔形成用刃部の受け部は、前記他方の型の内方へ後退可能に設けられると共に、前記中実部に薄肉部を形成する前記閉型時には前記孔形成用刃部の受け部の後退を阻止し、一方、前記薄肉部の形成後には後退を可能にする後退阻止手段を設けて、前記薄肉部の形成後における後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が後退するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、前記孔形成用刃部は駆動装置により前進可能とされ、前記孔形成用刃部の受け部はバネ部材により前記一方の型へ向けて付勢され、前記後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が前記孔形成用刃部で押されると、前記バネ部材の弾性力に抗して前記孔形成用刃部の受け部が後退することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明におけるブロー成形品の穿孔方法によれば、ブロー成形用金型を閉じて軟化状態のパリソンをブロー成形用金型で挟むと共に、ブロー成形用金型に挟まれた軟化状態の中実部を一方の型の孔形成用刃部で他方の型の孔形成用刃部の受け部に押し付けて孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部間で中実部に薄肉部を形成し、次にパリソン内にエアーを吹き込んでパリソンを賦形し、パリソンの冷却硬化後に、前記薄肉部を孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部間に挟んだ状態で孔形成用刃部を前進させると共に受け部を後退させることにより、薄肉部で破断させて中実部に貫通孔を形成しているため、従来、雄刃と雌刃間のクリアランスの精度低下により切断時に生じていた貫通孔周囲のバリを生じにくくできる。
【0012】
さらに、請求項1の発明におけるブロー成形品の穿孔方法によれば、従来の雄刃と雌刃による打ち抜きによる貫通孔の形成とは異なり、孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部に高精度が必要とされず、ブロー成形用金型の製作が容易になると共に、ブロー成形の繰り返しによっても孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部による薄肉部の破断不良を生じにくく、ブロー成形用金型のメンテナンスも不要あるいは簡略にすることができる。
【0013】
一方、請求項2および請求項3の発明におけるブロー成形用金型によれば、従来の雄刃と雌刃により打ち抜きを行う構造とは異なり、孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部に高精度が必要とされず、ブロー成形用金型の製作が容易になると共に、ブロー成形の繰り返しによっても孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部による薄肉部の破断不良を生じにくく、ブロー成形用金型のメンテナンスも不要あるいは簡略になり、請求項1の発明におけるブロー成形品の穿孔を良好に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るブロー成形用金型の正面図、図2は図1の2−2断面図、図3はブロー成形用金型の閉型時の断面図、図4は図3の一部を拡大して示す部分断面図、図5は図4の孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部における拡大断面図、図6はエアー吹き込み後を示すブロー成形用金型の部分断面図、図7は薄肉部の破断後を示すブロー成形用金型の部分断面図、図8は脱型時を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【0015】
図1及び図2に示す本発明の一実施例に係るブロー成形用金型10は、図9に示したダクト用のブロー成形品70をブロー成形するのに用いられ、ブロー成形時にブロー成形品70の外面72にフランジあるいはブラケットと称される中実部71を突出形成すると共に、前記中実部71に貫通孔73を形成することができるものである。
【0016】
前記ブロー成形用金型10は、水平方向に開閉する2つの型11,31からなり、前記2つの型11,31の何れか一方が可動型、他方が固定型とされる。前記2つの型11,31内には、成形品の外面を賦形するためのキャビティ面12,32が形成されている。前記キャビティ面12,32は、2つの型11,31のパーティング面(分割面)14,34に形成されている部分が、前記中実部71のためのキャビティ面13,33を構成している。
【0017】
前記2つの型11,31の前記中実部71を形成する部分における前記貫通孔73を形成する部分では、一方の型11に孔形成用刃部41が他方の型31へ向けて前進可能に設けられ、他方の型31には前記孔形成用刃部41と対向する位置に孔形成用刃部の受け部51が設けられている。
【0018】
前記孔形成用刃部41は前記貫通孔73の内周形状と一致する外周形状の筒形状部分42を先端側に備えている。前記筒形状部分42は、軟化状態のパリソンの樹脂内へ押し込みやすいように先端の厚みが薄くなっている。前記孔形成用刃部41は、エアーシリンダ装置等からなる駆動装置45によって前記他方の型31へ向けて前進可能にされ、本実施例では最も後方位置において、前記孔形成用刃部41の先端43が前記一方の型11の前記中実部71のためのキャビティ面13から所定量突出した状態にあって、前記ブロー成形用金型10を閉型した際(すなわち2つの型11,31を閉じた際)に、前記孔形成用刃部41の先端43と前記孔形成用刃部の受け部51との間隔が0.1〜0.3mmとなるようにされている。なお、前記型11には前記孔形成用刃部41の配置および駆動装置45の作動用に孔17が形成されている。
【0019】
前記孔形成用刃部の受け部51は、前記孔形成用刃部41の直径(外径)よりも大きい(本実施例では2〜5mm大きい)直径の円盤状からなり、前記他方の型31における中実部用のキャビティ面33から垂直に型内方へ形成された受け部スライド孔35に、前記中実部用のキャビティ面33から型内方へ後退可能に設けられる。前記受け部スライド孔35は、前記中実部用キャビティ面33から所定距離位置まで前記孔形成用刃部の受け部51をスライド可能とする大径孔部36で構成され、前記大径孔部36よりも奥の部分が前記孔形成用刃部の受け部51よりも径が小さい小径孔部37とされている。前記大径孔部36には前記孔形成用刃部の受け部51を一方の型11へ向けて付勢するバネ部材38が設けられている。
【0020】
前記孔形成用刃部の受け部51の背面側には軸部52が形成され、前記大径孔部36および小径孔部37に挿入されている。前記軸部52は前記小径孔部37をスライド可能な径とされ、また、前記受け部スライド孔35の長さとの関係において、前記孔形成用刃部の受け部51が前記中実部用キャビティ面33から後退するのを妨げない長さとされる。前記軸部52には、直交方向に後退阻止孔54が貫通形成され、また、前記受け部スライド孔35の小径孔部37と直交する方向にエアーシリンダ装置等からなる係止用駆動装置56が設けられ、前記係止用駆動装置56の作動により前進後退する棒状の係止部材57が係止用駆動装置56の先端側に設けられている。前記係止部材57は、前記軸部52の後退阻止孔54へ挿入可能な径からなって、前記孔形成用刃部の受け部51の表面が前記中実部用キャビティ面33と面一の状態時に前記軸部52の後退阻止孔54に挿入されることにより、前記孔形成用刃部の受け部51の後退を阻止し、一方、前記軸部52の後退阻止孔54から前記係止部材57が抜かれることにより前記孔形成用刃部の受け部51の後退を可能とする。前記軸部52の後退阻止孔54と前記係止用駆動装置56と係止部材57とは後退阻止手段60を構成する。
【0021】
前記ブロー成形用金型10を用いるブロー成形および穿孔について説明する。図1に示すように、押出機のダイスヘッド61からチューブ状に押し出した軟化状態のパリソンP1を前記ブロー成形用金型10の型11,31間に配置し、図2〜図4に示すように閉型して前記軟化状態のパリソンP1を型11,31で挟む。
【0022】
前記閉型に際し、本実施例では前記孔形成用刃部41は最も後方位置にされ、前記型11における前記中実部71のためのキャビティ面13から前記孔形成用刃部41が所定量突出している。また、前記孔形成用刃部の受け部51は表面51aが前記型31の中実部形成用のキャビティ面33と面一となる位置にされ、その状態で前記軸部52の後退阻止孔54に前記係止部材57が挿入されて前記孔形成用刃部の受け部51の後退が阻止されている。
【0023】
前記閉型によって、前記中実部用キャビティ面13,33の部分では軟化状態のパリソンP1の管壁が密着し、中実部71が形成される。形成された中実部71は軟化状態にある。また、前記閉型時、前記一方の型11の前記中実部71のためのキャビティ面13から突出している前記孔形成用刃部41の先端側が前記中実部71を前記孔形成用刃部の受け部51に押し付け、図5に示すように前記孔形成用刃部41と前記孔形成用刃部の受け部51間で前記中実部71に薄肉部74を形成する。前記薄肉部74は、前記閉型時における前記孔形成用刃部41と前記孔形成用刃部の受け部51間の間隔が0.1〜0.3mmに設定されているため、厚み0.1〜0.3mmのフィルム状となる。前記薄肉部74は強度の低い脆弱部に相当する。
【0024】
次に図示しないブローピンからエアーを前記軟化状態のパリソンP1内に吹き込んでパリソンP1を膨らませ、図6に示すようにキャビティ面12,32にパリソンP1を密着させてキャビティ面形状に賦形する。
【0025】
前記賦形されたパリソンP1を自然冷却等により冷却硬化させてブロー成形品70を形成した後、前記係止用駆動装置56を作動させて前記軸部52の後退阻止孔54から前記係止部材57を抜き取り、前記孔形成用刃部の受け部51の後退を可能とする。その状態で、図7に示すように、前記駆動装置45の作動により前記孔形成用刃部41を前進させる。前記孔形成用刃部41の前進により、前記孔形成用刃部の受け部51は前記薄肉部74を介して前記孔形成用刃部41で押されるため、前記孔形成用刃部41の前進に応じて前記バネ部材38に抗し後退する。前記孔形成用刃部41の前進および前記孔形成用刃部の受け部51の後退により、前記孔形成用刃部41と前記孔形成用刃部の受け部51間で前記薄肉部74が破断し、破断後の部分に貫通孔73が形成される。符号76は前記薄肉部74で破断して前記中実部71から除去された部分である。
【0026】
その後、図8に示すように、前記ブロー成形用金型10を開いてブロー成形品70を脱型する。このようにして得られたブロー成形品70は、図9に示すように外面に突出形成された中実部71に貫通孔73が形成されている。なお、前記ブロー成形品70の脱型を容易にするため、脱型時には前記孔形成用刃部41を閉型前の位置まで後退させておくのが好ましい。また、前記孔形成用刃部41および孔形成用刃部の受け部51は、閉型前の位置に戻し、前記軸部52の後退阻止孔54に前記係止部材57を挿入して次のブロー成形に備えられる。
【0027】
なお、本発明は、ダクト用のブロー成形品に限定するものではなく、フランジやブラケット等と称される中実部が中空部の外面に突出して形成された種々のブロー成形品に適用可能である。また、孔形状についても、丸孔に限らず長孔、異形孔等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例に係るブロー成形用金型の正面図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【図3】ブロー成形用金型の閉型時の断面図である。
【図4】図3の一部を拡大して示す部分断面図である。
【図5】図4の孔形成用刃部と孔形成用刃部の受け部における拡大断面図である。
【図6】エアー吹き込み後を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【図7】薄肉部の破断後を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【図8】脱型時を示すブロー成形用金型の部分断面図である。
【図9】ダクト用ブロー成形品の斜視図である。
【図10】従来のブロー成形用金型の部分断面図である。
【図11】図10のブロー成形用金型における孔形成部分を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 ブロー成形用金型
11 一方の型
31 他方の型
38 バネ部材
41 孔形成用刃部
45 駆動装置
51 孔形成用刃部の受け部
60 後退阻止手段
71 中実部
73 貫通孔
74 薄肉部
P1 パリソン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型で軟化状態のパリソンを挟み、前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形することにより中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品をブロー成形する際に、前記ブロー成形用金型内で前記中実部に貫通孔を開けるブロー成形品の穿孔方法において、
前記ブロー成形用金型の前記貫通孔を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を前記他方の型内へ後退可能に備え、
前記ブロー成形用金型を閉じて前記軟化状態のパリソンを前記ブロー成形用金型で挟むと共に、前記中実部を前記孔形成用刃部で前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成し、
次に前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形し、
前記パリソンの冷却硬化後、前記孔形成用刃部を前進させると共に前記孔形成用刃部の受け部を後退させることにより、前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間の前記薄肉部を破断させて前記中実部に前記貫通孔を形成し、
前記ブロー成形用金型を開いてブロー成形品を脱型することを特徴とするブロー成形品の穿孔方法。
【請求項2】
中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品を形成するための少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型において、
前記中実部を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を備え、ブロー成形時の閉型により前記中実部を前記孔形成用刃部が前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成するように構成し、
前記孔形成用刃部の受け部は、前記他方の型の内方へ後退可能に設けられると共に、前記中実部に薄肉部を形成する前記閉型時には前記孔形成用刃部の受け部の後退を阻止し、一方、前記薄肉部の形成後には後退を可能にする後退阻止手段を設けて、前記薄肉部の形成後における後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が後退するようにしたことを特徴とするブロー成形用金型。
【請求項3】
前記孔形成用刃部は駆動装置により前進可能とされ、
前記孔形成用刃部の受け部はバネ部材により前記一方の型へ向けて付勢され、前記後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が前記孔形成用刃部で押されると、前記バネ部材の弾性力に抗して前記孔形成用刃部の受け部が後退することを特徴とする請求項2に記載のブロー成形用金型。
【請求項1】
少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型で軟化状態のパリソンを挟み、前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形することにより中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品をブロー成形する際に、前記ブロー成形用金型内で前記中実部に貫通孔を開けるブロー成形品の穿孔方法において、
前記ブロー成形用金型の前記貫通孔を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を前記他方の型内へ後退可能に備え、
前記ブロー成形用金型を閉じて前記軟化状態のパリソンを前記ブロー成形用金型で挟むと共に、前記中実部を前記孔形成用刃部で前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成し、
次に前記パリソン内にエアーを吹き込んで前記パリソンを賦形し、
前記パリソンの冷却硬化後、前記孔形成用刃部を前進させると共に前記孔形成用刃部の受け部を後退させることにより、前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間の前記薄肉部を破断させて前記中実部に前記貫通孔を形成し、
前記ブロー成形用金型を開いてブロー成形品を脱型することを特徴とするブロー成形品の穿孔方法。
【請求項2】
中実部が外面から突出して形成されたブロー成形品を形成するための少なくとも2つの型からなるブロー成形用金型において、
前記中実部を形成する部分では、一方の型に孔形成用刃部を他方の型へ向けて前進可能に備えると共に、他方の型には前記孔形成用刃部と対向する位置に孔形成用刃部の受け部を備え、ブロー成形時の閉型により前記中実部を前記孔形成用刃部が前記孔形成用刃部の受け部に押し付けて前記孔形成用刃部と前記孔形成用刃部の受け部間で前記中実部に薄肉部を形成するように構成し、
前記孔形成用刃部の受け部は、前記他方の型の内方へ後退可能に設けられると共に、前記中実部に薄肉部を形成する前記閉型時には前記孔形成用刃部の受け部の後退を阻止し、一方、前記薄肉部の形成後には後退を可能にする後退阻止手段を設けて、前記薄肉部の形成後における後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が後退するようにしたことを特徴とするブロー成形用金型。
【請求項3】
前記孔形成用刃部は駆動装置により前進可能とされ、
前記孔形成用刃部の受け部はバネ部材により前記一方の型へ向けて付勢され、前記後退可能時に前記孔形成用刃部の前進により前記孔形成用刃部の受け部が前記孔形成用刃部で押されると、前記バネ部材の弾性力に抗して前記孔形成用刃部の受け部が後退することを特徴とする請求項2に記載のブロー成形用金型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−12203(P2009−12203A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173758(P2007−173758)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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